本発明は薄膜トランジスタ(以下、TFTという)で構成された回路を有する半導体装置の作製方法に関する。特に本発明は、非晶質構造を有する半導体膜を結晶化させる技術に関する。
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜をTFTの活性層(ソース、ドレイン領域及びチャネル形成領域を含む半導体領域を指していう)を形成し、このTFTを応用して大面積集積回路を有する半導体装置の開発が進んでいる。
TFTの代表的な応用例は、画素電極をマトリクス上に配置して、画素電極の各々に接続するスイッチング素子への適用であり、これはアクティブマトリックス型液晶表示装置とも呼ばれ注目を集めている。
アクティブマトリクス型液晶表示装置は、当初非晶質シリコン膜(アモルファスシリコン膜)を用いてTFTが形成されてきたが、より高性能を求めるために結晶質シリコン膜(ポリシリコン膜)を活性層にしたTFT(以下ポリシリコンTFTとも記す)を作製することが試みられている。このポリシリコンTFTは、電界効果移動度が高いことから、いろいろな機能を備えた回路を形成することも可能である。
ポリシリコンTFTを用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置に搭載される液晶モジュールには、機能ブロックごとに画像表示を行う画素部や、CMOS回路を基本としたシフトレジスタ回路、レベルシフタ回路、バッファ回路、サンプリング回路などの画素部を制御するための駆動回路部が一枚の基板上に形成することも可能である。
特性の良いポリシリコンTFTを得る為には、高品質の結晶質シリコン膜を作製する技術が必要であり、代表的にはエキシマレーザーを用いた結晶化技術が広く知られている。
一方、結晶質シリコン膜をガラス基板上に得る他の技術として特開平8−78329号公報記載の技術が開示されている。同公報記載の技術は非晶質シリコン膜に対して結晶化を助長する金属元素(代表的にはNi)を選択的に添加し、加熱処理を行うことで添加領域を起点として広がる結晶質シリコン膜を形成するものであり、得られる結晶粒のサイズは非常に大きい。
上記公報技術は、金属元素を用いないで結晶化を行う場合と比べて金属元素の作用により非晶質シリコン膜の結晶化温度を50〜100℃程度下げることが可能であり、結晶化に要する時間も金属元素を用いないで結晶化を行う場合に比べ1/5〜1/10に低減することができ、生産性に置いても優れたものである。
上記公報(特開平8−78329号公報)の技術により得られる結晶質シリコン膜は、柱状の結晶の集合(ドメインとも呼ぶ)が多数形成され、一つの結晶の集合(ドメイン)における全ての結晶は同じ結晶配向を有しており、その結晶の集合(ドメイン)のサイズは約200μm〜300μmもの大きさを有した独特の結晶構造を持っている。また、隣り合う結晶の集合(ドメイン)とは、配向が異なっており各集合間に境界を有している。この一つの結晶の集合の内にチャネル形成領域を配置してTFTを形成すれば、単結晶と同程度の電気特性が得られると予想される。
しかし、上記公報の技術を含む従来の技術では、結晶の集合の位置を精密に制御することが不可能であり、それぞれのTFTの配置に合わせて、チャネル形成領域を一つの結晶の集合で形成することは困難であった。即ち、画素部と駆動回路部を形成する全てのTFTに対して、結晶の集合の位置とチャネル形成領域の位置を合致させることは殆ど不可能である。
上記公報(特開平8−78329号公報)の技術により得られる結晶質シリコン膜は、結晶化を助長する金属元素(代表的にはNi)を含んでいる。金属元素が結晶質シリコン膜中に多量に存在していることはその半導体を用いた装置の信頼性や電気的安定性を阻害するものであり望ましくない。非晶質シリコン膜の結晶化後に、ゲッタリングという手法を用いて金属元素を速やかに除去するか、電気特性に影響しない程度にまで低減することが望ましい。また、結晶成長のメカニズムから考えると、結晶の集合(ドメイン)の境界に大部分の金属元素が集まっている。
従って、その結晶質シリコン膜をTFTの活性層に用いた場合、電気特性が高い長所を有する反面、隣り合う結晶の集合(異なる配向を有する結晶の集合)との境界の存在の有無、或いは、形成される結晶の集合のサイズの違いにより各々のTFT特性に若干の差、すなわちばらつきが生じてしまう。
画素部に配置されたTFTに電気的特性のばらつきがあれば、各画素電極に印可する電圧のばらつきが生じ、そのため透過光量のばらつきも生じ、それが表示ムラとなって観察者の目に映ることになる。現在の時点では、このばらつきは許容範囲内であり、問題ない程度であるが、今後、画素サイズの微細化がさらに進み、より高詳細な画像が求められた場合、このばらつきが非常に重大な問題になってくる。
将来、さらにデザインルールの縮小とともにチャネル形成領域のサイズ(チャネル長、チャネル幅)が微細化するため、どうしても結晶の集合の境界をチャネル形成領域に有するTFTも形成され、そのTFT特性(移動度、S値、オン電流値、オフ電流値等)は境界のないチャネル形成領域を有するTFTと比べて差が生じ、それが表示のばらつきの原因となる。
また、現在の時点では、ガラス基板の歪み点以下、即ち約600℃以下のプロセス温度で均一な粒径を有する結晶質シリコン膜を形成する試みは幾つか提案されているものの、最適といえる手段は見いだされていない。
従来、均一性の高い結晶質シリコン膜を得ることと、高い移動度を得ることを両立させることは困難であった。加えて、600℃以下のプロセスで作製することも困難であった。
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、結晶の位置と大きさを制御することにより、チャネル領域或いはTFT形成領域を一つの結晶の集合(ドメイン)で形成し、TFTのばらつきを抑えることを目的とする。
