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JP4940575B2 - 固体高分子形燃料電池用マスクフィルム付き電解質膜−電極接合体及びその製造方法 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用マスクフィルム付き電解質膜−電極接合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体及びその製造方法に関するものである。
固体高分子電解質燃料電池はプロトン伝導性を有する固体高分子膜を電解質とし、この膜の両面に燃料極及び空気極を接合して構成され、燃料極に水素、空気極に酸素あるいは空気を供給して電気化学反応により発電するシステムである。各電極では下記反応が起こっている。
燃料極:H2 → 2H + 2e
空気極:(1/2)O2+ 2H + 2e → H2O
全反応:H2 + (1/2)O2 → H2O
これらの反応式からわかるように、発電時に生成するのは水のみである。燃料電池は、従来の内燃機関とは異なり二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないために、次世代のクリーンエネルギーシステムの一つとして注目されている。
そして、固体高分子形燃料電池は、メタノールを燃料として供給しても発電させることが可能であり、この場合は特にメタノール直接燃料電池と呼ばれる。各電極では下記反応が起こっている。
燃料極:CH3OH + H2O → 6H + 6e + CO2
空気極:(3/2)O2+ 6H + 6e → 3H2O
全反応:CH3OH + (3/2)O2 → 2H2O + CO2
固体高分子形燃料電池は、電解質膜としてプロトン(水素イオン)伝導性高分子電解質膜を用い、その両面に触媒層を配置し、ついでその両面に電極基材を配置し、更にこれをセパレータで挟んだ構造をしている。電解質膜の両面に触媒層を配置したもの(即ち、触媒層/電解質膜/触媒層の層構成のもの)は、電解質膜−触媒層接合体(略称:CCM)と称されており、さらに、その電解質膜−触媒層接合体の両面に電極基材を配置したもの(即ち、電極基材/触媒層/電解質膜/触媒層/電極基材の層構成のもの)は、電解質膜−電極接合体(略称:MEA)と称されている。
電解質膜−電極接合体の作成方法には、一般に以下に記す手法が用いられている。
(a)触媒電極および電解質材料からなる触媒インクを電解質膜上に直接塗布・乾燥して電解質膜−触媒層接合体を作成し、該電解質膜−触媒層接合体の触媒層の上に電極基材を接合することにより電解質膜−電極接合体を作製する。
(b)触媒インクを塗布・乾燥した電極基材を電解質膜に接合することにより電解質膜−電極接合体を作製する。
一般に、電極基材としてはカーボンペーパーやカーボンクロス等の炭素材料が用いられ、触媒インクの塗布にはスクリーン印刷やスプレーコーティング、スピンコーティングなどの手法が用いられる。
上記手法(a)の場合、触媒インクの電解質膜への直接塗工において、溶剤による電解質膜の膨潤による変形が起こりうる。また、上記手法(b)の場合、電極基材の表面および内部に空隙が存在するため、その空隙への触媒インクの染み込みが起こりうる。いずれの手法においても、厚さが均一で平坦な触媒層を作製するのは容易ではない。さらに、手法(b)の場合には、電極基材内部に入り込んだ触媒層により空隙の閉塞が起こり、燃料および酸化剤あるいは水分の供給・排出の阻害が起こりうる。
上記問題の解決法として、転写法による電解質膜−触媒層接合体の作成方法が注目されている。転写法においては、基材フィルム上に触媒層が形成された触媒層形成用フィルムを作製し、これを電解質膜の両面に触媒層が対向する向きに配置して熱プレスを施し、基材フィルムを剥離させることにより電解質膜上に触媒層を形成し、さらにこれらの両面に電極基材を配置することにより電解質膜−電極接合体を作製する。
このような転写法を利用して、触媒層形成用フィルムを作製しながらインラインで電解質膜−電極接合体を作製することにより、生産性よく均質な電解質膜−電極接合体を大量生産することも提案されている(特許文献1参照)。
特開平10−64574号公報
しかしながら、特許文献1に記載の圧熱ロールを用いた触媒層の転写法においては、電解質膜上に所望形状の触媒電極を形成することができない。これを解決するためには、触媒層形成用フィルムの基材フィルム上に形成する触媒層を予め所望の形状にパターン形成する、あるいは、圧熱ロールを用いるかわりに所望の形状に成形した熱スタンパーにより触媒層の転写を行う、等の方法が考えられるが、これらの手法では汎用性に欠けるという問題がある。
また、電解質膜−電極接合体を燃料電池発電に用いるためには、電解質膜−電極接合体の両面にガスケットを配置する工程と、ついで該ガスケットを介してセパレータを電解質膜−電極接合体の両側に配置する工程を経て燃料電池セルを構成する必要がある。このように、電解質膜−電極接合体とセパレータとの間には、燃料および酸化剤の漏出を防ぎ、かつ電解質膜と上記セパレータとを絶縁するためのガスケットを挿入する工程が別途必要である。
