JP4816120B2 - 回転電機およびその組み立て方法 - Google Patents
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Description
この技術につき例示すると、第1に、回転電機のステータが、複数のティースを有するステータコアを具えており、各ティースにコイルを巻回してティースの数だけ電磁石を構成する技術がある。第2に、鉄心などの磁性体にコイルを巻回した電磁石を予め複数個製作しておき、これら複数個の電磁石を共通なステータブラケットで配列・固定する技術がある。この第2の技術に拠れば、別途の製造ラインで電磁石を多量生産しておき、組み立てラインで一度に配列・固定すればステータを完成することが可能であるため、第1の技術に比べて製造工程の所要時間を短縮することができ、組み立て効率が向上する。
図9は、上記した回転電機のステータの組み立て構造を、回転軸を周回する円筒面で断面にし、この断面を展開した状態を模式的に示す展開断面図である。
図9に基づき説明すると、回転軸を中心とするステータAは、複数の電磁石B,B・・・によって組み立てられている。電磁石Bは、回転軸方向に延在する鉄心であるステータエレメントCと、ステータエレメントCに巻回したコイルDと、これらステータエレメントCおよびコイルD間に入れ込んで両者C,D間を絶縁するインシュレータEとから構成される。そして、電磁石Bの回転軸方向両端を夫々共通するステータブラケットFとステータブラケットGとで固定する。これにより電磁石B,B・・・を周方向等間隔に配列する。
電磁石Bの回転軸方向両端はロータHと、ロータIとそれぞれ対向する。したがって、ステータブラケットFはロータHおよびステータA間で発生する磁界に位置することになり、ステータブラケットIもロータIおよびステータA間で発生する磁界に位置することになる。そうすると、ステータブラケットF,G内でループ電流が発生する。
ループ電流はジュール熱を発生させ、ひいては回転電機の運転効率を悪化させるという弊害が生じる。
回転電機のステータを挟むように、2枚のロータを回転軸方向に対向配置して、これらステータおよびロータ間の対向面を回転軸に直角とし、
該ステータには複数個の電磁石を共通なステータブラケットで回転軸の周方向に配列した回転電機を前提とする。
そして、各電磁石の中心には鉄心などのステータエレメントを夫々配置し、前記2枚のロータ間の略中央にあるステータエレメント中央部を前記ステータブラケットに固定する。
前記ステータブラケットを、回転軸を中心とする円盤状とし、前記ステータエレメントを固定するための打ち抜き部分を、回転軸の周方向に複数配置し、隣り合う前記打ち抜き部分間のステータブラケット部分を、回転軸に対して傾斜させて形成する。
該ステータブラケットによって分境されたステータエレメント両端部のうち、一端部にコイルを巻回し、これらステータエレメントおよびコイル間にインシュレータを介挿して一方の前記電磁石とし、
該電磁石と隣り合うステータエレメントには、ステータブラケットからみて前記コイルとは反対側にあるステータエレメントの一端部にコイルを巻回し、これらステータエレメントおよびコイル間にインシュレータを介挿して隣り合う他方の前記電磁石とし、
これら隣り合う一方および他方の電磁石を回転軸の周方向に連続配置することにより、ステータブラケットからみてコイルを交互に巻回したことを特徴としたものである。
また本発明の構成によれば、ステータブラケットによって分境されたステータエレメント両端部のうち、一端部にコイルを巻回したため、両端部にそれぞれコイルを巻回する構成よりもインシュレータの使用量を低減することができる。したがって、図9に示す従来例と比較してコイルの巻線量が減少してしまうという弊害を回避することができる。
さらに本発明の構成によれば、隣り合う一方および他方の電磁石を回転軸の周方向に連続配置することにより、ステータブラケットからみてコイルを交互に巻回したため、ステータ内にコイルを密に配置することができる。したがって、従来のステータと比較してコイルの巻線量が不足するといった弊害が生じることがない。
