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JP4948045B2 - 内視鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、能動的に湾曲することが可能な湾曲部を有する内視鏡挿入部を備えた内視鏡に関する。
近年、医療分野や工業分野などの様々な分野において、被検体に挿入される長尺状の内視鏡挿入部を備えた内視鏡が利用されている。このような内視鏡には、内視鏡挿入部の先端側に湾曲可能な湾曲部を有するとともに、この湾曲部を能動的に湾曲させる湾曲機構が内視鏡挿入部の基端側に設けられているものがある。
例えば、湾曲機構として、駆動手段によって回転するプーリと、このプーリの外周面側に回転自在に配置される環状部材と、この環状部材に中間部が略一回転した状態で巻回配置されて、先端部を湾曲部に固定し、基端部を操作部に固定した牽引部材とを備えた内視鏡が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような湾曲機構を備えた内視鏡では、操作部によって牽引部材の基端部を牽引することにより、牽引部材は、環状部材に略一回転した状態で巻回されているので、環状部材を縮径させるように牽引移動させられる。このため、環状部材は、プーリと密着状態となりプーリとともに回転するので、プーリの回転によって環状部材の先端が牽引移動されて湾曲部が所定方向に湾曲される。
特開2005−13613号公報
しかしながら、特許文献1のような内視鏡の湾曲機構では、牽引部材が上記のように牽引移動する際に、操作部から環状部材に巻回され始める部分と、環状部材に巻回された状態から略一回転して湾曲部へ延びる部分とが、擦れ合ってしまう。このため、操作部によって牽引部材を牽引する際に、環状部材を縮径させる作用が阻害されてしまい、さらには、牽引部材自体が損傷して破断してしまうおそれがあった。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、内視鏡用挿入部の湾曲部を湾曲させる際に、牽引部材同士が擦れ合って損傷してしまうおそれの無い湾曲機構を備えた内視鏡を提供するものである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、先端側に湾曲可能な湾曲部を有する内視鏡挿入部と、該内視鏡挿入部の基端に設けられ、前記湾曲部を能動的に湾曲させる湾曲機構とを備えた内視鏡であって、前記湾曲機構は、回転駆動するプーリと、切欠きを有する略C形で該プーリに僅かに隙間を有して外嵌された、弾性変形可能な少なくとも一つの環状部材と、中間部で該環状部材に巻回され、先端部が前記内視鏡挿入部の前記湾曲部に接続された牽引部材と、該牽引部材の基端部に接続されて、該牽引部材を牽引可能な操作部とを備え、前記牽引部材を前記巻回開始位置で幅方向に固定する第一の溝と、前記牽引部材を前記巻回終了位置で幅方向に固定する第二の溝とが、前記環状部材の同一の外周に沿って前記環状部材の幅方向に異なる位置で形成されており、前記牽引部材は、前記基端部側が前記環状部材に巻回される巻回開始位置と、前記先端部側が前記環状部材に巻回された状態から湾曲部へ延びる巻回終了位置とが、前記環状部材の幅方向に異なことを特徴としている。
この発明に係る内視鏡によれば、内視鏡挿入部の湾曲部を湾曲させる際に、操作部によって牽引部材の基端部を牽引することで、環状部材は、巻回している牽引部材によって締付けられる。これにより、環状部材は切欠きを縮めるようにして縮径してプーリと密着した状態となるので、プーリの回転が環状部材に伝達されるようになる。このため、環状部材に巻回された牽引部材の中間部がプーリの回転に伴って環状部材とともに回転させられるので、湾曲部に接続された牽引部材の先端部側が基端部側へ牽引移動し、湾曲部を湾曲させることができる。この際、操作部によって牽引される基端部側の巻回開始位置と、湾曲部を牽引して湾曲する先端部の巻回終了位置とが幅方向に異なるものとされていることで、牽引部材同士が擦れ合ってしまうことが無い。
