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JP4945425B2 - 能動型防振適応制御装置 - Google Patents

能動型防振適応制御装置 Download PDF

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JP4945425B2 JP2007329194A JP2007329194A JP4945425B2 JP 4945425 B2 JP4945425 B2 JP 4945425B2 JP 2007329194 A JP2007329194 A JP 2007329194A JP 2007329194 A JP2007329194 A JP 2007329194A JP 4945425 B2 JP4945425 B2 JP 4945425B2
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Description

本発明は、振動発生源が所定の観測点に影響を及ぼす振動を発生する場合に、周期性の制御信号を発生することにより、所定の観測点において、振動発生源から発生した防振対象振動の影響を低減することを目的として、前記制御信号の係数を適応制御によって更新する能動型防振適応制御装置に関するものである。
従来、この種の適応制御装置として、例えば、特開平8−137556号公報(特許文献1)に、DXHS−LMSアルゴリズムに基づく適応制御方法が記載されている。DXHS−LMSアルゴリズムとは、観測点における誤差信号の二乗を評価関数とする最小二乗法であって、周期性の制御信号の振幅と位相を適応的に調整して、防振対象振動の観測点における影響を最小化する手法である。
特開8−137556号公報
DXHS−LMSアルゴリズムなどの適応制御方法では、周期性の制御信号の発生部から観測点までの伝達関数の推定値Gh(s)(「Gハット」という)を予め記憶させておく必要がある。しかし、この伝達関数の推定値Gh(s)のゲインおよび位相の設定によっては、周期性の制御信号を出力することにより、観測点において却って振動が発散するおそれがある。従って、伝達関数の推定値Gh(s)のゲインおよび位相の設定は、防振対象振動を抑制するために非常に重要な要素である。
ところが、DXHS−LMSアルゴリズムでは、伝達関数の推定値Gh(s)のゲインおよび位相に関して、観測点において防振対象振動が収束する安定領域を正確に算出できない。近似式を用いることで、ある程度の安定領域を算出することができるものの、やはり近似式であるため、正確なものではない。
そのため、近似式を用いて安定領域を算出したとしても、この安定領域のうち境界付近のものは用いず、より安全方向の係数を用いることが行われている。従って、より早く且つ確実に防振対象振動を収束させることができるゲインおよび位相が選定されないこともある。さらに、近似式を用いた安定領域の中でのより安全方向のゲインおよび位相を用いたとしても、実際には安定領域にないゲインおよび位相である可能性がある。このようなゲインおよび位相が用いられたとすると、防振対象振動が減衰しない上、却って発散するおそれもある。従って、正確な安定領域を把握するために、近似式ではなく、適応制御アルゴリズムに用いる関数そのものにより安定領域を算出できる適応制御アルゴリズムが求められる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安定領域を算出する際に近似式ではなく適応制御アルゴリズムに用いる関数そのものを用いることができる適応制御アルゴリズムによる能動型防振適応制御装置を提供することを目的とする。
本発明の能動型防振適応制御装置は、
防振対象振動の基本波の角周波数ωを検出する角周波数検出部と、
前記角周波数検出部により検出された前記角周波数ωに基づいて、振幅Ahおよび位相Φhを構成成分に含む時刻tにおける周期性の制御信号u(t)を発生させる制御信号発生部と、
前記制御信号発生部から所定の観測点までの伝達関数の推定値Gh(s)を予め記憶する推定伝達関数記憶部と、
前記観測点における誤差信号e(t)を、前記基本波の1周期よりも短いサンプリング周期にて検出する誤差検出部と、
前記角周波数ω、前記制御信号u(t)、伝達関数の推定値Gh(s)および前記誤差信号e(t)に基づいて、前記制御信号u(t)の前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新するフィルタ係数更新部と、
を備え、前記観測点における前記防振対象振動の影響を低減する能動型防振適応制御装置において、
前記フィルタ係数更新部は、
前記制御信号u(t)、伝達関数の推定値Gh(s)および前記誤差信号e(t)に基づいて導き出される前記観測点における前記防振対象振動の推定未知関数dh(t)に、正弦波を乗算して且つ前記基本波の整数倍周期の間を積分することにより、正弦相関値を算出する正弦相関値算出部と、
前記観測点における前記防振対象振動の前記推定未知関数dh(t)に、余弦波を乗算して且つ前記基本波の整数倍周期の間を積分することにより、余弦相関値を算出する余弦相関値算出部と、
前記正弦相関値および前記余弦相関値に基づき、前記防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahおよび位相φhを算出する防振対象振動の振幅位相算出部と、