上記問題点を解決するために、本発明は、非晶質シリコン膜に対して、チャネル形成領域或いはチャネル形成領域やソース及びドレイン領域等も含むTFT形成領域の周囲を選択的にレーザー照射を行い、各TFT形成領域を孤立させて、結晶化を助長する金属元素(代表的にはNi)を添加し、加熱処理を行うことにより、結晶の集合(ドメイン)の位置を任意に定める事を可能とするものである。結晶の集合(ドメイン)の位置を任意に制御することにより、TFTのばらつきを抑えることが可能となる。
また、結晶の集合(ドメイン)の境界をTFT形成領域の外側に選択的に位置させることが可能である。結晶化を助長する金属元素(代表的にはNi)は結晶核発生場所を起点として広がる性質を持っているので、結晶の集合(ドメイン)の境界をTFT形成領域の外側に選択的に位置させることにより、結晶質シリコン膜中のTFT領域の内の金属元素濃度を下げることが可能である。
非晶質シリコン膜にチャネル形成領域或いはTFT形成領域の周囲を選択的にレーザー光を照射する。照射エネルギーは0.1mW〜1.0mW/μm2、スキャン速度は0.1m/sec.〜1.0m/sec.であることを特徴とする。照射幅は1μm〜数10μmであることを特徴とする。照射領域はTFT形成領域として用いないので必要最小限に小さいことが望ましい。なお、前記光はエキシマレーザー光またはYAGレーザー光またはYVO4レーザー光であることを特徴とする。
また、本発明によれば、非晶質シリコン膜に対して結晶化させる領域が限定される為に結晶化を助長する金属元素(代表的にはNi)の添加濃度を下げることが可能である。この結晶化を助長する金属元素は、結晶核発生場所を起点として広がる性質を持っているが、一部は結晶の集合(ドメイン)の内に残るので、より少ない金属元素の添加で結晶化することが望ましい。
また、上記作製方法において、適用される金属元素は、結晶化を助長する金属元素であることを特徴としている。本発明において適用される結晶化を助長する金属元素は、Fe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種である。
選択的にレーザー照射した領域は、結晶質シリコン膜となっており、結晶化を助長する金属元素(代表的にはNi)を添加し加熱処理を行っても結晶核発生場所とはならない。そのため、非晶質シリコン膜の内のチャネル形成領域或いはTFT形成領域からのみ結晶核発生を生じさせることが可能である。また、その結晶の集合(ドメイン)のサイズは約200μm〜300μmもの大きさを有しているため、一つのチャネル形成領域或いはTFT形成領域を一つの結晶の集合(ドメイン)により形成することが可能である。
結晶の集合(ドメイン)の境界をTFT形成領域の外側に選択的に位置させることにより、結晶質シリコン膜中のTFT領域の内の金属元素濃度を下げることが可能であるが、TFT形成領域内の金属元素濃度をさらに下げたければゲッタリングを行えばよい。非晶質シリコン膜に対して、各TFT形成領域を孤立させる手法としては、TFT形成領域の外側の非晶質シリコンを除去することにより孤立させる方法もあるが、この場合には、シリコン除去領域はゲッタリング領域の一部にすることはできない。しかし、本発明を用いれば、各TFT形成領域は、レーザー照射をおこない結晶質シリコン膜にすることにより孤立化させているため、孤立化させた領域もゲッタリング領域として用いることが可能であり、より広範囲な領域をゲッタリング領域として用いることが可能である。ゲッタリング領域が広い方が、ゲッタリング能力が高いため、本発明はゲッタリングを行う場合にはさらに有効な手法である。
なお、本発明でいう非晶質シリコン膜とは、狭義の意味で、完全な非晶質構造を有するものだけではなく、微細な結晶粒子が含まれた状態、又はいわゆる微結晶シリコン膜、局所的に結晶構造を含むシリコン膜を含む。その他に非晶質シリコンゲルマニウム膜、非晶質シリコンカーバイト膜などを適用することもできる。また、本発明においていう半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気化学装置、自発光装置、半導体回路および電子機器を含んでいる。
本発明により、チャネル領域或いはTFT形成領域を一つの結晶の集合(ドメイン)で形成でき、ばらつきの非常に少ない半導体装置を得ることができる。
本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。本発明では第1の段階として非晶質半導体膜を選択的に光を照射し選択的に結晶質半導体膜102を形成する。非晶質半導体膜103は非照射領域である。非照射領域の長さLはTFTの形成領域に依存するが、結晶の集合(ドメイン)のサイズは約200μm〜300μmであるので、L≦200μmであればよい。なお、101は絶縁性基板である。(図1(A))。
照射位置は図3の領域201のようにTFT形成領域202、チャネル形成領域203、LDD形成領域204を外すように照射してもよく、チャネル領域203及びLDD形成領域204のみを外すように照射してもよい。(図2)。
次に半導体膜102及び103を希フッ酸で洗浄後、オゾン水により表面に酸化膜(図示しない)を形成する。次いで、金属元素を添加し薄い金属膜105を形成する。(図1(B))
次に熱処理を行って結晶化させ結晶質半導体膜106を形成する。(図1(C))
次に得られた結晶質半導体膜106をパターニングして半導体層107を形成する。この際、図3のレーザー照射領域301を含まないようにしてもよい。含まないようにすることによりTFT形成領域302、チャネル形成領域303、LDD形成領域304の内の金属元素濃度を下げることが可能である。別にレーザー照射領域201にチャネル形成領域303、LDD形成領域305を含まなければ、他のTFT形成領域302は含まれてもかまわない。前記手法により、TFT形成領域の内或いはチャネル形成領域を結晶の集合(ドメイン)のみで形成することができる。
