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JP4803324B2 - 車両のモータトラクション制御装置 - Google Patents

車両のモータトラクション制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ハイブリッド車や電気自動車等に適用され、駆動輪を駆動する動力源に少なくとも1つのモータが装備された車両のモータトラクション制御装置に関する。
駆動輪を駆動する動力源にモータが装備されたハイブリッド車や電気自動車等では、駆動輪が駆動スリップすると、駆動輪の駆動スリップに合わせてモータが過回転し、モータ駆動回路に過電流が発生するため、部品保護のためには駆動スリップを応答良く収束させる必要がある。この部品保護を目的として駆動スリップを収束させるモータトラクション制御装置は、駆動輪の回転角速度の変化率(角加速度)が所定値以上のときに駆動スリップが発生すると予測し、モータトルクを低下する構成とし、モータトルクの増加に伴って生じる駆動スリップを防止している(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−304514号公報
しかしながら、上記従来のモータトラクション制御装置にあっては、駆動スリップが生じやすい低μ路における部品保護を優先し、駆動スリップの発生が予測されると大きなモータトルクダウン量を与える構成としていたため、モータトルクダウン量が過大となり、駆動輪のポテンシャル(トラクション)を最大限まで使い切れていない。したがって、挙動安定性(=スタビリティ)の低下や加速のもたつき(=スタンブル)が発生してしまう、という問題がある。特に、駆動輪を駆動する動力源にモータが装備された車両は、モータによるトルクの増減応答性が速いので、このような現象がエンジン車に比べ生じやすい。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、モータトラクション制御時、部品保護とスタビリティの確保との両立を図ることができる車両のモータトラクション制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明における車両のモータトラクション制御装置では、駆動輪を駆動する動力源に装備された少なくとも1つのモータと、駆動輪の駆動スリップを検出し、モータトルクダウン制御により駆動輪のグリップを回復させるモータトラクション制御手段と、を備えた車両のモータトラクション制御装置において、
前記モータトラクション制御手段は、
部品保護のための第1トルクダウン量を演算する部品保護制御部と、車両挙動を安定させるための第2トルクダウン量を演算するスタビリティ制御部と、を有し、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量と前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量のうち、トルクダウン量が大きい方を制御目標トルクダウン量として選択すると共に、
前記部品保護制御部と前記スタビリティ制御部との一方を優先して選択する優先選択手段を有し、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量以上の場合には、優先順位のとおり前記部品保護制御部による第1トルクダウン量を制御目標トルクダウン量として選択し、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量の方が前記部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも大きい場合には、優先順位を無視して前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量を制御目標トルクダウン量として選択することを特徴とする。
よって、本発明の車両のモータトラクション制御装置にあっては、発進時や中間加速時等で駆動スリップが発生した場合、モータトラクション制御手段において、部品保護制御部による第1トルクダウン量とスタビリティ制御部による第2トルクダウン量のうち、トルクダウン量が大きい方が制御目標トルクダウン量として選択される。すなわち、部品保護制御部では、駆動スリップの発生を予測し、高い第1トルクダウン量が与えられるが、第1トルクダウン量を与えることで駆動輪のグリップ力が回復すると、逆に第1トルクダウン量は一気に低下し、この第1トルクダウン量の低下の途中において、スタビリティ制御部による第2トルクダウン量との大小関係が逆転することになる。よって、第1トルクダウン量≧第2トルクダウン量という関係にある間は第1トルクダウン量が選択されるため、部品保護制御部において、強電ユニットの回路部品を流れる過電流の発生やモータにより回転されるギヤ等の機械部品の過回転の発生が抑制される。