JP4948240B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Description
この種の冷凍サイクル装置では、一つの圧縮機油溜めに設けられた排油栓から他の一つの圧縮機の吸入配管へ返油管を接続し、特有の制御や油面検知手段を持たない簡単な回路構成で余剰の油を他の圧縮機に供給することで、圧縮機の油枯渇を解消する冷凍サイクル装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路図である。この冷凍サイクル装置は、ビル等の空調等に適用されるマルチ型の冷凍システムを示しており、冷媒回路中に、1台の室外機20と、これに並列に接続される複数台の室内機30a、30bとを備える構成となっている。すなわち、複数台の室内機30a、30bは、1台の室外機20に対し、液主管28とこれが分岐した液枝管29x、29y、及び、ガス主管35とこれが分岐したガス枝管34x、34yで接続され閉回路の冷媒回路を構成している。室外機20内では、圧縮装置23、共通の吐出配管10、オイルセパレータ24、四方弁25、室外熱交換器26を有し、これらが順に接続され、液主管28、液枝管29x、29yを介して室内機30a、30bの各一端に接続される。室内機30a、30b内では減圧装置33x、33y、室内熱交換器31x、31yを有し、それぞれ順に接続され、室内機30a、30bの各他端がガス枝管34x、34y、ガス主管35を介して室外機20に接続される。さらに室外機20内では、四方弁25、アキュームレータ36、共通の吸入配管11を有し、これらが順に接続されて、圧縮装置23に至る。また、オイルセパレータ24の下部と共通の吸入管11が返油配管38を介して接続され、返油配管38の中途に後述する第5の絞り機構37を有する。
圧縮機1はシェル54を有し、シェル内空間55と圧縮機1の外部を区画する。吸入配管4はシェル54を貫通し、圧縮機構50に接続される。吐出配管2と排油栓6はシェル内空間55に開口して接続する。ステータ52はシェル54に直接あるいは間接的に固着される。駆動軸51は図示しない軸受け支えで回転可能に支持され、圧縮機構50に動力伝達可能に接続される。ロータ53x、第1バランサ53y、第2バランサ53zからなる攪拌要素53は駆動軸51に固着されている。排油栓6の開口する位置は攪拌要素53の下端位置56よりも低く、最低必要油量の油面高さ57より高い。なお、最低必要油量は圧縮機内部での給油が成立し信頼性を保障する最低の油量であり、圧縮機油溜め部にある図示しない油経路の吸込み口の位置により決まる。
圧縮装置23より吐出された高温高圧のガス冷媒と油は、共通の吐出配管10を通りオイルセパレータ24に至る。ここで冷媒中に存在する大部分の油を分離し、冷媒と分離しきれない一部の油は四方弁25に至る。オイルセパレータ24で分離した油については後述する。四方弁25は図中の実線のように接続され、室外熱交換器26に至る。ここで冷媒は熱交換され高圧・低温の液冷媒に変化する。次に室外機20を出て、主液管28、分岐して個々の液枝管29x、29yを通り室内機30a、30bに入る。減圧装置33x、33yを通り、ここで冷媒は減圧されて低圧・低乾き度に変化し、室内熱交換器31x、31yに至る。ここで冷媒は熱交換され低圧・高乾き度に変化する。室内機30a、30bを出てガス枝管34x、34y、集約されてガス主管35を通り室外機20に再び入る。次に四方弁25を実線通りに進み、アキュームレータ36に至る。アキュームレータ36の働きは液冷媒を溜めてガス冷媒を優先的に排出し、過渡的に液冷媒を溜めて圧縮機信頼性を高めることである。アキュームレータ36の別の働きは、実使用条件・実設置条件での必要冷媒量の変動幅をアキュームレータ36で吸収することである。油がアキュームレータ36に入ると冷媒と同様にアキュームレータ36内に滞留しようとする。アキュームレータ36内の下流側のU字管において、例えば相溶油ではU字管下部、非相溶油ではある程度の高さの位置に油を容器外へ吸い出すことを兼ねた穴を設けており、アキュームレータ36内に滞留する油を最低限に抑える。その後共通の吸入配管11を通り圧縮装置23へ戻り、圧縮されて高温高圧のガス冷媒と油が再び吐出される。