なお、非晶質半導体膜は、減圧熱CVD法、プラズマCVD法、スパッタ法等で得られる半導体材料、例えば、シリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiXGe1-X(X=0.0001〜0.02))合金を用いることが可能である。
また、レーザー光により選択的に結晶質シリコンを形成した後に添加する結晶成長を助長させる金属元素は、必要であれば、結晶化後にゲッタリングを行い結晶質半導体膜中から除去または低減させる。結晶成長を助長する金属元素の添加方法としては、金属元素を含む溶液を添加する方法でもよいし、スパッタ法やCVD法で薄い膜を形成する方法でもよい。ゲッタリングの手段としては、希ガス(代表的にはアルゴン)を有した非晶質シリコン膜(ゲッタリングサイト)を酸化膜を介して結晶質シリコン膜上に堆積し、熱処理を行って結晶質シリコン膜中の金属元素(代表的にはニッケル)をゲッタリングサイトに移動させて、結晶質シリコン膜中から除去または低減する方法、若しくは結晶質シリコンの一部にリンまたは希ガスを添加してゲッタリングサイトを形成し、熱処理を行って被ゲッタリング領域から金属元素(代表的にはニッケル)をゲッタリングサイトに移動させてゲッタリングを行う方法を用いればよい。
また、各TFT形成領域は、レーザー照射をおこない結晶質シリコン膜にすることにより孤立化させているため、孤立化させた領域もゲッタリング領域として用いることが可能である。そのため、各TFT形成領域をパターンを切って孤立させる場合に比べて、より広範囲な領域をゲッタリング領域として用いることが可能である。
また、レーザー光としては、パルス発振型または連続発振型のエキシマレーザーやYAGレーザーの第2高調波または第3高調波、YVO4レーザーの第2高調波を用いることができる。レーザー光の照射される領域の形状は、線状であっても短形であってもよい。
本発明によりチャネル形成領域或いはTFT形成領域の内を結晶の集合(ドメイン)のみの結晶質半導体薄膜が得られ、均一な電気的特性を得ることができる。
また、結晶の集合(ドメイン)の境界をTFT形成領域の外側に選択的に位置させることにより、結晶質シリコン膜中のTFT領域の内の金属元素濃度を下げることが可能である。
本実施例は、石英基板上に非晶質半導体薄膜を形成し、選択的にレーザー照射を行い選択的に孤立した非晶質半導体薄膜を形成し、結晶化を助長する金属膜を非晶質半導体膜に導入し、加熱処理により孤立させた非晶質半導体薄膜を結晶化させ、結果として、結晶の集合(ドメイン)の位置を任意に制御することにより、TFTのばらつきを抑える技術に関する。
図1に本実施例に示す結晶質半導体膜の作製工程を示す。まず、減圧熱CVD法で厚さ50nmの非晶質シリコン膜を石英基板101に成膜する。次に、レーザー光を選択的に非晶質シリコン102に照射する。また、未照射の非晶質シリコン103が後にTFT形成領域に用いられる。ここで、L(104)を非晶質シリコンの長さとすると、L≦200μmである。ここでは、連続発振型YAGレーザーの第2高調波(532nm)を用いる。(図1(A))
次に、表面自然酸化膜(図示しない)を希フッ酸で洗浄した後、オゾン水により非晶質シリコン膜103及びレーザー照射して結晶化した結晶質シリコン膜102の表面に酸化膜を形成する。次にニッケルを含む溶液(5ppm)をスピンコートして薄い金属膜105を形成する。(図1(B))
次に、加熱処理で結晶化を行い、結晶質半導体膜106を形成する。(図1(C))ここでは、450℃、1時間の熱処理の後、600℃、12時間の熱処理を行う。このようにして得られる結晶構造をした半導体膜106は一つの結晶の集合(ドメイン)により形成される。
次に、半導体膜107をパターニングして半導体層107を形成する。(図1(D))
次に、半導体層107の表面をフッ酸を含むエッチャントで洗浄した後、ゲート絶縁膜108となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。この表面洗浄とゲート絶縁膜の成膜は、大気に触れさせずに連続的に行うことが望ましい。
次に、ゲート絶縁膜表面を洗浄した後、ゲート電極109を形成し、半導体にn型を付与する不純物元素(P、As等)、ここでは燐を適宜添加して、ソース領域110及びドレイン領域111を形成する。添加した後、不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、或いはレーザー光の照射を行う。また、活性化と同時にゲート絶縁膜へのプラズマダメージやゲート絶縁膜と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
以降の工程は、層間絶縁膜113を形成し、水素化を行って、ソース領域、ドレイン領域に達するコンタクトホールを形成し、ソース電極114、ドレイン電極115を形成してTFTを完成させる。(図1(G))
このようにして得られるTFTは、チャネル領域112が結晶の集合(ドメイン)のみで粒界がなく、基板上に形成されたTFT間のばらつきが小さい。
また、本発明は図1の構造に限定されず、必要があればチャネル形成領域とドレイン領域(またはソース領域)との間にLDD領域を有する低濃度ドレイン(LDD:Lightly Doped Drain)構造としてもよい。この構造はチャネル形成領域と、高濃度に不純物元素を添加して形成するソース領域またはドレイン領域との間に低濃度に不純物元素を添加した領域を設けたものであり、この領域をLDD領域と呼んでいる。さらにゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた、いわゆるGOLD(Gate-drain Overlapped LDD)構造としてもよい。
