JP4803666B2 - 画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、特にビジネス文書で重視されるホワイト〜代表色、及び代表色〜ブラック色について、色相の連続性を保ちつつ色変わりの目立たない色再現が可能な画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
即ち、
請求項1の目的は、特に、代表色〜黒において滑らかに色相が変化する色再現が可能な画像処理装置を提供することである。
1.画像処理システムの全体構成
図1は、本発明に係る画像処理システムの構成を示す。図1において、100はコンピュータ、101はディスプレイ、102は画像出力装置、103、104は色空間変換部、105は色域マッピング部である。図1に示す画像処理システムは、コンピュータ100、コンピュータに接続されたディスプレイ101と画像出力装置102、コンピュータから供給されるデバイス固有の色信号(RGB信号)を色域マッピング部105で採用するデバイス・インディペンデントな色信号に変換するための色空間変換部103、色域マッピング部105の出力結果を画像出力装置102固有の色信号(CMY信号やCMYK信号など)に変換するための色空間変換部104、および色域マッピング部105を有している。画像出力装置102は、画像データをプリントアウトするための出力装置であって、例えば、カラープリンタやカラーファクシミリといった画像形成装置を用いることができる。
コンピュータ100は、コンピュータ内部の画像データを画像出力装置102を用いてプリントアウトするために画像データを出力する。この画像データは、通常ディスプレイで表示するためにR(赤)、G(緑)、B(青)の色成分からなる色信号である。コンピュータ100が送信したRGB信号は、色空間変換部103へ送信され、色域マッピング部105で処理するための色信号に変換される。色域マッピング部105で処理する色信号は、例えば、CIEで標準化されているCIECAM02のように明度、彩度、色相に相当する色成分を有する色信号であればよい。ここでは、色空間変換部103が、入力RGB信号をCIECAM02の明度J、彩度C、色相Hに準ずる色信号Pi(j,c,h)へ変換し、色域マッピング部105へ出力する。
図2は、本発明の色域マッピング部105の構成を示す。色域マッピング部105は、代表色設定部11、対応色決定部12、色相テーブル設定部13、入力信号補正部14、マッピング処理部15、出力デバイスのガマットデータ16から構成されている。
代表色設定部11及び色相テーブル設定部13は、代表色T(i)と、代表色から黒の等色相ラインに対する色相補正テーブルTable(i)を設定する。代表色とは、コンピュータ100から送出される色信号の内、特に色再現を制御したい色である。この代表色は規定の色を用いることもできるし、ユーザーが任意に設定することも可能であるが、通常はRGB空間における最大彩度色(例えば、R,G,B,C,M,Yなど)を設定する。また色相補正テーブルは、代表色から黒を結ぶ等色相ラインに対して、色相補正を行うためのテーブルであって、例えば等色相ラインの位置に対する色相の補正率などを設定する。
なお、出力デバイスのガマットデータとしては、特許文献6で提案しているような色相Hと明度Jに対する最高彩度Cmaxを表したガマットデータを用いることができる。
(1)代表色設定部11
代表色設定部11では、特に色再現を重視する代表色T(i)を設定する。代表色の設定方法としては、入力RGB信号値で指定する。また、ユーザーが指定する場合にダイアログ画面を表示して設定してもよい。特に設定しない場合には、オフィス文書で多用される、R,G,B,C,M,Yの1、2次色の飽和色を代表色として用いることにする。入力RGB信号値を8ビットで量子化した場合、6色の代表色はR(255、0、0)、G(0、255、0)、B(0、0、255)、C(0、255、255)、M(255、0、255)、Y(255、255、0)となる。なお、飽和色とは、例えばRGB信号値が(255、0、x)、(0、x、255)などの色である(xはドントケア)。
