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JP4821401B2 - 電動ギヤポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、自動車のトランスミッションの作動油を圧送するためのポンプ等に用いられる電動ギヤポンプに関する。
従来、自動車などのトランスミッション内の作動油を圧送するためのポンプとしては、トロコイドポンプ等の内接ギヤポンプをモータで回転駆動する電動ギヤポンプが使用されている。このような電動ギヤポンプは、外歯を有するインナロータと、前記外歯に噛み合う内歯を有するアウタロータと、を備えており、アウタロータもしくはインナロータのいずれか一方をモータによって回転駆動するように構成されている。
このような電動ギヤポンプは、通常、両ロータからなるポンプ部と、これらを駆動するモータ部とを軸方向に並列に配置しており、その軸方向寸法が比較的大きくなる場合があった。
これに対して、回転子にアウタロータを組み込むことで、アウタロータを駆動するとともに、モータの内方側でギヤポンプを構成し、その軸方向の小型化を図ったものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2003−129966号公報(図1)
上記従来例の回転子は、固定子の内周面に形成された樹脂膜と、当該回転子の外周面とで滑り軸受を構成することで、回転自在に支持されている。滑り軸受の回転側と固定側の間には、通常、僅かな隙間が設けられているため、上記従来例の電動ギヤポンプでは、回転子の回転軸に僅かな軸ぶれが生じ、回転子と固定子とが互いに吸着する恐れがあった。回転子と固定子とが吸着すると、安定した回転駆動力が得られず、安定したポンプ性能が得られない。
また、上記従来例に用いられている滑り軸受は、停止状態では固定側と回転側との周面が互いに接触状態にあるため、停止状態から回転を開始するときに過度の摩擦が生じる場合がある。さらに、回転時においても、回転速度が適度に上昇しないと固定側と回転側との間に充分な油膜が形成されないため、ポンプの運転、停止を頻繁に繰り返すような使用を行った場合、上述の回転子の軸ぶれも加わることで、互いの周面に異常摩耗等が生じ、電動ギヤポンプとしての寿命が著しく低下するおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、回転子にアウタロータを備えることでコンパクト化を図ったとしても、安定したポンプ性能を得るとともに、高い耐久性を維持できる電動ギヤポンプを提供することを目的とする。
本発明の電動ギヤポンプは、モータの固定子と、前記固定子の内方に配置されるとともに、内歯を有するアウタロータを備えた前記モータの回転子と、前記内歯に噛み合う外歯を有するとともに、前記アウタロータの回転によって前記回転子の中心に対して偏心した状態で従動回転するインナロータと、前記回転子及び前記インナロータの両側側方に配置されてこれらを保持する一対のハウジングと、前記一対のハウジングの内の少なくとも一方側のハウジングと、前記回転子との間に配設され、前記回転子を支持する転がり軸受と、を有し、前記インナロータには、その回転軸と軸中心が一致した貫通孔が形成され、前記インナロータの両側面から突出して前記貫通孔に挿通されるとともに、その両端部が前記一対のハウジングに固定されて前記インナロータを回転自在に支持する軸部材をさらに有し、
前記軸部材は、その両端に形成され前記一対のハウジングに圧入固定された一対の小径部と、前記小径部より大径に形成され前記インナロータを支持している大径部とを有し、前記小径部と前記大径部との間には、前記一対のハウジングに当接して前記一対のハウジングの間隔を規定する側壁部が前記大径部の両側に一対形成され、前記インナロータの貫通孔内周面には、前記大径部の外周面とともに滑り軸受を構成する筒状のブシュが圧入されていることを特徴としている。
上記のように構成された電動ギヤポンプによれば、アウターロータを備えた回転子を転がり軸受によって支持しているので、回転子の回転軸に生じる軸ぶれを抑制することができる。よって、回転子と固定子とが磁力によって互いに吸着するのを防止でき、安定した回転駆動力を得ることができ、その結果、安定したポンプ性能を確保することができる。
また、上記の電動ギヤポンプによれば、回転子を上記従来例のように滑り軸受で支持するのではなく転がり軸受で支持しているので、運転、停止を頻繁に繰り返したとしても回転子の回転部分における摩耗を防止でき、高い耐久性を維持できる。