また、ここではnチャネル型TFTを用いて説明したが、n型不純物元素に代えてp型不純物元素を用いることによってpチャネル型TFTを形成することができることは言うまでもない。
また、ここではトップゲート型TFTを例として説明したが、TFT構造に関係なく本発明を適用することが可能であり、例えばボトムゲート型(逆スタガ型)TFTや順スタガ型TFTに適用することが可能である。
本実施例は、結晶化を助長する金属膜を非晶質半導体膜に導入し、加熱処理により孤立させた非晶質半導体薄膜を結晶化させ、結晶化させた半導体膜から金属元素を除去或いは低減するゲッタリング処理を行い、結果として、結晶の集合(ドメイン)の位置を任意に制御することにより、TFTのばらつきを抑える技術に関する。
図2に本実施例に示す結晶質半導体膜の作製工程を示す。まず、減圧熱CVD法で厚さ50nmの非晶質シリコン膜を石英基板201に成膜する。次に、レーザー光を選択的に非晶質シリコン202に照射する。また、未照射の非晶質シリコン203が後にTFT形成領域に用いられる。ここで、L(204)を非晶質シリコンの長さとすると、L≦200μmである。ここでは、連続発振YAGレーザーの第2高調波(532nm)を用いる。(図2(A))
次に、表面自然酸化膜(図示しない)を希フッ酸で洗浄した後、オゾン水により非晶質シリコン膜203及びレーザー照射して結晶化した結晶質シリコン膜202の表面に酸化膜を形成する。次にニッケルを含む溶液(5ppm)をスピンコートして薄い金属膜205を形成する。(図2(B))
次に、加熱処理で結晶化を行い、結晶構造を有する半導体膜206を形成する。(図2(C))ここでは、450℃、1時間の熱処理の後、600℃、12時間の熱処理を行う。このようにして得られる結晶構造をした半導体膜206は一つの結晶の集合(ドメイン)により形成される。
次に、減圧熱CVD法で厚さ200nmの酸化シリコン膜を成膜する。パターニングを行い、マスク酸化シリコン膜207を形成し、アルゴンをドーピングする。(図2(D))
次に、加熱処理を行いTFTの活性層をとする領域206からニッケルをゲッタリング領域208に偏析させる。ここでは、600℃、12時間の熱処理を行う。(図2(E))
次に、マスク酸化シリコン膜を除去し、パターニングをして半導体膜209を形成する。(図1(F))
次に、半導体層209の表面をフッ酸を含むエッチャントで洗浄した後、ゲート絶縁膜210となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。この表面洗浄とゲート絶縁膜の成膜は、大気に触れさせずに連続的に行うことが望ましい。
次に、ゲート絶縁膜表面を洗浄した後、ゲート電極211を形成し、半導体にn型を付与する不純物元素(P、As等)、ここでは燐を適宜添加して、ソース領域212及びドレイン領域213を形成する。添加した後、不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、或いはレーザー光の照射を行う。また、活性化と同時にゲート絶縁膜へのプラズマダメージやゲート絶縁膜と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
以降の工程は、層間絶縁膜215を形成し、水素化を行って、ソース領域、ドレイン領域に達するコンタクトホールを形成し、ソース電極216、ドレイン電極217を形成してTFTを完成させる。(図2(G))
このようにして得られるTFTは、チャネル領域214が結晶の集合(ドメイン)のみで粒界がなく、基板上に形成されたTFT間のばらつきが小さい。
また、本発明は図2の構造に限定されず、必要があればチャネル形成領域とドレイン領域(またはソース領域)との間にLDD領域を有する低濃度ドレイン(LDD:Lightly Doped Drain)構造としてもよい。この構造はチャネル形成領域と、高濃度に不純物元素を添加して形成するソース領域またはドレイン領域との間に低濃度に不純物元素を添加した領域を設けたものであり、この領域をLDD領域と呼んでいる。さらにゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた、いわゆるGOLD(Gate-drain Overlapped LDD)構造としてもよい。
また、ここではnチャネル型TFTを用いて説明したが、n型不純物元素に代えてp型不純物元素を用いることによってpチャネル型TFTを形成することができることは言うまでもない。
また、ここではトップゲート型TFTを例として説明したが、TFT構造に関係なく本発明を適用することが可能であり、例えばボトムゲート型(逆スタガ型)TFTや順スタガ型TFTに適用することが可能である。
ここでは、画素部を有するアクティブマトリクス基板を用いた液晶表示装置を作製する方法について図4〜図8を用いて説明する。
TFTをスイッチング素子として用いるアクティブマトリクス型液晶表示装置は、画素電極がマトリクス状に配置された基板(アクティブマトリクス基板)と、対向電極が形成された対向基板とを液晶層を介して対向配置した構造となっている。両基板間はスペーサ等を介して所定の間隔に制御され、画素部の外周部にシール材を用いることで液晶層を封入している。
以下にアクティブマトリクス基板の作製例を示す。
まず、絶縁表面を有する基板401上に導電膜を形成し、パターニングを施すことにより走査線402を形成する。(図4(A))この走査線402は後に形成される活性層を光から保護する遮光層としても機能する。ここでは基板401として石英基板を用い、走査線402としてポリシリコン膜(膜厚75nm)とタングステンシリサイド(W−Si)膜(膜厚150nm)の積層構造を用いる。また、ポリシリコン膜はタングステンシリサイドの耐熱性を向上させるために用いている。
次いで、走査線402を覆う絶縁膜403a、403bを膜厚100〜1000nm(代表的には300〜600nm)で形成する。(図4(B))ここではCVD法を用いた膜厚100nmの酸化シリコン膜とLPCVD法を用いた膜厚480nmの酸化シリコン膜を積層させる。
