JP4957196B2 - 成型用モールドの成形方法及びその成形装置、プラスチックレンズの製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Description
この注入口は、特許文献1で示される従来では、一対の成形型の周面に巻き付けられたテープに加熱圧縮空気を吹き付けることで形成されている。
特許文献1では加熱圧縮空気吐出管を一対の成形型の周面に巻き付けられたテープの所定位置に対向配置し、この加熱圧縮空気を突出口の先端開口からテープに吹き付けることで環状の注入口が形成される。
注入口を塞ぐため、従来では、注入口に紫外線硬化型樹脂を塗布した後、紫外線光を照射し樹脂を硬化させることで行われる(特許文献2)。
異物がキャビティ内に入り込んだ状態でプラスチックレンズが製造されると、プラスチックレンズの外観が不良となってしまい、歩留りが低下するという課題がある。
そのため、特許文献2では、プラスチックレンズを製造するコストが高いものとなるという課題がある。
本発明の成型用モールドの成形装置は、第1成形型と第2成形型との周面へテープを巻き付けるテープ巻付機構及び前記テープにプラスチックレンズ形成用樹脂原料を注入するためにタブを形成するタブ成形機構を有する成型用モールドの成形装置であって、前記タブ成形機構は、前記テープの一部を非環状に切り欠いてタブを形成し、前記テープの他端側において前記タブの面積より小さく注入口本体を形成する注入口形成機構と、前記注入口本体を前記タブの上に位置するように前記テープの両端部を重ねるとともに前記テープを前記第1成形型と前記第2成形型との周面へ巻き付けるテープ巻付機構と、を備えたことを特徴とする。
本発明では、注入口は非環状のタブから形成されているので、注入口は環状に形成される従来例に比べて、注入口形成時に生じるテープの基材の加工屑等が極めて少ない。そのため、第1成形型と第2成形型との周面へテープを巻き付けて形成される成型用モールドの内部に基材の加工屑等が入ることが少ないので、この成型用モールドを用いてプラスチックレンズを製造しても、外観が不良となることがない。
そして、注入口を必要に応じて塞ぐ際には、注入口を塞ぐために使用される封止材はタブ周縁に設ければよいから、環状の注入口を全面に渡って封止する従来例に比べて、高価な封止材の使用量を少なくすることができるので、プラスチックレンズの製造コストを抑えることができる。
第1成形型と第2成形型との周面にテープを巻き付ける前に、このテープに注入口が形成されているから、注入口を形成する際に生じるテープの基材の加工屑等が成型用モールドの内部に入り込むことがない。
そのため、製造されるプラスチックレンズの外観がより向上することになる。
その上、タブ形成工程でタブが形成されたテープを、テープ巻付工程で両端部が互いに重なり、かつ、タブが露出するように第1成形型と第2成形型との周面に巻き付ける。そして、タブ形成工程によって、タブの上(成型用モールドの外側)に注入口本体を形成する。
このように形成された成型用モールドでは、タブが非環状に形成されているため、テープの他の部分と一体となっており、その接続部分を中心として折り曲げ可能である。このタブを押し込むことで注入口本体と連続した大きな開口が形成され、これらの空間を通ってプラスチックレンズ形成用樹脂原料が成型用モールドの内部に注入される。
成型用モールドの内部に注入される樹脂原料が上昇すると、タブも樹脂原料の上昇に伴って、さらには、タブの弾性力に伴って先端部分が上昇し、最終的にはタブで注入口本体が閉塞される。
本発明では、テープを第1成形型と第2成形型との周面に巻き付ける前に、テープにタブを形成し、かつ、テープ状の注入口形成部に注入口本体を形成することになるので、タブや注入口本体を形成する際に生じるテープの基材の加工屑等が成型用モールドの内部に入り込むことがない。
従って、この工程で製造された成型用モールドを用いてプラスチックレンズを製造しても、成型用モールド内部に異物をなくすことができる。そのため、製造されるプラスチックレンズに異物が混入することがないから、プラスチックレンズの外観が不良となることがない。