代表色が決まると、次に対応色決定部12において代表色T(i)に対する対応色M(i)を決定する。図4は、代表色T(i)と対応色M(i)との対応関係の一例を説明する図である。図4において、21は出力デバイスの色相ho上のガマットである。対応色Mと代表色Tの関係は3次元的な位置関係にあって1つの図で図示できないため、図4(a)に彩度cと色相hの関係図を示し、図4(b)に明度jと彩度cの関係図を示す。但し、図4(b)では、出力デバイスの色相hiにおけるガマット20と色相hoにおけるガマット21を同じ二次元上に重ねて図示している。また、比較のため代表色Tを色相一定でマッピングしたときのマッピング色Toも図示している。
色相テーブル設定部13では、代表色T(i)から黒を結ぶ等色相ラインに対して色相が代表色T(i)の色相ht(i)から対応色M(i)の色相hm(i)まで連続的に変化するような色相補正テーブルを設定する。本実施例では、等色相ラインとして図5の太線で示すように、入力色空間において代表色(代表点)から黒を結ぶラインを用いる。一方、白と代表色を結ぶラインに対しては、必ず対応色と同じ色相で再現するものとして色相補正テーブルは設定しない。
dx=Tx/Tj
として定義される。一方、色相補正率は、代表点の色相と対応点の色相との内分比を示しており、例えば、色相補正率が0の場合には、代表点と同一の色相に補正し、色相補正率が1の場合には対応点と同一の色相に補正することを意味する。図6の例では、変化率dxに対する色相補正率がhrxとなっており、入力色Xに対する再現色の色相hxは
hx=(hm−ht)*hrx+ht
となる。但し、htは代表色の色相、hmは対応色の色相である。
入力信号補正部14では、前述の色相補正テーブル及び対応点の情報に基づいて色空間変換部103から送出された入力信号Piの色相、明度、彩度を補正する。以下、図7、8を用いて具体的に説明する。図7は、実施例1の色相補正方法を説明する図であり、図8は、入力信号補正処理のフローチャートである。
入力信号をPi(j,c,h)、代表点T(i)に対する対応点をM(i)とする。また、代表点はR,G,B,C,M,Yの6点とし、1≦i≦6とする。また、代表点T(i)に対応した色相補正テーブルをTable(i)とする。
Diff_h(i−1)=Piの色相hs−代表点T(i−1)の色相ht(i−1)
Diff_h(i)=Piの色相hs−代表点T(i)の色相ht(i)
をそれぞれ求め、Diff_h(i−1)とDiff_h(i)の符号が反転するかどうかで簡単に求めることができる。
r=(PiとT(i−1)の色相の差)/(T(i)とT(i−1)の色相の差)
で求まる。
ds=j/jm
となる。一方、S13において、Piの明度jがPmaxの明度jmよりも高いと判定された場合は、ds=1とする。
h1=hr1*(jm1−jt1)+jt1
h2=hr2*(jm2−jt2)+jt2
で計算できる。ここで、jt1、jt2は、隣接代表点T1、T2の明度、jm1、jm2は、隣接代表点の対応色の明度である。そして、上記h1、h2を前述した色相の内分比rを用いて、次式で線形補間することにより、Piの補正後の色相hvを求める。
即ち、
hv=r*(h1−h2)+h2
となる。
jv=(jm2−jm1)*(j−jt1)/(jt2−jt1)+jm1
として求めることができる。
cv=c*(r*(cr1−cr2)+cr2)
但し、cr1は、代表色T1における彩度強調率、cr2は代表色T2における彩度強調率を意味する。なお、S16、S17の処理は必ずしも必要ではなく、その場合には、Piの明度j及び彩度cは変更せず、色相のみを補正するだけで良い。
マッピング処理部15では、入力信号補正部14で補正した色信号Pv(jv、cv、hv)を出力デバイスのガマットデータ16を参照しながら、出力可能な色信号Po(j′,c′,h′)に変換する。h′については、入力信号補正部14によって求めたhvと一致するので、マッピング処理部15では、残りのj′,c′を求めればよい。この際、PvとPoが同一色相上にあるものと仮想的に考えれば、マッピング処理はPv(jv,cv)からPo(j′,c′)への二次元的な変換を行うものと置き換えて考えることができる。但し、入力信号補正部14で明度補正を行っている場合、明度一定でガマット圧縮すれば代表色に対するマッピング後の色を対応色に一致させることができる。従って、本発明では、マッピング処理は明度一定で彩度のみ圧縮するが、従来(特許文献2、3)から提案されている同一色相面でのガマット処理をそのまま適用してもよい。
