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JP4816120B2 - 回転電機およびその組み立て方法 - Google Patents

回転電機およびその組み立て方法 Download PDF

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JP4816120B2 JP2006033924A JP2006033924A JP4816120B2 JP 4816120 B2 JP4816120 B2 JP 4816120B2 JP 2006033924 A JP2006033924 A JP 2006033924A JP 2006033924 A JP2006033924 A JP 2006033924A JP 4816120 B2 JP4816120 B2 JP 4816120B2
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Description

本発明は、回転電機の組み立て構造、具体的には回転電機内の電磁石を周方向に複数配列して固定する技術、およびこの技術を利用してより効率的に回転電機を組み立てる技術に関するものである。
回転電機には、磁界を発生させるための界磁(電磁石)を設けなければならない。電磁石を回転電機内に配置・固定する技術としては、回転電機の種類や、ロータおよびステータのいずれに電磁石を配置するかによって様々なものがある。
この技術につき例示すると、第1に、回転電機のステータが、複数のティースを有するステータコアを具えており、各ティースにコイルを巻回してティースの数だけ電磁石を構成する技術がある。第2に、鉄心などの磁性体にコイルを巻回した電磁石を予め複数個製作しておき、これら複数個の電磁石を共通なステータブラケットで配列・固定する技術がある。この第2の技術に拠れば、別途の製造ラインで電磁石を多量生産しておき、組み立てラインで一度に配列・固定すればステータを完成することが可能であるため、第1の技術に比べて製造工程の所要時間を短縮することができ、組み立て効率が向上する。
上記した第2の技術を用いて製造した回転電機について、本願出願人は特許文献1に記載のごとき回転電機のステータ支持構造を既に開示している。特許文献1に記載の回転電機は、ステータの軸線方向両側に2個のロータを夫々配置したいわゆる2ロータ1ステータ構造である。ステータについては、電磁石を構成するエレメントを必要個数用意する。これら必要個数のエレメントを、共通するステータブラケットで固定し、回転電機内に設計通りに配列し、ステータ組み立て体を製作する。
特許第3702825号公報
しかし、上記従来のような回転電機のステータ構造にあっては、以下に説明するような問題を生ずる。
図9は、上記した回転電機のステータの組み立て構造を、回転軸を周回する円筒面で断面にし、この断面を展開した状態を模式的に示す展開断面図である。
図9に基づき説明すると、回転軸を中心とするステータAは、複数の電磁石B,B・・・によって組み立てられている。電磁石Bは、回転軸方向に延在する鉄心であるステータエレメントCと、ステータエレメントCに巻回したコイルDと、これらステータエレメントCおよびコイルD間に入れ込んで両者C,D間を絶縁するインシュレータEとから構成される。そして、電磁石Bの回転軸方向両端を夫々共通するステータブラケットFとステータブラケットGとで固定する。これにより電磁石B,B・・・を周方向等間隔に配列する。
電磁石Bの回転軸方向両端はロータHと、ロータIとそれぞれ対向する。したがって、ステータブラケットFはロータHおよびステータA間で発生する磁界に位置することになり、ステータブラケットIもロータIおよびステータA間で発生する磁界に位置することになる。そうすると、ステータブラケットF,G内でループ電流が発生する。
ループ電流はジュール熱を発生させ、ひいては回転電機の運転効率を悪化させるという弊害が生じる。
本発明は、上述の実情に鑑み、ループ電流の発生を効果的に防ぐことができる回転電機を提案することを目的とする。
この目的のため本発明による回転電機は、請求項1に記載のごとく、
回転電機のステータを挟むように、2枚のロータを回転軸方向に対向配置して、これらステータおよびロータ間の対向面を回転軸に直角とし、
該ステータには複数個の電磁石を共通なステータブラケットで回転軸の周方向に配列した回転電機を前提とする。