その後、両トルクダウン量の関係が第1トルクダウン量<第2トルクダウン量という関係に変わると、第2トルクダウン量が選択されるため、スタビリティ制御部において、駆動輪のポテンシャルを最大限まで使い切れるように駆動スリップがコントロールされる。この結果、モータトラクション制御時、部品保護とスタビリティの確保との両立を図ることができる。また、部品保護制御部が優先して選択されているとき、スタビリティ制御部による第2トルクダウン量の方が部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも大きい場合には、優先順位を無視してスタビリティ制御部による第2トルクダウン量を制御目標トルクダウン量として選択するため、部品保護制御からスタビリティ制御への切り替え時、シームレスなトルク変化となり、車両挙動を安定させることができる。
参考例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車を示す全体システム図である。 参考例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車における駆動力性能特性図と駆動力概念図である。 参考例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車における回生協調による制動力性能をあらわす対比特性図である。 参考例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車における各車両モードを示す共線図である。 参考例1のハイブリッド車の強電ユニットを示すブロック図である。 参考例1の統合コントローラにて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。 参考例1でのモータトラクション制御のうち角加速度制御での第1トルクダウン量の特性の一例を示す図である。 参考例1でのモータトラクション制御のうちスリップ率制御を実行されるTCS制御量量を示す前後力の駆動力係数特性図および横力特性図である。 従来の角加速度制御を示す制御ブロック図である。 従来の角加速度制御での駆動輪車輪速特性と車体速特性とコーナリングパワー特性を示す図である。 従来の角加速度に基づくモータトラクションコントロールを用いた場合のアクセル開度・車両速度・駆動輪車速の各特性を示すタイムチャートである。 参考例1でのモータトラクション制御での駆動輪車輪速特性と車体速特性とコーナリングパワー特性を示す図である。 参考例2のモータトラクション制御装置においてスリップ率制御での第2トルクダウン量を演算する駆動力制限演算部を示すブロック図である。 参考例3のモータトラクション制御装置においてスリップ率制御での第2トルクダウン量を演算する駆動力制限演算部を示すブロック図である。 実施例1の統合コントローラにて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。 回転数センサとして用いられるレゾルバを示す図である。 VDCシステムが作動する状況を示す説明図である。 VDCシステムでの強い後輪横滑り傾向の判定と強い前輪横滑り傾向の判定と後輪横滑り傾向の緩和作用と前輪横滑り傾向の緩和作用との説明図である。 部品保護優先フラグがセットされているときの部品保護トルクダウン量とVDCトルクダウン量の特性・部品保護優先フラグ・従来のトルクダウン量選択特性・本発明(実施例1)でのトルクダウン量選択特性を示すタイムチャートである。 実施例2の統合コントローラにて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。 改善前(部品保護優先)のトルクダウン量特性と改善後(実施例2)のトルクダウン量特性との比較特性図である。 部品保護制御を適用する強電ユニットの一例を示すブロック図である。 部品保護制御を適用する強電ユニットの他例を示すブロック図である。
以下、本発明の車両のモータトラクション制御装置を実現する形態を、図面に示す実施例1,2に基づいて説明する。
[参考例1]
まず、ハイブリッド車の駆動系構成を説明する。
図1は参考例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車の駆動系を示す全体システム図である。参考例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2(モータ)と、出力スプロケットOS、動力分割機構TMと、を有する。
前記エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。
