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JP4943640B2 - 超電導装置 - Google Patents

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JP4943640B2
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Description

本発明は超電導磁石を極低温に維持しつつ冷凍機と圧縮機とを搭載する超電導装置に関する。
従来技術として、図8に示される超電導装置(非特許文献1)が知られている。また、図9に示される超電導マグネット用冷凍機(特許文献1)が知られている。更に図10に示される冷凍機冷却の冷却装置(特許文献2)が知られている。
図8に示す従来技術によれば、液体ヘリウムを収容する液体ヘリウム槽101は、超電導磁石102aを収納している容器102に連通している。液体ヘリウム槽101及び容器102には、冷媒としての液体ヘリウム103が封入されている。従って容器102に収納されている超電導磁石102aは、液体ヘリウム103で冷却されている。液体ヘリウム槽101には、液体ヘリウム槽101内で蒸発したヘリウム蒸気を再び液化させる冷凍機104が設置されている。この冷凍機104はGM冷凍機及びJT回路を組合せて構成されている。液体窒素を収容する液体窒素槽105内の液体窒素106は、超電導磁石102aを収納する容器102を覆っている輻射シールド部材107を冷却している。液体窒素を収容する液体窒素槽105には、液体窒素槽105内で蒸発した窒素蒸気を再び液化させるGM冷凍機108が設置されている。そして、液体ヘリウム槽101、液体窒素槽106と、冷凍機104の低温部、冷凍機108の低温部は真空槽109内に設けられている。更に、超電導磁石102aを収納している容器102は真空槽110内に設けられている。
図8に示すように、冷凍機104,冷凍機108に離間するように、冷媒圧縮用の圧縮機111が設置されている。この圧縮機111は、図8に示すように、容器102内の超電導磁石102aから発生する磁場の影響が少なくなるように、超電導磁石102aから離れた場所に設置されている。圧縮機111から配管112a,112b,112c,112dを介してヘリウムガスが冷凍機104,冷凍機108に供給されている。
図9に示す従来技術によれば、MRI用の超電導マグネット409に設置されたMRI用ヘリウム冷凍機400のコールドヘッド406の高圧吸気部HPと低圧排気部LPには、それぞれフレキシブルホース405、フレキシブルホース407の一端が接続されている。フレキシブルホース405、フレキシブルホース407の他端は、それぞれ吸着器404の吐出口404a及び圧縮機401の吸入口401aに接続されている。更に、圧縮機401の吐出口401cは分離機器402、403、吸着器404に接続されている。圧縮機401は超電導マグネット409の強い磁場の影響をうけないように超電導マグネット409から離間している。
また、図10に示す他の従来技術によれば、冷媒槽210には液体窒素213が収容されている。更にシールド部材222a、222bが設けられ、シールド部材222a、222bに熱接触する供給配管212の一端212aは、冷媒槽210の内部に設けられたポンプ211に接続されている。供給配管212の他端212cは戻り配管218に接続されている。戻り配管218は、冷凍機200の冷凍発生部201に熱接触する凝縮器213、冷媒槽210に連通している。凝縮器213は、冷凍機200の冷凍発生部201で発生した冷凍により冷却される。
ここで、供給配管212を流れる液体窒素は、シールド部材222a、222bを冷却しつつ蒸発する。このように供給配管212において蒸発した窒素蒸気は凝縮器213において冷却され、再び液化され、戻り配管218を通って、冷媒槽210内に戻る。また、図10に示すように冷凍機200,230は真空槽225aに設置されている。この冷凍機230はスターリング冷凍機で構成されている。冷凍機230では、圧縮部を形成する圧縮用のピストン236bと、膨張部を形成する膨張ピストン231bとは同一方向に設けられている。スターリング冷凍機230とジュールトムソン回路250Bの低温部は真空槽225aに設けられている。ジュールトムソン回路250Bは、図10に示すように、配管234,236を介して圧縮機235に接続されている。液体ヘリウム溜220の底部には超電導磁石221が収容されている。従って超電導磁石221は液体ヘリウム溜220内の液体ヘリウムで冷却されている。液体ヘリウム溜220では、断熱支持材223b、224aを介して侵入する熱で液体ヘリウム溜220のヘリウム液が蒸気する。この蒸発したヘリウム蒸気は、スターリング冷凍機230とジュールトムソン回路250Bとを組合せた冷凍回路で、再液化される。前述した従来技術と同様に、図10に示す従来技術によれば、圧縮機235は、超電導磁石221の発生する強い磁場の影響がない場所に、超電導磁石221から離間させて設置されている。
第58回1998年度春季 低温工学・超電導学会 講演概要集の67ページ 特開2001−358008号公報 特開昭58−148657号公報
図8に示された従来技術によれば、圧縮機111は、超電導磁石102aから発生する強い磁界の影響を受けないように超電導磁石102aから離間されている。このため、図8から理解できるように、圧縮機111と冷凍機104,冷凍機108とを接続する配管112a、112b、112c、112dの長さは長くなる。この結果、配管112a、112b、112c、112dにおける圧力損失が大きくなる。仮に、配管112a、112b、112c、112dの圧力損失を小さくするために、圧縮機111を超電導装置の真空槽110に設置すると、超電導磁石102aから発生している強力な磁界によって圧縮機111が作動しなくなるおそれがある。