また、上記電動ギヤポンプ、前記インナロータには、その回転軸中心に一致した貫通孔が形成され、前記インナロータの両側面から突出して前記貫通孔に挿通されるとともに、その両端部が前記一対のハウジングに固定されて前記インナロータを回転自在に支持する軸部材をさらに有していることにより、例えば、軸部材をインナロータと一体回転可能とし一対のハウジングに対してインナロータとともに軸部材を回転自在に支持する場合と比較して、一対のハウジングに固定された軸部材に対してインナロータのみを回転自在に支持するので、その構造を簡略化でき、製造コストを低減できる。
また、上記電動ギヤポンプ、前記軸部材に、前記一対のハウジングにそれぞれ当接して前記一対のハウジングの間隔を規定する一対の側壁部が形成されているので、一対の側壁部によって、一対のハウジングの間隔を所定の寸法に規定することで、一対のハウジングの間に配置されるインナロータ及びアウタロータと、当該ハウジングとのクリアランスを適正な寸法に設定し、維持することができる。これによって、ハウジングと両ロータとの摩擦摩耗を抑制するとともに、当該電動ギヤポンプによって給排される液体がポンプ内部から漏洩するのを防止できる。
本発明の電動ギヤポンプによれば、回転子にアウタロータを備えることでコンパクト化を図ったとしても、安定したポンプ性能を得ることができるとともに、高い耐久性を維持できる。
次に、参考例について添付図面を参照しながら説明する。図1は、参考例である電動ギヤポンプの構成を示す断面図である。この電動ギヤポンプ1は、比較的低い吐出圧力しか要求されない自動車などのトランスミッション内の作動油を圧送するためのポンプとして用いられるものであり、内接ギヤポンプの一種であるトロコイドポンプを構成している。
この電動ギヤポンプ1は、筒状のケース2の内部に収容された、モータMを構成する固定子3及び回転子4を備えるとともに、この回転子4には、後述するインナロータ10とともに内接ギヤポンプを構成するアウタロータ5が組み込まれており、モータMの内方側で内接ギヤポンプを構成している。
固定子3は、積層された電磁鋼板からなるコアに銅線を巻線してなるものであり、ケース2の内周面2aに固定されている。回転子4は、固定子3に対して僅かな隙間を空けて対向するように固定子3の内周側に配置されている。
回転子4は、ほぼ円筒状に形成されたアウタロータ5と、このアウタロータ5の外周面に固定されて固定子3に対向する円筒状の磁石6とを備えている。
図2は、図1中、II−II線矢視断面図である。図1及び図2を参照して、アウタロータ5は、内周方向に突出する内歯5a2が形成された内側面5a1を有するロータ部5aと、このロータ部5aの外周端部から軸方向両側に延びる一対の筒状部5bと、を備えている。筒状部5bの内周面と、後述する第1及び第2のハウジング8,9との間には一対の玉軸受7が配設されており、回転子4は、第1及び第2のハウジング8,9に対して回転自在に支持されている。
また、アウタロータ5の内側面5a1側には、内歯5a2に噛み合う外歯10aを有するインナロータ10が配置されている。インナロータ10には、その回転軸と軸中心一致した貫通孔10bが形成されており、この貫通孔10bには、インナロータ10の両側面から突出した軸部材11が一体回転可能に圧入されている。
これら回転子4及びインナロータ10の両側側方には、第1及び第2のハウジング8,9が、これらを挟むように配置されており、回転子4及びインナロータ10を保持している。両ハウジング8,9は、例えばアルミニウム合金を用いて形成されており、回転子4及びインナロータ10を保持するほぼ円柱状の保持部8a,9aと、これら保持部8a,9aの軸方向外側端縁から径外方向に延びる鍔部8b,9bを有している。これら両鍔部8b,9bの外周端部内側には、ケース2が介在しており、ケース2の両端部と、鍔部8b,9bの外周端部とがそれぞれ連結されている。このように、ケース2と両ハウジング8,9とを連結することによって、固定子3及び回転子4が収容される空間Kを構成している。
両ハウジング8,9の保持部8a,9aの外周面には、上述したように、一対の玉軸受7が外嵌されている。この玉軸受7は、その外輪7aがアウタロータ5の筒状部5bの内周面に内嵌されるとともに、内輪7bが保持部8a,9aの外周面に外嵌されており、回転子4が保持部8a,9aの軸線Aを回転中心として支持されている。これら一対の玉軸受7は、各々アウタロータ5のロータ部5aの両側面に当接して挟持するように配置されており、これら一対の玉軸受7の軸方向間隔を規定している。玉軸受7の外方側には、それぞれ、筒状部5bと保持部8a,9a外周面との開口を閉塞するシール部材12,13が配設されている。