さらに、牽引部材は、巻回開始位置において、第一の溝によって幅方向に固定され、また、巻回終了位置において、第二の溝によって第一の溝と幅方向に異なる位置で固定されて、環状部材に巻回されている。このため、操作部によって牽引部材を牽引したとしても、牽引部材同士が擦れ合ってしまうことなく湾曲部に接続された先端部を牽引移動させて湾曲部を湾曲させることができる。
さらに、上記の内視鏡において、前記環状部材の前記第二の溝は、前記牽引部材を幅方向に固定する位置を選択可能に、幅方向に複数形成されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡によれば、環状部材に第二の溝が幅方向に複数形成されていることで、第一の溝に固定された基端部側と、第二の溝に固定された先端部側との幅方向の相対的位置関係を、互いに擦れ合わない最適な位置に選択することが可能である。また、操作部及び湾曲部の位置関係によって牽引部材を環状部材に巻回する条件が異なったとしても、同一の環状部材によってその条件に合った最適な位置を選択することができるので、環状部材の形状を条件によって変更する必要が無く、製造コストの削減を図ることができる。
また、上記の内視鏡において、前記湾曲機構は、前記環状部材に巻回された前記牽引部材を、前記環状部材の周方向に規制する規制手段を備えることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡によれば、牽引部材は、規制手段によって環状部材の周方向の移動が規制されているので、操作部によって牽引した際に、牽引部材が環状部材上で周方向に位置ずれしてしまうことが無い。このため、プーリの回転を確実に牽引部材に伝達させて湾曲部を湾曲させることができる。また、操作部の操作を解除した際に、牽引部材が弛緩して環状部材上で移動することも防ぐことができるので、牽引部材が弛緩することによって環状部材上で幅方向に位置ずれしてしまうことも防ぐことができる。
さらに、上記の内視鏡において、前記湾曲機構の前記規制手段は、前記牽引部材に設けられた係合凸部と、該係合凸部を前記環状部材の周方向に係止可能に前記環状部材の外周面上に設けられた係合凹部とを備えることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡によれば、係合凸部が係合凹部に係止されることで、牽引部材は環状部材上で周方向に位置ずれしてしまうことが無く、プーリの回転を確実に牽引部材に伝達させて湾曲部を湾曲させることができ、また、牽引部材が弛緩した際における、牽引部材の環状部材に対する幅方向の位置ずれを防ぐことができる。
また、上記の内視鏡において、前記環状部材は、前記巻回開始位置の外径に対して前記巻回終了位置の外径が大に設定されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡によれば、操作部によって牽引した場合に、その牽引した量に対して、巻回終了位置から湾曲部へ延びる先端部を環状部材の回転によって牽引する量を大きくすることができ、効率的に牽引部材の先端部を牽引移動させて、湾曲部を湾曲させることができる。
また、上記の内視鏡において、前記湾曲機構は、前記環状部材と、該環状部材と対をなして巻回された前記牽引部材とを複数組備えることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡によれば、牽引部材を複数備えることで、湾曲部を様々な方向に自在に湾曲させることができる。この際、各牽引部材は、それぞれ対をなす別々の環状部材に巻回されていることで、プーリの回転をそれぞれ独立して各牽引部材に伝達させて牽引することができる。
また、上記の内視鏡において、前記プーリに同軸上で幅方向に並べて外嵌された複数の前記環状部材のそれぞれの間には、略環状で、前記プーリに隙間を有して外嵌されたスペーサが設けられていることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡によれば、各環状部材の間にスペーサが設けられていることで、隣り合う環状部材同士が干渉してしまうことを防ぎ、より確実に環状部材のそれぞれを独立して回転させることができる。