一般的に、運転負荷や室内機の運転台数が減少すると、一部の圧縮機を停止する場合がある。停止した圧縮機が圧力差により逆転することを逆止弁3a、3b、3cで防止する。例えば、圧縮機1aがインバータ機で容量可変であり、圧縮機1b、1cが一定速機であれば、圧縮機1aが停止中に圧縮機1bあるいは1cが運転されることはなく、通常では逆止弁3aが必要ない。しかし圧縮機1aが故障した場合や、故障しなくても対応する駆動用インバータや制御系の故障で圧縮機1aを運転できない場合のバックアップとして圧縮機1bや圧縮機1cを運転することを重視するなら、逆止弁3aが必要である。
油面高さに対して、吐出油量は攪拌要素の下端位置56の前後で変化率が大きく異なる。油面高さ<攪拌要素下端位置 の場合、油面高さが増加するにつれて吐出油量は若干増加するが、これは冷媒流れにより圧縮機外へ持ち出される油(58h、58f、58j)が増加し、圧縮機油溜めに至る油量(58i、58e)が減少することを意味する。シェル空間55中のガス冷媒が占める割合が低下することで冷媒流速が増加して冷媒流れによる油持ち出し効果か、駆動軸51に接した油に運動エネルギーが付加されることで油持ち出し効果によるものである。
油面高さ=攪拌要素下端位置 となる前後から油面高さが増加すると、吐出油量は顕著に増加する。これは攪拌要素53に接した油に運動エネルギーが付加されることで圧縮機外へ持ち出される油(58j)が増加するが、駆動軸51に比べて攪拌要素53の外径が大きく、付加される運動エネルギーが大きいためである。したがって、油量が増加するほど攪拌要素53に接して運動エネルギーを付加される油が増えるため、吐出油量は増加する。
油面高さ>排油栓位置 の場合、排油栓を油と一部の冷媒が通過する。冷媒は気泡として存在するガス冷媒か、もしくは油への溶解分であり、油と比較すると少ない。排油量は一定値であり、第1の絞り機構9a、9b、9cの流路抵抗が低いほど、また前後差圧が大きいほど絶対値が大きい。
油面高さ<排油栓位置 の場合、排油栓を冷媒と圧縮機内部でミスト状に存在する一部の油が通過する。前者の排油量と比較すると後者の排油量はほぼゼロの一定値である。
油面高さが排油栓位置近傍の場合、排油量は両者の間を連続的に変化する。
この場合は圧縮機内に過不足なく油が存在するため、圧縮機1a、1b、1cにおいてそれぞれ、排油栓位置≦圧縮機油面高さ≦攪拌要素の下端位置 である。貯油槽13内には十分な油が存在する。また第1の絞り機構9a、9b、9cと第2の絞り機構14内を流れるのは油がほとんどであり、油以外で流れる冷媒は油内に溶解する冷媒か、もしくは圧縮機油溜め5a、5b、5c内に存在する気泡として存在する冷媒であり、ほとんどないといってよい。排油栓6a、6b、6cから貯油槽13を介して共通の吸入配管11へ常時油が流れるため、排油量が大きいと冷凍サイクル装置の能力が低下するが、適度に第1の絞り機構9a、9b、9cと第2の絞り機構14の流路抵抗を設定することで能力低下を抑制することができる。第1の絞り機構9a、9b、9cと第2の絞り機構14の流路抵抗の関係により、貯油槽13の圧力を中間圧力とすると、中間圧力は圧縮装置23の吐出圧力よりも吸入圧力に近い値である。