前記第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、パワーコントロールユニット3により作り出された三相交流を印加することによりそれぞれ独立に制御される。
前記両モータジェネレータMG1,MG2は、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この状態を「回生」と呼ぶ)。
前記動力分割機構TMは、サンギヤSと、ピニオンPと、リングギヤRと、ピニオンキャリアPCと、を有する単純遊星歯車により構成されている。そして、単純遊星歯車の3つの回転要素(サンギヤS、リングギヤR、ピニオンキャリアPC)に対する入出力部材の連結関係について説明する。前記サンギヤSには、第1モータジェネレータMG1が連結されている。前記リングギヤRには、第2モータジェネレータMG2と出力スプロケットOSとが連結されている。前記ピニオンキャリアPCには、エンジンダンパEDを介してエンジンEが連結されている。なお、前記出力スプロケットOSは、チェーンベルトCBや図外のディファレンシャルやドライブシャフトを介して左右前輪(駆動輪)に連結されている。
上記連結関係により、図4に示す共線図上において、第1モータジェネレータMG1(サンギヤS)、エンジンE(プラネットキャリアPC)、第2モータジェネレータMG2及び出力スプロケットOS(リングギヤR)の順に配列され、単純遊星歯車の動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデル(3つの回転数が必ず直線で結ばれる関係)を導入することができる。
ここで、「共線図」とは、差動歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸に各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギヤSとリングギヤRの歯数比λに基づく共線図レバー比(1:λ)になるように配置したものである。
次に、ハイブリッド車の制御系を説明する。
参考例1におけるハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、パワーコントロールユニット3(強電ユニット)と、バッテリ4(二次電池)と、ブレーキコントローラ5と、統合コントローラ6と、を有して構成されている。
前記統合コントローラ6には、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、から入力情報がもたらされる。なお、車速センサ8と第2モータジェネレータ回転数センサ11は、同じ動力分割機構TMの出力回転数を検出するもであるため、車速センサ8を省略し、第2モータジェネレータ回転数センサ11からのセンサ信号を車速信号として用いても良い。
前記ブレーキコントローラ5には、前左車輪速センサ12と、前右車輪速センサ13と、後左車輪速センサ14と、後右車輪速センサ15と、操舵角センサ16(操舵角検出手段)と、マスタシリンダ圧センサ17と、ブレーキストロークセンサ18と、ヨーレイトセンサ27と、横加速度センサ28と、から入力情報がもたらされる。
前記エンジンコントローラ1は、アクセル開度センサ7からのアクセル開度APとエンジン回転数センサ9からのエンジン回転数Neを入力する統合コントローラ6からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。
前記モータコントローラ2は、レゾルバによる両モータジェネレータ回転数センサ10,11からのモータジェネレータ回転数N1,N2を入力する統合コントローラ6からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、第1モータジェネレータMG1のモータ動作点(N1,T1)と、第2モータジェネレータMG2のモータ動作点(N2,T2)と、をそれぞれ独立に制御する指令をパワーコントロールユニット3へ出力する。なお、このモータコントローラ2は、バッテリ4の充電状態をあらわすバッテリS.O.Cの情報を用いる。
前記パワーコントロールユニット3は、より少ない電流で両モータジェネレータMG1,MG2への電力供給が可能な電源系高電圧システムによる強電ユニットを構成するもので、図5に示すように、ジョイントボックス3aと、昇圧コンバータ3bと、駆動モータ用インバータ3cと、発電ジェネレータ用インバータ3dと、コンデンサ3eと、を有する。前記第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、駆動モータ用インバータ3cが接続される。前記第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、発電ジェネレータ用インバータ3dが接続される。また、前記ジョイントボックス3aには、力行時に放電し回生時に充電するバッテリ4が接続される。
