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JP4808760B2 - 放射線検出器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホトダイオードアレイを備える放射線検出器の製造方法に関する。
この種のホトダイオードアレイとして、従来から、光入射面側と裏面側とを接続する貫通配線(電極)により、ホトダイオードアレイからの出力信号を裏面側に電気的に接続するタイプの表面入射型ホトダイオードアレイが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示されているホトダイオードアレイは、図17に示すように光電変換部の本体となるホトダイオード144a、144b、144c、・・・144nが形成されている各々の拡散層151から信号を取り出す配線152がホトダイオードアレイ144の表面に形成され、その配線152がSi配線基板153の表裏を貫通する貫通配線154に接続されるように延設されている。また、ホトダイオード144の裏面側には貫通配線154に接続したバンプ155が形成され、配線152、貫通配線154とSi配線基板153との間がシリコン酸化膜の絶縁膜156a、156b、156cによって絶縁されている。
特開2001−318155号公報
ところで、上述のホトダイオードアレイ、例えばCT用ホトダイオードアレイを実装するには、チップを吸着するコレットとして、平コレットと角錐コレットを使用することができるが、通常フリップチップボンディングを行う場合は平コレットが使用されている。CT用ホトダイオードアレイは、チップ面積が大きく(例えば、1辺20mmの矩形状)、図16(b)に示すように、通常のマウンタで使用される角錐コレット161を使用すると、チップ162と角錐コレット161との隙間163により反り返りを生じ、この反り返りにより位置ずれを生じて実装精度が低下するおそれがある。また、フリップチップボンディングの際には加熱や加圧が必要となるが、角錐コレット161では熱伝達の効率が良くなくしかも、加えられる圧力によって、チップエッジに損傷がもたらされるおそれもあり、角錐コレット161は薄いチップには不向きである。このような理由からフリップチップボンディングを行う場合は、図16(a)に示すように、チップ面に面接触する平コレット160でチップ162を吸着しつつ、そのチップ162にヒータブロック164から熱と圧力を加えている。
しかしながら、平コレット160を使用すると、チップ162のチップ面全体が平コレット160に接触することになる。このチップ162において、平コレット160に接触するチップ面は、光検出部、すなわち、ホトダイオードアレイを構成する不純物拡散層が形成されている光入射面である。この光入射面となるチップ面全体が平コレット160に接触して加圧および加熱を受けると、光検出部自体が物理的なダメージ(損傷)を受けてしまう。そうなると、表面傷による外観不良や特性劣化(暗電流や雑音増加など)が光検出部にもたらされる。
また、フリップチップボンディング以外、ホトダイオードアレイ1をシンチレータに一体化してCT用センサとする場合にも、シンチレータが直接光検出部に接触すると、シンチレータの取り付け時におけるダメージを生じる。
そこで、本発明は上記課題を解決し、実装時、シンチレータ取り付け時におけるホトダイオードアレイのダメージによる特性劣化を防止することが可能なホトダイオードアレイを備える放射線検出器の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本件発明の放射線検出器の製造方法は、ホトダイオードアレイと、該ホトダイオードアレイの被検出光の入射面側に取り付けられ、入射した放射線により発光するシンチレータパネルとを備える放射線検出器の製造方法であって、第1導電型の半導体からなる半導体基板に、該半導体基板の両側表面を貫通する貫通配線を形成する第1工程と、半導体基板の片側表面について、所定の領域に不純物を添加して複数の第2導電型の不純物拡散層を形成し、各不純物拡散層と半導体基板とによる複数のホトダイオードをアレイ状に配列して設ける第2工程と、半導体基板の片側表面側に、少なくともホトダイオードが形成された領域を被覆し、当該ホトダイオードの形成領域を保護するクッション層として機能する膜厚1〜50μmの透明樹脂膜を設ける第3工程とにより、ホトダイオードアレイを製造し、その後の、ホトダイオードアレイを実装配線基板に実装する工程と、ホトダイオードアレイの透明樹脂膜上に、シンチレータパネルを、シンチレータパネルから出射された光を透過する光学樹脂を介して取り付ける工程とによって製造する。
