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JP4834464B2 - 画像処理方法及び画像処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、デジタル画像内の特定の領域を抽出する画像処理方法及び画像処理装置に関し、特に、生体を撮像した画像から血管領域を抽出する画像処理方法及び画像処理装置に関する。
従来、生体の血管位置を画像で取得する装置として、近赤外光を用いたものがある。これは、血液中のヘモグロビンは近赤外光を吸収する性質を利用したものであり、生体に近赤外波長の光を照射し、生体からの反射光もしくは透過光を、近赤外光波長領域を透過する光学フィルタを通して近赤外感度の高い白黒CCD(Charge Coupled Device)カメラで撮像する。この時、血管が存在する領域だけ反射もしくは透過が少なくなるため、画像上で暗く映し出される。従って、暗く映し出された領域を抜き出すことで血管領域を抽出していた。
また、暗く映し出された領域の血管領域を抽出する画像処理としては、暗く映し出されている画素を追跡していく手法が一般的によく用いられている。生体の曲面などの理由で近赤外光が一様に当たらず背景の明るさが大きく変化していた場合、単純に閾値による2値化処理やエッジ抽出処理では、精度良く血管を抽出することができない。しかしながら、明るさが大きく変化していても、局所的な範囲に限れば血管領域は周辺よりも暗いので、周辺よりも暗い領域を追跡することで血管領域を抽出することができる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置において用いられている血管抽出処理では、本数や長さが未知数の血管を抽出するために、ある位置からより暗い部分へ移動し続けたときの軌跡を、様々な位置、様々な長さで多数求め、それらを重ね合わせることで統計的に血管を浮かび上がらせることを行っている。
図17は、特許文献1で開示された血管抽出処理(指を撮像した指画像において行う処理)を示すフローチャートである。同図において、まず初めに血管を追跡した経歴を保持するための、画像と同じ大きさの得点表を用意し、そのすべてを0に初期化する(ステップS1700)。全体の血管パターンを浮かび上がらせるために必要な回数jだけ繰り返し実行される血管追跡のループ(ステップS1701)の中においては、まず1回分の血管追跡を行う追跡点の出発位置を乱数によって決定する(ステップS1702)。ただし背景、指先、指の根元、指の輪郭付近を出発点とすると血管を正しくたどることができなくなるため、指の輪郭情報を利用して、それらが出発点とならないようにする。
また出発点は血管上に配置したほうがより血管をたどりやすい。そこで複数の出発点候補を決め、その中で最も暗い輝度値のピクセルを出発点とする。ただし常にこの条件で出発点を決定すると明るい部分に存在する血管が追跡されにくくなるため、複数の出発点候補のうちで最も暗い輝度値のピクセルを常に出発点とするのでなく、一定の確率で最も明るい輝度値を持つピクセルを出発点とする。この確率は乱数によって決定する。次にこの追跡点の移動しやすい向きを決定する(ステップS1703)。この性質は後述の移動可能点の決定に用いられる。この決定法の一例として、乱数によって、右または左、かつ上または下へ移動しやすい性質を持つと決定する。続いて、追跡点の追跡の長さを表す「寿命」を決定し(ステップS1704)、同時にその値を初期値として追跡点に与える。追跡は、上記寿命により定まる距離だけ追跡した時点で打ち切る。つまり、追跡の長さを追跡点の寿命とし、1ピクセルをたどるごとに寿命を減らし寿命が尽きた時点で追跡を終了させる。この寿命は乱数を用いて決定される。
続いてこの追跡点を移動させる。はじめに、追跡点が次に移動することのできる点を決定する(ステップS1705)。血管の多くは指の長軸方向を走っているが、追跡点の移動する傾向を血管の走る方向の傾向に合わせることで血管がより強調される。そこで、次に移動することのできる点の候補にある傾向をもたせることで、移動点の移動の傾向を制御する。
移動の傾向の一例として、50%の確率で左右の長軸方向に移動しやすくするため左または右の3近傍を移動可能点とし、残りの50%のうち30%については指の短軸方向に移動しやすくするため上または下の3近傍を移動可能点とする。それ以外は8近傍を移動可能点とする。ただし、いずれの場合も今までたどってきた軌跡や指の外側へは移動できない。このようにして移動可能点を求めるが、もし移動可能点が存在しない場合(ステップS1706)は現在の追跡点での追跡を終了する。
続いて移動可能点のうち、最も暗い輝度値を持つピクセルヘ移動する(ステップS1707)。そして現在の追跡点が過去にたどってきた軌跡を再びたどらないよう、現在の位置を軌跡情報として登録、更新する(ステップS1708)。このとき、そのピクセルの座標に対応した得点表の位置に、得点を加算する(ステップS1710)。ここでは例として5点を加算する。さらにこの追跡点の追跡の長さである寿命を1つ減らす(ステップS1711)。この追跡点の寿命の有無を判定し(ステップS1712)、寿命があるならば再び移動可能点の決定(ステップS1705)へ戻り、移動、得点の加算、軌跡情報の更新を繰り返す。寿命が尽きた場合、たどった軌跡の情報を初期化し(ステップS1713)、現在の追跡点での追跡が終了する。このような血管追跡のプロセスを多数繰り返し実行する。この繰り返しがすべて終了したとき、たどった回数が多いピクセル、すなわち血管である確率が高い部分であるほどその位置に対応する得点表の得点は高くなっている。逆に得点の低い位置は血管でない確率が高いことになる。従って、この得点表には静脈パターンそのものが現れていることになる。従って、この得点表を画像として捉えることで、静脈パターンだけを取り出した画像が得られることになる。
このようにして得られた静脈パターンをマッチングに利用しやすい形にするために、静脈パターンとしての得点表の各欄をその得点に応じて分類する。ここでは例として4種に分類する(ステップS1714)。まず得点の低いピクセル位置には全く血管が存在しないものとする。また得点の高いピクセル位置は血管である可能性が高いとする。そして中間的な得点を持つピクセル位置は、血管である可能性はあるが確実に血管であるとは言いがたいあいまいな領域であるとする。さらに指の輪郭の外側に位置するピクセルを背景とする。これら4種類を輝度値に対応させることで、静脈パターンの画像が得られる。
最後に、偶然追跡されなかったピクセルの穴を埋めるために、血管部分、そしてあいまいな部分に対して膨張処理(ステップS1715)を施した。膨張処理は、画像中に存在するすべてのピクセルについて、血管部分またはあいまいな部分のピクセルの8近傍を調べ、血管でない部分のピクセルの個数が4つ以下ならば、それらの血管でない部分をあいまいな部分に変換することで行われる。
このように、この血管抽出処理は、まず血管を追跡した履歴を保持するための、画像と同じ大きさの得点表を用意し、そのすべてを0に初期化する。そして1回分の血管追跡を行う処理として、まず追跡点の初期値として、追跡点の出発位置、追跡点の移動しやすい方向、追跡の長さを、乱数を用いて設定し、追跡点の移動に際しては、追跡点が次に移動することのできる移動可能点を血管の走る方向の傾向に合わせて決定し、決定した移動可能点のうち最も暗い輝度値を持つピクセルへ移動させる。また、同時にそのピクセルの座標に対応した得点表の位置に得点を加算する。そして、これら一連の処理を全体の血管パターンを浮かび上がらせるために必要な回数だけ繰り返し実行する。こうして作成した得点表は、たどった回数が多いピクセル、すなわち血管である確率が高い部分であるほどその位置に対応する得点が高くなっているため、高得点のピクセルを抽出することで血管抽出を行っていた。
特開2002−83298号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載された構成では、血管追跡を行う際、追跡点の出発位置や追跡方向、追跡長を乱数で設定しているため、安定して血管抽出を行うことができず、乱数値によっては、画像内のすべての血管を抽出しきれない。また、追跡点の移動しやすい方向を血管の走る方向の傾向に合わせることで、特定の方向の血管を抽出することは可能であるが、追跡方向を乱数で決定しているため確実に抽出できるとは限らず、さらに、長さや太さなど特定の形状的特徴をもつ血管のみを抽出したい場合、従来方法ではできないという問題がある。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、意図する形状の特徴を持つ血管を精度良く抽出することができる画像処理方法及び画像処理装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の画像処理方法は、近赤外光を生体に照射し、反射光又は透過光の近赤外波長成分を撮像しデジタル化した近赤外光画像に対して、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さい画素を暗画素として抽出し、各画素に第1の特徴量を付加した暗画素画像データを作成する暗領域抽出工程と、前記暗領域抽出工程で作成された暗画素画像データから、予め設定した1つあるいは複数のマスクパターンに一致するように連続して分布する前記暗画素を連続暗領域として抽出し、各画素に第2の特徴量を書き込んだ連続暗領域画像データを作成する連続暗領域抽出工程と、前記連続暗領域抽出工程で作成された連続暗領域画像データ内の複数の連続暗領域から、前記第2の特徴量が所定の値よりも大きい領域を前記生体の血管が存在する特定領域として抽出し、特定領域画像データを作成する特定領域抽出工程と、を備える。
この方法によれば、近赤外光画像において周辺画素よりも輝度値が小さくなっている暗画素を抽出し、さらにそこからマスクパターンを用い連続性のある暗画素のみ連続暗領域として抽出し、連続暗領域を基に血管領域を抽出するので、マスクパターンに示す意図する形状を持つ血管領域を少ない演算量で精度良く抽出することができる。また、血管の形状によって演算量が増減しないので、一定の処理負荷と処理時間で安定した血管抽出が可能となり、静止画に限らず動画にも適応することができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記暗領域抽出工程は、前記近赤外光画像に対して相対的に1画素ずつ位置をずらしながら所定範囲の領域を逐次抜き出していき、各位置で抜き出した領域における各画素の輝度値を基に、領域の中心に位置する中心画素が暗画素であるかどうかを評価する暗画素評価値を前記第1の特徴量として求め、求めた前記暗画素評価値を基に前記暗画素画像データを作成する。
