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JP4817565B2 - Method for producing polyolefin microporous membrane - Google Patents

Method for producing polyolefin microporous membrane Download PDF

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JP4817565B2 JP2001300396A JP2001300396A JP4817565B2 JP 4817565 B2 JP4817565 B2 JP 4817565B2 JP 2001300396 A JP2001300396 A JP 2001300396A JP 2001300396 A JP2001300396 A JP 2001300396A JP 4817565 B2 JP4817565 B2 JP 4817565B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関し、特に空孔率、透気度、機械的強度及び寸法安定性に優れ、かつ適度な孔径を有するポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ポリオレフィン微多孔膜は、リチウム二次電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池、ポリマー電池等に用いる電池用セパレーターをはじめ、電解コンデンサー用セパレーター、逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の各種フィルター、透湿防水衣料、医療用材料等に幅広く使用されている。ポリオレフィン微多孔膜を電池用セパレーター、特にリチウムイオン電池用セパレーターとして用いる場合、その性能は電池特性、電池生産性及び電池安全性に深く関わっている。そのため優れた透気度、機械的特性、寸法安定性、シャットダウン特性、メルトダウン特性等が要求される。
【0003】
電池特性については低温域での放電特性改善、高出力化、サイクル特性向上等が望まれており、そのため各種電池系において用いるセパレーターの孔径、空孔率及び透気度を最適化することが要求される。また電池生産性については電池の組み立て工程の効率化等が望まれるため、高い機械的強度が求められる。さらに電極上に混入した不純物の圧迫によって発生する電圧降下等による不良の低減化が求められている。
【0004】
例えば微多孔膜の高強度化を図る方法として、特開昭60−242035号、特開昭60−255107号及び特開昭63−273651号は、超高分子量ポリオレフィンを用いた微多孔膜の製造方法を提案している。これらの方法は超高分子量ポリオレフィンと各種可塑剤又は溶剤を溶融混練し、得られた溶融混練物を押出してゲル状シートを成形し、次いで延伸する方法である。しかしこれらの方法は超高分子量ポリオレフィンを用いるため、溶融混練物を押出成形するためには可塑剤又は溶剤を大量に使用しなければならず、可塑剤又は溶剤の除去に時間がかかるため生産性に問題がある上、得られる微多孔膜の強度も十分なものとは言えなかった。
【0005】
これに対して特開平3−64334号は、超高分子量ポリオレフィンを含有し、(重量平均分子量/数平均分子量)の値が特定の範囲内にあるポリオレフィン組成物を用いる方法を提案している。この方法では、溶融混練物の高濃度化すなわち溶媒の使用量を少なくすることが可能であり、しかも得られる微多孔膜は優れた強度と透水性を兼ね備えている。
【0006】
しかし最近はリチウムイオン電池をはじめとする電池の特性に対する要求がさらに厳しくなっており、微多孔膜の機械強度、透過性及び寸法安定性の全てを一層向上することが求められている。ところが一般に透過性を高くするために空孔率を高めると機械強度が低下し、機械強度を高めるために延伸倍率を高くすると寸法安定性が低下するため、これら透気度、機械強度及び寸法安定性の3つの物性を同時に満たす微多孔膜は得られていない。特に超高分子量ポリエチレンを用いて得られる微多孔膜は微細な貫通孔と高い機械強度を有するが、透過性については必ずしも十分でない上、しかもその孔径を拡大することが困難であった。
【0007】
これに対して本発明者らは、超高分子量成分を含有し、分子量分布が広い(重量平均分子量/数平均分子量が大きい)ポリオレフィンの溶液をシート状に成形し、急冷して得られるゲル状シートにそれぞれ特定の温度で少なくとも1軸方向に一次及び二次延伸を施す方法を開示した(特開平6−240036号)。この方法により得られる微多孔膜は、高い機械強度を有し、孔径分布がシャープであるが、平均孔径は0.05 〜0.1μmであり、透過性が十分とは言えなかった。
【0008】
また特開2000−248094号は、超高分子量ポリエチレンと溶剤との混練物をゲル状シートに成形し、120 ℃で圧延し、延伸及び脱溶媒処理をした後、超高分子量ポリオレフィンの融点を超え融点+10 ℃以下の温度でヒートセット処理を行う製造方法を提案している。この方法では延伸前に圧延することにより40%以上の空孔率と8889 〜10329 mN/25μmの突刺強度を有する微多孔膜が得られるものの、その熱収縮率が9.8 〜13.4%と大きいため、リチウム電池セパレーターとして用いた場合には、昇温に伴う電極の短絡が起こり易くなり、長期サイクル特性に劣るという問題がある。
【0009】
また特開2001−081221号は、粘度平均分子量15万 〜100万のポリオレフィンと可塑剤との混練物をゲル状シートに成形し、二軸延伸後に脱可塑剤処理をし、次いで少なくとも一軸の方向に延伸を行い、その後TDに収縮力緩和させる製造方法を提案している。この方法により得られる微多孔膜は、突刺強度及び引張強度に優れ、50%以上の空孔率を有するものの、透気度が800秒/100 cc程度と透過性が不十分で、熱収縮率の改善がTD方向のみであった。
【0010】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、空孔率、透気度、機械的強度及び寸法安定性に優れ、かつ適度な孔径を有するポリオレフィン微多孔膜の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンと液体溶剤と固体溶剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸し、得られた延伸物から25 ℃における表面張力が24 mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて液体溶剤及び固体溶剤を除去した後、前記洗浄後の延伸物を前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で少なくとも一軸方向に再び延伸し、次いで前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で熱処理することにより上記問題を解決できることを見出し、本発明に想到した。
【0012】
本発明の方法により得られるポリオレフィン微多孔膜は、重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンからなり、平均孔径が0.1 〜2.0μmであり、空孔率が50 〜95%であり、105 ℃・8時間暴露後の機械方向(MD)及び横方向(TD: 機械方向と直交する方向)の熱収縮率が5%以下であり、突刺強度が5880 mN/25μm以上であり、かつ膜厚20μm換算の透気度が20秒/100 cc 〜300秒/100 ccであることを特徴とする。
【0013】
本発明のポリオレフィン微多孔膜を製造する第一の方法は、重量平均分子量が5×105 以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンと液体溶剤と固体溶剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸し、得られた延伸物から25 ℃における表面張力が24 mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて液体溶剤及び固体溶剤を除去した後、前記洗浄後の延伸物を前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で少なくとも一軸方向に再び延伸し、次いで前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で熱処理することを特徹とする。
【0014】
本発明のポリオレフィン微多孔膜を製造する第二の方法は、重量平均分子量が5×105 以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンと液体溶剤と固体溶剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸し、得られた延伸物から25 ℃における表面張力が24 mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて液体溶剤及び固体溶剤を除去することにより少なくとも二枚の微多孔膜(A)を作製し、次いで前記微多孔膜(A)のうち少なくとも一枚を前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で少なくとも一軸方向に再び延伸した後、前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上〜融点未満の温度で熱処理することにより微多孔膜(B)を作製し、次いで前記微多孔膜(A)のうち少なくとも一枚と前記微多孔膜(B)のうち少なくとも一枚とを接合することにより積層化し、積層化膜(AB)を作製することを特徴とする。
【0015】
本発明のポリオレフィン微多孔膜を製造する第三の方法は、重量平均分子量が5×105 以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンと液体溶剤と固体溶剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸し、得られた延伸物から25 ℃における表面張力が24 mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて液体溶剤及び固体溶剤を除去することにより少なくとも二枚の微多孔膜(A)を作製し、次いで前記微多孔膜(A)のうち少なくとも二枚を接合することにより積層化し、得られた積層化膜(A)を前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で少なくとも一軸方向に再び延伸し、次いで前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で熱処理することを特徴とする。
【0016】
樹脂原料として重量平均分子量が5×105 以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンを用いることにより突刺強度向上に効果がある。溶融混練物を調製する際に液体溶剤と固体溶剤を用いることにより突刺強度の低下を伴わずに平均孔径を拡大させ、空孔率及び透気度を向上させることができる。また溶融混練物をダイより押出し、冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸(一次延伸)することにより突刺強度が向上する。そして液体溶剤及び固体溶剤の除去に際し、25 ℃における表面張力が24 mN/m以下である洗浄溶媒(A)を用いることにより、洗浄工程及び/又は乾燥工程において洗浄溶媒の表面張力によって網状組織が収縮緻密化するのを抑制することができるため、空孔率及び透気度が向上する。また洗浄後の延伸物をポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で再延伸(二次延伸)することにより、孔径が拡大するとともに均一に延伸できるため空孔率、透過性が向上する。さらにその後結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で熱処理することにより空孔率及び透気度を損なうことなく寸法安定性が向上する。その結果、空孔率、透気度、機械的強度及び寸法安定性に優れ、かつ適度な孔径を有するポリオレフィン微多孔膜が得られる。第二の方法では再延伸をしていない膜(微多孔膜(A))と再延伸した膜(微多孔膜(B))とを積層化することにより空孔率及び透気度と寸法安定性とをバランスさせることができる。
【0017】
一次延伸は同時二軸延伸が好ましく、延伸倍率はいづれの方向でも少なくとも3倍以上にするのが好ましく、面倍率では20倍以上が好ましい。一次延伸温度はポリオレフィンの融点+10 ℃以下にするのが好ましく、結晶分散温度から結晶融点未満の範囲にするのがより好ましい。一方二次延伸の延伸温度範囲は90 〜130 ℃が好ましく、110 〜125 ℃がより好ましい。二次延伸を125 ℃以下で行うことにより孔径の拡大効果が大きくなる。また熱処理の好ましい温度範囲は110 〜130 ℃未満である。熱処理は熱固定処理又は熱緩和処理のどちらでもよい。熱処理の前及び/又は後において更に熱緩和処理(熱収縮処理)を施すのが好ましい。これにより熱収縮率を一層改善することができる。
【0018】
ポリオレフィン微多孔膜が一層優れた特性を得るために、ポリオレフィンは下記条件(1)〜(7)を満たすのが好ましい。
(1) 上記ポリオレフィンに含まれる重量平均分子量5×105 以上のポリエチレンは超高分子量ポリエチレンである。
(2) 上記(1)に記載の超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量は1×106 〜15×106 である。
(3) 上記(1)又は(2)に記載の超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量は1× 106〜5×106 である。
(4) 上記ポリオレフィンが、重量平均分子量5×105 以上の超高分子量ポリエチレンと重量平均分子量1×104 以上 〜5×105 未満のポリエチレンとの組成物である。
(5) 上記(4)に記載のポリエチレン組成物中の重量平均分子量1×104 以上 〜5×105 未満のポリエチレンが高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(6) 上記(4)又は(5)に記載のポリオレフィン組成物が重量平均分子量5×105 以上の超高分子量ポリエチレンと重量平均分子量1×104 以上 〜5×105 未満の高密度ポリエチレンからなる。
(7) 上記(4)〜(6)のいづれかに記載のポリエチレン組成物のMw/Mnが5 〜300である。
【0019】
液体溶剤及び固体溶剤の除去は、洗浄溶媒を用いて二段階以上の洗浄工程により行うのが好ましく、この時少なくとも最終段階の洗浄工程で25 ℃における表面張力が24 mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いるのが好ましい。これにより洗浄効果が向上するとともに、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率、透気度及び寸法安定性が向上する。なお洗浄溶媒(A)はその表面張力が24 mN/m以下になる温度範囲内で用いるのが好ましい。
【0020】
ポリオレフィン微多孔膜が一層優れた特性を得るために、洗浄溶媒(A)は、下記条件(8) 〜(14)を満たすのが好ましい。
(8) 表面張力が、25 ℃において20 mN/m以下になる。
(9) ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、環状ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、炭素数5 〜10のノルマルパラフィン、炭素数6 〜10のイソパラフィン、炭素数6以下の脂肪族エーテル、シクロペンタン等のシクロパラフィン、2−ペンタノン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ターシャリーブタノール、イソブタノール、2−ペンタノール、酢酸プロピル、酢酸ターシャリーブチル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル及びプロピオン酸エチルからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(10) C5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、C4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、C5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、C6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びにC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種のフッ素系化合物である。
(11) ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマルデカンからなる群から選ばれた少なくとも一種のノルマルパラフィンである。
(12) 2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジブチルブタン、2,3−ジブチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メチルオクタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、2,3,5−トリメチルヘキサン、2−メチルノナン及び2,3,5−トリメチルヘプタンからなる群から選ばれた少なくとも一種のイソパラフィンである。
(13) ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル及びジイソプロピルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種のエーテルである。
(14) 25 ℃において表面張力が24 mN/m以下になるように配合した炭素数3以下の脂肪族アルコールと水との混合物からなる群から選ばれた少なくとも一種である。
【0021】
洗浄は二段階以上の洗浄工程により行うのが好ましく、その場合は洗浄溶媒(A)以外の洗浄溶媒(洗浄溶媒(B))を用いる段階が入ってもよい。この時最終段階の洗浄工程において洗浄溶媒(A)を用いるのが好ましい。洗浄溶媒(B)としては、易揮発性溶媒及び沸点100 ℃以上かつ引火点0 ℃以上の非水系溶媒からなる群から選ばれた少なくとも一種を用いるのが好ましい。
【0022】
ポリオレフィン微多孔膜が一層優れた特性を得るために、洗浄溶媒(B)は下記条件(15) 〜(27)を満たすのが好ましい。
(15) 塩化メチレン、四塩化炭素、三フッ化エタン、メチルエチルケトン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル及びジオキサンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(16) 炭素数8以上のノルマルパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィン、炭素数8以上のイソパラフィン、炭素数7以上のシクロパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のシクロパラフィン、炭素数7以上の芳香族炭化水素、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数5 〜10のアルコール、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7 〜14のエステル及びエーテル、並びに炭素数5 〜10のケトンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(17) 上記炭素数8以上のノルマルパラフィンは、その炭素数が8 〜12であり、より好ましくはノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、ノルマルウンデカン及びノルマルドデカンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(18) 上記水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィンは、1−クロロペンタン、1−クロロヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、1−ブロモペンタン、1−ブロモヘキサン、1−ブロモヘプタン、1−ブロモオクタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン及び1,7−ジクロロヘプタンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(19) 上記炭素数8以上のイソパラフィンは、2,3,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、2,3,5−トリメチルヘキサン、2,3,5−トリメチルヘプタン及び2,5,6−トリメチルオクタンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(20) 上記炭素数7以上のシクロパラフィンは、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、シス−及びトランス−1,2−ジメチルシクロヘキサン、シス−及びトランス−1,3−ジメチルシクロヘキサン及びシス−及びトランス−1,4−ジメチルシクロヘキサンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(21) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のシクロパラフィンは、クロロシクロペンタン及びクロロシクロヘキサンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(22) 上記炭素数7以上の芳香族炭化水素は、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(23) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素は、クロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、3−クロロオルトキシレン、4−クロロオルトキシレン、2−クロロメタキシレン、4−クロロメタキシレン、5−クロロメタキシレン、2−クロロパラキシレンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(24) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数5 〜10のアルコールは、イソペンチルアルコール、ターシャリーペンチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル及び5−クロロ−1−ペンタノールからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(25) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7 〜14のエステルは、炭酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、ノルマル酪酸エチル、ノルマル吉草酸エチル及び酢酸2−クロロエチルからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(26) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7 〜14のエーテルは、ノルマルブチルエーテル、ジイソブチルエーテル及びビスクロロエチルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(27) 上記炭素数5 〜10のケトンは、2−ぺンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
【0023】
洗浄において洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)を用いて三段階以上の多段階処理を行ってもよく、この場合三段 〜五段階の洗浄工程で行うのが好ましい。
【0024】
洗浄溶媒(B)に任意成分(C)として例えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種の溶媒を混合したものを使用してもよい。
【0025】
本発明の製造方法によるポリオレフィン微多孔膜の物性は、通常の場合、平均孔径は0.1 〜2.0μmであり、空孔率は50 〜95%であり、105 ℃・8時間暴露後の機械方向(MD)及び横方向(TD)の熱収縮率は5%以下であり、突刺強度は5880 mN/25μm以上であり、好ましくは6860 mN/25μm以上であり、より好ましくは9800 mN/25μm以上であり、膜厚20μm換算の透気度は20秒/100 cc 〜300秒/100 ccである特性を満たす。また平均曲路率は限定的ではないが好ましくは1.7 〜2.4であり、より好ましくは1.7 〜2.2である特性を満たす。
【0026】
【発明の実施の形態】
[1] ポリオレフィン
本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造に使用されるポリオレフィンは、重量平均分子量が5×105 以上のポリエチレンを必須成分とするものである。このようなポリエチレンとしては超高分子量ポリエチレンが挙げられ、その重量平均分子量は1×106 〜15×106 であるのが好ましく、1×106 〜5×106 であるのがより好ましい。