また、絶縁膜403bを形成した後、絶縁膜表面を化学的及び機械的に研磨する処理(代表的にはCMP技術)等)により平坦化してもよい。例えば、絶縁膜表面の最大高さ(Rmax)が0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下となるようにする。
次に、非晶質半導体膜を膜厚10〜100nmで形成する。ここでは膜厚50nmの非晶質シリコン膜を減圧熱CVD法を用いて形成する。減圧熱CVD法では基板の両面に成膜されるため、基板表面側にレジスト膜を形成した後、裏面側の非晶質シリコン膜をSF6とHeの混合ガスを用いて除去する。裏面側の膜を除去した後は、レジスト膜を除去し、さらに酸化珪素膜を除去する。
次に、この非晶質半導体膜を結晶化させる。本実施例では、非晶質シリコン膜に対して選択的にレーザー光(連続発振YAGレーザー、0.1mW/μm2、スキャン速度0.5m/sec)を照射する。次に、結晶化を助長する金属元素を全面に添加し、加熱処理を行うことでTFT形成領域を一つの結晶の集合(ドメイン)のみの結晶質シリコン膜が得られる。ここではオゾンを含む溶液で非晶質シリコン膜の表面に酸化膜を形成した後、結晶化を助長する金属元素としてニッケルを用い、ニッケルを5ppm含有する溶液を塗布する。
次に、脱水素化のための熱処理(450℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(600℃、12時間)を行う。TFT形成領域を一つの結晶の集合(ドメイン)のみの結晶質シリコン膜が得られる。
この後、TFTの活性層とする領域からNiをゲッタリングする工程を加えてもよい。その場合には、TFTの活性層とする領域をマスク(酸化シリコン膜)で覆い、結晶質シリコン膜の一部に燐(P)またはアルゴン(Ar)を添加し、熱処理(窒素雰囲気下で600℃、12時間)を行えばよい。
次に、パターニングを行い結晶構造を有するシリコン膜の不要な部分を除去して、半導体層404を形成する。(図4(C1))なお、半導体層404を形成した後の画素上面図を図4(C2)に示す。図4(C2)において、点線A−A’で切断した断面図が図4(C1)に相当する。
次に、LPCVD法でゲート絶縁膜となる酸化シリコン膜405を30nm成膜する。次に、保持容量を形成するため、マスク406を形成する。(図5(A))
次に、保持容量を形成する領域407の上の酸化シリコン膜405を除去する。保持容量とする領域407にリンをドーピングする。(図5(B))
次に、マスク406を除去し、LPCVD法でゲート絶縁膜となる酸化シリコン膜を50nm成膜する。最終的なゲート絶縁膜408aの膜厚は80nmとなる。なお、保持容量とする領域上の絶縁膜は他の領域より薄い絶縁膜408bとなる。(図5(C1))ここでの画素上面図を図5(C2)に示す。図5(C2)において、点線B−B’で切断した断面図が図5(C1)に相当する。また、図5中の鎖線内で示した領域は、薄い絶縁膜408bが形成されている部分である。
次に、TFTのチャネル領域となる領域にp型またはn型の不純物元素を低濃度に添加するチャネルドープ工程を全面または選択的に行う。このチャネルドープ工程は、TFTしきい値電圧を制御するための工程である。なお、ここではジボラン(B2H6)を質量分離しないでプラズマ励起したイオンドープ法でボロンを添加する。もちろん、質量分離を行うイオンインプランテーション法を用いてもよい。
次に、絶縁膜408a、及び絶縁膜408a、408b上にマスク409を形成し、走査線402に達するコンタクトホールを形成する。(図6(A))そして、コンタクトホールの形成後、マスクを除去する。
次に、導電膜を形成し、パターニングを行ってゲート電極410および容量配線411を形成する。(図6(B))ここでは、リンがドープされたシリコン膜(膜厚150nm)とタングステンシリサイド(膜厚150nm)との積層構造を用いる。なお、保持容量は、絶縁膜408bを誘電体とし、容量配線411と半導体層の一部406とで構成されている。
次に、ゲート電極410および容量配線411をマスクとして自己整合的にリンを低濃度に添加する。(図6(C1))ここでの画素上面図を図6(C2)に示す。図6(C2)において、点線C−C’で切断した断面図が図6(C1)に相当する。この低濃度に添加された領域のリンの濃度が、1×1016〜5×1018atoms/cm3、代表的には3×1017〜3×1018atoms/cm3となるように調整する。
次に、マスク412を形成してリンを高濃度に添加し、ソース領域またはドレイン領域となる高濃度不純物領域413を形成する。(図7(A))この高濃度不純物領域のリンの濃度が1×1020〜1×1021atoms/cm3(代表的には2×1020〜5×1020atoms/cm3)となるように調整する。なお、半導体層404のうち、ゲート電極410と重なる領域はチャネル形成領域414となり、マスク412で覆われた領域は低濃度不純物領域415となりLDD領域として機能する。そして、不純物元素の添加後、マスク412を除去する。
次に、ここでは図示しないが、画素と同一基板上に形成される駆動回路に用いるpチャネル型TFTを形成するために、マスクでnチャネル型TFTとなる領域を覆い、ボロンを添加してソース領域またはドレイン領域を形成する。
次に、マスク412を除去した後、ゲート電極410および容量配線411を覆うパッシベーション膜416を形成する。このパッシベーション膜は、ゲート電極の酸化を防ぐとともに、後の平坦化の工程でエッチングストッパーとして機能する。ここでは、酸化シリコン膜を70nmの膜厚で形成する。次に、半導体層にそれぞれの濃度で添加されたn型またはp型不純物元素を活性化するための熱処理工程を行う。ここでは950℃、30分の加熱処理を行う。