この放射線検出器の製造方法におけるホトダイオードアレイは、樹脂膜が、ホトダイオードが形成された領域と実装時に使用される平コレットとの間に介在することになるため、ホトダイオードが樹脂膜により実装時に使用される平コレットに直に接触することなく保護され、加圧によるストレスや加熱によるストレスを受けることがない。
また、シンチレータ取り付け時のダメージも回避することができる。
シンチレータパネルはホトダイオードアレイの表面側(入射面側)に取り付けられているが、ホトダイオードアレイは、その表面側に透明樹脂膜が設けられている。そのため、シンチレータパネルの裏面(光出射面)は透明樹脂膜に接触するが、直接ホトダイオードの形成領域に接することはない。また、シンチレータパネルの光出射面は、光透過特性が劣化しないように配慮した光学樹脂を介して取り付けられ、この光学樹脂により、シンチレータパネルから出射された光が効率よくホトダイオードアレイに入射するようになっている。
上記ホトダイオードアレイは、上記樹脂膜を、半導体基板の入射面側全体に設けたものが好ましい。このホトダイオードアレイは、樹脂膜により、各ホトダイオードの形成領域全体を確実に被覆することができ、しかも容易に製造することができる。
また、上記ホトダイオードアレイにおいて、半導体基板には、隣接するホトダイオードの間に、各ホトダイオードを分離する不純物領域(分離層)が設けられているとよい。これらのホトダイオードアレイは分離層により表面リークが抑えられるために、隣接するホトダイオード同士が電気的に確実に分離されている。
そして本発明の放射線検出器の製造方法におけるホトダイオードアレイの製造においては、第1導電型の半導体からなる半導体基板に、半導体基板の両側表面を貫通する貫通配線を形成する第1工程と、半導体基板の片側表面について、所定の領域に不純物を添加して複数の第2導電型の不純物拡散層を形成し、各不純物拡散層と半導体基板とによる複数のホトダイオードをアレイ状に配列して設ける第2工程と、半導体基板の片側表面側に、少なくともホトダイオードが形成された領域を被覆し、当該ホトダイオードの形成領域を保護するクッション層として機能する膜厚1〜50μmの透明樹脂膜を設ける第3工程とを備えている。
このホトダイオードアレイの製造方法によれば、半導体基板の入射面側に、ホトダイオードの形成領域を被覆する樹脂膜を設けて、ホトダイオードアレイを製造することができる。上記ホトダイオードアレイの製造方法において、上記第1工程は、半導体基板に複数の穴部を形成する工程と、その各穴部を含む半導体基板の少なくとも片側表面に導電性被膜を形成する工程と、半導体基板を研磨して導電性被膜を除去する工程を備えるようにすることができる。
これらのホトダイオードアレイの製造方法は、上記第1工程よりも後に、隣接する不純物を添加する領域の間に別の不純物を添加して第1導電型の不純物領域を設ける工程を更に備えるようにすることができる。この製造方法によれば、隣接する各ホトダイオードが確実に分離されたホトダイオードアレイが得られる。
得られたホトダイオードアレイを実装配線基板に実装する工程と、ホトダイオードアレイの透明樹脂膜上に、シンチレータパネルを、シンチレータパネルから出射された光を透過する光学樹脂を介して取り付ける工程とによって製造された放射線検出器は、ホトダイオードアレイの光入射面に形成されたホトダイオードが、樹脂膜により保護されて実装時における加圧や加熱によるダメージやシンチレータ取り付け時のダメージを受けることなく保護され、これらによるノイズや暗電流増加などによる特性劣化を防止できる。
本発明によれば、放射線検出器の製造方法において、実装時、シンチレータ取り付け時におけるホトダイオードのダメージによるノイズや暗電流などの発生を効果的に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るホトダイオードアレイ1を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明においては、光Lの入射面を表面とし、その反対側の面を裏面する。以下の各図においては、図示の都合上、寸法が適宜変更されている。
ホトダイオードアレイ1は、pn接合による複数のホトダイオード4が縦横に規則正しいアレイ状に2次元配列されて、その一つ一つのホトダイオード4がホトダイオードアレイ1の一画素としての機能を有し、全体で一つの光検出部を構成している。
