JP4815407B2 - 内燃機関の運転制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、内燃機関の運転制御装置が、スロットル弁の開度を検出するスロットル弁開度センサと、クランク軸が所定クランク角を回転するのに要した時間を検出する時間検出手段と、混合気形成手段である燃料噴射弁から供給される燃料量を設定する空燃比制御手段とを備え、該空燃比制御手段が、スロットル弁の開度に基づいて燃料量を設定する制御と、時間検出手段により検出された時間から算出された吸入空気量に基づいて燃料量を設定する制御とを、内燃機関の運転域に応じて切り換えて行うものが知られている(例えば特許文献1参照)。この運転制御装置によれば、燃料供給量を設定するために、時間検出手段により検出された時間から吸入空気量が算出されるので、エアフローメータや吸気圧センサが不要になって、運転制御装置のコストが削減される。
また、燃費の改善およびエミッション性能の向上を図るために、混合気形成手段から供給される燃料供給量の基本量を内燃機関の状態を検出する機関状態検出手段により検出された機関状態に基づいて設定すると共に、排気ガスの成分から空燃比を検出する空燃比センサ(例えば酸素濃度センサ)により検出された空燃比に基づいて該基本量を補正して燃料量を設定する内燃機関の運転制御装置はよく知られている。
ところが、排気ガスの成分を検出する空燃比センサは、活性状態となる温度以上でなければ、正常な信号を発生しない。そして、内燃機関が冷機状態、すなわち暖機完了前の状態にあるときなどには、空燃比センサが活性状態になっていないことがあるため、空燃比センサに基づく空燃比制御が停止され、その間は、高精度の空燃比制御を行うことが困難になる。例えば、スロットル弁開度に基づいて空燃比制御が行われる場合、アイドル運転時および低負荷運転時などのスロットル弁の低開度時は、吸入空気量の変化量が大きい運転時であるために、空燃比制御の精度を高めるのは容易ではない。
そこで、空燃比センサが活性化するまでの時間を短くするためには、空燃比センサをヒータで加熱すればよいが、該ヒータを設けるために、コストが増加する。
同様に、空燃比センサを含む機関状態検出手段が異常状態にあるときや故障したときにも、精度の高い運転制御は困難になる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の運転制御装置において、前記暖機状態検出手段は、前記空燃比センサの検出信号に基づいて前記暖機状態を検出し、前記空燃比センサがエンジンの暖気が終了して検出素子が所定温度に達して、空燃比を正確に反映できる状態になったときに前記内燃機関の暖機完了を検出するものである。
請求項2記載の事項によれば、暖機状態検出手段は、空燃比センサの検出信号に基づいて、空燃比センサが活性状態になったときに暖機完了を検出するので、暖機完了前の特定時制御から、暖機完了後の空燃比センサの検出信号に基づいて燃料量が設定される通常時制御への切換時期の精度が高められて、空燃比センサに基づく空燃比制御によるエミッション性能または燃費改善の向上が可能になる。
図1を参照すると、本発明が適用された運転制御装置(以下、単に「運転制御装置」という。)を備える内燃機関Eは、単気筒4ストローク内燃機関であり、機械としての車両、例えば自動二輪車または鞍乗り型車両に搭載される。
内燃機関Eは、ピストン3が往復動可能に嵌合するシリンダブロック1および該シリンダブロック1に結合されるシリンダヘッド2を有する機関本体と、吸入空気を機関本体においてピストン3とシリンダヘッド2との間に形成された燃焼室4に導く吸気通路5aを形成する吸気装置5と、吸入空気に燃料を供給して混合気を形成する混合気形成手段としての燃料噴射弁20を備える運転制御装置と、燃焼室4内で混合気が点火栓21aにより点火されて燃焼して発生した燃焼ガスを排気ガスとして内燃機関Eの外部に導く排気通路6aを形成する排気装置6とを備える。