しかも、成型用モールドの内部に注入されるプラスチックレンズ形成用樹脂原料が上昇することで、最終的にタブによって注入口本体が閉塞されるから、注入口本体を塞ぐために、高価な封止材を使用することを要しないので、プラスチックレンズの製造コストを抑えることができる。
本発明によれば、注入口形成部は前記テープと連続形成されているため、同一テープによる加工が可能となり、加工効率が向上する。更に、テープを第1成形型と第2成形型との周面に巻き付ける前に、テープに注入口形成部を形成することになるので、テープの基材の加工屑等が成型用モールドの内部に入り込むことがない。
本発明のプラスチックレンズの製造装置は、前述の成型用モールドの成形装置と、前記タブを押し込むノズルを有しこのノズルから前記プラスチックレンズ形成用樹脂原料を前記注入口から前記成型用モールドの内部に注入する樹脂注入機構を備えたことを特徴とする。
成型用モールドの内部に所定量のプラスチックレンズ形成用樹脂原料が注入されたら、ノズルを成型用モールド内から引き出す。
すると、折り曲げられているタブは、その弾性力や浮力によって元の位置(ノズルで押し込まれる前の位置)に向けて変位し、最終的には、タブで注入口が閉塞される。
従って、本発明では、前述の効果を達成することができるプラスチックレンズの製造方法を提供することができる。
しかも、プラスチックレンズ形成用樹脂原料を吐出するためのノズルを、タブ押し込み用の部材として使用するので、部品の共通化が図れる。
この構成の発明では、成型用モールドの内部にプラスチックレンズ形成用樹脂原料を注入した後、タブ引き戻し工程でタブを強制的に注入口を閉塞する位置まで戻す。
そのため、タブの弾性力の有無にかかわらず、タブを押し込まれる前の位置まで確実に復帰させることができるから、注入口の封止を確実に行えることで、プラスチックレンズを精度良く製造することができる。
また、前述のプラスチックレンズの製造装置にかかる発明において、前記ノズルで押し込まれた前記タブを元の位置に戻すために前記タブを吸引するタブ引戻装置を備えた構成が好ましい。
この構成の発明では、成型用モールドの内部にプラスチックレンズ形成用樹脂原料を注入した後、タブ引き戻し工程でタブを強制的に注入口を閉塞する位置まで戻す。
そのため、タブの弾性力の有無にかかわらず、タブを押し込まれる前の位置まで確実に復帰させることができるから、注入口の封止を確実に行えることで、プラスチックレンズを精度良く製造することができる。
プラスチックレンズの製造装置にかかる発明において、前記注入口を封止する注入口封止装置を備えた構成が好ましい。
この構成の発明では、タブの周縁とテープとの間に隙間が形成されている場合において、この隙間を適宜な手段で封止することで、注入口からの樹脂の漏出を確実に防止することができる。
本発明の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
第1実施形態にかかるプラスチックレンズの製造装置は成型用モールドの成形装置を備えている。
本実施形態にかかる成型用モールドの成形装置の概略構成が図1と図2に分けて示されている。
図1及び図2において、成型用モールド成形装置10は、円形状に形成された第1成形型1の中心位置を位置決めする第1求芯機構11Aと、第2成形型2の中心位置を位置決めする第2求芯機構11Bと、第2求芯機構11Bで求芯された第2成形型2の型軸を検出する型軸検出機構12と、第1求芯機構11Aで求芯された第1成形型1の寸法を計測する第1計測機構13Aと、型軸検出機構12で型軸を検出された第2成形型2の寸法を計測する第2計測機構13Bと、第1成形型1と第2成形型2とを所定寸法離して対向配置させる型位置決め機構14と、テープ3に注入口を形成する注入口成形機構15と、第1成形型1と第2成形型2との周面へテープ3を巻き付けるテープ巻付機構16とを備えている。
第2求芯機構11Bは第2成形型2をチャックする一対のアーム110を備えている。ここで、第2成形型2は、上面が凹状に形成されたガラスの下型である。
図1(C)に示される通り、第1計測機構13Aは、スピンドル131で吸着された第1成形型1の下面中心位置に当接するリニアゲージ133を備え、このリニアゲージ133でスピンドル131の吸着面と第1成形型1の下面中心位置との間の寸法を計測する。