本発明の内視鏡によれば、湾曲機構として、牽引部材と、環状部材を備え、牽引部材が環状部材に巻回開始位置と巻回終了位置とを幅方向に異なるものとして巻回されていることで、牽引部材同士が擦れ合ってしまうことが無い。すなわち、牽引部材同士の擦れに起因して、環状部材を縮径させる作用が阻害されてしまうこと無く、効率良く湾曲部を湾曲させることが可能であるとともに、牽引部材自体が損傷して破断してしまうおそれが無く、耐久性の向上を図ることができる。
図1から図7は、この発明に係る実施形態を示している。図1に示すように、この実施形態の内視鏡装置1は、医療分野や工業分野などの分野において、被検体に挿入され使用される内視鏡20と、内視鏡20が着脱可能に取り付けられる装置本体2とを備える。内視鏡20は、細長で可撓性を有して被検体に挿入される内視鏡挿入部21と、内視鏡挿入部21の基端に接続されたアシスト部22と、アシスト部22の側部に設けられた操作部23とを備える。
内視鏡挿入部21は、先端本体部24と、湾曲可能な湾曲部25と、可撓性を有する細長の可撓管26とが、先端側から順に設けられて、構成されている。先端本体部24の先端面中央部には例えば観察窓27が設けられ、観察窓27の周囲には、照明光学系を構成する例えば複数のLED照明28が配置されている。観察窓27には観察手段である例えばC−MOS(不図示)が設けられている。また、湾曲部25は、図示しない節輪が連設して構成され、所定方向に湾曲することが可能であり、本実施形態においては、例えば、上下方向及び左右方向に湾曲することが可能である。
操作部23は、可撓性を有し、アシスト部22の側部から延出して設けられ、後述する操作ワイヤ32が挿通されている操作用ワイヤ部23aと、操作用ワイヤ部23aの先端部に設けられた操作レバー23bとを備える。

操作レバー23bは上下左右に所定角度まで傾倒することが可能であり、操作レバー23bを傾倒することで、後述するアシスト部22に内蔵された湾曲機構31によって、湾曲部25を所定方向に湾曲させることが可能である。また、アシスト部22の基端面には、装置本体2に設けられた装置側コネクタ3と電気的に接続可能な内視鏡側コネクタ29が設けられ、また、側部には、スコープ用電源コネクタ30等が設けられている。
装置本体2には、ヒンジ4aを介して内視鏡画像を表示する表示装置であるモニタ4が回動可能に固定されている。また、装置本体2の一側面には、装置側コネクタ3の他に、映像出力用コネクタ5、モニタ4に電力を供給するためのモニタ用電源コネクタ6、内視鏡20のC−MOSやLED照明28に電力を供給するスコープ用電源コネクタ7、メインスイッチ8等が設けられている。また、装置本体2には、装置本体2を使用者の肩等に掛けて持ち運び可能とするベルト2aが設けられている。
映像出力用コネクタ5には、モニタ4に接続された映像ケーブル10が、着脱可能に接続されている。このため、観察窓27に設けられた上述のC−MOSで変換されてNTSC方式、PAL方式等の標準TV信号として出力される映像信号は、内視鏡挿入部21内を挿通する図示しない映像用信号線、内視鏡側コネクタ19、装置側コネクタ3、及び、映像ケーブル10を介してモニタ4に出力されて、内視鏡挿入部21が挿入された被検体内部を観察することが可能である。
また、モニタ用電源コネクタ6には、モニタ4に接続されたモニタ用電源コード11が着脱可能に接続されている。さらに、スコープ用電源コネクタ7には、スコープ用電源コード12の一端部が着脱可能に接続されている。スコープ用電源コード12の他端部は、上述の内視鏡20において、アシスト部22に設けられたスコープ用電源コネクタ30に接続されている。これらによって、装置本体2に設けられている図示しない主バッテリの電力を、モニタ4、及び、内視鏡20のLED照明28、後述する湾曲機構31の駆動モータ33などに供給することが可能である。
なお、スコープ用電源コネクタ30に副バッテリとして直接、内視鏡用バッテリ13を接続するようにしても良い。これによっても、この内視鏡用バッテリ13でC−MOSやLED照明28、駆動モータ33に電力を供給する一方、装置本体2に設けられている主バッテリでモニタ4に電力を供給することができる。