動弁装置23は、機関弁である吸気弁13および排気弁14の弁作動特性である弁リフト量および開閉時期の少なくとも一方を機関状態に応じて変更可能とする弁特性可変機構23aを備える可変動弁装置である。
したがって、前記両パルス間でのクランク軸7の平均角速度ωaは、次式からECU24により算出される。
ωa=θ/τ
ここで、τは、両パルス間の時間である。
また、クランク軸7の角速度ωの変動量Δωも、クランク角センサ25の検出信号に基づいてECU24により算出される。具体的には、変動量Δωは、クランク角センサ25により検出されるクランク軸7の特定のクランク位置での角速度ωと機関回転速度Neとの差として、次式により算出される。
Δω=ωa−Ne
このように、機関状態検出手段の一部である回転速度検出手段31および変動量検出手段32、さらに、後で詳述する暖機状態検出手段33および異常検出手段34は、それぞれECU24の機能として、該ECU24に備えられる。
同様に、ECU24は、O2センサ27の検出信号Soに基づいて、検出信号Soが正常な範囲内にない状態が所定時間以上継続しているときや、内燃機関Eの冷却水や潤滑油の温度などの機関温度や運転時間から判断して内燃機関Eの暖機が完了していることが明らかである場合にも一定の検出信号Soが所定時間以上継続しているときなどに、O2センサ27が故障または異常であると判断する。そして、ECU24がスロットル弁開度センサ26およびO2センサ27が故障または異常であると判断する機能が、スロットル弁開度センサ26およびO2センサ27が異常であることを検出する異常検出手段34を構成する。
ステップS1で、異常検出手段34の検出信号Sa(図1参照)に基づいてスロットル弁開度センサ26またはO2センサ27が異常であるか否かが判断され、この判断が否定されてスロットル弁開度センサ26およびO2センサ27がいずれも正常であるとき、ステップS2に進んで、暖機状態検出手段33の検出信号Sw(図1参照)に基づいてO2センサ27が活性状態にある(すなわち内燃機関Eの暖機が完了した)か否かが判断される。ステップS2の判断が肯定されるとき、ステップS3に進んで、スロットル弁開度センサ26により検出されたスロットル弁11の開度αおよび回転速度検出手段31により検出された機関回転速度Neに基づいて基本量マップMbが検索されて、燃料噴射弁20から噴射される燃料量Qのうち、開度αおよび機関回転速度Neに応じた基本量Qbが設定される。次いで、ステップS4で、O2センサ27の検出信号Soに基づいて補正用マップMoが検索されて、該検出信号Soに応じて基本量Qbが補正されて、燃料量Qが設定される。次いで、ステップS5では、燃料量Qを噴射するための駆動信号が燃料噴射弁20に出力されて、燃料噴射弁20が燃料量Qの燃料を吸入空気に噴射する。
これにより、内燃機関Eがエアフローセンサおよび吸気圧センサを備えることなく、吸入空気量に応じた点火時期、排気ガス還流量および弁作動特性による内燃機関Eの運転制御が行われる。
空燃比制御手段40は、暖機状態検出手段33により内燃機関Eの暖機が完了したことが検出されたとき、および、異常検出手段34によりスロットル弁開度センサ26およびO2センサ27が異常であることが検出されないときに、スロットル弁開度センサ26により検出されたスロットル弁11の開度αおよび回転速度検出手段31により検出された機関回転速度Neに基づいて燃料量Qの基本量Qbを設定すると共に基本量QbをO2センサ27により検出された空燃比を示す検出信号Soに基づいて補正して燃料量Qを設定する通常時制御を行い、暖機状態検出手段33により内燃機関Eの暖機が完了前であることが検出されたとき、および、異常検出手段34によりスロットル弁開度センサ26またはO2センサ27が異常であることが検出されたときに、変動量検出手段32により検出された変動量Δωおよび機関回転速度Neに基づいて特定時燃料量Qsを設定する特定時制御を行う。