【0027】
使用されるポリエチレンとしては、重量平均分子量が5×105 以上のポリエチレンを含むものであれば、任意成分として他のポリオレフィンを含む組成物でも構わない。このような他のポリオレフィンとしては、重量平均分子量1×104 以上〜5×105 未満のポリエチレン、1×104 〜4×106 のポリプロピレン、重量平均分子量1×104 〜4×106 のポリブテン−1、重量平均分子量1×103 以上〜1×104 未満のポリエチレンワックス、及び重量平均分子量1×104 〜4×106 のエチレン・α−オレフィン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種を用いることができる。他のポリオレフィンの添加量はポリオレフィン組成物全体を100重量部として80重量部以下にする。
【0028】
ポリオレフィン組成物を用いる場合、特に超高分子量ポリエチレンと重量平均分子量1×104 以上 〜5×105 未満のポリエチレンとからなる組成物は、用途に応じて分子量分布(Mw/Mn)を容易に制御することができるため、これを用いるのが好ましい。ポリオレフィン組成物のMw/Mnは限定的でないが5 〜300が好ましく、5 〜100がより好ましい。重量平均分子量が1×104 以上〜5×105 未満のポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンのいづれも使用することができ、エチレンの単独重合体のみならず、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。ポリオレフィン組成物としては、限定的ではないが、重量平均分子量5×105 以上の超高分子量ポリエチレンと重量平均分子量1×104 以上 〜5×105 未満の高密度ポリエチレンとからなる組成物が好適である。
【0029】
[2] ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、(a) 上記ポリオレフィンに液体溶剤及び固体溶剤を添加して溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する工程、(b) ポリオレフィン溶液をダイより押し出し、冷却してゲル状成形物を形成する工程、(c) 二軸延伸工程並びに液体溶剤及び固体溶剤を除去する工程、(d) 得られた膜を乾燥する工程、(e) 再延伸工程、積層化工程及び熱処理を行う工程を含む。更に(a) 〜(e)の工程の後、必要に応じて(f) 電離放射による架橋処理 、(g) 親水化処理等を行ってもよい。本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、乾燥後の膜に対する処理方法の違いにより、上記工程(e)において、第一 〜第三の方法に分かれる。
【0030】
(a) ポリオレフィン溶液の調製工程
まずポリオレフィンに適当な液体溶剤及び固体溶剤を添加して溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する。ポリオレフィン溶液には必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填材等の各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。例えば孔形成剤として微粉珪酸を添加することができる。
【0031】
ポリオレフィン溶液を調製するための溶剤としては、室温で液状の液体溶剤と、室温では固体であるが加熱溶融混練状態においてはポリオレフィンと混和状態になる固体溶剤とを両方用いることを必須とする。これにより突刺強度の低下を伴わずに孔径を拡大させることができるため、空孔率及び透気度が向上する。液体溶剤としてはノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式の炭化水素、及び沸点がこれらに対応する鉱油留分等を用いることができる。溶剤含有量が安定なゲル状成形物を得るためには、流動パラフィンのような不揮発性の液体溶剤を用いるのが好ましい。固体溶剤としては、ジシクロヘキシルフタレート(DCHP)、パラフィンワックス、ステアリルアルコール、セリルアルコール等を用いることができる。中でも取り扱い容易性の観点から、ジシクロヘキシルフタレート(DCHP)を用いるのが好ましい。但し溶剤として液体溶剤のみを用いると平均孔径の向上が十分でなく、固体溶剤のみを用いると溶剤の除去/回収が困難になり、またそのため溶剤の再生利用が十分にできなくなるため好ましくない。液体溶剤と固体溶剤との混合割合は、重量比で液体溶剤:固体溶剤=1:99 〜99:1であるのが好ましく、5:95 〜95:5であるのがより好ましい。
【0032】
液体溶剤の粘度は25 ℃において30 〜500 cStであるのが好ましく、50 〜200 cStであるのがより好ましい。固体溶剤の融点は30 〜110 ℃であるのが好ましく、40 〜90 ℃であるのがより好ましい。
【0033】
溶融混練の方法は特に限定されないが、通常は押出機中で均一に混練することにより行う。この方法はポリオレフィンの高濃度溶液を調製するのに適する。溶融温度はポリオレフィンの融点+10 ℃ 〜+100 ℃が好ましいため、160 〜230 ℃であるのが好ましく、170 〜200 ℃であるのがより好ましい。ここで融点とはJIS K7121に基づいて示差走査熱量測定(DSC)により求められる値を言う。液体溶剤及び固体溶剤はそれぞれ混練開始前に添加しても、混練中に押出機の途中から添加してもよいが、混練開始前に添加して予め溶液化するのが好ましい。溶融混練にあたってはポリオレフィンの酸化を防止するために酸化防止剤を添加するのが好ましい。
【0034】
ポリオレフィン溶液中、ポリオレフィンと溶剤(液体溶剤+固体溶剤)との配合割合は、両者の合計を100重量%として、ポリオレフィンが1 〜50重量%、好ましくは20 〜40重量%である。ポリオレフィンが1重量%未満ではゲル状成形物を形成する際にダイス出口でスウェルやネックインが大きくなり、ゲル状成形物の成形性及び自己支持性が低下する。一方50重量%を超えるとゲル状成形物の成形性が低下する。
【0035】
(b) ゲル状成形物の形成工程
溶融混練したポリオレフィン溶液を直接に又は別の押出機を介して、或いは一旦冷却してペレット化した後再度押出機を介してダイリップから押し出す。ダイリップとしては、通常は長方形の口金形状をしたシート用ダイリップを用いるが、二重円筒状の中空状ダイリップ、インフレーションダイリップ等も用いることができる。シート用ダイリップの場合、ダイリップのギャップは通常0.1 〜5mmであり、押し出し時には140 〜250 ℃に加熱する。加熱溶液の押し出し速度は0.2 〜15 m/分であるのが好ましい。
【0036】
このようにしてダイリップから押し出した溶液を冷却することによりゲル状成形物を形成する。冷却は少なくともゲル化温度以下までは50 ℃/分以上の速度で行うのが好ましく、また25 ℃以下まで冷却するのが好ましい。このようにしてポリオレフィン相が溶剤(液体溶剤+固体溶剤)によってミクロ相分離された相分離構造を固定化することができる。一般に冷却速度が遅いと得られるゲル状成形物の高次構造が粗くなり、それを形成する擬似細胞単位も大きなものとなるが、冷却速度が速いと密な細胞単位となる。冷却速度が50 ℃/分未満では結晶化度が上昇し、延伸に適したゲル状成形物となりにくい。冷却方法としては冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等を用いることができる。
【0037】
(c) 二軸延伸工程及び溶剤除去工程
押し出した溶液を冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸(一次延伸)する。二軸延伸で行うことにより延伸による突刺強度向上効果が高くなる。二軸延伸の方法は、ゲル状成形物を加熱後、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法又はこれらの方法の組合せによって所定の倍率で行う。二軸延伸は縦横同時延伸又は逐次延伸のいづれでもよいが、特に同時二軸延伸が好ましい。
【0038】
一次延伸の延伸温度は原料ポリオレフィンの結晶分散温度 〜結晶融点の範囲にするのが好ましい。例えばポリエチレンの結晶分散温度は一般的に90 ℃である。延伸温度が融点を超えると延伸による分子鎖の配向ができにくく、また延伸温度が結晶分散温度未満では樹脂の軟化が不十分で、延伸において破膜しやすく、高倍率の延伸ができない。延伸温度は100 〜130 ℃がより好ましく、110 〜125 ℃が特に好ましい。ここで結晶分散温度とは、ASTM D 4065に基づいて動的粘弾性の温度特性測定により求められる値をいう。
【0039】
一次延伸の延伸倍率はゲル状成形物の厚みによって異なるが、いづれの方向でも少なくとも3倍以上にするのが好ましい。面倍率では10倍以上が好ましく、20倍以上がより好ましく、20 〜400倍が特に好ましい。面倍率が10倍未満では延伸が不十分で突刺強度が向上しない。一方面倍率が400倍を超えると、延伸装置、延伸操作等の点で制約が生じる。
【0040】
一次延伸を施す前に、原料ポリオレフィンの結晶分散温度未満で延伸を行う工程を入れてもよい。予め結晶分散温度未満で延伸を行うことにより孔径拡大効果が向上する。この任意の延伸は、一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合は、縦横同時延伸又は逐次延伸のいづれでもよい。延伸方法はテンター法、ロール法、圧延法又はこれらの組合せのいづれも利用できる。任意の延伸の温度は、その下限に特に制限はないが−20 ℃以上で行うのが容易なので好ましい。延伸温度のより好ましい範囲は0 ℃以上 〜90 ℃未満、特に好ましい範囲は20 ℃以上 〜90 ℃未満である。この任意の延伸を結晶分散温度以上の温度で行うと孔径の拡大効果が薄くなる。任意の延伸の倍率は、原反の厚さにより異なるが、少なくとも一軸方向に1 〜9倍、好ましくは1 〜5倍にする。延伸倍率が9倍を超えると破膜が起こり易いため好ましくない。
【0041】
一次延伸による突刺強度向上効果を高めるため、一次延伸の際にゲル状成形物(ゲル状シート)の膜厚方向に温度分布を設けて二軸延伸することも可能である。これには特開平7-188440号に記載の方法を採用するのが好ましい。すなわち予めゲル状シートを予備加熱し、予備加熱温度よりも低温もしくは高温の延伸槽に導入することにより膜の両表面と内部との間に温度差を設けた状態で素早く延伸するか、又は膜の一方の面のみを加熱することにより膜の他方の面との間に温度分布を設けて素早く延伸する。具体例として、▲1▼ ゲル状シートを予備加熱して比較的低温(好ましくはポリオレフィンの融点−40 ℃ 〜ポリオレフィンの融点−10 ℃、より好ましくはポリオレフィンの融点−30 ℃ 〜ポリオレフィンの融点−10 ℃)でかつ均一な温度にした後、比較的高温(好ましくはポリオレフィンの融点−20 ℃ 〜ポリオレフィンの融点+10 ℃、より好ましくはポリオレフィンの融点−15 ℃ 〜ポリオレフィンの融点+10 ℃)に表面を加熱して延伸する方法、▲2▼ ゲル状シートを予備加熱して比較的高温(好ましくはポリオレフィンの融点−20 ℃ 〜ポリオレフィンの融点+10 ℃、より好ましくはポリオレフィンの融点−15 ℃ 〜ポリオレフィンの融点+10 ℃)で、かつ均一な温度に加熱した後、比較的低温(好ましくはポリオレフィンの融点−40 ℃ 〜ポリオレフィンの融点−10 ℃、より好ましくはポリオレフィンの融点−30 ℃ 〜ポリオレフィンの融点−10 ℃)に表面を冷却して延伸する方法、▲3▼ ゲル状シートを予備加熱し、次いでゲル状シートの上下のいづれか一方から加熱エア(好ましくはポリオレフィンの融点−20 ℃ 〜ポリオレフィンの融点+10 ℃、より好ましくはポリオレフィンの融点−15 ℃ 〜ポリオレフィンの融点+10 ℃)により加熱しながら延伸する方法(予備加熱温度が加熱エアの温度よりも高い場合は、加熱エアの温度は好ましくはポリオレフィンの融点−40 ℃ 〜ポリオレフィンの融点−10 ℃、より好ましくはポリオレフィンの融点−30 ℃ 〜ポリオレフィンの融点−10 ℃、予備加熱の温度が加熱エアの温度よりも低い場合は、加熱エアの温度は好ましくはポリオレフィンの融点−20 ℃ 〜ポリオレフィンの融点+10 ℃、より好ましくはポリエチレンの融点−15 ℃ 〜ポリオレフィンの融点+10 ℃とする。)等を挙げることができる。
【0042】
一次延伸により得られた膜から液体溶剤及び固体溶剤を除去(洗浄)する。ポリオレフィン相は溶剤(液体溶剤+固体溶剤)によりミクロ相分離されているので、両溶剤を除去すると多孔質の膜が得られる。両溶剤の除去には、25 ℃における表面張力が24 mN/m以下、好ましくは20 mN/m以下になる洗浄溶媒(A)を用いる。洗浄溶媒(A)はポリオレフィンとは相溶しないものが好ましい。このような洗浄溶媒(A)を用いることにより、洗浄後の乾燥時に微多孔内部で生じる気―液界面の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制することができる。その結果、微多孔膜の空孔率及び透気度を向上させることができる。25 ℃における表面張力が24 mN/mを超える洗浄溶媒で処理すると、微多孔膜の網状組織が収縮緻密化し、透気度が1000 秒/100 ccを超えてしまう。なお洗浄溶媒の表面張力は、その使用温度を上げるに従い低くすることができるが、使用できる温度範囲は沸点以下に限られる。また本願明細書において、「表面張力」とは気体と液体との界面に生じる張力を言い、JIS K 3362に基づいて測定したものである。
【0043】
洗浄溶媒(A)としてはハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、環状ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル等のフッ素系化合物、炭素数5 〜10のノルマルパラフィン、炭素数6 〜10のイソパラフィン、炭素数6以下の脂肪族エーテル、シクロペンタン等のシクロパラフィン、2−ペンタノン等の脂肪族ケトン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ターシャリーブタノール、イソブタノール、2−ペンタノール等の脂肪族アルコール、酢酸プロピル、酢酸ターシャリーブチル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチルの脂肪族エステル等を挙げることができる。
【0044】
フッ素系化合物としては、C5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、C4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、C5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、C6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びにC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。これらフッ素系化合物は20 ℃において表面張力が24 mN/m以下であるため、表面張力による網状組織の収縮緻密化を抑制する効果が高い。また沸点が100 ℃以下であるため乾燥が容易である。更にオゾン破壊性が無いため環境への負荷が低減でき、且つ引火点が40 ℃以上である(一部の化合物は引火点が無い)ため乾燥工程中の引火爆発の危険性が低い。
【0045】
炭素数5 〜10のノルマルパラフィンとしてはノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマルデカンが好ましい。これらは表面張力が20 ℃において24 mN/m以下である。この中では、沸点が100 ℃以下であり、乾燥が容易であるノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタンがより好ましい。
【0046】
炭素数6 〜10のイソパラフィンとしては2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジブチルブタン、2,3−ジブチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メチルオクタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、2,3,5−トリメチルヘキサン、2−メチルノナン及び2,3,5−トリメチルヘプタンが好ましい。この中では表面張力が20 ℃において24 mN/m以下であり、かつ沸点が100 ℃以下である2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジブチルブタン、2,3−ジブチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン及び3,3−ジメチルペンタンがより好ましい。
【0047】
炭素数6以下のエーテルとしてはジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル及びジイソプロピルエーテルが好ましい。これらはその表面張力が20 ℃において24 mN/m以下であり、かつ沸点が100 ℃以下である。
【0048】
シクロペンタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールは、その表面張力が20 ℃において24 mN/m以下であり、かつ沸点が100 ℃以下であるため好ましい。
【0049】
上記脂肪族エステルの中では、表面張力が20 ℃において24 mN/m以下である酢酸ターシャリーブチル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル及びギ酸イソブチルが好ましい。更に沸点が100 ℃以下であるが酢酸ターシャリーブチル、ギ酸エチル及びギ酸イソプロピルがより好ましい。
【0050】
洗浄溶媒(A)としては、25 ℃において表面張力が24 mN/m以下になるように配合した炭素数3以下の脂肪族アルコールと水との混合物を用いることもできる。
【0051】
上述の洗浄溶媒(A)は、他の溶媒との混合物として使用することができる。この場合、その混合比率は25 ℃において表面張力が24 mN/m以下になるようにする。例えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種の溶媒とパラフィン等の炭化水素系溶媒との混合物を使用することができる。
【0052】
洗浄は二段階以上の洗浄工程で行うのが好ましく、洗浄溶媒(A)以外の洗浄溶媒(洗浄溶媒(B))を用いる段階が入ってもよい。この場合は少なくとも一つの段階において洗浄溶媒(A)を用いればよい。洗浄溶媒(B)としては、ポリオレフィンとは相溶性を有しないものが好ましく、例えば洗浄溶媒として公知のペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、三フッ化エタン等のフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル、メチルエチルケトン等の易揮発性溶媒が使用できる。また沸点100 ℃以上かつ引火点0 ℃以上の非水系溶媒を用いることもできる。上述のような洗浄溶媒(B)は、ポリオレフィン組成物の溶解に用いた液体溶剤及び固体溶剤に応じて適宜選択し、単独もしくは混合して用いる。
【0053】
このような二段階以上の洗浄工程により、洗浄溶媒の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制しつつ、十分な洗浄を行うことができる。好ましくは、少なくとも最終段階の洗浄工程において洗浄溶媒(A)で処理する。これにより洗浄溶媒(B)を用いた場合に該洗浄溶媒(B)を除去でき(以下「リンス処理」という)、洗浄後の乾燥時に起る網状組織の収縮緻密化を防ぐことができる。その結果、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率及び透気度が向上する。
【0054】
最終段階の洗浄工程において洗浄溶媒(A)で処理する際、特に沸点100 ℃以下の洗浄溶媒(A)で処理すれば乾燥工程の効率が向上する。更に上述のC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、C4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、C5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、C6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びにC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテル等のフッ素系化合物を用いると、前述のように製造工程における環境への負荷をより低くできる効果もある。特に洗浄溶媒(B)として沸点150 ℃以上の溶媒を用いる場合は単に熱風で乾燥するだけでは乾燥に時間が掛かり、その影響で後の熱処理において空孔率及び透気度が低下する恐れがあるが、沸点100 ℃以下の洗浄溶媒(A)を用いることによりその問題を解消することができる。
【0055】
洗浄溶媒(B)として用いることができる沸点100 ℃以上かつ引火点0 ℃以上の非水系溶媒は難揮発性であり、環境への負荷が低く、乾燥工程において引火爆発する危険性が低いため使用上安全である。また高沸点であるため凝縮しやすく、回収が容易となり、リサイクル利用し易い。なお本願明細書において「沸点」とは、1.01×105 Paにおける沸点を言い、「引火点」とは、JIS K 2265に基づいて測定したものを言う。
【0056】
上記非水系溶媒として、例えば沸点100 ℃以上かつ引火点0 ℃以上のパラフィン系化合物、芳香族、アルコール、エステル、エーテル、ケトン等が挙げられる。またその引火点について、好ましくは5 ℃以上であり、より好ましくは40 ℃以上である。しかし非水系溶媒を水溶液化するのは、液体溶剤及び固体溶剤の除去を十分に行うことができないため好ましくない。
【0057】
非水系溶媒としては、炭素数8以上のノルマルパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィン、炭素数8以上のイソパラフィン、炭素数7以上のシクロパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のシクロパラフィン、炭素数7以上の芳香族炭化水素、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数5 〜10のアルコール、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7 〜14のエステル及びエーテル、並びに炭素数5 〜10のケトンからなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
【0058】
炭素数8以上のノルマルパラフィンとしては、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、ノルマルウンデカン及びノルマルドデカンが好ましく、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマルデカンがより好ましい。
【0059】
水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィンとしては、1−クロロペンタン、1−クロロヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、1−ブロモペンタン、1−ブロモヘキサン、1−ブロモヘプタン、1−ブロモオクタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン及び1,7−ジクロロヘプタンが好ましく、1−クロロペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモペンタン及び1−ブロモヘキサンがより好ましい。
【0060】
炭素数8以上のイソパラフィンとしては2,3,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、2,3,5−トリメチルヘキサン、2,3,5−トリメチルヘプタン及び2,5,6−トリメチルオクタンが好ましく、2,3,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン及び2,3,5−トリメチルヘキサンがより好ましい。
【0061】
炭素数7以上のシクロパラフィンとしては、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、シス−及びトランス−1,2−ジメチルシクロヘキサン、シス−及びトランス−1,3−ジメチルシクロヘキサン及びシス−及びトランス−1,4−ジメチルシクロヘキサンが好ましく、シクロヘキサンがより好ましい。
【0062】
水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のシクロパラフィンとしては、クロロシクロペンタン及びクロロシクロヘキサンが好ましく、クロロシクロペンタンがより好ましい。
【0063】
炭素数7以上の芳香族炭化水素としては、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンが好ましく、トルエンがより好ましい。
【0064】
水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素としてはクロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、3−クロロオルトキシレン、4−クロロオルトキシレン、2−クロロメタキシレン、4−クロロメタキシレン、5−クロロメタキシレン及び2−クロロパラキシレンが好ましく、クロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン及び4−クロロトルエンがより好ましい。