前記伝達関数の推定値Gh(s)、前記振幅ahおよび前記位相φhに基づき前記振幅Ahおよび前記位相Φhを算出し、且つ、前記制御信号u(t)の前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新する更新用振幅位相算出部と、
を備えることを特徴とする。
つまり、本発明によれば、相関を利用して算出した正弦相関値および余弦相関値に基づいて、防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahおよび位相φhを算出している。ここで、防振対象振動の推定未知関数dh(t)とは、観測点における防振対象振動d(t)の推定値である。この防振対象振動d(t)そのものは、測定できないものである。そこで、この防振対象振動d(t)の推定値を未知関数として定義して、この未知関数をdh(t)と表している。
そして、当初未知関数であった防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahおよび位相φhを、相関を利用して算出することで、防振対象振動の推定未知関数dh(t)を算出している。このように、従来のDXHS−LMSアルゴリズムでは算出することのなかった防振対象振動を、本発明では算出している。防振対象振動の推定未知関数dh(t)を算出した後には、この振幅ahおよび位相φhと、予め記憶された伝達関数の推定値Gh(s)とを用いて、制御信号u(t)の振幅Ahおよび位相Φhの更新値を算出している。
つまり、従来のDXHS−LMSアルゴリズムでは、誤差信号e(t)の二乗が最小となるように演算して、制御信号の振幅および位相を更新しているのに対して、本発明は、相関を利用することで、最小二乗法などを用いることなく、制御信号の振幅Ahおよび位相Φhを更新している。これにより、比較的簡易な演算処理となることにより、演算負荷を軽減することができる。
さらに、本発明によれば、近似式を用いることなく、本発明の適応制御アルゴリズムに用いる関数そのものを用いて、伝達関数の推定値Gh(s)のゲインおよび位相に関して、観測点において防振対象振動が収束する安定領域を算出することができる。つまり、このようにして算出された安定領域は、信頼性が高い。従って、伝達関数の推定値Gh(s)のゲインおよび位相として、算出された安定領域内に含まれるものに設定することが可能となる。このように、本発明によれば、伝達関数の推定値Gh(s)のゲインおよび位相を、観測点において防振対象振動が確実に収束するものに設定することができる。
さらに、本発明によれば、正弦相関値算出部および余弦相関値算出部において、防振対象振動の基本波の整数倍周期の間を積分することにより、正弦相関値および余弦相関値を算出している。つまり、少なくとも1周期分の誤差信号のサンプリングデータを用いて、制御信号の振幅Ahおよび位相Φhの更新データを演算している。このように、必ず、少なくとも1周期分の誤差信号のサンプリングデータを用いて、次の更新データを演算するため、サンプリング周期を長くしても、それほど防振性能が低下しない。一方、従来のDXHS−LMSアルゴリズムでは、直前のサンプリングデータを用いて次の更新データを演算しているため、サンプリング周期が長くなると、防振性能が低下するおそれが大きくなる。つまり、本発明の相関を利用した適応制御アルゴリズムを用いることで、サンプリング周期を長くすることができ、結果として、演算負荷を低減することができる。
また、本発明の能動型防振適応制御装置において、
前記制御信号u(t)は、前記防振対象振動の前記基本波の角周波数ωの成分と前記角周波数ωの高次周波数kωの成分とを含み、
前記防振対象振動の推定未知関数dh(t)は、前記防振対象振動の前記基本波の角周波数ωの成分と前記角周波数ωの高次周波数kωの成分とを含み、
前記正弦相関値算出部は、前記推定未知関数dh(t)に、各次数kの前記正弦波をそれぞれ乗算して且つ前記基本波の整数倍周期の間を積分することにより、各次数kにおける前記正弦相関値を算出し、
前記余弦相関値算出部は、前記推定未知関数dh(t)に、各次数kの前記余弦波をそれぞれ乗算して且つ前記基本波の整数倍周期の間を積分することにより、各次数kにおける前記余弦相関値を算出し、
前記振幅位相算出部は、各次数kにおける前記正弦相関値および各次数kにおける前記余弦相関値に基づき、各次数kにおける前記防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahおよび位相φhを算出し、
前記更新用振幅位相算出部は、各次数kにおける前記伝達関数の推定値Gh(s)、前記振幅ahおよび前記位相φhに基づき各次数kにおける前記振幅Ahおよび前記位相Φhを算出し、且つ、前記制御信号u(t)の各次数kにおける前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新するようにしてもよい。
このように、制御信号u(t)として、防振対象振動の基本波の角周波数ωの成分に加えて、基本波の角周波数ωの高次周波数kωの成分を含むようにすることで、防振対象振動の高次周波数kωの成分についても防振効果を発揮する。そして、高次周波数kωの成分を含むようにした場合、上述したように、本発明の特徴的な事項である安定領域を算出することができる。特に、高次周波数kωの成分を有する場合に、相関を利用することにより、演算処理の簡易化を効果的に発揮する。
