JP4808523B2 - 無鉛ガソリン及びその製造方法 - Google Patents
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一般に、高オクタン価ガソリンとして、重質で芳香族分含有量の多い高オクタン価基材を配合し、特定の蒸留性状及び成分組成を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような、ガソリンの重質化、吸気バルブへのデポジットの付着を改善するには、軽質・高オクタン価基材を配合することが重要であると考えられる。
しかしながら、MTBEの環境面への影響が懸念され、現在は日本国内でのMTBEを配合したガソリンの生産・販売が自制されている。MTBEはオクタン価が高い基材であるために、MTBEの配合を中止する場合には、それに代わる高いオクタン価基材が必要とされている。その中で、ガソリンのオクタン価低下を補い、また環境負荷が低いと考えられる、MTBE以外の含酸素有機化合物が新しいガソリン基材として注目されている。中でも、エタノールは、オクタン価も高く、芳香族分やオレフィン分を含まず、バイオマスとして考える場合には再生可能燃料としてとらえることができるといった利点を有している(例えば、非特許文献1参照)。
エタノールをガソリンに配合したものとしては、エタノール1〜10容量%と、ベースガソリン90〜99容量%とを含有し、ベースガソリン全量を基準として、ノルマルパラフィン系炭化水素と、イソパラフィン系炭化水素と、オレフィン系炭化水素と、芳香族系炭化水素との関係を式に表したものがある(例えば、特許文献3参照、特許文献4参照)。しかし、これらはエタノールの配合による見かけのモーター法オクタン価が、配合するベースガソリンによって異なることにより、エタノール配合ガソリンのモーター法オクタン価を正確に予測することができないという課題から生まれた発明であり、エタノール配合ガソリンによる自動車の始動性や加速性については改善が必要である。
即ち、本発明は、下記無鉛ガソリン及びその製造方法を提供する。
[1] エタノール(EtOH)を1〜15容量%含み、かつ、以下の性状を満足することを特徴とする無鉛ガソリン。
(1)リサーチ法オクタン価(RON)が89以上97未満
(2)モーター法オクタン価(MON)が79以上87未満
(3)リード蒸気圧(RVP)が45〜93kPa
(4)50%留出温度(T50)が89.5〜110℃
(5)70℃留出量(E70)が36.5〜40容量%
(6)130℃留出量(E130)が68〜92容量%
(7)芳香族分含有量が5〜19.2容量%
(8)オレフィン分含有量が5〜27容量%
(9)ベンゼン含有量が1容量%以下
(10)硫黄分含有量が10質量ppm以下
(11)炭素数9以上の芳香族分/全芳香族分の容量比が0.80以下
[2] 脱ベンゼン接触改質ガソリン、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリン、脱ベンゼン重質接触改質ガソリン、接触分解ガソリン、脱硫軽質ナフサ、アルキレート、C4留分、アイソメレート、イソペンタン、トルエン、キシレン、及び炭素数9以上の芳香族を主体とする成分からなる群より選ばれる1種以上をさらに含有することを特徴とする上記[1]に記載の無鉛ガソリン。
[3] 1種以上のガソリン基材に、エタノール(EtOH)を1〜15容量%配合し、かつ、以下の性状を満足するように調製することを特徴とする無鉛ガソリンの製造方法。
(1)リサーチ法オクタン価(RON)が89以上97未満
(2)モーター法オクタン価(MON)が79以上87未満
(3)リード蒸気圧(RVP)が45〜93kPa
(4)50%留出温度(T50)が89.5〜110℃
(5)70℃留出量(E70)が36.5〜40容量%
(6)130℃留出量(E130)が68〜92容量%
(7)芳香族分含有量が5〜19.2容量%
(8)オレフィン分含有量が5〜27容量%
(9)ベンゼン含有量が1容量%以下
(10)硫黄分含有量が10質量ppm以下
(11)炭素数9以上の芳香族分/全芳香族分の容量比が0.80以下