次に、有機樹脂材料またはシリコン材料からなる層間絶縁膜417を形成する。ここでは膜厚1μmの酸化窒化珪素膜を用い、エッチバックを行って平坦化を行う。次に、半導体層に達するコンタクトホールを形成した後、電極418及びソース配線419を形成する。本実施例では電極418及びソース配線419を、Ti膜を100nm、Tiを含むアルミニウム膜を300nm、Ti膜150nmをスパッタ法で連続して形成した3層構造の積層膜とする。(図7(B1))なお、図7(B2)において点線D−D’で切断した断面図が図7(B1)に相当する。
次に、水素化処理をおこなった後、酸化窒化珪素膜(膜厚500nm)とBCB(膜厚1μm)と(膜厚300nm)との積層からなる層間絶縁膜420を形成する。(図8(A1))次いで、層間絶縁膜420上に遮光性を有する導電膜(膜厚100nm)を成膜し、パターニングを行って遮光層421を形成する。
次に、膜厚150nmの酸化窒化珪素膜からなる層間絶縁膜422を形成する。
次に、電極418に達するコンタクトホール形成する。次に、100nmの透明導電膜(ここでは酸化インジウム・スズ(ITO)膜)を形成した後、パターニングして画素電極423、424を形成する。図8(A2)において、点線E−E’で切断した断面図が図8(A1)に相当する。
こうして画素部には、表示領域(画素サイズ26μm×26μm)の面積(開口率76.5%)を確保しつつ、nチャネル型TFTでなる画素TFTが形成され、十分な保持容量(51.5fF)を得ることができる。
なお、本実施例は一例であって本実施例の工程に限定されないことはいうまでもない。例えば、各導電膜としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、シリコン(Si)から選ばれた元素、または前記元素を組み合わせた合金膜(代表的には、Mo―W合金、Mo―Ta合金)を用いることができる。また、各絶縁膜としては、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜や有機樹脂材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等)膜を用いることができる。
また、本実施例では、画素電極に透明導電膜を用いて透過型表示装置用のアクティブマトリクス基板を作製する例を示したが、画素電極に反射性を有する材料膜を用いて反射型表示装置用のアクティブマトリクス基板を作製してもよい。
実施例3では、トップゲート型TFTを例に説明したが、本発明は図9に示すボトムゲート型TFTにも適用することができる。
図9(A)は、画素部の画素の一つを拡大した上面図であり、図9(A)において、点線A−A'で切断した部分が、図9(B)の画素部の断面構造に相当する。
図9に示す画素部において、画素TFT部はNチャネル型TFTで形成されている。基板上51にゲート電極52が形成され、その上に窒化珪素からなる第1絶縁膜53a、酸化珪素からなる第2絶縁膜53bが設けられている。また、第2絶縁膜上には、活性層としてソース領域またはドレイン領域54〜56と、チャネル形成領域57、58と、前記ソース領域またはドレイン領域とチャネル形成領域の間にLDD領域59、60が形成される。また、チャネル形成領域57、58は絶縁層61、62で保護される。絶縁層61、62及び活性層を覆う第1の層間絶縁膜63にコンタクトホールを形成した後、ソース領域54に接続する配線64が形成され、ドレイン領域56に配線65が接続され、さらにその上にパッシベーション膜66が形成される。そして、その上に第2の層間絶縁膜67が形成される。さらに、その上に第3の層間絶縁膜68が形成され、ITO、SnO2等の透明導電膜からなる画素電極69が配線65と接続される。また、70は画素電極69と隣接する画素電極である。
本実施例では、活性層を上記実施の形態に従って形成する。まず、基板上51にゲート電極52が形成され、その上に窒化珪素からなる第1絶縁膜53a、酸化珪素からなる第2絶縁膜53bを順次形成した後、非晶質シリコン膜を形成する。次に非晶質シリコン膜に対して選択的にレーザー光(CW YAGレーザー、0.1mW〜1.0mW、スキャン速度0.5m/sec.)を照射する。次に、結晶化を助長する金属元素を全面に添加し、加熱処理を行うことでTFT形成領域を一つの結晶の集合(ドメイン)のみの結晶質シリコン膜が得られる。次に、ゲッタリングによりニッケルを除去または低減した後、パターニングを行って活性層を形成する。
本実施例では一例としてチャネルストップ型のボトムゲート型のTFTの例を示したが特に限定されない。
なお、本実施例では、画素部の画素TFTのゲート配線をダブルゲート構造としているが、オフ電流のバラツキを低減するために、トリプルゲート構造等のマルチゲート構造としても構わない。また、開口率を向上させるためにシングルゲート構造としてもよい。
また、画素部の容量部は、第1絶縁膜及び第2絶縁膜を誘電体として、容量配線71と、ドレイン領域56とで形成されている。
なお、図9で示した画素部はあくまで一例に過ぎず、特に上記構成に限定されないことはいうまでもない。
本実施例では、実施例3のアクティブマトリクス基板から、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図10を用いる。
まず、上記実施例3に従い、図8の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図8のアクティブマトリクス基板上に配向膜を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサを所望の位置に形成する。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