貯油槽13より給油管15を介して共通の吸入配管11に至る油は、共通の吸入配管11の上流より流れる冷媒がガス冷媒の場合はせん断力により配管を環状に流れ、冷媒が液又は二相の場合は油が冷媒に溶解または混合することで流れる。いずれにしても共通の吸入配管11から吸入配管4a、4b、4cへ分岐する際、冷媒流量の分配にほぼ比例して油が分配されることが実機により判明している。圧縮機の吐出油量は大まかにいうと冷媒流量と相関があるので、共通の吸入配管11から冷媒流量に比例して油が分配されることは各圧縮機で油の収支が釣り合っているといえる。冷媒流量の分配に比例して油が分配されにくい条件としてガス冷媒が少量流れる場合があるが、低流量だと一般的に圧縮機1台が運転されている場合であり、そもそも分配を考慮する必要がない。
まず初めは、dQ>0であり、油面が上昇する。油面が上昇するに従い、吐出油量Qdisが増加するため、油収支dQは0に漸近する。初期の吸入油量Qsucと排油量Qdraによっては油面が圧縮機1aの攪拌要素の下端56aをオーバーシュートする場合もあるかもしれないが、図5に示すように油面が攪拌要素の下端位置56a近傍で吐出油量Qdisが急激に増加するため、圧縮機1aの油面が攪拌要素の下端位置56aより高い位置で安定することはない。
実際には圧縮機1aの油面が上昇する前と攪拌要素の下端位置56aで安定した後での状態変化により、吐出油量の増加分は第1の経路60や第2の経路61を経て各圧縮機の吸入油量増加分の総和と等しくなるように分配される。しかし吸入油量の内、第3の経路61を経由する給油量は状態変化によらず一定であるため、状態変化前後での各圧縮機の吸入油量の変化率は圧縮機1aの吐出油量の変化率より小さく、安定後の油面位置への影響は小さい。
まず、時間Aに至るまでの間は、Qdis、Qsuc、Qdraは一定でdQ<0であるので、油面が単調に低下する。第1の絞り機構9a、9b、9cでの圧力損失は第2の絞り機構14での圧力損失より大きく、貯油槽13の圧力である中間圧力は圧縮機吸入圧力寄りで低い。時間Aになると油面が排油栓6aが開口する位置となり、第1の絞り機構9aを主に冷媒が通過するため、排油量Qdraがほぼゼロになり油収支dQが増加する。また第1の絞り機構9aでの圧力損失が低減し、中間圧力は上昇して吐出圧力側に増加するため、貯油槽13から共通の吸入配管11へ移動する油量が増加し、吸入油量Qsucが増加する。第1の絞り機構9aと第2の絞り機構14の流路抵抗の設定により、高低圧差が低い場合でも第2の絞り機構14の前後の差圧を確保することができるので、給油量の増加量を十分確保することができる。貯油槽13に油量が十分存在するので、吸入油量Qsucの増加量は大きい一定値であり、dQ>0とすることができる。またこのとき貯油槽13内の油量が低下し冷媒が入り込むが、第3の絞り機構16と第1の絞り機構9aの流路抵抗の設定より、中間圧力が吐出圧力側で高く、貯油槽13から共通の吸入配管11への給油量は確保される。
油面が排油栓6aの位置になる時間Aから吸入油量Qsucが増加する時間Bはある程度の時間の遅れがあり油面が上昇する。その後、時間Cで圧縮機油面が排油栓6aの開口位置まで上昇する。
以後同様の動作を繰り返すが、圧縮機油面は排油栓6aの開口する位置の近傍にある。実際は油面位置の変化に伴い、油面が排油栓6aの開口する位置より低い場合は吐出油量Qdisが減少し、高い場合は逆に増加するため、排油栓6aの開口する位置近傍での油面位置の変動の幅は次第に減少し、油面位置の変動の周期は次第に長くなる。そのため油面は排油栓6aの開口する位置に収束するように変化する。排油栓6aの開口する位置より一時的に油面が低下する場合があるが、第3の経路62を通り圧縮機1aへ給油される経路は実質上短くでき、排油栓6aの開口する位置を最低必要油量の油面高さより裕度を持たせて高く設定すれば、最低必要油量を下回ることなく圧縮機信頼性が保たれる。初期の吐出油量Qdis等の値によっては図8の経時変化と多少の違いはあっても、油面は排油栓6aの開口する位置近傍で安定する。例えば1回目の経時変化後に油面が排油栓6aの開口する位置近傍で安定する場合もある。