そして、各電磁石の中心には鉄心などのステータエレメントを夫々配置し、前記2枚のロータ間の略中央にあるステータエレメント中央部を前記ステータブラケットに固定する。
前記ステータブラケットを、回転軸を中心とする円盤状とし、前記ステータエレメントを固定するための打ち抜き部分を、回転軸の周方向に複数配置し、隣り合う前記打ち抜き部分間のステータブラケット部分を、回転軸に対して傾斜させて形成する。
該ステータブラケットによって分境されたステータエレメント両端部のうち、一端部にコイルを巻回し、これらステータエレメントおよびコイル間にインシュレータを介挿して一方の前記電磁石とし、
該電磁石と隣り合うステータエレメントには、ステータブラケットからみて前記コイルとは反対側にあるステータエレメントの一端部にコイルを巻回し、これらステータエレメントおよびコイル間にインシュレータを介挿して隣り合う他方の前記電磁石とし、
これら隣り合う一方および他方の電磁石を回転軸の周方向に連続配置することにより、ステータブラケットからみてコイルを交互に巻回したことを特徴としたものである。
かかる本発明の構成によれば、2枚のロータ間の略中央にあるステータエレメント中央部を前記ステータブラケットに固定したため、ステータブラケットを磁界から離すことができる。したがって、ループ電流の発生を効果的に防ぎ、回転電機の運転効率を高めることができる。
また本発明の構成によれば、ステータブラケットによって分境されたステータエレメント両端部のうち、一端部にコイルを巻回したため、両端部にそれぞれコイルを巻回する構成よりもインシュレータの使用量を低減することができる。したがって、図9に示す従来例と比較してコイルの巻線量が減少してしまうという弊害を回避することができる。
さらに本発明の構成によれば、隣り合う一方および他方の電磁石を回転軸の周方向に連続配置することにより、ステータブラケットからみてコイルを交互に巻回したため、ステータ内にコイルを密に配置することができる。したがって、従来のステータと比較してコイルの巻線量が不足するといった弊害が生じることがない。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる回転電機を、回転軸を中心とする円周面で断面として展開した展開図である。また図2は、同実施例のステータブラケットを、回転軸方向からみた正面図である。
まず、これらの図に沿って本実施例の概要を説明する。本実施例の回転電機は、その内部にステータ1とロータ2とを軸方向に対向配置して具えたいわゆるアキシャルギャップ型回転電機である。またロータを2枚具え、これらロータ2,3でステータ1を挟むよう配置する。ステータ1は、回転電機の外殻を構成するモータケース(図示せず)に固定される。ロータ2,3は、モータケースに回転自在に支持される。
ロータ2は、空隙10を介してステータ1と対向する。またロータ3も、空隙11を介してステータ1と対向する。
ロータ2,3は、内部に永久磁石(図示しない)を複数個具え、ステータ1から磁力を与えられて回転する。ロータ2,3は、図示しない出力軸と一体に結合し、該出力軸からロータ2,3の回転を出力として取り出す。
次に、ステータ1について説明する。ステータ1は、電磁石4を複数具える。軸方向における電磁石4の両端はそれぞれ、空隙10,11に接し、ロータ2,3との間で磁気回路を形成する。図1には、そのうち2個の電磁石4a,4bを示す。電磁石4は、中心にステータエレメント5を具える。ステータエレメント5は磁性体から形成され、電磁石における鉄心の役割を果たす。ステータエレメント5にはコイル6を巻回する。ステータ5とコイル6との間には、絶縁のためインシュレータ7を介挿する。
電磁石4は、ロータ回転軸の周方向に複数配置し、これら電磁石4a,4b・・・を共通なステータブラケット8で固定する。電磁石4a,4bはステータブラケット8に関して対称な姿勢となるよう配置されるが、その形状は図3に示すように同一である。
図3に基づき電磁石4(4a,4b)について説明すると、鉄心であるステータエレメント5の一端にコイル6を巻回し、他端5tにはコイル6を巻回しない。これに対し、図9に示す従来例の電磁石Bでは、ステータエレメントCの中程に亘ってコイルDを巻回する。この点において電磁石4は特徴を有する。
ステータブラケット8は、図2に示すように円盤状であって、ステータブラケット8の軸中心には孔17を設ける。孔17には、孔17の内空断面よりも小さな断面を有する出力軸(図示せず)を挿通する。