第2計測機構13Bは、スピンドル132で吸着された第2成形型2の上面中心位置に当接するリニアゲージ134を備え、このリニアゲージ134でスピンドル132の吸着面と第2成形型2の上面中心位置との間の寸法を計測する。
本実施形態では、注入口成形機構15はテープ3を打ち抜いてタブ3Aを形成するというプレス型の構造に限定されるものではなく、タブ3Aを形成できるものであれば、その具体的な手段は問わない。例えば、レーザ光による切断方法、熱した型を押し当ててテープ3を溶かす方法、加熱圧縮空気を吹き付ける方法を例示することができる。
タブ3Aの形状も略C字に限定されるものではなく、非環状であるのであれば、コ字形状、V字状、半円形状、その他の形状であってもよい。
第1成形型1と第2成形型2との全周面にテープ3が巻き付けられたら、図示しないカッタでテープ3の所定位置が切断され、成型用モールド4が成形される。
図3において、プラスチックレンズ製造装置は、成型用モールド4の内部にタブ3Aを押し込んで形成された注入口3Bからプラスチックレンズ形成用樹脂原料を注入する樹脂注入機構20と、タブ3Aを元の位置に戻すタブ引戻装置30と、注入口3Bを封止する注入口封止装置40と、を備えている。
供給部21は、注入口3Bから成型用モールド4の内部に樹脂原料を注入するためのノズル211と、このノズル211の基端部に下端部が接続される樹脂原料流通管212と、この樹脂原料流通管212の上端に接続される原料貯蔵部213とを備えており、樹脂原料流通管212に設けられた注入制御バルブ214が開口量を制御することで、ノズル211から供給される樹脂原料の量が制御される。
制御部22は、注入制御バルブ214を制御する流量調節部221と、成型用モールド4の内部に樹脂原料が所定位置まで注入されたことを検知するセンサ222及び樹脂原料の流量を切り換えるセンサ224と、これらのセンサ222,224からの信号を受けて流量調節部221を制御する制御部本体223とを備えている。
センサ222,224は成型用モールド4の注入口3B近傍に配置され、成型用モールド4の内部に注入される樹脂原料の量を光で検出する光センサである。
吸引パイプ301は3次元で移動可能であり、樹脂注入機構20あるいは注入口封止装置40が作動する際は、これらの装置との干渉を避ける位置に退避し、タブ引戻装置30が作動する際にはタブ3Aの近傍まで移動する。
この紫外線供給機構401は制御部本体223で制御される。
[成型用モールド組立工程]
まず、図1(A)で示される通り、第1成形型1を第1求芯機構11Aでチャックし、第2成形型2を第2求芯機構11Bでチャックして、それぞれの型の求芯及び外径測定を行う。
その後、図1(B)で示される通り、型軸検出機構12を用いて第2成形型2の乱視軸方向を検出するとともに乱視屈折力も計測する。
図1(C)に示される通り、第1計測機構13A及び第2計測機構13Bによって、各成形型1,2をスピンドル131,132で吸着保持し、スピンドル131と第1成形型1との寸法、並びに、スピンドル132と第2成形型2との寸法を計測する。
テープ3にタブ3Aを形成する位置は、高さ方向(テープ3における幅方向の位置)については、前述の工程で求めた第2成形型2の下面を基準とした注入口位置の計算値を用いる。左右方向(テープ3の長手方向位置)については、タブ3Aが、位置決めしたプラスチックレンズの側面の厚みに相当する部分の値が最大となる位置と合致するようにテープ巻き始め位置を制御する。
その後、図2(F)で示される通り、テープ巻付機構16によって、予めタブ3Aが形成されたテープ3を第1成形型1と第2成形型2との外周面へ巻き付ける。
第1成形型1及び第2成形型2をスピンドル131,132で同期回転させ、第1成形型1と第2成形型2との外周面にテープ3を巻き付ける。成形型1,2の外周にテープ3を巻き付ける際は、第2成形型2の下面とテープ3の下面が同一高さとなるようにする(図4(A)参照)。
第1成形型1と第2成形型2の全周にテープ3を巻き付け、テープ3同士が重なり合うようになったらテープ3を切断する。これにより、成型用モールド4が組み立てられたことになる。
樹脂注入機構20によって成型用モールド4の内部にプラスチックレンズ形成用樹脂原料を注入する。