この方法によれば、近赤外光画像において周辺領域よりも輝度値が小さい画素である暗画素を示す暗画素画像データを作成することができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記暗領域抽出工程は、抜き出した領域内の全画素の輝度値から中心画素の輝度値を減算した値を画素毎に求め、前記減算した後の全画素の値の総和を前記暗画素評価値とする。
この方法によれば、中心画素が暗画素であるかどうかを確実に評価することができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記暗領域抽出工程は、前記中心画素の前記暗画素評価値が所定の閾値よりも大きくなる画素を前記暗画素とし、前記抜き出した所定の領域において、前記中心画素が暗画素である場合には、前記暗画素の前記暗画素評価値を所定値で除算した結果を前記暗画素の特徴量として付加し、暗画素以外の画素は全てゼロを特徴量として付加し、前記中心画素が暗画素ではない場合は、全ての画素にゼロを特徴量として付加する。
この方法によれば、暗画素の暗画素評価値を所定値で除算することで、暗画素評価値の特性を保ったまま値を小さくし、予め確保しておく暗画素データの画像メモリサイズを小さくすることができ、かつ後段の処理において演算負荷を低減することができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記連続暗領域抽出工程は、前記暗画素画像データに対して、前記マスクパターンを重ね合わせる位置を相対的に1画素ずつずらしながら、各位置における暗画素の連続性を評価する連続評価値を逐次求め、前記連続評価値を基に連続暗領域を抽出していき、前記連続評価値と前記マスクパターンの位置情報を基に該当する暗画素に前記連続評価値を前記第2の特徴量として書き込んで連続暗領域画像データを作成する。
この方法によれば、暗画素画像データに対し、画素の連続性を示すマスクパターンを用いて、画素が連続している暗画素である連続暗領域を抽出し、該連続暗領域を示す連続暗領域画像データを作成する。暗画素画像データは、血管に限らず周辺に比べ暗くなっている画素を抜き出したものであるため、ここには血管以外のノイズも含まれている。そこで、画素が連続している暗画素、即ち血管の特徴であるライン状になっている暗画素を抽出することで、より血管の可能性が高い領域を抽出することができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記連続暗領域抽出工程は、前記各マスクパターンにそれぞれ異なる重み値を持たせておき、各マスクパターン毎に求める連続評価値に重み付けを行う。
この方法によれば、連続評価値の数値を意図的に大きくすることができ、腕の長軸方向の血管を優先的に抽出することが可能となる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記連続暗領域抽出工程は、前記連続暗領域画像データの作成において、前記マスクパターンに一致する位置に対応する前記連続暗領域画像データ上の画素位置に、前記連続評価値を所定値で除算した結果を前記第2の特徴量として書き込む処理を行い、既に値が書き込まれていた場合は、書き込む値が大きい値の場合のみ前記第2の特徴量として書き込みを行う。
この方法によれば、連続評価値を所定値で除算することで、連続評価値の特性を保ったまま値を小さくし、予め確保しておく連続暗領域画像データの画像メモリサイズを小さくすることができ、かつ後段の処理において演算負荷を低減することができる。また、連続暗領域画像データに値を書き込む際に、既に値が書き込まれていた場合は、大きい方を書き込むことで、0で上書きされてしまうことを防ぎ、その画素位置における連続する画素の連続性を示す連続評価値を残すことができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記連続暗領域抽出工程は、前記連続暗領域画像データの作成において、前記連続評価値の中で最大の連続評価値を持つ前記連続暗領域と前記マスクパターンの組合せを調べ、該当する暗画素のみに前記連続評価値を前記第2の特徴量として書き込みを行う。
この方法によれば、マスクパターンを重ね合わせた領域において、連続評価値が最も大きい暗画素のみ抽出することができ、血管の特徴を特に示す領域のみ抽出することができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記特定領域抽出工程は、前記連続暗領域画像データの各画素位置において、前記第2の特徴量が所定の閾値よりも大きくなっている画素を特定領域として抽出し、前記第2の特徴量を基に特定領域画像データを作成する。
この方法によれば、連続暗領域画像データにおいて画素値が大きい画素を抽出することで、血管領域を抽出することができる。さらに、画素値の大きさにより、よりはっきりとした血管が存在する位置も知ることができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記特定領域抽出工程は、前記所定の閾値として、前記連続暗領域画像データから前記特定領域として抽出される領域の画素数が所定の画素数以下になるような値を算出し、その値を設定する。
この方法によれば、例えば、予め撮像される生体部位の領域の画素数とその生体部位における血管領域が占める割合を調べておき、生体部位の画素数に血管の割合をかけて画素数を算出し、特定領域として抽出される領域の画素数が算出した画素数以下になるような閾値を設定する。これにより、照明光の当たり方などの理由で撮像される近赤外光画像の明るさが変化しても、絶えず一定割合以上の画素数を持つ血管領域を抽出することが可能となる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記特定領域抽出工程は、前記特定領域画像データの作成を行った後で、連続暗領域の面積値あるいは縦横の幅比に応じて重み値を算出した各画素に重み付けを行い、前記重み付けされた値が所定の閾値よりも大きくなっている画素領域のみ特定領域として再度抽出する。
この方法によれば、血管の特徴に近い体毛などのノイズを除去することができ、血管抽出の精度をより高めることができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記暗領域抽出工程の前に前記近赤外光画像から前記生体以外の背景領域を除いた演算領域画像を抽出する演算領域算出工程を備え、前記暗領域抽出工程と前記連続暗領域抽出工程では前記演算領域画像に基づいて処理を行う。
この方法によれば、演算領域を設定することで、背景領域における血管の誤抽出をなくすと共に、演算を行う範囲を絞ることで演算量を減らすことができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記演算領域算出工程は、前記近赤外光画像の各画素の輝度値を所定の閾値と比較して演算領域を抽出し、前記演算領域画像を生成する。
この方法によれば、所定の閾値よりも輝度値が大きい画素を抽出することで、背景領域を除いた演算領域を求めることができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記演算領域算出工程は、前記所定の閾値として、前記近赤外光画像から抽出される画素数が所定の画素数以上になるような値に設定する。
この方法によれば、例えば、予め背景領域と生体領域の分布を分離する閾値を設定することで、背景領域を除いた生体領域のみで構成される演算領域を求めることができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記演算領域算出工程は、前記所定の閾値と比較し、前記演算領域の候補となる画素が集合した領域が複数個ある場合、最大の画素数からなる領域を前記演算領域画像とする。
この方法によれば、複数個の領域が存在した場合は最大の面積値を持つ領域を演算領域として設定することで、生体領域のみで構成される演算領域を求めることができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記演算領域算出工程は、前記抽出した演算領域に対し、演算領域の大きさを縮小させる修正を行う。
この方法によれば、例えば腕に対して近赤外光を照射して撮像した場合、腕の側面では近赤外光が十分に当たっておらず、血管の特徴が現れない。また、腕の内側を撮像した場合、側面付近には体毛があるため、側面付近は演算領域から取り除いた方が良い。したがって、演算領域を数画素分内側に収縮することで、側面の画素を演算領域から除外できる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記暗領域抽出工程の前に前記近赤外光画像の補正を行う画像変換工程を備え、前記近赤外光画像内の生体領域の大きさが一定の割合になるように前記近赤外光画像のサイズを拡大又は縮小させる補正を行う。
この方法によれば、血管を抽出するための血管抽出処理に適した画像に変換できるので、安定した精度で血管領域を抽出することができる。
さらに、本発明の画像処理方法において、前記暗領域抽出工程の前に前記近赤外光画像の補正を行う画像変換工程を備え、前記近赤外光画像内の生体領域の方向が所定の方向に向くように前記近赤外光画像を回転させる補正を行う。
この方法によれば、血管を抽出するための血管抽出処理に適した画像に変換できるので、安定した精度で血管領域を抽出することができる。
本発明の画像処理装置は、近赤外光を生体に照射し、反射光または透過光の近赤外波長成分を撮像しデジタル化した近赤外光画像に対して、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さい画素を暗画素として抽出し、各画素に第1の特徴量を付加した暗画素画像データを作成する暗領域抽出部と、前記暗画素画像データから、予め設定した一つあるいは複数のマスクパターンに一致するように連続して分布する前記暗画素を連続暗領域として抽出し、各画素に第2の特徴量を書き込んだ連続暗領域画像データを作成する連続暗領域抽出部と、前記連続暗領域画像データ内の複数の連続暗領域から、前記第2の特徴量が所定の値よりも大きい領域を前記生体の血管が存在する特定領域として抽出し、特定領域画像データを作成する特定領域抽出部と、を備える。
この構成によれば、近赤外光画像において周辺画素よりも輝度値が小さくなっている暗画素を抽出し、さらにそこからマスクパターンを用い連続性のある暗画素のみ連続暗領域として抽出し、連続暗領域を基に血管領域を抽出するので、マスクパターンに示す意図する形状を持つ血管領域を少ない演算量で精度良く抽出することができる。また、血管の形状によって演算量が増減しないので、一定の処理負荷と処理時間で安定した血管抽出が可能となり、静止画に限らず動画にも適応することができる。
さらに、本発明の画像処理装置において、前記近赤外光画像から前記生体以外の背景領域を除いた演算領域画像を抽出する演算領域算出部を備え、前記暗領域抽出部と前記連続暗領域抽出部は、前記演算領域画像に基づいて処理を行う。
この構成によれば、演算領域を設定することで、背景領域における血管の誤抽出をなくすと共に、演算を行う範囲を絞ることで演算量を減らすことができる。