実施例1では、黒〜代表色の等色相ラインに対して色相補正テーブルを設定していた。本実施例では、黒〜代表色の等色相ラインおよび白〜代表色の等色相ラインに対して、色相補正テーブルを設定する。また、実施例1では、デバイス非依存なCIECAM02空間で等色相ラインを規定していた。しかし、PC上のアプリケーションでは、RGB空間で色指定を行う場合がほとんどであるため、デバイス非依存な色空間上の等色相ラインでは所望の色制御が困難な場合が生じる。例えば、プレゼンテーション資料で多用されるブルーから黒のグラデーションの場合、CIECAM02空間上の等色相ラインに一致しない。そこで、本実施例では、RGB空間上で指定される色に対して色相補正量を容易に制御できるように、デバイス依存信号であるHLS空間で色相ラインを設定する方法について説明する。
(1)代表色設定部11
代表色設定部11では、特に色再現を重視する代表色T(i)を、HLS信号値で設定する。例えば、代表色としてシアン色を指定する場合には、h=180、l=0.5、s=1.0となる。オフィス文書で多用される、R,G,B,C,M,Yの1、2次色の飽和色を代表色として用いるのであれば、いずれもl=0.5、s=1.0で、色相hのみが異なることになる。
代表色が決まると、次に対応色決定部12において代表色T(i)に対する対応色M(i)を決定する。但し、HLS空間でのユークリッド距離を用いて対応色を決定すると、知覚的な色差と合わないため、対応色M(i)は手動で設定する。この時、対応色としてプリンタで再現可能な色を指定するのは煩雑な操作が必要となるので、対応色M(i)の色相のみを設定するだけでよい。
色相テーブル設定部13では、代表色T(i)から黒を結ぶ等色相ライン及び白から代表色T(i)を結ぶ等色相ラインに対して色相が連続的に変化するような色相補正テーブルを設定する。図10は、本実施例における等色相ラインの概念図である。図では、R(代表色)を通る等色相ラインがM(代表色)よりの色相に補正され、Mを通る等色相ラインがRよりの色相に補正されている。また、WとRの間とWとMの間についても色相を微妙にずらしている。ここで、等色相ラインとは、HSL空間において色相Hが一定なラインを意味する。即ち、S=1で、0.5≦L≦1.0が代表色〜白のラインに該当し、S=1で、0.0≦L≦0.5が黒〜代表色のラインに該当する。このように、HLS空間で等色相ラインを定義した場合、RGB空間における等色相ライン(白〜シアン〜黒)と一致するラインに対して色相補正テーブルを設定することができるため、アプリケーションで使用頻度の高いグラデーションに対して直接的な色制御を行えると言うメリットがある。
入力信号補正部14では、前述の色相補正テーブル及び、対応点の情報に基づいて色空間変換部103から送出された入力信号Piの色相のみを補正する。以下、図12のフローチャートを用いて具体的に説明する。
入力信号をPi(js,cs,hs)、代表点T(i)に対する対応点をM(i)とする。また、代表点はR,G,B,C,M,Yの6点とし、1≦i≦6とする。また、代表点T(i)に対応した色相補正テーブルをH_table(i)とする。
Diff_h(i−1)=Piの色相hs−代表点T(i−1)の色相ht(i−1)
Diff_h(i)=Piの色相hs−代表点T(i)の色相ht(i)
をそれぞれ求め、Diff_h(i−1)とDiff_h(i)の符号が反転するかどうかで簡単に求めることができる。
r=(PiとT(i−1)の色相の差)/(T(i)とT(i−1)の色相の差)
で求まる。
h1=hr1*(jm1−jt1)+jt1
h2=hr2*(jm2−jt2)+jt2
ここで、jt1、jt2は、隣接代表点T1、T2の明度、jm1、jm2は、隣接代表点の対応色の明度である。
hv=r*(h1−h2)+h2
となる。
(5)マッピング処理部15
マッピング処理部15では、まず、入力信号補正部24で補正した色信号Pv(jv、cv、hv)をCIECAM02空間の色信号に変換する。そして、変換されたj、c、h信号を出力デバイスのガマットデータ16を参照しながら、出力可能な色信号Po(j′,c′,h′)に変換する。このガマット圧縮処理の具体的な方法は実施例1と同様である。
前述した実施例では、色相制御テーブルを対応色と代表色の色相に応じて設定するようにしていた。しかし、色相で設定するだけでは、等色相ラインと出力デバイスのガマットとの相対的な関係を適切に反映したような色相補正テーブルにはならない。そこで、本実施例では、出力デバイスのガマット形状によらず適切な色相補正テーブルの設定するための方法について図13を用いて説明する。
制御ポイントの明度変化率d=jxi/jt