まず、成型用モールド4を、タブ3Aが最も高い位置にくるように位置決めする。その後、ノズル211を下降させて、その下端部でタブ3Aを押し込む(図5(A)参照)。タブ3Aは、その弾性力に抗して湾曲変形する。タブ3Aが変形することで、折り曲げられた部分とタブ3Aで欠損された部分とから環状の注入口3Bがテープ3に形成される。
そして、この注入口3Bからノズル211を通してプラスチックレンズ形成用樹脂原料が成型用モールド4の内部に注入される。ここで、注入の開始及び終了、並びに注入流量切り換えは制御部22で行われる。
プラスチックレンズ形成用樹脂原料の液面が注入口3Bの付近に達してきたことをセンサ224で検出し、注入流量を徐々に下げる。
成型用モールド4の内部にプラスチックレンズ形成用樹脂原料が満たされたことをセンサ222で検出したら、センサ222の信号が制御部22に送られ、プラスチックレンズ形成用樹脂原料の注入がストップする。
成型用モールド4の内部に所定量の樹脂原料が注入されたら、ノズル211を上昇させる。これに伴って、ノズル211の先端部で押し込まれたタブ3Aは、その弾性力や樹脂原料の上昇に伴って元の位置に近い位置まで復帰する(図5(A)の想像線参照)。
そして、タブ引戻装置30を作動させる。つまり、タブ3Aの近傍に吸引パイプ301を移動させ、真空吸引機構を作動して吸引パイプ301でタブ3Aを吸い上げて注入口3Bを閉塞する。
[注入口封止工程]
樹脂注入工程の後に注入口封止装置40を作動して注入口3Bを封止する。つまり、紫外線硬化型樹脂5をテープ3のタブ3Aのみ塗布し(図5(B)参照)、この紫外線硬化型樹脂5に紫外線供給機構401から紫外線を照射して硬化させる。なお、図5では、タブ3Aの形状をわかりやすくするため、タブ3Aを形成するための切り込み部分の幅寸法を大きく描いている。
[加熱工程等]
注入口3Bが封止されたら、成型用モールド4を炉に入れ、加熱硬化する。
炉から取り出された成型用モールド4は、テープ3が剥がされ、その後、第1成形型1と第2成形型2とが剥離されてプラスチックレンズの基材が形成される。この基材は必要に応じ研磨や表面処理等の工程を経て、プラスチックレンズとなる。
(1)第1成形型1と第2成形型2との周面へテープ3を巻き付けて組み立てられる成型用モールド4のテープ3に樹脂原料を注入するための注入口3Bを形成するにあたり、このテープ3の一部を非環状に切り欠いてタブ3Aを形成した。そのため、注入口3Bが非環状のタブ3Aから形成されているので、注入口3Bは環状に形成される従来例に比べて、成型用モールド4の内部にテープ基材の加工屑等の異物が入ることが少なく、この成型用モールド4を用いてプラスチックレンズを製造しても、外観が不良となることがない。
しかも、注入口3Bを塞ぐ紫外線硬化型樹脂5はタブ周縁に設ければよいから、環状の注入口を全面に渡って封止する従来例に比べて、高価な紫外線硬化型樹脂5の使用量を少なくすることができるので、プラスチックレンズの製造コストを抑えることができる。
(6)紫外線硬化型樹脂5をタブ3Aの周縁に沿って円弧状に配置するのではなくタブ3Aの上面から矩形状に配置したから、タブ3Aの周縁形状にかかわらず、注入口3Bを十分に閉塞することができる。
第2実施形態にかかる成型用モールドの成形装置の概略構成が図6と図7に分けて示されている。
図6及び図7において、成型用モールド成形装置510は、第1実施形態の第1求芯機構11A、第2求芯機構11B、型軸検出機構12、第1計測機構13A、第2計測機構13B、型位置決め機構14及びタブ形成機構15と、テープ3に注入口を形成する注入口形成機構516と、第1成形型1と第2成形型2との周面へテープ3を巻き付けるテープ巻付機構517とを備えている。
図7(E)に示される通り、タブ形成機構15は、第1実施形態と同じ構成であり、第1成形型1と第2成形型2との周面に巻き付けられるテープ3の一部を略C字状に打ち抜いてタブ53Aを形成するものである、
注入口形成機構516は、テープ3のタブ53Aが形成された位置から長手方向に長さLだけ離れた位置において円形の注入口本体53Bを形成するものであり、テープ3を挟んで対向配置される一対のプレス型161,162を備えている。このうち一方のプレス型161は円形の刃161Aを有する雄型であり、他方のプレス型162は刃161Aを受ける雌型である。なお、本実施形態ではテープ3の注入口本体53Bが形成される部位が注入口形成部53Cを構成する。つまり、この注入口形成部53Cはテープ3と連続形成されている。なお、第2実施形態では、タブ53Aと注入口本体53Bとから注入口が構成される。