さらに、本発明の画像処理装置において、前記近赤外光画像内の生体領域の大きさが一定の割合となり、かつ方向が所定の方向に向くように前記近赤外光画像の補正を行う画像変換部を備える。
この構成によれば、血管を抽出するための血管抽出処理に適した画像に変換できるので、安定した精度で血管領域を抽出することができる。
さらに、本発明の画像処理装置において、前記暗領域抽出部は、前記近赤外光画像に対して相対的に1画素ずつ位置をずらしながら所定範囲の領域を逐次抜き出していき、各位置で抜き出した領域における各画素の輝度値を基に、領域の中心に位置する中心画素が暗画素であるかどうかを評価する暗画素評価値を前記第1の特徴量として求め、求めた前記暗画素評価値を基に前記暗画素画像データを作成する。
この構成によれば、近赤外光画像において周辺領域よりも輝度値が小さい画素である暗画素を示す暗画素画像データを作成することができる。
さらに、本発明の画像処理装置において、前記連続暗領域抽出部は、前記暗画素画像データに対して、前記マスクパターンを重ね合わせる位置を相対的に1画素ずつずらしながら、各位置における暗画素の連続性を評価する連続評価値を逐次求め、求めた前記連続評価値を基に連続暗領域を抽出していき、抽出した記連続評価値と前記マスクパターンの位置情報を基に該当する暗画素に前記連続評価値を前記第2の特徴量として書き込んで連続暗領域画像データを作成する。
この構成によれば、暗画素画像データに対し、画素の連続性を示すマスクパターンを用いて、画素が連続している暗画素である連続暗領域を抽出し、該連続暗領域を示す連続暗領域画像データを作成する。暗画素画像データは、血管に限らず周辺に比べ暗くなっている画素を抜き出したものであるため、ここには血管以外のノイズも含まれている。そこで、画素が連続している暗画素、即ち血管の特徴であるライン状になっている暗画素を抽出することで、より血管の可能性が高い領域を抽出することができる。
さらに、本発明の画像処理装置において、前記特定領域抽出部は、前記連続暗領域画像データの各画素位置において、前記第2の特徴量が所定の閾値よりも大きくなっている画素を特定領域として抽出し、前記第2の特徴量を基に前記特定領域画像データを作成する。
この構成によれば、連続暗領域画像データにおいて画素値が大きい画素を抽出することで、血管領域を抽出することができる。さらに、画素値の大きさにより、よりはっきりとした血管が存在する位置も知ることができる。
さらに、本発明の画像処理装置において、前記特定領域画像データを用い、前記第2の特徴量に応じて前記近赤外光画像における前記特定領域を強調して表示する強調表示部を備える。
この構成によれば、近赤外光画像における特定領域を強調して表示するので、視覚的に特定領域が区別し易くなる。
本発明によれば、意図する形状の特徴を持つ血管を精度良く抽出することができる。
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1として、近赤外光を生体に照射し、生体からの反射光を近赤外光波長のみを透過する光学フィルタを通して、近赤外波長の感度が高い白黒CCDカメラで撮像し、デジタル化した近赤外光画像内の血管領域を抽出する場合を例として説明を行う。この近赤外光画像は、1画素を8bitで表し、画素値は輝度を示す濃淡画像とする。このようにして撮像された近赤外光画像においては、血液中のヘモグロビンは近赤外光を吸収する性質をもっているため、血管が存在する領域だけ反射光が少なくなり、血管が存在する画素の輝度値は小さくなっている。なお、ここでは反射光を撮像しているが、透過光を撮像してもよく、同様に血管が存在する画素の輝度値は小さくなる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置100の要部概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態1の画像処理装置100は、コンピュータにより形成され、暗領域抽出部102と、連続暗領域抽出部103と、特定領域抽出部104を含んで構成される。画像処理装置100に入力される近赤外光画像101は、近赤外光を生体に照射し、その反射光を、近赤外波長のみを透過する光学フィルタを通し白黒CCDカメラで撮像し、デジタル化した画像である。この近赤外光画像101に含まれる血管領域を特定領域として抽出するものである。暗領域抽出部102は、近赤外光画像101において、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さい画素である暗画素を抽出し、該暗画素を示す暗画素画像データを作成し、連続暗領域抽出部103に出力する。
連続暗領域抽出部103は、暗領域抽出部102から出力される暗画素画像データに対し、予め設定してある画素の連続性を示すマスクパターンを用いて、画素が連続している暗画素である連続暗領域を抽出し、該連続暗領域を示す連続暗領域画像データを作成し、特定領域抽出部104に出力する。特定領域抽出部104は、連続暗領域抽出部103から出力される連続暗領域画像データに対して、血管が存在する画素からなる特定領域を抽出し、該特定領域を示す特定領域画像データを作成し、特定領域画像データを特定領域105として出力する。
次に、上記構成の画像処理装置100の動作を説明する。
図2は、本実施の形態に係る画像処理装置100が行う処理を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、ステップS101ないしステップS103からなり、ステップS1011ないしステップS1015からなるステップS101は暗領域抽出工程を、ステップS1021ないしステップS1027からなるステップS102は連続暗領域抽出工程を、ステップS103は特定領域抽出工程を、それぞれ示す。
すなわち、暗領域抽出部102がステップS101の処理を行い、連続暗領域抽出部103がステップS102の処理を行い、特定領域抽出部104がステップS103の処理を行うことで、入力された近赤外光画像101における血管領域を示す特定領域を、少ない演算量で精度良く抽出することができる。さらに、一定の処理負荷と処理時間で安定した血管抽出ができ、静止画に限らず動画にも適応することができる。
以下、近赤外光画像101に対して、画像処理装置100の画像処理をフローチャートに従って図3から図7を用いて詳細に説明する。
(ステップS101/暗領域抽出工程)
まず、近赤外光画像101において、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さい画素を暗画素として抽出し、暗画素を示す近赤外光画像と同サイズの多値のデジタル画像データ(暗画素画像データ)を作成する。これは、近赤外光画像101に対して、相対的に位置をずらしながら一定範囲の領域を逐次抜き出して行き、抜き出した各位置において、抜き出した領域に含まれる各画素の輝度値を基に、領域の中心に位置する中心画素が、暗画素であるかどうかを評価する暗画素評価値を求め、求めた暗画素評価値を基に暗画素画像データを作成することで行う。ここで求めた暗画素評価値とは、周辺画素と比べ中心画素の輝度値が小さく、また輝度値の差が大きいほど、値が大きくなる性質のものである。従って、暗画素評価値が大きな画素は、近赤外光画像において暗く映っている血管領域である可能性が高いといえる。また、一定範囲の局所的な領域を抜き出し、その領域内において暗画素評価値を求めているため、近赤外光画像において、生体の曲面などの理由で近赤外光が一様に当たらず生体領域の明るさが大きく変化していても、血管領域を含む周辺に比べ暗くなっている領域を精度良く抽出することができる。
図3は、腕の中心上部から近赤外光源を照射し、腕を撮像した近赤外光画像において、腕の長軸方向を横切る画素位置を横軸とし、横軸に示す各画素位置の輝度値を縦軸として表した図である。図3では、近赤外光が良く当たっている中心付近の輝度値は高くなり、側面の輝度値は低くなっている。また、血管位置においては、輝度値が周辺よりも小さくなっている。このように生体領域の明るさが変化していている場合、所定の閾値を用いた2値化処理では暗領域を抽出することができないが、一定範囲を切り抜き、局所的に周辺画素よりも暗い画素を調べることで、精度良く暗画素を抽出することができるようになる。
ここで、暗画素の抽出処理をより具体的に説明する。図4は、近赤外光画像に対し行う暗画素抽出処理の走査を示した図である。まず、暗画素画像データを0で初期化しておき(ステップS1011)、近赤外光画像に対し、最初の抜き出し領域401を設定する(ステップS1012)。この際の抜き出す領域のサイズは、血管位置の領域を抜き出した際、必ず血管領域とその他の生体領域が含まれるようなサイズを設定すればよい。ただし、複数の血管が含まれるような大きなサイズは好ましくない。以上のことより、撮像される近赤外光画像において想定される最大の血管の太さの1.5倍程度のサイズを設定する。ここでは説明のため、9×9画素のサイズを設定するものとする。
次いで、抜き出し領域の中心に位置する中心画素402における暗画素評価値を算出する(ステップS1013)。暗画素評価値は、抜き出し領域401に含まれる各画素位置において、各画素位置の輝度値から中心画素402の輝度値を減算した値を81画素分求め、求めた値を全て足し合わせることで求める。求めた後、抜き出し領域を1画素ずらして次の中心画素について演算を行う。こうして求めた暗画素評価値は、中心画素が周辺画素に比べ暗い場合は正の値、逆に、中心画素が周辺画素に比べ明るい場合は負の値となり、中心画素と周辺画素の輝度差が大きいほど絶対値が大きくなる。
次に、求めた暗画素評価値を基に、中心画素402に対応する暗画素画像データの画素位置に値を書き込む(ステップS1014)。なお、暗画素画像データに書き込む値は、暗画素評価値が正の場合は暗画素評価値を書き込み、暗画素評価値が負の場合は、0を書き込む。こうすることで、暗画素画像データにおいて、0以外の画素値をもつ画素が暗画素であることがわかる。また、正の値の暗画素評価値を書き込む際、暗画素評価値を所定値で除算し、この除算した値を書き込んでもよい。除算を行うことで、暗画素評価値の特性を保ったまま値を小さくし、予め確保しておく暗画素画像データの画像メモリサイズを小さくすることができ、かつ後段の処理においては演算負荷を低減することができる。また、ここでは暗画素評価値が正の値の場合、暗画素としているが、予め所定の閾値を設定しておき、該閾値よりも大きい暗画素評価値を持つ画素を暗画素とし、その他画素を0としてもよい。0よりも大きい値を閾値として設定することで、より周辺画素に対し暗くなっている暗画素のみを抽出することが可能となる。
そして、これらステップS1012からステップS1014の処理を、図4に示す走査線403に従って、近赤外光画像に対して抜き出す位置を1画素ずつずらしながら、画像全体に対して行う。ただし、走査は、抜き出し領域401が近赤外光画像からはみ出さないような走査範囲404内とする(ステップS1015)。以上の処理を行うことで、近赤外光画像において周辺領域よりも輝度値が小さい画素である暗画素を示す暗画素画像データを作成することができる。こうして作成された暗画素を示す暗画素画像データは、以下のステップS102において参照される。
