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JP4942566B2 - タッチパネルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、車載用途、モバイル用途などの過酷な環境条件下(高耐熱、高湿、極寒など)で使用されるものであり、対向配置されて貼り合わされている一対の基板を備え、入力エリア内で一対の基板の任意の接触点を2次元座標として検出することができる抵抗膜方式のタッチパネルの製造方法に関する。
従来、一方の基板に設けた導体を他方の基板に設けた導体に接続して回路を形成するタッチパネルを製造する方法では、エポキシ系導電性接着剤やウレタン系導電性接着剤を用いて導体同士を電気的に接続していた。この種のタッチパネルの一例として、特許文献1〜3で開示されているものがある。
特許文献1で開示されているタッチパネルは、一方の基板に形成されているリード電極と他方の基板に形成されているリード電極とを電気的に接続する導電性接着剤に、主導電性フィラーに加えて、双方の電極の電極接続面間最短距離より10〜100μm大きい粒径の補助導電性フィラーが含まれたものを用いたものである。導電性接着剤のバインダには、種々の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が適用可能であるとされている。
特許文献2では、タッチパネルやフレキシブルプリント配線版に適用される回路端子の接続構造が開示されている。この接続構造では、導電性接着剤を介して相互接続する第1の接続端子と第2の接続端子の少なくとも一方の接続端子の表面に、導電性接着剤の導電性粒子を捕捉できる窪みが形成されたものである。導電性接着剤は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂からなるバインダと、粒径1nm〜500μmの導電性粒子とが含まれている。また、導電性粒子の含有量は、バインダ100に対して0.1〜30の体積比であるされている。
特許文献3では、固定側絶縁基板のリード線と可動側絶縁基板のリード線とを導電性接着剤を介して接続することが開示されている。導電性接着剤には、粒子状又は鱗片状の銀やカーボンなどの導電性粒子がシリコーン系樹脂やエポキシ樹脂中に分散した熱硬化性の接着剤が用いられている。
特開2001−60142号公報 特開2006−245140号公報 実用新案登録番号第3018780号公報
タッチパネルに使用される従来の導電性接着剤には、バインダとして種々の熱硬化性樹脂が適用可能であり、その中でもエポキシ系樹脂やウレタン系樹脂は一般的に用いられるものである。しかしながら、エポキシ系樹脂は、ゴム弾性がなく硬い性質を有している。このため、タッチパネルのフィルム基板の接着剤として使用すると、額縁電極や配線導体にひび割れなどの損傷を与えることがあり、さらに、温度変化の生ずる環境下に置かれた場合には、ひび割れが拡大して導通が取れなくなり、タッチパネルとしての動作に不具合が発生するという心配がある。一方、ウレタン系接着剤は、ゴム弾性には優れているが、接着力が弱いという性質がある。特に、湿度の高い環境下では、水分を吸収して接着力が低下するという問題がある。このため、特に、車載用途のタッチパネルには不向きであった。
そこで、本発明は、ゴム弾性に優れることに加えて、湿度が高い場合でも強い接着力を維持することができ、接着剤硬化後の電気的接続の信頼性を高めることができるタッチパネルの製造方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、請求項1に記載のタッチパネルの製造方法は、対向配置されて貼り合わされている一対の基板を備え、一方の基板に形成された導体と、他方の基板に形成された導体とを、導電性接着剤を介して電気的に相互接続するタッチパネルの製造方法において、前記導電性接着剤には、銀粒子を含むシリコーン系接着剤であって、前記銀粒子が、粒径10〜90μmの大きい粒状粉又は鱗片状粉と、粒径1〜20μmの小さい粒状粉又は鱗片状粉とを50:50〜3:97の重量比で含むシリコーン系接着剤を用い、該シリコーン系接着剤を100〜130℃の温度範囲内で加熱して30〜180分保持することで硬化させ、前記一対の基板の前記導体同士を相互接続することを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載のタッチパネルの製造方法において、前記シリコーン系接着剤が、主剤としてのオルガノポリシロキサンと、架橋剤としてのオルガノハイドロジエンポリシロキサンと、白金系触媒とを含み、硬化後の体積固有抵抗が5×10-5〜5×10-7Ω・mであることを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