図1は、本発明の一実施例になる回転電機を、回転軸を中心とする円周面で断面として展開した展開図である。また図2は、同実施例のステータブラケットを、回転軸方向からみた正面図である。
ロータ2,3は、内部に永久磁石(図示しない)を複数個具え、ステータ1から磁力を与えられて回転する。ロータ2,3は、図示しない出力軸と一体に結合し、該出力軸からロータ2,3の回転を出力として取り出す。
孔17の周囲には、孔17を取り巻くよう周方向に複数の打ち抜き部分9を配列する。打ち抜き部分9は、打ち抜き工程において円盤から台形形状を打ち抜くよう形成され、円盤の両面を貫通する切り欠きになっている。しかし孔17や打ち抜き部分9を、文字通り打ち抜き工程で設けるのではなく、鋳造工程や切削工程やその他の方法によりで設けてもよいこと勿論である。
ステータエレメント5を軸方向に直角な断面にしてみると、打ち抜き部分9の台形形状(図2)と同一である。したがってステータブラケット8は打ち抜き部分9でステータエレメント5中央部を固定し、ステータエレメント5は周方向にずれることもなく、回転軸の径方向にずれることもない。
電磁石4aのインシュレータ7は樹脂であり、図1に示すように、空隙10に隣接する部分7eと、ステータエレメント5に隣接する部分7fと、ステータブラケット8に隣接する部分7gとを具え、これら3つの部分が一体にステータエレメント5およびコイル6に付着する。
図2に示す正面図はステータブラケット8の片方面を示すが、表面および裏面を共通に示す。つまり、両面に凹部12を複数個設けることにより、1つの打ち抜き部分9につき2つの凹部12を配置する。
インシュレータ7には凸部7iを立設しておき、この凸部7iを凹部12に嵌合させて、インシュレータ7をステータブラケット8に係止する。コイル6とステータエレメント5との間に介在するインシュレータ7fは、両者5、6を接着していることから、上記係止によって、電磁石4の固定を確実にすることができ、電磁石4は軸方向にずれることがない。
ステータブラケット8でループ電流が発生することを軽減することができる。したがって、ジュール熱の発生を効果的に防ぎ、回転電機の運転効率を高めることができる。
このことにつき、図10に示すように、ステータエレメント5の両端部5x,5yそれぞれにコイル6xとコイル6yとを巻回する構成と比較しつつ詳説する。
円盤状のステータブラケット8でステータエレメント5中央部を固定することにより、ステータエレメント5の軸方向両端はステータブラケット8によって分境される。これら両端部を5x,5yとする。
ステータエレメント5一端部5xにコイル6xを巻回し、これら一端部5xおよびコイル6x間にはインシュレータ7を介在させる。インシュレータ7は、空隙10に隣接する部分7pと、ステータエレメント5に隣接する部分7qと、ステータブラケット8に隣接する部分7rとを具える。同様に、他端部5yにコイル6yを巻回し、これら他端部5yおよびコイル6y間にはインシュレータ7を介在させる。インシュレータ7も、空隙11に隣接する部分7sと、ステータエレメント5に隣接する部分7tと、ステータブラケット8に隣接する部分7uとを具える。
隣り合うコイル6xと6xとの間には空隙15を設け、両者が接触しないよう離隔する。
また、隣り合うコイル6yと6yとの間にも空隙16を設け、両者が接触しないよう離隔する。
したがって図1に示す本実施例では、図9に示す従来例と比較してコイルの巻線量が減少してしまうということがない。
したがって、拡大した打ち抜き部分19を設けることにより、ステータ1およびロータ2(3)間における磁束量を増大して回転電機の効率を向上させることができる。
他の実施例になるステータブラケット18は、図4に示すように円盤状であり、打ち抜き部分の形状を特徴とする。つまり前述した打ち抜き部分19に代えて、周方向に複数配列した打ち抜き部分を、外径方向および内径方向に交互に拡大したものである。
打ち抜き部分9の形状は台形を基調とするが、各打ち抜き部分9を外径方向に拡大して、幅の広い打ち抜き部分20を更に設ける。隣りの打ち抜き部分9を内径方向に拡大して幅の広い打ち抜き部分21を更に設ける。そして上記を繰り返す構成により、内径方向および外径方向に交互に拡大する。
これにより、隣り合う電磁石4,4同士で磁気回路が短絡することを低減することができる。