また圧縮機1aの油面が低下する前と排油栓6aの位置で安定した後では、貯油槽13から圧縮機1aへ油が給油されるのと同時に、圧縮機1b、1cへ供給される。そのため圧縮機1b、1cの油面高さが望ましい状態の位置より上昇する。しかし(ケース2)の場合が適用でき、圧縮機1b、1cのそれぞれの攪拌要素の下端位置56b、56cの近傍より高い位置で安定することはない。
また第1の絞り機構9b、9cの並列接続を一つの絞り機構とみなしたときの流路抵抗は、3つの第1の絞り機構9a、9b、9cの並列接続を一つの絞り機構とみなしたときの流路抵抗より大きいため、第2の絞り機構14の流路抵抗より大きい。貯油槽13の圧力である中間圧力は圧縮機1aの運転の有無にかかわらず圧縮機吸入圧力側の低い圧力であり、圧縮機1b、1cの油面を望ましい状態に保つことができる。
なお、3台の圧縮機が同時に起動する場合の油面低下が最も顕著であるが、一般的に一定の時間間隔を設けて圧縮機を順に起動させることが一般的であるので、一台分の圧縮機起動で油量を確保できればよい。
仮に圧縮機1a、1b、1cの油面がすべて攪拌要素の下端位置56a、56b、56cを超える状態があるとすれば、単純に冷凍サイクル装置に対する全体の油量が過剰であるためであり、油量を適度に減らすかアキュームレータ36内に油を適度に貯める仕様にする必要がある。
逆に圧縮機1a、1b、1cの油面がすべて排油栓6a、6b、6cより低い状態があるとすれば、単純に冷凍サイクル装置に対する全体の油量が不足するためであり、油量を適度に増やすかオイルセパレータ24の分離効率を上げるなどの仕様にする必要がある。またこの場合は排油栓6a、6b、6cから貯油槽13を介して共通の吸入配管11へ至る経路が全てガス冷媒が通過するため、圧縮機1a、1b、1cの吸入ガス温度や吐出ガス温度が上昇するので、冷凍サイクル装置に一般的に設けてある温度センサ等で異常を検知して運転停止などの保護措置を行うことで圧縮機の信頼性が確保される。
圧力差が確保できない場合として、冷凍サイクル装置の低負荷起動時が考えられるが、前述したように通常一台起動であり、オイルセパレータの分離効率の高効率化といった圧縮機1台構成の従来の冷凍サイクル技術で油量確保に対応できる。
例えば、第1の絞り機構、第2の絞り機構、第3の絞り機構、第5の絞り機構はそれぞれ配管の中途に設けているが、配管がなく、絞り機構で該当箇所を接続してもよい。また排油逆止弁8a、8b、8cと第1の絞り機構9a、9b、9cの位置は逆であってもよい。また第1の絞り機構、第2の絞り機構、第3の絞り機構の流路抵抗の関係は、それぞれ接続される排油管と排油逆止弁、給油管、ガス抜き管の流路抵抗を加味した場合に成立してもよい。第3の経路を通過するのは主に油とガス冷媒であるので、油の種類は相溶油と非相溶油のどちらでもよい。
また、図11に示すように、駆動軸51より外径が大きく油に大きな運動エネルギーを付加できる攪拌板63が駆動軸51に固着されてもよい。この場合の攪拌要素53の下端位置56は、第2バランサ53zではなく、攪拌板63の下端位置である。ロータ53xやステータ52は圧縮機の負荷に応じて仕様が定まり、第1バランサ53yや第2バランサ53zは圧縮機構50の偏芯部分によりほぼ形状が定まる。このため場合によっては攪拌板63がない場合の攪拌系の下端位置が圧縮機上方にあり、圧縮機から余剰な油の排出を開始する時の圧縮機内油量が大きくなり、結果として冷凍サイクル装置内の封入油量が増大してしまう。攪拌板63を付加することで圧縮機内にある油量のバラツキを抑えることができ、圧縮機信頼性が向上し、冷凍サイクル全体の封入油量を低減できてコスト低減する効果がある。