[4] 前記ガソリン基材が、脱ベンゼン接触改質ガソリン、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリン、脱ベンゼン重質接触改質ガソリン、接触分解ガソリン、脱硫軽質ナフサ、アルキレート、C4留分、アイソメレート、イソペンタン、トルエン、キシレン、及び炭素数9以上の芳香族を主体とする成分からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする上記[3]に記載の無鉛ガソリンの製造方法。
本発明の無鉛ガソリンに用いられるエタノール(EtOH)は、純度が92.0容量%以上であって、好ましくは95.0容量%以上、更に好ましくは99.5容量%以上である。
エタノールの製造方法は特に限定されるものではなく、一般的に製造される全てのエタノールが使用可能である。
エタノールの含有量は、エタノール配合ガソリン全量に対し1容量%以上15容量%以下の範囲にあり、好ましくは3容量%以上15容量%以下である。1容量%以上であれば、エタノール配合によるオクタン価向上の利点が得られ、15容量%以下とすることで他のガソリン基材との共沸現象により蒸発特性が著しく変化することがなく、ガソリン自動車の適正な運転性が確保できる。
%である。このオレフィン分含有量が30容量%以内であれば、酸化安定性の低下を防ぐことができる。なお、このオレフィン分含有量は、石油学会法JPI-5S-33-90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値である。
し、環境汚染を低減できる可能性がある。なお、このベンゼン含有量は、石油学会法JPI-5S-33-90(ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した値である。
(イ)重質の直留ナフサなどを接触改質法(プラットフォーミング法、マグナフォーミング法、アロマイジング法、レニフォーミング法、フードリフォーミング法、ウルトラフォーミング法、パワーフォーミング法等)により、水素気流中で高温・加圧下で触媒(例えば、アルミナ担体に白金やロジウムと塩素とを担持したもの等)と接触処理して得られた改質ガソリンからベンゼン留分を蒸留により取り除いた脱ベンゼン接触改質ガソリン。
(ロ)上記接触改質法により接触処理して得られた改質ガソリンを蒸留により、軽質留分、ベンゼン留分、重質留分に分けた内の軽質留分(脱ベンゼン軽質接触改質ガソリン)及び重質留分(脱ベンゼン重質接触改質ガソリン)。
(ハ)灯・軽油から常圧残油に至る石油留分、好ましくは重質軽油や減圧軽油を、従来から知られている接触分解法、特に流動接触分解法(UOP法、シェル二段式法、フレキシ
クラッキング法、ウルトラオルソフロー法、テキサコ法、ガルフ法、ウルトラキャットクラッキング法、RCC法、HOC法等)により、固体酸触媒(例えば、シリカ・アルミナにゼオライトを配合したもの等)で分解して得られる接触分解ガソリン。
(ニ)原油を常圧蒸留した直留ナフサを脱硫処理して得られた脱硫直留ナフサを蒸留により、軽質留分と重質留分に分けた内の軽質留分である脱硫軽質ナフサ。
(ホ)イソブタンと低級オレフィン(ブテン、プロピレン等)を原料として、酸触媒(硫酸、フッ化水素、塩化アルミニウム等)の存在下で反応させて得られるアルキレート。
(ヘ)原油や粗油等の常圧蒸留時、改質ガソリン製造時、あるいは分解ガソリン製造時等に蒸留して得られるブタン、ブテン類を主成分としたC4留分。
(ト)直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化によって得られるアイソメレート、あるいはアイソメレートを精密蒸留して得られるイソペンタン、接触改質ガソリンから得られるトルエン、キシレン、あるいは炭素数9以上の芳香族を主体とする成分等。
接触分解装置、接触改質装置又は常圧蒸留装置から生成するC4留分(ブタン、ブテン類)、表2に示す性状の脱ベンゼン接触改質ガソリン、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリン、脱ベンゼン重質接触改質ガソリン、接触分解ガソリン、アルキレート、脱硫軽質ナフサ、及びEtOHを表3に示す配合比で配合することにより、表3に記載する性状のガソリンを得た。