したがって、拡大した打ち抜き部分20,21を設けることにより、ステータ1およびロータ2(3)間における磁束量を増大して回転電機の効率を向上させることができる。
前述した図1に示す実施例では、ステータブラケット8のうち隣り合う打ち抜き部分9,9間のステータブラケット部分が、回転軸に対して傾斜するのではなく直角方向に形成されている。これに対し、図5に示す別の実施例では、ステータブラケット28のうち隣り合う打ち抜き部分9,9間のステータブラケット部分を、回転軸方向に対して傾斜させて形成したことを特徴とする。
そしてステータブラケット28の傾斜面28gをコイル6のインシュレータ7gに密着させる。
したがって、コイル6の熱を、ステータブラケット28を経て効果的に放熱することができ、回転電機の冷却性能が向上する。
そこで、図7に示すように、電磁石4aと電磁石4bとを同数個を設け、かつ、ステータエレメント5cに、ステータブラケット8を交差するよう斜めにコイル6cを巻回した電磁石4cを1個設ける。
電磁石が奇数個であってもステータ内にコイルを密に配置することができる。
帯状インシュレータ7hは、この一端から結着していない他端まで延在する短冊形状である。あるいは、コイル6外縁と同形状の薄板四角形であって、その一辺をコイル6外縁に結着してもよい。これら電磁石4のステータエレメント5(5a,5b)を共通なステータブラケット8で未だ固定していない状態では、帯状インシュレータ7hは上記結着部分を除きコイル6から離れている。
上記の押し込む際、インシュレータ凸部7iが凹部12に圧入され、インシュレータ7gがステータブラケット8に係止する。
この嵌入の際、他方の電磁石4bの他端5tが、一方の電磁石4aのコイル6aに結着した帯状インシュレータ7hを、この嵌入方向に折り曲げながらコイル6aおよび他方の電磁石4bの他端5t間に入れ込む。
各電磁石4(4a,4b)の中心には磁性体からなるステータエレメント5(5a,5b)を夫々配置する。2枚のロータ2,3間の略中央にあるステータエレメント5中央部をステータブラケット8に固定する。
このステータブラケット8によって分境されたステータエレメント5aの両端部のうち、一端部にコイル6aを巻回し、ステータエレメント5aおよびコイル6a間にインシュレータ7を介挿して一方の電磁石4aとする。電磁石4aと隣り合うステータエレメント5bには、ステータブラケット8からみて前記コイル6aとは反対側にある一端部にコイル6bを巻回する。これらステータエレメント5bおよびコイル6b間にインシュレータ7を介挿して隣り合う他方の前記電磁石4bとする。これら隣り合う一方の電磁石4aおよび他方の電磁石4bを回転軸の周方向に連続配置することにより、ステータブラケット8からみてコイル6を交互に巻回した。
また図1に示す実施例では、ステータエレメント両端部にそれぞれコイルを巻回する図10に示すような構成よりも、インシュレータの使用量を低減することができる。したがって、図9に示す従来例と比較してコイルの巻線量が減少してしまうという弊害を回避することができる。
さらに、ステータブラケット8からみてコイル6を、6a,6b,6a,6b・・・と交互に巻回したことから、ステータ1を軸方向からみたときにコイル6aとコイル6bとを重ねて配置することがことが可能になり、ステータ1にコイルを密に配置することができる。したがって、従来のステータと比較してコイルの巻線量が不足するといった弊害が生じることがない。
この構成に加えて、ステータブラケット28を熱伝導率の高い材料で形成することにより、コイル6で発生する熱を、ステータブラケット28を介して、回転電機外に速やかに放熱することができ、回転電機内部が高温になることを防止することができる。
また図7に示す奇数個の実施例では、1個の電磁石4cのステータエレメント5cに、ステータブラケット8を交差するよう斜めにコイル6cを巻回したことから、残る複数の電磁石4を図3に示す同一形状にして、ステータブラケット8で分境される一方側と他方側とに交互に配置することができる。
この結果、ステータブラケット8による電磁石4の固定を確実にすることができ、電磁石4は軸方向にずれることがない。
