JP4823508B2 - 光および/または熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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プリント配線板では、基盤回路の永久保護被膜としてソルダーレジスト樹脂が広く用いられている。ソルダーレジストは、基盤回路導体の半田付けする部分を除いた全面に被膜形成される。ソルダーレジストの主たる役目はプリント配線板に電子部品を半田付けする際に半田が不必要な部分に付着するのを防止すると共に、回路導体の酸化や腐食を防ぐものである。従来、プリント配線板上にソルダーレジスト膜を形成させる際には、熱硬化タイプのレジストインキをスクリーン印刷法により印刷し、転写部を熱硬化もしくは紫外線硬化させていた。しかし、スクリーン印刷法は、印刷時のブリード、にじみ、ダレといった現象が発生し、最近の回路基盤の高密度化に対応しきれなくなっている。この問題を解決すべく、写真法が開発された。写真法はパターンを形成したフィルムを介して露光した後、現像して目的のパターンを形成する方法である。
また、特開2004−91772号では、分子鎖中にエポキシ基を導入した樹脂を用い酸無水物で硬化させる方法も提案されている。さらに、特開2003−119228号公報には上記構造式で示される化合物をモノマー成分として含む硬化性樹脂組成物が提案されている。
さらに、特開2003−119228号公報に開示されている硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物の硬度や耐熱性に関してはさらに改良する必要がある。
本発明の課題は、膜の透明性を損なうことなく優れた耐熱性、膜硬度を有する硬化膜を形成することのできる硬化性組成物を提供することにある。
本発明の第2は、(a−1)がcis-3,3,5-トリアルキルシクロヘキシル(メタ)アクリレートである上記発明1に記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物を提供する。本発明の第3は、(a−1)がtrans-3,3,5-トリアルキルシクロヘキシル(メタ)アクリレートまたはcis-3,3,5-トリアルキルシクロヘキシル(メタ)アクリレートとtrans-3,3,5-トリアルキルシクロヘキシル(メタ)アクリレートとの混合物である上記発明1に記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物を提供する。本発明の第4は、多官能エポキシ化合物〔B〕が多官能脂環式エポキシ化合物である上記発明1に記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物を提供する。本発明の第5は、上記発明1〜4のいずれかに記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物を提供する。本発明の第6は、液状レジスト、ドライフィルム、液晶ディスプレイ用に使用されるカラーフィルター、顔料レジスト、コーティング保護膜から選ばれるいずれか一つの1成分として使用される上記発明1〜4のいずれかに記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明においては、いずれの異性体でも、又、それらの混合物でも使用可能である。
モノマー(a−3)の代表例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などのジカルボン酸などが挙げられる。またこれらの一種または二種類以上組み合わせても差しつかえない。
共重合体〔A〕は上記成分(a−1)、(a−2)および(a−3)をアゾビスイソブチロニトリルやパーオキサイド類のような公知のラジカル重合開始剤の存在下、公知の方法でラジカル共重合させることにより製造することができる。
溶媒としては、使用する原料および生成する共重合体〔A〕を溶解し、不活性な、特に(a−3)および共重合体〔A〕中のカルボキシル基と反応しないものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテートなどのエステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類,ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類,ブチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、四塩化炭素、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが用いられる。これらの溶媒は単独で、または混合して使用してもよい。溶媒の使用量は、共重合に供される各成分(a−1)、(a−2)および(a−3)の合計量100重量部に対して40〜900重量部、好ましくは、65〜400重量部、さらに好ましくは、100〜400重量部である。溶媒の使用量が900重量部より多いと重合反応がうまく進行せず、結果として残留モノマーが多くなり好ましくない。逆に少ない場合は溶媒を使用する意味がなくなる。
多官能エポキシ化合物の配合量は、共重合体〔A〕の酸価(すなわち、カルボキシル基の量)との兼ね合いで決められる。通常、カルボキシル基/エポキシ基の当量比で0.1〜1.5、好ましくは、0.5〜1.1で配合される。カルボキシル基/エポキシ基の当量比が0.1未満では、現像不良や膜残りが起こり、逆に1.5を超える場合、膜の硬化不良を起こすためいずれも好ましくない。
上記硬化促進剤〔C〕の配合量は、エポキシ化合物に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.5〜3.0重量部である。0.01重量部より少ない場合は触媒効果が低く、10重量部を越える量を加える必要はない。
で示されるs-トリアジン誘導体、一般式
で示されるヨードニウム塩、一般式
で示されるスルホニウム塩、一般式
で示されるジスルホン誘導体、一般式
で示されるイミドスルホネート誘導体、又は一般式