【0065】
水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数5 〜10のアルコールとしては、イソペンチルアルコール、ターシャリーペンチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル及び5−クロロ−1−ペンタノールが好ましく、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル及び5−クロロ−1−ペンタノールがより好ましい。
【0066】
水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7 〜14のエステルとしては炭酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、ノルマル酪酸エチル、ノルマル吉草酸エチル及び酢酸2−クロロエチルが好ましく、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、ノルマル酪酸エチル及び酢酸2−クロロエチルがより好ましい。
【0067】
水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7 〜14のエーテルとしてはジプロピレングリコールジメチルエーテル、ノルマルブチルエーテル、ジイソブチルエーテル及びビスクロロエチルエーテルが好ましく、ジプロピレングリコールジメチルエーテル及びビスクロロエチルエーテルがより好ましい。
【0068】
炭素数5 〜10のケトンとしては2−ぺンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンが好ましく、2−ペンタノン及び3−ペンタノンがより好ましい。
【0069】
上述のような洗浄溶媒(B)は混合物として用いてもよいが、洗浄溶媒(B)に、任意成分(C)として、洗浄溶媒(A)として挙げた例えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14及びC7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から少なくとも一種選ばれた溶媒を混合したものを使用してもよい。この場合、洗浄溶媒(B)と任意成分(C)は、表面張力が20 〜80 ℃のいづれかの温度において24 mN/m以下になる割合で混合するのが好ましく、具体的には、混合溶媒100重量部中において任意成分(C)を2 〜98重量部、好ましくは5 〜50重量部にする。任意成分(C)を2 〜98重量部含むことにより、洗浄溶媒の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制しつつ、十分な洗浄を行うことができる。
【0070】
洗浄溶媒(B)は、その表面張力が20 〜80 ℃のいづれかの温度において24 mN/m以下になるものを用いるのが好ましい。例えば、ノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、三フッ化エタン、ジエチルエーテル、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、アセトン、メチルエチルケトン等である。
【0071】
ここで洗浄の第一段階で使用する洗浄溶媒(B)と第二段階で使用する洗浄溶媒(A)との組合せとして好ましいものを示す。但し後述するように洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)を用いる洗浄は三段階以上で行うことも可能であるため、これらは二段階で行うことに限定する趣旨ではない。例えば、洗浄溶媒(B)/洗浄溶媒(A)=塩化メチレン/C4F9OCH3、塩化メチレン/C6F14、塩化メチレン/C7F16、塩化メチレン/ノルマルヘプタン、塩化メチレン/ノルマルヘキサン、塩化メチレン/ジエチルエーテル、エーテル/ハイドロフルオロエーテル、エーテル/環状ハイドロフルオロカーボン、エーテル/アルコール、エーテル/アルコールと水との混合物、ノルマルパラフィン/ハイドロフルオロエーテル、ノルマルパラフィン/環状ハイドロフルオロカーボン、ノルマルパラフィン/アルコール、ノルマルパラフィン/アルコールと水との混合物、イソパラフィン/ハイドロフルオロエーテル、イソパラフィン/環状ハイドロフルオロカーボン、イソパラフィン/アルコール、イソパラフィン/アルコールと水との混合物、シクロパラフィン/ハイドロフルオロエーテル、シクロパラフィン/環状ハイドロフルオロカーボン、シクロパラフィン/アルコール、シクロパラフィン/アルコールと水との混合物、ケトン/ハイドロフルオロエーテル、ケトン/環状ハイドロフルオロカーボン、ケトン/アルコール、及びケトン/アルコールと水との混合物が挙げられる。より好ましくは、洗浄溶媒(B)/洗浄溶媒(A)=塩化メチレン/C4F9OCH3、塩化メチレン/C6F14、塩化メチレン/C7F16、塩化メチレン/ノルマルヘプタン、塩化メチレン/ノルマルヘキサン、塩化メチレン/ジエチルエーテル、ノルマルヘプタン/C4F9OCF3、及びノルマルヘプタン/C6F14である。このような組合せのものを用いることにより、液体溶剤及び固体溶剤の除去を効果的に行いつつ、微多孔膜の空孔率及び透気度を向上させることができる。
【0072】
洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)による洗浄は三段階以上の洗浄工程で行ってもよい。一段階又は二段階の処理では液体溶剤及び固体溶剤を十分除去することができずに、得られるポリオレフィン微多孔膜の物性が低下する場合等に有効である。この場合少なくとも最終洗浄工程において洗浄溶媒(A)を用いて処理すればよく、特に洗浄回数は制限されないが、通常三段 〜五段階であり、好ましくは三 〜四段階である。また各々の段階において同じ洗浄溶媒で処理しても単に製造工程が長くなるため、ポリオレフィン微多孔膜製造設備のスペースが拡大し、また液体溶剤及び固体溶剤除去の効率性が低下するため、各段階では互いに異なる洗浄溶媒を用いるのが好ましい。但し、互いに異なる洗浄溶媒を用いることには限定されるものではない。従って、例えば三段階の処理の場合、第一段階及び第二段階において同一の洗浄溶媒を用い、第三段階で第一及び第二段階とは異なる洗浄溶媒を用いることもできる。
【0073】
洗浄方法は、洗浄溶媒(A)及び/又は洗浄溶媒(B)に浸漬し抽出する方法、洗浄溶媒(A) 及び/又は洗浄溶媒(B)をシャワーする方法、又はこれらの組合せによる方法等により行うことができる。また洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)は、ゲル状成形物100重量部に対しそれぞれ300 〜30000重量部使用するのが好ましい。また洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)を用いて二段階以上の工程により洗浄を行う場合は、洗浄溶媒(A)の使用量は、洗浄溶媒(B)の使用量を100重量部として50 〜200重量部になるようにするのが好ましい。洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)による洗浄は、残留した液体溶剤及び/又は固体溶剤がその添加量に対して1重量%未満になるまで行うのが好ましい。
【0074】
洗浄溶媒(B)による洗浄温度は洗浄溶媒(B)の沸点に依存する。洗浄溶媒(B)の沸点が150 ℃以下の場合は室温での洗浄が可能であり、必要に応じて加熱洗浄すればよく、一般に20 〜80 ℃で洗浄するのが好ましい。また洗浄溶媒(B)の沸点が150 ℃以上の場合、室温では膜内部への浸透性が悪いので、加熱洗浄するのが好ましい。
【0075】
洗浄溶媒(A)による洗浄温度及び/又はリンス温度は、洗浄溶媒(A)の表面張力に依存する。具体的には、洗浄溶媒(A)の表面張力が24 mN/m 以下になる温度以上で洗浄及び/又はリンス処理を行うのが好ましい。周囲の気温が、洗浄溶媒(A)の表面張力が24 mN/m以下になる温度に満たない場合は、必要に応じてその表面張力が24 mN/m以下になる温度まで加熱する。洗浄溶媒(A)は、高くとも25 ℃においてその表面張力が24 mN/m 以下になるので、殆どの場合は加熱を必要とせず、通常の室温において洗浄及び/又はリンス処理を行うことができる。
【0076】
(d)膜の乾燥工程
延伸後、液体溶剤及び固体溶剤を除去することにより得られた膜を、加熱乾燥法又は風乾法等により乾燥することができる。ここでこれらの乾燥法により乾燥した膜を微多孔膜(A)とする。乾燥温度は、ポリオレフィンの結晶分散温度以下の温度で行うのが好ましく、特に結晶分散温度より5 ℃以上低い温度が好ましい。
【0077】
乾燥処理により、ポリオレフィン微多孔膜中に残存する洗浄溶媒(B)の含有量を5重量%以下にするのが好ましく(乾燥後の膜重量を100重量%とする)、3重量%以下にするのがより好ましい。乾燥が不十分で膜中に洗浄溶媒(B)が多量に残存する場合、後の熱処理で空孔率が低下し、透気度が悪化するので好ましくない。
【0078】
(e) 再延伸工程、積層化工程及び熱処理工程
本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、乾燥後の膜に対する処理方法の違いにより以下に述べる第一 〜第三の方法に分かれる。
(e)−1. 第一の方法
第一の方法では、乾燥後の微多孔膜(A)を原料ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で再延伸(二次延伸)する。これにより空孔率/透過性が向上する。これは結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で再延伸することにより孔径を拡大できるためと推定する。二次延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合は、縦横同時延伸又は逐次延伸のいづれでもよい。延伸方法はテンター法、ロール法、圧延法又はこれらの組合せのいづれも利用できる。
【0079】
二次延伸は原料ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で行う。二次延伸温度の好ましい範囲は90 〜135 ℃、より好ましい範囲は90 〜125 ℃である。融点以上の温度で二次延伸すると空孔率/透気度の向上が期待できない。一方結晶分散温度未満の温度で二次延伸すると、樹脂の軟化が不十分なため、特に高倍率で延伸する場合に均一に薄膜化することができず、最悪の場合破膜する恐れがある。
【0080】
二次延伸の延伸倍率は、少なくとも一軸方向に1 〜9倍、好ましくは1 〜5倍にする。延伸倍率が9倍を超えると破膜が起こり易いため好ましくない。
【0081】
二次延伸により得られた膜を、さらに結晶分散温度 〜融点未満の温度で熱処理する。熱処理は熱固定処理又は熱緩和処理のどちらでもよい。熱固定処理とはMD及びTDの両方向ともに寸法変化が無いように行う処理であり、熱緩和処理とは熱収縮させる処理である。熱処理温度が結晶分散温度未満では熱収縮率の改善効果が十分でなく、融点以上だと透気度が悪化する。熱処理の好ましい温度範囲は110 ℃以上 〜130 ℃未満である。熱固定処理を行う場合は、テンター方式、ロール方式又は圧延方式のいづれかにより行う。熱固定処理時間に特に制限はなく、通常は1秒 〜60分、好ましくは10秒 〜30分で行う。熱緩和処理を行う場合はテンター方式、ロール方式、圧延方式等の固定方式で行うか、又はベルトコンベア方式、メッシュドラム(回転ドラム)方式、フローティング方式等を利用したフリー方式で行ってもよい。幅方向の物性均一化及び巻長の長尺化の観点からフリー方式が好ましい。熱緩和処理は、MD及びTDの両方向ともに緩和直前の長さの80%以上を維持するように行うのが好ましく、両方向の緩和でも一方向のみの緩和でもよい。熱緩和処理時間に特に制限はなく、通常は1秒 〜60分、好ましくは3秒 〜30分で行う。ここで微多孔膜(A)を二次延伸した後、熱処理した膜を微多孔膜(B)とする。
【0082】
上記熱処理の前及び/又は後において更に熱緩和処理を施すのが好ましい。これにより熱収縮率を一層改善することができる。この任意の熱緩和処理は上述の熱緩和処理と同様な方法により行うことができる。任意の熱緩和処理はポリオレフィンの結晶分散温度 〜融点未満の温度で行えばよいが、90 〜135 ℃の温度範囲で行うのが好ましい。任意の熱緩和処理は、MD及びTDの両方向ともに緩和直前の長さの80%以上を維持するように行うのが好ましく、両方向の緩和でも一方向のみの緩和でもよい。
【0083】
(e)−2. 第二の方法
第二の方法では、上述の微多孔膜(A)及び微多孔膜(B)を接合し、積層化膜(AB)を形成する。微多孔膜(A)は二次延伸されていないので微多孔膜(B)よりも熱収縮率が小さく、一方微多孔膜(B)は突刺強度及び透気度に優れるので、微多孔膜(A)と微多孔膜(B)を接合することにより上記3つの物性のバランスをとることができる。なお微多孔膜(B)は上記熱処理の前及び/又は後に上述の任意の熱緩和処理を施しておくのが好ましい。
【0084】
微多孔膜(A)と微多孔膜(B)の積層化は、通常両者を熱接合することにより行う。熱接合は公知の方法で行うことができ、ヒートシール、インパルスシール等の外部加熱方式でも、超音波接合、高音波接合等の内部加熱方式でもよい。通常はヒートシールにより行い、これには熱ロール、加熱板、エンボス・ロール等を備えたヒートシーラーを用いるか、又はバンドシーラーを用いる。熱接合は結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で行う。
【0085】
積層化構造の段数には制限はなく、例えばA/Bのような二段積層にしてもよいし、B/A/Bのように三段積層にしてもよい。ただし三段以上の積層化構造にする場合、両方の表面層を微多孔膜(B)により形成すると積層化微多孔膜の空孔率及び透気度が向上するので好ましい。
【0086】
(e)−3. 第三の方法
第三の方法では、上述の微多孔膜(A)のうち少なくとも二枚を接合することにより積層化し、得られた積層化膜(A)を二次延伸した後、熱処理する。少なくとも二枚の微多孔膜(A)を積層することにより、二次延伸において高倍率で延伸する場合に膜が不均一になったり、破断したりするのを防ぐことができる。例えば一般的に一次延伸した原反の厚みが10μm以下だと、二次延伸において均一に延伸できない恐れがあるし、また一次延伸において面倍率で400倍を越える高倍率で延伸した場合には膜の一部が不均一になっていることがあり、これをさらに二次延伸すると最悪の場合は膜が破断する恐れがある。
【0087】
積層化は第二の方法の場合と同様に、ヒートシーラー等を用いる熱接合により行えばよい。熱接合は結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で行う。また二次延伸は第一の方法の場合と同様に一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合は、縦横同時延伸又は逐次延伸のいづれでもよい。延伸方法はテンター法、ロール法、圧延法又はこれらの組合せのいづれも利用できる。
【0088】
二次延伸はポリエチレンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で行う。これにより上述のように空孔率/透過性が向上する。二次延伸温度の好ましい範囲は90 〜135 ℃、より好ましい範囲は90 〜125 ℃である。融点以上の温度で延伸すると空孔率/透気度の向上が期待できない。一方結晶分散温度未満の温度で二次延伸すると、樹脂の軟化が不十分なため、特に高倍率で延伸する場合に均一に薄膜化することができず、最悪の場合破膜する恐れがある。
【0089】
延伸倍率は、少なくとも一軸方向に1 〜9倍、好ましくは1 〜5倍にする。延伸倍率が9倍を超えると破膜が起こり易いため好ましくない。
【0090】
二次延伸後の積層化膜(A)を第一の方法の場合と同様に結晶分散温度 〜融点未満の温度で熱処理する。熱処理の好ましい温度範囲は110 ℃以上 〜130 ℃未満である。結晶分散温度未満では熱収縮率の改善効果が十分でなく、融点以上だと透気度が悪化する。熱処理は熱固定処理又は熱緩和処理のどちらでもよい。熱固定処理を行う場合は、テンター方式又はロール方式のいづれかにより結晶分散温度 〜融点未満の温度で行えばよく、1秒 〜60分、好ましくは3秒 〜30分で行う。熱緩和処理を行う場合はテンター方式、ロール方式等の固定方式で行うか、又はベルトコンベア方式、メッシュドラム(回転ドラム)方式、フローティング方式等を利用したフリー方式で行ってもよい。幅方向の物性均一化及び巻長の長尺化の観点からフリー方式が好ましい。熱緩和処理は、MD及びTDの両方向ともに緩和直前の長さの90%以上を維持するように行うのが好ましく、両方向の緩和でも一方向のみの緩和でもよい。熱緩和処理時間に特に制限はなく、通常は1秒 〜60分、好ましくは3秒 〜30分で行う。また熱処理の前及び/又は後において更に熱緩和処理を施すのが好ましい。この任意の熱緩和処理もポリオレフィンの結晶分散温度 〜融点未満の温度で行えばよいが、90 〜125 ℃の温度範囲で行うのが好ましい。任意の熱緩和処理はMD及びTDの両方向ともに緩和直前の長さの80%以上を維持するように行うのが好ましく、両方向の緩和でも一方向のみの緩和でもよい。
【0091】
(g) 膜の架橋処理工程
第一 〜第三の方法により得られた微多孔膜に対して電離放射により架橋処理を施すのが好ましい。電離放射線としてはα線、β線、γ線、電子線が用いられ、電子線量0.1 〜100 Mrad、加速電圧100 〜300 kVにて行うことができる。これによりメルトダウン温度を向上させることができる。
【0092】
(h) 親水化処理工程
第一 〜第三の方法により得られた微多孔膜は親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電処理等を用いる。なお親水化処理は電離放射後に行うのが好ましい。
【0093】
界面活性剤を使用する場合、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両イオン系界面活性剤のいづれも使用することができるが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。この場合、界面活性剤を水溶液又はメタノール、エタノール又はイソプロピルアルコール等の低級アルコールの溶液にして、ディッピング及びドクターブレード等の方法により親水化される。
【0094】
得られた親水化微多孔膜を乾燥する。この時、透気度を向上させるため、ポリオレフィン微多孔膜の融点以下の温度で収縮を防止又は延伸しながら熱処理するのが好ましい。
【0095】
[3] ポリオレフィン微多孔膜
本発明の好ましい実施態様によるポリオレフィン微多孔膜は、次の物性を有する。
(1) 平均孔径は0.1 〜2.0μmである。0.01μm未満だと透過性が著しく低下する上に電解液の浸透性が低下し、2.0μmを超えるとデンドライト成長を抑えられなくなり、短絡が起こり易くなる。
(2) 空孔率は50 〜95%である。50%未満では十分な透過性が得られない。95%を超えると電池安全性とインピーダンスのバランスがとれなくなる。
(3) 透気度は20 〜300秒/100 ccである(膜厚20μm換算)。300秒/100 ccを超えると、ポリオレフィン微多孔膜を電池用セパレーターとして用いた場合に、電池容量が小さくなる。一方20秒/100 cc未満では電池内部の温度上昇時にシャットダウンが十分に行われない。
(4) 突刺強度は5880 mN/25μm以上であり、好ましくは6860 mN/25μm以上であり、より好ましくは9800 mN/25μm以上である。5880 mN/25μm未満では、ポリオレフィン微多孔膜を電池用セパレーターとして電池に組み込む場合にピンホールが発生しやすい。
(5) 105 ℃・8時間暴露後の熱収縮率は機械方向(MD)及び横方向(TD)ともに5%以下である。5%を超えるとポリオレフィン微多孔膜を電池用セパレーターとして用いた場合、発熱時に破膜が起こり、短絡の原因となる。
(6) 平均曲路率は限定されないが好ましくは1.7 〜2.4であり、より好ましくは1.7 〜2.2である。2.5を超えるとイオン透気度が大幅に低下し、1.7未満だとイオン透気度は向上するものの、ポリオレフィン微多孔膜を電池用セパレーターとして電池に組み込む場合に、短絡が起こり易い。
【0096】
ポリオレフィン微多孔膜の膜厚は用途に応じて適宜選択しうるが、例えば電池用セパレーターとして使用する場合は5 〜200μmにするのが好ましい。このようなポリオレフィン微多孔膜は、上記[1]で説明したポリオレフィンを用いて上記[2]で説明した製造方法により得られる。
【0097】
このように、本発明の製造方法により得られるポリオレフィン微多孔膜は空孔率、透気度、機械的強度及び寸法安定性に優れ、かつ適度な孔径を有しているので、電池用セパレーター、フィルター等として好適に使用できる。特に電池用セパレーターとして用いることにより、低温域での放電特性、サイクル特性等の電池特性だけでなく、電池生産性及び電池安全性をも含めた全ての向上が可能になる。
【0098】
【実施例】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0099】
実施例1
(第一の方法)
重量平均分子量が2.0×106 の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)30重量%と重量平均分子量が3.5×105 の高密度ポリエチレン(HDPE)70重量%とからなり、Mw/Mn=16であるポリエチレン組成物(融点135 ℃、結晶分散温度90 ℃)に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタンをポリエチレン組成物100重量部当たり0.25重量部ドライブレンドしたポリエチレン組成物を得た。得られたポリエチレン組成物20重量部を二軸押出機(内径45 mm、L/D=42、強混練タイプ)に投入し、この二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン(35Cst(40 ℃))60重量部とジシクロヘキシルフタレート(DCHP:分子量330、融点61 ℃)20重量部を供給し、200 ℃及び200 rpmの条件で溶融混練して、押出機中にてポリエチレン溶液を調製した。続いてこのポリエチレン溶液を押出機の先端に設置されたTダイから押し出し、0 ℃に温調された冷却ロールで引き取りながら50℃/minで冷却し、ゲル状シートを形成した。得られたゲル状シートについて、テンター延伸機を用いて115 ℃で5×5倍になるように同時二軸延伸(一次延伸)を行い、延伸膜を得た。得られた膜を20 cm×20 cmのアルミニウム製の枠に固定し、25 ℃に温調されたエチルパーフルオロブチルエーテル[C4F9OC2H5、住友スリーエム(株)製HFE−7200、表面張力13.6 mN/m(25 ℃)、沸点76 ℃、引火点なし(以下同様)]/2−プロパノール[表面張力20.9 mN/m(25 ℃)、沸点82.4 ℃]=80/20(wt/wt)[表面張力18.0 mN/m(25 ℃)]を含有する第一洗浄槽中に浸漬し、100 rpmで3分間揺動させながら洗浄した。更に25 ℃に温調されたHFE−7200を含有する第2洗浄槽(リンス槽)中に1分間浸漬し、リンス処理した。得られた膜について、60 ℃に加熱したロール上で70 ℃の熱風により乾燥し、微多孔膜(A)(膜(A))を作製した。得られた膜(A)をテンター延伸機により115 ℃でTDに1.5倍に延伸し(二次延伸)、その後テンターに保持しながら110℃で10秒間熱緩和処理することによりMDに5%及びTDに5%収縮させ、さらにテンターに膜を保持しながら120 ℃で10分間熱固定処理することによりポリエチレンの微多孔膜(微多孔膜(B)(膜(B))を作製した。
【0100】
実施例2
(第二の方法)
溶融混練物の組成をポリエチレン組成物20重量部、流動パラフィン50重量部及びジシクロヘキシルフタレート30重量部とし、第一洗浄槽中の洗浄溶媒をHFE−7200/2−プロパノール=50/50(wt/wt)[表面張力17.3 mN/m(25 ℃)]にした以外は実施例1と同様に膜(A)を2枚作製した。そのうち1枚をテンター延伸機により115 ℃でMD及びTDに1.5倍に延伸し(二次延伸)、テンターに膜を保持しながら115 ℃で30分間熱固定処理することにより膜(B)を作製した。次いで得られた膜(A)と膜(B)を110 ℃でカレンダーロールにより熱接合することによりポリエチレンの微多孔膜(積層化膜(AB))を作製した。
【0101】
実施例3
(第三の方法)
第一洗浄槽中の洗浄溶媒をHFE−7200/2−プロパノール=50/50(wt/wt)[表面張力17.3 mN/m(25 ℃)]にし、第2洗浄槽(リンス槽)中のHFE−7200を40 ℃に温調し、風乾した以外は実施例1と同様に膜(A)を2枚作製し、両者を110 ℃でカレンダーロールにより熱接合した。得られた積層化膜(A)をテンター延伸機により115 ℃でMD及びTDに1.5倍に延伸し(二次延伸)、テンターに膜を保持しながら115 ℃で10分間熱固定処理することによりポリエチレンの微多孔膜を作製した。
【0102】
実施例4
(第一の方法)
重量平均分子量が8.0×105 の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)(融点136 ℃、結晶分散温度90 ℃、Mw/Mn=7)を用いた以外は実施例1と同様にポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0103】
実施例5
(第一の方法)
重量平均分子量が1.0×106 の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)60重量%と重量平均分子量が5.0×105 の高密度ポリエチレン(HDPE)40重量%とからなり、Mw/Mn=10であるポリエチレン組成物(融点135 ℃、結晶分散温度90 ℃)を用いた以外は実施例1と同様にポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0104】