次に、本発明の実施の形態2について図12を用いて説明する。図12は本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の圧縮機周辺の冷媒回路図である。本実施の形態では、貯油槽13と共通の吸入配管11との間の経路を前述の実施の形態1と異なるように構成したもので、第2の絞り機構14と給油管15に並列に、貯油槽13の下部と共通の吸入配管11とをバイパス管40で接続し、その中途に開閉弁41を設ける構成とするものである。その他の部分については実施の形態1と同様に構成されている。
まず、ステップS0で冷凍サイクル装置が起動されると、ステップS1で初期設定が行われ、開閉弁41は閉である。ステップS2で1台目の圧縮機が起動し、ステップS3で開閉弁41を開とする。ステップS4で一定時間が経過すると、ステップS5で開閉弁41を閉とする。ステップS6で2台目あるいは3台目の圧縮機が起動すると、ステップS7で開閉弁41を開とする。ステップS8で一定時間が経過すると、ステップS9で開閉弁41を閉とする。以後ステップS6に戻り、次の圧縮機に対して上記の通り開閉弁41の動作が繰り返される。また、ステップS4またはステップS8の一定時間は、圧縮機起動時に吐出された大量の油が、オイルセパレータ24で分離できず第1の経路60を通過して圧縮機に戻るまでの時間や、起動時から吐出油量が低減するまでの時間により定まる。なお、圧縮機起動時の制御は従来の実施例より存在するので、開閉弁の制御を組込むことは技術的、コスト的に問題はない。圧縮機起動時の従来の制御として、起動圧縮機の周波数パターンや第5の絞り機構37に並列に接続された図示しない開閉弁制御などがある。
例えば、ステップS4とステップS8の一定時間は同じである必要は無く、最も油持ち出しが多い1台目の圧縮機の場合の一定時間より、油持ち出しが少ない2台目や3台目の圧縮機起動の場合の一定時間を低減してもよい。開閉弁が開であると第3の経路62を油と冷媒が大量に通過するため、冷凍サイクル装置の能力が低下するので、2台目以降の圧縮機起動時の一定時間を低減することで圧縮機起動時の能力低下を抑える効果がある。また、低外気ほど圧縮機内に液冷媒が溜まりやすく圧縮機起動時の吐出油量が多いため、冷凍サイクル装置の図示しない外気温センサにより外気温を検知し、外気温が高いほどステップS4やステップS8の一定時間を短くしてもよく、同様に圧縮機起動時の能力低下を低減する効果がある。
また、ステップS4とステップS8の一定時間を起動圧縮機の順番や外気温によって短くする代わりに、第2の可変絞り機構の開き気味の開度を小さくしてもよい。
排油栓の開口位置を攪拌要素の下端位置の近傍とし、最低必要油量の油面高さから遠い位置に設け、第1の絞り機構と第2の絞り機構の流路抵抗を大きくしてもよい。ただし圧縮機の望ましい油面位置は排油栓の開口位置近傍である。圧縮機の油面の大きな変化が圧縮機起動時に特定でき、他の場合は比較的小さい油面変化である場合であり、図6の排油栓の開口位置近傍での排油量変化の特性を利用して圧縮機の油面を望ましい状態に保つことができる。
次に、本発明の実施の形態3について図15を用いて説明する。図15は本実施の形態3に係る冷凍サイクル装置の圧縮機周辺の冷媒回路図である。本実施の形態では、圧縮機から他の油経路を設けることで実施の形態1と異なるように構成したもので、その他の部分については実施の形態1と同様に構成されている。第2の排油栓43a、43bが圧縮機内部に開口して設けられており、第2の排油栓43a、43bの開口位置は、第1の排油栓6a、6bの圧縮機油溜め5a、5bへの開口位置より高く、攪拌要素の下端位置より低い。第2の排油栓43a、43bと吐出配管2a、2bは第2の排油管44a、44bを介して接続され、中途に第4の絞り機構45a、45bが設けられている。第4の絞り機構45a、45bは前記同様にキャピラリーチューブよりなる。また、第2の排油管44a、44bが無く、第2の排油栓43a、43bと吐出配管2a、2bを第4の絞り機構45a、45bを介して接続されてもよい。また、図10の排油栓開口位置と同様に圧縮機内部に配管を接続してもよく、圧縮機内部で開口する位置が第2の排油栓の位置である。外観上の第2の排油位置は排油栓位置より低くてもよい。圧縮機の内部構造の制限を受けることなく自由に排油栓位置を設定できる。