また、上述の観察手段はC−MOSに限定されるものではなく、CCDやイメージガイドファイバ等であってもよい。この場合、必要に応じて装置本体内の構成を変化させる。さらに、照明光学系もLED照明28に限定されるものではなく、ライトガイドファイバ等であってもよい。
次に、図2から図4に基づいて、アシスト部22に内蔵された湾曲機構31について説明する。図2及び図3に示すように、湾曲機構31は、牽引部材である4本の操作ワイヤ32と、駆動モータ33と、駆動モータ33によって回転可能なプーリ34とを備える。駆動モータ33及びプーリ34は、それぞれの同軸上に、互いに噛み合う第1ギア35aと、第2ギア35bとが設けられていて、これにより駆動モータ33の回転駆動によってプーリ34が回転している。また、プーリ34には、同軸上に、切欠き36aを有する略C形で、弾性変形可能な環状部材36が外嵌されている。環状部材36は、操作ワイヤ32と対をなして、幅方向Xに並べて4つ設けられている。また、隣接する環状部材36の間には、さらに、略環状のスペーサ37が外嵌されている。なお、環状部材36及びスペーサ37の内径は、プーリ34の外径よりも僅かに大に設定されていて、常時においては、プーリ34の回転が伝達しない構成となっている。
各操作ワイヤ32は、中間部32aで、対をなす環状部材36の外周面36bに巻回されている。操作ワイヤ32の基端部32bは、操作用ワイヤ部23aに挿通されて、操作レバー23bと接続されていて、また、先端部32cは、図示しないが、湾曲部25に内部で接続されている。このため、操作ワイヤ32は、操作部23と接続された基端部32bと、湾曲部25と接続された先端部32cとが側方視交差するように、中間部32aが環状部材36に略一回転するように巻回されていて、基端部32bを牽引することで、環状部材36を締付けることが可能である。
図2及び図3に示すように、操作ワイヤ32は、より詳しくは、上方向操作ワイヤ32U、下方向操作ワイヤ32D、左方向操作ワイヤ32L、及び、右方向操作ワイヤ32Rの4本で構成されている。そして、図示しないが、各操作ワイヤ32の先端部32cは、湾曲部25の内部において、上方向操作ワイヤ32Uの先端部が湾曲部25の上側に、下方向操作ワイヤ32Dの先端部が湾曲部25の下側に、左方向操作ワイヤ32Lの先端部が湾曲部25の左側に、右方向操作ワイヤ32Rの先端部が湾曲部25の右側に、それぞれ接続されている。また、各操作ワイヤ32の基端部32bは、操作レバー23bの基端に設けられた支持板23cに固定されている。上方向操作ワイヤ32Uと下方向操作ワイヤ32Dとは対向する位置で支持板23cに固定されているとともに、左方向操作ワイヤ32Lと右方向操作ワイヤ32Rとは、上方向操作ワイヤ32U及び下方向操作ワイヤ32Dが固定さている方向と略直交する方向で、対向して固定されている。また、操作レバー23bは、支持板23cが設けられた位置より先端側でフレーム23eにユニバーサルジョイント23dで回転自在に固定されている。すなわち、いずれかの方向に操作レバー23bを傾倒させることで、基端に固定された支持板23cを傾斜させることができ、例えば、上方向操作ワイヤ32Uを牽引するとともに、下方向操作ワイヤ32Dを緩めることができる。また、90度異なる方向に操作レバー23bを傾倒させることで、例えば、左方向操作ワイヤ32Lを牽引するとともに、右方向操作ワイヤ32Rを緩めることが可能である。
次に、図4から図7に基づいて、環状部材36の詳細について説明する。図4から図6に示すように、環状部材36は、操作部23に接続された操作ワイヤ32が基端部32bから巻回され始める巻回開始位置Aから、操作ワイヤ32が巻回された状態から湾曲部25側へ延びる巻回終了位置Bへ、外径が漸増するように設定されている。また、環状部材36の外周面36b上には、周方向Yに延設されて、操作ワイヤ32を挿通可能な第1の溝38及び第2の溝39が設けられている。第1の溝38は、巻回開始位置Aに設けられていて、環状部材36の幅方向Xの略中心に位置している。また、第2の溝39は、巻回終了位置Bに設けられていて、第1の溝38と幅方向Xの相対的位置をずらすように、環状部材36の幅方向Xの中心から幅方向Xに位置をずらして2箇所に設けられている。さらに、図7に示すように、環状部材36の外周面36b上には、巻回開始位置Aと巻回終了位置Bとの間において、巻回された操作ワイヤ32を挿通可能な第3の溝40とともに係合凹部41が形成されている。また、操作ワイヤ32には、係合凹部41に対応した瘤状の係合凸部32dが形成されている。