また、本発明の能動型防振適応制御装置において、
前記正弦相関値算出部は、式(1)に基づいて前記正弦相関値を算出し、
前記余弦相関値算出部は、式(2)に基づいて前記余弦相関値を算出し、
前記防振対象振動の振幅位相算出部は、式(3)(4)に基づいて前記防振対象振動の推定値dh(t)の前記振幅ahおよび前記位相φhを算出し、
前記更新用振幅位相算出部は、式(5)(6)に基づいて前記振幅Ahおよび前記位相Φhを算出する。
上記数式を用いることで、確実に上述した適応制御アルゴリズムを実行できる。
また、本発明の能動型防振適応制御装置において、前記更新用振幅位相算出部は、前記基本波の1周期毎に前記制御信号u(t)の前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新することができる。この場合、制御信号u(t)の係数(振幅Ahおよび位相Φh)の更新が、防振対象振動の基本波の1周期に1回となる。従来のDXHS−LMSアルゴリズムにおいては、当該1周期よりも短いサンプリング周期毎に、制御信号の係数を更新する必要があった。つまり、1周期毎に制御信号u(t)の係数を更新させることで、更新回数を大幅に低減でき、結果として演算負荷を大幅に低減することができる。さらに、1周期毎の係数更新により、外乱の影響を受けにくくできる。つまり、外乱による急激な変化の影響をそれほど受けることなく、制御信号u(t)の係数を更新することで、安定的に防振対象振動を抑制できる。
また、上記のように、制御信号u(t)の係数の更新を、基本波の1周期毎に行うのではなく、次のようにしてもよい。すなわち、本発明の能動型防振適応制御装置において、前記更新用振幅位相算出部は、前記サンプリング周期毎に前記制御信号u(t)の前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新するようにしてもよい。この場合、サンプリング周期毎に制御信号u(t)の係数を更新するため、上述した1周期毎の係数更新に比べると、更新回数が多くなる。ただし、従来のDXHS−LMSアルゴリズムと比較した場合には、本発明によれば、サンプリング周期を長くできるため、その分、更新回数を低減できる。つまり、DXHS−LMSアルゴリズムに比べると、係数の更新回数を低減できる。そして、本発明では、サンプリング周期毎に制御信号u(t)の係数を更新することにより、防振対象振動の変化に対して応答性が良くなる。
また、本発明の能動型防振適応制御装置において、
前記振幅位相算出部は、
それぞれ1以下の値であって現在から過去に向かって小さくなるようにそれぞれ設定され、合計値が1以下の値となるそれぞれの忘却係数を記憶し、
現在算出された前記振幅ahから過去に算出された前記振幅ahに亘るそれぞれの前記振幅ahに対して、それぞれの前記忘却係数を乗算した値の合計値を、現在の前記振幅ahとし、
現在算出された前記位相φhから過去に算出された前記位相φhに亘るそれぞれの前記位相φhに対して、前記忘却係数を乗算した値の合計値を、現在の前記位相φhとしてもよい。
これによれば、防振対象振動の推定未知関数dh(t)の係数(振幅ah、位相φh)を算出する際に、相関を用いて算出した振幅ahおよび位相φhそのものを用いるのではなく、これら振幅ahおよび位相φhに忘却係数を乗算した値を、振幅ahおよび位相φhとして用いる。そして、忘却係数は、現在から過去に向かって小さくなるようにそれぞれ設定されているため、現在算出された振幅ahおよび位相φhが、変更された振幅ahおよび位相φhに大きな影響を及ぼす。一方、過去へ向かうに従って、過去に算出された振幅ahおよび位相φhが、変更された振幅ahおよび位相φhへの影響度は小さくなる。つまり、変更後である現在の振幅ahおよび位相φhは、現在から過去に亘る防振対象振動の推定値により得られた値であって、現在に近いほどその影響度が大きくなるようになる。これにより、過去の係数の影響を受けるようにすることで外乱による影響をできるだけ小さくしつつ、現在の影響を最大とすることで防振対象振動の変化に高速に応答できるようになる。
また、本発明の能動型防振適応制御装置において、前記誤差検出部は、前記防振対象振動の基本波の整数倍周期をそれぞれ含む所定の周波数帯を抽出するバンドパスフィルタを備え、前記バンドパスフィルタにより抽出された信号を前記誤差信号e(t)とするとよい。
これにより、適切な正弦相関値および余弦相関値を算出できる。換言すると、他の周波数成分による悪影響を受けることなく、正弦相関値および余弦相関値を算出できる。従って、このようにして得られた正弦相関値および余弦相関値を用いることで、適切な防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahおよび位相φhを算出できる。つまり、結果として、更新された制御信号u(t)を発生するにより、確実に防振対象振動を抑制できる。
また、本発明の能動型防振適応制御装置において、
前記防振対象振動が発生していない状態において前記制御信号u(t)を発生させた場合の前記誤差信号に基づいて、前記伝達関数の推定値Gh(s)の振幅および位相の安定領域を算出する安定領域算出部と、
前記推定伝達関数記憶部に記憶されている前記伝達関数の推定値Gh(s)の振幅および位相が、前記安定領域算出部により算出された前記安定領域に基づく所定閾値を超えている場合に、前記推定伝達関数記憶部に記憶されている前記伝達関数の推定値Gh(s)の振幅および位相を前記所定閾値内の値に補正する補正部と、