載のタッチパネルの製造方法において、前記銀粒子と、該銀粒子を除く前記シリコーン系接着剤の構成成分との重量比が90:10〜75:25であることを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のタッチパネルの製造方法において、前記シリコーン系接着剤の25℃における未硬化時間が24時間以上であることを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載のタッチパネルの製造方法において、一対の基板を貼り合わせるのに、フィルムを基材にした両面テープ又は前記基材を有しない粘着材を用い、前記両面テープ又は前記粘着剤の内側に形成されたスルーホールに前記シリコーン系接着剤を充填することを特徴とする。
請求項6に記載された発明は、請求項5に記載のタッチパネルの製造方法において、前記両面テープが低熱収縮ポリエステルフィルムをベースにした両面テープであることを特徴とする。
請求項7に記載されたタッチパネルは、請求項1〜6の何れか1項に記載のタッチパネルの製造方法で製造したことを特徴とする。
本願発明によれば、大小の銀粒子を所定の重量比で含むシリコーン系接着剤を用い、このシリコーン系接着剤を所定の硬化条件で硬化させることで、シリコーン樹脂の高い柔軟性(ゴム弾性)により銀印刷などにより形成された導体に割れが生じることを回避でき、また、シリコーン樹脂の高い撥水性により水分を吸収して接着力が低下することを抑制することができる。また、一方の基板の可撓性フィルムに波うちが発生するという不具合を防止することができる。したがって、高湿の条件下でも強い接着力を維持することができ、接着剤硬化後の電気的接続の信頼性を高めることができる。
また、シリコーン系接着剤の主剤、架橋剤、触媒を選定することで、タッチパネルに適用可能な硬化条件でシリコーン系接着剤を硬化させることができる。また、硬化後のゴム硬度(JIS A)をA5〜A80度にすることができ、これにより、フィルムの伸縮に対応でき、しかもばらつきの少ない電気的特性を得ることができる。
また、常温25℃における未硬化時間が24時間以上であるから、一対の基板を貼り合わせる際に、シリコーン系接着剤の液体状態が保持され、皮ばりの発生を防止することができる。
また、両面テープ又は粘着剤の内側に形成されたスルーホールにシリコーン系接着剤を充填することで、外部との絶縁性が維持され、電気的接続の信頼性が高まる。
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の抵抗膜式タッチパネル10は、LCD(Liquid Crystal Display)等に固定されるガラス基板11と、ガラス基板11に対向配置される可撓性のフィルム基板12と、両基板11,12を貼り合わす両面テープ(貼り合わせ材)13と、両基板11,12と装置本体とを電気的に相互接続するFPCコネクタ14とからなっている。
両基板11,12は、額縁部分18,19の内側で入力エリアを形成するために100μm程度のギャップを有して貼り合わされる。タッチパネル10では、入力エリア内での一対の基板11,12の任意の接触点が2次元座標として検出されるようになっている。なお、両基板11,12間には、上下の基板11,12が不用意に接触して導通することを防止するための図示しないドットスぺーサが複数設けられている。
ガラス基板11は、対向面に形成された抵抗膜シートとしてのITO(Indium Tin oxide)フィルム20を有している。基材15には、例えば厚さ0.7mm〜1.8mmのソーダライムガラスが用いられる。ガラスに代えて、光透過性の良い、好ましくは透過率80%以上の樹脂基材を用いることもできる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネイト(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等を適用することもできる。
ITOフィルム20は、透明導電膜としてのインジウム・錫酸化物である。ITOフィルム20は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、印刷法等で形成されている。ITOフィルム20は、両基板11,12に形成されている各一対の額縁電極22,22,23,23に比べて高抵抗値であり、基材15に100〜150Åの厚さに形成される。ITOフィルム20のシート抵抗値は、額縁電極22,23のシート抵抗値に比べて100倍以上であることが必要とされている。このITOフィルム20は、基材15に形成したものをフォトリソグラフィにより不要部分を除去し、必要な部分を残して整形される。
