JP4948843B2 - Cadデータ同一性保証サーバ装置、cadデータ同一性保証方法 - Google Patents
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Description
近年、電子データとしての発注図面を発注者から受注者に受け渡し、それを受注者側で工事や作業に必要な図面に加工することが多い。また、契約行為を電子的に代替しようとする動きがあり、この場合、電子データが原本として管理される必要がある。
本発明は上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は図面についての電子データの同一性確認を効率良く行うことのできるCADデータ同一性保証サーバ装置、CADデータ同一性保証方法を提供することである。
前記比較手段は、前記配列aおよび前記配列bにそれぞれ格納されているデータについて要素同士の比較を順次行い、この比較の結果、全ての要素同士が1対1に対応した場合に、前記原本データと前記比較対象データとが同一であると判定することを特徴とする。図面要素同士を逐次比較することにより、データの内容的な同一性を確認することができる。ここで、比較手段によって比較されるデータについては、共通の形式に変換された変換後データをデータ取得手段によって取得した場合と、データ取得手段による取得後に共通の形式に変換した変換後データである場合とがあり、いずれの場合であるかを問わない。
また、原本との同一性を確認できる発注者から入力されたCADデータを原本データとし、タイムスタンプと共に保管しておき、これと比較対象データと比較することで原本との同一性を容易に確認できる。
さらに本発明では、上述した、内容的な同一性、原本との同一性のいずれの場合についても、その比較結果である同一性証明書を出力するので、この証明書と図面データをもって、紛争等における証拠能力を担保することができるという効果がある。
(システム全体の構成例)
図1は、本発明によるCADデータ同一性保証サーバ装置を用いて構成したCADデータ同一性保証システムの概要を示す図である。同図中のCADデータ同一性保証サーバ装置1は、発注者によって作成されたCADデータを原本データとして管理し、発注者、受注者がそれぞれ管理しているCADデータについて、原本データと相違無い旨を保証する、第三者認証機関として機能する。
図2は、本発明の実施の一形態によるCADデータ同一性保証サーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。同図において、CADデータ同一性保証サーバ装置1は、発注者側PCから入力されたCADデータをタイムスタンプと共に原本データとして保管する原本データ保管部11と、原本データと比較すべき比較対象データを取得するデータ取得部12と、このデータ取得部12によって取得されたデータと原本データ保管部11に保管されているデータとを比較する比較部13と、この比較部の比較結果を出力する出力部14と、入力されたCADデータを、原本データと比較可能な共通形式のデータに変換するデータ形式変換部15と、このデータ形式変換部15によって変換された変換後データを、パラメータと共にそれぞれ別々の配列に格納する格納部16とを含んで構成されている。
このような機能構成のサーバ装置を用いれば、共通形式のデータに変換後、原本データと比較することにより、元のCADデータのファイル形式を問わず同一性を確認することができる。
通信部102は、本サーバ装置をインターネットなどのネットワークに接続するための装置であって、モデム、ターミナルアダプタ、その他の接続装置によって構成されている。そのため、他のコンピュータに格納されているCADデータを通信部102を介して受信し、これに対して同一性を検証することもできる。
印刷部104は、例えば、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、熱転写プリンタ、ドットプリンタなどの各種プリンタ装置によって構成されている。
制御部106は、所定のプログラムに従って、情報処理や本装置全体の制御を行ったりする。制御部106は、レジスタと呼ばれる記憶部を有しており、このレジスタにメモリ105などからプログラムを読み込んで、このプログラムに従って動作することにより制御部106の各種機能が発揮される。
図4及び図5を参照して、本サーバ装置を用いて構成したシステムの実運用例について説明する。両図には、発注者側PC2、受注者側PC3による、CADデータ同一性保証サーバ装置1との間のデータ授受の様子等が示されている。