を備えるようにしてもよい。
例えば、経年変化などにより、制御信号発生部から所定の観測点までの伝達関数Gが変化することがある。そうすると、伝達関数G(s)が変化した状態において、現在推定伝達関数記憶部に記憶されている伝達関数の推定値Gh(s)のゲインgおよび位相θが、安定領域外にでてしまうことが考えられる。このような場合に、確実に、伝達関数の推定値Gh(s)が安定領域を超えないようにすることが望まれる。そこで、上述した補正部を備えることで、安定領域を超える前に、所定閾値を越えた場合に、伝達関数の推定値Gh(s)の振幅および位相を所定閾値内の値に補正することができるため、その後経年変化したとしても、安定領域を超えないようにできる。
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。まず、本実施形態の能動型防振適応制御装置の概要説明を「(1)能動型防振適応制御装置の概要説明」の項目にて記載した後に、「(2)能動型防振適応制御装置の詳細構成」の項目にて詳細構成を説明する。その後、「(3)安定解析」の項目にて、本実施形態の能動型防振適応制御装置により得られる効果である安定解析に関して説明する。そして、最後に、「(4)効果」の項目に本実施形態の効果を述べる。
(1)能動型防振適応制御装置の概要説明
まず、本実施形態の能動型防振適応制御装置の概要について、図1および図2を参照して説明する。図1は、能動型防振適応制御装置の制御ブロック図である。図2は、適応制御アルゴリズムの説明図である。
図1に示すように、能動型防振適応制御装置は、制御信号発生部10により周期性の制御信号u(t)を出力することにより、観測点20における防振対象振動d(t)の影響を低減することを目的としている。そして、制御信号発生部10にて出力する制御信号u(t)のフィルタ係数(振幅Ahおよび位相Φh)は、フィルタ係数更新部30にて誤差信号e(t)を参照して算出したフィルタ係数Ah、Φhにより、適応的に更新している。ここで、誤差信号e(t)は、防振対象振動d(t)から、伝達関数G(s)を介した制御信号u(t)であるy(t)を減算した値である。
図1に示す制御ブロック図において、本実施形態の能動型防振適応制御装置の適応制御アルゴリズムは、図2に示すようになる。まず、制御信号発生部10にて、制御信号u(t)を発生する。続いて、その制御信号u(t)を発生したときの誤差信号e(t)を検出する。続いて、誤差信号e(t)と予め記憶されている伝達関数G(s)の推定値とに基づいて、防振対象振動d(t)の推定値を算出する。この防振対象振動d(t)の推定値の算出の際には、防振対象振動d(t)の正弦成分と余弦成分の相関を利用する。そして、算出された防振対象振動d(t)に基づいて、制御信号u(t)のフィルタ係数Ah、Φhを算出する。このフィルタ係数Ah、Φhを、次に発生する制御信号u(t)のフィルタ係数として更新する。
このように、本実施形態の適応制御アルゴリズムは、正弦成分と余弦成分の相関を利用することで、元々未知であった防振対象振動d(t)の推定値を算出していることが特徴的である。
(2)能動型防振適応制御装置の詳細構成
次に、本実施形態の能動型防振適応制御装置の詳細構成について、図3を参照して説明する。図3は、能動型防振適応制御装置の詳細構成を示すブロック図である。能動型防振適応制御装置は、例えば、車両に搭載されたエンジンE/G(振動発生源)により発生する振動が車両の各部位(以下、「防振対象部材」という)に伝達されることを、能動的に抑制するための装置である。なお、振動発生源としては、エンジンのみならず、他のあらゆる部材が振動発生源となり得る。そして、本発明の能動型防振適応制御装置は、これら全ての振動発生源による防振対象振動の影響を低減することを目的として適用することができる。
能動型防振適応制御装置は、エンジンE/Gの振動に起因して発生する防振対象部材の振動を、能動的に抑制する装置である。例えば、防振対象部材は、エンジンE/Gをエンジンマウントにより防振支持するエンジンフレームや、ダイナミックダンパが取り付けられた車両の各部位等である。
この能動型防振適応制御装置は、図3に示すように、周波数算出部11と、制御信号発生部12と、伝達関数推定値記憶部13と、誤差検出部14と、フィルタ係数更新部15と、安定領域算出部16と、補正部17とを備えている。
周波数算出部11は、エンジンE/Gの回転数を検出する回転検出器(図示せず)から周期性のパルス信号を入力する。そして、周波数算出部11は、入力されたパルス信号に基づき、該パルス信号の角周波数ωを算出する。このパルス信号の角周波数ωは、エンジンE/Gの振動主成分の角周波数ωに相当する。ここで、エンジンE/Gの振動に起因して発生する防振対象部材の振動の角周波数ωは、エンジンE/Gの振動の角周波数ωに一致している。つまり、周波数算出部11により算出したエンジンE/Gの振動の角周波数ωを、防振対象部材の防振対象振動の基本波の角周波数ωに相当する。