孔17の周囲には、孔17を取り巻くよう周方向に複数の打ち抜き部分9を配列する。打ち抜き部分9は、打ち抜き工程において円盤から台形形状を打ち抜くよう形成され、円盤の両面を貫通する切り欠きになっている。しかし孔17や打ち抜き部分9を、文字通り打ち抜き工程で設けるのではなく、鋳造工程や切削工程やその他の方法によりで設けてもよいこと勿論である。
打ち抜き部分9の形状は図2に示すように台形であるが、各打ち抜き部分9を外径方向に拡大して、幅の狭い溝状の打ち抜き部分19を更に設ける。あるいは図示はしなかったが、打ち抜き部分19に代えて、各打ち抜き部分9を内径方向に拡大して幅の狭い溝状の打ち抜き部分を設けてもよい。
説明を図1に戻すと、ステータブラケット8は、2枚のロータ2,3間の略中央にあるステータエレメント5中央部を固定する。つまりステータブラケット8は、ステータ1とロータ2とが対向する空隙(アキシャルギャップ)10から離れた位置に配置され、かつ、ステータ1とロータ3とが対向する空隙(アキシャルギャップ)11からも離れた位置に配置される。
ステータエレメント5を軸方向に直角な断面にしてみると、打ち抜き部分9の台形形状(図2)と同一である。したがってステータブラケット8は打ち抜き部分9でステータエレメント5中央部を固定し、ステータエレメント5は周方向にずれることもなく、回転軸の径方向にずれることもない。
ステータブラケット8とコイル6との間には、絶縁のためインシュレータ7を介挿する。
電磁石4aのインシュレータ7は樹脂であり、図1に示すように、空隙10に隣接する部分7eと、ステータエレメント5に隣接する部分7fと、ステータブラケット8に隣接する部分7gとを具え、これら3つの部分が一体にステータエレメント5およびコイル6に付着する。
ステータブラケット8によって分境されたステータエレメント5両端部のうち、一端部にコイル6を巻回する。他端5tにはコイルを巻回しない。図1に示すように、電磁石4aと隣り合う電磁石4bのステータエレメント5には、ステータブラケット8からみて電磁石4aのコイル6とは反対側にあるステータエレメントの一端部にコイル6を巻回する。他端5tにはコイルを巻回しない。これら隣り合う電磁石4aと電磁石4bとを回転軸の周方向に連続配置することにより、ステータブラケット8からみてコイル6を交互に巻回する。
隣り合う電磁石4aと電磁石4bとの間には空隙13,14を設ける。図1に示すように、空隙13は一方のコイル6aと他方のステータエレメント5bとが接触しないよう離隔する。空隙14も、一方のステータエレメント5aと他方のコイル6bとが接触しないよう離隔する。
ステータブラケット8の両面には、凹部12を複数個設ける。凹部12は、図1に断面で示すように、ステータブラケット8表面付近では内空寸法が小さく、奥行方向ほど内空寸法が大きくなる形状である。図2に示すように、隣り合う打ち抜き部分9同士の間にすべて凹部12を設ける。これにより、各打ち抜き部分9の両側に凹部12を配置する。
図2に示す正面図はステータブラケット8の片方面を示すが、表面および裏面を共通に示す。つまり、両面に凹部12を複数個設けることにより、1つの打ち抜き部分9につき2つの凹部12を配置する。
インシュレータ7には凸部7iを立設しておき、この凸部7iを凹部12に嵌合させて、インシュレータ7をステータブラケット8に係止する。コイル6とステータエレメント5との間に介在するインシュレータ7fは、両者5、6を接着していることから、上記係止によって、電磁石4の固定を確実にすることができ、電磁石4は軸方向にずれることがない。
上述のように、ステータブラケット8は複数の磁石4をロータ軸の周方向に配列し、これらが一体となってステータ1を構成する。ステータ1は回転電機の界磁であり、電磁石4は磁気回路を形成し、ロータ2,3に回転トルクを与える。
本実施例では、図1に示すように、2枚のロータ2,3間の略中央にあるステータエレメント5中央部をステータブラケット8に固定したことから、ステータブラケット8を空隙10,11から離すことができる。つまり、空隙10,11で対向するロータおよびステータ1間で形成される磁気回路からステータブラケット8を遠ざけることが可能となり、
ステータブラケット8でループ電流が発生することを軽減することができる。したがって、ジュール熱の発生を効果的に防ぎ、回転電機の運転効率を高めることができる。