で示されるジアゾニウム塩を使用することが可能である。ただし、これらに限定されるものではない。これらの触媒はエポキシ化合物に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%用いるのが好ましい。0.01重量%より少ない場合は触媒効果が低く、10重量%を越える量を加える必要はない。
本発明の硬化性樹脂組成物を電子線照射で硬化させる場合には必ずしも該開始剤の添加を必要としない。
本発明の光および/または熱硬化性樹脂組成物は、温度30〜240℃、好ましくは、35〜180℃、さらに好ましくは、60〜150℃で、硬化時間は特に規定されるものではない。
硬化温度と硬化時間が上記範囲下限値より低い場合は、硬化が不十分となり、逆に上記範囲上限値より高い場合、樹脂成分の分解が起きる場合があるので、何れも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、硬化温度が高い場合は硬化時間は短く、硬化温度が低い場合は硬化時間は長く、適宜調整することができる。通常は、一次硬化(硬化温度30〜240℃、好ましくは35〜180℃、さらに好ましくは35〜60℃、硬化時間30〜300分、好ましくは45〜240分、さらに好ましくは60〜120分)させた後、引き続き二次硬化(硬化温度60〜240℃、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは120〜200℃、硬化時間30〜180分、好ましくは45〜150分、さらに好ましくは60〜120分)を行って硬化不足が起きないようにするのが好ましい。
光および/または熱硬化性樹脂組成物は紫外線または電子線等の活性エネルギー線のような光を照射することにより硬化させることもできる。紫外線照射が最も一般的で好ましい。
本発明の光および/または熱硬化性樹脂組成物中の必須の樹脂成分である多官能エポキシ化合物の中でも3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−シクロヘキサンカルボキシレートは低粘度であるため、その硬化性樹脂組成物も低粘度であり加工性に優れた特徴を有する。また、100℃に満たない温度領域では揮発しないため、作業環境への影響もない。
温度計、蒸留塔および撹拌機を備えた300mlの3ロフラスコにcis-3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール71gと、メタクリル酸メチル150gと、エステル交換反応触媒として水酸化リチウム0.2gと、重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gとを仕込み、系内の圧力を340mmHgとし、撹拌しながらオイルバスで加熱した。オイルバス内の温度を95℃一定でコントロールしたところ、3口フラスコ内の液(釜液)の温度は初期に80℃、反応終了時には85℃となった。反応に伴い副生したメタノールは、メタノール−メタクリル酸メチル共沸物として、蒸留塔トップ(塔頂)より間欠的に留出させた。この間、重合の発生は認められなかった。反応は6時間で終了し、cis-3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート約42重量%を含む反応混合物192gを得た。
〔合成例1〕
第一段階として、メタクリル酸メチル60部(以下、部は重量部を表す)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート175部、メタクリル酸60部を混合し均一なモノマー混合溶液を得た。
次に、撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を備えた2リットルの4つ口フラスコに溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル680部を仕込んで窒素ガス気流下に80℃まで加熱し、ここへ重合開始剤である2,2−アゾビスイソブチロニトリル20部を添加し残りのモノマー混合溶液を2時間かけて滴下した。このときの重合温度は79〜81℃の範囲を維持し、滴下終了後、同温度範囲に2時間維持した後、2,2−アゾビスイソブチロニトリル8部を添加し残存モノマーを重合させ、さらに同温度で3時間保持したあと重合を終結させた。その後、重合生成溶液をシクロヘキサン/酢酸エチル溶媒に滴下して樹脂を凝固させた。この凝固物をシクロヘキサンで洗浄後、ジエチレングリコールジメチルエーテル500gに溶解し、シクロヘキサン/酢酸エチル溶媒で再度、凝固させた。この再溶解/凝固操作を3回行った後、凝固物をジエチレングリコールジメチルエーテルに溶解し、減圧下でシクロヘキサン/トルエンを留去し、固形分濃度が30%となるようにジエチレングリコールジメチルエーテルを用いて共重合体溶液を得た。
合成例1における第一段階で使用したメタクリル酸メチルをメタクリル酸ベンジルに置き換えた以外は合成例1と同様の方法で共重合体を製造した。
合成例1における第一段階で便用したメタクリル酸メチルをスチレンに置き換えた以外は合成例1と同様の方法で共重合体を製造した。
合成例1における第一段階で使用するモノマーをメタクリル酸メチル175部、スチレン60部、メタクリル酸60部、すなわち、cis-3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレートを用いないモノマー混合液を調製した。それ以外は合成例1と同様の方法で共重合体を製造した。
合成例1における第一段階で使用するモノマーをメタクリル酸ベンジル175部、スチレン60部、メタクリル酸60部、すなわち、cis-3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレートを用いないモノマー混合液を調製した。それ以外は合成例1と同様の方法で共重合体を製造した。
表2に示すモノマー混合液を調製した。それ以外は合成例1と同様の方法で共重合体を製造した。