制御振動発生部12は、周波数算出部11にて算出された防振対象振動d(t)の基本波の角周波数ωに基づき、式(11)に従って得られる周期性の制御信号u(t)を発生させる。つまり、制御信号u(t)は、振幅Ahおよび位相Φhを構成成分に含む、時刻tにおける信号である。そして、振幅Ahおよび位相Φhは、後述するフィルタ係数更新部15により適応的に更新される。ここで、制御信号u(t)としては、防振対象振動d(t)の基本波の角周波数ωに加えて、2次高調波および3次高調波の成分を含む。以下の式において、下付き添え字のうち、最初の数字が、次数を示す。また、下付き添え字のうち、次数の次に示す[N]などは、防振対象振動d(t)の基本波のN番目の周期を示す。つまり、[N]と記載されているものは、N周期目のものを意味し、[N−1]と記載されているものは、(N−1)周期目のものを意味する。
伝達関数推定値記憶部13は、周波数算出部11にて算出された防振対象振動d(t)の基本波の角周波数ωに基づき、伝達関数G(s)の推定値Gh(s)を予め記憶している。伝達関数G(s)とは、制御信号発生部12から観測点20までの伝達関数である。ここで、伝達関数G(s)は、角周波数ωに応じたゲイン(振幅)成分gと位相成分θとが含まれている。そこで、伝達関数の推定値Gh(s)(「Gハット」と称する)としては、角周波数ωに応じた推定ゲイン(振幅)成分gh(「gハット」)と推定位相成分θh(「θハット」)とが含まれている。例えば、伝達関数推定値記憶部13は、角周波数ωに対する推定ゲインghおよび推定位相θhのマップが記憶されている。
誤差検出部14は、観測点20における誤差e’(t)を、防振対象振動d(t)の基本波の1周期よりも十分に短いサンプリング周期にて検出する。誤差e’(t)は、式(12)に示すように、防振対象振動d(t)から、制御信号u(t)が伝達関数G(s)を介して伝達される周期性信号y(t)を減算したものである。ここで、周期性信号y(t)は、伝達関数G(s)および制御信号u(t)を乗算したものに相当するため、式(12)の第二式として表わされる。
そして、誤差検出部14にて検出される誤差信号e’(t)は、ノイズや外乱などの影響により、防振対象振動d(t)の基本波の角周波数ωの成分およびその高調波成分以外の成分が含まれていることがある。そこで、バンドパスフィルタを用いて、検出された誤差信号e’(t)から、防振対象振動d(t)の基本波の整数倍周期をそれぞれ含む周波数帯を抽出した誤差信号e(t)を得ている。なお、本実施形態においては、抽出する周波数帯は、防振対象振動d(t)の基本波、2次高調波および3次高調波の成分としている。
フィルタ係数更新部15は、角周波数ω、制御信号u(t)、伝達関数の推定値Gh(s)および誤差信号e(t)に基づいて、制御信号u(t)の振幅Ahおよび位相Φhを算出して更新する。このフィルタ係数更新部15は、概要説明において説明したように、正弦成分と余弦成分の相関を利用して、防振対象振動d(t)の推定未知関数dh(t)を算出した上で、制御信号u(t)の振幅Ahおよび位相Φhを算出している。
ここで、制御信号u(t)のフィルタ係数(振幅Ah、位相Φh)の更新周期T1とサンプリング周期T2とについて、図4を参照して説明する。図4は、更新周期T1とサンプリング周期T2について説明する図である。図4に示すように、フィルタ係数の更新周期T1は、本実施形態では、防振対象振動の基本波の周期としている。つまり、防振対象振動の基本波の1周期に1回、フィルタ係数を更新する。一方、誤差信号e’(t)を検出するサンプリング周期T2は、フィルタ係数の更新周期T1よりも十分に短い周期である。そして、本実施形態においては、防振対象振動の(N−1)周期目における誤差信号e(t)を用いて(N−1)周期目の防振対象振動の推定未知関数dh(t)を算出した後に、この推定未知関数dh(t)に基づいてN周期目のフィルタ係数を算出する。そして、算出されたフィルタ係数をN周期目の制御信号u(t)のフィルタ係数に適用する。
このフィルタ係数更新部15は、相関値算出部151と、防振対象振動の振幅位相算出部152と、更新用振幅位相算出部153とから構成される。相関値算出部151は、正弦相関値算出部151aと、余弦相関値算出部151bとから構成される。
正弦相関値算出部151aは、制御信号u(t)、伝達関数の推定値Gh(s)および誤差信号e(t)に基づいて導き出される観測点20における防振対象振動の推定未知関数dh(t)に、正弦波を乗算して且つ基本波の整数倍周期(ここでは1周期)の間を積分することにより、正弦相関値αhを算出する。
また、余弦相関値算出部151bは、制御信号u(t)、伝達関数の推定値Gh(s)および誤差信号e(t)に基づいて導き出される観測点20における防振対象振動の推定未知関数dh(t)に、余弦波を乗算して且つ基本波の整数倍周期(ここでは1周期)の間を積分することにより、余弦相関値βhを算出する。
以下に、正弦相関値算出部151aおよび余弦相関値算出部151bによる正弦相関値αhおよび余弦相関値βhの算出について、詳細に説明する。まずは、防振対象振動d(t)の推定未知関数dh(t)は、式(13)に示すように定義する。この式(13)における、各次数の振幅ahおよび位相φhを以下のようにして算出する。
ここで、式(12)に記載したように、誤差信号e’(t)は、防振対象振動d(t)、伝達関数G(s)および制御信号u(t)により表すことができる。しかし、防振対象振動d(t)および伝達関数G(s)は測定できないため、それぞれ推定値を用いて表すと、式(14)のようになる。そして、防振対象振動の推定未知関数dh(t)は、式(15)のように表すことができる。