前記ブレーキコントローラ5は、低μ路制動時や急制動時等において、制動ロックの発生を防止するように、4輪のブレーキ液圧を独立に制御するブレーキ液圧ユニット19への制御指令を出力する「ABS制御」を行う。また、レーンチェンジ時や障害物の緊急回避時等において、車両の挙動安定性を確保するように、統合コントローラ6へのモータトラクション制御指令とブレーキ液圧ユニット19への制御指令を出力する「VDC制御」を行う(VDCとは、Vehicle Dynamics Controlの略で、他にもVSC(Vehicle Stability Control System)等と呼ばれることもある。)。さらに、エンジンブレーキやフットブレーキによる制動時や減速時等において、制動や減速のエネルギーを回収しながら要求制動力を得るように、統合コントローラ6への回生協調制御指令とブレーキ液圧ユニット19への制御指令を出す「回生協調ブレーキ制御」を行う。
このブレーキコントローラ5には、各車輪速センサ12,13,14,15からの車輪速情報や、操舵角センサ16からの操舵角情報や、マスタシリンダ圧センサ17やブレーキストロークセンサ18からの制動操作量情報や、ヨーレイトセンサ27からのヨーレイト情報や、横加速度センサ28からの横加速度情報が入力される。
そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令を統合コントローラ6とブレーキ液圧ユニット19へ出力する。なお、前記ブレーキ液圧ユニット19には、前左車輪ホイールシリンダ20と、前右車輪ホイールシリンダ21と、後左車輪ホイールシリンダ22と、後右車輪ホイールシリンダ23と、が接続されている。
前記統合コントローラ6は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、加速走行時等において、エンジンコントローラ1への制御指令によりエンジン動作点制御を行い、また、停止時や走行時や制動時等において、モータコントローラ2への制御指令によりモータジェネレータ動作点制御を行う。
この統合コントローラ6には、各センサ7,8,9,10,11からのアクセル開度APと車速VSPとエンジン回転数Neと第1モータジェネレータ回転数N1と第2モータジェネレータ回転数N2とが入力される。
そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令をエンジンコントローラ1とモータコントローラ2へ出力する。なお、統合コントローラ6とエンジンコントローラ1、統合コントローラ6とモータコントローラ2、統合コントローラ6とブレーキコントローラ5は、情報交換のためにそれぞれ双方向通信線24,25,26により接続されている。
次に、駆動力性能について説明する。
参考例1のハイブリッド車の駆動力は、図2(b)に示すように、エンジン直接駆動力(エンジン総駆動力から発電機駆動分を差し引いた駆動力)とモータ駆動力(両モータジェネレータMG1,MG2の総和による駆動力)との合計で示される。その最大駆動力の構成は、図2(a)に示すように、低い車速ほどモータ駆動力が多くを占める。このように、変速機を持たず、エンジンEの直接駆動力と電気変換したモータ駆動力を加えて走行させることから、低速から高速まで、定常運転のパワーの少ない状態からアクセルペダル全開のフルパワーまで、ドライバの要求駆動力に対しシームレスに応答良く駆動力をコントロールすることができる(トルク・オン・デマンド)。
そして、参考例1のハイブリッド車では、動力分割機構TMを介し、エンジンEと両モータジェネレータMG1,MG2と左右前輪の駆動輪とがクラッチ無しで繋がっている。また、上記のように、エンジンパワーの大部分を発電機で電気エネルギに変換し、高出力かつ高応答のモータで車両を走らせている。このため、例えば、アイスバーン等の滑りやすい路面での走行時において、駆動輪のスリップやブレーキ時の駆動輪のロック等で車両の駆動力が急変する場合、過剰電流からのパワーコントロールユニット3の部品保護、あるいは、動力分割機構TMのピニオン過回転からの部品保護を行う必要がある。これに対し、高出力・高応答のモータ特性を活かし、部品保護の機能から発展させて、駆動輪の駆動スリップを瞬時に検出し、そのグリップを回復させ、車両を安全に走らせるためのモータトラクション制御を採用している。
次に、制動力性能について説明する。
参考例1のハイブリッド車では、エンジンブレーキやフットブレーキによる制動時には、モータとして作動している第2モータジェネレータMG2を、ジェネレータ(発電機)として作動させることにより、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ4に回収し、再利用する回生ブレーキシステムを採用している。