図4には、契約時、及び、設計中・工事中におけるデータ授受の様子等が示されている。最初に、発注者側PC2において、契約書に基づいて作成された発注データが登録され、その発注データがサーバ装置1に送信される(ステップSS1)。この発注データは、例えば、「○○0.sfc」である。
受注者側PC3では、発注データに基づき、その工事に必要な図面が作成される(ステップSS4)。ここでは、CADソフトによって新たな図面が作成される。例えば、工事現場側からの提案により、必要な柱を追加した図面が作成される。ここで、作成された図面のデータは、例えば、「○○1.aaa」である。この作成された図面のデータは、サーバ装置1に登録するため、受注者側PC3から送信される(ステップSS5)。
その後、登録されたデータ「○○1.sfc」は、サーバ装置1から発注者側PC2に送信され、発注者側PC2において受信され、閲覧される(ステップSS8)。その後、発注者側PC2において、発注データについての修正が行われる(ステップSS9)。この修正は、サーバ装置1から受信したデータ「○○1.sfc」に基づいて行われる。修正後のデータは、例えば、「○○2.bbb」である。
発注者側PC2から送信されたデータ「○○2.bbb」は、サーバ装置1によって受信され、共通の形式に変換された後(ステップSS11)、タイムスタンプが付されて原本として原本データ保管部11(図2参照)に登録される(ステップSS12)。この変換されて登録されるデータは、例えば、「○○2.sfc」である。
以後、受注者側において、図面が作成された場合、上記のステップSS4からSS13までの処理が繰返し行われることになる。
工事が終了し、不動産や動産が完成した場合、受注者側PCにおいて、CADソフトによって完成図面が作成される(ステップSS21)。ここで、作成された図面のデータは、例えば、「○○3.aaa」である。この作成された図面のデータは、サーバ装置1に登録するため、受注者側PC3から送信される(ステップSS22)。
ここで、上述した比較部13による比較処理の例について、より詳細に説明する。本例では、p21形式で出力されたCADデータ(以下p21データ)とsfc形式で出力されたデータ(以下sfcデータ)が同一の設計図面を表したものか否かを以下の手法により検証する。
CADデータは、仮想的な用紙、レイヤ、点マーカ、線分、円、シンボル、寸法線といった、図面要素を表す図面要素データを用いて構成されている。これら図面要素データには、図面要素が設計図面においてどのように表現されているかを規定するパラメータ(例えば、線分であれば、始点終点の座標値、線の太さ・色、配置されているレイヤなど)が付属している。さらに、そのデータに関連する属性情報要素がCADデータに含まれている場合もある。この属性情報要素は、例えば、土工量情報、鉄筋数量情報、材質情報、型番情報などである。このCADデータに付加される属性情報要素は、例えば、周知のXML(eXtensible Markup Language)ファイル形式によって作成される。この属性情報要素についても、上述と同様に、要素同士の比較処理が行われ、この比較処理の結果が上述と同様に送信される。この比較結果を受信し、内容データを閲覧することで、責任関係を把握できる。
更に対応付けは、まず、配列aの要素をソートしておき、配列aの各要素に配列bの要素を対応付ける。そして、配列aの要素に複数の配列bの要素が対応している場合、配列aの要素と配列bの要素の組み合わせを更新しながら、配列aの要素と配列bの要素が1対1に対応するような配列aの要素と配列bの要素の組み合わせを探索する。
ここで、CADデータの構成について説明する。このCADデータの構成は、CADデータのファイル形式に関わらず同じである。
また、本実施の形態では、CADデータのファイル形式として、p21形式とsfc形式を用いて説明する。なお、これは、CADデータのファイル形式を、p21形式とsfc形式に限定するものではなく、他の形式のファイル形式に対して適用することもできる。
CADでは、仮想上の用紙の上に、点マーカ、線分、円、寸法線、などを配置していくことにより設計図面を描く。この仮想的な用紙10には、座標系19が設定してあり、この用紙10上に図形を描くことにより、座標空間中に図形を配置することができる。
また、この仮想の用紙10はレイヤと呼ばれる複数の層(レイヤ11a、11b、11c…)から構成されており、ユーザは、レイヤを選択して、そのレイヤ上に設計図面を描くことができる。