更に、図8に示された従来技術によれば、超電導装置のメンテナンスのため、図示されていない台枠から超電導装置100を外す場合には、冷凍機104と冷凍機108とを接続する配管112a、112b、112c、112dを切り離して取り外さなければならない。更に、メンテナンス終了後は、配管112a、112b、112c、112dを冷凍機104と冷凍機108との間において再び接続しなければならない。この配管112a、112b、112c、112dの脱着時、圧縮機111のガス回路内に空気等の不純なガスが混入するおそれがある。この場合、冷凍機のガス汚染を引き起こすおそれがあり、冷凍能力の低下を起こすことがある。
図9に示す従来技術においても、MRI用の超電導磁石の発生する強力な磁界の影響のない場所に圧縮機401を設置しなければならない。この結果、圧縮機401に接続されているフレキシブルホース405、407の長さは長くなる。従って、図7に示す場合と同様に、フレキシブルホース405、407の圧力損失が大きくなるといった不具合が生じる。更に、超電導装置のメンテナンスのため、フレキシブルホース405、407を取り外すとき、圧縮機235のガス経路内に空気等の不純なガスが混入するおそれがある。この場合、冷凍機のガス汚染を起こし、冷凍能力低下を起こすおそれがある。
図10に示す従来技術によれば、スターリング冷凍機200、スターリング冷凍機230には誘導モータが取り付けられており、超電導磁石221が発生する強力な磁界によって、誘導モータの回転が止まったりするおそれがある。更に、冷凍機200の圧縮用のピストン202b及び膨張ピストン201bは、図10に示すように直交した構成になっている。このため、ピストン202b,201bに作用するガス圧力による荷重と慣性カとによって、冷凍機200は大きな振動を発生する。他方の冷凍機230についても、同様の理由で大きな振動が発生し、この振動が真空槽225aに伝わり、超電導装置の振動が大きくなるおそれがあり、好ましくない。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、圧縮機と冷凍機とを接続する配管の長さを短縮化でき、配管における圧力損失を低減させるのに有利であり、更に、超電導装置のメンテナンス時に配管を取り外す頻度を低減でき、これにより圧縮機のガス経路内に空気等の不純なガスが混入することを抑制でき、冷凍機のガス汚染、冷凍能力低下を抑制できる超電導装置を提供することにある。
本発明に係る超電導装置は、真空断熱室をもつ真空槽と、前記真空断熱室に配置された超電導磁石と、前記超電導磁石を冷凍部にて冷却する冷凍機と、前記真空槽に搭載されて前記冷凍部を冷却する冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機の駆動機構を磁気シールドする磁気シールド手段と、を具備する超電導装置において、前記圧縮機は、複数のピストンと、各前記ピストンを駆動させる駆動機構と、前記複数のピストン及び前記駆動機構を覆うケースと、を備えると共に、前記駆動機構は、固定鉄心と、前記固定鉄心を励磁させる励磁巻線と、永久磁石を有し前記固定鉄心に吸引または反発して前記ピストンを変位させる可動体とを備え、さらに、前記ケースは、磁性材料で形成されて前記磁気シールド手段が構成され、前記ケースと前記真空槽との間に、非磁性材料の部材及び磁気ギャップとなる空間のうち少なくとも一方を設けたことを特徴とするものである。
本発明に係る超電導装置によれば、超電導磁石及び冷凍機を備える真空槽に圧縮機が搭載されている。このため圧縮機と冷凍機とを接続する冷媒供給用の配管の長さを短くすることができる。しかしながらこのように超電導磁石を搭載する真空槽に圧縮機を搭載するときには、超電導磁石と圧縮機とが位置的に近づき、圧縮機の駆動機構の磁気回路は真空槽内の超電導磁石の強い磁場の影響をうけ易くなり、駆動機構の円滑な駆動が損なわれるおそれがある。この点について本発明に係る超電導装置によれば、超電導磁石を備える真空槽に圧縮機を搭載させる方式を採用しつつも、圧縮機のケースにより磁気シールド手段が構成され、さらにケースと真空槽との間に非磁性材料の部材及び磁気ギャップとなる空間のうち少なくとも一方が設けられている。このため、圧縮機が真空槽内の超電導磁石の強い磁場の影響を受けることが抑制される。故に圧縮機は良好に作動することができ、冷凍機における冷凍を生成させることができる。
本発明によれば、次の効果が得られる。
(1)超電導磁石を収納している真空槽に圧縮機を搭載しても,超電導磁石が発生する
強力な磁場環境下でも圧縮機が正常に作動する。
(2)超電導磁石を収納している真空槽に圧縮機を搭載しているため、圧縮機と冷凍機とが近づき、圧縮機と冷凍機とを繋ぐ冷媒供給用の配管の長さを短くすることができる。このため超電導磁石を冷却している圧縮機と冷凍機とを繋ぐ配管における圧力損失を小さくすることができる。
(3)上記したように圧縮機と冷凍機とを繋ぐ配管の長さを短くすることができるため、圧縮機と冷凍機とを繋いだ状態の超電導装置をメンテナンス工場等に搬送できる。故に、圧縮機と冷凍機とを繋ぐ配管を取り外す頻度を減少させることができる。故に、配管の取り外しに起因する冷媒ガスの汚染を低減させることができ、ガス汚染による冷凍能力の低下を抑制することができる。
(4)超電導装置を収容する真空槽に圧縮機を一体的に搭載しているので、圧縮機を設置場所に搭載する専用の台枠、圧縮機を設置する設置場所を不要にできる利点がある。特に、磁気浮上車両に装備される超電導磁石では、色々な機器を車載するため、省スペース化は大きな利点となる。
本発明に係る超電導装置によれば、圧縮機は真空槽に搭載されている。この場合、例えば、圧縮機を真空槽の上面に載せることができる。更に圧縮機のケースを磁性材料で形成することで、超電導磁石に対して磁気シールドする磁気シールド手段を構成することができる。ケースの構成材料としては、透磁性が良好な鉄系材料等の磁性材料を採用することができる。