圧縮機1a、1bの油面が望ましい状態より上昇する場合、油面が第2の排油栓43a、43bの開口位置より低い場合は第2の排油管44a、44b内を冷媒が流れ油面は上昇を続けるが、油面が第2の排油栓43a、43bの開口位置近傍になると第2の排油管44a、44bを油が通過して圧縮機外へ吐出される。その結果、油面が上昇せず第2の排油栓43a、43bの開口位置近傍で安定する。
このように構成されるので、圧縮機内の余剰油は差圧で確実に圧縮機外へ吐出される。また油面が上昇しても攪拌要素による運動エネルギーが油に付加されないので、動力ロスがなく性能改善の効果がある。また圧縮機がインバータ駆動であり低速で運転される場合は、攪拌要素による運動エネルギーが十分付加されず、図5の吐出油量の傾きが大きく変化せず油面上限位置が高くなるおそれがある。本実施の形態では差圧で油を排出するため低速運転でも余剰油を圧縮機外に確実に吐出することができ、封入油量を低減できる効果がある。
次に、本発明の実施の形態4について図16を用いて説明する。図16は本実施の形態4に係る冷凍サイクル装置の圧縮機周辺の冷媒回路図である。本実施の形態では、オイルセパレータ24からの返油経路を実施の形態1と異なるように構成したもので、その他の部分については実施の形態1と同様に構成されている。オイルセパレータ24の下部と貯油槽13が排油管65で接続されており、排油管65の中途に第5の絞り機構64を設ける。また排油管65がなく、第5の絞り機構65のみでオイルセパレータ24の下部と貯油槽13を接続してもよい。
第2の経路61を第3の経路に合流させることで、貯油槽13内に油を安定して溜めることができる。また圧縮機の油面が低下して排油栓6a、6bの開口位置近傍になる場合に、オイルセパレータ24内の油も圧縮機1a、1bに給油でき、安定した油面確保が実現できる。
次に、本発明の実施の形態5について図17を用いて説明する。図17は本実施の形態5に係る圧縮装置の概略図である。本実施の形態では、圧縮機と貯油槽の設置手段を設けて実施の形態1と異なるように構成したもので、その他の部分については実施の形態1と同様に構成されている。圧縮機の様式は高圧シェル式であれば、縦置きと横置きのいずれであってもよいし、圧縮方法はスクロール、ロータリー、レシプロ式などの何れであってもよい。各圧縮機1a、1b、1cと貯油槽13は共通架台66の上に配置されており、圧縮装置23が構成されている。また、この圧縮装置23は、共通架台66の上に、共通の吐出配管10と共通の吸入配管11の各端部が冷媒回路の接続端10a、11aである冷媒回路ユニット71を備えている。
この構成により、圧縮装置23がアセンブリ化しており、生産性が改善される。さらに例えば圧縮機製造者と冷凍サイクル装置の製造者が異なり、冷凍サイクル装置の製造者へ圧縮装置を搬入する場合、個別で搬入するよりも容易である。大型圧縮機で構成される既存の冷凍サイクル装置において大型圧縮機を本圧縮装置23に置換することができ、圧縮機間の信頼性を保持しつつ、部分負荷性能の高い圧縮装置を提供できる。
Claims (12)
- 冷媒回路中に複数の高圧シェル式の圧縮機を並列に接続してなる冷凍サイクル装置において、