(ステップS102/連続暗領域抽出工程)
次は、ステップS101にて作成された暗画素画像データに対し、予め設定してある画素の連続性を示すマスクパターンを用いて、画素が連続している暗画素である連続暗領域を抽出し、該連続暗領域を示す暗画素画像データと同サイズの多値のデジタル画像データ(連続暗領域画像データ)を作成する。ステップS101で作成した暗画素画像データは、血管に限らず周辺に比べ暗くなっている画素を抜き出したものであるため、ここには血管以外のノイズなども含まれている。そこで、画素が連続している暗画素、即ち血管の特徴であるライン状になっている暗画素を抽出することで、より血管の可能性が高い領域を抽出することができる。これは、暗画素画像データに対して、マスクパターンを重ね合わせる位置を相対的にずらしながら、マスクパターンを用いて、重ね合わせた各位置における暗画素の連続性を示す連続評価値を逐次求め、求めた連続評価値を基に連続暗領域画像データを作成していくことで行う。
ここで、連続暗領域の抽出処理をより具体的に説明する。図5は、連続暗領域抽出工程で用いるマスクパターンの一例を示した図である。マスクパターンは、斜線で示す第1のパターン領域501とその他の第2のパターン領域502で構成されており、4×4画素の画像データとして第1のパターン領域を示す画素を1、第2のパターン領域を示す画素を0として予め設定しておく。このマスクパターンにおける第1のパターン領域が、抽出すべき連続する暗画素を示しており、第1のパターン領域が示す形状の暗画素の集合が、連続暗領域として抽出される。
まず、連続暗領域画像データを0で初期化する(ステップS1021)。次いで、暗画素画像データに対してマスクパターンを重ね合わせる位置を設定する(ステップS1022)。最初の設定位置は、ステップS101と同様に暗画素画像データの左上隅とする。そして、重ね合わせた位置において、ひとつめのマスクパターンとして図5(a)に示すマスクパターンを選択し(ステップS1023)、選択したマスクパターンの第1のパターン領域に重なる暗画素画像データの画素値を基に、マスクパターンに示す形状の画素の連続性を評価する連続評価値を算出する(ステップS1024)。連続評価値は、第1のパターン領域に重なる暗画素画像データの画素値をすべて乗算することで求める。つまり、第1のパターン領域に重なる暗画素画像データの画素値がそれぞれK1、K2、K3、K4とすると、連続評価値はK1×K2×K3×K4となる。このように連続評価値を求めることで、暗画素画像データにおいて暗画素でない領域の画素値は0となっているため、重ね合わせた暗画素が、マスクパターンの第1のパターン領域に示された形状ではない場合、連続評価値は0となる。また、暗画素画像データにおいて、周辺画素よりもより暗くなっている暗画素ほど画素値が大きくなっているため、明暗がはっきりとしている暗画素が連続しているほど、連続評価値の値は大きくなる。
そして、次は、こうして求めた連続評価値を基に、選択されたマスクパターンの第1のパターン領域を示す画素位置に対応する連続暗領域画像データの各画素位置に連続評価値を書き込む(ステップS1025)。なお、連続暗領域画像データに書き込む値は、求めた連続評価値としてもよいが、連続評価値を所定値で除算し、この除算した値を書き込んでもよい。このように除算を行うことで、連続評価値の特性を保ったまま値を小さくし、予め確保しておく連続暗領域画像データの画像メモリサイズを小さくすることができ、かつ後段の処理において演算負荷を低減することができる。
こうして、ひとつめのマスクパターンにおける連続暗領域画像データの書き込みを終えると、次はふたつめのマスクパターンとして図5(b)に示すマスクパターンを選択し、ひとつめのマスクパターンと同様に、最初の重ね合わせた位置において、ステップS1023からステップS1025の処理を繰り返す(ステップS1026)。これを図5に示す全てのマスクパターンにおいて繰り返し行う。なお、連続暗領域画像データに値を書き込む際、既に値が書き込まれていた場合は、書き込む値と既に書き込まれている値の比較を行い、大きい値を書き込むようにする。こうすることで、0で上書きされてしまうことを防ぎ、その画素位置における連続する画素の連続性を示す連続評価値を残すことができる。
また、連続暗領域画像データに書き込む処理に関して、マスクパターン毎に値を書き込むのではなく、同じ重ね合わせ位置において、まず、すべてのマスクパターンにおける連続評価値を求めておき、その中で最大の連続評価値をもつマスクパターンを調べ、最大の連続評価値をもつマスクパターンでのみ書き込み処理を行ってもよい。即ち重ね合わせ位置において、最大の連続評価値をもつマスクパターンの第1のパターン領域に示す各画素位置にのみ、最大の連続評価値を書き込む処理を行う。この処理により、マスクパターンを重ね合わせた領域において、連続評価値が最も大きい暗画素のみ抽出することができ、血管の特徴を特に示す領域のみ抽出することができる。
そして、全てのマスクパターンにおいて完了すると、ステップS101と同様に図4に示す走査線403に従って、暗画素画像データに対してマスクパターンを重ね合わせる位置を1画素ずつずらしながら、画像全体に対してステップS1022からステップS1026の処理を繰り返し行う。なお、ここでの走査も、マスクパターンを重ね合わせた際、マスクパターンが暗画素画像データからはみ出さないようにする(ステップS1027)。以上の処理を行うことで、暗画素画像データにおける暗画素において、図5に示すマスクパターンの第1のパターン領域に示す形状と一致する暗画素のみを抽出した連続暗領域画像データを作成することができる。
なお、この連続暗領域抽出工程において、予め設定しているマスクパターンに重み値を持たせておき、各マスクパターン毎に求める連続評価値に重み付けを行ってもよい。例えば、図5(b)に示す形状の暗画素を特に抽出したい場合、図5(b)のマスクパターンに、他のマスクパターンに比べ値の大きな重み値を持たせておき、各マスクパターン毎に求めた連続評価値に重み値を掛け合わし重み付けを行うことで、図5(b)の連続評価値の数値を意図的に大きくすることができ、腕の長軸方向の血管を優先的に抽出することに貢献する。また、重み付けで用いる重み値は、マスクパターンの第1のパターン領域を示す画素位置に設定しておけばよく、例えば、図5(b)のマスクパターンの第1のパターン領域の画素位置の画素値を2と設定しておき、連続評価値を求めた際、第1のパターン領域の画素値を参照し、その画素値を重み値として重み付けを行うことで、図5(b)のマスクパターンの連続評価値において他のマスクパターンに比べ2倍の重み付けを行うことができる。
さらに、連続評価値を求める際に使用するマスクパターンは、近赤外光画像データの性質、特には抽出したい領域の特徴に合わせて変更させてもよい。例えば、太い血管を抽出したい場合は図6(a)に示すような第1のパターン領域の画素幅を広く設定したマスクパターンを用い、また長い血管を抽出したい場合は図6(b)に示すような5×5画素の画像データを用意し第1のパターン領域の画素長を長く設定したマスクパターンを用いればよい。また、血管など走行方向がある場合は、その走行方向に合わせたマスクパターンを用いればよい。例えば、走行方向が縦向きの場合は、図5(b)、図5(c)、図5(d)、図5(g)、図5(h)に示すマスクパターンだけを用いればよい。このように抽出すべき領域の形状に合わせ、マスクパターンのサイズや第1のパターン領域の形状を設定することで、視覚的に分かりやすく容易に様々な形状の領域を抽出することが可能である。こうして作成された連続暗領域を示す連続暗領域画像データは、以下のステップS103において参照される。
(ステップS103/特定領域抽出工程)
次は、ステップS102にて作成された連続暗領域画像データに対し、血管が存在する画素からなる特定領域を抽出し、該特定領域を示す、連続暗領域画像データと同サイズの多値のデジタル画像データ(特定領域画像データ)を作成する。
ステップS102にて作成された連続暗領域画像データの画素値は、血管の特徴であるライン状になっており、かつ周辺画素に比べ輝度値が小さい画素ほど値が大きくなっている。従って、連続暗領域画像データにおいて画素値が大きい画素を抽出することで血管領域を抽出することができるといえる。これは、連続暗領域画像データの画素値を1画素ずつ随時調べて行き、各画素位置において画素値と所定の閾値との比較を行い、閾値よりも大きい場合はその連続暗領域画像データの画素値を、それ以外の場合は0を、特定領域画像データ上の対応する画素位置に書き込むことで行う。この処理により、特定領域画像データの、画素値が0でない画素を参照することで、血管領域を知ることができる。さらに、画素値の大きさにより、よりはっきりとした血管が存在する位置も知ることができる。
なお、ここで用いる閾値は、予め複数枚の近赤外光画像を撮像しておき、それら近赤外光画像を用いて観察者が最も良く抽出できると考える値を算出し、設定しておけばよい。例えば、値の小さな閾値を設定すると周辺に比べあまり暗く映っていない薄い血管まで抽出し、値の大きな閾値を設定すると周辺に比べかなり暗く映っている濃い血管のみ抽出することができるようになる。
また、閾値の設定において、特定領域として抽出される領域の画素数が所定の画素数以下になるような閾値を算出し設定してもよい。例えば、予め、撮像される生体部位の領域の画素数とその生体部位における血管領域が占める割合を調べておき、生体部位の画素数に血管の割合をかけて画素数を算出し、特定領域として抽出される領域の画素数が算出した画素数以下になるような閾値を設定してやる。より具体的には、連続暗領域画像データにおいて、横軸を連続暗領域画像データの画素値の大きさ、縦軸をその画素値をもつ画素数とするヒストグラムを作成し、高画素値方向より順に、画素数を累積していき、累積値が前記所定の画素数を超えた位置における画素値を閾値として設定する。これにより、照明光の当たり方などの理由で撮像される近赤外光画像の明るさが変化しても、絶えず一定割合以上の画素数を持つ血管領域を抽出することが可能となる。
また、さらに、精度を上げるために以下に示す処理を行っても良い。前記処理では、血管の特徴に近い体毛などは、近赤外光画像において周辺に比べ暗く映り、また画素が連続しているため、誤って血管を示す特定領域として抽出されることがある。この種のノイズを除去することで、さらに血管抽出の精度をより高めることが可能となる。これは、前記処理にて生成された特定領域画像データに対して、画素が連続している特定領域毎に特徴量を求め、求めた特徴量に応じて、特徴量を求めた特定領域に含まれる画素値に重み付けを行った後、重み付け後の画素値に対し、再度所定の閾値との比較を行うことで体毛領域を取り除くことを行う。なお、この重み付けでは、体毛領域に含まれる画素値を意図的に小さくし、閾値より小さくなるように仕向けている。