ホトダイオードアレイ1は厚さが150〜500μm(好ましくは400μm)程度で、不純物濃度が1×1012〜1015/cm3程度のn型(第1導電型)シリコン基板3を有している。n型シリコン基板3の表面および裏面は、厚さ0.05〜1μm(好ましくは0.1μm)程度のSiO2からなるパッシベーション膜2が形成されている。また、ホトダイオードアレイ1はその表面側において、不純物濃度が1×1015〜1020/cm3で、膜厚が0.05〜20μm程度(好ましくは0.2μm)のp型(第2導電型)不純物拡散層5が縦横の規則正しいアレイ状に2次元配列されている。この各p型不純物拡散層5とn型シリコン基板3とによるpn接合がホトダイオード4を構成している。
そして、各p型不純物拡散層5の存在する領域がホトダイオード4の形成されている領域(形成領域)で、それ以外の領域がホトダイオードの形成されない非形成領域となっていて、その表面側に、少なくともホトダイオード4の形成領域全体を被覆し得る透明樹脂膜6が、表面側全体に設けられている。
この透明樹脂膜6はホトダイオード4全体からなる光検出部の保護膜となり入射面側に配置されるものであるから、ホトダイオードアレイ4が検出する光(被検出光、例えば、後述するシンチレータパネル31の発生する蛍光)を透過し、その被検出光に対して光学的に透明な光透過性の樹脂、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド、シリコーン、フッ素、アクリレート等やそれらを基材とした複合素材からなっている。
また、透明樹脂膜6は、後述するように、フリップチップボンディングの際に平コレットに直に接触して、加圧され、加熱されるものであるから、この加圧や加熱から各ホトダイオード4を保護するクッション層としての機能を発揮し得る特性を具備しているのが好ましい。この場合、例えば熱膨張係数が1×10−6〜1×10−4/℃程度、弾性特性は弾性率10〜12000kg/cm2程度、熱伝導率は0.2〜1.85W/m℃とし、加熱により不純物イオンがホトダイオード4へ拡散せず、少なくとも後述するシンチレータパネル31からの光の吸収がなしえるような膜厚(1〜50μm(好ましくは10μm)程度)を有することが好ましい。
この透明樹脂膜6は、少なくともホトダイオード4の形成領域全体を被覆し得る範囲に設ければよい。この要件を満たしていれば、1つの透明樹脂膜6でホトダイオード4の形成領域全体を被覆してもよく、透明樹脂膜6をホトダイオード4毎に分けて個別に形成し、その非形成領域において、一部形成されない欠落部6aが形成されていてもよい(図14参照)。しかし、製造工程を簡易にするという点では、1つの透明樹脂膜6を表面側全体に設けたほうが好ましい(この点については後に詳述する)。
また、ホトダイオードアレイ1は、ホトダイオード4それぞれについて、貫通配線8を有している。各貫通配線8はn型シリコン基板3の表面側と裏面側を貫通して直径10μm〜100μm程度(好ましくは50μm程度)に形成されていて、リンの濃度が1×1015〜1020/cm3程度のポリシリコンからなり、その表面側はアルミニウムからなる電極配線9(膜厚は1μm程度)を介してp型不純物拡散層5に電気的に接続され、裏面側は同じくアルミニウムからなる電極パッド10(膜厚は0.05μm〜5μm、好ましくは1μm程度)が電気的に接続されている。また、その各電極パッド10に、Ni−Auからなるアンダーバンプメタル(UBM)11を介して半田のバンプ電極12が接続されている。各貫通配線8はホトダイオード4の形成されない非形成領域に設けているが、それ以外の部分に設けてもよい。
さらに、図示したホトダイオードアレイ1は、p型不純物拡散層5同士の間、すなわち、隣接するホトダイオード4,4の間に、n型不純物領域(分離層)7を深さ0.5〜6μm程度で設けている。このn型不純物領域(分離層)7は、隣接するホトダイオード4,4を電気的に分離する機能を有するもので、これを設けることにより、隣接するホトダイオード4,4が電気的に確実に分離され、ホトダイオード4同士のクロストークを低減することができる。しかし、ホトダイオードアレイ1はこのn型不純物領域7は設けなくても実用上十分許容し得る程度の光検出特性を有している。
図2は、ホトダイオードアレイ1を構成する半導体チップ30の側面図およびその要部を拡大して示す断面図である。図2に示すように、半導体チップ30は幅W1が22.4mm程度で、厚さDが約0.3mmの極めて薄い板状であり、上述のホトダイオード4を多数有し(例えば16×16個の2次元配置)、隣接する画素間のピッチW2が1.4mm程度の大面積(例えば22.4mm×22.4mm)のチップである。
