JP4942559B2 - 排ガス浄化剤及び有害微量元素を捕捉する方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の一例を示す実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設1を示すブロック図である。ここで、図1に示すように、微粉炭燃焼施設1は、石炭を供給する石炭供給部12と、供給された石炭を微粉炭にする微粉炭生成部14と、微粉炭を燃焼する微粉炭燃焼部16と、微粉炭の燃焼により生成された排ガスを処理し、さらに、後述する脱硫装置から排出される脱硫排水を処理する排ガス・排水処理部18と、を備える。また、図2は、微粉炭燃焼部16における火炉161付近の拡大図である。
石炭供給部12は、石炭を貯蔵する石炭バンカ121と、この石炭バンカ121に貯蔵された石炭を供給する給炭機122と、を備える。石炭バンカ121は、給炭機122へ供給する石炭を貯蔵する。給炭機122は、石炭バンカ121から供給された石炭を連続して石炭微粉炭機141へ供給するものである。また、この給炭機122は、石炭の供給量を調整する装置を備えており、これにより、石炭微粉炭機141に供給される石炭量が調整される。また、これら石炭バンカ121と給炭機122との境界には石炭ゲートが設けられており、これにより、給炭機からの空気が石炭バンカへ流入するのを防いでいる。
微粉炭生成部14は、石炭を微粉炭燃焼することが可能な微粉炭にする石炭微粉炭機(ミル)141と、この石炭微粉炭機141に空気を供給する空気供給機142と、を備える。
微粉炭燃焼部16は、微粉炭生成部14で生成された微粉炭を燃焼する火炉161と、この火炉161を加熱する加熱機162(熱交換ユニット)と、火炉161に空気を供給する空気供給機163と、を備える。
排ガス・排水処理部18は、微粉炭燃焼部16から排出された排ガス中のフライアッシュを除去する集塵装置181と、この集塵装置181から排出された排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置182と、この脱硫装置182から排出される脱硫排水を処理する排水処理設備183と、を備える。
本発明の脱硫排水への有害微量元素の流入を抑制する方法は、石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭に、アルカリ金属及び/又はその塩類、あるいは、アルカリ土類金属及び/又はその塩類を含む有害微量元素捕捉剤(を含む排ガス浄化剤)を添加することにより、前記石炭の燃焼によって発生する排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置から排出された有害微量元素の脱硫排水への流入を抑制するものであるが、これを、上記の微粉炭燃焼施設1を用いて説明する。好ましくは上記の石炭供給部12、微粉炭生成部14、微粉炭燃焼部16のいずれかで行われる。
まず、石炭供給工程S10では、石炭バンカ121に貯蔵された石炭が、給炭機122により、石炭微粉炭機141に供給される。なお、この石炭微粉炭機141に供給される石炭は、具体的には瀝青炭、亜瀝青炭、又は、褐炭等であるが、これらの石炭に限定されるものではなく微粉炭燃焼が行える石炭であればよい。
次に、微粉炭生成工程S20では、給炭機122から供給された石炭が石炭微粉炭機141により粉砕されて、これにより、微粉炭が生成される。生成された微粉炭は、火炉161に供給される。このとき、この微粉炭生成工程で粉状に形成された微粉炭の平均の粒度は、微粉炭燃焼で一般的に用いられる粒径範囲であればよく、一般的には、74μmアンダー80wt%以上の粉砕度である。なお、この範囲は有害微量元素捕捉剤が添加された場合にも適用できる。
次に、微粉炭燃焼工程S30では、石炭微粉炭機141で生成された微粉炭が、火炉161により燃焼される。図2に示すように、バーナーゾーン161a’においては微粉炭が燃焼されるが、このときの温度は1300℃から1500℃に及び、燃焼によって生成される石炭灰のうち、クリンカアッシュは下向きの矢印の方向に沿って下降し、フライアッシュは上向きの矢印の方向に沿って上昇して排ガスとともに過熱器(熱交換ユニット)161b、161cを通過し、1次節炭器161d(熱交換ユニット)、2次節炭器161e(熱交換ユニット)を順次通過する。
