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JP4952257B2 - 半導体製造装置用部材の洗浄用組成物及びそれを用いた洗浄方法 - Google Patents

半導体製造装置用部材の洗浄用組成物及びそれを用いた洗浄方法 Download PDF

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本発明は、半導体製造装置用部材の洗浄用組成物及びそれを用いた洗浄方法に関するものであり、特にプロセスチャンバー等の、陽極酸化されたアルミニウム基材表面にセラミックスコーティングが施された部材表面に付着した物質を除去するのに好適な洗浄用組成物及びそれを用いた洗浄方法に関するものである。
半導体製造工程では、CVD(Chemical Vapor Deposition)による成膜工程やプラズマによるエッチング工程などさまざまなプロセスから成っているが、それらのうち、例えばエッチング工程ではプロセスチャンバー内にプラズマを生成させウエハ上の不要部分をエッチングする。このようなエッチング工程ではエッチング中に飛び散った物質がプロセスチャンバーの内壁表面に付着する。このため、多くのウエハを処理する過程で、プロセスチャンバー上に堆積した付着物の厚みは増し、これが剥がれ落ちてパーティクル発生の原因となる。従って、プロセスチャンバー上に堆積した付着物は定期的に除去することが必要になる。
プラズマによるエッチング工程に用いられる半導体製造装置のプロセスチャンバーには、プラズマに対する耐性を増すために、陽極酸化されたアルミニウム等を基材とし、その内壁にアルミナセラミックス、イットリアセラミックス、ジルコニアセラミックス等のセラミックスを溶射し、コーティングしたものがしばしば利用される。このようなプロセスチャンバーは、セラミックス部が酸に、陽極酸化されたアルミニウム部が酸、アルカリに弱く非常に腐食しやすいため、化学的な薬液による洗浄ができず、従来は、プロセスチャンバー表面をイソプロピルアルコールや水を濡らした布等で拭き取ったり、研磨具などでこすり落としていた。
しかし、これらの方法では付着物を十分に取り除くことができず、研磨具などを使用するとセラミックス部表面や陽極酸化されたアルミニウム基材表面にダメージを与えてしまうこともあった。
一方、このような物理的な除去方法に加え、陽極酸化されたアルミニウム基材からなるプロセスチャンバーの洗浄方法として、加熱状態の過酸化水素により付着物を除去する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、プロセスチャンバーの陽極酸化された、酸化アルミニウム部表面にダメージを与えないことが記載されているが、陽極酸化されたアルミニウム基材表面上に、溶射によりセラミックスコーティング部分を形成したプロセスチャンバー等の洗浄に関する事項は記載されていない。更には溶射により形成されたセラミックスコーティング部分を有する陽極酸化されたアルミニウム基材からなるプロセスチャンバー等の化学洗浄に関する例は知られていなかった。
そこで、セラミックス部、陽極酸化されたアルミニウム部、共にダメージを与えることなく、堆積した付着物を除去洗浄できる洗浄用組成物の開発が望まれていた。
特開2001−127035号公報
本発明の目的は、半導体製造装置にダメージを与えず、堆積した付着物を選択的に除去する洗浄用組成物及びそれを用いた洗浄方法を提供することにある。
本発明者らは、半導体製造装置用部材の表面に堆積した付着物除去について鋭意検討した結果、無機酸及び/又はカルボン酸を含む有機酸と、フッ化物、親水性有機溶媒及び水とを含んでなる半導体製造装置用部材の洗浄用組成物が、半導体製造装置用部材、特に陽極酸化されたアルミニウム基材表面にセラミックスコーティングが施された部材にダメージを与えることなく堆積した付着物を選択的に除去できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における洗浄用組成物は、無機酸及び/又はカルボン酸を含む有機酸と、フッ化物、親水性有機溶媒及び水とを含んでなるものである。但し、無機酸とフッ化物とが同時にフッ化水素酸に該当する場合を除くものである。
本発明の洗浄用組成物において、無機酸とは特に限定するものではないが、炭酸、重炭酸、ホウ酸、ヨウ素酸、硝酸、硫酸、次亜臭素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、亜硝酸、亜硫酸等のオキソ酸、臭化水素酸、塩酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、硫化水素酸等の水素酸、ペルオキソ硝酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソ二硫酸等のペルオキソ酸等からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。それ以外の無機酸を使用しても差し支えないが、高価であるため、工業的には有利ではない。