本発明に係る超電導装置によれば、ケースと真空槽との間は非磁性の脚を介して固定され、且つ前記ケースと真空層との間に磁気ギャップとなる隙間が形成されている形態を例示できる。この場合、圧縮機が真空槽内の超電導磁石の強い磁場の影響を受けることが抑制される。故に圧縮機は良好に作動することができ、冷凍機における冷凍を生成させることができる。
本発明に係る超電導装置によれば、圧縮機の駆動機構は、固定鉄心と、固定鉄心を励磁させる励磁巻線と、固定鉄心に吸引または反発して直進方向に移動すると共にピストンに接続された可動体とを備えている。この場合、励磁巻線に励磁電流が流れると、固定鉄心の磁極が交互に変化し、可動体が固定鉄心に吸引または反発して直進方向に移動する。この圧縮機固定鉄心とケースとの間に非磁性材料の部材が配置されている形態を例示できる。このように固定鉄心とケースとの間に非磁性材料の部材が配置されているため、超電導磁石が発生する強い磁場の環境下においても、駆動機構が良好に駆動し、ひいては冷凍機が正常に作動し、超電導磁石の極低温状態を良好に維持できる。非磁性材料とは、強磁性材料ではないという意味であり、常磁性材料を含む。従って非磁性材料とは、アルミニウム、アルミニウム合金、オーステナイト系のステンレス、樹脂、セラミックス、繊維強化樹脂、樹脂発泡材料のうち少なくとも一つが例示される。
本発明に係る超電導装置によれば、圧縮機固定鉄心とケースとの間に磁気ギャップとなる空間が配置されている形態を例示できる。固定鉄心とケースとの間に磁気ギャップとなる空間が配置されているため、超電導磁石が発生する強い磁場環境下においても、圧縮機の駆動機構が良好に駆動し、ひいては冷凍機が正常に作動し、超電導磁石の極低温状態を良好に維持できる。
本発明に係る超電導装置によれば、圧縮機を構成する複数のピストンは、同軸上において互いに対向するように配置された直動可能な第1ピストン及び第2ピストンで形成されており、且つ第1ピストン及び第2ピストンを同軸上において互いに接近させる方向に同期させて移動させる形態と、前記第1ピストン及び前記第2ピストンを同軸上において互いに遠ざける方向に同期させて移動させる形態とを繰り返して動作させる制御部をさらに備える形態を例示できる。この場合、第1ピストン及び第2ピストンの動作に起因する振動を相殺させる方向に第1ピストン及び第2ピストンを往復移動させるため、超電導装置の振動を低減することができる。
本発明に係る超電導装置によれば、磁性材料で形成されるケースのうち磁界の強い部分に、磁性材料で形成される磁気シールド部材が設置されており、ケース及び磁気シールド部材により二重の磁気シールド手段が構成される形態を例示できる。この場合、圧縮機の軽量化の目的でケースの厚さを薄くしても、磁界の強い部分には磁気シールド部材が設置されているので、超電導磁石が発生する強い磁場環境下においても、圧縮機の駆動機構が良好に駆動し、ひいては冷凍機が正常に作動し、超電導磁石の極低温状態を良好に維持することができる。
なお、ケースの材質は非磁性でも磁性材でも良い。しかしながらケースの材質が磁性材で、固定鉄心とケースとの間に磁気ギャップが設けられていない場合には、磁気シールド内の磁束がケースに流れ込むのを抑えるため、磁気シールド部材とケースとの間に磁気ギャップとなる空間又は非磁性材の部材を設ける必要がある。一方、ケースの材質が非磁性材で、固定鉄心とケースとの間に磁気ギャップが設けられている場合には、磁気シールド部材とケースとの間に磁気ギャップとなる空間、または、非磁性の部材を設ける必要はない。
また、ケースの材質が磁性材であっても、固定鉄心とケースとの間に磁気ギャップが設けられていれば、磁気シールド部材とケースとの間に磁気ギャップとなる空間又は非磁性の部材を設ける必要はない。
また、真空槽のうち、超電導磁石から発生する磁場の強度として例えば150ガウス以上の部位(つまり超電導磁石に近い部位)に、圧縮機を搭載させることができる。また、超電導装置から発生する振動を小さくするため、更には、超電導磁石から発生する強力な磁界の環境下でも冷凍機が正常に作動するようにするため、真空槽に設けた冷凍機としては、スターリング型のパルス管冷凍機を例示することができるが、これに限定されるものではない。
以下、本発明を具体化した実施例1について図1、図2、図3を参照して示す。実施例1を図1に示す。図1に示すように、真空断熱室5aをもつ真空槽5が設けられている。真空槽5はアルミニウム等の非磁性材料で形成されている。真空断熱室5aは図略の真空ポンプ系により高真空に到達した後に高真空状態に維持される。複数個の超電導磁石lは、断熱支持材2、輻射シールドケース3、断熱支持材4を介して真空槽5の真空断熱室5a内に固定されている。輻射シールドケース3は箱形状をなしており、真空槽5から超電導磁石1に輻射熱が侵入しないように、複数の超電導磁石1の外方を覆っている。輻射シールドケース3は、後述の第1コールドヘッド53で発生している冷凍で冷却されている。
真空槽5の平坦な上面5uには、磁気シールド部材7、8(本発明の磁性材料で形成されたケースに相当する)で覆われたリニア駆動型の圧縮機20が図略の固定具を介して設置されている。図1に示すように、圧縮機20は、複数個の超電導磁石lのうち一方の超電導磁石lの上方に配置されている。磁気シールド部材7は箱形状をなしており、圧縮機20の外郭となるケース24を外側から包囲している。磁気シールド部材7の底部は平板状をなしており、磁気シールド部材7ひいては圧縮機20を真空槽5の平坦な上面5uに安定的に設置させることができる。真空槽5の上面5uと磁気シールド部材7との間には、隙間8xが形成されている。即ち隙間8xは真空槽5の上面5uに対面する。磁気シールド部材8は板状をなし、圧縮機20の下面と真空槽5の上面5uとの間の隙間8x(磁気ギャップ)に介在している。磁気シールド部材7、8は磁性材料としての鉄系材料で形成されており、真空槽5の上面5uに接触しており、圧縮機20を磁気シールドする磁気シールド手段として機能する。