比較例1
熱固定処理及び熱緩和処理を行わなかった以外は実施例1と同様にポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0105】
比較例2
溶融混練物の組成をポリエチレン組成物20重量部及び流動パラフィン80重量部とし、第一洗浄槽中の洗浄溶媒を25 ℃に温調された塩化メチレン[表面張力27.3 mN/m(25 ℃)、沸点40.0 ℃]にし、第2洗浄槽(リンス槽)中の洗浄溶媒を25 ℃に温調された塩化メチレンにし、風乾した以外は実施例1と同様に膜(A)を作製した。
【0106】
比較例3
溶融混練物の組成をポリエチレン組成物20重量部及びジシクロヘキシルフタレート(分子量330、融点61 ℃)80重量部とし、第一洗浄槽中の洗浄溶媒を25 ℃に温調された第一洗浄槽中の洗浄溶媒をHFE−7200/2−プロパノール=50/50(wt/wt)[表面張力17.3 mN/m(25 ℃)]にし、第2洗浄槽(リンス槽)中の洗浄溶媒を40 ℃に温調されたHFE−7200にし、風乾して膜(A)を作製した以外は実施例1と同様にポリエチレンの微多孔膜を作製した。
【0107】
実施例1 〜5及び比較例1 〜3で得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を以下の方法で測定した。
・膜厚:接触厚み計により測定した。
・平均貫通孔径:オムニソープ360(コールター社製)により測定した。
・透気度:JIS P8117に準拠して測定した(膜厚20μm換算)。
・空孔率:重量法により測定した。
・突刺強度:25μm厚の微多孔膜を直径1mm(0.5mm R)の針を用いて速度2mm/秒で突刺したときの最大荷重を測定した。
・熱収縮率:微多孔膜を105 ℃で8時間暴露したときのMD及びTDの収縮率をそれぞれ測定した。
・平均曲路率:多孔体における流体の透過速度と空孔率や比表面積との関係を明確にできるKozeny−Carman 式のKozeny定数kは、繊維の3次元配向モデルを導入すると次式で近似でき、通常5.0 とされている。
k≒〔45 ε/(3π2 δ0 2 p 2 )〕×(L0/L)2
ここで、εは空孔率、δ0 はフィブリル径、Sp は多孔体の固体のみの単位体積当たりの表面積(比表面積)、Lは見掛けの透過距離、すなわち膜厚、L0 は真の透過距離、すなわち貫通経路の長さで、L0 /Lで定義される曲路率を算出する。
・サイクル特性:プロピレンカーボネート(PC):ジエチルカーボネート(DEC)=1:1(重量比)からなる溶媒にLiClO4(過塩素酸リチウム)1Mを添加した電解液を調製し、負極に炭素電極及び正極にLiCoO2を用いたリチウム電池を作製した。この電池を4.2Vに充電し、その後放電させる操作を25 ℃で700回繰り返すサイクル試験を行い、サイクル試験後の電池容量変化を調べた。
【0108】
【表1】

Figure 0004817565
Figure 0004817565
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Figure 0004817565
【0109】
表1に示すように、本発明の方法により製造した実施例1 〜5のポリエチレン微多孔膜は空孔率、透気度、突刺強度及び熱収縮率のバランスに優れ、かつ適度な孔径と使用に耐えうるサイクル特性を有することが分かる。一方比較例1の微多孔膜は熱処理を施しておらず、比較例2では液体溶剤のみを用いて溶融混練物を調製し、さらに25 ℃において表面張力が24 mN/mを超える洗浄溶媒を用いて洗浄及びリンス処理しており、比較例3では固体溶剤のみを用いて溶融混練物を調製しているため、実施例1 〜5と比較して、比較例1では熱収縮率、平均曲路率及びサイクル特性が劣っており、比較例2では平均孔径、透気度及びサイクル特性が劣っており、比較例3では平均孔径、熱収縮率及びサイクル特性が劣っている。比較例2ではサイクル試験後の透気度が1500秒/100 ccとなり、貫通孔の一部が閉塞したものと推測される。比較例3ではリチウムのデンドライト成長を抑制できずに短絡が起こったものと推測される。
【0110】
【発明の効果】
以上詳述したように、重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンと液体溶剤と固体溶剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸し、得られた延伸物から25 ℃における表面張力が24 mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて液体溶剤及び固体溶剤を除去した後、前記洗浄後の延伸物を前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で少なくとも一軸方向に再び延伸し、次いで前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で熱処理することにより製造したポリオレフィン微多孔膜は、空孔率、透気度及び突刺強度及び熱収縮率に優れ、かつ適度な孔径と使用に耐えうるサイクル特性を有する。得られたポリオレフィン微多孔膜は電池用セパレーター、フィルター等に有用である。特に電池用セパレーターとして用いることにより、低温域での放電特性、容量特性、サイクル特性等の電池特性だけでなく、電池生産性及び電池安全性をも含めた全ての向上が可能になる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
  The present invention relates to a polyolefin.Method for producing microporous membraneIn particular, polyolefins having excellent porosity, air permeability, mechanical strength and dimensional stability and having an appropriate pore sizeMethod for producing microporous membraneAbout.
[0002]
[Prior art and problems to be solved by the invention]
Polyolefin microporous membranes include battery separators used in lithium secondary batteries, nickel-hydrogen batteries, nickel-cadmium batteries, polymer batteries, etc., separators for electrolytic capacitors, reverse osmosis filtration membranes, ultrafiltration membranes, microfiltration membranes It is widely used for various filters such as moisture permeable waterproof clothing and medical materials. When the polyolefin microporous membrane is used as a battery separator, particularly a lithium ion battery separator, the performance is deeply related to battery characteristics, battery productivity, and battery safety. Therefore, excellent air permeability, mechanical characteristics, dimensional stability, shutdown characteristics, meltdown characteristics, etc. are required.
[0003]
Regarding battery characteristics, improvement of discharge characteristics at low temperatures, higher output, improved cycle characteristics, etc. are desired. Therefore, it is required to optimize the pore diameter, porosity and air permeability of separators used in various battery systems. Is done. In addition, with respect to battery productivity, high mechanical strength is required because efficiency of the battery assembly process is desired. Further, there is a demand for reduction of defects due to voltage drop or the like generated by pressing impurities mixed on the electrode.
[0004]
For example, as a method for increasing the strength of a microporous membrane, JP-A-60-242035, JP-A-60-255107, and JP-A-63-273651 describe the production of microporous membranes using ultrahigh molecular weight polyolefins. Proposed method. These methods are methods in which ultrahigh molecular weight polyolefin and various plasticizers or solvents are melt-kneaded, the obtained melt-kneaded product is extruded to form a gel sheet, and then stretched. However, since these methods use ultra-high molecular weight polyolefin, a large amount of plasticizer or solvent must be used to extrude the melt-kneaded product, and it takes time to remove the plasticizer or solvent, so productivity is increased. In addition, the strength of the resulting microporous membrane was not sufficient.
[0005]
On the other hand, Japanese Patent Laid-Open No. 3-64334 proposes a method using a polyolefin composition containing an ultrahigh molecular weight polyolefin and having a value of (weight average molecular weight / number average molecular weight) within a specific range. In this method, it is possible to increase the concentration of the melt-kneaded product, that is, to reduce the amount of solvent used, and the obtained microporous membrane has both excellent strength and water permeability.
[0006]
Recently, however, the requirements for the characteristics of batteries such as lithium ion batteries have become more severe, and it has been required to further improve all of the mechanical strength, permeability and dimensional stability of the microporous membrane. However, in general, increasing the porosity to increase the permeability decreases the mechanical strength, and increasing the stretching ratio to increase the mechanical strength decreases the dimensional stability. Therefore, these air permeability, mechanical strength and dimensional stability A microporous membrane that satisfies the three physical properties at the same time has not been obtained. In particular, a microporous membrane obtained using ultrahigh molecular weight polyethylene has fine through-holes and high mechanical strength. However, the permeability is not always sufficient, and it is difficult to enlarge the pore diameter.
[0007]
On the other hand, the inventors of the present invention formed a sheet of a polyolefin solution containing an ultra-high molecular weight component and having a wide molecular weight distribution (a large weight average molecular weight / number average molecular weight) and rapidly cooling the gel solution. A method of performing primary and secondary stretching in at least one axial direction at a specific temperature on a sheet has been disclosed (Japanese Patent Laid-Open No. 6-240036). The microporous membrane obtained by this method has high mechanical strength and a sharp pore size distribution, but the average pore size is 0.05 to 0.1 μm, and the permeability was not sufficient.
[0008]
JP 2000-248094 discloses that a kneaded product of ultra high molecular weight polyethylene and a solvent is formed into a gel sheet, rolled at 120 ° C., stretched and desolvated, and then exceeds the melting point of the ultra high molecular weight polyolefin. A manufacturing method is proposed in which heat setting is performed at a melting point of + 10 ° C or lower. In this method, a microporous film having a porosity of 40% or more and a pin puncture strength of 8889 to 10329 mN / 25 μm can be obtained by rolling before stretching, but its thermal shrinkage rate is as high as 9.8 to 13.4%. When used as a lithium battery separator, there is a problem in that short-circuiting of electrodes due to temperature rise tends to occur and the long-term cycle characteristics are poor.
[0009]
Japanese Patent Laid-Open No. 2001-081221 discloses that a kneaded product of a polyolefin having a viscosity average molecular weight of 150,000 to 1,000,000 and a plasticizer is formed into a gel sheet, treated with a deplasticizer after biaxial stretching, and then at least uniaxial direction. A manufacturing method is proposed in which the film is stretched and then contracted by TD. The microporous membrane obtained by this method is excellent in pin puncture strength and tensile strength and has a porosity of 50% or more, but the air permeability is about 800 seconds / 100 cc and the permeability is insufficient, and the heat shrinkage rate The improvement was only in the TD direction.
[0010]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a method for producing a microporous polyolefin membrane that eliminates the above-mentioned drawbacks of the prior art, has excellent porosity, air permeability, mechanical strength and dimensional stability, and has an appropriate pore size. It is to be.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies in view of the above object, the present inventors have found that the weight average molecular weight is 5 × 10 5.FiveThe above-mentioned polyolefin containing polyethylene as an essential component, a liquid solvent, and a solid solvent are melt-kneaded, the obtained melt-kneaded product is extruded from a die, and cooled to obtain a gel-like molded product, which is obtained by biaxial stretching. After removing the liquid solvent and the solid solvent from the obtained stretched product using a washing solvent (A) having a surface tension of 24 mN / m or less at 25 ° C., the washed stretched product is treated at a temperature higher than the crystal dispersion temperature of the polyolefin. The inventors have found that the above problem can be solved by stretching again at least in a uniaxial direction at a temperature lower than the melting point, and then heat-treating at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the polyolefin and lower than the melting point.
[0012]
  Of the present inventionObtained by the methodPolyolefin microporous membrane has a weight average molecular weight of 5 × 10FiveIt is made of the above-mentioned polyolefin containing polyethylene as an essential component, has an average pore size of 0.1 to 2.0 μm, porosity of 50 to 95%, and machine direction (MD) and lateral direction after exposure at 105 ° C for 8 hours ( (TD: the direction perpendicular to the machine direction) has a heat shrinkage rate of 5% or less, a puncture strength of 5880 mN / 25 μm or more, and an air permeability in terms of a film thickness of 20 μm of 20 seconds / 100 cc to 300 seconds / It is 100 cc.
[0013]
The first method for producing the polyolefin microporous membrane of the present invention has a weight average molecular weight of 5 × 10 5.FiveThe above-mentioned polyolefin containing polyethylene as an essential component, a liquid solvent, and a solid solvent are melt-kneaded, the obtained melt-kneaded product is extruded from a die, and cooled to obtain a gel-like molded product, which is obtained by biaxial stretching. After removing the liquid solvent and the solid solvent from the obtained stretched product using a washing solvent (A) having a surface tension of 24 mN / m or less at 25 ° C., the washed stretched product is treated at a temperature higher than the crystal dispersion temperature of the polyolefin. A special feature is stretching at least in a uniaxial direction at a temperature lower than the melting point, and then heat-treating at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the polyolefin and lower than the melting point.