また、一般に、ガスケットの開口部の大きさは、電解質膜上に形成された触媒電極よりも大きく形成されている。これは、一般的には、電解質膜上に触媒電極を形成した後にガスケットを挿入するので、ガスケットの開口部と電解質膜上の触媒電極との位置あわせが困難であるためである。このように、ガスケットの開口部は触媒電極よりも面積が大きいために、ガスケットの開口部と触媒電極との間に隙間が存在する。この隙間から電解質膜近傍へ燃料及び酸化剤が高濃度で侵入し、これがクロスオーバーによる発電性能の低下や、電解質膜の劣化による発電性能の低下等を引き起こす原因となりうる。
そこで、本発明は、所望形状の触媒層を有し、発電性能の低下を抑制し、生産性に優れた、固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体及びその製造方法を提供することを課題とする。
記課題を解決するための手段として、本発明に係る固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法は、プロトン伝導性電解質膜の両面に、触媒層及び電極基材からなる触媒電極が形成され、前記電解質膜上で前記触媒電極の周囲にマスクフィルムを配置した固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法であって、前記電解質膜を準備する工程と、所望形状の開口部が形成され、前記電解質膜と面する一方面にガスバリア層を備えたマスクフィルムを介して、前記電解質膜の少なくとも一方面に、基材フィルム上に前記触媒層が形成された触媒層形成用フィルムを配置する工程と、熱プレスにより、前記マスクフィルムの開口部に対応する前記触媒層と前記マスクフィルムとを同時に前記電解質膜に接合させる工程と、前記触媒層形成用フィルムを剥離する工程と、前記触媒層上に、前記電極基材を配置する工程と、を備えたことを特徴とする。
前記マスクフィルムは、ガスバリア層の電解質膜側の面にさらに接着層を備えていてもよく、また、他方面に離型層を備えていてもよい。
本発明によれば、所望形状の開口部が形成されたマスクフィルムの該開口部を通じて触媒層が形成されるので、任意形状の触媒層を持つ電解質膜−電極接合体を容易に製造することができる。
また、前記マスクフィルムはガスバリア層を備えているのでガスケットとしても使用することができ、このため触媒層と同時にマスクフィルムをガスケットとして電解質膜上に接合させることにより工程数を減らすことができ、生産性の向上を図ることができる。
さらには、マスクフィルムの開口部を通じて触媒層を電解質膜上に形成し、かつ、それと同時に前記マスクフィルムも電解質膜に接合させるので、触媒層とマスクフィルムとの間の隙間を無くす、若しくは小さくすることができるために、燃料及び酸化剤が高濃度で電解質膜に進入するのを防ぐことができ、発電性能の低下を抑制することができる。
また、マスクフィルムは、接着層や離型層を備えることにより、マスクフィルムを電解質膜に対してより強固に接着させることやマスクフィルム上に触媒層が形成されることをより確実に防ぐことができ、さらには、マスクフィルム自体に接着性や離型性を持たせる必要がなくなるために材料の選択の幅を拡げることができる。
さらに、マスクフィルムがガスバリア層を備えていることで、マスクフィルム自体にガスバリア性を持たせる必要がなくなるために材料選択の幅を拡げることができ、ガスケットに比べ安価なマスクフィルムを用いることで低コスト化を図ることができる。
以下、本発明に係る固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体及びその製造方法の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10の平面図(a)及び同図(a)のA−A線断面図(b)である。図1に示すように、マスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10は、電解質膜1の両面に触媒層5が形成されており、さらにその触媒層5の上に電極基材7が形成されている。以下、この触媒層5及び電極基材7を合わせて触媒電極9と呼び、電解質膜1の両面にこの触媒電極9が形成されているものを電解質膜−電極接合体11と呼ぶ。そして、触媒電極9と同一形状の開口部31が形成され、かつ電解質膜1と面する一方面にガスバリア層34を備えるマスクフィルム3が、電解質膜1上に接着されており、この開口部31内に触媒電極9が形成されている構成となっている。つまりは、マスクフィルム3は触媒電極9の周囲を囲むように配置されており、セパレータ(図示省略)の流路から供給される燃料及び酸化剤を外部及び電解質膜1に漏出しない構成となっている。
ここで、マスクフィルム3が後述するような材質からなるガスバリア層34を設けているために、セパレータ(図示省略)に設けられたガス流路から電極基材9に供給された燃料及び酸化剤ガスがマスクフィルム3内部を透過して電解質膜1表面に到達することにより生じる電解質膜1の劣化やクロスオーバーによる発電性能の低下を防ぐ効果を有することができ、つまりはマスクフィルム3をガスケットとして用いることができる。