ここで、後述するように、テープ3が第1成形型1と第2成形型2との周面に巻き付けられて両端部が重なった際にタブ53Aの上に注入口本体53Bが位置するように寸法Lが設定されている(図9参照)。つまり、寸法Lは第1成形型1及び第2成形型2の外周寸法と略等しい。さらに、タブ53Aの面積は注入口本体53Bの面積より大きく形成される(図11(B)参照)。
第1成形型1と第2成形型2との全周面にテープ3が巻き付けられたら、図示しないカッタでテープ3の所定位置が切断され、成型用モールド4が成形される。
図8において、プラスチックレンズ製造装置は、成型用モールド4の内部に注入口本体53Bからプラスチックレンズ形成用樹脂原料を注入する樹脂注入機構20と、タブ53Aを元の位置に戻すタブ引戻装置30とを備えている。
供給部21は、注入口3Bから成型用モールド4の内部に樹脂原料を注入するためのノズル211と、このノズル211の基端部に下端部が接続される樹脂原料流通管212と、この樹脂原料流通管212の上端に接続される原料貯蔵部213とを備えており、樹脂原料流通管212に設けられた注入制御バルブ214が開口量を制御することで、ノズル211から供給される樹脂原料の量が制御される。
制御部22は、注入制御バルブ214を制御する流量調節部221と、成型用モールド4の内部に樹脂原料が所定位置まで注入されたことを検知するセンサ222及び樹脂原料の流量を切り換えるセンサ224と、これらのセンサ222,224からの信号を受けて流量調節部221を制御する制御部本体223とを備えている。
センサ222,224は成型用モールド4の注入口本体53B近傍に配置され、成型用モールド4の内部に注入される樹脂原料の量を光で検出する光センサである。
吸引パイプ301は3次元で移動可能であり、樹脂注入機構20が作動する際は、この装置との干渉を避ける位置に退避し、タブ引戻装置30が作動する際にはタブ53Aの近傍まで移動する。
[成型用モールド組立工程]
まず、図6(A)で示される通り、第1成形型1を第1求芯機構11Aでチャックし、第2成形型2を第2求芯機構11Bでチャックして、それぞれの型の求芯及び外径測定を行う。
その後、図6(B)で示される通り、型軸検出機構12を用いて第2成形型2の乱視軸方向を検出するとともに乱視屈折力も計測する。
図6(C)に示される通り、第1計測機構13A及び第2計測機構13Bによって、各成形型1,2をスピンドル131,132で吸着保持し、スピンドル131と第1成形型1との寸法、並びに、スピンドル132と第2成形型2との寸法を計測する。
テープ3にタブ53Aを形成する位置は、高さ方向(テープ3における幅方向の位置)については、前述の工程で求めた第2成形型2の下面を基準とした注入口位置の計算値を用いる。左右方向(テープ3の長手方向の位置)については、タブ53Aが、位置決めしたプラスチックレンズの側面の厚みに相当する部分の値が最大となる位置と合致するようにテープ巻き始め位置を制御する。
その後、テープ3が矢印F方向に引き出され、タブ53Aから寸法Lだけ離れた位置に、注入口形成機構516によってテープ3の他端部側に注入口本体53Bを形成する。寸法Lは、前述の工程で求めた成形型の外周値を用いる。高さ方向(テープ3における幅方向の位置)については、タブ53Aを形成した位置と同一とする。
第1成形型1及び第2成形型2をスピンドル131,132で同期回転させ、第1成形型1と第2成形型2との外周面にテープ3を巻き付ける。成形型1,2の外周にテープ3を巻き付ける際は、第2成形型2の下面とテープ3の下面が同一高さとなるようにする(図10(A)参照)。
ここで、図9及び図10に示される通り、第1成形型1と第2成形型2の全周へのテープ3の巻き付けは、テープ3の両端部同士が重なり合うとともに、注入口本体53Bをタブ53Aの上に位置するように位置決めして行う。注入口形成工程はテープ巻付工程と同時に行われる。