このように、CADデータは、仮想上の用紙、レイヤといった図面構造を表す図面要素や、点マーカ、線分といった幾何学的な形状や表記を表す図面要素、及びシンボル、記号といった構造化された(例えば、バルーンは円、矢線、円中のテキストデータが構造化されて構成されている)図面要素から構成されている。
そして、本実施の形態のCADデータは、次に説明するフィーチャという概念を用いてこれら図面要素を管理している。
フィーチャは、図面要素の管理単位である。フィーチャは、フィーチャ名を持つと共に、設計図面上で図面要素の表現を特定するパラメータが付属している。
例えば、線分を表す図面要素は線分フィーチャと呼ばれ、線分が描かれているレイヤ、線分の始点終点の座標値、線種、線幅などの、設計図面におけるその線分の表現を特定するパラメータが付属している。
パラメータの種類は、例えば、線分フィーチャであれば始点終点の座標値、…、円フィーチャであれば中心点の座標値、…などと、フィーチャごとに設定されている。
フィーチャは大きく分類して、図面構造フィーチャ群、幾何表記要素フィーチャ群、構造化要素フィーチャ群の3種類に区分される。
図面構造フィーチャ群は、CADデータを構成する上で基本となる情報を規定するフィーチャから構成されている。図面構造フィーチャ群は、用紙フィーチャ、レイヤフィーチャ、既定義線種フィーチャ、ユーザ定義線種フィーチャ、既定義色フィーチャ、ユーザ定義色フィーチャ、線幅フィーチャ、文字フォントフィーチャなどから構成されている。
レイヤフィーチャは、後述する幾何表記要素、構造化要素から参照されるテーブル要素であって、各レイヤを特定するレイヤコードと、そのレイヤの名称、表示・表示状態などが対応付けられている。レイヤフィーチャは、パラメータとしてレイヤ名や、レイヤの表示・非表示状態を示すフラグなどを持つ。レイヤフィーチャを参照することにより、各レイヤのレイヤ名や状態を特定することができる。
既定義色フィーチャは、既定義色コードとで予め設定された色を対応付けており、既定義色コードを指定すると色を特定することができる。色はパラメータで表されている。
線幅フィーチャは線幅コードと線幅を対応付けており、線幅コードを指定すると線幅を特定することができる。線幅は、パラメータで表されている。
幾何表記要素フィーチャ群は、基本的な幾何図形などを表現するフィーチャから構成されている。幾何表記要素フィーチャ群を構成するフィーチャとしては、例えば、点マーカフィーチャ、線分フィーチャ、折れ線フィーチャ、円フィーチャ、円弧フィーチャ、楕円フィーチャ、楕円弧フィーチャ、文字フィーチャ、スプラインフィーチャなどがある。
図8(a)は、点マーカフィーチャのデータ構成を示した図である。なお、点マーカとは、座標位置をディスプレイ上に表示するために便宜的に図面上に打たれる点である。ディスプレイ上には表示されるが印刷はされない。例えば、ユーザが円を描き、作図の都合上、円の中心点の位置を表示しておきたい場合は、円の中心位置に点マーカを配置する。
仮想的な用紙上に配置された各マーカ点は、図に示したように、レイヤコード、色コード、配置点X座標、配置点Y座標、マーカコード、回転角、尺度などのパラメータにより特定される。
色コードは、この点マーカの色を特定するコードであり、このコードを既定義色フィーチャ、又はユーザ定義色フィーチャで参照することにより、この点マーカの色を特定することができる。
マーカコードは、マーカの形状を特定するコードであり、例えば、コード1はアスタリスク型、コード2は円型、コード3はドットなどと予めテーブルが用意されている。
回転角、尺度は、それぞれ点マーカが配置されている回転角、尺度を表している。
データ1、データ2、…の各データは、それぞれ図面上に表示される点マーカに対応し、それぞれが図面要素データを構成している。
線分フィーチャは、設計図面上に配置された線分に対応する。仮想的な用紙上に配置された線分フィーチャには、レイヤコード、色コード、線種コード、線幅コード、始点X座標、始点Y座標、終点X座標、終点Y座標などのパラメータが設定され、これらのパラメータにより各線分フィーチャの属性(レイヤ、位置、形状、色など設計図面上での表現)が特定される。
色コードは、この線分フィーチャの色を特定するコードであり、既定義色フィーチャ、又はユーザ定義色フィーチャで規定されている。
線種コードは、線分フィーチャの線種(実線、点線、…)を特定するコードであり、既定義線種フィーチャ、又はユーザ定義線種フィーチャで規定されている。
始点X座標、始点Y座標は、線分の始点のXY座標値であり、終点X座標、終点Y座標は、線分の終点のXY座標値である。