ガラス基板11は、フィルム基板12と同様にして、外周側に矩形枠状の額縁部分18を有している。額縁部分18は、タッチパネル10の入力エリアに対する非入力エリアであり、フレーム相当部分である。額縁部分18の短辺側で一対の対向辺には、互いに平行な額縁電極22,22が設けられている。後述するフィルム基板12には、額縁部分19の長辺側に一対の額縁電極23,23が設けられている。すなわち、両基板11,12は、一対の額縁電極22,23が互いに直交するように上下に貼り合わされ、指やペン等で入力された入力点のX−Y座標(二次元座標)がFPCコネクタ14を介して検出される仕組みになっている。
一対の額縁電極22,22は、ITOフィルム20に電圧を印加して一対の額縁電極22,22の対向方向に電位勾配を生じせしめるものであり、一方がアノード額縁電極、他方がカソード額縁電極である。額縁電極22は、ITOフィルム20の側部に沿って延びている。個々の額縁電極22には、FPCコネクタ14の端子に電気的に相互接続する配線導体25a〜25dが一体的に接続している。一方の額縁電極22は端部において配線導体25aと接続し、他方の額縁電極22は中央部において配線導体25bと接続している。
額縁電極22は、図示しないが2層構造をなしており、電極層の外側に絶縁層を有している。電極層は、例えば、スクリーン印刷や導電性を有する両面テープを用いた接着などでガラス基材の表面に形成されている。電極層は、その外表面が絶縁層で覆われることで、外部から絶縁保護されると共に、マイグレーションが防止されるようになっている。電極層は、ITOフィルム20と電気的に接続すると共に、配線導体25a,25bを介してFPCコネクタ14と接続し、外部から電極層に駆動電圧が供給されるようになっている。電極層をスクリーン印刷で形成した場合は、額縁電極層の厚みを、例えば乳剤厚10μm以下、200メッシュ以上のスクリーン版を使用することで、10〜20μmとすることができる。
絶縁層は、アクリル樹脂やウレタン樹脂やエポキシ樹脂等で形成されている。絶縁層の膜厚は、例えば乳剤厚18μm以下、230メッシュ以上のスクリーン版を使用することで、15〜25μmとすることができる。
ここで、スクリーン印刷は、スクリーン版の枠内に印刷インクをのせ、スキージでインクを摺動し、レジストのない部分にインクを落として、被印刷物に印刷を行う方法である。本実施形態では、電極層を導電性インクとしての銀やカーボンや銅等のペーストで形成し、絶縁層を上述したアクリル樹脂やウレタン樹脂等の絶縁性インクで形成する。
また、額縁部分18の短辺側で他の一対の対向辺は、絶縁部26として形成されている。後述するフィルム基板12にも、同様の絶縁部27が額縁部分19の短辺側に設けられている。絶縁部26は、両基板11,12を貼り合わした際に、相手側基板12の額縁電極23,23に絶縁性の両面テープ13を介して接着される部分である。このように、額縁電極22,22が絶縁部で保護されることで、絶縁性が確実に確保されるようになっている。
図1に示すFPCコネクタ14は、銅箔とフィルムを積層されたものであり、ガラス基板11の短辺側の端部に圧着接続されている。コネクタ14は、広幅圧着部30と、狭幅先端部31からなり、先端部31は図示しない4極の雄端子となっている。各端子の他端には、ガラス基板11に形成されている4本の配線導体25a〜25dが接続されている。4本の配線導体25a〜25dのうち、2本の配線導体25a,25bは、ガラス基板11の一対の額縁電極22,22にスクリーン印刷により一体接続し、他の2本の配線導体25c,25dは導電性接着剤17(図5)を介してフィルム基板12の一対の額縁電極23,23に電気的に接続している。導電性接着剤17には、シリコーン系接着剤が用いられている。このシリコーン系接着剤を用いた2本の配線導体25c,25dと一対の額縁電極23,23の接続方法については後述する。
次に、フィルム基板12は、指やペン等で押圧される側の基板であり、対向面にITOフィルム21を有するPET基材16が好適に用いられる。PET基材16の厚みは、用途により異なるものであるが、例えば150μm〜200μmである。基材16は、PETに限られず、可撓性を有するものであれば他の樹脂材料からなる基材を適用することも可能である。例えば、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネイト(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等を適用することもできる。ITOフィルム21は、ガラス基板11のITOフィルム20と同様のものが用いられる。