そして、以上のように構成されたホトダイオードアレイ1は、表面側から光Lが入射すると、その被検出光Lが透明樹脂膜6を透過した後、各p型不純物拡散層5に入射し、その入射光に応じたキャリアを各ホトダイオード4が生成する。生成されたキャリアによる光電流は、各p型不純物拡散層5に接続された電極配線9および貫通配線8を介して、さらに裏面側の各電極パッド10とUBM11を介してバンプ電極12から取り出される。このバンプ電極12からの出力によって、入射光の検出が行われる。
上述のとおり、ホトダイオードアレイ1は、ホトダイオード4の形成領域全体を被覆し得る透明樹脂膜6が表面側に設けられている。そのため、半導体チップ30を平コレットに吸着してフリップチップボンディングを行う場合は、この透明樹脂膜6が平コレットに接触し、その平コレットとホトダイオード4の形成領域との間に介在する恰好で配置される。これにより、光検出部を構成するホトダイオード4の形成領域はこの透明樹脂膜6により保護され、平コレットに直接接触することはない。したがって、ホトダイオードアレイ1は光検出部が加圧によるストレスや加熱によるストレスを直接受けないので、光検出部自体が物理的なダメージ(損傷)を受けることもなく、そのようなダメージに起因するノイズや暗電流などの発生を抑制することができる。よって、ホトダイオードアレイ1は高精度な(S/N比が高い)光検出を行うことができる。また、透明樹脂膜6は、各ホトダイオード4を保護し得るクッション層としての機能を発揮し得るから、平コレットに吸着する際の物理的な衝撃を吸収することもでき、この点でも効果的である。
また、後述するように、フリップチップボンディング以外、例えばホトダイオードアレイ1をシンチレータに一体化してCT用センサとする場合にも、シンチレータが直接光検出部に接触することがないから、シンチレータの取り付け時におけるダメージも回避することができる。
ところで、上述したホトダイオードアレイ1は次のように構成されていてもよい。例えば、図11に示すように孔部15の側壁にもリンを拡散させ、n型不純物領域7を貫通配線8の周囲に設けてもよい。こうすると、穴部14を形成した際のダメージ層からの不要なキャリアをトラップすることができ、暗電流を抑制することができる。この場合の添加するリンの濃度は、1×1015〜1020/cm3程度、n型不純物領域7の厚さ(深さ)は、0.1〜5μm程度にするとよい。
また図12に示すように、孔部15内のシリコン酸化膜20の上に膜厚が0.1〜2μm程度のシリコン窒化膜26を設けてもよい。こうすると、n型シリコン基板3と貫通配線8との絶縁を確実にして動作不良を低減することができる。
さらに、裏面側にもリンをドープして拡散させ、図13に示すように、n型不純物領域7を設けてもよい。この場合は、裏面からカソード電極16をとることができる。こうすると、カソードのための貫通配線を設ける必要がなくなるのでダメージの低減につながり、暗電流の低減、不良率の低減につながる。もちろん、必要に応じては表面に形成されているn+型不純物領域7から貫通配線を設けてカソードとしての電極を裏面側に出しても構わない。
次に、本実施形態に係るホトダイオードアレイ1の製造方法について、図3〜図10に基づいて説明する。
まず、厚さ150〜500μm(好ましくは400μm)程度のn型シリコン基板3を準備する。続いて、図3に示すように、ICP−RIEにより、n型シリコン基板3の表面(以下この面が表面で、反対側の面が裏面となる)側に、直径10μm〜100μm(好ましくは50μm)程度の貫通していない穴部14を、n型シリコン基板3の厚さに応じた深さ(例えば100〜350μm程度)でホトダイオード4に対応して複数形成した上で、基板の表面および裏面に熱酸化を施し、シリコン酸化膜(SiO)20を形成する。各穴部14には、後に貫通配線8が形成される。シリコン酸化膜(SiO)20は後述の貫通配線8とn型シリコン基板3との電気的絶縁を実現するものとなる。
次に、図4に示すように、不純物としてリンを添加した導電性被膜として、ポリシリコン膜21を基板の表面と裏面あるいは表面のみに形成すると同時に、穴部14をその不純物を添加して低抵抗化したポリシリコンにより穴埋めする。続いて、図5に示すように、基板の表面および裏面を研磨して、表面と裏面に形成されたポリシリコン膜21を除去するとともに、表面と裏面から穴部14に埋めたポリシリコンを露出させ、両側表面を貫通する孔部15とした上で前述の埋めたポリシリコンを貫通配線8となし、再度、基板の表面および裏面に熱酸化を施し、シリコン酸化膜22を形成する。このシリコン酸化膜22は後続の工程においてn熱拡散のマスクとして利用される。