また本実施例では、図1に示すように、ステータブラケット8によって分境されたステータエレメント5の軸方向両端部のうち、一端部にコイルを巻回したため、両端部にそれぞれコイルを巻回する構成よりもインシュレータの使用量を低減することができる。
このことにつき、図10に示すように、ステータエレメント5の両端部5x,5yそれぞれにコイル6xとコイル6yとを巻回する構成と比較しつつ詳説する。
図10は、ステータブラケット8によって分境されたステータエレメント5の軸方向両端部に、それぞれコイルを巻回する実施例を、周方向に展開して示す展開図である。
円盤状のステータブラケット8でステータエレメント5中央部を固定することにより、ステータエレメント5の軸方向両端はステータブラケット8によって分境される。これら両端部を5x,5yとする。
ステータエレメント5一端部5xにコイル6xを巻回し、これら一端部5xおよびコイル6x間にはインシュレータ7を介在させる。インシュレータ7は、空隙10に隣接する部分7pと、ステータエレメント5に隣接する部分7qと、ステータブラケット8に隣接する部分7rとを具える。同様に、他端部5yにコイル6yを巻回し、これら他端部5yおよびコイル6y間にはインシュレータ7を介在させる。インシュレータ7も、空隙11に隣接する部分7sと、ステータエレメント5に隣接する部分7tと、ステータブラケット8に隣接する部分7uとを具える。
隣り合うコイル6xと6xとの間には空隙15を設け、両者が接触しないよう離隔する。
また、隣り合うコイル6yと6yとの間にも空隙16を設け、両者が接触しないよう離隔する。
上述のように図10に示す実施例では、ステータエレメント5の両端部5xおよび5yにコイル6xおよび6yを巻回するため、隣り合うステータエレメント5,5間で2つのインシュレータ7q,7qと1つの空隙15とを配置しなければならずコイル6xの巻線量が減少するという問題がある。同様の問題として、隣り合うステータエレメント5,5間で2つのインシュレータ7t,7tと1つの空隙16とを配置しなければならずコイル6yの巻線が減少する。
これに対し本実施例では、図1に示すように、隣り合うステータエレメント5a,5b間で1つのインシュレータ7fと1つの空隙13(14)とを配置すれば足り、コイル6xの巻線量が減少するという上記の問題が生じない。
したがって図1に示す本実施例では、図9に示す従来例と比較してコイルの巻線量が減少してしまうということがない。
さらに本実施例では、図1に示すように、隣り合う一方の電磁石4aと他方の電磁石4bを回転軸の周方向に繰り返して連続配置し、これにより、ステータブラケット8からみてコイル6を6a,6b・・・と交互に巻回した。このようにコイル6を交互配置することで、ステータ1を軸方向から見た場合にコイル6aとコイル6bとを重ね合わせるよう配置することが可能となり、ステータ1内にコイル6を密に配置することができる。したがって、図9に示す従来例のステータAと比較してコイルの巻線量が不足するといった弊害が生じることがない。
また本実施例では、図2に示すように、ステータブラケット8の軸中心には孔17を設け、この孔17を取り巻くよう打ち抜き部分9,9・・・・を周方向に複数配置し、各打ち抜き部分9を外径方向に拡大して打ち抜き部分19を更に設けたことから、隣り合う電磁石4,4同士で磁気回路が短絡することを低減することができる。
したがって、拡大した打ち抜き部分19を設けることにより、ステータ1およびロータ2(3)間における磁束量を増大して回転電機の効率を向上させることができる。
ステータブラケット8は、図2に示すような構造の他、図4に示すものであってもよい。
図4の正面図に基づき、当該他の実施例について説明する。ここでは、図2に示した上記の実施例と同等の部分については、共通の符号を付して説明を省略する。
他の実施例になるステータブラケット18は、図4に示すように円盤状であり、打ち抜き部分の形状を特徴とする。つまり前述した打ち抜き部分19に代えて、周方向に複数配列した打ち抜き部分を、外径方向および内径方向に交互に拡大したものである。
打ち抜き部分9の形状は台形を基調とするが、各打ち抜き部分9を外径方向に拡大して、幅の広い打ち抜き部分20を更に設ける。隣りの打ち抜き部分9を内径方向に拡大して幅の広い打ち抜き部分21を更に設ける。そして上記を繰り返す構成により、内径方向および外径方向に交互に拡大する。