第1成形型1と第2成形型2の全周へのテープ3の巻き付けが終了したら、テープ3を切断する。これにより、成型用モールド4が組み立てられたことになる。
樹脂注入機構20によって成型用モールド4の内部にプラスチックレンズ形成用樹脂原料を注入する。
まず、成型用モールド4を、タブ53Aが最も高い位置にくるように位置決めする。その後、ノズル211を下降させて、その下端部でタブ53Aを押し込む(図11(A)参照)。タブ53Aは、その弾性力に抗して湾曲変形する。タブ53Aが変形することで、折り曲げられた部分とタブ53Aで欠損された部分とから注入口本体53Bと連続した空間がテープ3に形成される。
そして、この注入口本体53Bからノズル211を通してプラスチックレンズ形成用樹脂原料が成型用モールド4の内部に注入される。ここで、注入の開始及び終了、並びに注入流量切り換えは制御部22で行われる。
ここで、図11(B)に示される通り、成型用モールド4の内部に注入された樹脂原料は、その液面Pが徐々に上昇することになり、この液面Pがタブ53Aの位置まで達し、かつ、ノズル211が上昇したなら、このタブ53Aは、その先端部が液面Pの上昇とともに上昇する。
成型用モールド4の内部にプラスチックレンズ形成用樹脂原料が満たされたことをセンサ222で検出したら、センサ222の信号が制御部22に送られ、プラスチックレンズ形成用樹脂原料の注入がストップする。
成型用モールド4の内部に所定量の樹脂原料が注入されたら、ノズル211を注入口本体53Bから離れた位置まで退避させる。これに伴って、ノズル211の先端部で押し込まれたタブ53Aは、その弾性力並びに浮力によって元の位置に近い位置まで復帰する。
そして、タブ引戻装置30を作動させる。つまり、タブ53Aの近傍に吸引パイプ301を移動させ、真空吸引機構を作動して吸引パイプ301でタブ53Aを吸い上げて注入口本体53Bを完全に閉塞する。これにより、注入口本体53Bが封止されたことになる。
[加熱工程等]
注入口本体53Bが封止されたら、成型用モールド4を炉に入れ、加熱硬化する。
炉から取り出された成型用モールド4は、テープ3が剥がされ、その後、第1成形型1と第2成形型2とが剥離されてプラスチックレンズの基材が形成される。この基材は必要に応じ研磨や表面処理等の工程を経て、プラスチックレンズとなる。
(7)第1成形型1と第2成形型2との周面へテープ3を巻き付けて組み立てられる成型用モールド4のテープ3に樹脂原料を注入するための注入口本体53Bを形成するにあたり、テープ3の一部を非環状に切り欠いてタブ53Aを形成し、テープ3の両端部を重ねるとともにタブ53Aが露出するようにテープ3を第1成形型1と第2成形型2との周面へ巻き付け、注入口本体53Bが予め形成されたテープ状の注入口形成部53Cをタブ53Aの上に重ねた。そして、注入口本体53Bはタブ53Aの面積より小さく形成し、かつ、注入口本体53Bをタブ53Aの上に位置するように位置決めした。また、テープ3を第1成形型1と第2成形型2との周面に巻き付ける前に、テープ3にタブ53Aを形成し、かつ、注入口形成部53Cに注入口本体53Bを形成するようにした。そのため、注入口を構成するタブ53Aと注入口本体53Bとを形成する際に生じるテープ3の基材の加工屑等が成型用モールド4の内部に入り込むことがなく、製造されるプラスチックレンズに異物が混入することがないから、プラスチックレンズの外観の不良をなくすことができる。しかも、成型用モールド4の内部に注入されるプラスチックレンズ形成用樹脂原料が上昇することに伴ってタブ53Aが上昇し、最終的にタブ53Aによって注入口本体53Bが閉塞される。そのため、注入口本体53Bを塞ぐために、高価な紫外線硬化型樹脂を使用することを要しないので、プラスチックレンズの製造コストを抑えることができる。
例えば、前記実施形態では、タブ3A,53Aの加工はテープ3を第1成形型1と第2成形型2との周面に巻き付けた後に行ってもよい。
また、ノズル211でタブ3A,53Aを押し込む構成としたが、ノズル211以外の部材を新たに設け、この部材でタブ3A,53Aを押し込むものとしてもよい。
さらに、タブ3A,53Aは、テープ3の長手方向に沿って複数を近接配置し、これらの複数のタブ3A,53Aにそれぞれノズル211を挿入して樹脂を成型用モールド4の内部に注入するものでもよい。