このように、CADデータに含まれる各線分フィーチャ(データ1、データ2、…)には、それぞれパラメータが設定されており、これらパラメータによって各線分フィーチャの属性(レイヤ、位置、形状、色など設計図面上での表現)が特定されるようになっている。同様に、幾何表記フィーチャ群を構成する他の各フィーチャもパラメータにより属性(レイヤ、位置、形状、色など設計図面上での表現)が特定されるようになっている。
構造化要素フィーチャ群を構成するフィーチャには、複合図形定義フィーチャ、複合図形配置フィーチャ、既定義シンボルフィーチャ、直線寸法フィーチャ、角度寸法フィーチャ、半径寸法フィーチャ、直径寸法フィーチャ、引出し線フィーチャ、バルーンフィーチャ、ハッチング(既定義)フィーチャ、ハッチング(塗り)フィーチャ、ハッチング(ユーザ定義)フィーチャ、ハッチング(パターン)フィーチャ、複合曲線定義フィーチャなどがある。
複合図形配置フィーチャは、複合図形を配置する位置などを特定するための要素である。複合図形配置フィーチャは、パラメータとしてレイヤコード、複合図形名、XY座標値、回転角、X方向縮尺、Y方向縮尺などを持つ。
直線寸法フィーチャ、角度寸法フィーチャ、半径寸法フィーチャ、直径寸法フィーチャ、引出し線フィーチャは、CADデータ中の各寸法線や引出し線を表すフィーチャであり、各フィーチャに設定されたパラメータによりレイヤや配置位置、表示寸法値などが規定される。バルーンフィーチャは、CADデータ中のバルーンを表すフィーチャであり、パラメータによりレイヤ、配置位置などが規定される。
複合曲線定義フィーチャは、複数の線分や円弧などで構成された曲線を1つの要素として表したものである。これもパラメータにより一義的に規定される。
上述したように、CADデータを構成する各フィーチャにより設計図面が規定されるため、p21データを構成するフィーチャとsfcデータを構成するフィーチャが1対1に対応した場合、両データから同じ設計図が再現できるので、両データは同一であると言えるのである。
また、データ形式変換部15は、選択されたCADデータファイルの拡張子により、選択されたファイルのファイル形式を把握する。そして、そのCADデータをsfc形式又はp21形式に変換する。そして、変換後のデータは、格納部16に格納される。
対応付けは、フィーチャの種類ごとに行う。即ち、まず用紙フィーチャに関して配列a、bを比較し、一致したら次のフィーチャについて配列a、bを比較する。これを全ての配列a、bについて行う。
比較の結果、一致しない要素があった場合、その時点で比較処理を終了し、sfcデータとp21データは同一でないと判断する。
配列a、bの要素の一致を判断する基準は、フィーチャごとに設定されている。例えば、点マーカフィーチャには7種類のパラメータが存在するが、これら全てのパラメータが一致した場合に配列a、bの要素が一致したと判断する。
また、線分フィーチャには8種類のパラメータが存在するが、これら全てのパラメータが一致した場合に、配列a、bの要素が一致したと判断する。
そのため、配列aのある要素に配列bの要素が対応する場合がでてくるが、この場合を処理するアルゴリズムについては後述する。
結果出力部30は、比較部13の比較結果を用いて、sfcデータとp21データが同一であるか否かの判断結果を出力する。
図9は、フィーチャを配列に格納する手順を説明するための図である。
sfcデータ35は、例えば家屋などの設計図面を構成するCADデータであり、表37に示したような各フィーチャから構成されている。格納部16は、sfcデータ35を構成する各フィーチャを配列aに格納する。
配列aの各要素には、フィーチャを特定する情報とそのフィーチャに設定されたパラメータが格納される。なお、マッチングは、パラメータの一部か全部を用いて行うので、マッチングに必要なパラメータだけ配列a、bに格納してもよい。
同様に、p21データ40も表42に示したような各フィーチャから構成されている。格納部16は、sfcデータ35と同様にして、p21データ40を構成する各フィーチャを配列bに代入する。
また、パラメータの構成は、フィーチャの種類ごとに異なるので、これらフィーチャの種類ごとに配列a、bの要素の型を定義しておいてもよい。
この場合、配列a、bとしてフィーチャの種類をクラスとする構造体を定義することになる。
まず、格納部16は、配列aの要素をソートする。ソートの方法は、例えば点マーカフィーチャの場合は、X座標の小さい順にソートするなどとフィーチャごとに決められている。また、円フィーチャの場合は中心の座標、線分フィーチャの場合は始点の座標を用いるなどしてソートすることができる。