次に、対向基板を用意する。この対向基板には、着色層、遮光層が各画素に対応して配置されたカラーフィルタが設けられている。また、駆動回路の部分にも遮光層を設ける。このカラーフィルタと遮光層とを覆う平坦化膜を設ける。次に、平坦化膜上に透明導電膜からなる対向電極を画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜を形成し、ラビング処理を施する。
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材で貼り合わせる。シール材にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにしてアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、公知の技術を用いて偏光板等を適宜設ける。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつける。
こうして得られる液晶モジュールの構成を図10の上面図を用いて説明する。
アクティブマトリクス基板801の中央には、画素部804が配置されている。画素部804の上側には、ソース信号線を駆動するためのソース信号線駆動回路802が配置されている。画素部804の左右には、ゲート信号線を駆動するためのゲート信号線駆動回路803が配置されている。本実施例に示した例では、ゲート信号線駆動回路803は画素部に対して左右対称配置としているが、これは片側のみの配置でも良く、液晶モジュールの基板サイズ等を考慮して、設計者が適宜選択すれば良い。ただし、回路の動作信頼性や駆動効率等を考えると、図17に示した左右対称配置が望ましい。
各駆動回路への信号の入力は、フレキシブルプリント基板(Flexible Print Circuit:FPC)805から行われる。FPC805は、基板801の所定の場所まで配置された配線に達するように、層間絶縁膜および樹脂膜にコンタクトホールを開口し、接続電極809を形成した後、異方性導電膜等を介して圧着される。本実施例においては、接続電極はITOを用いて形成する。
駆動回路、画素部の周辺には、基板外周に沿ってシール剤807が塗布され、あらかじめアクティブマトリクス基板上に形成されたスペーサ810によって一定のギャップ(基板801と対向基板806との間隔)を保った状態で、対向基板806が貼り付けられる。その後、シール剤807が塗布されていない部分より液晶素子が注入され、封止剤808によって密閉される。以上の工程により、液晶モジュールが完成する。
また、ここでは全ての駆動回路を基板上に形成した例を示したが、駆動回路の一部に数個のICを用いてもよい。
また、本実施例は実施例3に代えて実施例4で得られたアクティブマトリクス基板に適用することもできる。
本実施例では、EL(Electro Luminescence)素子を備えた発光表示装置を作製する例を以下に示す。
絶縁表面を有する基板(例えば、ガラス基板、結晶化ガラス基板、もしくはプラスチック基板等)に、画素部、ソース側駆動回路、及びゲート側駆動回路を形成する。これらの画素部や駆動回路は、上記実施例1または実施例2に従えば得ることができる。また、画素部および駆動回路部はシール材で覆われ、そのシール材は保護膜で覆われている。さらに、接着材を用いてカバー材で封止されている。熱や外力などによる変形に耐えるためカバー材は基板と同じ材質のもの、例えばガラス基板を用いることが望ましく、サンドブラスト法などにより凹部形状(深さ3〜10μm)に加工する。さらに加工して乾燥剤が設置できる凹部(深さ50〜200μm)を形成することが望ましい。また、多面取りでELモジュールを製造する場合、基板とカバー材とを貼り合わせた後、CO2レーザー等を用いて端面が一致するように分断してもよい。
次に、断面構造について以下に説明する。基板上に絶縁膜が設けられ、絶縁膜の上方には画素部、ゲート側駆動回路が形成されており、画素部は電流制御用TFTとそのドレインに電気的に接続された画素電極を含む複数の画素により形成される。また、ゲート側駆動回路はnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。これらのTFTは、上記実施例1または実施例2に従って作製すればよい。
画素電極はEL素子の陽極として機能する。また、画素電極の両端にはバンクが形成され、画素電極上にはEL層およびEL素子の陰極が形成される。
EL層としては、発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせてEL層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、低分子系有機EL材料や高分子系有機EL材料を用いればよい。
また、EL層として一重項励起により発光(蛍光)する発光材料(シングレット化合物)からなる薄膜、または三重項励起により発光(リン光)する発光材料(トリプレット化合物)からなる薄膜を用いることができる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機EL材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
陰極は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線を経由してFPCに電気的に接続されている。さらに、画素部及びゲート側駆動回路に含まれる素子は全て陰極、シール材及び保護膜で覆われている。
なお、シール材としては、できるだけ可視光に対して透明もしくは半透明な材料を用いるのが好ましい。また、シール材はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。