実施例1、2に記載のC4留分(ブタン、ブテン類)、脱ベンゼン接触改質ガソリン、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリン、脱ベンゼン重質接触改質ガソリン、接触分解ガソリン、アルキレート、及び脱硫軽質ナフサを表3に示す配合比で配合することにより、表3に記載する性状のガソリンを得た。
これらの評価ないし試験方法を以下に記し、結果を表3に示す。
クランキング開始から完爆までの時間(エンジンが自力で回転が続けられるようになるまでの時間)で評価した。
(加速性)
エンジン始動後、10秒間アイドリングを行い、アクセル開度50%で車速が40km/hに到達するまでの時間で評価した。
(デメリット点数)
CRC(Coordinating Research Council)Report No.483評価方法に準拠して評価した。
評価方法としては、発生した現象の程度によって与えられるデメリット点数(Σ=デメリット評点×不具合の係数)により判断した。
なお、アイドル時及び走行中ストールは演算せず、それぞれの係数を加算した。点数が小さい方が性能が優れていることを示す。
総排気量2L、MPI方式、オートマチックトランスミッション(AT)の車両を用い、−10℃の試験温度条件で、1サイクル約30分(エンジン始動⇒10−20km/hの加減速を10回繰り返し⇒28分間冷却)の繰返し試験を行い、そのプラグの絶縁抵抗を測定することによりプラグの汚損度を測定した。なお、プラグのくすぶりは、プラグの絶縁抵抗値が100MΩ以下で発生したと判定した。
Claims (4)
- エタノール(EtOH)を1〜15容量%含み、かつ、以下の性状を満足することを特徴とする無鉛ガソリン。
(1)リサーチ法オクタン価(RON)が89以上97未満
(2)モーター法オクタン価(MON)が79以上87未満
(3)リード蒸気圧(RVP)が45〜93kPa
(4)50%留出温度(T50)が89.5〜110℃
(5)70℃留出量(E70)が36.5〜40容量%
(6)130℃留出量(E130)が68〜92容量%
(7)芳香族分含有量が5〜19.2容量%
(8)オレフィン分含有量が5〜27容量%
(9)ベンゼン含有量が1容量%以下
(10)硫黄分含有量が10質量ppm以下
(11)炭素数9以上の芳香族分/全芳香族分の容量比が0.80以下 - 脱ベンゼン接触改質ガソリン、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリン、脱ベンゼン重質接触改質ガソリン、接触分解ガソリン、脱硫軽質ナフサ、アルキレート、C4留分、アイソメレート、イソペンタン、トルエン、キシレン、及び炭素数9以上の芳香族を主体とする成分からなる群より選ばれる1種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の無鉛ガソリン。
- 1種以上のガソリン基材に、エタノール(EtOH)を1〜15容量%配合し、かつ、以下の性状を満足するように調製することを特徴とする無鉛ガソリンの製造方法。
(1)リサーチ法オクタン価(RON)が89以上97未満
(2)モーター法オクタン価(MON)が79以上87未満
(3)リード蒸気圧(RVP)が45〜93kPa
(4)50%留出温度(T50)が89.5〜110℃
(5)70℃留出量(E70)が36.5〜40容量%
(6)130℃留出量(E130)が68〜92容量%
(7)芳香族分含有量が5〜19.2容量%
(8)オレフィン分含有量が5〜27容量%
(9)ベンゼン含有量が1容量%以下
(10)硫黄分含有量が10質量ppm以下
(11)炭素数9以上の芳香族分/全芳香族分の容量比が0.80以下 - 前記ガソリン基材が、脱ベンゼン接触改質ガソリン、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリン、脱ベンゼン重質接触改質ガソリン、接触分解ガソリン、脱硫軽質ナフサ、アルキレート、C4留分、アイソメレート、イソペンタン、トルエン、キシレン、及び炭素数9以上の芳香族を主体とする成分からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3に記載の無鉛ガソリンの製造方法。
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