また、保持部8aの内側面8a1、及び保持部9aの内側面9a1には、それぞれインナロータ10に圧入された軸部材11が挿入された孔部8a2,9a2が、軸線Aに対して上方に位置する軸線Bを中心軸として形成されている。この孔部8a2,9a2の内周面には、それぞれ、軸部材11の外周面との間に介在することで滑り軸受を構成するブッシュ14,15が圧入されており、インナロータ10を両ハウジング8,9に対して回転自在に支持している。
第1のハウジング8の外側面8cには、固定子3に供給される電力を制御するためのコントローラ16が配置されるとともに、このコントローラ16をカバーするカバー部材17が固定されている。
上記構成の電動ギヤポンプ1は、コントローラ16によって固定子3に電力が供給されることで、固定子3とともにモータMを構成する回転子4が軸線Aを中心に回転する。回転子4が回転すると、アウタロータ5も一体に回転する。回転子4の回転によってアウタロータ5が回転すると、アウタロータ5の内歯5a2に噛み合う外歯10aを有するインナロータ10は、軸線Bを中心として従動回転する。すなわち、インナロータ10は、アウタロータ5の回転中心である軸線Aに対して偏心した状態で従動回転する。このとき、外歯10a及び内歯5a2によって形成される空間の容積変化によってポンプ作用が生じる。なお、第2のハウジング9の保持部9aには、内側面9a1と外部とを連通して作動油を吸入する吸入口18と、内側面9a1と外部とを連通して作動油を吐出する吐出口19が設けられている。
なお、上記のように回転子4にアウタロータ5を備えることで、アウタロータ5を駆動する構成とすることで、内接ギヤポンプとこれを駆動するモータとを並列配置した場合と比較して、当該電動ギヤポンプ1の軸方向寸法を小さくでき、当該電動ギヤポンプ1をよりコンパクトなものにできる。
上記のように構成された参考例の電動ギヤポンプ1によれば、アウターロータ5を備えた回転子4を玉軸受7によって支持しているので、回転子の回転軸に生じる軸ぶれを抑制することができる。よって、回転子4と固定子3とが磁力によって互いに吸着するのを防止でき、安定した回転駆動力を得ることができ、その結果、安定したポンプ性能を確保することができる。また、回転子4を上記従来例のように滑り軸受で支持するのではなく玉軸受7で支持しているので、運転、停止を頻繁に繰り返したとしても回転子4の回転部分における摩耗を防止でき、高い耐久性を維持できる。
以上のように、参考例の電動ギヤポンプ1によれば、回転子4にアウタロータ5を備えることでコンパクト化を図ったとしても、安定したポンプ性能を得ることができるとともに、高い耐久性を維持できる。
図3は、本発明の実施形態である電動ギヤポンプ1を示した一部断面図である。本実施形態と上記参考例との主な相違点は、軸部材11が、両ハウジング8,9に圧入固定され、インナロータ10が軸部材11に対して回転自在である点と、両ハウジング8,9に当接しこれら両ハウジング8,9の軸方向間隔を規定する一対の側壁部が軸部材11の外周面に形成されている点である。その他の点については、上記参考例と同様なので説明を省略する。また、図3では、図の理解を容易とするため、ロータ部5a及びインナロータ10と、両ハウジング8,9との間の隙間を誇張して示している。
図3中、軸部材11は、その両端に形成され両ハウジング8,9の孔部8a2,9a2に圧入固定された小径部11aと、小径部11aより大径に形成されインナロータ10を支持している大径部11bとを有している。小径部11aと大径部11bとの間には、軸方向直交面に平行にかつ軸方向外側に向く側壁部11cが、大径部11bの両側に一対形成されている。
また、インナロータ10の貫通孔10bの内周面には、軸部材11の大径部11bの外周面とともに滑り軸受を構成する筒状のブシュ20が圧入されており、インナロータ10は、軸部材11に対して回転自在である。
すなわち、軸部材11は、小径部11aをインナロータ10の両側側面から突出した状態で、ブシュ20を介して貫通孔10bに挿通されるとともに、小径部11aが両ハウジング8,9の孔部8a2,9a2に圧入固定されて、インナロータ10を回転自在に支持している。