ステータブラケット18は台形の打ち抜き部分9でステータエレメント5中央部を固定し、ステータエレメント5は周方向にずれることもなく、回転軸の内径方向にずれることもない。なお図示しないモータケースの内周壁がステータブラケット18の外周縁に当接する。このため、図示しないモータケースがステータエレメント5の外径方向移動を規制し、ステータエレメント5は打ち抜き部分9から回転軸の外径方向にずれることもない。
図4に示す他の実施例では、一方の電磁石4aのステータエレメント5aを固定する一方の打ち抜き部分9を内径方向に拡大して打ち抜き部分21とし、他方の電磁石4bのステータエレメント5bを固定する他方の打ち抜き部分9を外径方向に拡大し、これら隣り合う一方および他方の打ち抜き部分9,9を回転軸の周方向に連続配置し、打ち抜き部分9を内径方向および外径方向に交互に拡大したものである。
これにより、隣り合う電磁石4,4同士で磁気回路が短絡することを低減することができる。
したがって、拡大した打ち抜き部分20,21を設けることにより、ステータ1およびロータ2(3)間における磁束量を増大して回転電機の効率を向上させることができる。
次に、本発明の別の実施例になる回転電機について説明する。
図5は、別の実施例になる回転電機を、回転軸を中心とする円周面で断面として展開した展開図である。ここでは、図1に示した上記実施例と同等の部分については、共通の符号を付して説明を省略する。
図5に示す別の実施例でも、複数個の電磁石4,4・・・・を、ステータブラケット28に固定して、これら電磁石4を周方向に配列する。ステータブラケット28も図2または図4に例示するような円盤形状である。
前述した図1に示す実施例では、ステータブラケット8のうち隣り合う打ち抜き部分9,9間のステータブラケット部分が、回転軸に対して傾斜するのではなく直角方向に形成されている。これに対し、図5に示す別の実施例では、ステータブラケット28のうち隣り合う打ち抜き部分9,9間のステータブラケット部分を、回転軸方向に対して傾斜させて形成したことを特徴とする。
そしてステータブラケット28の傾斜面28gをコイル6のインシュレータ7gに密着させる。
ステータブラケット28を熱伝導率の高い材料で形成し、ステータブラケット28の外周縁を、回転電機の外殻を形成するモータケースに接続する。そしてモータケースを熱伝導率の高い材料で形成することにより、コイル6で発生する熱を、ステータブラケット28およびモータケースを介して、回転電機外に速やかに放熱することができる。
なお、図5に示す実施例では、コイル6と、このコイル6に隣接するステータエレメント5との間にインシュレータ7hを介挿して、コイル6の全周をインシュレータ7(7e,7f,7g,7h)で包囲する。
上述したように図5に示す実施例では、隣り合う打ち抜き部分9,9間のステータブラケット部分を、回転軸に対して傾斜させて形成したことから、回転軸に対して直角方向(周方向)に形成した実施例(図1)よりも、ステータブラケット28とインシュレータ7gとの密着面積を増加することが可能になる。
したがって、コイル6の熱を、ステータブラケット28を経て効果的に放熱することができ、回転電機の冷却性能が向上する。
ところで図1に示す実施例は、複数の電磁石4を偶数個具えた場合と、奇数個具えた場合の両方で可能である。
図6は、電磁石4を偶数個具えた実施例を示す展開図である。これに対し図7は、電磁石4を奇数個具えた実施例を示す展開図である。
まず、偶数個具えた実施例につき説明すると、図6に示すように、ステータブラケット8の一方側にコイル6aを有する電磁石4aと、ステータブラケット8からみてコイル6aとは反対側にコイル6bを有する電磁石4bとを、同数個交互に、周方向に連続配置することができる。
次に、奇数個具えた実施例につき説明すると、そのままでは電磁石4aと電磁石4bとを同数個配置することができず、これらを交互に連続配置すれば、どちらか一方が1個多くなってしまう。そうすると、ステータ内の一部においてコイルを密に配置することができないという問題が生じる。
そこで、図7に示すように、電磁石4aと電磁石4bとを同数個を設け、かつ、ステータエレメント5cに、ステータブラケット8を交差するよう斜めにコイル6cを巻回した電磁石4cを1個設ける。
電磁石を奇数個具えた図7に示す実施例では、電磁石4aと電磁石4bとを同数個を設け、かつ、ステータエレメント5cに、ステータブラケット8を交差するよう斜めにコイル6cを巻回した電磁石4cを1個設け、合計で奇数個としたことから、
電磁石が奇数個であってもステータ内にコイルを密に配置することができる。