この回生ブレーキシステムでの一般的な回生ブレーキ協調制御は、図3(a)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、要求制動力の大きさにかかわらず、算出された要求制動力を回生分と油圧分とで分担することで行われる。
これに対し、参考例1のハイブリッド車で採用している回生ブレーキ協調制御は、図3(b)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、算出された要求制動力に対し回生ブレーキを優先し、回生分で賄える限りは油圧分を用いることなく、最大限まで回生分の領域を拡大している。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。
次に、車両モードについて説明する。
参考例1のハイブリッド車での車両モードとしては、図4の共線図に示すように、「停車モード」、「発進モード」、「エンジン始動モード」、「定常走行モード」、「加速モード」を有する。
「停車モード」では、図4(1)に示すように、エンジンEと発電機MG1とモータMG2は止まっている。「発進モード」では、図4(2)に示すように、モータMG2のみの駆動で発進する。「エンジン始動モード」では、図4(3)に示すように、エンジンスタータとしての機能を持つ発電機MG1によって、サンギヤSが回ってエンジンEを始動する。「定常走行モード」では、図4(4)に示すように、主にエンジンEにて走行し、効率を高めるために発電を最小にする。「加速モード」では、図4(5)に示すように、エンジンEの回転数を上げると共に、発電機MG1による発電を開始し、その電力とバッテリ4の電力を使ってモータMG2の駆動力を加え、加速する。
なお、後退走行は、図4(4)に示す「定常走行モード」において、エンジンEの回転数上昇を抑えたままで、発電機MG1の回転数を上げると、モータMG2の回転数が負側に移行し、後退走行を達成することができる。
始動時は、イグニッションキーを回すとエンジンEが始動し、エンジンEを暖機した後、直ぐにエンジンEは停止する。発進時や軽負荷時は、発進時やごく低速で走行する緩やかな坂を下るときなどは、エンジン効率の悪い領域は燃料をカットし、エンジンは停止してモータMG2により走行する。通常走行時は、エンジンEの駆動力は、動力分割機構TMにより一方は車輪を直接駆動し、他方は発電機MG1を駆動し、モータMG2をアシストする。全開加速時は、バッテリ4からパワーが供給され、さらに、駆動力を追加する。減速時や制動時には、車輪がモータMG2を駆動し、発電機として作用することで回生発電を行う。回収した電気エネルギはバッテリ4に蓄えられる。バッテリ4の充電量が少なくなると、発電機MG1をエンジンEにより駆動し、充電を開始する。車両停止時には、エアコン使用時やバッテリ充電時等を除き、エンジンEを自動的に停止する。
次に、作用を説明する。
[モータトラクション制御処理]
図6は参考例1の統合コントローラ6にて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(モータトラクション制御手段)。
ステップS1では、アクセル開度や車速等により決められる要求駆動トルクからエンジン分担トルクを差し引いた要求モータトルクを算出し、ステップS2へ移行する。
なお、第2モータジェネレータMG2のみを駆動源とする走行時には、エンジン分担トルクはゼロとなり、また、第2モータジェネレータMG2とエンジンEとを駆動源とする走行時には、エンジン分担トルクはエンジン直接駆動力(図2参照)となる。
ステップS2では、ステップS1での要求モータトルクの算出に続き、第2モータジェネレータ回転数センサ11からのセンサ信号に基づき、前輪(=第2モータジェネレータMG2)の角加速度ω'を算出し、ステップS3へ移行する。
ここで、「角加速度ω'」の算出は、角速度(=第2モータジェネレータ回転数)を時間微分することで算出することができる。微分演算の手法としては、例えば、サンプリングタイムが10msecの場合、現在の第2モータジェネレータ回転数計測値と10msec前の第2モータジェネレータ回転数計測値の偏差をとることで、微分値を算出することができる。
ステップS3では、ステップS2での角加速度ω'の算出に続き、角加速度ω'の大きさに応じて第1トルクダウン量を演算し、ステップS4へ移行する(部品保護制御部)。
ここで、第1トルクダウン量の演算は、例えば、図7に示すように、角加速度ω'がゼロから第1設定値ω1'まではトルクダウン量=0とし、角加速度ω'が第1設定値ω1'から第2設定値ω2'までは角加速度ω'の増大に比例して増大するトルクダウン量を与え、角加速度ω'が第2設定値ω2'を超えると一定の最大トルクダウン量MAXを与える。