フィルム基板12の外表面には、基板12の表面硬度や耐擦傷性等を高めるために、図示しないハードコート層が数μmの厚さに設けられている。フィルム基板12の対向面には、ガラス基板11と同様にして、外側に矩形状の額縁部分19を有している。額縁部分19の長辺側の一対の対向辺には、互いに平行な額縁電極23,23が設けられ、短辺側の一対の対向辺には、互いに平行な絶縁部27が設けられている。なお、額縁電極23及び絶縁部27の構成は、ガラス基板11の額縁電極22及び絶縁部26の構成と略同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
貼り合わせ材としての両面テープ13は、両基板11,12を貼り合わせるための接着材であり、各基板11,12の外周の細長い額縁電極22,23及び細長い絶縁部26,27に対応する寸法形状に形成されている。この両面テープ13は、絶縁性を有するプラスチックフィルムの両面に接着層を有するものであるから、額縁電極22,23の絶縁も兼ねている。両面テープ13の厚さは、用途により異なるが、30μmのものを使用することもできる。
次に、シリコーン系導電性接着剤を用いて、ガラス基板11上に印刷形成された2本の配線導体25c,25dとフィルム基板12の一対の額縁電極23,23との接続方法について詳細に説明する。本実施形態のタッチパネル10は、出力端としてのFPCコネクタ14に相互接続する4本の配線導体25a,25b,25c,25dをガラス基板11側に集中して印刷形成したタイプのタッチパネルである。すなわち、電位を検出する出力端がフィルム基板12には形成されず、ガラス基板11にのみ形成されるものである。このため、ガラス基板11に集中形成された4本の配線導体25a,25b,25c,25dの内の2本の配線導体25c,25dと、フィルム基板12の一対の可動電極23,23を相互に中継接続するために導電性接着剤17が用いられている。導電性接着剤には、所定の硬化条件で硬化するシリコーン樹脂をバインダとするシリコーン系接着剤17が用いられている。
シリコーン系接着剤17には、主剤としてのオルガノポリシロキサンと、架橋剤としてのオルガノハイドロジエンポリシロキサンと、白金系触媒と、硬化制御剤及び接着付与剤と、導電性粒子として所定の大きさ形状の粉体を有する銀粒子とが含まれている。銀粒子については後述する。
バインダ成分としてのオルガノポリシロキサンは、例えば1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を有している。オルガノハイドロジエンポリシロキサンは、例えば1分子中に2個以上のケイ素原子を含みケイ素原子全てに水素原子有するものである。なお、低分子シロキサン成分(D4〜D20)は、タッチパネルが車載用途のものである場合には100ppm以下に抑えられている。これは、車はリレーなどの接点部品を多く使用しており、接点部にシロキサンが付着して重合してシリカを形成すると、絶縁化してスイッチ機能を阻害するためである。
白金系触媒は、シリコーン系接着剤17を硬化させるために用いられる触媒である。なお、白金系触媒以外に他の触媒を用いることも可能である。硬化制御剤及び接着付与剤には、シランカップリング剤、無機フィラーなどを用いることができる。さらに、必要に応じて、接着剤の流動性を改善するために、飽和炭化水素系重合体と相溶性の良い可塑剤を用いることもできる。
シリコーン系接着剤17には、表1及び表2の実験結果に基づいて調整された大小の銀粒子が所定の重量比で含まれている。シリコーン系接着剤17は、100〜130℃の温度範囲内で加熱され、30〜180分保持して使用される。接着剤硬化後に測定された体積固有抵抗は5×10-5〜5×10-7Ω・mになる。硬化後のゴム硬度(JIS A)は、A5〜A80度の範囲内にある。硬度が高すぎると温度変化によるフィルム基板12の伸縮を吸収することができなくなって、接着部が剥離して導通が得られなくなり、逆に、硬度が低すぎると、接着強度が得られなくなることが分かっている。
Figure 0004942566
Figure 0004942566
ここで、表1はパネル特性に問題がある場合(不合格品の場合)の比較例1〜12を示し、表2はパネル特性に問題がない場合(合格品の場合)の実施例1〜10をそれぞれ示したものである。表中で示されている硬化物硬度は10mm×10mm×5mmの容器に接着剤を充填し、所定の温度で所定時間放置した後にJIS Aのゴム硬度計で測定された硬度である。体積抵抗は、ガラス板に幅10mm、厚さ50μmの膜圧で接着剤を塗布し、乾燥した後に測定された抵抗である。チップ接着強度は、ガラス板に接着剤を塗布し、セラミックチップ(3mm×1.5mm×t0.5mm)を接着し、テンションゲージをチップに当て、セラミックチップが脱落したときに測定された強度である。一方、パネル特性の合否は次のように判断される。表面のシワは、パネル完成後にフィルム面を観察して、フィルム面が大きく波打つ場合を不合格とする。初期電気特性は、パネルのフィルム側の電極間抵抗を測定し、0.5Ω以上変動し、安定しない場合を不合格とする。熱衝撃試験後の電気接続性は、パネルを作成した後、−40℃〜+85℃各30分を500サイクル実施し、フィルム側の電極間抵抗を測定し、0.5Ω以上変動し、安定しない場合を不合格とする。