圧縮機20の圧縮部21はガス状の冷媒が圧縮される部位であり、配管9を介して、冷凍機50の第1放熱器51に連通している。第1放熱器51は、第1蓄冷器52、第1コールドヘッド53(第1冷凍部)に連通している。第1蓄冷器52は、銅、銅合金あるいはステンレス等の蓄冷機能を有する蓄冷材料を収容する。第1コールドヘッド53は第1冷凍部として機能するものであり、ヘリウムである冷媒が流れる流路53aを有しており、流路53aは第1パルス管54の低温端と第2蓄冷器58の高温端に連通している。
第1パルス管54の高温端は、第2放熱器55、第1イナータンスチューブ56を介して第1バッファタンク57に連通している。図1に示すように、第1バッファタンク57は真空断熱槽5の平坦な上面5yに搭載されている。上面5yは圧縮機20を設置している上面5uに隣設する。第1イナータンスチューブ56は、電気回路のリアクタンスに相当する機能を有するものであり、その内径は第1パルス管54の内径よりも小さく設定されている。また第1バッファタンク57は電気回路のキャパシタンスに相当する。第1パルス管54の冷媒ガスが第1イナータンスチューブ56を介して第1バッファタンク57と第1パルス管54との間を行き来することにより、冷媒ガスの圧力波形の位相とガスの位置変動の位相とが調整される。従って、第1イナータンスチューブ56及び第1バッファタンク57は、第1パルス管54の低温端における冷凍生成のために、冷媒ガスの圧力波形の位相とガスの位置変動の位相とを制御する第1圧力波形制御要素として機能することができる。
第2蓄冷器58の下側の低温端は第2コールドヘッド59(第2冷凍部)に接続されている。第2蓄冷器58は、鉛や希土類等の蓄冷機能を有する蓄冷材料を収容する。第2コールドヘッド59は、ヘリウムである冷媒が流れる流路59aをもつ。第2コールドヘッド59の流路59aは第2パルス管60の下側の低温端に接続されている。第2パルス管60の長さは第1パルス管54の長さよりも短くされている。第2パルス管60の径は第1パルス管54の径よりも短くされている。第2パルス管60の上側の高温端は、第2放熱器61、第2イナータンスチューブ62を介して第2バッファタンク63に連通している。第2バッファタンク63は、第1バッファタンク57よりもタンク容積が小さい。第2イナータンスチューブ62は、電気回路のリアクタンスに相当する機能を有するものであり、その内径は第2パルス管60の内径よりも小さく設定されている。第2バッファタンク63は電気回路のキャパシタンスに相当する。第2パルス管60の冷媒ガスが第2イナータンスチューブ62を介して第2バッファタンク63に行き来することにより、冷媒ガスの圧力波形の位相とガスの位置変動の位相とが調整される。従って、第2イナータンスチューブ62及び第2バッファタンク63は、第2パルス管60の低温端における冷凍生成のために、冷媒ガスの圧力波形の位相とガス移動量を制御する第2圧力波形制御要素として機能することができる。
このようにして真空槽5に搭載されている本実施例に係る冷凍機50は、スターリング型のパルス管冷凍機50Mを形成している。本実施例によれば、第1コールドヘッド53は輻射シールドケース3に熱接触しており、輻射シールドケース3を冷却している。ひいては超電導磁石1は、熱伝導の良好な伝導部材6を介してスターリング型のパルス管冷凍機50Mの第2コールドヘッド59に熱接触している。第2コールドヘッド59は、第1コールドヘッド53よりさらに低い温度の冷凍とされる。図1に示すように、超電導磁石1は、第2コールドヘッド59で発生した(第1コールドヘッド53よりさらに低い温度の)冷凍により、伝導性が良好な伝導部材6を介して冷却されている。このようにして、圧縮機20、スターリング型のパルス管冷凍機50Mが真空槽5に超電導磁石1と共に設置され、本実施例に係る超電導装置が構成されている。
図2は、上記した冷媒圧縮機能を有する圧縮機20の断面を示す。図2に示すように、圧縮機20は、駆動機構と、駆動機構を包囲する筐体としてのケース24とを有する。図3は図2のY-Y断面を示す。圧縮機20の駆動機構は、ピストン22,23と可動体25と固定鉄心28と励磁巻線29とを主要素とする。ピストン22,23は同種のものであり、サイズ及び重量は基本的には等応する。可動体25は、非磁性材の部材25cと、部材25cに固着された複数個の永久磁石25a、25bとを備えている。図2に示すように、可動体25の移動方向(水平方向,矢印X1,X2方向)における両端部は、付勢部材としての板バネ26によりケース24に浮遊状態に弾性支持されている。板バネ26は円板形状をなしており、板バネ26の軸芯の回りに渦巻き状または円弧状のスリットを有しており、ピストン22,23の軸長方向、つまり移動方向(矢印X1,X2方向)におけるバネ性は軟らかくされて弾性変形が容易とされている。しかし板バネ26は、ピストン22,23の軸直角方向(矢印X1,X2方向と直交する方向)のバネ性は硬くされている。板バネ26の外周側は、非磁性材の固定部材27a、固定部材27bにより固定されている。固定部材27a、27bは圧縮機20のケース24に固定されている。可動体25の永久磁石25a,25bの周りには、外周側がリング状で内周側にティース部28a(図3参照)を有する固定鉄心28のティース部28aと僅かな隙間を持って設けられている。固定鉄心28は、固定部材27a、27bによりケース24の内部に固定されている。ケース24の中央域には、内径がケース24の他の部分よりも径小の筒形状のシリンダー部24aが形成されている。固定鉄心28のティース部28aの根本には、複数個の励磁巻線29が取付けられている。励磁巻線29に励磁電流が通電されると、固定鉄心28が励磁され、固定鉄心28の磁極が交互に変動する。これによりリニアモータ20Aが構成されている。