次に上記のように構成されたマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10の材質について説明する。まず、本発明における電解質膜1は、例えば、基材上にプロトン伝導性高分子電解質を含有する溶液を塗工し、乾燥することにより形成される。プロトン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなプロトン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。プロトン伝導性高分子電解質含有溶液中に含まれるプロトン伝導性高分子電解質の濃度は、通常5〜60重量%程度、好ましくは20〜40重量%程度である。なお、電解質膜1の膜厚は通常20〜250μm程度、好ましくは20〜80μm程度である。
また、触媒層5は、白金やその合金等の触媒作用のある金属微粒子及びそれを担持する炭素粒子等を含む触媒粒子と、プロトン伝導性電解質材料とを含んだ材料である。前記金属微粒子は、他に助触媒としてルテニウムやコバルト、鉄などの金属やこれらの合金、又は、酸化モリブデンや酸化チタンなどの金属酸化物等を含んでもよい。
電極基材7としては、公知であり、燃料極、空気極を構成する各種の電極基材を使用でき、燃料である燃料ガス及び酸化剤ガスを効率よく触媒層5に供給するため、多孔質の導電性基材からなっている。多孔質の導電性基材としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等が挙げられる。
マスクフィルム3としては、熱プレスに耐えうる強度を保ち、かつ、外部に燃料及び酸化剤を漏出しない程度のガスバリア性を有し、さらに電解質膜1に対して接着性を有し、触媒層5に対して離型性を有していることが好ましい。このような材料としては、例えばシリコンゴム等を挙げることができる。
また、マスクフィルム3のガスバリア層34の材質は、ガスケットやシール材として公知である材料を用いることができ、水素やメタノールなどの燃料及び酸素などの酸化剤の透過を抑制できるものであれば良い。このような材料としては、
(a)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などの含フッ素樹脂材料や、(b)シリコンゴムやフッ素ゴム、バイトンゴム、エチレンプロピレンゴムなどのゴム材料、(c)アルミや銅などの金属材料あるいはこれらを含む合金材料、(d)シリカやアルミナを含むセラミックス材料、(e)セラミックス繊維布上に上記(a)あるいは(b)をコーティングした複合材料、(f)上記(a)あるいは(b)に補強材としてセラミックスや樹脂の繊維布を埋め込んだ材料等や、上記(a)から(f)を組み合わせた複合材料を挙げることができる。
マスクフィルム3にガスバリア層34を形成する方法としては、上記材料を塗布して乾燥させる方法や、スパッタリング、真空蒸着、レーザーアブレーションなどを挙げることができる。なお、ガスバリア層34の厚みは、通常1〜50μm、好ましくは3〜10μm程度である。
次に上述したマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。図2は、本発明に係る燃料電池用の電解質膜−電極接合体の製造方法を各要素の斜視図によって概念的に示す工程図である。
図2に示すように、電解質膜1の両面の各所定位置に一対のマスクフィルム3をガスバリア層34が電解質膜1に面するように重ねて配置し、各マスクフィルム3の各所定位置に、触媒層5がマスクフィルムの側を向くように触媒層形成用フィルム15を重ねて配置する。なお、触媒層5は、マスクフィルム3の開口部31に対応する部分のみ電解質膜1の表面に接することができ、開口部31以外の部位では、マスクフィルム3に接するのみで、電解質膜1には接することができない。なお、図2では、説明を簡略化するために、電解質膜1の一方面のみ示している。
ここで、触媒層形成用フィルム15とは、基材フィルム13上に上述した触媒層5が形成されたものであり、スクリーン印刷や、スプレーコーティング、ダイコーティング、ナイフコーティングなどの公知の塗工方法で形成することができる。この基材フィルム13は、熱プレスに耐え得る耐熱性及び強度を有し、好ましくは可撓性を有する材料を採用することができる。また、図6に示すように、基材フィルム13に剥離層131を形成した触媒層形成用フィルム15としてもよい。剥離層131は、シリコンコーティングやフッ素コーティング、プラズマ処理などの公知の手法により形成される。
このように、電解質膜1とその両面に配置された各触媒層形成用フィルム15との間にマスクフィルム3を挟んでおいて、熱プレスを施すことにより、電解質膜1及び触媒層5の少なくともいずれかに含まれるバインダー成分が軟化して接着力を生じ、電解質膜1の両面に、マスクフィルム3と、マスクフィルム3の開口部31に対応する触媒層5とが接合する。この際に施される熱プレスは、例えば圧熱ロールや、平板プレスなどの公知の手法を用いて行うことができる。
次いで、触媒層形成用フィルム15を剥離することにより、電解質膜1の両面に、マスクフィルム3が接合され、さらにそのマスクフィルム3の開口部31内に触媒層5が接合された、マスクフィルム付き電解質膜−触媒層接合体20を得ることができる。
さらに、得られたマスクフィルム付き電解質膜−触媒層接合体20の両面の触媒層5上に電極基材7を配置することによって、マスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10を得ることができる。