具体的には、特徴量に応じて1以下の少数値で表される重み値を算出し、算出した重み値を特定領域の画素値に掛け合わせることで重み付けをする処理を行う。概して血管に比べ体毛は短い。このことより、血管領域の面積値は大きく、体毛領域の面積値は小さいということが言える。そこで、前記特徴量を特定領域の面積値とし、特定領域画像データにおいて、特定領域毎に面積値を求め、求めた面積値に応じて、面積値が小さくなるほど値が小さくなる重み値を算出し、その特定領域に含まれる画素値に対し重み付けを行う。
なお、予め設定している値以上の面積値がある場合は、重み値を1とし、重み付けにより画素値が小さくならないようにする。つまり、予め設定している値より小さい面積値に対して、面積値に比例するように1以下の少数値で表される重み値を算出する。またここで用いる予め設定する値は、複数枚の近赤外光画像から必ず血管であると判断できる面積値を求め設定しておけばよい。この処理により、面積値が小さい特定領域の画素値を小さくすることができ、体毛など短い領域を除去することができる。
また、面積値の算出は、一般的に領域の特徴を調べる際によく用いられている、繋がっている画素(連結成分)に同じラベルを、異なった連結成分には異なったラベルを付けることで、個々の連結成分を分離し、各連結成分の特徴を調べることができるラベリング処理を用いることで行い、まず特定領域画像データに対してラベリング処理を行い特定領域毎にラベルを付け、各特定領域において同一のラベルが付いている画素をカウントすることで面積値を求める。また、前記ラベル付けしたものの中には、濃い体毛が複数重なり合うケースがあり、この場合は、単純な体毛に比べて面積値が比較的大きい。この手の体毛を除去するために、前記重み付け処理後にさらに以下の重み付け処理を行ってもよい。
図7に、血管と濃い体毛が複数重なっているケースの例を示す。図7(a)と図7(b)は血管の特定領域であり、図7(c)は体毛の特定領域である。また、図中の破線枠は、特定領域の縦幅と横幅で囲まれる範囲を示している。図7(a)に示す通り、血管はライン状の特徴を持つため、縦幅と横幅の比率の差が大きくなる。また、図7(b)と図7(c)に示す通り、縦幅と横幅の比率の差が小さい場合でも、縦幅と横幅で囲まれる範囲に占める特定領域の面積の割合を見ると、血管の場合は割合が小さくなり、複数重なっている体毛の場合は割合が大きくなる。従って、縦幅と横幅の比率の差が小さく、かつ、縦幅と横幅で囲まれる範囲に占める特定領域の面積の割合が大きい特定領域を体毛であると区別し、区別した体毛領域の画素値を重み付けにより意図的に小さくすることで、体毛領域を除去することができる。
まず、特定領域の縦幅と横幅を求める。縦幅と横幅は、前記ラベル付けされた特定領域において同一のラベルが付いている画素の最も端に位置する上下左右の座標から求める。そして、縦幅と横幅の比率の差を、縦幅と横幅のうち大きい値を小さい値で割って求めた除算値とし、求めた除算値が必ず血管であると判断できる値以上の場合、重み値を1とする。求めた除算値が必ず血管であると判断できる値よりも小さい場合は、図7中の破線で示す縦幅と横幅で囲まれる範囲に占める特定領域の面積の割合が大きくなるほど、値が小さくなる重み値を算出する。具体的には、特定領域の面積値を同一のラベルが付いている画素をカウントすることで求め、縦幅と横幅で囲まれる範囲の面積値を縦幅×横幅で求め、特定領域の面積値を縦幅と横幅で囲まれる範囲の面積値で除算して求めた割合値を基にして、割合値が血管であると判断できる値以下の場合は重み値を1とし、血管であると判断できる値よりも大きい割合値に対しては、割合値に反比例するように1以下の少数値で表される重み値を算出する。なお、除算値と割合値の必ず血管であると判断できる値は、予め複数枚の近赤外光画像から観察者が判断し設定しておけばよい。
以上のように、実施の形態1の画像処理装置100によれば、近赤外光画像101において周辺画素よりも輝度値が小さくなっている暗画素を抽出し、さらにそこからマスクパターンを用い連続性のある暗画素のみ連続暗領域として抽出し、連続暗領域を基に血管領域を抽出することで、マスクパターンに示す意図する形状を持つ血管領域を少ない演算量で精度良く抽出することができる。また、本処理では、血管の形状によって演算量が増減しないので、一定の処理負荷と処理時間で安定した血管抽出が可能となり、静止画に限らず動画にも適応することができる。
なお、実施の形態1において、生体に対し近赤外光を照射した反射光を撮像した近赤外光画像から血管領域を抽出する例を示したが、近赤外光画像以外にも血管領域と周辺領域において輝度差があるデジタル画像ならば本処理は有用であり、例えば血管造影剤を用いX線撮像した血管造影画像に対して行っても良い。もし、血管領域が周辺領域よりも明るく映っている場合は、撮像画像が取りうる最大画素値、例えば8bitデジタル画像ならば255から撮像画像の画素値を減算した画像に対し、本処理を行えばよい。また、抽出する特定領域は血管領域と限らず、血管と同様の特徴を持つ特定領域を抽出する場合においても、有用であることはいうまでもない。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置について説明を行う。
図8は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置の要部概略構成を示すブロック図である。同図において、実施の形態2の画像処理装置800は、コンピュータにより形成され、演算領域算出部802、暗領域抽出部803と、連続暗領域抽出部804と、特定領域抽出部104を含んで構成される。実施の形態1で説明したのと同じ構成のものについては同じ符号を付し、説明を省略する。
前述した実施の形態1の構成と異なる点は、演算領域算出部802が新たに追加され、この演算領域算出部802では、近赤外光画像101から演算領域を算出し、算出した演算領域を示す演算領域画像データを作成し、暗領域抽出部803と連続暗領域抽出部804へ出力する点である。
次に、上記構成の画像処理装置800の動作を説明する。
図9は、本実施の形態に係る画像処理装置800が行う処理を示すフローチャートである。図9のフローチャートはステップS201ないしステップS204からなり、ステップS201は演算領域算出工程を、ステップS2021からステップS2026からなるステップS202は暗領域抽出工程を、ステップS2031からステップS2038からなるステップS203は連続暗領域抽出工程を、ステップS204は特定領域抽出工程を、それぞれ示す。実施の形態1の処理と異なる点は、演算領域算出工程が新しく追加され、撮像したデジタル画像において、例えば生体以外の背景領域を除いた領域を演算領域として算出し、算出した演算領域を示す演算領域画像データを作成し、暗領域抽出工程では、該演算領域でのみ暗領域を抽出する処理を行うようにし、連続暗領域抽出工程では、該演算領域でのみ連続暗領域を抽出する処理を行うようにした点が異なる。このように演算領域を設定することで、背景領域における血管の誤抽出をなくすと共に、演算を行う範囲を絞ることで演算量を減らすことができる。
すなわち、演算領域算出部802がステップS201の処理を行い、暗領域抽出部803がステップS202の処理を行い、連続暗領域抽出部804がステップS203の処理を行、特定領域抽出部104がステップS204の処理を行うことで、背景領域における誤抽出をなくし血管領域を示す特定領域を精度良く抽出することができると共に、演算量を減らし高速化が図れる。
以下、近赤外光を生体に照射し反射光を撮像した近赤外光画像に対し、本実施の形態の画像処理装置800が行う画像処理をフローチャートに従って詳細に説明する。
(ステップS201/演算領域算出工程)
まず、近赤外光画像において、背景領域を除いた領域を演算領域として算出し、算出した演算領域を示す演算領域画像データを作成する。近赤外光画像は、生体を撮像しているが、ここには生体以外の背景領域も撮像されており、背景領域を除いた演算領域でのみ抽出処理を行うことで、背景領域における誤抽出をなくすることができる。また、処理を行う対象となる範囲が絞れることで、処理回数を減らすことにもなり高速化が図れる。なお、演算領域画像データとしては、予め近赤外光画像と同サイズの画像データを用意しておき、演算領域を示す画素の画素値を1、それ以外を0にすることで設定する。後段の工程では、演算領域画像データの画素値が1となっている画素位置を調べることで演算領域を知ることができる。
演算領域は、近赤外光画像の輝度値と所定の閾値を比較し、条件を満たす画素位置を設定する。より具体的には、生体の背景に近赤外光を吸収する素材を用いた場合、撮像した近赤外光画像において背景領域の輝度値は生体領域の輝度値に対して小さくなる。図10は、生体の背景に近赤外光を吸収する素材を用い撮像した近赤外光画像における、横軸を輝度値、縦軸をその輝度値を持つ画素数とする輝度ヒストグラムを示したものである。図10において、背景領域は低輝度側に、生体領域は高輝度側に分布している。従って、予め背景領域と生体領域の分布を分離する閾値を設定しておき、近赤外光画像において、閾値よりも輝度値が大きい画素を抽出することで、背景領域を除いた演算領域を求めることができる。なお、逆に、生体の背景に近赤外光を生体よりも強く反射する素材を用いた場合は、近赤外光画像において、所定の閾値よりも輝度値が小さい画素を抽出することで演算領域を求めることができる。
また、照射する近赤外光の光量により明るさが変化する場合は、輝度値と比較する閾値を近赤外光画像の輝度値に基づいて算出し、画像毎に設定してもよい。これは、予め画像全体に占める背景領域の割合を設定しておき、近赤外光画像において横軸を輝度値、縦軸をその輝度値を持つ画素数とする輝度ヒストグラムを作成し、低輝度側から順に画素数を累積していき、累積値が背景領域の画素数を超えた位置における輝度値を閾値として設定する。こうして設定した閾値を用いることで、明るさが変化しても絶えず一定の面積となる演算領域を求めることができる。
なお、このようにして求めた領域において、複数個の領域が存在した場合は最大の面積値を持つ領域を演算領域として設定するものとする。図11は、腕を撮像した近赤外光画像において所定の閾値よりも大きい輝度値をもつ領域を抽出した図である。図11において、所定の閾値よりも輝度値が大きい領域は斜線で示している。このように、照明の当たり方や背景の素材、また撮像するCCDの特性により、本来演算領域として設定する生体領域以外にも輝度むらやノイズが入り込む可能性がある。しかしながら、概してこのような生体領域以外の領域は、生体領域に比べ面積が小さい。そこで、最大の面積値を持つ領域のみ演算領域として設定することで、生体領域のみで構成される演算領域を求めることができる。なお、面積値は、実施の形態1と同様に、演算領域に対しラベリング処理を行うことで求め、最大の面積値を持つ領域に付けられているラベル以外のラベルが付いている領域の画素値を0とする。