そして、n型シリコン基板3の表面側のシリコン酸化膜22について、所定のホトマスクを用いたパターニングを行い、n型不純物領域7を設けようとする領域のみ開口し、その開口された部分(開口部)からリンを拡散させてn型不純物領域7を設ける(n型不純物領域7を設けない場合はこの工程(不純物領域形成工程)を省略してもよい)。その後再び基板の表面および裏面に熱酸化を施してシリコン酸化膜23を形成する(図6参照)。このシリコン酸化膜23は後続の工程において、p型不純物拡散層5を形成する際のマスクとして利用される。
続いて、シリコン酸化膜23について、所定のホトマスクを用いたパターニングを行い、各p型不純物拡散層5を形成しようとする領域のみ開口する。そしてその開口部からボロンを拡散させ、p型不純物拡散層5を縦横のアレイ状に2次元配列で形成する。その後再び基板の表面および裏面に熱酸化を施しシリコン酸化膜24を形成する(図7参照)。これにより、各p型不純物拡散層5とn型シリコン基板3のpn接合によるホトダイオード4が縦横のアレイ状に2次元配列で形成され、このホトダイオード4が画素に対応する部分となる。
さらに、各貫通配線8が形成されている領域にコンタクトホールを形成する。続いて、表面および裏面それぞれについてアルミニウム金属膜を全面に形成した上で、所定のホトマスクを用いてパターニングを行い、その金属膜の不要な部分を除去して、表面側に電極配線9、裏面側に電極パッド10をそれぞれ形成する(図8参照)。図にはアノードの電極取り出しのみを示している。表面からカソードの電極を取る場合には、図示していないが、n型不純物領域7から電極配線9と貫通配線8を介して裏面に取り出すことができる。
次に、n型シリコン基板3の表面側に、透明樹脂膜6の材料となるエポキシ樹脂やポリイミド、シリコーン、フッ素、アクリレート等あるいはそれらを基材とした複合材料の樹脂を塗布し、それをスピンコーティングまたはスクリーン印刷法により全面に広げて硬化させ、透明樹脂膜6を設ける。この透明樹脂膜6を設けることにより、光検出部を構成するホトダイオード4の形成領域が保護されることとなる。なお、透明樹脂膜6に上述の欠落部6aを形成する場合は、欠落部6aの部分から、塗布した樹脂を除去すればよいが、そうしても、ホトダイオード4の形成領域は保護される。
そして、各電極パッド10にバンプ電極12を設けるが、そのバンプ電極12として半田を用いる場合、半田はアルミニウムに対する濡れ性が悪いので、各電極パッド10とバンプ電極12を仲介するためのUBM11を各電極パッド10に形成し、そのUBM11に重ねてバンプ電極12を形成する(図10参照)。以上の工程を経ることにより、実装時におけるダメージに起因するノイズが発生せず、高精度な光検出を行えるホトダイオードアレイ1を製造することができる。
この場合、UBM11は、無電解メッキにより、Ni−Auを用いて形成するが、リフトオフ法により、Ti−Pt−AuやCr−Auを用いて形成してもよい。また、バンプ電極12は、半田ボール搭載法や印刷法で所定のUBM11に半田を形成し、リフロすることによって得られる。なお、バンプ電極12は、半田に限られるものではなく、金バンプ、ニッケルバンプ、銅バンプでもよく、導電性フィラー等の金属を含む導電性樹脂バンプでもよい。
次に、本発明の放射線検出器の実施形態について説明する。図15は、本実施形態に係る放射線検出器40の側断面図である。この放射線検出器40は、放射線を入射して、その放射線によって生じた光を光出射面31aから出射するシンチレータパネル31と、シンチレータパネル31から出射された光を光入射面から入射し、電気信号に変換する上述のホトダイオードアレイ1とを備えている。この放射線検出器40は、本発明に係るホトダイオードアレイ1を備えることを特徴としている。
シンチレータパネル31はホトダイオードアレイ1の表面側(入射面側)に取り付けられているが、ホトダイオードアレイ1は、その表面側に上述した透明樹脂膜6が設けられている。そのため、シンチレータパネル31の裏面、すなわち光出射面31aは透明樹脂膜6に接触するが、直接ホトダイオード4の形成領域に接することはない。また、シンチレータパネル31の光出射面31aと、透明樹脂膜6との間には光透過特性が劣化しないように配慮した屈折率を有する光学樹脂35が充填され、この光学樹脂35により、シンチレータパネル31から出射された光が効率よくホトダイオードアレイ1に入射するようになっている。この光学樹脂35はシンチレータパネル31から出射された光を透過する性質を有するエポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を用いることができ、これらを基材とした複合材料を用いてもよい。