上記無機酸の中では、付着物の除去能力及びコストの面から、硫酸、硝酸又は塩酸からなる群の中から1種若しくは、2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、硝酸を単独で用いるのが最も好ましい。硝酸としては電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用しても良い。
本発明の洗浄用組成物において、カルボン酸を含む有機酸とは特に限定するものではないが、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、安息香酸、フタル酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。それ以外のカルボン酸を含む有機酸を使用しても差し支えないが、高価であるため、工業的には有利ではない。上記カルボン酸を含む有機酸の中では、付着物の除去能力及びコストの面から、クエン酸が好ましい。クエン酸としては電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用しても良い。
本発明の洗浄用組成物において、フッ化物とは特に限定するものではないが、フッ化水素酸、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。それ以外のフッ化物を使用しても差し支えないが、水への溶解度が低かったり、高価であったりするため、工業的には有利ではない。フッ化水素酸、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウムの中では、金属の混入がないフッ化水素酸、フッ化アンモニウムが特に好ましい。フッ化水素酸、フッ化アンモニウムとしては電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用しても良い。フッ化物は付着物に含まれるSi成分を除去するのに有効であるが、その他、レジストポリマー除去等を容易にする。
本発明の洗浄用組成物において、親水性有機溶媒とは特に限定するものではないが、アルコール類、エーテル類、ホルムアミド類、ピロリドン類、ケトン類、ラクトン類、エステル類、スルホキシド類からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。具体的には、例えばアルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロペンタンジオール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、エーテル類としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられ、ホルムアミド類としては、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、ピロリドン類としては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、2−ピロリドン等が挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、ラクトン類としては、プロピオラクトン、ブチロラクトン等が挙げられ、エステル類としては、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセト酢酸エチル等が挙げられ、スルホキシド類としてはジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド等が挙げられ、これらより選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。上記具体例に挙げた親水性有機溶媒の中では、付着物の除去能力及びコストの面から、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシドからなる群の中から1種若しくは、2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、中でもアセトンを単独で用いるのが最も好ましい。アセトンとしては電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用しても良い。