このように形成されたマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10は、その両面をセパレータ17で挟み、ネジやナット等の部材により固定されることにより燃料電池として発電可能なセルとなる(図3参照)。
上記のようにして、マスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10を製造することにより、開口部31の形状に依存する触媒層5を電解質膜1上に形成することができる。よって、種々形状の開口部31を有するマスクフィルム3を予め用意しておけば、所望形状の触媒層5を容易に電解質膜1上に形成することができる。
また、基材フィルム13上に剥離層131が形成されていれば、触媒層形成用フィルム15から電解質膜1への触媒層5の転写を容易に行うことができる。
さらには、触媒層5とマスクフィルム3とを電解質膜1上に同時に接合させ、またマスクフィルム3は上述したようにガスケットとしても使用できるので、別途ガスケットを配置する工程数を減らすことができ、生産性の向上を図ることができる。また、このような製造方法を採用することで、マスクフィルム3の触媒層5に対する位置合わせを必要としないので、マスクフィルム3の開口部31を触媒層5に対して大きくする必要がなく、触媒電極9と、マスクフィルム3との隙間を無くす、若しくは従来よりも小さくすることができる。このために、燃料及び酸化剤が高濃度で電解質膜1近傍へ侵入することを防ぎ、クロスオーバーによる発電性能の低下や、電解質膜1の劣化による発電性能の低下を防止、若しくは低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、マスクフィルム3に設けられた開口部31の数は1つとして説明しているが、図4に示すように、2つ以上の開口部31を設けていてもよい。なお、この場合には、連結された複数のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10が形成されるが、これを所望形状に切り出すことで、複数のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10を製造することができる。なお、図4では、電極基材7を配置した後に切り出しをしているが、電極基材7を配置する前に切り出しをしてもよい。
さらには、図5に示すように、マスクフィルム3に形成された複数の開口部31の形状は全て同一である必要はなく、任意の形状の開口部31が、任意の数だけ形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、マスクフィルム3は、それ自体で電解質膜1に対する接着性及び触媒層5に対する離型性を備えたものとして説明しているが、図7および図8に示すように、電解質膜1に面する一方面に接着層32が設けられていてもよい。接着層32は、上記マスクフィルム3が電解質膜−電極接合体から脱落するのを防ぐ目的で設けられた層であり、接着剤あるいは粘着剤によりなる。例えば、酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、エチレン・酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド系、セルロース系、α−オレフィン樹脂系などの熱可塑性樹脂系、あるいは、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリイミド系、ポリベンズイミダゾール系などの熱硬化性樹脂系、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレンブタジエンゴム系、ポリサルファイド系、ブチルゴム系、シリコーン系、アクリルゴム系、ウレタンゴム系などのエラストマー系などの接着剤あるいは粘着剤を用いることができるが、マスクフィルム3が電解質膜−電極接合体から脱落することを防ぐことが可能な材料であれば、上述した材料以外が用いられても構わない。
さらには、マスクフィルム3の他方面に離型層33を設けても良く、該離型層33は、プラズマ処理やシリコンコーティング、フッ素コーティング等の公知の処理方法により形成される。
これらのようにマスクフィルム3を構成することで、マスクフィルム3自体が接着性や離型性を有する必要がなくなるので、材料選択の幅が拡がり、低コスト化等を図ることができる。
また、上記実施形態では、電解質膜1、マスクフィルム3、触媒層形成用フィルム15をシート状として説明しているが、これらを図9に示すようにロール状とすることにより、均質なマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体10を大量かつ安価に、生産性よく製造することができる。
例えば、図10〜12に示すようなシステムでは、ロール状の電解質膜1に、ロール状のマスクフィルム3を重ね、さらに触媒層形成用フィルム15を触媒層5がマスクフィルム3に接する向きに重ね、これらの連続搬送ラインを構成し、さらに、圧熱ロール21で連続的に熱プレスを施すことによりマスクフィルム付き電解質膜−触媒層接合体を連続的に大量に製造することができる。
図10〜12に示すシステムでは、電解質膜1と触媒層形成用フィルム15の接合体から転写後の基材フィルム13を剥離することなく巻き取っている。この場合、基材フィルム13は、触媒層5を保護するフィルムとしての活用が可能であり、例えば基材フィルム13にガスバリア性を持たせることにより、外気に触れることによる触媒層5の汚染や劣化を防ぐことができる。