その後、微粉炭の燃焼によって発生した排ガスは、図示しない脱硝装置に送られて脱硝され、さらに、集塵装置181によって排ガス中のフライアッシュが集塵される。集塵装置181によって集塵された排ガスは、脱硫装置182に送られて脱硫され、その後図示しない煙突によって大気に放出される。脱硫装置182から排出された脱硫排水は、排水処理設備183に送られ、他の排水とともに処理される。
本発明の特徴である有害微量元素捕捉剤を添加する工程である有害微量元素捕捉剤添加工程S50は、図1に示すように、好ましくは上記の石炭供給部12、微粉炭生成部14、微粉炭燃焼部16のいずれかに対して行われる(それぞれ、図1におけるS51、S52、S53)。
図1、図2に示すような装置を用い、中国産、オーストラリア産、インドネシア産の少なくとも1種類の石炭100質量部、石灰石を1質量部添加して燃焼させた。電気集塵装置で集塵された石炭灰中のホウ素濃度を表1に示す。
石灰石を入れない以外は実施例と同じ操作を行った。電気集塵装置で集塵された石炭灰中のホウ素濃度を表1に示す。
次に、図1、図2に示すような装置を用い、中国産、オーストラリア産、インドネシア産等の少なくとも1種類の石炭を燃焼させた。単位時間あたりの石炭中のホウ素の質量(mg/kg)に応じた石炭中のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の質量(%)をX軸に、そのときの脱硫排水のホウ素濃度(ppm)をY軸にとり、累乗近似曲線を作成した。このグラフを図3に示す。また、単位時間あたりの石炭中のホウ素の質量(mg/kg)に応じた石炭中の酸化カルシウム(CaO)の質量(%)をX軸に、そのときの脱硫排水のホウ素濃度(ppm)をY軸にとり、累乗近似曲線を作成した。このグラフを図4に示す。また、単位時間あたりの石炭中のホウ素濃度(mg/kg)に応じた灰分中の酸化カルシウムの質量(mg/kg)をX軸に、そのときの脱硫排水のホウ素濃度(ppm)をY軸にとり、累乗近似曲線を作成した。このグラフを図5に示す。
12 石炭供給部
121 石炭バンカ
122 給炭機
14 微粉炭生成部
141 石炭微粉炭機
142 空気供給機
16 微粉炭燃焼部
161 火炉
162 加熱機
163 空気供給機
18 排ガス・排水処理部
181 集塵装置
182 脱硫装置
183 排水処理設備
S10 石炭供給工程
S20 微粉炭生成工程
S30 微粉炭燃焼工程
S40 排ガス・排水処理工程
S50 有害微量元素捕捉剤添加工程
Claims (5)
- 燃料を燃焼させる燃焼ボイラと、前記燃料の燃焼によって発生した排ガスに含まれる煤塵を取り除く集塵装置とを備えた火力発電システムにおいて、前記燃料の燃焼によって発生した排ガス中に含まれる有害微量元素を捕捉させる方法であって、
アルカリ金属及び/又はその塩類、あるいは、アルカリ土類金属及び/又はその塩類を含む排ガス浄化剤を、前記燃料に対して前記アルカリ金属及び/又は前記アルカリ土類金属の濃度が0.1質量%以上20質量%以下となるように添加する排ガス浄化剤添加工程を、前記燃焼ボイラに前記燃料を添加する工程から前記集塵装置によって前記煤塵が取り除かれる工程までの間の850℃以上の箇所で行う方法。 - 前記排ガス浄化剤添加工程を前記燃焼ボイラで前記燃料を燃焼する前に行う、請求項1記載の方法。
- 前記アルカリ金属及び/又はその塩類、あるいは、アルカリ土類金属及び/又はその塩類は、石灰石、消石灰、及び、生石灰からなる群より選択される1種以上を含む請求項1又は2記載の方法。
- 前記有害微量元素がホウ素である請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 石炭を粉砕して微粉炭を生成する微粉炭生成部と、前記微粉炭生成部で生成した微粉炭を燃焼させる燃焼ボイラと、前記微粉炭の燃焼によって発生した排ガスに含まれる煤塵を取り除く集塵装置とを備える火力発電システムであって、
アルカリ金属及び/又はその塩類、あるいは、アルカリ土類金属及び/又はその塩類を含む排ガス浄化剤を、前記微粉炭に対して前記アルカリ金属及び/又は前記アルカリ土類金属の濃度が0.1質量%以上20質量%以下となるように添加する排ガス浄化剤添加部が、前記微粉炭生成部と前記集塵装置とを結ぶいずれかの経路に接続して設けられている火力発電システム。
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