本実施例によれば、リニアモータ20Aを構成する一対の可動体25の互いに対向する一端には、圧縮用のピストン22,23が接続されている。図2に示すように、ピストン22,23は互いに対向している。圧縮用のピストン22、23は、ケース24のシリンダー部24aの内壁面に対して僅かな間隙24xを介して配置されており、この結果、ケース24のシリンダー部24aの内壁面に対して非接触状態または非接触状態に近い状態で配置されている。
圧縮用のピストン22、23の加圧面22f,23fとシリンダー部24aとにより、冷媒圧縮用の圧縮部21が形成されている。圧縮部21は冷媒を圧縮させる空間である。圧縮用のピストン22、23の互いに対向する加圧面22f,23fで圧縮された冷媒は、圧縮部21及び配管9を介して第1放熱器51に至る。尚、本実施例によれば、図1に示すように、前記した圧縮用のピストン22,23が接近しつつこれらの加圧面22f,23fを互いに対向させるように設けられている。なお圧縮機20のケース24内には、非磁性のヘリウムガス等の冷媒が存在する。
使用の際には、ピストン22、23の加圧面22f,23fが対向しつつ、ピストン22、23が所定の周波数で往復移動する。冷媒は、ピストン22、23の加圧面22f,23fで圧縮され、ガス状の冷媒の圧力波形が生成され、ガス状の冷媒は、配管9のうち上下方向に延設された部位9wから冷凍機50に供給される。そして、第1バッファタンク57と第1イナータンスチューブ56内のガス圧の共振周波数、第2バッファタンク63と第2イナータンスチューブ62内のガス圧の共振周波数は、ピストン22、23の動きとほぼ同一の周波数となるように寸法諸元が設定されている。これにより第1パルス管54の低温端と第2パルス管60の低温端とでは、ほぼスターリングサイクルに近い圧力波形が得られ、第2パルス管60の低温端において理想に近い冷凍量を得ることが出来るように設定されている。
ちなみに、運転状況にもよるが、第1パルス管54の低温端では40〜100Kの冷凍が得られ、第2パルス管60の低温端では10〜30Kの冷凍が得られる。運転状況にもよるが、断熱支持材4は、真空槽5からのシールドケース3に侵入する伝導熱を妨げる機能を有し、シールドケース3のシールド室内の温度は一般的には40〜100K程度である。シールドケース3は真空槽5からの輻射熱を防ぐ機能を有する。断熱支持材2は、シールドケース3から超電導磁石1に侵入する伝導熱を抑える機能を有する。
本実施例によれば、複数のピストン22,23の動作に起因する振動を相殺させる方向に複数のピストン22,23を移動させる制御部600が設けられている。制御部600は、図略の信号線を介して励磁巻線29への通電を制御することにより、第1ピストン22及び第2ピストン23を軸心PAの同軸上において矢印X1方向に移動させて互いに接近させる方向に同期させて移動させる形態と、第1ピストン22及び第2ピストン23を軸心PAの同軸上において矢印X2方向に互いに遠ざける方向に同期させて移動させる形態とを繰り返して動作させるものである。このようにすれば複数のピストン22,23の動作に起因する振動力を相殺させることができる。即ち、本実施例によれば、図2に示すように、圧縮機20を構成する圧縮ピストン22、23を同軸上に対向させたことによって、圧縮用のピストン22、23に作用する力は、お互いに実質的に相殺されるので、圧縮機20の振動は抑えられている。
本実施例によれば、図1に示すように真空槽5の上面5uに搭載されている圧縮機20は、磁気シールド部材7、8で覆われて磁気シールドされている。このため超電導磁石1が発生する強い磁場の磁束は、磁気シールド部材7、8で遮蔽される。この結果、圧縮機20を構成する磁気回路の磁場を乱すことが抑制される。この結果、圧縮機20は、真空槽5の上面5uに搭載され、超電導磁石1の発生する強力な磁場環境下に設置されているにもかかわらず、正常に作動することができる。ひいては冷凍機50による極低温状態を良好に生成でき、超電導磁石1を極低温状態に維持できる。圧縮機20は、超電導磁石1を収納している真空槽5の上面5uに設置されているので、冷凍機50と圧縮機20とを繋ぐ配管9の長さを短くすることができるので、配管9における圧力損失が小さくなる。
更に、圧縮機20は、超電導磁石1を収納している真空槽5の上面5uに設置されている。このため本実施例に係る超電導装置をメンテナンスする際、冷凍機50と圧縮機20とを繋ぐ配管9を外すことなく、超電導磁石1及び圧縮機20を搭載させたままで且つ冷凍機50と圧縮機20とを配管9で繋いだままの状態の真空槽5を、メンテナンス工場等に移動させることができる。このように本実施例によれば、配管9の取り外し頻度を低減できるため、配管9の取り外しに起因するガス汚染を抑制することができる。更には、ガス汚染による冷凍性能の低下を抑制することができる。
本実施例によれば、冷凍機50をスターリング型のパルス管冷凍機50Mにすることによって、冷凍機50の内部には、固形の膨張ピストン等の固体の可動部材を設ける必要がない。故に、冷凍機50から発生する振動はほとんどない。更に、冷凍機50をスターリング型のパルス管冷凍機50Mとすることによって、電動モータ等で駆動する駆動部を不要ならしめ得るので、超電導磁石1から発生する強力な磁場環境下でも冷凍機50を正常に作動させることができる利点が得られる。
以上説明したように本実施例によれば、圧縮機20は真空槽5の上面5uに搭載されている。このため圧縮機20の冷媒を冷凍機50に供給するために圧縮機20と冷凍機50とを繋ぐ配管9の長さを短くすることができる。従って、配管9を流れる冷媒の圧力損失を低減させることができる。また、超電導磁石1を搭載する真空槽5に圧縮機20を搭載するときには、超電導磁石1と圧縮機20とが接近するため、圧縮機20は真空槽5内の超電導磁石1の強い磁場の影響をうけ易くなる。この点について本実施例によれば、超電導磁石1を搭載する真空槽5に圧縮機20を搭載させつつも、圧縮機20を磁気シールドする磁気シールド手段としての磁気シールド部材7,8が設けられており、圧縮機20を外方から包囲している。このため、真空槽5内に収容されている超電導磁石1の強い磁場の影響を圧縮機20が受けることが抑制される。故に、超電導磁石1に圧縮機20が接近して配置されていたとしても、圧縮機20が良好に作動することができる。このように圧縮機20が良好に作動するため、冷凍機50における冷凍を良好に生成させることができ、超電導磁石1の極低温状態、超電導状態を良好に維持することができる。