一方、図13に示すように、電解質膜1と触媒層形成用フィルム15との接合体から転写後の基材フィルム13を剥離して巻き取ることも可能である。
さらに、図14に示すように、インラインで触媒層形成用フィルム15を製造しながらマスクフィルム付き電解質膜−触媒層接合体20を製造することも可能である。この場合は、製造した触媒層形成用フィルム15を保管するスペースを必要としないうえに、保管中に触媒層が汚染したり劣化したりするリスクを低減することができる利点がある。なお、触媒層形成用フィルム15は、先に述べたような公知の手法により形成される。
本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の実施形態を示す平面図(a)及びA−A線断面図(b)である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法の実施形態を概略的に示す模式図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体を用いた単電池セルの一例を示す断面図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法の実施形態を概略的に示す模式図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法の実施形態を概略的に示す模式図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法に用いられる触媒層形成用フィルムの一例を示す断面図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法に用いられるガスケットの一例を示す断面図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法に用いられるガスケットの一例を示す断面図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法の実施形態を概略的に示す模式図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法の実施形態を概略的に示す模式図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法の実施形態を概略的に示す模式図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法の実施形態を概略的に示す模式図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法の実施形態を概略的に示す模式図である。 本発明に係るマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法の実施形態を概略的に示す模式図である。
符号の説明
1 電解質膜
3 マスクフィルム
31 開口部
32 接着層
33 離型層
34 ガスバリア層
5 触媒層
7 電極基材
9 触媒電極
10 マスクフィルム付き電解質膜−電極接合体
11 電解質膜−電極接合体
13 基材フィルム
15 触媒層形成用フィルム

Claims (3)

  1. プロトン伝導性電解質膜の両面に、触媒層及び電極基材からなる触媒電極が形成され、前記電解質膜上で前記触媒電極の周囲にマスクフィルムを配置した固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法であって、
    前記電解質膜を準備する工程と、
    所望形状の開口部が形成され、前記電解質膜と面する一方面にガスバリア層を備えたマスクフィルムを介して、前記電解質膜の少なくとも一方面に、基材フィルム上に前記触媒層が形成された触媒層形成用フィルムを配置する工程と、
    熱プレスにより、前記マスクフィルムの開口部に対応する前記触媒層と前記マスクフィルムとを同時に前記電解質膜に接合させる工程と、
    前記触媒層形成用フィルムを剥離する工程と、
    前記触媒層上に、前記電極基材を配置する工程と、
    を備えたことを特徴とする固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法。
  2. 前記マスクフィルムは、前記ガスバリア層の電解質膜側の面にさらに接着層を備えたことを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法。
  3. 前記マスクフィルムは、他方面に離型層を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体高分子形燃料電池用のマスクフィルム付き電解質膜−電極接合体の製造方法。
JP2005162210A 2005-06-02 2005-06-02 固体高分子形燃料電池用マスクフィルム付き電解質膜−電極接合体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4940575B2 (ja)

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