そして、ホトダイオードアレイ1を図示しない実装配線基板上にボンディングする際には平コレットで表面を吸着する。しかし、ホトダイオードアレイ1の表面には、上述した透明樹脂膜6が設けられているため、平コレットの吸着面が直接光検出部に接することはなく、またシンチレータパネル31を取り付けたことによってその光出射面31aがホトダイオード4の形成領域に直接接することもない。したがって、このようなホトダイオードアレイ1とシンチレータパネル31とを有する放射線検出器40は、実装時における光検出部のダメージによるノイズや暗電流などの発生を防止することができるから、光検出が精度よく行われ、放射線の検出も精度良く行える。
実施形態に係るホトダイオードアレイの要部を拡大して模式的に示す断面図である。 ホトダイオードアレイを構成する半導体チップの側面図およびその要部を拡大して示す断面図である。 実施形態のホトダイオードアレイの製造工程の途中の過程を示す要部拡大断面図である。 図3の後続の工程を示す要部拡大断面図である。 図4の後続の工程を示す要部拡大断面図である。 図5の後続の工程を示す要部拡大断面図である。 図6の後続の工程を示す要部拡大断面図である。 図7の後続の工程を示す要部拡大断面図である。 図8の後続の工程を示す要部拡大断面図である。 図9の後続の工程を示す要部拡大断面図である。 実施形態に係る別のホトダイオードアレイの要部を拡大して模式的に示す断面図である。 実施形態に係るさらに別のホトダイオードアレイの要部を拡大して模式的に示す断面図である。 実施形態に係るさらにまた別のホトダイオードアレイの要部を拡大して模式的に示す断面図である。 欠落部付の透明樹脂膜を有するホトダイオードアレイの要部を拡大して模式的に示す断面図である。 実施形態に係るホトダイオードアレイを有する放射線検出器の要部を拡大して模式的に示す断面図である。 半導体チップをコレットにより吸着した状態を模式的に示し、(a)は平コレットにより吸着した状態を示す断面図、(b)は角錐コレットにより吸着した状態を示す断面図である。 従来技術のホトダイオードアレイを示す断面図である。
符号の説明
1…ホトダイオードアレイ、3…n型シリコン基板
4…ホトダイオード、6…透明樹脂膜、8…貫通配線
9…電極配線、31…シンチレータパネル
35…光学樹脂、40…放射線検出器

Claims (4)

  1. ホトダイオードアレイと、該ホトダイオードアレイの被検出光の入射面側に取り付けられ、入射した放射線により発光するシンチレータパネルとを備える放射線検出器の製造方法であって、
    第1導電型の半導体からなる半導体基板に、該半導体基板の両側表面を貫通する貫通配線を形成する第1工程と、
    前記半導体基板の片側表面について、所定の領域に不純物を添加して複数の第2導電型の不純物拡散層を形成し、各不純物拡散層と前記半導体基板とによる複数のホトダイオードをアレイ状に配列して設ける第2工程と、
    前記半導体基板の前記片側表面側に、少なくとも前記ホトダイオードが形成された領域を被覆し、当該ホトダイオードの形成領域を保護するクッション層として機能する膜厚1〜50μmの透明樹脂膜を設ける第3工程と
    により、ホトダイオードアレイを製造し、
    その後の、前記ホトダイオードアレイを実装配線基板に実装する工程と、
    前記ホトダイオードアレイの前記透明樹脂膜上に、前記シンチレータパネルを、前記シンチレータパネルから出射された光を透過する光学樹脂を介して取り付ける工程と
    によって製造する放射線検出器の製造方法。
  2. 前記第1工程は、前記半導体基板に複数の穴部を形成する工程と、該各穴部を含む前記半導体基板の少なくとも片側表面に導電性被膜を形成する工程と、前記半導体基板を研磨して前記導電性被膜を除去する工程と
    を備える請求項1記載の放射線検出器の製造方法。
  3. 前記第1工程よりも後に、隣接する前記不純物を添加する領域の間に別の不純物を添加して第1導電型の不純物領域を設ける工程を更に備える請求項1または2記載の放射線検出器の製造方法。
  4. 前記透明樹脂膜は、弾性率が10〜12000kg/cmである請求項1〜3のいずれか1項記載の放射線検出器の製造方法。

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