上記した本実施例によれば、次の効果が得られる。
(1)超電導磁石1を収納している真空槽5に圧縮機20を搭載させることにより、超電導磁石1と圧縮機20とを接近させている。具体的には図1に示すように、超電導磁石1の真上に圧縮機20を搭載させている。これにより超電導装置の小型化に有利となる。図1に示すように、真空槽5の寸法LA内に圧縮機20 の寸法LBは収められており、真空槽5の外面5kから圧縮機20は突出していない構造であるため、超電導装置の小型化に有利となる。更に、圧縮機20を磁気シールドする磁気シールド手段としての磁気シールド部材7,8が設けられており、圧縮機20を外方から包囲している。このため超電導磁石1が発生する強力な磁場環境下でも圧縮機20が正常に作動する。
(2)圧縮機20と冷凍機50とを繋ぐ配管9の長さを短くすることができる。このため配管9における圧力損失を小さくすることができる。故に圧縮機20の低容量化及び小型化に有利である。
(3)前述したように配管9の長さを短くすることができるため、超電導装置のメンテナンスの際に配管9を取り外す頻度を低下させることができる。つまり、圧縮機20を搭載したままの超電導装置、即ち、圧縮機20と冷凍機50とを配管9で繋いだままの超電導装置をメンテナンス工場等に搬送することができる。故に、配管9の取り外しに起因する冷媒ガスの汚染を低減させることができ、ガス汚染による冷凍能力の低下を抑制することができる。
(4)超電導磁石1を収容する真空槽5の上面5uに圧縮機20を搭載しているので、圧縮機を搭載する専用の台枠、更には、圧縮機20を設置する新たな設置部位を不要にできる利点がある。特に、磁気浮上車両に装備される超電導装置では、色々な機器を車載するため、省スペース化は大きな利点となる。このように真空槽5の上面5uに圧縮機20を搭載するため、真空槽5は、超電導磁石1を極低温状態に収容する機能と、圧縮機20を固定する機能とを兼務する。
(5)制御部600は、前述したように、第1ピストン22及び第2ピストン23を軸心PAの同軸上において矢印X1方向に同期させて移動させて互いに接近させる方向に移動させる形態と、第1ピストン22及び第2ピストン23を軸心PAの同軸上において矢印X2方向に互いに遠ざける方向に同期させて移動させる形態とを繰り返して動作させる。このようにすれば圧縮機20を構成するピストン22,23の往復動作に起因する振動力を実質的に相殺させることができる。これにより超電導磁石1を収容する真空槽5に圧縮機20を搭載したとしても、圧縮機20からの振動が超電導磁石1に影響を与えることが抑制される。
本実施例によれば、圧縮機20では、前述したように振動を相殺すべく、第1ピストン22及び第2ピストン23が軸心PAの同軸上に互いに対向するように配置されている。このため、第1ピストン22及び第2ピストン23のうちいずれか一方のみを有するシングルピストンタイプの圧縮機に比較して、圧縮機20のケース24の長さは、軸心PAの方向(第1ピストン22及び第2ピストン23の前進後退方向)において増加する。このため超電導磁石1を収容する真空槽5の平坦な上面5uに圧縮機20を設置する際に、圧縮機20の設置安定性を向上させるのに有利であり、産業機器に適用するのに有利である。殊に、走行振動を発生する車両等に使用される超電導磁石装置に適用するのに有利となる。なお、上記した説明から理解できるように冷凍機50としては、スターリング型のパルス管冷凍機50Mは、2段のスターリング型パルス管冷凍機である。但し、1段以上のスターリング型のパルス管冷凍機でも良い。
図4は実施例2を示す。本実施例は前記した実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。共通する部位には基本的には共通の符号を付する。以下、相違する部分を中心として説明する。図4に示すように、冷媒を圧縮させる圧縮用のピストン32、33が可動体25に接続されている。圧縮用のピストン32、33の加圧面32f,33fは、水平方向に沿っている軸心PAにおいて外側に向けて互いに背向するように配置されている。従って配管9は、一方のピストン32により圧縮された冷媒が流れる第1配管9aと、他方のピストン33により圧縮された冷媒が流れる第2配管9bとに分岐領域9cを介して分岐されている。なお圧縮機20のケース24内には、非磁性のヘリウムガス等の冷媒が存在する。
本実施例においても、複数のピストン32,33の動作に起因する振動を相殺させる方向に複数のピストン32,33を移動させる制御部600が設けられている。制御部600は、励磁巻線29への励磁電流の通電により、第1ピストン32及び第2ピストン33を軸心PAの同軸上において矢印X1方向に移動させて互いに接近させる方向に同期させて移動させる形態と、第1ピストン32及び第2ピストン33を軸心PAの同軸上において矢印X2方向に互いに遠ざける方向に同期させて移動させる形態とを繰り返して動作させるものである。このようにすれば複数のピストン32,33の動作に起因する振動を実質的に相殺させることができる。本実施例によれば、図4に示すように、圧縮機20を構成する圧縮ピストン32、33を軸心PAの同軸上に対向させたことによって、圧縮用のピストン32、33に作用する力は、お互いに実質的にキャンセルされるので、圧縮機20からは振動がほとんど発生しない。