また、シール材を用いて発光素子を完全に覆った後、すくなくともDLC膜等からなる保護膜をシール材の表面(露呈面)に設けることが好ましい。また、基板の裏面を含む全面に保護膜を設けてもよい。ここで、外部入力端子(FPC)が設けられる部分に保護膜が成膜されないように注意することが必要である。マスクを用いて保護膜が成膜されないようにしてもよいし、CVD装置でマスキングテープとして用いるテフロン(登録商標)等のテープで外部入力端子部分を覆うことで保護膜が成膜されないようにしてもよい。
以上のような構造でEL素子をシール材及び保護膜で封入することにより、EL素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素等のEL層の酸化による劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
また、画素電極を陰極とし、EL層と陽極を積層して上記構成とは逆方向に発光する構成としてもよい。
本発明を実施して形成されたTFTは様々なモジュール(アクティブマトリクス型液晶モジュール、アクティブマトリクス型ELモジュール、アクティブマトリクス型ECモジュール)に用いることができる。即ち、それらを表示部に組み込んだ電子機器全てに本発明を実施できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図11〜図12に示す。
図11(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。本発明を表示部2003に適用することができる。
図11(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。本発明を表示部2102に適用することができる。
図11(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。本発明は表示部2205に適用できる。
図11(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示部2302、アーム部2303等を含む。本発明は表示部2302に適用することができる。
図11(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。
本発明は表示部2402に適用することができる。
図11(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。本発明を表示部2502に適用することができる。
図12(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置2601、スクリーン2602等を含む。本発明は投射装置2601の一部を構成する液晶モジュール2808に適用することができる。
図12(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、投射装置2702、ミラー2703、スクリーン2704等を含む。本発明は投射装置2702の一部を構成する液晶モジュール2808に適用することができる。
なお、図12(C)は、図12(A)及び図12(B)中における投射装置2601、2702の構造の一例を示した図である。投射装置2601、2702は、光源光学系2801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズム2807、液晶モジュール2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図12(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
また、図12(D)は、図12(C)中における光源光学系2801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクター2811、光源2812、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。なお、図12(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
ただし、図12に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及びELモジュールでの適用例は図示していない。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器の作製方法に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施の形態、または実施例1乃至6のうち、いずれか一とどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
実施例1で示す本発明の半導体装置の作製工程を示す図。
実施例2で示す本発明の半導体装置の作製工程を示す図。
本発明の半導体装置の作製工程においてレーザー照射領域を説明する図。
実施例3で示すアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
実施例3で示すアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
実施例3で示すアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
実施例3で示すアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
実施例3で示すアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
実施例4で示すアクティブマトリクス型表示装置の作製工程を示す図。
実施例5で示す液晶モジュールを示す図。
実施例7で示す電子機器を示す図。
実施例7で示す電子機器を示す図。