なお、図10では、配列aの要素を区別するために、各要素をa(0)、a(1)、…などと表し、升目の中にその数字が記されている。配列bの要素に関しても同様である。
適合配列50では、a(0)に対してb(0)がマッチし、a(1)に対してはb(1)、b(2)が対応している。以下同様である。
まず、a(0)にマッチするものはb(0)だけであるので、比較部13では、a(0)はb(0)に対応するものとして仮確定し、仮確定配列55を生成する。
仮確定配列55では、a(0)にb(0)が対応しているが、他の配列aの要素に対しては、対応する配列bの要素が未確定となっている。
ここで、配列a、bの要素を仮に1対1に組み合わせた組み合わせを仮確定配列と呼ぶことにする。仮確定配列は、後の更新処理により、組み合わせを解除される場合がある。
次に、比較部13は、a(2)に対応する配列bの要素を確定する。適合配列50で、a(2)にマッチしている配列bの要素はb(1)のみであるので、比較部13は、a(2)に対してb(1)を仮確定し、仮確定配列56を仮確定配列57に更新する。
適合配列50で、a(1)に対応しているものは、b(1)の他にb(2)があるので、比較部13は、a(1)に対してb(2)を対応付ける。このようにして比較部13は、仮確定配列57を仮確定配列58に更新する。
次に、比較部13は、a(3)にb(2)を対応付けるが、b(2)は既にa(1)に対応付けられているので、b(2)の仮確定を解消し、b(4)を仮確定する。そして、仮確定配列60が得られる。
以上の手順により、配列a、bの要素を1対1に対応させる組み合わせを総当たり的に探索することにより、そのフィーチャに関してCADデータが一致するか否かを検証することができる。
図11は、本装置が行うマッチング処理手順を示したフローチャートである。
まずデータ形式変換部15でsfc形式のファイルを読み込む(ステップS5)。次に、このsfc形式のファイルからsfcデータを読み込み、フィーチャを配列aに格納する(ステップS10)。
次に、比較部13がフィーチャをカウントするためのカウンタkを0に初期化する(ステップS25)。
次に、比較部13がk番目のフィーチャに対して配列a、bの要素をマッチング処理する(ステップS30)。この処理の手順は後に示す。
なお、k番目のフィーチャに対応する配列a、bが存在しない場合は(例えば、楕円フィーチャを用いないで作成されたCADデータには、楕円フィーチャに対応する配列a、bは存在しない)、配列a、bの要素がマッチしたものとして処理する。
配列a、bの要素が1対1にマッチした場合は(ステップS35;Y)、kに1をインクリメントする(ステップS40)。次に、比較部13は、kがM未満か否かを判断する(ステップS45)。ここで、Mは全てのフィーチャの数である。
この処理は、適合配列(図10)から確定配列を探索する作業である。
まず、比較部13は、配列a、bの要素の数を確認する(ステップS105)。配列の要素の数が同じでない場合(ステップS110;N)、配列a、bの要素は1対1に対応しないので、比較部13は不適合(一致しない)と判断し(ステップS145)、ステップS30(図11)にリターンする。
次に、比較部13は、配列aの全ての要素に、配列bの要素が少なくとも1つは対応付けられているか確認する(ステップS120)。配列bの要素が1つも対応付けられていない配列aの要素があった場合(ステップS120;N)、配列a、bの要素を1対1に対応付けることはできないので、比較部13は、不適合と判断し(ステップS145)、ステップS30(図11)にリターンする。
配列aの要素が1つも対応付けられていない配列bの要素があった場合(ステップS125;N)、比較部13は、不適合と判断し(ステップS145)、ステップS30にリターンする。
一方、配列a、bの要素が1対1に対応付けられなかった場合(ステップS135;N)、不適合と判断し(ステップS145)、処理をステップS30にリターンする。
まず、比較部13は、カウンタiを0に初期化する。
次に、比較部13は、配列aの要素のうち、a(i)に関して、a(i)に対応付けられた配列bの要素のうち、未確定のもの(即ち仮確定されていないもの)があるか確認する(ステップS210)。
配列bの要素のうち、未確定のものがあった場合(ステップS210;Y)、その中から配列bの要素を選択して仮確定し、この配列bの要素をa(i)に対応付ける(ステップS215)。