本発明の洗浄用組成物において使用する水は被洗浄物が半導体素子の製造工程で使用されることを考慮して、イオン交換水、純水や超純水等のイオン性物質やパーティクル等を極力低減させたものが好ましい。
本発明の洗浄用組成物において、無機酸及び/又はカルボン酸を含む有機酸と、フッ化物、親水性有機溶媒及び水との比率は特に制限はないが、部材表面上の付着物の除去速度や部材の構成成分へのダメージ、洗浄用組成物の製造、設備投資等洗浄に関わるコストを考慮すると、洗浄用組成物全量に対し、無機酸及び/又はカルボン酸を含む有機酸の量は0.1〜20重量%、フッ化物の量は0.01〜5重量%、水の量は0.01〜20重量%で残部が親水性有機溶媒であることが好ましく、無機酸及び/又はカルボン酸を含む有機酸の量が2〜10重量%、フッ化物の量が0.1〜3重量%、水の量が1〜10重量%で残部が親水性有機溶媒であることがさらに好ましい。
無機酸及び/又はカルボン酸を含む有機酸の量が0.1重量%未満であると、付着物の除去速度が工業的でないほど遅く、20重量%を超えると、コーティングされたセラミックス及び陽極酸化されたアルミニウム基材に対するダメージが大きくなるため好ましくない場合がある。
また、フッ化物の量が0.01重量%未満では付着物の除去速度が工業的でないほど遅く、フッ化物の量が5重量%を超えるとコーティングされたセラミックス及び陽極酸化されたアルミニウム基材に対するダメージが大きくなるため好ましくない場合がある。
また、水の量が0.01重量%未満では、洗浄力自体に問題は無いが、洗浄用組成物を製造するのに非常にコストがかかるため実用的ではなく、水の量が10重量%を超えるとコーティングされたセラミックス及び陽極酸化されたアルミニウム基材に対するダメージが大きくなるため好ましくない場合がある。
本発明の洗浄用組成物は、半導体素子の製造工程で半導体製造装置内部の部材表面に付着した、無機物、有機物又はその双方からなる付着物もしくは堆積物の洗浄に用いることができ、様々な基材からなる半導体製造装置の洗浄を行うことが可能であるが、中でも陽極酸化されたアルミニウム基材に、アルミナセラミックス、イットリアセラミックス、ジルコニアセラミックス等のセラミックスを溶射することによりコーティング(溶射厚としては、例えば1.0〜5000μm)が施された部材に好適に用いることができる。
本発明における洗浄液組成物の使用にあたっては、被洗浄物である半導体製造装置の部材に接触させることで洗浄することができるが、被洗浄物と洗浄液組成物とを接触させる方法自体は特に制限はなく、公知のいずれの方法も使用できる。例えば、洗浄液組成物を含浸したスポンジなどによる拭き取り、洗浄液組成物への浸漬及び/又はスプレーなどにより実施することができるが、特に作業性の向上、設備の簡素化の面から浸漬による洗浄が好ましい。
浸漬の方法としては、被洗浄物を1構成単位ごと、又は複数の構成単位をまとめて前記洗浄液組成物中に浸漬し、洗浄処理する方法が挙げられ、洗浄効果を高めるために、同時に攪拌、揺動、超音波またはエアバブリングなどを組み合わせることができる。なお、これら洗浄方法に使用する洗浄装置としては、通常公知のものを用いることができる。また、洗浄対象物を洗浄した後の乾燥方法にも特に制限はなく、温風乾燥や減圧乾燥など公知のいずれの方法も使用できる。
本発明の洗浄方法における洗浄温度は、特に制限は無いが、部材へのダメージ低減、良好な洗浄性、及びユーティリティコスト低減のいずれの条件をも満たすことが必要なことから、10〜50℃が好ましく、特に20〜30℃が好ましい。また、本発明の洗浄方法における洗浄時間は、部材への付着物の量、組成により適宜選択すればよいが、基材へのダメージ低減、作業効率向上の観点から、8時間を越えないことが好ましく、10分〜5時間が特に好ましい。
本発明の洗浄液組成物は、部材が半導体素子を製造する装置内で使用されるため、装置内に洗浄液組成物由来の不純物が残留することはできる限り避けなければならず、無機酸及び/又はカルボン酸を含む有機酸と、フッ化物、親水性有機溶媒及び水のみからなる溶液で充分である。
しかしながら、簡便な手法、例えば水洗浄により部材表面上からきれいに洗い流すことができる成分であり、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の洗浄液、各種の添加剤を配合することができる。他の洗浄液成分としては、炭化水素、ハイドロフルオロカーボンなどであり、添加剤としては、腐食防止剤、界面活性剤などが挙げられる。