図5は実施例3を示す。本実施例は前記した実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。共通する部位には、基本的には共通の符号を付する。以下、相違する部分を中心として説明する。図5に示すように、一対をなす圧縮用のピストン22,23を軸心PAの同軸上に対向させて配置させている。リニアモータ20Aを覆っているケース44(実施例1の磁気シールド部材7に相当)は、鉄系材料等の磁性材料で形成されており、胴44aと、胴44aの両端に気密に固着された端板44bとで構成されており、圧縮部21を形成する中間部材41(材質:アルミニウム合金、鉄、鉄合金)を有する。中間部材41は、磁性材でも非磁性材でも良い。図5に示すように、ケース44には非磁性の脚42が固着されている。脚42を介してケース44は超電導装置の真空槽5の上面5uに固定されている。ケース44の下面と真空槽5の上面5uとの間には、磁気ギャップとなり得る隙間42mが形成されている。なお圧縮機20のケース44内には、非磁性のヘリウムガス等の冷媒が存在する。
更に、図5に示すように、リニアモータ20Aのリング形状の固定鉄心28の外周面28pと胴44aの内周面44iとの間には隙間49が形成されている。隙間49は、ケース44内に連通するため、隙間49にはヘリウムガス等の冷媒が存在する。隙間49の一部に、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の非磁性材料で形成された非磁性体部材43が介在されている。非磁性体部材43は、固定鉄心28の外周面28pを包囲するように、固定鉄心28の外周面28pと胴44aの内周面44iとの間に固定されており、隙間49を形成している。隙間49はケース44内と連通する。
上記したように非磁性体部材43が、駆動機構の固定鉄心28の外周側に配置されており、固定鉄心28の外周面とケース44の内周面との間に配置されているため、固定鉄心28とケース44との間の磁気抵抗は大きくなる。このため超電導磁石1から発生する強力な磁場の磁束は、磁性材からなるケース44を構成する壁部自体を透過するが、ケース44内の空間に通過することが抑えられる。更に、ヘリウムガス等の冷媒は非磁性である。このように非磁性のヘリウムガス等の冷媒が隙間49に存在するため、超電導磁石1から発生する強力な磁場の磁束がケース44の内部に通過することが一層抑えられる。このため、超電導装置の強力な磁場環境下の真空槽5の上面5uに圧縮機40が設置されているにも拘わらず、圧縮機40を正常に作動させることができる。この結果、リニアモータ20Aの磁気回路は、超電導磁石1から発生する強力な磁束で乱されることが抑制される。故に、圧縮機20を超電導装置の強力な磁場環境下の真空槽5の上面5uに設置されているにも拘わらず、圧縮機20を正常に作動させることができる。
励磁巻線29への通電時に発生する熱は、固定鉄心28、非磁性体部材43、ケース44に伝達され、大気に放熱される。非磁性体部材43はこの熱を伝える役割を果たす。さらに非磁性体部材43は、圧縮機40が振動環境下で使われる場合に固定鉄心28の振動を防止する役割もある。なお、本実施例において、磁性材で形成されているケース44の外側を、図1の実施例1の磁気シールド手段である磁気シールド部材7に相当する部材で覆うこともできる。この場合、磁気シールド効果が更に強化される。
図6は実施例4を示す。本実施例は前記した実施例3を変形させた実施例である。共通する部位には、基本的には共通の符号を付する。以下、相違する部分を中心として説明する。固定鉄心28は、非磁性の固定部材27aを介して、ケース44に固定されている中間部材41に固定されている。本実施例によれば、図5の実施例3に係る非磁性体部材43が設けられておらず、この隙間49には、ヘリウムガスなど非磁性の冷媒が存在している。従って、ケース44の内周面44iと鉄心28の外周面28pとの間の磁気抵抗が大きくなり、超電導磁石1から発生する強力な磁束が、固定鉄心28にはほとんど透過しない。この結果、リニアモータ20Aの磁気回路は、超電導磁石1から発生する強力な磁束で乱されることが抑制される。故に、圧縮機20を超電導装置の強力な磁場環境下の真空槽5の上面5uに設置されているにも拘わらず、圧縮機20を正常に作動させることができる。
なお、本実施例4において、磁性材で形成されているケース44の外側を、図1の実施例1の磁気シールド手段である磁気シールド部材7に相当する部材で二重に覆うこともできる。この場合、磁気シールド効果が二重となって更に強化される。
図7は実施例5を示す。本実施例は前記した実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。共通する部位には、基本的には共通の符号を付する。以下、相違する部分を中心として説明する。図6に示すように、非磁性の脚42を介してケース44は超電導装置の真空槽5の上面5uに固定されており、圧縮機20のケース44の下面44uと真空槽5の上面5uとの間には、磁気ギャップとなり得る隙間42mが形成されている。更に、圧縮機20の主要素である磁性材料(例えば鉄系材料)で形成されている筐体としてのケース44の質量を軽くするために、ケース44を構成する壁の肉厚を薄くする。そしてケース44のうち超電導磁石1に近いため超電導磁石1から受ける磁界が強い部分、すなわち、ケース44のうち超電導磁石1に対向する真空槽5側の下面44uに、鉄系材料等の磁性材料からなる磁気シールド部材52が配置されている。磁気シールド部材52は、ケース44の下面44uを覆う底部分52rと、底部分52rに一定的に延設されケース44の側面44sを覆う側面部分52tとを有する。磁気シールド部材52は磁気シールド手段として機能することができる。この場合、磁気シールド部材52は、磁界の強さにあわせて、厚さを変え、分割してもよい。磁気シールド部材52により圧縮機20が更に磁気シールドされているため、超電導磁石1を収納する真空槽5に圧縮機20を搭載しても,超電導磁石1が発生する強力な磁場な環境下であるにも拘わらず、圧縮機20を正常に作動させることができる。また本実施例は、図1の実施例1においても適用することができる。つまり、磁気シールド部材7のさらに外側に磁気シールド部材52を設けることができる。これにより、実施例1の磁気シールド部材7の質量を軽減することができる。