[0014]
The second method for producing the polyolefin microporous membrane of the present invention has a weight average molecular weight of 5 × 10 5.FiveThe above-mentioned polyolefin containing polyethylene as an essential component, a liquid solvent, and a solid solvent are melt-kneaded, the obtained melt-kneaded product is extruded from a die, and cooled to obtain a gel-like molded product, which is obtained by biaxial stretching. By removing the liquid solvent and the solid solvent from the stretched product using a cleaning solvent (A) having a surface tension at 25 ° C. of 24 mN / m or less, at least two microporous membranes (A) were prepared, At least one of the microporous membranes (A) is stretched again at least in a uniaxial direction at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the polyolefin and lower than the melting point, and then heat-treated at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the polyolefin and lower than the melting point. To produce a microporous membrane (B), and then laminating by joining at least one of the microporous membrane (A) and at least one of the microporous membrane (B), a laminated membrane (AB) Characterized in that it produced.
[0015]
The third method for producing the polyolefin microporous membrane of the present invention has a weight average molecular weight of 5 × 10 5.FiveThe above-mentioned polyolefin containing polyethylene as an essential component, a liquid solvent, and a solid solvent are melt-kneaded, the obtained melt-kneaded product is extruded from a die, and cooled to obtain a gel-like molded product, which is obtained by biaxial stretching. By removing the liquid solvent and the solid solvent from the stretched product using a cleaning solvent (A) having a surface tension at 25 ° C. of 24 mN / m or less, at least two microporous membranes (A) were prepared, The microporous membrane (A) is laminated by bonding at least two of them, and the obtained laminated membrane (A) is stretched again at least in a uniaxial direction at a temperature not lower than the polyolefin crystal dispersion temperature and lower than the melting point. Then, heat treatment is performed at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the polyolefin and lower than the melting point.
[0016]
Weight average molecular weight as a resin material is 5 × 10FiveUse of the polyolefin having the above polyethylene as an essential component is effective in improving the puncture strength. By using a liquid solvent and a solid solvent when preparing the melt-kneaded product, the average pore diameter can be increased without decreasing the puncture strength, and the porosity and air permeability can be improved. Further, the piercing strength is improved by biaxially stretching (primary stretching) the gel-like molded product obtained by extruding the melt-kneaded product from a die and cooling it. Then, when removing the liquid solvent and the solid solvent, by using the cleaning solvent (A) having a surface tension at 25 ° C. of 24 mN / m or less, the network structure is formed by the surface tension of the cleaning solvent in the cleaning process and / or the drying process. Since shrinkage and densification can be suppressed, porosity and air permeability are improved. In addition, by re-stretching (secondary stretching) the stretched product after washing at a temperature higher than the crystal dispersion temperature of the polyolefin and lower than the melting point (secondary stretching), the pore diameter can be increased and uniform stretching is performed, so that the porosity and permeability are improved. Furthermore, by subsequently performing heat treatment at a temperature higher than the crystal dispersion temperature and lower than the melting point, the dimensional stability is improved without impairing the porosity and air permeability. As a result, a polyolefin microporous membrane having excellent porosity, air permeability, mechanical strength and dimensional stability and having an appropriate pore size can be obtained. In the second method, porosity, air permeability and dimensional stability are obtained by laminating a film that has not been re-stretched (microporous film (A)) and a re-stretched film (microporous film (B)). It is possible to balance sex.
[0017]
The primary stretching is preferably simultaneous biaxial stretching, and the stretching ratio is preferably at least 3 times in any direction, and the surface magnification is preferably 20 times or more. The primary stretching temperature is preferably the melting point of the polyolefin plus 10 ° C. or less, and more preferably within the range from the crystal dispersion temperature to less than the crystal melting point. On the other hand, the stretching temperature range of secondary stretching is preferably 90 to 130 ° C, more preferably 110 to 125 ° C. By performing the secondary stretching at 125 ° C. or less, the effect of expanding the pore diameter is increased. Moreover, the preferable temperature range of heat processing is 110-130 degreeC. The heat treatment may be either heat setting or heat relaxation. It is preferable to further perform heat relaxation treatment (heat shrinkage treatment) before and / or after the heat treatment. Thereby, the heat shrinkage rate can be further improved.
[0018]
In order for the polyolefin microporous membrane to obtain more excellent characteristics, the polyolefin preferably satisfies the following conditions (1) to (7).
(1) Weight average molecular weight contained in the above polyolefin 5 × 10FiveThe above polyethylene is ultra high molecular weight polyethylene.
(2) The ultra high molecular weight polyethylene described in (1) above has a weight average molecular weight of 1 × 106~ 15 × 106It is.
(3) The weight average molecular weight of the ultrahigh molecular weight polyethylene described in (1) or (2) above is 1 × 106~ 5 × 106It is.
(4) The polyolefin has a weight average molecular weight of 5 × 10FiveUltra high molecular weight polyethylene and weight average molecular weight 1 × 10Four~ 5 × 10FiveComposition with less than polyethylene.
(5) Weight average molecular weight in the polyethylene composition as described in (4) above is 1 × 10Four~ 5 × 10FiveThe lower polyethylene is at least one selected from the group consisting of high density polyethylene, medium density polyethylene, low density polyethylene and linear low density polyethylene.
(6) The polyolefin composition according to (4) or (5) above has a weight average molecular weight of 5 × 10.FiveUltra high molecular weight polyethylene and weight average molecular weight 1 × 10Four~ 5 × 10FiveLess than high density polyethylene.
(7) Mw / Mn of the polyethylene composition according to any one of (4) to (6) is 5 to 300.
[0019]
The removal of the liquid solvent and the solid solvent is preferably carried out by two or more cleaning steps using a cleaning solvent. At this time, at least the cleaning solvent having a surface tension of 24 mN / m or less at 25 ° C. in the final cleaning step ( A) is preferably used. This improves the cleaning effect and improves the porosity, air permeability and dimensional stability of the polyolefin microporous membrane. The washing solvent (A) is preferably used within a temperature range in which the surface tension is 24 mN / m or less.
[0020]
The washing solvent (A) preferably satisfies the following conditions (8) to (14) in order for the polyolefin microporous membrane to obtain more excellent characteristics.
(8) The surface tension becomes 20 mN / m or less at 25 ° C.
(9) Hydrofluorocarbon, hydrofluoroether, cyclic hydrofluorocarbon, perfluorocarbon, perfluoroether, normal paraffin having 5 to 10 carbon atoms, isoparaffin having 6 to 10 carbon atoms, aliphatic ether having 6 or less carbon atoms, cyclopentane, etc. Cycloparaffin, 2-pentanone, methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, tertiary butanol, isobutanol, 2-pentanol, propyl acetate, tertiary butyl acetate, secondary butyl acetate, ethyl acetate, isopropyl acetate, It is at least one selected from the group consisting of isobutyl acetate, methyl formate, ethyl formate, isopropyl formate, isobutyl formate and ethyl propionate.
(10) CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula: CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula: CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by the composition formula: C6F14And C7F16Perfluorocarbon represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveAt least one fluorine-based compound selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula:
(11) At least one normal paraffin selected from the group consisting of normal pentane, normal hexane, normal heptane, normal octane, normal nonane and normal decane.
(12) 2-methylpentane, 3-methylpentane, 2,2-dibutylbutane, 2,3-dibutylbutane, 2-methylhexane, 3-methylhexane, 3-ethylpentane, 2,2-dimethylpentane, 2 , 3-dimethylpentane, 2,4-dimethylpentane, 3,3-dimethylpentane, 2,2,3-trimethylbutane, 2-methylheptane, 3-methylheptane, 2,2-dimethylhexane, 2,3- Dimethylhexane, 2,5-dimethylhexane, 3,4-dimethylhexane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,4-trimethylpentane, 2,3,3-trimethylpentane, 2,3,4- At least one isoparaffin selected from the group consisting of trimethylpentane, 2-methyloctane, 2,2,5-trimethylhexane, 2,3,5-trimethylhexane, 2-methylnonane and 2,3,5-trimethylheptane is there.
(13) At least one ether selected from the group consisting of diethyl ether, butyl ethyl ether, dipropyl ether and diisopropyl ether.
(14) At least one selected from the group consisting of a mixture of an aliphatic alcohol having 3 or less carbon atoms and water blended so that the surface tension at 25 ° C. is 24 mN / m or less.
[0021]
The washing is preferably carried out by two or more washing steps. In that case, a stage using a washing solvent (washing solvent (B)) other than the washing solvent (A) may be included. At this time, it is preferable to use the washing solvent (A) in the final washing step. As the cleaning solvent (B), it is preferable to use at least one selected from the group consisting of a readily volatile solvent and a non-aqueous solvent having a boiling point of 100 ° C. or higher and a flash point of 0 ° C. or higher.
[0022]
The washing solvent (B) preferably satisfies the following conditions (15) to (27) in order for the polyolefin microporous membrane to obtain more excellent characteristics.
(15) At least one selected from the group consisting of methylene chloride, carbon tetrachloride, ethane trifluoride, methyl ethyl ketone, pentane, hexane, heptane, diethyl ether and dioxane.
(16) Normal paraffins having 8 or more carbon atoms, normal paraffins having 5 or more carbon atoms in which at least some of the hydrogen atoms are substituted with halogen atoms, isoparaffins having 8 or more carbon atoms, cycloparaffins having 7 or more carbon atoms, hydrogen atoms A cycloparaffin having 5 or more carbon atoms, at least a part of which is substituted with a halogen atom, an aromatic hydrocarbon having a carbon number of 7 or more, an aromatic hydrocarbon having 6 or more carbon atoms in which at least a part of hydrogen atoms are substituted with a halogen atom An alcohol having 5 to 10 carbon atoms in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom, an ester and an ether having 7 to 14 carbon atoms in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom, and It is at least one selected from the group consisting of ketones having 5 to 10 carbon atoms.
(17) The normal paraffin having 8 or more carbon atoms has 8 to 12 carbon atoms, more preferably at least one selected from the group consisting of normal octane, normal nonane, normal decane, normal undecane, and normal dodecane. is there.
(18) The normal paraffin having 5 or more carbon atoms in which at least some of the hydrogen atoms are substituted with halogen atoms is 1-chloropentane, 1-chlorohexane, 1-chloroheptane, 1-chlorooctane, 1-bromopentane. 1-bromohexane, 1-bromoheptane, 1-bromooctane, 1,5-dichloropentane, 1,6-dichlorohexane and 1,7-dichloroheptane.
(19) The isoparaffin having 8 or more carbon atoms is 2,3,4-trimethylpentane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,5-trimethylhexane, 2,3,5-trimethylhexane, 2, It is at least one selected from the group consisting of 3,5-trimethylheptane and 2,5,6-trimethyloctane.
(20) The cycloparaffin having 7 or more carbon atoms is cycloheptane, cyclooctane, methylcyclohexane, cis- and trans-1,2-dimethylcyclohexane, cis- and trans-1,3-dimethylcyclohexane and cis- and trans. And at least one selected from the group consisting of -1,4-dimethylcyclohexane.
(21) The cycloparaffin having 5 or more carbon atoms in which a part of the hydrogen atoms is substituted with a halogen atom is at least one selected from the group consisting of chlorocyclopentane and chlorocyclohexane.
(22) The aromatic hydrocarbon having 7 or more carbon atoms is at least one selected from the group consisting of toluene, orthoxylene, metaxylene and paraxylene.
(23) An aromatic hydrocarbon having 6 or more carbon atoms in which a part of the hydrogen atoms is substituted with a halogen atom is chlorobenzene, 2-chlorotoluene, 3-chlorotoluene, 4-chlorotoluene, 3-chloroorthoxylene, It is at least one selected from the group consisting of 4-chloroorthoxylene, 2-chlorometaxylene, 4-chlorometaxylene, 5-chlorometaxylene, and 2-chloroparaxylene.
(24) Alcohols having 5 to 10 carbon atoms in which a part of the hydrogen atoms may be substituted with halogen atoms are isopentyl alcohol, tertiary pentyl alcohol, cyclopentanol, cyclohexanol, 3-methoxy-1- It is at least one selected from the group consisting of butanol, 3-methoxy-3-methyl-1-butanol, propylene glycol normal butyl ether and 5-chloro-1-pentanol.
(25) Esters having 7 to 14 carbon atoms in which part of the hydrogen atoms may be substituted with halogen atoms are diethyl carbonate, diethyl maleate, normal propyl acetate, normal butyl acetate, isopentyl acetate, 3-methoxy acetate It is at least one selected from the group consisting of butyl, 3-methoxy-3-methylbutyl acetate, ethyl normal butyrate, ethyl normal valerate, and 2-chloroethyl acetate.
(26) The C 7-14 ether in which part of the hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom is at least one selected from the group consisting of normal butyl ether, diisobutyl ether and bischloroethyl ether.
(27) The ketone having 5 to 10 carbon atoms is at least one selected from the group consisting of 2-pentanone, 3-pentanone, 2-hexanone, 3-hexanone, cyclopentanone and cyclohexanone.
[0023]
In washing, the washing solvent (A) alone or the washing solvent (A) and the washing solvent (B) may be used for multi-stage treatment of three or more stages, and in this case, the washing process is carried out in three to five stages. preferable.
[0024]
For example, C as an optional component (C) in the washing solvent (B)FiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula of, for example, CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula of, for example, CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by a composition formula of, for example, C6F14And C7F16Perfluorocarbons represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveA mixture of at least one solvent selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula:
[0025]
The physical properties of the polyolefin microporous membrane produced by the production method of the present invention are generally such that the average pore diameter is 0.1 to 2.0 μm, the porosity is 50 to 95%, and the machine direction after exposure at 105 ° C. for 8 hours ( MD) and transverse direction (TD) thermal contraction rate is 5% or less, and puncture strength is 5880 mN / 25 μm or more, preferably 6860 mN / 25 μm or more, more preferably 9800 mN / 25 μm or more. The air permeability in terms of a film thickness of 20 μm satisfies the characteristics of 20 seconds / 100 cc to 300 seconds / 100 cc. The average curvature is not limited, but is preferably 1.7 to 2.4, more preferably 1.7 to 2.2.
[0026]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[1] polyolefin
The polyolefin used for producing the polyolefin microporous membrane of the present invention has a weight average molecular weight of 5 × 10 5.FiveThe above polyethylene is an essential component. Such polyethylene includes ultra-high molecular weight polyethylene, and its weight average molecular weight is 1 × 10.6~ 15 × 106Preferably 1 × 106~ 5 × 106It is more preferable that
[0027]
The polyethylene used has a weight average molecular weight of 5 × 10FiveAs long as it contains the above polyethylene, the composition which contains other polyolefin as an arbitrary component may be sufficient. Such other polyolefins include a weight average molecular weight of 1 × 10Four~ 5 × 10FiveLess than polyethylene, 1x10Four~ 4 × 106Polypropylene, weight average molecular weight 1 × 10Four~ 4 × 106Polybutene-1, weight average molecular weight 1 × 10Three~ 1 × 10FourLess polyethylene wax, and weight average molecular weight 1 × 10Four~ 4 × 106At least one selected from the group consisting of ethylene / α-olefin copolymers can be used. The amount of other polyolefin added is 80 parts by weight or less based on 100 parts by weight of the entire polyolefin composition.
[0028]
When using a polyolefin composition, especially ultra-high molecular weight polyethylene and weight average molecular weight 1 × 10Four~ 5 × 10FiveIt is preferable to use a composition composed of less than polyethylene because the molecular weight distribution (Mw / Mn) can be easily controlled depending on the application. Mw / Mn of the polyolefin composition is not limited, but is preferably 5 to 300, more preferably 5 to 100. Weight average molecular weight is 1 × 10Four~ 5 × 10FiveAs the polyethylene below, any of high density polyethylene, medium density polyethylene or low density polyethylene can be used, and not only ethylene homopolymer but also other α- such as propylene, butene-1, hexene-1 and the like. It may be a copolymer containing a small amount of olefin. Polyolefin compositions include, but are not limited to, a weight average molecular weight of 5 × 10FiveUltra high molecular weight polyethylene above and weight average molecular weight 1 × 10Four~ 5 × 10FiveA composition comprising less than high density polyethylene is preferred.
[0029]
[2] Method for producing polyolefin microporous membrane
The method for producing a microporous polyolefin membrane of the present invention includes (a) a step of adding a liquid solvent and a solid solvent to the polyolefin and melt-kneading to prepare a polyolefin solution, and (b) extruding the polyolefin solution from a die and cooling it. A step of forming a gel-like molded product, (c) a biaxial stretching step, a step of removing a liquid solvent and a solid solvent, (d) a step of drying the obtained film, (e) a re-stretching step, a lamination step And a step of performing a heat treatment. Further, after the steps (a) to (e), (f) a crosslinking treatment by ionizing radiation, (g) a hydrophilization treatment, or the like may be performed as necessary. The method for producing a microporous polyolefin membrane of the present invention is divided into first to third methods in the above step (e) depending on the difference in the treatment method for the membrane after drying.
[0030]
(a) Preparation process of polyolefin solution
First, an appropriate liquid solvent and solid solvent are added to polyolefin and melt-kneaded to prepare a polyolefin solution. Various additives such as an antioxidant, an ultraviolet absorber, an anti-blocking agent, a pigment, a dye, and an inorganic filler can be added to the polyolefin solution as necessary as long as the object of the present invention is not impaired. For example, finely divided silicic acid can be added as a pore forming agent.
[0031]
As a solvent for preparing the polyolefin solution, it is essential to use both a liquid solvent which is liquid at room temperature and a solid solvent which is solid at room temperature but becomes miscible with polyolefin in a heated melt-kneaded state. As a result, the hole diameter can be increased without reducing the puncture strength, so that the porosity and air permeability are improved. Examples of the liquid solvent include aliphatic or cyclic hydrocarbons such as nonane, decane, decalin, paraxylene, undecane, dodecane, and liquid paraffin, and mineral oil fractions having boiling points corresponding to these. In order to obtain a gel-like molded product having a stable solvent content, it is preferable to use a non-volatile liquid solvent such as liquid paraffin. As the solid solvent, dicyclohexyl phthalate (DCHP), paraffin wax, stearyl alcohol, seryl alcohol, or the like can be used. Among these, from the viewpoint of ease of handling, it is preferable to use dicyclohexyl phthalate (DCHP). However, if only the liquid solvent is used as the solvent, the average pore size is not sufficiently improved, and if only the solid solvent is used, removal / recovery of the solvent becomes difficult and, therefore, the solvent cannot be sufficiently recycled. The mixing ratio of the liquid solvent and the solid solvent is preferably liquid solvent: solid solvent = 1: 99 to 99: 1 by weight, and more preferably 5:95 to 95: 5.