そして、図4及び図5に示すように、各操作ワイヤ32は、対応する環状部材36の外周面36b上において、巻回開始位置Aで第1の溝38に挿通させ、また、第三の溝40に挿通させるとともに、規制手段として係合凸部32dを係合凹部41に嵌め込んで、さらに、2つの第二の溝39のいずれかを選択して挿通して、巻回されている。このため、巻回された操作ワイヤ32は、第一の溝38及び第二の溝39によって幅方向Xに固定されているとともに、環状部材36の係合凹部41と操作ワイヤ32の係合凸部32dとで構成される規制手段によって、周方向Yへの移動を規制されて巻回されている。この際、上述のように、巻回された操作ワイヤ32において、操作部23へ延びる基端部32bと、湾曲部25へ延びる先端部32cとは、側方視交差するが、操作ワイヤ32の幅方向Xに固定する第一の溝38と、第二の溝39とが幅方向Xに相対的位置をずらして設けられているので、先端部32cと基端部32bとで操作ワイヤ32同士を離間した状態で巻回することができる。なお、環状部材36の外周面36bのうち、第一の溝38、第二の溝39、及び第三の溝40が形成さている以外の他の部分についても、その外周面は幅方向Xに断面凹状に形成されていて、操作ワイヤ32が外れるのを防いでいる。
次に、内視鏡20の湾曲機構31の作用について説明する。図2に示すように、プーリ34は、駆動モータ33によって図中右周りに常時回転している。この際、操作部23の操作レバー23bをいずれの方向にも傾倒しない状態では、各環状部材36は、プーリ34に隙間を有して外嵌しているので、プーリ34の回転が伝達せずに静止した状態にある。このため、各操作ワイヤ32にも牽引する力が作用せず、湾曲部25も湾曲せずに直線状のままである。次に、湾曲部25を上方へ湾曲させる場合について説明する。この場合、操作レバー23bを上方向操作ワイヤ32Uが固定されている側から下方向操作ワイヤ32Dが固定されている側へ傾倒させて、支持板23cを傾斜させる。このため、支持板23cは、上方向操作ワイヤ32Uが固定する位置が上方へ、下方向操作ワイヤ32Dが固定されている位置が下方へ移動し、これにより上方向操作ワイヤ32Uの基端部32bは牽引され、また、下方向操作ワイヤ32Dの基端部32bは緩められる。
上方向操作ワイヤ32Uの基端部32bが牽引されることによって、上方向操作ワイヤ32Uの中間部32aを巻回している環状部材36は、上方向操作ワイヤ32Uによって締付けられる。これにより、図5に示すように、環状部材36は、切欠き36aを縮めるように弾性変形して縮径するので、挿通されたプーリ34と密着状態となり、プーリ34の回転が伝達されて、プーリ34とともに図中右側へ回転する。このため、巻回された操作ワイヤ32の中間部32aも回転し、湾曲部25の上側に接続された上方向操作ワイヤ32Uの先端部32cは、基端部側、すなわち環状部材36側へ牽引移動し、これにより湾曲部25を上方へ湾曲させることができる。この際、操作レバー23bの操作によって湾曲部25に接続された先端部を牽引するのでは無く、操作レバー23bの操作に応じて、プーリ34の回転を伝達させて牽引することができるので、少ない力で、かつ、少ない移動量で操作レバー23bを傾倒させるだけで、所望の湾曲量だけ湾曲部25を湾曲させることができる。特に、本実施形態においては、環状部材36の外径が巻回開始位置Aに対して巻回終了位置Bで大に設定されていることで、操作レバー23bの移動量をより小さくすることができて効率的である。また、中間部32aで巻回されている操作ワイヤ32と、環状部材36とは、係合凹部41に係合凸部32dが係止されて周方向Yの移動が規制されているので、操作ワイヤ32が環状部材36の外周面36b上で周方向Yに位置ずれしてしまうことが無い。このため、プーリ34の回転を確実に操作ワイヤ32に伝達させて湾曲部25を湾曲させることができる。