ここで、正弦成分と余弦成分の相関についての一般論について説明する。ある正弦関数に正弦波を乗算して、且つ、その正弦関数の1周期Tの間を積分した場合には、式(16)に示すようになる。つまり、mとnが一致する場合に所定の値を持ち、mとnが異なる場合には零(0)となる。一方、ある正弦関数に余弦波を乗算して、且つ、その正弦関数の1周期Tの間を積分した場合には、式(17)に示すようになる。つまり、mとnが一致する場合に所定の値を持ち、mとnが異なる場合には零(0)となる。
次に、(N−1)周期目におけるy(t)、すなわち、「Gh(s)・u(t)」を算出する。ここで、(N−1)周期目における防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅Ahk,[N-1]、位相Φhk,[N-1]は、式(18)のように表すことができる。
つまり、式(18)(19)と、式(11)によれば、(N−1)周期目における「Gh(s)・u(t)」は、式(20)のようになる。
そうすると、式(15)に式(20)を代入することにより、dh(t)は式(21)のように表される。
そして、式(21)により導き出された(N−1)周期目の防振対象振動の推定未知関数d(t)に正弦波または余弦波を乗算して、且つ、防振対象振動の基本波の1周期の間を積分する。そうすると、N周期目における正弦相関値αhk,[N-1]および余弦相関値βhk,[N-1]は、式(22)(23)のように表される。これらは、式(16)(17)により得られる。
次に、フィルタ係数更新部15を構成する防振対象振動の振幅位相算出部152について説明する。この防振対象振動の振幅位相算出部152は、上述した相関値算出部151により算出された、(N−1)周期目における正弦相関値αhk,[N-1]および余弦相関値βhk,[N-1]に基づいて、N周期目における防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahk,[N]および位相φhk,[N]を算出する。
まず、振幅位相算出部152は、N周期目における正弦相関値αhk,[N-1]および余弦相関値βhk,[N-1]のみにより、推定未知関数dh(t)の振幅ah’k,[N]および位相φh’k,[N]を、式(24)(25)に基づいて算出する。
さらに、振幅位相算出部152は、式(26)に基づいて、忘却係数Γを用いて、N周期目よりも前の周期における防振対象振動dh(t)の振幅ahk,[N-1]等および位相φhk,[N-1]等を考慮して、N周期目の防振対象振動dh(t)の振幅ahk,[N]等および位相φhk,[N]を変更する。
つまり、それぞれの忘却係数Γは、1以下の値であって、現在から過去に向かって小さくなるように設定されている。さらに、これらの忘却係数Γの合計値は、1以下の値となるようにされている。これにより、忘却係数が現在から過去に向かって小さくなるようにそれぞれ設定されているため、現在算出された振幅ahおよび位相φhが、変更された振幅ahおよび位相φhに大きな影響を及ぼす。一方、過去へ向かうに従って、過去に算出された振幅ahおよび位相φhが、変更された振幅ahおよび位相φhへの影響度は小さくなる。つまり、変更後である現在の振幅ahおよび位相φhは、現在から過去に亘る防振対象振動の推定値により得られた値であって、現在に近いほどその影響度が大きくなるようになる。これにより、過去の係数の影響を受けるようにすることで外乱による影響をできるだけ小さくしつつ、現在の影響を最大とすることで防振対象振動の変化に高速に応答できるようになる。
次に、フィルタ係数更新部15を構成する更新用振幅位相算出部153について説明する。この更新用振幅位相算出部153は、式(27)(28)により、上述した防振対象振動の振幅位相算出部152により算出された、N周期目における防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahk,[N-]および位相φhk,[N]に基づいて、(N+1)周期目における制御信号u(t)の振幅Ahk,[N+1]および位相Φhk,[N+1]を算出する。なお、ghkは、伝達関数の推定値Gh(s)のゲインであり、θhkは、伝達関数の推定値Gh(s)の位相である。そして、算出した(N+1)周期目における制御信号u(t)の振幅Ahk,[N+1]および位相Φhk,[N+1]を、(N+1)周期目の制御信号u(t)のフィルタ係数へ更新する。
次に、安定領域算出部16は、防振対象振動が発生していない状態において制御信号u(t)を発生させた場合の誤差信号e(t)に基づいて、伝達関数の推定値Gh(s)の振幅Ahおよび位相θhの安定領域を算出する。この安定領域は、式(30)を満たす領域、すなわち、図5のハッチングで示す領域となる。この安定領域は、例えば、経年変化などによっても変化することがある。なお、安定領域の詳細については、下記の「(3)安定解析」の項目にて詳細に説明する。
補正部17は、安定領域算出部16により算出された安定領域に基づいて、推定伝達関数記憶部13に記憶されている伝達関数の推定値Gh(s)の振幅ghおよび位相θhを補正して、推定伝達関数記憶部13の記憶内容を変更する。具体的には、補正部17は、安定領域算出部16により算出された安定領域に基づいて、安定領域内の所定閾値を設定する。この所定閾値は、図5の二点鎖線にて示すように設定されている。例えば、本実施形態においては、横軸を1で縦軸を0とする点が最も安定している点と考え、当該点から安定領域の境界までを線分のうち、7割程度の値を閾値と設定する。そして、安定領域算出部16により算出された現在の安定領域の座標において、現在推定伝達関数記憶部13に記憶されている伝達関数の推定値Gh(s)の振幅ghおよび位相θhが閾値を超えている場合には、閾地内の値に補正する。