制御ポイントの色相補正率hrx=(hyi−hx)/(ht−hx)
となる。上記の計算で求めた明度変化率と色相補正率の例を図15に示す。図15において○点が制御ポイントに対応するプロットである。制御ポイントごとに求めた色相補正率は必ずしも連続的な変化をするとは限らない。例えば、シアン色相の場合、出力デバイスの境界上に位置する制御ポイントにおいて不連続な変化が生じやすい。そこで、図15の○点を色相補正関数で曲線近似することにより、急激な色相変化を抑制する。例えば、色相補正関数としてn次式や指数関数などを用いることで滑らかに近似することができる。
上述した実施例では、彩度の低い色信号にも色相補正が施されてしまう。そこで、プリンタが再現可能な色信号はできるだけ補正しないようにするための実施例について、図16、図17を用いて説明する。
sr=(Ci−C1)/(C3−C1)
但し、Ciは入力信号Piの彩度値を表す。
入力信号Piの色相補正率=hr*sr
として求められる。P3の色相補正率は、実施例1、2で示した方法により求める。色相補正率が求まると、S44では、実施例1と同様にP3の色相とP3の対応色の色相を内分するようにして、Piの色相を計算する。このように彩度比率に応じて色相の補正率を変えることにより、色相補正率を徐々に変化させながら出力デバイスの縮小ガマット内は忠実な色再現を行うようにすることができる。
図18は、図1に示す画像処理システムをソフトウェアで実現する場合の構成例を示す。コンピュータ200は、プログラム読取装置203、全体を制御するCPU204、CPU204のワークエリア等として使用されるRAM205、CPU204の制御プログラム等が記憶されているROM206、ハードディスク207、NIC208、マウス209、キーボード210、画像データを表示するためのディスプレイ201、カラープリンタなどの画像形成装置202とを備えている。本画像処理システムは、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等で実現することができる。
また、本発明の色空間変換処理及びガマット変換処理を実現するためのプログラムは、記録媒体の形で提供されるのみならず、例えば、ネットワークを介した通信によってサーバから提供されるものでも良い。
101 ディスプレイ
102 画像出力装置
103、104 色空間変換部
105 色域マッピング部
Claims (4)
- 入力色信号を画像出力装置の色再現範囲内の色信号に変換する画像処理装置において、前記入力色信号の内、特定の信号値の色を代表色として設定する代表色設定手段と、前記代表色に対応する、前記画像出力装置の色再現範囲内の色信号の内、前記代表色と色差が最小となる色(以下、対応色)を決定する対応色決定手段と、前記代表色と黒を結ぶ等色相ライン上に、前記代表色の色相と前記対応色の色相の内分比に応じた色相補正率を設定する色相設定手段と、前記色相設定手段を参照して前記等色相ライン上における前記入力色信号の色相を、前記設定された色相補正率に応じて補正する色相補正手段と、前記色相が補正された前記入力色信号を前記画像出力装置の色再現範囲内の色信号にマッピングするマッピング手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
- 入力色信号を画像出力装置の色再現範囲内の色信号に変換する画像処理方法において、前記入力色信号の内、特定の信号値の色を代表色として設定する代表色設定工程と、前記代表色に対応する、前記画像出力装置の色再現範囲内の色信号の内、前記代表色と色差が最小となる色(以下、対応色)を決定する対応色決定工程と、前記代表色と黒を結ぶ等色相ライン上に、前記代表色の色相と前記対応色の色相の内分比に応じた色相補正率を設定する色相設定工程と、前記色相設定工程を参照して前記等色相ライン上における前記入力色信号の色相を、前記設定された色相補正率に応じて補正する色相補正工程と、前記色相が補正された前記入力色信号を前記画像出力装置の色再現範囲内の色信号にマッピングするマッピング工程とを備えることを特徴とする画像処理方法。
- 請求項2記載の画像処理方法をコンピュータに実現させる
ためのプログラム。 - 請求項2記載の画像処理方法をコンピュータに実現させる
ためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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