銀粒子には、粒径10〜90μmの大きい粒状粉と、粒径1〜20μmの小さい粒状粉とが50:50〜2:98の重量比で含まれたものが用いられる。銀粒子の形態は、球状、紡錘状、塊状などの粒状形態や、鱗片状形態をとることができる。銀粒子と、銀粒子を除くシリコーン系バインダは、90:10〜75:25の重量比で構成される。
表1の比較例5及び6は、大きい粒状粉の粒径を変化させた場合の実験例であり、粒径が小さすぎると熱衝撃試験後の電気的接続性が不安定になる傾向があり、一方、粒径が大きすぎると銀粒子の沈降速度が早くなり、銀粒子の充填状態が不均一になって初期の電気接続性が不安定になる傾向を示している。すなわち、大きい粒状粉の粒径サイズが変わると、導電接着特性が大きく変化し、パネル特性に問題が生じる。このため、大きい粒状粉は、表2の実施例1〜10で示されているように、その粒径が10〜90μm、好ましくは15〜85μmの範囲内で設定されている。
比較例7及び8は、小さい粒状粉の粒径を変化させた場合の実験例であり、粒径が小さすぎても大きすぎても、熱衝撃試験後の電気的接続性が不安定になる傾向を示している。すなわち、小さい粒状粉の粒径サイズが変わると、大きい粒状粉の粒径が変化する場合ほど導電接着特性に大きな変化は生じないものの、パネル特性に問題が生じる。このため、小さい粒状粉は、表2の実施例1〜10で示されているように、その粒径が1〜20μm、好ましくは3〜18μmの範囲内で設定されている。
比較例9及び10は、大きい粒状粉と小さい粒状粉との重量比を変化させた場合の実験例である。大きい粒状粉の割合が少ない場合(小さい粒状粉の割合が多い場合)は、粒子間の隙間が少なくなるために体積抵抗が小さくなって導電性が不十分になり、一方、大きい粒状粉の割合が多い場合(小さい粒状粉の割合が少ない場合)は、粒子間の隙間が多くなるために体積抵抗が大きくなって導電性が不十分になる傾向がある。このため、大きい粒状粉と小さい粒状粉の重量比は、表2の実施例1〜10で示されているように、50:50〜3:97、好ましくは30:70〜3:97の範囲内で設定されている。
比較例11及び12は、銀粒子と銀粒子を除くシリコーン系バインダとの重量比を変化させた場合の実験例である。銀粒子の割合が相対的に減ると、バインダの割合が相対的に増えるために導電性が不十分になる傾向があり、一方、銀粒子の割合が相対的に増えると、バインダの割合が相対的に減るためにゴム弾性が低下して接着力が不十分になる傾向がある。このため、銀粒子と銀粒子を除くシリコーン系バインダとの重量比は、表2の実施例1〜10で示されているように、90:10〜75:25の範囲内、好ましくは85:15で設定されている。
次に、接着剤17の硬化温度及び硬化時間について説明する。硬化温度については、表1の比較例3に示されているように、硬化温度が90℃の場合は、接着強度が0.5Mpaとなって接着剤が硬化不足になると共に電気接続性が不安定になる。その一方で、比較例4に示されているように、硬化温度が140℃の場合は、接着強度が1.7Mpaとなって十分な接着性が得られるものの、過熱中にフィルム基板12に発生したシワが元に戻らなくなり、完成品としてのパネルに波打ちが発生することが判明している。このため、硬化温度は、表2の実施例1〜10で示されているように、100〜130℃の範囲内、好ましくは120分で設定されている。
硬化時間については、表1の比較例1に示されているように、硬化時間が20分の場合は、接着剤が硬化不足になるために接着強度が低下すると共に、タッチパネルに強制的に熱サイクルを与える熱衝撃試験後の電気接続性が不安定になることが判明している。一方、比較例2に示すように、硬化時間が200分の場合は、硬化物硬度がA84度となってゴム弾性が失われるために接着強度が低下すると共に、タッチパネルに強制的に熱サイクルを与える熱衝撃試験後の電気接続性が不安定になることが判明している。このため、硬化温度は、表2の実施例1〜10で示されているように、30〜180分の範囲内、好ましくは60分に設定されている。
また、シリコーン系接着剤の25℃における未硬化時間は、24時間以上になっている。未硬化時間が短いと、一対の基板11,12を貼り合わせるまでの間に硬化が進行し、表面に皮が形成されて、最早接続が良好でなくなる可能性があるためである。未硬化時間は、硬化抑制剤の量や主剤の組成などにより調整可能である。