(3)安定解析
次に、本実施形態の適応制御アルゴリズムについての安定解析について説明する。まず、伝達関数G(s)のゲインgおよび位相θは、式(31)のように表される。また、防振対象振動d(t)は、式(32)のように定義する。
ここで、制御信号u(t)は、式(33)のように表され、防振対象振動の推定未知関数dh(t)は、式(34)のように表される。
このとき、正弦相関値αhおよび余弦相関値βhは、式(35)(36)のように表される。
そうすると、N周期目の防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahおよび位相φhは、式(37)(38)のように表される。
ここで、振幅ah[N]および位相φh[N]を、変換して、式(39)に示すようなx[N]、y[N]を用いて安定解析を行う。
そうすると、x[N]およびy[N]は、式(40)(41)のように表される。
ここで、このx[N]およびy[N]を、行列表現にすると、式(42)のようになる。
そして、この行列式(41)の安定性は、式(42)の行列Aの固有値で決定される。つまり、Aの特性方程式は、式(43)のように表される。
そして、式(43)があんてい多項式であるための必要十分条件は、式(44)となる。
なお、式(45)の根の絶対値が1未満であるために必要十分条件は、式(46)であることが知られている。上記式(44)は、式(45)(46)の関係により導き出すことができる。
つまり、式(44)の第1式は、γ(γ−2cosδ)<0である。式(44)の第2式は、γ>0となり、常に成り立つ。また、式(44)の第3式は、(γ−2cosδ)+4sinδ>0となり、これも常に成り立つ。従って、式(44)の第1式より、式(47)を満たす領域が、安定領域となる。
(4)効果
以上説明したように、本実施形態の適応制御アルゴリズムによれば、正確な安定領域を算出することができる。従って、伝達関数の推定値Gh(s)の振幅ghおよび位相θhを、確実に安定領域内に設定することができる。
また、従来のDXHS−LMSアルゴリズムのような最小二乗法を用いることなく、相関を利用することで、制御信号u(t)の振幅Ahおよび位相Φhを更新演算処理が、比較的簡易な演算処理となることにより、演算負荷を軽減することができる。さらに、本実施形態によれば、少なくとも1周期分の誤差信号e(t)のサンプリングデータを用いて、次の更新データを演算するため、サンプリング周期を従来に比べて長くしても、それほど防振性能が低下しないようにできる。つまり、本実施形態の相関を利用した適応制御アルゴリズムを用いることで、サンプリング周期を長くすることができ、結果として、演算負荷を低減することができる。
また、更新用振幅位相算出部153は、防振対象振動(t)の基本波の1周期毎に制御信号u(t)の振幅Ahおよび位相Φhを更新している。1周期よりも短いサンプリング周期毎に制御信号の係数を更新するDXHS−LMSアルゴリズムに比べて、更新回数を大幅に低減でき、結果として演算負荷を大幅に低減することができる。さらに、1周期毎の係数更新により、外乱の影響を受けにくくできる。つまり、外乱による急激な変化の影響をそれほど受けることなく、制御信号u(t)の係数を更新することで、安定的に防振対象振動を抑制できる。
<その他>
上記実施形態においては、更新周期を防振対象振動d(t)の基本波の1周期としたが、2周期以上としてもよい。また、更新周期を、誤差信号e(t)のサンプリング周期毎に更新することもできる。この場合、更新回数低減による演算負荷の低減による効果は奏しないが、従来のDXHS−LMSアルゴリズムと比較した場合には、サンプリング周期を長くできるため、その分、更新回数を低減できる。つまり、DXHS−LMSアルゴリズムに比べると、係数の更新回数を低減できる。さらに、サンプリング周期毎に制御信号u(t)の係数を更新することにより、防振対象振動の変化に対して応答性が良くなる。
能動型防振適応制御装置の制御ブロック図である。 適応制御アルゴリズムの説明図である。 能動型防振適応制御装置の詳細構成を示すブロック図である。 更新周期T1とサンプリング周期T2について説明する図である。 安定領域を示す図である。

Claims (8)

  1. 防振対象振動の基本波の角周波数ωを検出する角周波数検出部と、
    前記角周波数検出部により検出された前記角周波数ωに基づいて、振幅Ahおよび位相Φhを構成成分に含む時刻tにおける周期性の制御信号u(t)を発生させる制御信号発生部と、
    前記制御信号発生部から所定の観測点までの伝達関数の推定値Gh(s)を予め記憶する推定伝達関数記憶部と、
    前記観測点における誤差信号e(t)を、前記基本波の1周期よりも短いサンプリング周期にて検出する誤差検出部と、
    前記角周波数ω、前記制御信号u(t)、伝達関数の推定値Gh(s)および前記誤差信号e(t)に基づいて、前記制御信号u(t)の前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新するフィルタ係数更新部と、
    を備え、前記観測点における前記防振対象振動の影響を低減する能動型防振適応制御装置において、