次に、本発明の回転電機の組み立て方法につき図8に沿って説明する。
図8(a)は、ステータを組み立てる様子を示す周方向展開図である。図8(b)は、上記方法によって組み立てられたステータを示す周方向展開図である。
まず電磁石4を予め複数個組み立てておき、図8(a)に示すように、電磁石4(4a,4b)のコイル6(6a,6b)には帯状インシュレータ7hの一端を結着する。
帯状インシュレータ7hは、この一端から結着していない他端まで延在する短冊形状である。あるいは、コイル6外縁と同形状の薄板四角形であって、その一辺をコイル6外縁に結着してもよい。これら電磁石4のステータエレメント5(5a,5b)を共通なステータブラケット8で未だ固定していない状態では、帯状インシュレータ7hは上記結着部分を除きコイル6から離れている。
次に、コイル6が巻回されていないステータエレメント他端5tを、図8(a)に示す矢の向きに、ステータブラケット8の打ち抜き部分9に嵌入し、コイル6表面のインシュレータ7をステータブラケット8に当接するまで、電磁石4を押し込む。これにより、ステータエレメント5中央部をステータブラケット8に固定する。
上記の押し込む際、インシュレータ凸部7iが凹部12に圧入され、インシュレータ7gがステータブラケット8に係止する。
また上記の押し込む際、隣り合う2個の電磁石4a,4bのうち、一方の電磁石4aの他端5tが、他方の電磁石4bのコイル6bに結着した帯状インシュレータ7hを、この嵌入方向に折り曲げながらコイル6bおよび一方の電磁石4aの他端5t間に入れ込む。
隣り合う打ち抜き部分9には、他方の電磁石4bの他端5tを、図8(a)に示す矢の向き、つまり一方の電磁石4aの他端5tの嵌入方向と反対方向に嵌入する。
この嵌入の際、他方の電磁石4bの他端5tが、一方の電磁石4aのコイル6aに結着した帯状インシュレータ7hを、この嵌入方向に折り曲げながらコイル6aおよび他方の電磁石4bの他端5t間に入れ込む。
ステータエレメント5a,5b中央部をステータブラケット8に上記のように固定することによって、図8(b)に示すようにステータ1の組み立てが完成する。
ところで上述した各実施例では、図1に示すように、回転電機のステータ1を挟むように、2枚のロータ2,3を回転軸方向に対向配置して、これらステータ1およびロータ2(3)間の対向面を回転軸に直角とし、ステータ1には複数個の電磁石4を共通なステータブラケット8で回転軸の周方向に配列した。
各電磁石4(4a,4b)の中心には磁性体からなるステータエレメント5(5a,5b)を夫々配置する。2枚のロータ2,3間の略中央にあるステータエレメント5中央部をステータブラケット8に固定する。
このステータブラケット8によって分境されたステータエレメント5aの両端部のうち、一端部にコイル6aを巻回し、ステータエレメント5aおよびコイル6a間にインシュレータ7を介挿して一方の電磁石4aとする。電磁石4aと隣り合うステータエレメント5bには、ステータブラケット8からみて前記コイル6aとは反対側にある一端部にコイル6bを巻回する。これらステータエレメント5bおよびコイル6b間にインシュレータ7を介挿して隣り合う他方の前記電磁石4bとする。これら隣り合う一方の電磁石4aおよび他方の電磁石4bを回転軸の周方向に連続配置することにより、ステータブラケット8からみてコイル6を交互に巻回した。
これにより、ステータブラケット8を空隙(アキシャルギャップ)10,11周辺の磁界から離すことができる。したがって、ステータブラケット8にループ電流が発生することを効果的に防止することが可能になり、回転電機の運転効率を高めることができる。
また図1に示す実施例では、ステータエレメント両端部にそれぞれコイルを巻回する図10に示すような構成よりも、インシュレータの使用量を低減することができる。したがって、図9に示す従来例と比較してコイルの巻線量が減少してしまうという弊害を回避することができる。
さらに、ステータブラケット8からみてコイル6を、6a,6b,6a,6b・・・と交互に巻回したことから、ステータ1を軸方向からみたときにコイル6aとコイル6bとを重ねて配置することがことが可能になり、ステータ1にコイルを密に配置することができる。したがって、従来のステータと比較してコイルの巻線量が不足するといった弊害が生じることがない。