この嵌入の際、ステータエレメント5bの他端5tが、一方の電磁石4aのコイル6aに結着した帯状インシュレータ7hを、この嵌入方向に折り曲げながらコイル6aおよびステータエレメント5bの他端5t間に入れ込む。
2,3 ロータ
4,4a,4b,4c 電磁石
5 ステータエレメント
6 コイル
7,7,7,7,7 インシュレータ
7i インシュレータ凸部
8 ステータブラケット
9 打ち抜き部分
10,11 空隙(アキシャルギャップ)
12 凹部
13,14,15,16 空隙
17 孔
Claims (6)
- 回転電機のステータを挟むように、2枚のロータを回転軸方向に対向配置して、これらステータおよびロータ間の対向面を回転軸に直角とし、
該ステータには複数個の電磁石を共通なステータブラケットで回転軸の周方向に配列した回転電機において、
各電磁石の中心には磁性体からなるステータエレメントを夫々配置し、前記2枚のロータ間の略中央にあるステータエレメント中央部を前記ステータブラケットに固定し、
前記ステータブラケットを、回転軸を中心とする円盤状とし、前記ステータエレメントを固定するための打ち抜き部分を、回転軸の周方向に複数配置し、
隣り合う前記打ち抜き部分間のステータブラケット部分を、回転軸に対して傾斜させて形成し、
該ステータブラケットによって分境されたステータエレメント両端部のうち、一端部にコイルを巻回し、これらステータエレメントおよびコイル間にインシュレータを介挿して一方の前記電磁石とし、該電磁石と隣り合うステータエレメントには、ステータブラケットからみて前記コイルとは反対側にあるステータエレメントの一端部にコイルを巻回し、これらステータエレメントおよびコイル間にインシュレータを介挿して隣り合う他方の前記電磁石とし、これら隣り合う一方および他方の電磁石を回転軸の周方向に連続配置することにより、ステータブラケットからみてコイルを交互に巻回したことを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記打ち抜き部分を内径方向に拡大し、あるいは、該打ち抜き部分を外径方向に拡大したことを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記一方の電磁石のステータエレメントを固定する一方の打ち抜き部分を内径方向に拡大し、前記他方の電磁石のステータエレメントを固定する他方の打ち抜き部分を外径方向に拡大し、これら隣り合う一方および他方の打ち抜き部分を回転軸の周方向に連続配置することにより、打ち抜き部分を内径方向および外径方向に交互に拡大したことを特徴とする回転電機。 - 前記電磁石を奇数個具えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転電機において、
これら複数の電磁石から選択した1個の電磁石のステータエレメントに、前記ステータブラケットを交差するよう斜めにコイルを巻回したことを特徴とする回転電機。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転電機において、
前記コイルの表面のうち少なくとも前記ステータブラケットと隣り合う部分をインシュレータで包囲し、該インシュレータとステータブラケットとを接合したことを特徴とする回転電機。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転電機を組み立てるに際し、
前記一方および他方の電磁石が有するステータエレメントの一端部にコイルを巻回し、該コイルには帯状インシュレータの一端を結着し、
前記一方の電磁石が有するステータエレメントの他端を、前記ステータブラケットに嵌入して、ステータエレメント中央部をステータブラケットに固定し、
前記他方の電磁石が有するステータエレメントを固定するステータブラケット固定位置には、該他方の電磁石が有するステータエレメントの他端を、前記嵌入方向と反対方向に嵌入して、
この嵌入の際、該他端が、前記一方の電磁石のコイルに結着した帯状インシュレータを、この嵌入方向に折り曲げながら該コイルおよび該他端間に入れ込むことを特徴とする回転電機の組み立て方法。
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