    前記フィルタ係数更新部は、
    前記制御信号u(t)、伝達関数の推定値Gh(s)および前記誤差信号e(t)に基づいて導き出される前記観測点における前記防振対象振動の推定未知関数dh(t)に、正弦波を乗算して且つ前記基本波の整数倍周期の間を積分することにより、正弦相関値を算出する正弦相関値算出部と、
    前記観測点における前記防振対象振動の前記推定未知関数dh(t)に、余弦波を乗算して且つ前記基本波の整数倍周期の間を積分することにより、余弦相関値を算出する余弦相関値算出部と、
    前記正弦相関値および前記余弦相関値に基づき、前記防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahおよび位相φhを算出する防振対象振動の振幅位相算出部と、
    前記伝達関数の推定値Gh(s)、前記振幅ahおよび前記位相φhに基づき前記振幅Ahおよび前記位相Φhを算出し、且つ、前記制御信号u(t)の前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新する更新用振幅位相算出部と、
    を備えることを特徴とする能動型防振適応制御装置。
  2. 前記制御信号u(t)は、前記防振対象振動の前記基本波の角周波数ωの成分と前記角周波数ωの高次周波数kωの成分とを含み、
    前記防振対象振動の推定未知関数dh(t)は、前記防振対象振動の前記基本波の角周波数ωの成分と前記角周波数ωの高次周波数kωの成分とを含み、
    前記正弦相関値算出部は、前記推定未知関数dh(t)に、各次数kの前記正弦波をそれぞれ乗算して且つ前記基本波の整数倍周期の間を積分することにより、各次数kにおける前記正弦相関値を算出し、
    前記余弦相関値算出部は、前記推定未知関数dh(t)に、各次数kの前記余弦波をそれぞれ乗算して且つ前記基本波の整数倍周期の間を積分することにより、各次数kにおける前記余弦相関値を算出し、
    前記振幅位相算出部は、各次数kにおける前記正弦相関値および各次数kにおける前記余弦相関値に基づき、各次数kにおける前記防振対象振動の推定未知関数dh(t)の振幅ahおよび位相φhを算出し、
    前記更新用振幅位相算出部は、各次数kにおける前記伝達関数の推定値Gh(s)、前記振幅ahおよび前記位相φhに基づき各次数kにおける前記振幅Ahおよび前記位相Φhを算出し、且つ、前記制御信号u(t)の各次数kにおける前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新する請求項1に記載の能動型防振適応制御装置。
  3. 前記正弦相関値算出部は、式(1)に基づいて前記正弦相関値を算出し、
    前記余弦相関値算出部は、式(2)に基づいて前記余弦相関値を算出し、
    前記防振対象振動の振幅位相算出部は、式(3)(4)に基づいて前記防振対象振動の推定値dh(t)の前記振幅ahおよび前記位相φhを算出し、
    前記更新用振幅位相算出部は、式(5)(6)に基づいて前記振幅Ahおよび前記位相Φhを算出する請求項1または2に記載の能動型防振適応制御装置。
  4. 前記更新用振幅位相算出部は、前記基本波の1周期毎に前記制御信号u(t)の前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新する請求項1〜3の何れか一項に記載の能動型防振適応制御装置。
  5. 前記更新用振幅位相算出部は、前記サンプリング周期毎に前記制御信号u(t)の前記振幅Ahおよび前記位相Φhを更新する請求項1〜3の何れか一項に記載の能動型防振適応制御装置。
  6. 前記振幅位相算出部は、
    それぞれ1以下の値であって現在から過去に向かって小さくなるようにそれぞれ設定され、合計値が1以下の値となるそれぞれの忘却係数を記憶し、
    現在算出された前記振幅ahから過去に算出された前記振幅ahに亘るそれぞれの前記振幅ahに対して、それぞれの前記忘却係数を乗算した値の合計値を、現在の前記振幅ahとし、
    現在算出された前記位相φhから過去に算出された前記位相φhに亘るそれぞれの前記位相φhに対して、前記忘却係数を乗算した値の合計値を、現在の前記位相φhとする請求項1〜5の何れか一項に記載の能動型防振適応制御装置。
  7. 前記誤差検出部は、前記防振対象振動の基本波の整数倍周期をそれぞれ含む所定の周波数帯を抽出するバンドパスフィルタを備え、前記バンドパスフィルタにより抽出された信号を前記誤差信号e(t)とする請求項1〜6の何れか一項に記載の能動型防振適応制御装置。
  8. 前記防振対象振動が発生していない状態において前記制御信号u(t)を発生させた場合の前記誤差信号に基づいて、前記伝達関数の推定値Gh(s)の振幅および位相の安定領域を算出する安定領域算出部と、
    前記推定伝達関数記憶部に記憶されている前記伝達関数の推定値Gh(s)の振幅および位相が、前記安定領域算出部により算出された前記安定領域に基づく所定閾値を超えている場合に、前記推定伝達関数記憶部に記憶されている前記伝達関数の推定値Gh(s)の振幅および位相を前記所定閾値内の値に補正する補正部と、
    を備える請求項1〜7の何れか一項に記載の能動型防振適応制御装置。
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