そして、湾曲部25の湾曲量が増大していくと、操作ワイヤ32によって必要な牽引する力が増大する。すなわち、操作ワイヤ32による牽引する力が一定の大きさに達すると、環状部材36は巻回された操作ワイヤ32によって締付けられているものの、環状部材36とプーリ34とはすべり始め、環状部材36の回転は所定の位置で停止する。このため、湾曲部25は、操作レバー23bの操作に応じて、所定の湾曲量まで湾曲するとともに、それ以上湾曲すること無く、かつ、湾曲状態を一定に保つことができる。
なお、上記において、上方向操作ワイヤ32Uと対向する下方向操作ワイヤ32Dは緩められているので、上方向操作ワイヤ32Uによって湾曲部25を上方へ湾曲させる作用が阻害されてしまうことは無い。また、各操作ワイヤ32は、それぞれ対をなす別々の環状部材36に巻回されていることで、プーリ34の回転をそれぞれ独立して各操作ワイヤ32に伝達させて牽引することができる。特に、隣り合う環状部材36の間には、スペーサ37が設けられていることで、環状部材36同士が干渉してしまい、供回りしてしまうことを防ぎ、より確実にそれぞれを独立して回転させて、湾曲部25を所望の方向へ湾曲させることができる。
ここで、図4及び図5に示すように、操作ワイヤ32を牽引して湾曲部25を湾曲させる際には、操作部23に接続された基端部32bが操作部23側へ牽引移動する一方、基端部32bと交差するように延びて湾曲部25に接続された先端部32cは、環状部材36の方へ牽引移動する。しかしながら、第一の溝38と、第二の溝39とが幅方向Xに位置ずれしていることで、操作ワイヤ32の先端部32cと、基端部32bとは、離間した状態を保ち、互いに擦れ合ってしまうことが無い。このため、操作レバー23bの操作によって牽引する際に、互いに擦れ合うことで、環状部材36を縮径させる作用を阻害してしまうことが無く、効率的に湾曲部25を湾曲させることができる。また、操作ワイヤ32自体が擦れに起因して損傷し、破断してしまうおそれが無く、耐久性の向上を図ることができる。また、環状部材36において、第二の溝39は、第一の溝38と幅方向Xに位置を異なるものとして、2箇所に設けられている。このため、操作ワイヤ32毎に、操作ワイヤ32の先端部32c及び基端部32bの相対的位置関係から互いに擦れ合わない最適な位置となるように、いずれかの第二の溝39を選択して、幅方向Xに固定することができる。また、同一の環状部材36によって操作ワイヤ32毎に条件に合った最適な位置を選択することができるので、環状部材36の形状を条件によって変更する必要が無く、製造コストの削減を図ることができる。
また、図2及び図3に示すように、湾曲した状態の湾曲部25を直線状態に戻すには、傾倒した操作レバー23bを元に戻せば良い。このようにすることで、牽引されていた上方向操作ワイヤ32Uは緩んだ状態となるので、その中間部32aは、環状部材36を締付けている状態から緩めた状態となる。このため、環状部材36は弾性的に拡径し、プーリ34の回転が伝達されなくなるので、湾曲部25は直線状態に戻ることとなる。この際、操作ワイヤ32は、環状部材36の外周面36bで緩んだ状態となるが、環状部材36の係合凹部41と操作ワイヤ32の係合凸部32dとによって規制されていることで、環状部材36に対して操作ワイヤ32が移動して、環状部材36上で幅方向Xに位置ずれしてしまうことを防ぎ、より確実に、操作ワイヤ32同士の接触を防ぐことができる。