本発明は、例えば、冷凍機で冷却された超電導磁石によって構成される超電導磁石の磁力で浮上、推進する磁気浮上車両の超電導磁石装置、あるいは、超電導電力貯蔵、超電導トランス装置等の超電導装置に利用することができる。
実施例1に係り、超電導装置の断面図である。 実施例1に係り、超電導装置に設置されている圧縮機の断面図である。 実施例1に係り、超電導装置に設置されている圧縮機の軸直角方向に沿った断面図である。 実施例2に係り、超電導装置に設置されている圧縮機の断面図である。 実施例3に係り、超電導装置に設置されている圧縮機の断面図である。 実施例4に係り、超電導装置に設置されている圧縮機の断面図である。 実施例5に係り、超電導装置に設置されている圧縮機の断面図である。 従来技術に係る構成図である。 別の従来技術に係る構成図である。 他の従来技術に係る構成図である。
1は超電導磁石、5は真空槽、5uは上面、7、8は磁気シールド(磁気シールド手段)、9は配管、20は圧縮機、20Aはリニアモータ、22、23、32、33は圧縮用のピストン、24はケース、25は可動体、25a、25bは永久磁石、28は固定鉄心、29は励磁巻線、42は非磁性の脚、42mは隙間、43は非磁性体部材、49は隙間を示す。

Claims (8)

  1. 真空断熱室をもつ真空槽と、
    前記真空断熱室に配置された超電導磁石と、
    前記超電導磁石を冷凍部にて冷却する冷凍機と、
    前記真空槽に搭載されて前記冷凍部を冷却する冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機の駆動機構を磁気シールドする磁気シールド手段と、
    を具備する超電導装置において、
    前記圧縮機は、複数のピストンと、各前記ピストンを駆動させる駆動機構と、前記複数のピストン及び前記駆動機構を覆うケースと、を備えると共に、
    前記駆動機構は、固定鉄心と、前記固定鉄心を励磁させる励磁巻線と、永久磁石を有し前記固定鉄心に吸引または反発して前記ピストンを変位させる可動体とを備え、
    さらに、前記ケースは、磁性材料で形成されて前記磁気シールド手段が構成され、
    前記ケースと前記真空槽との間に、非磁性材料の部材及び磁気ギャップとなる空間のうち少なくとも一方を設けたことを特徴とする超電導装置。
  2. 請求項1において、前記ケースと前記真空槽との間は非磁性の脚を介して固定され、且つ前記ケースと前記真空層との間に前記磁気ギャップとなる隙間が形成されていることを特徴とする超電導装置。
  3. 請求項1または2において、前記圧縮機前記固定鉄心と前記ケースとの間に、非磁性体部材が配置されていることを特徴とする超電導装置。
  4. 請求項1または2において、前記圧縮機前記固定鉄心と前記ケースとの間に、磁気ギャップとなる空間が配置されていることを特徴とする超電導装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、前記磁性材料で形成される前記ケースのうち磁界の強い前記真空槽側の下面に、磁性材料で形成される磁気シールド部材が設置されており、前記ケース及び前記磁気シールド部材により二重の前記磁気シールド手段が構成されることを特徴とする超電導装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において、前記圧縮機を構成する複数のピストンは、同軸上において互いに対向するように配置された直動可能な第1ピストン及び第2ピストンで形成されており、且つ、前記第1ピストン及び前記第2ピストンを同軸上において互いに接近させる方向に同期させて移動させる形態と、前記第1ピストン及び前記第2ピストンを同軸上において互いに遠ざける方向に同期させて移動させる形態とを繰り返して動作させる制御部をさらに備えていることを特徴とする超電導装置。
  7. 真空断熱室をもつ真空槽と、
    前記真空断熱室に配置された超電導磁石と、
    前記超電導磁石を冷凍部にて冷却する冷凍機と、
    前記真空槽に搭載されて前記冷凍部を冷却する冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機の駆動機構を磁気シールドする磁気シールド手段と、
    を具備する超電導装置において、
    前記圧縮機は、複数のピストンと、各前記ピストンを駆動させる駆動機構と、前記複数のピストン及び前記駆動機構を覆うケースと、を備えると共に、
    前記駆動機構は、固定鉄心と、前記固定鉄心を励磁させる励磁巻線と、永久磁石を有し前記固定鉄心に吸引または反発して前記ピストンを変位させる可動体とを備え、
    さらに、前記固定鉄心と前記ケースとの間に、非磁性体部材が配置されていることを特徴とする超電導装置。
  8. 真空断熱室をもつ真空槽と、
    前記真空断熱室に配置された超電導磁石と、
    前記超電導磁石を冷凍部にて冷却する冷凍機と、
    前記真空槽に搭載されて前記冷凍部を冷却する冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機の駆動機構を磁気シールドする磁気シールド手段と、
    を具備する超電導装置において、
    前記圧縮機は、複数のピストンと、各前記ピストンを駆動させる駆動機構と、前記複数のピストン及び前記駆動機構を覆うケースと、を備えると共に、
    前記駆動機構は、固定鉄心と、前記固定鉄心を励磁させる励磁巻線と、永久磁石を有し前記固定鉄心に吸引または反発して前記ピストンを変位させる可動体とを備え、
    さらに、前記固定鉄心と前記ケースとの間に、磁気ギャップとなる空間が配置されていることを特徴とする超電導装置。
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