また、第2実施形態の注入口本体53Bに代えてタブ53Aを形成するものでもよい。この場合、互いに重なり合うタブ53Aを1本のノズル211で押し下げて成型用モールド4の内部にノズル211の先端部を挿通させるものであってもよい。
Claims (10)
- 第1成形型と第2成形型との周面へテープを巻き付けて成型用モールドを組み立てるとともに前記テープにプラスチックレンズ形成用樹脂原料を前記成型用モールドの内部へ注入するための注入口を形成する成型用モールドの成形方法であって、
前記注入口は注入口本体と、この注入口本体を封止するタブとを備え、
前記注入口本体を封止するための前記タブを前記テープの一部を非環状に切り欠いて形成するタブ形成工程と、前記タブ形成工程の後に前記第1成形型と前記第2成形型との周面へ前記テープを巻き付けるテープ巻付工程と、前記注入口本体が予め形成されたテープ状の注入口形成部を前記タブの上に重ねるテープ重合工程とを備え、
このテープ重合工程は、前記タブの面積より小さく形成した前記注入口本体を前記タブの上に位置するように位置決めし、
前記テープ巻付工程は、前記テープの両端部を重ねるとともに前記タブが露出するように前記テープを前記第1成形型と前記第2成形型との周面へ巻き付ける
ことを特徴とする成型用モールドの成形方法。 - 請求項1に記載された成型用モールドの成形方法において、
前記注入口形成部は前記テープの端部と連続形成され、前記注入口本体の形成と前記タブ形成工程とを同時に行うことを特徴とする成型用モールドの成形方法。 - 請求項1に記載された成型用モールドの成形方法で前記成型用モールドを成形した後、前記タブをノズルで押し込むとともに前記ノズルから前記プラスチックレンズ形成用樹脂原料を前記注入口から前記成型用モールドの内部に注入する樹脂注入工程を備えたことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
- 請求項3に記載されたプラスチックレンズの製造方法において、
前記樹脂注入工程の後に前記ノズルで押し込まれた前記タブを元の位置に戻すタブ引き戻し工程を備えたことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。 - 請求項4に記載されたプラスチックレンズの製造方法において、
前記タブ引き戻し工程は前記タブを吸引することで行うことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。 - 請求項3に記載されたプラスチックレンズの製造方法において、
前記樹脂注入工程の後に前記注入口を封止する注入口封止工程を備えたことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。 - 第1成形型と第2成形型との周面へテープを巻き付けるテープ巻付機構及び前記テープにプラスチックレンズ形成用樹脂原料を注入するためにタブを形成するタブ成形機構を有する成型用モールドの成形装置であって、
前記タブ成形機構は、前記テープの一部を非環状に切り欠いてタブを形成し、
前記テープの他端側において前記タブの面積より小さく注入口本体を形成する注入口形成機構と、前記注入口本体を前記タブの上に位置するように前記テープの両端部を重ねるとともに前記テープを前記第1成形型と前記第2成形型との周面へ巻き付けるテープ巻付機構と、を備えた
ことを特徴とする成型用モールドの成形装置。 - 請求項7に記載された成型用モールドの成形装置と、前記タブを押し込むノズルを有しこのノズルから前記プラスチックレンズ形成用樹脂原料を前記注入口から前記成型用モールドの内部に注入する樹脂注入機構を備えたことを特徴とするプラスチックレンズの製造装置。
- 請求項8に記載されたプラスチックレンズの製造装置において、
前記注入口を封止する注入口封止装置を備えたことを特徴とするプラスチックレンズの製造装置。 - 請求項9に記載されたプラスチックレンズの製造装置において、
前記ノズルで押し込まれた前記タブを元の位置に戻すために前記タブを吸引するタブ引戻装置を備えたことを特徴とするプラスチックレンズの製造装置。
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