合成例1で得られた共重合体溶液100gをジエチレングリコールジメチルエーテル100gで希釈した後、セロキサイド2021(ダイセル化学社製)を8g、テトラメチルアンモニウムブロマイド0.5gを溶解し、孔径0.2μmのフィルターでろ過して組成物溶液(1)を得た。また、得られた組成物溶液は下記の要領で試験を行った。
硬化後の膜厚が約3μmになるように組成物溶液を塗布したガラス板を用い、クリーンオーブン中で200℃/1時間加熱することで試験用塗膜を形成した。得られた基板を分光光度計を用いて400〜800nmの透過率を測定した。このとき最低透過率が95%を超えた場合を○、90〜95%の場合を△、90%未満の場合を×とした。その結果、組成物溶液(1)より得られた塗膜は良好な透明性(○)であった。
≪耐熱性の評価≫
250℃のクリーンオーブンを用いて1時間加熱した後、膜厚を測定した。そして透明性評価で作製した基板の膜厚に対する残膜率を用いて、その残膜率が95%を超えた場合を○、90〜95%の場合を△、90%未満の場合を×とした。その結果、組成物溶液(1)より得られた塗膜は良好な耐熱性(○)であった。
≪硬度の測定≫
透明性評価のために作製した基板を用いてJIS K−5400の鉛筆引っかき試験に準拠し、評価は、塗膜のすり傷により鉛筆硬度を測定し、表面硬度の測定を行った。その結果、組成物溶液(1)より得られた塗膜硬度は4Hであった。
合成例2で得られた共重合体溶液を用いた以外は実施例1と同様に組成物溶液を調製し、塗膜評価を行った。その結果、塗膜の透明性、耐熱性は良好(○)で、塗膜硬度も4Hであった。
合成例3で得られた共重合体溶液を用いた以外は実施例1と同様に組成物溶液を調製し、塗膜評価を行った。その結果、塗膜の透明性、耐熱性は良好(○)で、塗膜硬度も4Hであった。
合成例1で得られた共重合体溶液100gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)100gで希釈した後、セロキサイド2021(ダイセル化学社製)を50g、SI−100L 0.5gを溶解し、孔径0.2μmのフィルターでろ過して組成物溶液を得た。また、得られた組成物溶液は実施例1と同じ要領で試験を行った。
合成例1、2、3で得られた各共重合体溶液100gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)100gで希釈した後、セロキサイド2021(ダイセル化学社製)を50g、Uvacure1590 1.0gを溶解し、孔径0.2μmのフィルターでろ過して組成物溶液を得た。また、得られた組成物溶液は実施例1と同じ要領で試験を行った。
合成例4で得られた共重合体溶液を用いた以外は実施例1と同様に組成物溶液を調製し、塗膜評価を行った。その結果、塗膜の透明性は良好(○)であったが、耐熱性は(△)、塗膜硬度は3Hであった。
合成例5で得られた共重合体溶液を用いた以外は実施例1と同様に組成物溶液を調製し、塗膜評価を行った。その結果、塗膜の透明性は良好(○)であったが、耐熱性は(×)、塗膜硬度は3Hであった。
合成例6で得られた共重合体溶液を用いた以外は実施例1と同様に組成物溶液を調製し、塗膜を作成したが、膜が非常に脆く乾燥後の冷却時に前面にクラックが発生し塗膜評価ができなかった。
合成例4、5で得られた各共重合体溶液100gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)100gで希釈した後、セロキサイド2021(ダイセル化学社製)を50g、Uvacure1590 1.0gを溶解し、孔径0.2μmのフィルターでろ過して組成物溶液を得た。また、得られた組成物溶液は実施例1と同じ要領で試験を行った。
Claims (6)
- (a−1):下記構造式で表される3,3,5-トリアルキルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(a−2):エチレン性不飽和モノマー[ただし、上記(a−1)および下記の(a−3)を除く]、(a−3):(a−1)、(a−2)モノマーと共重合可能なカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー[ただし、上記(a−1)を除く]の共重合体〔A〕、多官能エポキシ化合物〔B〕、硬化促進剤〔C〕および必要に応じて少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔D〕[ただし、上記(a−1)、(a−2)および(a−3)を除く]を含み、前記成分(a−1)、(a−2)および(a−3)の共重合比率(モル比)が、(a−1)/(a−2)/(a−3)=80〜2/9〜43/11〜55であり、前記多官能エポキシ化合物〔B〕の配合量が、共重合体〔A〕のカルボキシル基と多官能エポキシ化合物〔B〕のエポキシ基の当量比(カルボキシ基/エポキシ基)が0.1〜1.5となる量であることを特徴とする光および/または熱硬化性樹脂組成物。
- (a−1)がcis-3,3,5-トリアルキルシクロヘキシル(メタ)アクリレートである請求項1に記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物。
- (a−1)がtrans-3,3,5-トリアルキルシクロヘキシル(メタ)アクリレートまたはcis-3,3,5-トリアルキルシクロヘキシル(メタ)アクリレートとtrans-3,3,5-トリアルキルシクロヘキシル(メタ)アクリレートとの混合物である請求項1に記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物。
- 多官能エポキシ化合物〔B〕が多官能脂環式エポキシ化合物である請求項1に記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 液状レジスト、ドライフィルム、液晶ディスプレイ用に使用されるカラーフィルター、顔料レジスト、コーティング保護膜から選ばれるいずれか一つの1成分として使用される請求項1〜4のいずれかに記載の光および/または熱硬化性樹脂組成物。
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