これにより、空燃比制御手段40は、燃料噴射弁20から供給される燃料量Qを、暖機完了後には、基本量QbがO2センサ27の検出信号Soにより補正されるフィードバック制御である通常時制御により設定するので、O2センサ27による精度の高い空燃比制御による運転制御が行われて、エミッション性能が向上し、または燃費が改善される。
また、空燃比制御手段40は、暖機完了前にはO2センサ27が活性状態にない可能性があるため、該O2センサ27による空燃比制御を行うことなく、および、スロットル弁開度センサ26またはO2センサ27が異常であるときには前記通常時制御による空燃比制御を行うことができないので、燃料量Qを吸入空気量と等価である変動量Δωに基づいて設定する。この結果、O2センサ27により機関状態としての空燃比を正常に検出できない場合、および、スロットル弁開度センサ26およびO2センサ27により機関状態としての開度αおよび空燃比をそれぞれ正常に検出できない場合でも、燃料量Qを設定するために必要な吸入空気量を検出するエアフローメータや吸気圧センサが不要であるので、運転制御装置のコストが削減されると共に、内燃機関Eの暖機が完了する前、および、スロットル弁開度センサ26またはO2センサ27が異常であるときにも、吸入空気量に応じた高い精度の空燃比制御を行うことができて、エミッション性能の向上および燃費の改善に寄与する。
クランク軸7の角速度ωの変動量Δωは、前記実施形態ではクランク軸7の角速度ωを直接検出した検出値に基づくものであったが、クランク軸7と同期して回転する回転軸(例えば、動弁装置23のカム軸または内燃機関Eの補機の駆動軸)の角速度ωを検出することにより、クランク軸7の角速度ωを間接的に検出した検出値に基づくものであってもよい。
酸素濃度センサは、排気ガス中の酸素濃度(すなわち空燃比)をリニアに検出するLAFセンサであってもよい。この場合、目標空燃比が希薄空燃比に設定されることにで、燃費の改善が可能になる。
変動量Δωは、1サイクルの圧縮行程以外の行程におけるものであってもよい。
内燃機関Eは、車両以外の機械に搭載されてもよい。
E…内燃機関、Ne…機関回転速度、Δω…変動量、α…開度、Sa,So,St,Sw…検出信号。
Claims (2)
- 内燃機関の状態を検出する機関状態検出手段と、吸入空気に燃料を供給する混合気形成手段と、前記混合気形成手段により供給される燃料量を設定する空燃比制御手段とを備える内燃機関の運転制御装置において、
前記機関状態検出手段は、前記内燃機関のスロットル弁の開度を検出するスロットル弁開度センサと、前記内燃機関の排気ガスの成分から空燃比を検出する空燃比センサと、前記内燃機関のクランク軸の角速度の変動量を検出する変動量検出手段と、前記内燃機関の暖機状態を検出する暖機状態検出手段とを備え、
前記空燃比制御手段は、前記スロットル弁開度センサにより検出された前記開度に基づいて前記燃料量の基本量を設定すると共に前記基本量を前記空燃比センサにより検出された前記空燃比に基づいて補正して前記燃料量を設定する通常時制御と、前記変動量検出手段により検出された前記変動量に基づいて前記燃料量を設定する特定時制御とを行い、
前記空燃比制御手段は、前記暖機状態検出手段により前記内燃機関の暖機が完了前であることが検出されたとき前記特定時制御を行い、前記暖機状態検出手段により前記内燃機関の暖機が完了したことが検出されたとき、前記通常時制御を行うことを特徴とする内燃機関の運転制御装置。 - 前記暖機状態検出手段は、前記空燃比センサの検出信号に基づいて前記暖機状態を検出し、前記空燃比センサがエンジンの暖気が終了して検出素子が所定温度に達して、空燃比を正確に反映できる状態になったときに前記内燃機関の暖機完了を検出することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の運転制御装置。
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