腐食防止剤の例としては、特に限定するものではないが、リン酸系、カルボン酸系、アミン系、オキシム系、芳香族ヒドロキシ化合物、トリアゾール化合物、糖アルコール及びこれらの塩等が挙げられ、単独でも2種類以上適宜組み合わせて用いてもよい。界面活性剤の例としては、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性およびフッ素系界面活性剤等が挙げられ、単独でも2種類以上適宜組み合わせても用いることができる。
本発明によれば、半導体素子の製造工程で使用され汚染された、半導体製造装置用部材の洗浄方法が提供された。本発明では、無機酸及び/又はカルボン酸をを含む有機酸と、フッ化物、親水性有機溶媒及び水とを含んでなる洗浄液組成物を用いることで、酸、アルカリに弱く非常に腐食しやすく、従来、化学的な薬液による洗浄ができなかった、陽極酸化されたアルミニウム基材表面にセラミックスコーティングが施された半導体製造装置用部材に特にダメージを与えることなく、エッチング工程などで堆積したSiやレジストポリマーなどの付着物を除去することができる。
本発明の洗浄方法では、浸漬するだけで洗浄が行えるため超音波洗浄漕等の設置が必要なく、さらに、洗浄温度が20〜30℃と室温と同程度の温度であるため、設備投資及び、ユーティリティコスト低減が図れる。
また本発明では、低価格で入手可能な硝酸、クエン酸等の無機酸及び/又はカルボン酸を含む有機酸と、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム等のフッ化物、アセトン等の親水性有機溶媒及び水のみからなる洗浄液組成物で、十分な洗浄能力を有するため、コスト性に優れるということに加え、取り扱いに注意を要する過酸化水素水等を使用しないため、安全性や作業性に優れた半導体製造装置の洗浄方法である。
以下、本発明の洗浄方法を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表記を簡潔にするため、クエン酸を「CA」と表記した。
実施例1〜3、比較例1〜2
半導体素子の製造工程であるプラズマエッチング工程で使用する半導体製造装置から取り外した、表面が付着物に由来する元素としてAl及びFで汚染された、イットリアセラミックスにより厚さ200μmのコーティングが施された陽極酸化されたアルミニウム基材からなるプロセスチャンバーを長さ30mm、幅14mm、厚さ12mmに裁断し、試験片とした。この試験片を表1に示す液組成に調製した各洗浄液組成物に浸漬し、25℃で1時間保持した後、試験片を取り出し、これを水洗いし、乾燥した。EPMA(X線マイクロアナライザー)による定量分析にて付着物の除去状態を、表面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察により基材表面のダメージを調べた。なお、EPMAは堀場製作所社製、商品名「EMAX5770W」、SEMは日本電子社製、商品名「JSM T220A」を用いた。尚、洗浄前のEPMAによる定量分析でのAlの含有量は0.9重量%であり、堆積物の除去状態は以下の様に評価した。
○ : EPMAによりAlが0.1重量%未満検出された、もしくは検出されなかった。
× : EPMAによりAlが0.1重量%以上、0.9重量%未満検出された。
また、基材表面のダメージについてはSEM観察で以下の様に評価した。
○ : 陽極酸化されたアルミニウム部分、イットリアセラミックスによりコーティングが施された部分共に、未使用品と比較し変化なし。
× : 陽極酸化されたアルミニウム部分、イットリアセラミックスによりコーティングが施された部分共に粗れ、欠損、腐食が発生。
Figure 0004952257
比較例3
実施例1〜6で用いた試験片と同様のものを、80℃に過熱した31%過酸化水素水に30分間、浸漬した。その結果、陽極酸化されたアルミニウム部分、イットリアセラミックスによりコーティングが施された部分共にダメージはなかったが、付着物が除去できなかった。

Claims (3)

  1. 硝酸が0.1〜20重量%、フッ化物が0.01〜5重量%、水が0.01〜20重量%で、残部がイソプロピルアルコール又はアセトンであることを特徴とする半導体製造装置用部材の洗浄用組成物。
  2. 半導体製造装置用の部材が、陽極酸化されたアルミニウム表面にセラミックスコーティングが施されたものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造装置用部材の洗浄用組成物。
  3. 半導体製造装置用部材の表面に、半導体素子の製造に起因する汚染物が付着した部材を、請求項1又は2に記載の半導体製造装置用部材の洗浄用組成物と接触させることにより、当該部材を洗浄することを特徴とする半導体製造装置用部材の洗浄方法。
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