[0032]
The viscosity of the liquid solvent is preferably 30 to 500 cSt at 25 ° C., more preferably 50 to 200 cSt. The melting point of the solid solvent is preferably 30 to 110 ° C, more preferably 40 to 90 ° C.
[0033]
The method of melt kneading is not particularly limited, but it is usually carried out by uniformly kneading in an extruder. This method is suitable for preparing highly concentrated solutions of polyolefins. Since the melting temperature is preferably from the melting point of polyolefin + 10 ° C. to + 100 ° C., it is preferably 160 to 230 ° C., more preferably 170 to 200 ° C. Here, the melting point refers to a value obtained by differential scanning calorimetry (DSC) based on JIS K7121. Each of the liquid solvent and the solid solvent may be added before the start of kneading, or may be added from the middle of the extruder during kneading, but it is preferable to add the solution before starting the kneading and to make a solution in advance. In melt kneading, an antioxidant is preferably added to prevent oxidation of the polyolefin.
[0034]
In the polyolefin solution, the blending ratio of the polyolefin and the solvent (liquid solvent + solid solvent) is 1 to 50% by weight of polyolefin, preferably 20 to 40% by weight, with the total of both as 100% by weight. When the polyolefin is less than 1% by weight, swell and neck-in are increased at the die outlet when forming a gel-like molded product, and the moldability and self-supporting property of the gel-like molded product are lowered. On the other hand, if it exceeds 50% by weight, the moldability of the gel-like molded product is lowered.
[0035]
(b) Formation process of gel-like molding
The melt-kneaded polyolefin solution is directly or through another extruder, or once cooled and pelletized, and then extruded from the die lip through the extruder again. As the die lip, a sheet die lip having a rectangular base shape is usually used, but a double cylindrical hollow die lip, an inflation die lip, or the like can also be used. In the case of a sheet die lip, the gap of the die lip is usually 0.1 to 5 mm, and it is heated to 140 to 250 ° C. during extrusion. The extrusion rate of the heated solution is preferably 0.2 to 15 m / min.
[0036]
A gel-like molded product is formed by cooling the solution extruded from the die lip in this manner. Cooling is preferably carried out at a rate of 50 ° C./min or more at least up to the gelation temperature or less, and is preferably cooled to 25 ° C. or less. In this way, it is possible to fix the phase separation structure in which the polyolefin phase is microphase-separated by the solvent (liquid solvent + solid solvent). In general, when the cooling rate is low, the higher order structure of the gel-like molded product becomes coarse, and the pseudo cell unit forming it becomes large, but when the cooling rate is high, it becomes a dense cell unit. When the cooling rate is less than 50 ° C./min, the degree of crystallinity increases and it is difficult to obtain a gel-like product suitable for stretching. As a cooling method, a method of directly contacting cold air, cooling water, or other cooling medium, a method of contacting a roll cooled by a refrigerant, or the like can be used.
[0037]
(c) Biaxial stretching process and solvent removal process
The gel-like molded product obtained by cooling the extruded solution is biaxially stretched (primary stretching). By performing biaxial stretching, the effect of improving puncture strength by stretching is enhanced. The biaxial stretching method is performed at a predetermined magnification by heating a gel-like molded product and then using a normal tenter method, roll method, inflation method, rolling method, or a combination of these methods. Biaxial stretching may be either longitudinal or transverse simultaneous stretching or sequential stretching, but simultaneous biaxial stretching is particularly preferred.
[0038]
The stretching temperature for primary stretching is preferably in the range of crystal dispersion temperature to crystal melting point of the raw material polyolefin. For example, the crystal dispersion temperature of polyethylene is generally 90 ° C. When the stretching temperature exceeds the melting point, it is difficult to orient the molecular chains by stretching, and when the stretching temperature is less than the crystal dispersion temperature, the resin is not sufficiently softened, the film is easily broken during stretching, and stretching at a high magnification cannot be performed. The stretching temperature is more preferably from 100 to 130 ° C, particularly preferably from 110 to 125 ° C. Here, the crystal dispersion temperature refers to a value obtained by measuring temperature characteristics of dynamic viscoelasticity based on ASTM D 4065.
[0039]
Although the draw ratio of primary stretching varies depending on the thickness of the gel-like molded product, it is preferable to make it at least 3 times or more in any direction. The surface magnification is preferably 10 times or more, more preferably 20 times or more, and particularly preferably 20 to 400 times. If the surface magnification is less than 10 times, the stretching is insufficient and the puncture strength is not improved. On the other hand, when the surface magnification exceeds 400 times, there are restrictions in terms of stretching apparatus, stretching operation, and the like.
[0040]
Before the primary stretching, a step of stretching at a temperature lower than the crystal dispersion temperature of the raw material polyolefin may be added. The pore diameter expansion effect is improved by performing stretching at a temperature below the crystal dispersion temperature in advance. This arbitrary stretching may be uniaxial stretching or biaxial stretching. In the case of biaxial stretching, either longitudinal and transverse simultaneous stretching or sequential stretching may be used. As the stretching method, any of a tenter method, a roll method, a rolling method, or a combination thereof can be used. The lower limit of the arbitrary stretching temperature is not particularly limited, but it is preferable because it is easy to carry out at −20 ° C. or higher. A more preferable range of the stretching temperature is 0 ° C. or higher and lower than 90 ° C., and a particularly preferable range is 20 ° C. or higher and lower than 90 ° C. If this arbitrary stretching is performed at a temperature equal to or higher than the crystal dispersion temperature, the effect of expanding the pore diameter is reduced. The arbitrary stretching ratio varies depending on the thickness of the original fabric, but is at least 1 to 9 times, preferably 1 to 5 times in at least one uniaxial direction. When the draw ratio exceeds 9, it is not preferable because film breakage is likely to occur.
[0041]
In order to enhance the effect of improving the puncture strength by primary stretching, biaxial stretching can be performed by providing a temperature distribution in the film thickness direction of the gel-like molded product (gel-like sheet) during the primary stretching. For this, the method described in JP-A-7-188440 is preferably employed. That is, by preheating the gel sheet in advance and introducing it into a stretching tank at a temperature lower or higher than the preheating temperature, the gel sheet is quickly stretched with a temperature difference between both surfaces and the inside of the film, or the film By heating only one side of the film, a temperature distribution is provided between the other side of the film and the film is quickly stretched. As a specific example, {circle around (1)} a gel-like sheet is preheated to a relatively low temperature (preferably a melting point of polyolefin—40 ° C. to a melting point of polyolefin—10 ° C., more preferably a melting point of polyolefin—30 ° C.—a melting point of polyolefin—10 And the surface is heated to a relatively high temperature (preferably polyolefin melting point −20 ° C. to polyolefin melting point + 10 ° C., more preferably polyolefin melting point −15 ° C. to polyolefin melting point + 10 ° C.). (2) A gel sheet is preheated to a relatively high temperature (preferably a melting point of polyolefin—20 ° C. to a melting point of polyolefin + 10 ° C., more preferably a melting point of polyolefin—15 ° C.—melting point of polyolefin + 10 ℃) and after heating to a uniform temperature, relatively low temperature (preferably the melting point of polyolefin -40 ℃ ~ A method of cooling and stretching the surface to a melting point of reolefin of −10 ° C., more preferably a melting point of polyolefin of −30 ° C. to a melting point of polyolefin of −10 ° C., and (3) preheating the gel sheet and then the gel sheet A method of stretching while heating with either heated air (preferably the melting point of polyolefin—20 ° C. to the melting point of polyolefin + 10 ° C., more preferably the melting point of polyolefin—15 ° C. to the melting point of polyolefin + 10 ° C.) (preheating) When the temperature is higher than the temperature of the heated air, the temperature of the heated air is preferably the melting point of the polyolefin −40 ° C. to the melting point of the polyolefin −10 ° C., more preferably the melting point of the polyolefin −30 ° C. to the melting point of the polyolefin −10 ° C. If the preheating temperature is lower than the heating air temperature, the heating air temperature is preferably polyolefin. Melting point +10 ° C. of emissions of melting point -20 ° C. ~ polyolefin, more preferably be mentioned to.) Such as the melting point +10 ° C. of melting point -15 ° C. ~ polyolefin polyethylene.
[0042]
The liquid solvent and the solid solvent are removed (washed) from the film obtained by the primary stretching. Since the polyolefin phase is microphase-separated by a solvent (liquid solvent + solid solvent), a porous film can be obtained by removing both solvents. To remove both solvents, a cleaning solvent (A) having a surface tension at 25 ° C. of 24 mN / m or less, preferably 20 mN / m or less is used. The washing solvent (A) is preferably incompatible with polyolefin. By using such a washing solvent (A), it is possible to suppress the densification and densification of the network structure caused by the surface tension of the gas-liquid interface that occurs inside the micropores during drying after washing. As a result, the porosity and air permeability of the microporous membrane can be improved. When treated with a cleaning solvent having a surface tension at 25 ° C. exceeding 24 mN / m, the network structure of the microporous membrane shrinks and becomes dense, and the air permeability exceeds 1000 seconds / 100 cc. The surface tension of the cleaning solvent can be lowered as the use temperature is raised, but the usable temperature range is limited to the boiling point or less. In the present specification, “surface tension” means the tension generated at the interface between gas and liquid, and is measured based on JIS K 3362.
[0043]
As the cleaning solvent (A), fluorine compounds such as hydrofluorocarbon, hydrofluoroether, cyclic hydrofluorocarbon, perfluorocarbon, perfluoroether, normal paraffin having 5 to 10 carbon atoms, isoparaffin having 6 to 10 carbon atoms, and 6 carbon atoms. The following aliphatic ethers, cycloparaffins such as cyclopentane, aliphatic ketones such as 2-pentanone, aliphatic alcohols such as methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, tertiary butanol, isobutanol and 2-pentanol , Propyl acetate, tertiary butyl acetate, secondary butyl acetate, ethyl acetate, isopropyl acetate, isobutyl acetate, methyl formate, ethyl formate, isopropyl formate, isobutyl formate, aliphatic propionate, etc. be able to.
[0044]
Fluorine compounds include CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula: CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula: CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by the composition formula: C6F14And C7F16Perfluorocarbon represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveAt least one selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula: Since these fluorine-based compounds have a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C., the effect of suppressing the shrinkage and densification of the network due to the surface tension is high. Moreover, since the boiling point is 100 ° C. or less, drying is easy. Furthermore, because it is not ozone destructive, it can reduce the environmental load, and its flash point is 40 ° C or higher (some compounds do not have a flash point), so the risk of flammable explosion during the drying process is low.
[0045]
As the normal paraffin having 5 to 10 carbon atoms, normal pentane, normal hexane, normal heptane, normal octane, normal nonane and normal decane are preferable. These have a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C. Of these, normal pentane, normal hexane, and normal heptane, which have a boiling point of 100 ° C. or less and are easily dried, are more preferable.
[0046]
The isoparaffin having 6 to 10 carbon atoms is 2-methylpentane, 3-methylpentane, 2,2-dibutylbutane, 2,3-dibutylbutane, 2-methylhexane, 3-methylhexane, 3-ethylpentane, 2, 2-dimethylpentane, 2,3-dimethylpentane, 2,4-dimethylpentane, 3,3-dimethylpentane, 2,2,3-trimethylbutane, 2-methylheptane, 3-methylheptane, 2,2-dimethyl Hexane, 2,3-dimethylhexane, 2,5-dimethylhexane, 3,4-dimethylhexane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,4-trimethylpentane, 2,3,3-trimethylpentane, 2,3,4-trimethylpentane, 2-methyloctane, 2,2,5-trimethylhexane, 2,3,5-trimethylhexane, 2-methylnonane and 2,3,5-trimethylheptane are preferred. Of these, 2-methylpentane, 3-methylpentane, 2,2-dibutylbutane, 2,3-dibutylbutane, 2 having a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C. and a boiling point of 100 ° C. or less, 2 -Methylhexane, 3-methylhexane, 3-ethylpentane, 2,2-dimethylpentane, 2,3-dimethylpentane, 2,4-dimethylpentane and 3,3-dimethylpentane are more preferred.
[0047]
Preferred ethers having 6 or less carbon atoms are diethyl ether, butyl ethyl ether, dipropyl ether and diisopropyl ether. These have a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C. and a boiling point of 100 ° C. or less.
[0048]
Cyclopentane, methanol, ethanol, 1-propanol and 2-propanol are preferred because their surface tension is 24 mN / m or less at 20 ° C. and their boiling point is 100 ° C. or less.
[0049]
Among the aliphatic esters, tertiary butyl acetate, secondary butyl acetate, isopropyl acetate, isobutyl acetate, ethyl formate, isopropyl formate and isobutyl formate having a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C. are preferable. Further, although the boiling point is 100 ° C. or less, tertiary butyl acetate, ethyl formate and isopropyl formate are more preferable.
[0050]
As the cleaning solvent (A), a mixture of an aliphatic alcohol having 3 or less carbon atoms and water blended so that the surface tension at 25 ° C. is 24 mN / m or less can also be used.
[0051]
The above-mentioned washing solvent (A) can be used as a mixture with other solvents. In this case, the mixing ratio is such that the surface tension is 24 mN / m or less at 25 ° C. For example CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula of, for example, CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula of, for example, CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by a composition formula of, for example, C6F14And C7F16Perfluorocarbons represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveIt is possible to use a mixture of at least one solvent selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula: and a hydrocarbon-based solvent such as paraffin.
[0052]
Washing is preferably performed in two or more washing steps, and a step of using a washing solvent (washing solvent (B)) other than the washing solvent (A) may be included. In this case, the washing solvent (A) may be used in at least one stage. As the washing solvent (B), those having no compatibility with polyolefin are preferable.For example, known washing solvents such as pentane, hexane and heptane, chlorinated hydrocarbons such as methylene chloride and carbon tetrachloride, Fluorinated hydrocarbons such as fluorinated ethane, ethers such as diethyl ether and dioxane, and easily volatile solvents such as methyl ethyl ketone can be used. A non-aqueous solvent having a boiling point of 100 ° C. or higher and a flash point of 0 ° C. or higher can also be used. The washing solvent (B) as described above is appropriately selected according to the liquid solvent and solid solvent used for dissolving the polyolefin composition, and used alone or in combination.
[0053]
By such two or more cleaning steps, sufficient cleaning can be performed while suppressing the shrinkage and densification of the network caused by the surface tension of the cleaning solvent. Preferably, it is treated with the washing solvent (A) at least in the final washing step. Thus, when the washing solvent (B) is used, the washing solvent (B) can be removed (hereinafter referred to as “rinsing treatment”), and the shrinkage and densification of the network structure that occurs during drying after washing can be prevented. As a result, the porosity and air permeability of the polyolefin microporous membrane are improved.
[0054]
When treating with the washing solvent (A) in the final washing step, the efficiency of the drying step is improved by treating with the washing solvent (A) having a boiling point of 100 ° C. or less. Furthermore, the above CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula: CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula: CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by the composition formula: C6F14And C7F16Perfluorocarbon represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveWhen a fluorine-based compound such as perfluoroether represented by the composition formula is used, there is also an effect that the environmental load in the production process can be further reduced as described above. In particular, when a solvent having a boiling point of 150 ° C. or higher is used as the cleaning solvent (B), simply drying with hot air takes time to dry, which may lower the porosity and air permeability in the subsequent heat treatment. However, the problem can be solved by using a cleaning solvent (A) having a boiling point of 100 ° C. or lower.
[0055]
Non-aqueous solvents that have a boiling point of 100 ° C or higher and a flash point of 0 ° C or higher that can be used as a cleaning solvent (B) are difficult to volatile, have a low environmental impact, and have a low risk of flammable explosion in the drying process. Top safe. Moreover, since it has a high boiling point, it is easy to condense, recover easily, and is easy to recycle. In the present specification, “boiling point” means 1.01 × 10FiveIt refers to the boiling point at Pa, and “flash point” refers to the value measured based on JIS K 2265.
[0056]
Examples of the non-aqueous solvent include paraffinic compounds having a boiling point of 100 ° C. or higher and a flash point of 0 ° C. or higher, aromatics, alcohols, esters, ethers, ketones, and the like. The flash point is preferably 5 ° C. or higher, more preferably 40 ° C. or higher. However, making the non-aqueous solvent into an aqueous solution is not preferable because the liquid solvent and the solid solvent cannot be sufficiently removed.
[0057]
Examples of the non-aqueous solvent include normal paraffins having 8 or more carbon atoms, normal paraffins having 5 or more carbon atoms in which at least a part of hydrogen atoms are substituted with halogen atoms, isoparaffins having 8 or more carbon atoms, cycloparaffins having 7 or more carbon atoms, Cycloparaffins having 5 or more carbon atoms in which at least some of the hydrogen atoms are substituted with halogen atoms, aromatic hydrocarbons having 7 or more carbon atoms, and aromatics having 6 or more carbon atoms in which at least some of the hydrogen atoms are substituted with halogen atoms Group hydrocarbons, alcohols having 5 to 10 carbon atoms in which some of the hydrogen atoms may be substituted with halogen atoms, esters having 7 to 14 carbon atoms in which some of the hydrogen atoms may be substituted with halogen atoms, and At least one selected from the group consisting of ethers and ketones having 5 to 10 carbon atoms is preferred.
[0058]
As the normal paraffin having 8 or more carbon atoms, normal octane, normal nonane, normal decane, normal undecane and normal dodecane are preferable, and normal octane, normal nonane and normal decane are more preferable.
[0059]
Examples of the normal paraffin having 5 or more carbon atoms in which at least a part of hydrogen atoms are substituted with halogen atoms include 1-chloropentane, 1-chlorohexane, 1-chloroheptane, 1-chlorooctane, 1-bromopentane, 1- Preferred are bromohexane, 1-bromoheptane, 1-bromooctane, 1,5-dichloropentane, 1,6-dichlorohexane and 1,7-dichloroheptane, 1-chloropentane, 1-chlorohexane, 1-bromopentane And 1-bromohexane is more preferred.