これに対して、例えば、軸部材11をインナロータ10と一体回転可能とした場合、両ハウジング8,9に対してインナロータ10とともに軸部材11軸部材11を回転自在に支持することとなり、軸部材11の両端2箇所それぞれにブシュ等の滑り軸受を設ける必要性が生じる。
一方、本実施形態では、両ハウジング8,9に圧入固定された軸部材11に対してインナロータ10のみを回転自在に支持するため、このインナロータ10に対して、滑り軸受を構成するブシュ20を一箇所設ければよく、その構造を簡略化でき、製造コストを低減できる。
また、軸部材11の側壁部11cは、両ハウジング8,9の内側面8a1,9a1に当接しており、軸部材11は、両ハウジング8,9によって挟持されている。このように、両ハウジング8,9の間に、両側の側壁部11cを当接させた状態で軸部材11の大径面11bを介在させることによって、両ハウジング8,9の軸方向の間隔を所定の寸法に規定している。なお、両ハウジング8,9間の間隔Cは、例えば、ロータ部5a及びインナロータ10の軸方向の厚み寸法Dに対して、20〜100μm程度大きくなるように設定され、ロータ部5a及びインナロータ10の両側に10〜50μm程度のクリアランスが確保できるように設定されている。
本実施形態では、軸部材11に形成された一対の側壁部11cによって、両ハウジング8,9の間隔を上記のように所定の寸法に規定することで、両ハウジング8,9の間に配置されるインナロータ10及びロータ部5aと、両ハウジング8,9とのクリアランスを適正な寸法に設定し、維持することができる。これによって、両ハウジング8,9とインナロータ10及びロータ部5aとの摩擦摩耗を抑制するとともに、当該電動ギヤポンプ1によって給排される作動油がポンプ内部から漏洩するのを防止できる。
なお、本発明の電動ギヤポンプは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態では、内接ギヤポンプとしてトロコイドポンプを適用した場合を例示したが、例えば、インボリュート、パラコイド、ハイポサイクロイド等、他の内歯式のギヤポンプを適用することもできる。
また、上記各実施形態では、回転子4を玉軸受7によって支持したが、例えば、ころ軸受や、円錐ころ軸受等、他の転がり軸受を適用することもできる。さらに、上記各実施形態では、一対の玉軸受7で回転子4を支持したが、一方を玉軸受7等の転がり軸受、他方を滑り軸受で支持する構成としてもよい。
参考例である電動ギヤポンプの構成を示す断面図である。 図1中、II−II線矢視断面図である。 本発明の実施形態である電動ギヤポンプ1を示した一部断面図である。
符号の説明
1 電動ギヤポンプ
3 固定子
4 回転子
5 アウタロータ
5a2 内歯
7 玉軸受(転がり軸受)
8 第1のハウジング
9 第2のハウジング
10 インナロータ
10a 外歯
10b 貫通孔
11 軸部材
11c 側壁部
M モータ

Claims (1)

  1. モータの固定子と、
    前記固定子の内方に配置されるとともに、内歯を有するアウタロータを備えた前記モータの回転子と、
    前記内歯に噛み合う外歯を有するとともに、前記アウタロータの回転によって前記回転子の中心に対して偏心した状態で従動回転するインナロータと、
    前記回転子及び前記インナロータの両側側方に配置されてこれらを保持する一対のハウジングと、
    前記一対のハウジングの内の少なくとも一方側のハウジングと、前記回転子との間に配設され、前記回転子を支持する転がり軸受と、を有し、
    前記インナロータには、その回転軸と軸中心が一致した貫通孔が形成され、
    前記インナロータの両側面から突出して前記貫通孔に挿通されるとともに、その両端部が前記一対のハウジングに固定されて前記インナロータを回転自在に支持する軸部材をさらに有し、
    前記軸部材は、その両端に形成され前記一対のハウジングに圧入固定された一対の小径部と、前記小径部より大径に形成され前記インナロータを支持している大径部とを有し、
    前記小径部と前記大径部との間には、前記一対のハウジングに当接して前記一対のハウジングの間隔を規定する側壁部が前記大径部の両側に一対形成され、
    前記インナロータの貫通孔内周面には、前記大径部の外周面とともに滑り軸受を構成する筒状のブシュが圧入されていることを特徴とする電動ギヤポンプ。
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