また、以上の処理を行うことで精度良く演算領域を設定することが可能であるが、さらに設定した演算領域に対し、演算領域の大きさを収縮させる修正を行ってもよい。腕に対し近赤外光を照射し撮像した場合、腕の側面では近赤外光が十分に当たっておらず、血管の特徴が現れない。また、腕の内側を撮像した場合、側面付近には体毛があるため、側面付近は演算領域から取り除いたほうがよいと考えられる。従って、演算領域を数画素分内側に収縮することで、側面の画素を演算領域から除外する。収縮処理は、演算領域である画素値が1となっている画素において、近傍に1つでも0があればその画素を0にすることで行い、元の演算領域の大きさが1割以上小さくなるまで収縮を繰り返す。以上の処理を行い、演算領域を求め、作成した演算領域画像データは以下のステップS202、ステップS203において参照される。
(ステップS202/暗領域抽出工程)
次は、図2のステップS101と同様に、近赤外光画像において、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さい画素である、暗画素を抽出し、該暗画素を示す近赤外光画像と同サイズの多値のデジタル画像データ(暗画素画像データ)を作成する。ただし、暗画素を抽出する処理は、ステップS201で求めた演算領域でのみ行う。
まず、暗画素画像データを0で初期化しておき(ステップS2021)、図4に示すように、近赤外光画像に対し、最初の抜き出し領域401を設定する(ステップS2022)。そして、次は抜き出し領域の中心に位置する中心画素402が、演算領域であるかどうかの判定を行う(ステップS2023)。もし、演算領域であった場合は、図2のステップS101と同様に、暗画素評価値の算出(ステップS2024)を行い、暗画素画像データを作成する(ステップS2025)。演算領域でなかった場合は、ステップS2024とステップS2025をスキップする。そして、これらステップS2022からステップS2025の処理を、図4に示す走査線403に従って、近赤外光画像に対して抜き出す位置を1画素ずつずらしながら、画像全体に対して行う(ステップS2026)。こうして作成された暗画素を示す暗画素画像データは、以下のステップS203において参照される。
(ステップS203/連続暗領域抽出工程)
次は、図2のステップS102と同様に、ステップS202において作成された暗画素画像データに対し、予め設定してある画素の連続性を示すマスクパターンを用いて、画素が連続している暗画素である連続暗領域を抽出し、該連続暗領域を示す、暗画素画像データと同サイズの多値のデジタル画像データ(連続暗領域画像データ)を作成する。ただし、連続暗領域を抽出する処理は、ステップS201で求めた演算領域でのみ行う。
まず、ステップS102と同様に、連続暗領域画像データを0で初期化する(ステップS2031)。次いで、暗画素画像データの左上隅にマスクパターンを重ね合わせる位置を設定する(ステップS2032)。そして、重ね合わせる位置において、演算領域であるかどうかの判定を行う(ステップS2033)。これは、重ね合わせる全てのマスクパターンの第1のパターン領域に示す画素が演算領域に含まれている場合、演算領域であると判断する。そして、もし、演算領域であった場合は、図2のステップS102と同様に、マスクパターンの選択(ステップS2034)、連続評価値の算出(ステップS2035)、連続暗領域画像データの作成(ステップS2036)を、全てのマスクパターンにおいて繰り返し行う(ステップS2037)。演算領域でなかった場合は、ステップS2034からステップS2037をスキップする。そして、これらステップS2032からステップS2037の処理を、図4に示す走査線403に従って、暗画素画像データに対して重ね合わせる位置を1画素ずつずらしながら、画像全体に対して行う(ステップS2038)。こうして作成された連続暗領域を示す連続暗領域画像データは、以下のステップS204において参照される。
(ステップS204/特定領域抽出工程)
次は、ステップS203にて作成された連続暗領域画像データに対し、血管が存在する画素からなる特定領域を抽出し、該特定領域を示す、連続暗領域画像データと同サイズの多値のデジタル画像データ(特定領域画像データ)を作成する。なお、特定領域を抽出し、特定領域画像データを作成する方法は、図2のステップS103と同様であるため、説明を省略する。こうして作成した特定領域画像データを血管が存在する特定領域として出力する。
以上のように、実施の形態2の画像処理装置800によれば、演算領域を設定し、該演算領域でのみ、暗領域の抽出処理また連続暗領域の抽出処理を行うことにより、背景領域における誤抽出をなくし血管領域を示す特定領域を精度良く抽出することができると共に、演算量を減らし高速化が図れる。
なお、実施の形態2において、生体に対し近赤外光を照射した反射光を撮像した近赤外光画像から血管領域を抽出する例を示したが、近赤外光画像以外にも血管領域と周辺領域において輝度差があるデジタル画像ならば有用であり、例えば血管造影剤を用いX線撮像した血管造影画像に対して行っても良い。また、抽出する特定領域は血管領域と限らず、血管と同様の特徴を持つ特定領域を抽出する場合においても、有用であることはいうまでもない。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る画像処理装置について説明する。
図12は、本発明の実施の形態3に係る画像処理装置の要部概略構成を示すブロック図である。同図において、実施の形態3の画像処理装置1200は、コンピュータにより形成され、画像変換部1201と、暗領域抽出部102と、連続暗領域抽出部103と、特定領域抽出部104を含んで構成される。前述した実施の形態1で説明したのと同じ構成のものについては同じ符号を付し、説明を省略する。
実施の形態1の構成と異なる点は、画像変換部1201が新たに追加され、画像変換部1201では近赤外光画像101を変換し、変換した近赤外光画像を暗領域抽出部102へ出力する点である。
以上のように構成された画像処理装置1200を用い、画像変換部1201ではステップS301で行う処理を、暗領域抽出部102ではステップS302で行う処理を、連続暗領域抽出部103ではステップS303で行う処理を、特定領域抽出部104ではステップS304で行う処理を行うことで、撮像した近赤外光画像の変化による、各工程でのパラメータ変更が不要となり、安定した精度で血管領域を示す特定領域を抽出することができる。
以下、実施の形態1と同様に近赤外光を生体に照射し反射光を撮像した近赤外光画像に対し、本実施の形態の画像処理装置1200が行う画像処理をフローチャートに従って詳細に説明する。
図13は、実施の形態3の画像処理装置1200が行う画像処理をフローチャートである。同図に示すフローチャートは、ステップS301ないしステップS304からなり、ステップS301は画像変換工程を、ステップS3021ないしステップS3025からなるステップS302は暗領域抽出工程を、ステップS3031ないしステップS3037からなるステップS303は連続暗領域抽出工程を、ステップS304は特定領域抽出工程を、それぞれ示す。前述した実施の形態1の処理と異なる点は、画像変換工程が新しく追加され、撮像されたデジタル画像毎にパラメータの設定を行わなくてすむよう、デジタル画像内の血管の大きさや方向といった特定領域の情報が一定になるようにデジタル画像を変換し、暗領域抽出工程では、変換されたデジタル画像に対し暗領域を抽出する処理を行うようにした点が異なる。
(ステップS301/画像変換工程)
まず、撮像した近赤外光画像において、画像内の血管の大きさや方向といった特定領域の情報が一定になるように近赤外光画像を変換する。近赤外光画像に映し出される生体の大きさは、生体とCCDカメラとの距離変動により逐次変化する。また近赤外光画像に映し出される生体の向きは、生体が動くことで逐次変化していく。従って、撮像した近赤外光画像に応じて逐次、実施の形態1や実施の形態2において説明した暗領域抽出工程では抜き出し領域の範囲、連続暗領域工程では重ね合わせるマスクパターンのサイズや方向、また各工程の閾値など様々なパラメータを変更する必要がでてくる。これでは、変更するパラメータが多く非常に手間がかかり、また画像毎に血管抽出の精度が変わってしまう恐れがある。そこで、撮像した近赤外光画像を、血管を抽出するための血管抽出処理に適した画像に変換し、変換した近赤外光画像において血管抽出処理を行うようにする。これにより、各工程で用いるパラメータの変更が不要となる。
以下、腕を撮像した近赤外光画像における画像変換の例を示す。まず、常に血管の大きさが一定になるように、近赤外光画像のサイズの変更を行う。これは、近赤外光画像に映っている腕領域の面積値を用いて行い、基準となる腕領域の面積値を最初に設定しておき、この基準となる面積値と新たに撮像した近赤外光画像の腕領域の面積値が等しくなるように画像のサイズを縦横同倍率で拡大または縮小する変換を行う。腕領域の面積値は、実施の形態2のステップS201において背景を除く腕領域を演算領域として求めた処理と同様の処理で、腕領域を抽出し、抽出した領域の画素数をカウントすることで求めることができる。
また、常に血管の方向が一定になるように、近赤外光画像の回転も行う。腕の血管は、腕の長手方向に走っている。そこで、同様に腕領域を抽出し、腕の長手方向を示す直線を求め、この求めた直線が、予め設定してある基準直線に一致するように近赤外光画像を回転させる。腕の長手方向を示す直線は、図14に示すように近赤外光画像の水平方向をX軸、垂直方向をY軸とおいた場合、腕領域の上部からY軸方向に1画素ずつずらしながら、X軸方向における腕領域の中点を順次求めて行き、求めた各Y軸における腕領域の中点を最小2乗近似で結ぶ直線とすることで求める。なお、画像の拡大、縮小、また回転は、一般的に良く用いられている2次元のアフィン変換を用いて行えばよい。アフィン変換は、変換前の座標を(x,y)、変換後の座標を(x’,y’)、反時計回りの回転角度をθ、拡大縮小倍率をsとした場合、次のように表される。
x’=(x×cosθ+y×sinθ)×s
y’=(−x×sinθ+y×cosθ)×s
こうして変換された近赤外光画像は、以下のステップS302において参照される。
(ステップS302/暗領域抽出工程)
次は、図2のステップS101と同様にし、ステップS301において変換された近赤外光画像に対して、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さい画素である、暗画素を抽出し、該暗画素を示す、近赤外光画像と同サイズの多値のデジタル画像データ(暗画素画像データ)を作成する。なお、暗画素を抽出し、暗画素画像データを作成する方法は、図2のステップS101と同様であるため、説明を省略する。こうして作成された暗画素を示す暗画素画像データは、以下のステップS303において参照される。
(ステップS303/連続暗領域抽出工程)