個々の前記圧縮機の圧縮機油溜りに開口する排油栓と、前記排油栓のそれぞれに端部を接続する排油管と、前記排油管のそれぞれに設けられる第1の絞り機構と、前記排油管の各他端を集約して接続する共通の排油管と、前記共通の排油管の端部を接続する貯油槽と、前記貯油槽の下部と前記圧縮機のそれぞれに接続される共通の吸入配管とに両端を接続される1本の給油管と、前記給油管に設けられる第2の絞り機構と、を有し、
前記第2の絞り機構を有する前記給油管と前記共通の吸入配管とに両端を接続されるバイパス管を設け、前記バイパス管に前記第2の絞り機構と並列に開閉弁を設けることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記圧縮機油溜めの圧力が同一とした場合に複数の前記第1の絞り機構を組み合わせて一つとみなしたときの流路抵抗が、前記第2の絞り機構の流路抵抗よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル装置。
- 前記排油栓が前記圧縮機油溜めに開口する位置は、前記圧縮機の最低必要油量の油面高さより高く、前記圧縮機内に設けられる攪拌要素の下端位置よりも低いことを特徴とする請求項1または2記載の冷凍サイクル装置。
- 前記貯油槽内に充填可能な油量は、前記排油栓が前記圧縮機油溜めに開口する位置での前記圧縮機油溜め内の油量のうちの最大値よりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記貯油槽の上部と前記共通の吸入配管とに両端を接続されるガス抜き管と、前記ガス抜き管に設けられる第3の絞り機構と、を有し、前記第1の絞り機構の流路抵抗がすべて前記第3の絞り機構の流路抵抗より小さいことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記排油管はそれぞれ逆止弁を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。
- 前記第2の絞り機構が可変絞り機構で構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記圧縮機の中で停止中の圧縮機が少なくとも1台存在する場合、停止圧縮機が起動してからある一定の期間中は前記開閉弁を開とし、前記一定の期間が経過した後は前記開閉弁を閉とすることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記圧縮機の中で停止中の圧縮機が少なくとも1台存在する場合、停止圧縮機が起動してからある一定の期間中は前記第2の絞り機構の可変絞りを開度大とし、前記一定の期間が経過した後は前記第2の絞り機構の可変絞りを開度小とすることを特徴とする請求項7記載の冷凍サイクル装置。
- 前記排油栓の開口位置と前記攪拌要素の下端位置との間に位置する第2の排油栓と、前記第2の排油栓から第4の絞り機構を介して前記圧縮機の個々の吐出配管に第2の排油管が接続されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記個々の吐出配管を集約する共通の吐出配管にオイルセパレータが接続され、前記オイルセパレータの下部より第5の絞り機構を介して前記貯油槽に接続されることを特徴する請求項10記載の冷凍サイクル装置。
- 前記複数の圧縮機と前記貯油槽が共通の架台に設置され、前記冷媒回路のうち、前記共通の吐出配管と前記共通の吸入配管の各端部を前記冷媒回路の接続端とする前記圧縮機側の冷媒回路ユニットが前記架台と一体に構成されていることを特徴する請求項1から11のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
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