[0060]
Isoparaffins having 8 or more carbon atoms include 2,3,4-trimethylpentane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,5-trimethylhexane, 2,3,5-trimethylhexane, 2,3,5- Trimethylheptane and 2,5,6-trimethyloctane are preferred, and 2,3,4-trimethylpentane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,5-trimethylhexane and 2,3,5-trimethylhexane are preferred. More preferred.
[0061]
Cycloparaffins having 7 or more carbon atoms include cycloheptane, cyclooctane, methylcyclohexane, cis- and trans-1,2-dimethylcyclohexane, cis- and trans-1,3-dimethylcyclohexane and cis- and trans-1, 4-Dimethylcyclohexane is preferred, and cyclohexane is more preferred.
[0062]
As the cycloparaffin having 5 or more carbon atoms in which at least a part of hydrogen atoms are substituted with halogen atoms, chlorocyclopentane and chlorocyclohexane are preferable, and chlorocyclopentane is more preferable.
[0063]
As the aromatic hydrocarbon having 7 or more carbon atoms, toluene, orthoxylene, metaxylene and paraxylene are preferable, and toluene is more preferable.
[0064]
As aromatic hydrocarbons having 6 or more carbon atoms in which at least a part of hydrogen atoms are substituted with halogen atoms, chlorobenzene, 2-chlorotoluene, 3-chlorotoluene, 4-chlorotoluene, 3-chloroorthoxylene, 4-chloro Ortho-xylene, 2-chlorometaxylene, 4-chlorometaxylene, 5-chlorometaxylene and 2-chloroparaxylene are preferred, and chlorobenzene, 2-chlorotoluene, 3-chlorotoluene and 4-chlorotoluene are more preferred.
[0065]
Examples of the alcohol having 5 to 10 carbon atoms in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom include isopentyl alcohol, tertiary pentyl alcohol, cyclopentanol, cyclohexanol, 3-methoxy-1-butanol, 3 -Methoxy-3-methyl-1-butanol, propylene glycol normal butyl ether and 5-chloro-1-pentanol are preferred, 3-methoxy-1-butanol, 3-methoxy-3-methyl-1-butanol, propylene glycol normal Butyl ether and 5-chloro-1-pentanol are more preferred.
[0066]
Examples of the ester having 7 to 14 carbon atoms in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom include diethyl carbonate, diethyl maleate, normal propyl acetate, normal butyl acetate, isopentyl acetate, 3-methoxybutyl acetate, acetic acid 3 -Methoxy-3-methylbutyl, ethyl normal butyrate, ethyl normal valerate and 2-chloroethyl acetate are preferred, isopentyl acetate, 3-methoxybutyl acetate, 3-methoxy-3-methylbutyl acetate, ethyl normal butyrate and 2-chloroethyl acetate are preferred. More preferred.
[0067]
As the C7-14 ether in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom, dipropylene glycol dimethyl ether, normal butyl ether, diisobutyl ether and bischloroethyl ether are preferred, and dipropylene glycol dimethyl ether and bischloroethyl are preferred. Ether is more preferred.
[0068]
As the ketone having 5 to 10 carbon atoms, 2-pentanone, 3-pentanone, 2-hexanone, 3-hexanone, cyclopentanone and cyclohexanone are preferable, and 2-pentanone and 3-pentanone are more preferable.
[0069]
The washing solvent (B) as described above may be used as a mixture, but as the washing solvent (B), the optional component (C), for example, the washing solvent (A) mentioned as CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula of, for example, CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula of, for example, CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by a composition formula of, for example, C6F14And C7F16Perfluorocarbons represented by the composition formula of, for example, CFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveA mixture of at least one solvent selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula (1) may be used. In this case, it is preferable that the cleaning solvent (B) and the optional component (C) are mixed at a rate at which the surface tension is 24 mN / m or less at any temperature of 20 to 80 ° C., specifically, the mixed solvent In 100 parts by weight, the optional component (C) is 2 to 98 parts by weight, preferably 5 to 50 parts by weight. By containing 2 to 98 parts by weight of the optional component (C), sufficient cleaning can be performed while suppressing shrinkage densification of the network caused by the surface tension of the cleaning solvent.
[0070]
It is preferable to use a cleaning solvent (B) whose surface tension is 24 mN / m or less at any temperature of 20 to 80 ° C. For example, normal pentane, hexane, heptane, trifluoroethane, diethyl ether, 2-methylpentane, 3-methylpentane, cyclohexane, cyclopentane, acetone, methyl ethyl ketone and the like.
[0071]
Here, preferred combinations of the washing solvent (B) used in the first stage of washing and the washing solvent (A) used in the second stage are shown. However, as will be described later, the cleaning using the cleaning solvent (A) and the cleaning solvent (B) can be performed in three or more stages. Therefore, these are not intended to be performed in two stages. For example, cleaning solvent (B) / cleaning solvent (A) = methylene chloride / CFourF9OCHThree, Methylene chloride / C6F14, Methylene chloride / C7F16, Methylene chloride / normal heptane, methylene chloride / normal hexane, methylene chloride / diethyl ether, ether / hydrofluoroether, ether / cyclic hydrofluorocarbon, ether / alcohol, mixture of ether / alcohol and water, normal paraffin / hydrofluoroether Normal paraffin / cyclic hydrofluorocarbon, normal paraffin / alcohol, normal paraffin / alcohol and water mixture, isoparaffin / hydrofluoroether, isoparaffin / cyclic hydrofluorocarbon, isoparaffin / alcohol, isoparaffin / alcohol and water mixture, cycloparaffin / Hydrofluoroether, cycloparaffin / cyclic hydrofluorocarbon, cyclopara Fin / alcohol, a mixture of cycloparaffins / alcohol and water, ketone / hydrofluoroethers, ketone / cyclic hydrofluorocarbon, a mixture of a ketone / alcohol, and ketones / alcohols and water. More preferably, washing solvent (B) / washing solvent (A) = methylene chloride / CFourF9OCHThree, Methylene chloride / C6F14, Methylene chloride / C7F16, Methylene chloride / normal heptane, methylene chloride / normal hexane, methylene chloride / diethyl ether, normal heptane / CFourF9OCFThree, And normal heptane / C6F14It is. By using such a combination, it is possible to improve the porosity and air permeability of the microporous membrane while effectively removing the liquid solvent and the solid solvent.
[0072]
Washing with the washing solvent (A) alone or with the washing solvent (A) and the washing solvent (B) may be carried out in three or more washing steps. The one-stage or two-stage treatment is effective when the liquid solvent and the solid solvent cannot be sufficiently removed and the physical properties of the resulting polyolefin microporous film are deteriorated. In this case, the cleaning solvent (A) may be used at least in the final cleaning step, and the number of times of cleaning is not particularly limited, but it is usually 3 to 5 steps, preferably 3 to 4 steps. In addition, even if each stage is treated with the same washing solvent, the manufacturing process is simply lengthened, so that the space for the polyolefin microporous membrane production facility is expanded and the efficiency of removing the liquid solvent and the solid solvent is reduced. Then, it is preferable to use different washing solvents. However, it is not limited to using different cleaning solvents. Thus, for example, in the case of a three-stage treatment, the same washing solvent can be used in the first stage and the second stage, and a different washing solvent from the first and second stages can be used in the third stage.
[0073]
The cleaning method includes a method of immersing and extracting in the cleaning solvent (A) and / or the cleaning solvent (B), a method of showering the cleaning solvent (A) and / or the cleaning solvent (B), or a method using a combination thereof. It can be carried out. The washing solvent (A) and the washing solvent (B) are preferably used in an amount of 300 to 30000 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the gel-like molded product. Further, when washing is performed by two or more steps using the washing solvent (A) and the washing solvent (B), the amount of the washing solvent (A) used is 100 parts by weight of the amount of the washing solvent (B) used. The amount is preferably 50 to 200 parts by weight. Washing with the washing solvent (A) alone or with the washing solvent (A) and the washing solvent (B) is preferably carried out until the remaining liquid solvent and / or solid solvent is less than 1% by weight based on the amount added.
[0074]
The washing temperature with the washing solvent (B) depends on the boiling point of the washing solvent (B). When the boiling point of the cleaning solvent (B) is 150 ° C. or lower, it can be cleaned at room temperature, and may be heated and cleaned as necessary, and it is generally preferable to wash at 20 to 80 ° C. When the boiling point of the cleaning solvent (B) is 150 ° C. or higher, the penetration into the membrane is poor at room temperature.
[0075]
The cleaning temperature and / or rinsing temperature with the cleaning solvent (A) depends on the surface tension of the cleaning solvent (A). Specifically, it is preferable to perform the cleaning and / or rinsing treatment at a temperature at which the surface tension of the cleaning solvent (A) is 24 mN / m or less. If the ambient temperature is less than the temperature at which the surface tension of the cleaning solvent (A) is 24 mN / m or less, the surface is heated to a temperature at which the surface tension is 24 mN / m or less as necessary. Since the surface tension of the cleaning solvent (A) is 24 mN / m or less at 25 ° C. at most, heating is not necessary in most cases, and cleaning and / or rinsing can be performed at normal room temperature. .
[0076]
(D) Membrane drying process
After stretching, the film obtained by removing the liquid solvent and the solid solvent can be dried by a heat drying method or an air drying method. Here, the membrane dried by these drying methods is referred to as a microporous membrane (A). The drying temperature is preferably a temperature not higher than the crystal dispersion temperature of the polyolefin, and particularly preferably a temperature lower by 5 ° C. or more than the crystal dispersion temperature.
[0077]
It is preferable that the content of the washing solvent (B) remaining in the polyolefin microporous membrane is 5% by weight or less by drying treatment (the weight of the dried film is 100% by weight), and 3% by weight or less. Is more preferable. When the drying is insufficient and a large amount of the cleaning solvent (B) remains in the film, it is not preferable because the porosity is lowered by the subsequent heat treatment and the air permeability is deteriorated.
[0078]
(e) Re-stretching process, lamination process and heat treatment process
The method for producing a microporous polyolefin membrane of the present invention is divided into first to third methods described below depending on the treatment method for the membrane after drying.
(e) -1. First method
In the first method, the microporous membrane (A) after drying is re-stretched (secondary stretching) at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the raw material polyolefin and lower than the melting point. This improves the porosity / permeability. This is presumably because the pore diameter can be expanded by redrawing at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature and lower than the melting point. Secondary stretching may be uniaxial stretching or biaxial stretching. In the case of biaxial stretching, either longitudinal and transverse simultaneous stretching or sequential stretching may be used. As the stretching method, any of a tenter method, a roll method, a rolling method, or a combination thereof can be used.
[0079]
The secondary stretching is performed at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the raw material polyolefin and lower than the melting point. A preferable range of the secondary stretching temperature is 90 to 135 ° C, and a more preferable range is 90 to 125 ° C. When secondary stretching is performed at a temperature higher than the melting point, improvement in porosity / air permeability cannot be expected. On the other hand, when the secondary stretching is performed at a temperature lower than the crystal dispersion temperature, the resin is not sufficiently softened. Therefore, the film cannot be uniformly thinned particularly when stretched at a high magnification, and in the worst case, the film may be broken.
[0080]
The draw ratio of the secondary stretching is at least 1 to 9 times, preferably 1 to 5 times in at least a uniaxial direction. When the draw ratio exceeds 9, it is not preferable because film breakage is likely to occur.
[0081]
The film obtained by the secondary stretching is further heat-treated at a temperature from the crystal dispersion temperature to the melting point. The heat treatment may be either heat setting or heat relaxation. The heat setting process is a process performed so that there is no dimensional change in both the MD and TD directions, and the heat relaxation process is a process of heat shrinking. If the heat treatment temperature is lower than the crystal dispersion temperature, the effect of improving the heat shrinkage rate is not sufficient, and if it is above the melting point, the air permeability deteriorates. A preferable temperature range for the heat treatment is 110 ° C. or more and less than 130 ° C. When the heat setting treatment is performed, it is performed by either a tenter method, a roll method or a rolling method. There is no restriction | limiting in particular in the heat setting processing time, Usually, 1 second-60 minutes, Preferably it carries out in 10 seconds-30 minutes. When the thermal relaxation treatment is performed, it may be performed by a fixing method such as a tenter method, a roll method, or a rolling method, or may be performed by a free method using a belt conveyor method, a mesh drum (rotating drum) method, a floating method, or the like. The free system is preferable from the viewpoint of uniform physical properties in the width direction and lengthening the winding length. The thermal relaxation treatment is preferably performed so as to maintain 80% or more of the length immediately before relaxation in both the MD and TD directions, and may be relaxed in both directions or only in one direction. The heat relaxation treatment time is not particularly limited, and is usually 1 second to 60 minutes, preferably 3 seconds to 30 minutes. Here, after the microporous film (A) is secondarily stretched, the heat-treated film is referred to as a microporous film (B).
[0082]
It is preferable to further perform a thermal relaxation treatment before and / or after the heat treatment. Thereby, the heat shrinkage rate can be further improved. This arbitrary thermal relaxation treatment can be performed by the same method as the thermal relaxation treatment described above. The arbitrary heat relaxation treatment may be performed at a temperature ranging from the crystal dispersion temperature of the polyolefin to less than the melting point, but is preferably performed in a temperature range of 90 to 135 ° C. The optional thermal relaxation treatment is preferably performed so as to maintain 80% or more of the length immediately before relaxation in both the MD and TD directions, and may be relaxed in both directions or only in one direction.
[0083]
(e) -2. Second method
In the second method, the above-mentioned microporous film (A) and microporous film (B) are joined to form a laminated film (AB). Since the microporous membrane (A) is not secondarily stretched, the thermal shrinkage rate is smaller than that of the microporous membrane (B), while the microporous membrane (B) is excellent in puncture strength and air permeability. By joining A) and the microporous membrane (B), the above three physical properties can be balanced. The microporous membrane (B) is preferably subjected to the above-described arbitrary thermal relaxation treatment before and / or after the heat treatment.
[0084]
Lamination of the microporous membrane (A) and the microporous membrane (B) is usually performed by thermally bonding the two. Thermal bonding can be performed by a known method, and may be an external heating method such as heat sealing or impulse sealing, or an internal heating method such as ultrasonic bonding or high-frequency bonding. Usually, heat sealing is performed. For this, a heat sealer provided with a heat roll, a heating plate, an embossing roll, or the like is used, or a band sealer is used. Thermal bonding is performed at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature and lower than the melting point.
[0085]
There is no limitation on the number of stages of the laminated structure, and for example, it may be a two-stage lamination such as A / B, or a three-stage lamination such as B / A / B. However, in the case of a laminated structure of three or more stages, it is preferable to form both surface layers with a microporous film (B) because the porosity and air permeability of the laminated microporous film are improved.
[0086]
(e) -3. Third method
In the third method, at least two of the above-mentioned microporous films (A) are laminated by bonding, and the obtained laminated film (A) is secondarily stretched and then heat-treated. By laminating at least two microporous membranes (A), it is possible to prevent the membrane from becoming non-uniform or breaking when it is stretched at a high magnification in the secondary stretching. For example, when the thickness of the primary stretched original fabric is generally 10 μm or less, there is a possibility that it cannot be uniformly stretched in the secondary stretch, and in the primary stretch, the film is stretched at a high magnification exceeding 400 times the surface magnification. In some cases, if the film is further subjected to secondary stretching, the film may be broken in the worst case.
[0087]
Lamination may be performed by thermal bonding using a heat sealer or the like, as in the second method. Thermal bonding is performed at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature and lower than the melting point. The secondary stretching may be uniaxial stretching or biaxial stretching as in the case of the first method. In the case of biaxial stretching, either longitudinal and transverse simultaneous stretching or sequential stretching may be used. As the stretching method, any of a tenter method, a roll method, a rolling method, or a combination thereof can be used.
[0088]
The secondary stretching is performed at a temperature higher than the crystal dispersion temperature of polyethylene and lower than the melting point. This improves the porosity / permeability as described above. A preferable range of the secondary stretching temperature is 90 to 135 ° C, and a more preferable range is 90 to 125 ° C. If stretched at a temperature higher than the melting point, improvement in porosity / air permeability cannot be expected. On the other hand, when the secondary stretching is performed at a temperature lower than the crystal dispersion temperature, the resin is not sufficiently softened. Therefore, the film cannot be uniformly thinned particularly when stretched at a high magnification, and in the worst case, the film may be broken.
[0089]
The draw ratio is at least 1 to 9 times, preferably 1 to 5 times in at least one uniaxial direction. When the draw ratio exceeds 9, it is not preferable because film breakage is likely to occur.
[0090]
The laminated film (A) after the secondary stretching is heat-treated at a temperature between the crystal dispersion temperature and the melting point as in the case of the first method. A preferable temperature range for the heat treatment is 110 ° C. or more and less than 130 ° C. If the temperature is lower than the crystal dispersion temperature, the effect of improving the heat shrinkage rate is not sufficient, and if it is above the melting point, the air permeability deteriorates. The heat treatment may be either heat setting or heat relaxation. When the heat setting treatment is performed, it may be carried out at a temperature between the crystal dispersion temperature and the melting point by either a tenter method or a roll method, and it is performed for 1 second to 60 minutes, preferably 3 seconds to 30 minutes. When the thermal relaxation treatment is performed, it may be performed by a fixed method such as a tenter method or a roll method, or may be performed by a free method using a belt conveyor method, a mesh drum (rotary drum) method, a floating method, or the like. The free system is preferable from the viewpoint of uniform physical properties in the width direction and lengthening the winding length. The thermal relaxation treatment is preferably performed so as to maintain 90% or more of the length immediately before relaxation in both the MD and TD directions, and may be relaxed in both directions or only in one direction. The heat relaxation treatment time is not particularly limited, and is usually 1 second to 60 minutes, preferably 3 seconds to 30 minutes. Further, it is preferable to perform a thermal relaxation treatment before and / or after the heat treatment. This arbitrary thermal relaxation treatment may be performed at a temperature ranging from the crystal dispersion temperature of the polyolefin to less than the melting point, but is preferably performed in a temperature range of 90 to 125 ° C. The arbitrary thermal relaxation treatment is preferably performed so as to maintain 80% or more of the length immediately before relaxation in both the MD and TD directions, and may be relaxed in both directions or in only one direction.