次は、図2のステップS102と同様にし、ステップS302において作成された暗画素画像データに対し、予め設定してある画素の連続性を示すマスクパターンを用いて、画素が連続している暗画素である連続暗領域を抽出し、該連続暗領域を示す、暗画素画像データと同サイズの多値のデジタル画像データ(連続暗領域画像データ)を作成する。なお、連続暗領域を抽出し、連続暗領域画像データを作成する方法は、図2のステップS102と同様であるため、説明を省略する。こうして作成された連続暗領域を示す連続暗領域画像データは、以下のステップS304において参照される。(ステップS304/特定暗領域抽出工程)
次は、図2のステップS103と同様にし、ステップS303において作成された連続暗領域画像データに対し、血管が存在する画素からなる特定領域を抽出し、該特定領域を示す、連続暗領域画像データと同サイズの多値のデジタル画像データ(特定領域画像データ)を作成する。なお、特定領域を抽出し、特定領域画像データを作成する方法は、図2のステップS103と同様であるため、説明を省略する。こうして作成した特定領域画像データを血管が存在する特定領域として出力する。
以上のように、実施の形態3の画像処理装置1200によれば、撮像した近赤外光画像内の特定領域の情報が一定になるように近赤外光画像を変換し、暗領域抽出工程では、変換された近赤外光画像に対し暗画素を抽出する処理を行うことで、撮像した近赤外光画像の変化による、各工程でのパラメータ変更が不要となり、安定した精度で血管領域を示す特定領域を抽出することができる。
なお、実施の形態3において、生体に対し近赤外光を照射した反射光を撮像した近赤外光画像から血管領域を抽出する例を示したが、近赤外光画像以外にも血管領域と周辺領域において輝度差があるデジタル画像ならば有用であり、例えば血管造影剤を用いX線撮像した血管造影画像に対して行っても良い。また、抽出する特定領域は血管領域と限らず、血管と同様の特徴を持つ特定領域を抽出する場合においても、有用であることはいうまでもない。
また、実施の形態3で説明した画像変換工程を実施の形態2による画像処理方法に追加してもよい。具体的には、まず、撮像した近赤外光画像に対しステップS301で示す画像変換を行い、変換した近赤外光画像に対し、ステップS201ないしステップS204の処理を行う。これにより、実施の形態2と実施の形態3に示した両方の効果を得ることができる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態3の画像処理装置1200における画像変換工程を実施の形態2の画像処理装置1100における画像処理に追加した実施の形態4の画像処理装置について説明する。
図15は、本発明の実施の形態4に係る画像処理装置1500の要部概略構成を示すブロック図である。同図において、実施の形態4の画像処理装置1500は、コンピュータにより形成され、画像変換部1201、演算領域算出部802、暗領域抽出部803と、連続暗領域抽出部804と、特定領域抽出部104を含んで構成される。実施の形態2と図12で説明したのと同じ構成のものについては同じ符号を付し、説明を省略する。実施の形態2や図12の構成と異なる点は、画像変換部1201では近赤外光画像101を変換し、変換した近赤外光画像を演算領域算出部802と暗領域設定部803へ出力する点である。
以上のように構成された画像処理装置1500を用い、画像変換部1201ではステップS301で行う処理を、演算領域算出部802ではステップS201で行う処理を、暗領域抽出部803ではステップS202で行う処理を、連続暗領域抽出部804ではステップS203で行う処理を、特定領域抽出部104ではステップS204で行う処理を行うことで、実施の形態2と実施の形態3に示した両方の効果を得ることができる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る画像処理装置について、図面を参照しながら説明する。実施の形態5に係る画像処理装置は、実施の形態1に係る画像処理装置100から出力される特定領域画像データを用いて、近赤外光画像における血管領域を示す特定領域を強調して表示する画像処理装置である。
図16は、本実施の形態に係る画像処理装置1600の要部概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態の画像処理装置1600は、実施の形態1の近赤外光画像から抽出した血管を示す特定領域画像データを作成する画像処理装置100を用いたものであり、この画像処理装置100と、画像処理装置100から出力される特定領域画像データの画素値の大きさに応じて近赤外光画像101における血管領域を示す特定領域を強調して表示する強調表示部1601とを含んで構成される。なお、実施の形態1で説明したのと同じ構成のものについては同じ符号を付し、説明を省略する。画像処理装置1600では、撮像した近赤外光画像101に対し、画像処理装置100において血管領域を示す特定領域画像データを作成し、強調表示部1601では、近赤外光画像101における特定領域画像データに示されている特定領域を強調した画像を作成し、作成した画像を強調画像1602として表示する。
以上のように構成された画像処理装置1600によれば、近赤外光画像における特定領域を強調して表示することができ、視覚的に特定領域を区別しやすくすることを可能とする。
以下、強調表示部1601で行う処理を詳細に説明する。画像処理装置100から出力される特定領域画像データは、血管の特徴をより強く表している画素ほど値が大きくなっている。従って、特定領域画像データに示す画素値が大きいほど、対応する近赤外光画像101の画素をより強く強調させる処理を行う。また、画像を強調させる方法としては、特定領域において色情報を補正する処理を行う。これは、近赤外光画像の画素値は輝度を示す濃淡画像であるが、強調し表示する強調画像1602は、1画素がRGB各8bitの輝度値を持つカラー画像とし、近赤外光画像の特定領域の画素を色付けすることで行う。なお、色情報の補正は、赤色成分を強調する補正とし、特定領域ではない画素においては、RGB値ともに近赤外光画像の輝度値をそれぞれ代入し、特定領域である画素においては、R値をG値とB値に対し相対的に大きな値とするため、R値は近赤外光画像の輝度値を、G値とB値は近赤外光画像の輝度値から特定領域画像データの画素値を減算した値を代入することで行う。なお、減算結果が負の場合は0を代入する。
以上の処理を行うことで、特定領域画像データの画素値が大きいほどR値がG値とB値に比べ相対的に大きくなり赤色成分を強く強調することができ、特定領域において近赤外光画像の輝度値を用いた強調処理を行っているので、特定領域の輝度値を活かし境界が不自然にならないように血管領域を示す特定領域の赤色成分を強調することができる。また、G値とB値において、近赤外光画像の輝度値から減算する特定領域画像データの画素値を一定の比率で増減させることで、画像強調の強さを調整することも可能である。特定領域画像データの画素値を増加させると赤色成分がより強調される補正となり、特定領域画像データの画素値を減少させると赤色成分が弱い補正となる。
なお、ここで示した方法は一例であり、勿論他の方法により特定領域画像データを用い特定領域を強調しても問題はない。例えば、他に画像を強調する方法として、生体を撮像した近赤外光画像の場合は、生体領域を肌色に表示し、さらに血管を示す特定領域では緑色成分を強調する補正を行ってもよい。これにより、濃淡画像である近赤外光画像を、カラー画像として表示することができる。具体的には、強調画像1602における各画素のRGB値を、R=Y+Cr、G=Y−0.51×Cr−0.186×Cb、B=Y+Cb、で表される式で求め、Yは近赤外光画像の輝度値、Crは40、Cbは−64とすることで生体領域を肌色でカラー化し、血管を示す特定領域ではさらに、求めたRGB値の、R値からは特定領域画像データの画素値を、G値からは特定領域画像データの画素値を16で除算した値を、B値からは特定領域画像データの画素値を4で除算した値をそれぞれ減算することで、肌色でカラー化した生体領域上の血管を示す特定領域において緑色成分を強調することができる。なお、ここで示した数式や数値は一例であり、値を変更することで色の調節を行ってもよい。
以上のように、実施の形態5に係る画像処理装置1600によれば、近赤外光画像から血管領域を抽出し、抽出した血管領域を違和感なく強調することができ、視覚的に区別しやすくすることができる。
なお、実施の形態5では、近赤外光画像から血管領域を抽出し血管領域を示す特定領域画像データを作成する装置を図1に示す画像処理装置100とし説明を行ったが、図8に示す画像処理装置800、図12に示す画像処理装置1200、また図15に示す画像処理装置1500に置き換えてもよい。これにより、実施形態2又は実施の形態3に示した特定領域画像データを用いた強調処理を行うことが可能である。なお、実施の形態1ないし実施の形態4においては反射光を撮像しているが、透過光を撮像してもよく、同様に血管が存在する画素の輝度値が小さくなるため、同様の処理を行うことで血管抽出を行うことが出来る。
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
本発明は、意図する形状の特徴を持つ血管を精度良く抽出することができるといった効果を有し、デジタル画像中の特定領域を抽出する各種処理装置、特に画素の連続性がある形状的特徴を持つ対象物の抽出を行う画像処理装置への適用が可能である。
本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の要部概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャート 本発明の実施の形態1に係る画像処理装置において腕を撮像した際の近赤外光画像における腕画素の輝度値を示す図 本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が近赤外光画像に対して行う暗領域抽出処理の走査を示す図 本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の連続暗領域抽出工程で用いるマスクパターンの一例を示す図 本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の連続暗領域抽出工程で用いるマスクパターンの変形の一例を示す図 本発明の実施の形態1に係る画像処理装置において血管と濃い体毛が複数重なっているケースの特定領域の一例を示す図 本発明の実施の形態2に係る画像処理装置の要部概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態2に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャート 本発明の実施の形態2に係る画像処理装置において背景に近赤外光を吸収する素材を用い撮像した近赤外光画像の輝度ヒストグラムを示す図 本発明の実施の形態2に係る画像処理装置において所定の閾値よりも大きい輝度値をもつ領域を示す図 本発明の実施の形態3に係る画像処理装置の要部概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態3に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャート 本発明の実施の形態3に係る画像処理装置において腕の長手方向を示す直線を求める方法を説明する図 本発明の実施の形態4に係る画像処理装置の要部概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態5に係る画像処理装置の要部概略構成を示すブロック図 従来の血管抽出処理を説明するフローチャート