上記の構成を実現するため具体的には、ステータブラケット8(18)を、図2,4に示すように、回転軸を中心とする円盤状とする。そして、ステータエレメント5を固定するための打ち抜き部分9を、回転軸の周方向に複数配置する。
ここで打ち抜き部分9を図2に示すように外径方向に拡大して打ち抜き部分19を更に設けたことから、隣り合う一方の電磁石4aと他方の電磁石4b同士で磁気回路が短絡することを低減することができる。なお図には示さなかったが、打ち抜き部分を内径方向に拡大しても同様の効果を奏する。
また図4に示すように一方の打ち抜き部分9を内径方向に拡大して打ち抜き部分21を更に設け、他方の打ち抜き部分9を外径方向に拡大して打ち抜き部分20を更に設け、これら隣り合う一方の打ち抜き部分9,21および他方の打ち抜き部分9,20を回転軸の周方向に連続配置することにより、打ち抜き部分を内径方向および外径方向に交互に拡大しても同様の効果を奏する。
また上述した実施例では図5に示すように、隣り合う打ち抜き部分9,9間のステータブラケット部分を、回転軸に対して傾斜させて形成してもよい。こうするとステータブラケット28の傾斜面28gを、図1に示す実施例と比較して、より広い面積でコイル6のインシュレータ7gに密着させることが可能になる。
この構成に加えて、ステータブラケット28を熱伝導率の高い材料で形成することにより、コイル6で発生する熱を、ステータブラケット28を介して、回転電機外に速やかに放熱することができ、回転電機内部が高温になることを防止することができる。
図1に示す実施例では、電磁石4を偶数個具えるものであっても、奇数個具えるものであってもよい。図6に示す偶数個の実施例では、全ての電磁石4を図3に示す同一形状にして、ステータブラケット8で分境される一方側と他方側とに交互に配置することができる。
また図7に示す奇数個の実施例では、1個の電磁石4cのステータエレメント5cに、ステータブラケット8を交差するよう斜めにコイル6cを巻回したことから、残る複数の電磁石4を図3に示す同一形状にして、ステータブラケット8で分境される一方側と他方側とに交互に配置することができる。
また図1に示す実施例では、コイル6(6a,6b)の表面のうち少なくともステータブラケット8と隣り合う部分をインシュレータ7gで包囲し、インシュレータ7gとステータブラケット8とを接合する。具体的にはインシュレータ7gの凸部7iをステータブラケット8の凹部12に圧入して両者を係止する。
この結果、ステータブラケット8による電磁石4の固定を確実にすることができ、電磁石4は軸方向にずれることがない。
また図1に示す実施例を組み立てるに際しては、図8(a)に示すようにコイル6(6a,6b)には帯状インシュレータ7hの一端を結着し、一方の電磁石4aが有するステータエレメント5aの他端5tを、ステータブラケット8に嵌入して、ステータエレメント5a中央部をステータブラケットに固定し、他方の電磁石4bが有するステータエレメント5bを固定する打ち抜き部分9には、ステータエレメント5bの他端5tを、ステータエレメント5aの嵌入方向と反対方向に嵌入する。
この嵌入の際、ステータエレメント5bの他端5tが、一方の電磁石4aのコイル6aに結着した帯状インシュレータ7hを、この嵌入方向に折り曲げながらコイル6aおよびステータエレメント5bの他端5t間に入れ込む。
この結果、図8(a)(b)に示すステータ1の組立工程において、何ら新たな工程を付加することなく、隣り合う電磁石4,4間にもインシュレータ7hを介挿することが可能になり、電磁石4同士の絶縁性能を向上することができる。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨に逸脱しない範囲において種々変更が加えられうるものである。
本発明の一実施例になる回転電機を、回転軸を中心とする円周面で断面にして展開した展開断面図である。 同実施例のステータブラケットを、回転軸方向からみた正面図である。 同実施例の電磁石を、回転電機の径方向からみた側面図である。 他の実施例になるステータブラケットを、回転軸方向からみた正面図である。 別の実施例になる回転電機を、回転軸を中心とする円周面で断面にして展開した展開断面図である。 電磁石を偶数個具えた実施例を、回転軸を中心とする円周面で断面にして展開した展開断面図である。 電磁石を奇数個具えた実施例を、回転軸を中心とする円周面で断面にして展開した展開断面図である。 ステータの組立方法を、回転軸を中心とする円周面で断面として展開した展開図上で説明するものであり、(a)は、各電磁石を矢の向きにステータブラケットに嵌入する様子を示し、(b)は、上記方法によって組み立てられたステータを示す。 従来のステータ組み立て体を、回転軸を周回する円筒面で断面にして展開した展開断面図である。 ステータブラケットによって分境されたステータエレメント5の両端部それぞれにコイルを巻回する構造を、回転軸を周回する円筒面で断面にして展開した展開断面図である。