[0091]
(g) Film cross-linking process
The microporous membrane obtained by the first to third methods is preferably subjected to a crosslinking treatment by ionizing radiation. As the ionizing radiation, α rays, β rays, γ rays, and electron beams are used, and can be performed with an electron dose of 0.1 to 100 Mrad and an acceleration voltage of 100 to 300 kV. Thereby, meltdown temperature can be improved.
[0092]
(h) Hydrophilization process
The microporous membrane obtained by the first to third methods can also be used after being hydrophilized. As the hydrophilic treatment, monomer grafting, surfactant treatment, corona discharge treatment, or the like is used. The hydrophilic treatment is preferably performed after ionizing radiation.
[0093]
When a surfactant is used, any of a nonionic surfactant, a cationic surfactant, an anionic surfactant and an amphoteric surfactant can be used, but a nonionic surfactant is preferred. In this case, the surfactant is made into an aqueous solution or a solution of a lower alcohol such as methanol, ethanol or isopropyl alcohol, and is hydrophilized by a method such as dipping and doctor blade.
[0094]
The obtained hydrophilic microporous membrane is dried. At this time, in order to improve the air permeability, it is preferable to perform heat treatment while preventing or stretching at a temperature below the melting point of the polyolefin microporous membrane.
[0095]
[3] Polyolefin microporous membrane
The polyolefin microporous membrane according to a preferred embodiment of the present invention has the following physical properties.
(1) The average pore diameter is 0.1 to 2.0 μm. When the thickness is less than 0.01 μm, the permeability is remarkably lowered and the permeability of the electrolytic solution is lowered. When the thickness is more than 2.0 μm, dendrite growth cannot be suppressed and a short circuit easily occurs.
(2) The porosity is 50-95%. If it is less than 50%, sufficient permeability cannot be obtained. If it exceeds 95%, the battery safety and impedance cannot be balanced.
(3) Air permeability is 20 to 300 seconds / 100 cc (converted to a film thickness of 20 μm). If it exceeds 300 seconds / 100 cc, the battery capacity becomes small when the polyolefin microporous membrane is used as a battery separator. On the other hand, if it is less than 20 seconds / 100 cc, shutdown will not be performed sufficiently when the temperature inside the battery rises.
(4) The puncture strength is 5880 mN / 25 μm or more, preferably 6860 mN / 25 μm or more, more preferably 9800 mN / 25 μm or more. If it is less than 5880 mN / 25 μm, pinholes are likely to occur when a polyolefin microporous membrane is incorporated into a battery as a battery separator.
(5) Thermal shrinkage after exposure at 105 ° C for 8 hours is 5% or less in both machine direction (MD) and transverse direction (TD). When it exceeds 5%, when a polyolefin microporous membrane is used as a battery separator, membrane breakage occurs during heat generation, causing a short circuit.
(6) The average curvature is not limited, but is preferably 1.7 to 2.4, and more preferably 1.7 to 2.2. If it exceeds 2.5, the ionic permeability is significantly reduced, and if it is less than 1.7, the ionic permeability is improved. However, when the polyolefin microporous membrane is incorporated in a battery as a battery separator, a short circuit is likely to occur.
[0096]
The thickness of the polyolefin microporous membrane can be appropriately selected depending on the application, but for example, when used as a battery separator, it is preferably 5 to 200 μm. Such a polyolefin microporous membrane can be obtained by the production method described in [2] above using the polyolefin described in [1] above.
[0097]
Thus, the polyolefin microporous membrane obtained by the production method of the present invention is excellent in porosity, air permeability, mechanical strength and dimensional stability, and has an appropriate pore size. It can be suitably used as a filter or the like. In particular, by using it as a battery separator, not only battery characteristics such as discharge characteristics and cycle characteristics in a low temperature range, but also all improvements including battery productivity and battery safety can be achieved.
[0098]
【Example】
The present invention will be described in more detail with reference to the following examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0099]
Example 1
(First method)
Weight average molecular weight is 2.0 × 106Ultra high molecular weight polyethylene (UHMWPE) 30% by weight and weight average molecular weight 3.5 × 10FiveA polyethylene composition (melting point: 135 ° C., crystal dispersion temperature: 90 ° C.) having an Mw / Mn = 16 content of tetrakis [methylene-3- (3, 5-Ditertiarybutyl-4-hydroxyphenyl) -propionate] methane was obtained by dry blending 0.25 parts by weight of methane per 100 parts by weight of the polyethylene composition. 20 parts by weight of the obtained polyethylene composition was put into a twin screw extruder (inner diameter 45 mm, L / D = 42, strong kneading type), and liquid paraffin (35 Cst (40 ° C)) was fed from the side feeder of this twin screw extruder. ) 60 parts by weight and 20 parts by weight of dicyclohexyl phthalate (DCHP: molecular weight 330, melting point 61 ° C.) were supplied and melt-kneaded at 200 ° C. and 200 rpm to prepare a polyethylene solution in an extruder. Subsequently, this polyethylene solution was extruded from a T-die installed at the tip of the extruder, and cooled at 50 ° C./min while being drawn with a cooling roll adjusted to 0 ° C. to form a gel-like sheet. The obtained gel sheet was subjected to simultaneous biaxial stretching (primary stretching) at 115 ° C. so as to be 5 × 5 times using a tenter stretching machine to obtain a stretched film. The obtained membrane was fixed to a 20 cm × 20 cm aluminum frame, and ethyl perfluorobutyl ether [CFourF9OC2HFive, HFE-7200 manufactured by Sumitomo 3M Limited, surface tension 13.6 mN / m (25 ° C), boiling point 76 ° C, no flash point (the same shall apply hereinafter)] / 2-propanol [surface tension 20.9 mN / m (25 ° C), Boiling point 82.4 ° C.] = 80/20 (wt / wt) [surface tension 18.0 mN / m (25 ° C.)] It was immersed in a first washing tank and washed while rocking at 100 rpm for 3 minutes. Furthermore, it was immersed for 1 minute in the 2nd washing tank (rinsing tank) containing HFE-7200 temperature-controlled at 25 degreeC, and rinse-treated. The obtained membrane was dried with hot air at 70 ° C. on a roll heated to 60 ° C. to produce a microporous membrane (A) (membrane (A)). The obtained film (A) was stretched 1.5 times to TD at 115 ° C. by a tenter stretching machine (secondary stretching), and then subjected to a thermal relaxation treatment at 110 ° C. for 10 seconds while being held in the tenter, to 5% MD and A polyethylene microporous membrane (microporous membrane (B) (membrane (B)) was prepared by shrinking 5% to TD and further heat-setting at 120 ° C. for 10 minutes while holding the membrane on the tenter.
[0100]
Example 2
(Second method)
The composition of the melt-kneaded product is 20 parts by weight of a polyethylene composition, 50 parts by weight of liquid paraffin and 30 parts by weight of dicyclohexyl phthalate, and the cleaning solvent in the first cleaning tank is HFE-7200 / 2-propanol = 50/50 (wt / wt) ) Two membranes (A) were prepared in the same manner as in Example 1 except that the surface tension was 17.3 mN / m (25 ° C.). One of them was stretched 1.5 times to MD and TD at 115 ° C by a tenter stretching machine (secondary stretching), and heat-fixed for 30 minutes at 115 ° C while holding the film on the tenter to produce a membrane (B) did. Next, the obtained membrane (A) and membrane (B) were thermally bonded at 110 ° C. with a calender roll to prepare a polyethylene microporous membrane (laminated membrane (AB)).
[0101]
Example 3
(Third method)
The cleaning solvent in the first cleaning tank is HFE-7200 / 2-propanol = 50/50 (wt / wt) [surface tension 17.3 mN / m (25 ° C)], and the HFE in the second cleaning tank (rinse tank) Two films (A) were produced in the same manner as in Example 1 except that the temperature of −7200 was adjusted to 40 ° C. and air-dried, and both were thermally bonded by a calender roll at 110 ° C. The obtained laminated film (A) was stretched 1.5 times to MD and TD at 115 ° C. by a tenter stretching machine (secondary stretching), and heat-fixed for 10 minutes at 115 ° C. while holding the film on the tenter. A microporous membrane of polyethylene was prepared.
[0102]
Example 4
(First method)
Weight average molecular weight 8.0 × 10FiveA polyethylene microporous membrane was prepared in the same manner as in Example 1 except that ultrahigh molecular weight polyethylene (UHMWPE) (melting point 136 ° C., crystal dispersion temperature 90 ° C., Mw / Mn = 7) was used.
[0103]
Example 5
(First method)
Weight average molecular weight is 1.0 × 106Ultra high molecular weight polyethylene (UHMWPE) 60% by weight and weight average molecular weight 5.0 × 10FiveA high-density polyethylene (HDPE) 40% by weight and a polyethylene microporous membrane as in Example 1 except that a polyethylene composition (melting point 135 ° C., crystal dispersion temperature 90 ° C.) with Mw / Mn = 10 was used. Was made.
[0104]
Comparative Example 1
A polyethylene microporous membrane was prepared in the same manner as in Example 1 except that the heat setting treatment and the heat relaxation treatment were not performed.
[0105]
Comparative Example 2
The composition of the melt-kneaded product was 20 parts by weight of a polyethylene composition and 80 parts by weight of liquid paraffin, and the cleaning solvent in the first cleaning tank was methylene chloride temperature-controlled at 25 ° C. [surface tension 27.3 mN / m (25 ° C.), The film (A) was prepared in the same manner as in Example 1 except that the boiling point was 40.0 ° C. and the washing solvent in the second washing tank (rinse tank) was methylene chloride adjusted to 25 ° C. and air-dried.
[0106]
Comparative Example 3
The composition of the melt kneaded product is 20 parts by weight of a polyethylene composition and 80 parts by weight of dicyclohexyl phthalate (molecular weight 330, melting point 61 ° C.), and the cleaning solvent in the first cleaning tank is adjusted to 25 ° C. Set the cleaning solvent to HFE-7200 / 2-propanol = 50/50 (wt / wt) [surface tension 17.3 mN / m (25 ° C)] and warm the cleaning solvent in the second cleaning bath (rinsing bath) to 40 ° C. A polyethylene microporous membrane was prepared in the same manner as in Example 1 except that the prepared HFE-7200 was air-dried to prepare the membrane (A).
[0107]
The physical properties of the polyolefin microporous membranes obtained in Examples 1 to 5 and Comparative Examples 1 to 3 were measured by the following methods.
-Film thickness: measured with a contact thickness meter.
-Average through-hole diameter: Measured with Omni Soap 360 (Coulter).
Air permeability: Measured according to JIS P8117 (converted to a film thickness of 20 μm).
-Porosity: measured by gravimetric method.
Puncture strength: The maximum load when a microporous film having a thickness of 25 μm was punctured at a speed of 2 mm / second using a needle having a diameter of 1 mm (0.5 mm R) was measured.
Heat shrinkage rate: MD and TD shrinkage rates were measured when the microporous membrane was exposed at 105 ° C. for 8 hours.
・ Average curvature: Kozeny-Carman equation, which can clarify the relationship between fluid permeation rate and porosity and specific surface area in porous media, is approximated by the following equation when a three-dimensional orientation model of fiber is introduced Yes, usually 5.0.
k ≒ [4Fiveε / (3π2δ0 2Sp 2)] X (L0/ L)2
Where ε is the porosity and δ0Is the fibril diameter, SpIs the surface area (specific surface area) per unit volume of the porous solid only, L is the apparent permeation distance, ie the film thickness, L0Is the true transmission distance, i.e. the length of the through path, L0Calculate the curvature defined by / L.
Cycle characteristics: LiClO in a solvent consisting of propylene carbonate (PC): diethyl carbonate (DEC) = 1: 1 (weight ratio)Four(Lithium perchlorate) Prepare an electrolyte solution with 1M added, carbon electrode for the negative electrode and LiCoO for the positive electrode2A lithium battery using was manufactured. A cycle test was repeated 700 times at 25 ° C., where the battery was charged to 4.2 V and then discharged, and the change in battery capacity after the cycle test was examined.
[0108]
[Table 1]
Figure 0004817565
Figure 0004817565
Figure 0004817565
Figure 0004817565
[0109]
As shown in Table 1, the polyethylene microporous membranes of Examples 1 to 5 produced by the method of the present invention have an excellent balance of porosity, air permeability, puncture strength and heat shrinkage, and have an appropriate pore size and use. It can be seen that it has cycle characteristics that can withstand. On the other hand, the microporous membrane of Comparative Example 1 was not heat-treated. In Comparative Example 2, a melt-kneaded material was prepared using only a liquid solvent, and a cleaning solvent having a surface tension of more than 24 mN / m at 25 ° C. was used. In Comparative Example 3, a melt-kneaded material is prepared using only a solid solvent. Therefore, compared with Examples 1 to 5, Comparative Example 1 has a heat shrinkage rate and an average curve. In Comparative Example 2, the average pore diameter, the air permeability and the cycle characteristics are inferior, and in Comparative Example 3, the average pore diameter, the heat shrinkage ratio and the cycle characteristics are inferior. In Comparative Example 2, the air permeability after the cycle test was 1500 seconds / 100 cc, and it is estimated that a part of the through hole was blocked. In Comparative Example 3, it is presumed that the short circuit occurred because the dendrite growth of lithium could not be suppressed.
[0110]
【The invention's effect】
  As detailed above, the weight average molecular weight is 5 × 10FiveThe above-mentioned polyolefin containing polyethylene as an essential component, a liquid solvent, and a solid solvent are melt-kneaded, the obtained melt-kneaded product is extruded from a die, and cooled to obtain a gel-like molded product, which is obtained by biaxial stretching. After removing the liquid solvent and the solid solvent from the obtained stretched product using a washing solvent (A) having a surface tension of 24 mN / m or less at 25 ° C., the washed stretched product is treated at a temperature higher than the crystal dispersion temperature of the polyolefin. Produced by stretching at least uniaxially at a temperature below the melting point and then heat-treating at a temperature above the crystal dispersion temperature of the polyolefin and below the melting point.The polyolefin microporous membraneExcellent porosity, air permeability, puncture strength and heat shrinkage, and suitable cycle diameter and cycle characteristics that can withstand use.Have.The obtained polyolefin microporous membrane is useful for battery separators, filters and the like. In particular, when used as a battery separator, not only battery characteristics such as discharge characteristics, capacity characteristics, and cycle characteristics in a low temperature range, but also all improvements including battery productivity and battery safety can be achieved.

Claims (3)

重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンと液体溶剤と固体溶剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸し、得られた延伸物から25 ℃における表面張力が24 mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて液体溶剤及び固体溶剤を除去した後、前記洗浄後の延伸物を前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で少なくとも一軸方向に再び延伸し、次いで前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で熱処理することを特徹とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。Gel-like molding obtained by melt-kneading a polyolefin, a liquid solvent, and a solid solvent containing polyethylene having a weight average molecular weight of 5 × 10 5 or more as essential components, extruding the resulting melt-kneaded product from a die, and cooling it. After biaxially stretching the product, the liquid solvent and the solid solvent were removed from the resulting stretched product using a cleaning solvent (A) having a surface tension at 25 ° C. of 24 mN / m or less, and then the washed stretched product was A method for producing a microporous polyolefin membrane, characterized in that it is stretched again in at least a uniaxial direction at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the polyolefin and lower than the melting point, and then heat treated at a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the polyolefin and lower than the melting point. . 重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンと液体溶剤と固体溶剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸し、得られた延伸物から25 ℃における表面張力が24 mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて液体溶剤及び固体溶剤を除去することにより少なくとも二枚の微多孔膜(A)を作製し、次いで前記微多孔膜(A)のうち少なくとも一枚を前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で少なくとも一軸方向に再び延伸した後、前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で熱処理することにより微多孔膜(B)を作製し、次いで前記微多孔膜(A)のうち少なくとも一枚と前記微多孔膜(B)のうち少なくとも一枚とを接合することにより積層化し、積層化膜(AB)を作製することを特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。Gel-like molding obtained by melt-kneading a polyolefin, a liquid solvent, and a solid solvent containing polyethylene having a weight average molecular weight of 5 × 10 5 or more as essential components, extruding the resulting melt-kneaded product from a die, and cooling it. At least two microporous membranes are obtained by biaxially stretching the product and removing the liquid solvent and the solid solvent from the stretched product using a cleaning solvent (A) having a surface tension at 25 ° C. of 24 mN / m or less. (A) is prepared, and then at least one of the microporous membranes (A) is stretched again at least in a uniaxial direction at a temperature not lower than the polyolefin crystal dispersion temperature to a temperature lower than the melting point, and then higher than the polyolefin crystal dispersion temperature. A microporous membrane (B) is produced by heat treatment at a temperature below the melting point, and then at least one of the microporous membranes (A) and at least one of the microporous membranes (B) are joined. By Stratified method for producing a microporous polyolefin membrane, which comprises preparing a laminated film (AB). 重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィンと液体溶剤と固体溶剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却することにより得られたゲル状成形物を二軸延伸し、得られた延伸物から25 ℃における表面張力が24 mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて液体溶剤及び固体溶剤を除去することにより少なくとも二枚の微多孔膜(A)を作製し、次いで前記微多孔膜(A)のうち少なくとも二枚を接合することにより積層化し、得られた積層化膜(A)を前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で少なくとも一軸方向に再び延伸し、次いで前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上 〜融点未満の温度で熱処理することを特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。Gel-like molding obtained by melt-kneading a polyolefin, a liquid solvent, and a solid solvent containing polyethylene having a weight average molecular weight of 5 × 10 5 or more as essential components, extruding the resulting melt-kneaded product from a die, and cooling it. At least two microporous membranes are obtained by biaxially stretching the product and removing the liquid solvent and the solid solvent from the stretched product using a cleaning solvent (A) having a surface tension at 25 ° C. of 24 mN / m or less. (A) is prepared, and then laminated by joining at least two of the microporous membrane (A), and the obtained laminated membrane (A) is a temperature not lower than the crystal dispersion temperature of the polyolefin and lower than the melting point. A method for producing a polyolefin microporous membrane, comprising: stretching at least in a uniaxial direction and then heat-treating the polyolefin at a temperature not lower than a crystal dispersion temperature and lower than a melting point.
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