なお、本実施形態において、対をなす操作ワイヤ32及び環状部材36は、4組設けられるものとしたが、これに限るものでは無い。少なくとも1組設けられることで操作ワイヤ32の本数に対応して所定の方向に湾曲部25を湾曲させることができる。また、環状部材36において、第二の溝39は2箇所設けられるものとしたがこれに限るものでは無い。少なくとも、第一の溝38と幅方向Xの相対的位置をずらして1箇所設けられていることで、操作ワイヤ32同士が擦れ合うことを防ぐことができる。また、3箇所以上設けられていることで、幅方向Xの選択可能な位置が増え、より最適な位置を選択することが可能となる。さらには、第二の溝39に代えて、第一の溝38を幅方向Xに複数設けるものとしても同様の効果を期待することができる。また、本実施形態において、内視鏡20は、モニタ4やバッテリを備えた装置本体2に装着して使用されるものとしたが、これに限ることは無く、内視鏡20にモニタやバッテリが直接搭載された仕様のものとしても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
本発明の実施形態に係る内視鏡装置を示す全体構成図である。 本発明の実施形態に係る内視鏡のアシスト部の内部構造を示す詳細図である。 本発明の実施形態に係る内視鏡の湾曲機構の全体図である。 本発明の実施形態に係る湾曲機構の詳細を示す拡大斜視図である。 本発明の実施形態に係る湾曲機構の詳細を示す拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る湾曲機構の環状部材の拡大斜視図である。 本発明の実施形態に係る湾曲機構の環状部材の拡大斜視図である。
符号の説明
20 内視鏡
21 内視鏡挿入部
25 湾曲部
31 湾曲機構
32 操作ワイヤ(牽引部材)
32a 中間部
32b 基端部
32c 先端部
32d 係合凸部
34 プーリ
36 環状部材
36a 切欠き
36b 外周面
37 スペーサ
38 第一の溝
39 第二の溝
41 係合凹部

Claims (7)

  1. 先端側に湾曲可能な湾曲部を有する内視鏡挿入部と、該内視鏡挿入部の基端に設けられ、前記湾曲部を能動的に湾曲させる湾曲機構とを備えた内視鏡であって、
    前記湾曲機構は、回転駆動するプーリと、
    切欠きを有する略C形で該プーリに僅かに隙間を有して外嵌された、弾性変形可能な少なくとも一つの環状部材と、
    中間部で該環状部材に巻回され、先端部が前記内視鏡挿入部の前記湾曲部に接続された牽引部材と、
    該牽引部材の基端部に接続されて、該牽引部材を牽引可能な操作部とを備え、
    前記牽引部材を前記巻回開始位置で幅方向に固定する第一の溝と、前記牽引部材を前記巻回終了位置で幅方向に固定する第二の溝とが、前記環状部材の同一の外周に沿って前記環状部材の幅方向に異なる位置で形成されており、
    前記牽引部材は、前記基端部側が前記環状部材に巻回される巻回開始位置と、前記先端部側が前記環状部材に巻回された状態から湾曲部へ延びる巻回終了位置とが、前記環状部材の幅方向に異な
    ことを特徴とする内視鏡。
  2. 請求項に記載の内視鏡において、
    前記環状部材の前記第二の溝は、前記牽引部材を幅方向に固定する位置を選択可能に、幅方向に複数形成されていることを特徴とする内視鏡。
  3. 請求項1または請求項2に記載の内視鏡において、
    前記湾曲機構は、前記環状部材に巻回された前記牽引部材を、前記環状部材の周方向に移動を規制する規制手段を備えることを特徴とする内視鏡。
  4. 請求項に記載の内視鏡において、
    前記湾曲機構の前記規制手段は、前記牽引部材に設けられた係合凸部と、
    該係合凸部を前記環状部材の周方向に係止可能に前記環状部材の外周面上に設けられた係合凹部とを備えることを特徴とする内視鏡。
  5. 請求項1から請求項のいずれかに記載の内視鏡において、
    前記環状部材は、前記巻回開始位置の外径に対して前記巻回終了位置の外径が大に設定されていることを特徴とする内視鏡。
  6. 請求項1から請求項のいずれかに記載の内視鏡において、
    前記湾曲機構は、前記環状部材と、該環状部材と対をなして巻回された前記牽引部材とを複数組備えることを特徴とする内視鏡。
  7. 請求項に記載の内視鏡において、
    前記プーリに同軸上で幅方向に並べて外嵌された複数の前記環状部材のそれぞれの間には、略環状で、前記プーリに隙間を有して外嵌されたスペーサが設けられていることを特徴とする内視鏡。
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