上述したシリコーン系接着剤17を介するガラス基板11上に印刷形成された2本の配線導体25c,25dとフィルム基板12の一対の額縁電極23,23との接続は、図2に示すフィルム基板11と図3に示すガラス基板12とを、図4に示す両面テープ13で貼り合わせることにより行われる。両面テープ13には、2本の配線導体25c,25dの端部35a,35bと一対の額縁電極23,23の端部36a,36bとが接続する位置で接着剤17を充填するためのスルーホール37a,37bを形成する。用いられる両面テープ13には、加熱時の収縮を少なくしたものが好ましく、基材には、ポリエステルや、ポリプロピレンや、耐熱ナイロンや、ポリイミドや、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレートなどが用いられる。特に、低熱収縮ポリエステルフィルムが好適する。
図4に示すように、両面テープ13がガラス基板11に貼着された後、接着剤17をスルーホールの体積より0〜60%多めに充填する。充填後、透明なフィルム基板12を両面テープ13の上で固定し、接着剤17を介して2本の配線導体25c,25dの端部35a,35bと一対の額縁電極23,23の端部36a,36bとを接続する。最後に、タッチパネル10を加熱炉に入れ、120℃で80分加熱して接着剤17を硬化させた後、室温まで空冷し、図5に示すように、FPCコネクタ14にFPC31を接続して、タッチパネル10の組み立てを終了する。
以上のように、本実施形態によれば、大小の銀粒子を所定の重量比で含むシリコーン系接着剤17を用い、このシリコーン系接着剤を所定の硬化条件で硬化させることで、銀印刷された電極23に割れが生じたり、配線導体25c,25dに破断が生じたりすることを回避でき、高湿の環境条件下における接着力の低下を抑制することができる。これにより、接着剤硬化後の電気的接続の信頼性の高いタッチパネルを提供することができる。
なお、本発明は上記実施形態に制限するものではなく、他の形態で実施することもでき、種々の形態での実施が許容される。
本発明に係るタッチパネルの一実施形態を示す分解斜視図である。 図1に示すタッチパネルのガラス基板を示す平面図である。 同じく図1に示すタッチパネルのフィルム基板を示す平面図である。 図1に示すタッチパネルの両面テープを示す平面図である。 タッチパネルに両面テープが貼着された状態を示す平面図である。
符号の説明
10 タッチパネル
11 ガラス基板
12 フィルム板
13 両面テープ
22,23 額縁電極
25a〜25d 配線導体

Claims (7)

  1. 対向配置されて貼り合わされている一対の基板を備え、一方の基板に形成された導体と、他方の基板に形成された導体とを、導電性接着剤を介して電気的に相互接続するタッチパネルの製造方法において、
    前記導電性接着剤には、銀粒子を含むシリコーン系接着剤であって、前記銀粒子が、粒径10〜90μmの大きい粒状粉又は鱗片状粉と、粒径1〜20μmの小さい粒状粉又は鱗片状粉とを50:50〜3:97の重量比で含むシリコーン系接着剤を用い、該シリコーン系接着剤を100〜130℃の温度範囲内で加熱して30〜180分保持することで硬化させ、前記一対の基板の前記導体同士を相互接続することを特徴とするタッチパネルの製造方法。
  2. 前記シリコーン系接着剤が、主剤としてのオルガノポリシロキサンと、架橋剤としてのオルガノハイドロジエンポリシロキサンと、白金系触媒とを含み、硬化後の体積固有抵抗が5×10-5〜5×10-7Ω・mであることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
  3. 前記銀粒子と、該銀粒子を除く前記シリコーン系接着剤の構成成分との重量比が90:10〜75:25であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネルの製造方法。
  4. 前記シリコーン系接着剤の25℃における未硬化時間が24時間以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
  5. 一対の基板を貼り合わせるのに、フィルムを基材にした両面テープ又は前記基材を有しない粘着材を用い、前記両面テープ又は前記粘着剤の内側に形成されたスルーホールに前記シリコーン系接着剤を充填することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
  6. 前記両面テープが低熱収縮ポリエステルフィルムをベースにした両面テープであることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネルの製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のタッチパネルの製造方法で製造したことを特徴とするタッチパネル。
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