ステップS4では、ステップS3での第1トルクダウン量の演算に続き、ステップS1にて求めた要求モータトルクから、ステップS3で求めた第1トルクダウン量を差し引くことで第1目標モータトルクTM1*を演算し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、ステップS4での第1目標モータトルクTM1*の演算に続き、4輪の各車輪速センサ12,13,14,15からの車輪速情報に基づき、前輪のスリップ率ρを算出し、ステップS6へ移行する。
ここで、「スリップ率ρ」の算出は、左右後輪の平均車輪速を車体速Vbとし、左右前輪の平均車速を駆動輪速Vwとした場合、
ρ=(Vw−Vb)/Vw
の式により算出される。なお、このスリップ率ρに代え、駆動輪速Vwから車体速Vbを差し引いたスリップ量を用いても良い。
ステップS6では、ステップS5でのスリップ率ρの算出に続き、スリップ率ρの大きさに応じて第2トルクダウン量を演算し、ステップS7へ移行する(スタビリティ制御部)。
ここで、第2トルクダウン量の演算は、例えば、図8に示すように、スリップ率ρが20%前後のTCS制御領域に入るようにトルクダウン量を与える。すなわち、スリップ率ρが大きくなると前後力の駆動力係数μdも横力Fyも共に減少する。特に横力Fyの減少は駆動輪の横滑り摩擦力を失わせ、操向安定性に悪影響を及ぼす。モータトラクションのスタビリティ制御は、このように走行安定性の低下を防止しつつ、駆動力を確保して加速性能を向上させるために、スリップ率ρを適正な範囲に制限する制御システムである。
ステップS7では、ステップS6での第2トルクダウン量の演算に続き、ステップS1にて求めた要求モータトルクから、ステップS6で求めた第2トルクダウン量を差し引くことで第2目標モータトルクTM2*を演算し、ステップS8へ移行する。
ステップS8では、ステップS7での第2目標モータトルクTM2*の演算に続き、ステップS4にて求めた第1目標モータトルクTM1*と、ステップS7にて求めた第2目標モータトルクTM2*とのセレクトローにより、モータトルク指令値を選択し、ステップS9へ移行する。
すなわち、第1目標モータトルクTM1*と第2目標モータトルクTM2*とのセレクトローにより、制御目標であるモータトルク指令値を選択することは、ステップS3による第1トルクダウン量とステップS6による第2トルクダウン量のうち、トルクダウン量が大きい方を制御目標トルクダウン量として選択することと同義である。
ステップS9では、ステップS8でのモータトルク指令値の選択に続き、選択したモータトルク指令値をモータコントローラ2へ出力し、リターンへ移行する。
[トラクション制御の背景技術について]
特開平6−229264号公報や特開平5−312061号公報等を含め、駆動輪に駆動スリップが発生したとき、当該駆動輪へ付与する駆動トルクを駆動スリップ状態に応じて調整するトルク低減制御を実施する車両用トラクション制御装置は、多数発表されている。
その車両用トラクション制御装置が、エンジンの駆動トルクを制御する方式を採用したものである場合、車両の低速走行時、特に発進時において以下の点が問題になることがある。
発進時には運転者が過度なアクセル操作を行った場合に生じる駆動スリップを低く抑えるためには、できるだけ早期にトラクション制御を開始することが望ましく、そのためにはスリップ基準値(スリップ目標値またはスリップ閾値、以下同様)を低い値に設定して、できるだけ早期に当該駆動スリップを検出する必要があり、特に、低車速時においては、エンジンやトランスミッション等の作動遅れ時間が大きいため、早期の駆動スリップの検出が駆動スリップを抑制する上で有効である。
しかし、低車速時にスリップ基準値を低く設定すると、駆動トルクを低下させすぎて、場合によってはエンジン回転数が極めて低くなってエンジン振動が大きくなる結果、運転フィーリングが良好にならず、さらに、エンジン回転数が低下し過ぎた場合、エンジンがストールしてしまう(エンストする)おそれがある。その結果、スリップ初期のスリップ基準値は高い値に設定する必要がある。
しかし、スリップ初期のスリップ基準値は高い値に設定すると、氷結路での転舵発進においては、FF車ではアンダーステアリングが発生し、FR車ではオーバーステアリングが発生するし、さらに、二次電池と駆動モータを用いた電気自動車等で、本制御を用いた場合には、発電機での発電が追いつかず、結果的に二次電池からの電力量の持ち出し量が多くなってしまい、大電流が発生するおそれがある。
上記問題を解決するため、特開昭60−104428号公報、特開昭62−265430号公報等が提案されており、これらには、車両の速度(車体速)が低いときに、スリップ基準値を高めに変更し、より多くの駆動スリップを許容するようにスリップ判定レベルを変更(よりスリップする判定方向)する技術が開示されている。