次に、比較部13は、iがNより大きいか判断する(ステップS230)。ここで、Nは、配列a及び配列bの要素の個数である。iがNより大きくない場合(iがN以下の場合)は(ステップS230;N)、まだ配列bの要素が対応付けられていない配列aの要素があるので、比較部13は、処理をステップS210に戻す。iがNより大きい場合(ステップS230;Y)、配列aの全ての要素に対して配列bの要素が対応付けられたので、比較部13は、マッチング成功と判断し(ステップS235)、処理をステップS130(図12)にリターンする。
そして、比較部13は、iが負か否か(より詳細にはiから1を減算した結果−1になったか否か)を確認する(ステップS250)。iが負であった場合(ステップS250;Y)、比較部13は、マッチング不成功と判断し(ステップS260)、処理をステップS130(図12)にリターンする。iが負でない場合(ステップS250;N)、比較部13は、a(i)にマッチした配列bの要素のうち、一度も仮確定したことの無いものがあるか否かを確認する(ステップS225)。一度も仮確定したことの無いものがある場合(ステップS255;Y)、比較部13は、処理をステップS215に戻し、その中から配列bの要素を選択して仮確定する。
以上に、sfcデータとp21データの同一性の判断手順について説明したが、これは一例であって種々の変形が可能である。
また、本実施の形態では、フィーチャを配列に格納して、配列の要素単位でマッチングしたが、マッチングするためにはフィーチャのパラメータを比較することができればよく、必ずしも配列を使用する必要は無い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、本実施の形態では、CADデータのファイル形式としてp21形式、sfc形式を用いるが、これはファイル形式を限定するものではなく、例えば、A社のCADソフトが採用しているファイル形式とB社のCADソフトが採用しているファイル形式といったように、異なるファイル形式に係るCADデータ間の比較を行うことができる。すなわち、ファイル形式に関わらず、図面要素単位でパラメータが比較できれば本装置で同一性を検証することができる。
さらにまた、以上は、二次元図面データについて説明したが、三次元図面データについても同様に適用できることは明白である。すなわち、三次元図面データについても共通のデータ形式に変換し、図面要素同士を逐次比較することにより、CAD図面データ同士の内容的な同一性を確認することができる。
ところで、CADデータについての修正履歴を記憶しておき、その修正履歴記憶内容をもプリントアウト出力等するようにしてもよい。例えば、発注データについての修正が行われた場合に、その修正前と修正後との差分内容を修正履歴とし、これを例えばデータベースに記憶しておく。つまり、図14に示されているように、データベース101に、修正元データ101aと、それに対する修正内容である修正履歴データ101bとを、記憶しておく。そして、修正が行われる都度、修正履歴データ101bが順次蓄積される。この場合、受注者が修正元データに修正を加えることにより、発注者への納品用データが作成される。納品用データをサーバ装置から発注者側PCに送信する際には、先述した保証書の他に、修正履歴データも送信される。
上述したCADデータ同一性保証サーバ装置を用いたCADデータ同一性保証システムによって実現される、CADデータ同一性保証方法について、図15のフローチャートを参照して説明する。
上記システムによって実現されるCADデータ同一性保証方法は、図面を構成する図面要素とその図面要素が上記図面においてどのように表現されているかを規定するパラメータとから構成されるCADデータの同一性を保証するCADデータ同一性保証方法であり、発注者から入力されたCADデータをタイムスタンプと共に原本データとして保管する原本データ保管ステップ(ステップS301)と、上記原本データと比較すべき比較対象データを取得するデータ取得ステップ(ステップS302)と、上記データ取得ステップによって取得されたデータと上記原本データ保管ステップにおいて保管されたデータとを比較する比較ステップ(ステップS303)と、上記比較ステップの比較結果を出力する出力ステップ(ステップS304)とを含んでいる。
このような方法によれば、共通形式のデータに変換後、原本データと比較することにより、元のCADデータのファイル形式を問わずデータの内容的な同一性を確認することができる。