符号の説明
1 ステータ
2,3 ロータ
4,4a,4b,4c 電磁石
5 ステータエレメント
6 コイル
7,7,7,7,7 インシュレータ
7i インシュレータ凸部
8 ステータブラケット
9 打ち抜き部分
10,11 空隙(アキシャルギャップ)
12 凹部
13,14,15,16 空隙
17 孔

Claims (6)

  1. 回転電機のステータを挟むように、2枚のロータを回転軸方向に対向配置して、これらステータおよびロータ間の対向面を回転軸に直角とし、
    該ステータには複数個の電磁石を共通なステータブラケットで回転軸の周方向に配列した回転電機において、
    各電磁石の中心には磁性体からなるステータエレメントを夫々配置し、前記2枚のロータ間の略中央にあるステータエレメント中央部を前記ステータブラケットに固定し、
    前記ステータブラケットを、回転軸を中心とする円盤状とし、前記ステータエレメントを固定するための打ち抜き部分を、回転軸の周方向に複数配置し、
    隣り合う前記打ち抜き部分間のステータブラケット部分を、回転軸に対して傾斜させて形成し、
    該ステータブラケットによって分境されたステータエレメント両端部のうち、一端部にコイルを巻回し、これらステータエレメントおよびコイル間にインシュレータを介挿して一方の前記電磁石とし、該電磁石と隣り合うステータエレメントには、ステータブラケットからみて前記コイルとは反対側にあるステータエレメントの一端部にコイルを巻回し、これらステータエレメントおよびコイル間にインシュレータを介挿して隣り合う他方の前記電磁石とし、これら隣り合う一方および他方の電磁石を回転軸の周方向に連続配置することにより、ステータブラケットからみてコイルを交互に巻回したことを特徴とする回転電機。
  2. 請求項に記載の回転電機において、
    前記打ち抜き部分を内径方向に拡大し、あるいは、該打ち抜き部分を外径方向に拡大したことを特徴とする回転電機。
  3. 請求項に記載の回転電機において、
    前記一方の電磁石のステータエレメントを固定する一方の打ち抜き部分を内径方向に拡大し、前記他方の電磁石のステータエレメントを固定する他方の打ち抜き部分を外径方向に拡大し、これら隣り合う一方および他方の打ち抜き部分を回転軸の周方向に連続配置することにより、打ち抜き部分を内径方向および外径方向に交互に拡大したことを特徴とする回転電機。
  4. 前記電磁石を奇数個具えた請求項のいずれか1項に記載の回転電機において、
    これら複数の電磁石から選択した1個の電磁石のステータエレメントに、前記ステータブラケットを交差するよう斜めにコイルを巻回したことを特徴とする回転電機。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の回転電機において、
    前記コイルの表面のうち少なくとも前記ステータブラケットと隣り合う部分をインシュレータで包囲し、該インシュレータとステータブラケットとを接合したことを特徴とする回転電機。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の回転電機を組み立てるに際し、
    前記一方および他方の電磁石が有するステータエレメントの一端部にコイルを巻回し、該コイルには帯状インシュレータの一端を結着し、
    前記一方の電磁石が有するステータエレメントの他端を、前記ステータブラケットに嵌入して、ステータエレメント中央部をステータブラケットに固定し、
    前記他方の電磁石が有するステータエレメントを固定するステータブラケット固定位置には、該他方の電磁石が有するステータエレメントの他端を、前記嵌入方向と反対方向に嵌入して、
    この嵌入の際、該他端が、前記一方の電磁石のコイルに結着した帯状インシュレータを、この嵌入方向に折り曲げながら該コイルおよび該他端間に入れ込むことを特徴とする回転電機の組み立て方法。
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