符号の説明
100、800、1200、1500、1600 画像処理装置
101 近赤外光画像
102 暗領域抽出部
103 連続暗領域抽出部
104 特定領域抽出部
105 特定領域
401 最初の抜き出し領域
402 抜き出し領域の中心に位置する中心画素
403 抜き出し処理の走査線
404 抜き出し処理の走査範囲
501 第1のパターン領域
502 第2のパターン領域
802 演算領域算出部
803 暗領域抽出部
804 連続暗領域抽出部
1201 画像変換部
1601 強調表示部
1602 強調画像

Claims (25)

  1. 近赤外光を生体に照射し、反射光又は透過光の近赤外波長成分を撮像しデジタル化した近赤外光画像に対して、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さい画素を暗画素として抽出し、各画素に第1の特徴量を付加した暗画素画像データを作成する暗領域抽出工程と、
    前記暗領域抽出工程で作成された暗画素画像データから、予め設定した1つあるいは複数のマスクパターンに一致するように連続して分布する前記暗画素を連続暗領域として抽出し、各画素に第2の特徴量を書き込んだ連続暗領域画像データを作成する連続暗領域抽出工程と、
    前記連続暗領域抽出工程で作成された連続暗領域画像データ内の複数の連続暗領域から、前記第2の特徴量が所定の値よりも大きい領域を前記生体の血管が存在する特定領域として抽出し、特定領域画像データを作成する特定領域抽出工程と、
    を備える画像処理方法。
  2. 請求項1に記載の画像処理方法であって、
    前記暗領域抽出工程は、前記近赤外光画像に対して相対的に1画素ずつ位置をずらしながら所定範囲の領域を逐次抜き出していき、各位置で抜き出した領域における各画素の輝度値を基に、領域の中心に位置する中心画素が暗画素であるかどうかを評価する暗画素評価値を前記第1の特徴量として求め、求めた前記暗画素評価値を基に前記暗画素画像データを作成する画像処理方法。
  3. 請求項2に記載の画像処理方法であって、
    前記暗領域抽出工程は、抜き出した領域内の全画素の輝度値から中心画素の輝度値を減算した値を画素毎に求め、前記減算した後の全画素の値の総和を前記暗画素評価値とする画像処理方法。
  4. 請求項2に記載の画像処理方法であって、
    前記暗領域抽出工程は、前記中心画素の前記暗画素評価値が所定の閾値よりも大きくなる画素を前記暗画素とし、前記抜き出した所定の領域において、前記中心画素が暗画素である場合には、前記暗画素の前記暗画素評価値を所定値で除算した結果を前記暗画素の特徴量として付加し、暗画素以外の画素は全てゼロを特徴量として付加し、前記中心画素が暗画素ではない場合は、全ての画素にゼロを特徴量として付加することを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
  5. 請求項1に記載の画像処理方法であって、
    前記連続暗領域抽出工程は、前記暗画素画像データに対して、前記マスクパターンを重ね合わせる位置を相対的に1画素ずつずらしながら、各位置における暗画素の連続性を評価する連続評価値を逐次求め、前記連続評価値を基に連続暗領域を抽出していき、前記連続評価値と前記マスクパターンの位置情報を基に該当する暗画素に前記連続評価値を前記第2の特徴量として書き込んで連続暗領域画像データを作成する画像処理方法。
  6. 請求項5に記載の画像処理方法であって、
    前記連続暗領域抽出工程は、前記各マスクパターンにそれぞれ異なる重み値を持たせておき、各マスクパターン毎に求める連続評価値に重み付けを行う画像処理装置。
  7. 請求項5に記載の画像処理方法であって、
    前記連続暗領域抽出工程は、前記連続暗領域画像データの作成において、前記マスクパターンに一致する位置に対応する前記連続暗領域画像データ上の画素位置に、前記連続評価値を所定値で除算した結果を前記第2の特徴量として書き込む処理を行い、既に値が書き込まれていた場合は、書き込む値が大きい値の場合のみ前記第2の特徴量として書き込みを行う画像処理方法。
  8. 請求項5に記載の画像処理方法であって、
    前記連続暗領域抽出工程は、前記連続暗領域画像データの作成において、前記連続評価値の中で最大の連続評価値を持つ前記連続暗領域と前記マスクパターンの組合せを調べ、該当する暗画素のみに前記連続評価値を前記第2の特徴量として書き込みを行う画像処理方法。
  9. 請求項1に記載の画像処理方法であって、
    前記特定領域抽出工程は、前記連続暗領域画像データの各画素位置において、前記第2の特徴量が所定の閾値よりも大きくなっている画素を特定領域として抽出し、前記第2の特徴量を基に特定領域画像データを作成する画像処理方法。
  10. 請求項9に記載の画像処理方法であって、
    前記特定領域抽出工程は、前記所定の閾値として、前記連続暗領域画像データから前記特定領域として抽出される領域の画素数が所定の画素数以下になるような値を算出し、その値を設定する画像処理方法。
  11. 請求項9に記載の画像処理方法であって、
    前記特定領域抽出工程は、前記特定領域画像データの作成を行った後で、連続暗領域の面積値あるいは縦横の幅比に応じて重み値を算出した各画素に重み付けを行い、前記重み付けされた値が所定の閾値よりも大きくなっている画素領域のみ特定領域として再度抽出する画像処理方法。
  12. 請求項1に記載の画像処理方法であって、
    前記暗領域抽出工程の前に前記近赤外光画像から前記生体以外の背景領域を除いた演算領域画像を抽出する演算領域算出工程を備え、前記暗領域抽出工程と前記連続暗領域抽出工程では前記演算領域画像に基づいて処理を行う画像処理方法。
  13. 請求項12に記載の画像処理方法であって、
    前記演算領域算出工程は、前記近赤外光画像の各画素の輝度値を所定の閾値と比較して演算領域を抽出し、前記演算領域画像を生成する画像処理方法。
  14. 請求項13に記載の画像処理方法であって、
    前記演算領域算出工程は、前記所定の閾値として、前記近赤外光画像から抽出される画素数が所定の画素数以上になるような値に設定する画像処理方法。
  15. 請求項13に記載の画像処理方法であって、
    前記演算領域算出工程は、前記所定の閾値と比較し、前記演算領域の候補となる画素が集合した領域が複数個ある場合、最大の画素数からなる領域を前記演算領域画像とする画像処理方法。
  16. 請求項13に記載の画像処理方法であって、
    前記演算領域算出工程は、前記抽出した演算領域に対し、演算領域の大きさを縮小させる修正を行う画像処理方法。
  17. 請求項1に記載の画像処理方法であって、
    前記暗領域抽出工程の前に前記近赤外光画像の補正を行う画像変換工程を備え、前記近赤外光画像内の生体領域の大きさが一定の割合になるように前記近赤外光画像のサイズを拡大又は縮小させる補正を行う画像処理方法。
  18. 請求項1に記載の画像処理方法であって、
    前記暗領域抽出工程の前に前記近赤外光画像の補正を行う画像変換工程を備え、前記近赤外光画像内の生体領域の方向が所定の方向に向くように前記近赤外光画像を回転させる補正を行う画像処理方法。
  19. 近赤外光を生体に照射し、反射光または透過光の近赤外波長成分を撮像しデジタル化した近赤外光画像に対して、相対的に周辺画素よりも輝度値が小さい画素を暗画素として抽出し、各画素に第1の特徴量を付加した暗画素画像データを作成する暗領域抽出部と、
    前記暗画素画像データから、予め設定した一つあるいは複数のマスクパターンに一致するように連続して分布する前記暗画素を連続暗領域として抽出し、各画素に第2の特徴量を書き込んだ連続暗領域画像データを作成する連続暗領域抽出部と、
    前記連続暗領域画像データ内の複数の連続暗領域から、前記第2の特徴量が所定の値よりも大きい領域を前記生体の血管が存在する特定領域として抽出し、特定領域画像データを作成する特定領域抽出部と、
    を備える画像処理装置。
  20. 請求項19に記載の画像処理装置であって、
    前記近赤外光画像から前記生体以外の背景領域を除いた演算領域画像を抽出する演算領域算出部を備え、
    前記暗領域抽出部と前記連続暗領域抽出部は、前記演算領域画像に基づいて処理を行う画像処理装置。
  21. 請求項19に記載の画像処理装置であって、
    前記近赤外光画像内の生体領域の大きさが一定の割合となり、かつ方向が所定の方向に向くように前記近赤外光画像の補正を行う画像変換部を備える画像処理装置。
  22. 請求項19に記載の画像処理装置であって、
    前記暗領域抽出部は、前記近赤外光画像に対して相対的に1画素ずつ位置をずらしながら所定範囲の領域を逐次抜き出していき、各位置で抜き出した領域における各画素の輝度値を基に、領域の中心に位置する中心画素が暗画素であるかどうかを評価する暗画素評価値を前記第1の特徴量として求め、求めた前記暗画素評価値を基に前記暗画素画像データを作成する画像処理装置。
  23. 請求項19に記載の画像処理装置であって、
    前記連続暗領域抽出部は、前記暗画素画像データに対して、前記マスクパターンを重ね合わせる位置を相対的に1画素ずつずらしながら、各位置における暗画素の連続性を評価する連続評価値を逐次求め、前記連続評価値を基に連続暗領域を抽出していき、抽出した前記連続評価値と前記マスクパターンの位置情報を基に該当する暗画素に前記連続評価値を前記第2の特徴量として書き込んで連続暗領域画像データを作成する画像処理装置。
  24. 請求項19に記載の画像処理装置であって、
    前記特定領域抽出部は、前記連続暗領域画像データの各画素位置において、前記第2の特徴量が所定の閾値よりも大きくなっている画素を特定領域として抽出し、前記第2の特徴量を基に前記特定領域画像データを作成する画像処理装置。
  25. 請求項19に記載の画像処理装置であって、
    前記特定領域画像データを用い、前記第2の特徴量に応じて前記近赤外光画像における前記特定領域を強調して表示する強調表示部を備える画像処理装置。
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