本発明のCADデータ同一性保証サーバ装置、CADデータ同一性保証方法を利用することによって、以下の効果が得られる。すなわち、共通形式のデータに変換後、原本データと比較することにより、元のCADデータのファイル形式を問わず同一性を確認することができる。また、原本との同一性を確認できる設計や施工の発注者から入力されたCADデータを原本データとし、タイムスタンプと共に保管しておき、これと比較対象データと比較することで原本との同一性を容易に確認でき、その比較結果である同一性証明書と共に図面データをプリントアウト出力等することによって、紛争等における証拠能力を担保することができる。
2 発注者側PC
3 受注者側PC
11 原本データ保管部
12 データ取得部
13 比較部
14 出力部
15 データ形式変換部
16 格納部
100 ネットワーク
101 データベース
102 通信部
103 表示部
104 印刷部
105 メモリ
106 制御部
107 入力部
Claims (7)
- 図面を構成する図面要素とその図面要素が前記図面においてどのように表現されているかを規定するパラメータとから構成されるCADデータの同一性を保証する同一性保証サーバ装置であって、発注者および受注者それぞれから複数の時点において入力されるCADデータをタイムスタンプと共に、各時点での原本データとしてそれぞれ保管する原本データ保管手段と、前記原本データと比較すべき比較対象データを取得するデータ取得手段と、前記データ取得手段によって取得されたデータと前記原本データ保管手段に保管されている前記各時点での原本データとをそれぞれ比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果を出力する出力手段とを含むことを特徴とするCADデータ同一性保証サーバ装置。
- 前記原本データであるCADデータを配列aに、前記比較対象データを配列bに、前記パラメータと共にそれぞれ格納する格納手段を更に含み、
前記比較手段は、前記配列aおよび前記配列bにそれぞれ格納されているデータについて要素同士の比較を順次行い、この比較の結果、全ての要素同士が1対1に対応した場合に、前記原本データと前記比較対象データとが同一であると判定することを特徴とする請求項1記載のCADデータ同一性保証サーバ装置。 - 前記入力されたCADデータを、前記原本データと比較可能な共通形式のデータに変換するデータ形式変換手段を更に含み、前記データ形式変換手段による変換後のデータについて前記比較手段による比較を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のCADデータ同一性保証サーバ装置。
- 前記データ形式変換手段は、前記入力されたCADデータをSXF変換し、このSXF変換によって得られるp21形式のデータ及びsfc形式のデータのいずれか一方を共通形式のデータとすることを特徴とする請求項3記載のCADデータ同一性保証サーバ装置。
- 前記CADデータについての修正履歴を記憶する修正履歴記憶手段を更に含み、前記出力手段は前記修正履歴記憶手段の記憶内容をも出力することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のCADデータ同一性保証サーバ装置。
- 前記修正履歴は、少なくとも、前記CADデータについての修正内容と、そのタイムスタンプと、その修正を行った者を特定するための修正者情報とを含むことを特徴とする請求項5記載のCADデータ同一性保証サーバ装置。
- 原本データを保管する原本データ保管部と、前記原本データと比較すべき比較対象データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータと原本データとの比較を行う比較部と、前記比較部の比較結果を出力する出力部とを含むCADデータ同一性保証サーバ装置において実現され、図面を構成する図面要素とその図面要素が前記図面においてどのように表現されているかを規定するパラメータとから構成されるCADデータの同一性を保証するCADデータ同一性保証方法であって、前記原本データ保管部が、発注者および受注者それぞれから複数の時点において入力されるCADデータをタイムスタンプと共に、各時点での原本データとしてそれぞれ保管する原本データ保管ステップと、前記データ取得部が、前記原本データと比較すべき比較対象データを取得するデータ取得ステップと、前記比較部が、前記データ取得ステップによって取得されたデータと前記原本データ保管ステップにおいて各時点での原本データとして保管されたデータとをそれぞれ比較する比較ステップと、前記出力部が、前記比較ステップの比較結果を出力する出力ステップとを含むことを特徴とするCADデータ同一性保証方法。
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