また、特開平5−312061号公報のように、駆動トルク調整手段による駆動トルク調整の開始以降に、スリップ基準値を当初設定した値より高い値に変更することで、運転フィーリング向上やエンジンストールを防止する技術が開示されている。しかし、これらの従来技術では、電力や電流について考慮されているわけではない。
一方、特開平10−304514号公報には、スリップ率ではなく、スリップ初期に応答性を向上させる技術(角加速度制御)が開示されている。この手法は、主にハイブリッド車や電気自動車や燃料電池車等のように、駆動力を発生させるユニットとしてモータを用いた車両に適用されるケースが多い。
この技術の基本は、図9に示すように、角加速度演算部と駆動力制限演算部とトルク制限演算部とを有し、駆動輪の回転角速度の変化率(角加速度)が所定値以上のときに駆動スリップが発生すると予測し、モータトルクを低下(制限)させる構成となっている。この構成とすることにより、モータトルクの増加に伴って生じる駆動スリップを防止することができる。
ここで、駆動力を発生させるユニットとしてモータを用いたハイブリッド車において、駆動スリップの発生初期に高応答性にてスリップを抑制する「角加速度制御」が必要な理由について説明する。
仮にモータトラクション制御装置が無くて駆動スリップした場合には、エンジンの発電が追いつかず、モータはバッテリからどんどん電流を持ち出す。よって、モータ駆動回路に過電流が発生し、回路上の素子等にダメージを与えることになる。例えば、参考例1のパワーコントロールユニット3において、図5の矢印に示すように、コンデンサ3eを介して過電流が流れると、ジョイントボックス3aのヒューズや昇圧コンバータ3bのスイッチング回路がダメージを受けてしまう場合がある。しかも、ハイブリッド車や燃料電池車では、二次電池に対してモータ出力(モータ出力比)が大きければ大きいほど過電流が流れやすい。また、二次電池に対してエンジン、燃料電池の出力(エンジン出力比)が大きければ大きいほど過電圧、過電流が流れやすい。という関係がある。
したがって、確実に部品保護を図るためには、滑ったらトルク制限をかけるという「角加速度制御」により駆動スリップを応答良く収束させるモータトラクション制御が必要となる。
しかしながら、従来の「角加速度制御」にあっては、駆動スリップが生じやすい低μ路における部品保護を優先し、駆動スリップの発生が予測されると大きなモータトルクダウン量を与える構成としていた。このため、例えば、図10(a)に示すように、駆動スリップの発生により駆動輪車輪速が増大するとモータトルクが低減し、モータトルクの低減に伴って駆動輪車輪速も低下する。この駆動輪車輪速の低下は、最適スリップ量範囲(最適スリップ率範囲)を超えるものとなり、車体速レベルまで低下する。そして、駆動輪車輪速が車体速レベルまで低下するとモータトルクの増加が許容され、駆動輪車輪速は再び増大する再スリップ状況となり、駆動輪車輪速変動幅の大きなスリップ発生とスリップ収束の動作が繰り返される。
つまり、「角加速度制御」の場合、スリップ開始を早期に検知しトルクダウン制御に入ることで過電流の発生は防止できるものの、図10(b)に示すように、コーナリングパワーの高い最適スリップ量範囲に対し実制御範囲は、スリップ量(スリップ率)が低い領域まで拡大していると共に高い領域まで拡大しているため、駆動輪のポテンシャルを最大限まで使い切れていない。
よって、「角加速度制御」の場合、図11に示すように、駆動トルクの出力低下が大き過ぎて駆動輪車輪速が車両速度(車体速)に張り付くような場合、もたつきによる加速不良(スタンブル)が発生してしまうという問題がある。
また、「角加速度制御」の場合、図10および図11に示すように、駆動輪においてスリップ発生(スリップ量大)とスリップ収束(スリップ量小)とが繰り返され車輪速回転が変動すると、その反力により車両前後Gが変動する前後Gハンチングが発生してしまうという問題がある。
これに対し、特開2001−295676号公報には、トルク制限の緩和条件を変えることで、スリップの発生と停止とを繰り返すハンチング防止技術が示されているものの、この制御によっても駆動輪のポテンシャルを最大限まで使い切れていないままであり、スタビリティ性能やトラクション性能の低下という問題が残ってしまう。
[モータトラクション制御作用]
上記背景技術に対し、参考例1のハイブリッド車のモータトラクション制御装置では、モータトラクション制御として、部品保護のための第1トルクダウン量を演算する「角加速度制御」と、車両挙動を安定させるための第2トルクダウン量を演算する「スリップ率制御」と、を組み合わせ、かつ、「角加速度制御」による第1トルクダウン量と「スリップ率制御」による第2トルクダウン量のうち、トルクダウン量が大きい方を制御目標トルクダウン量として選択することで、モータトラクション制御時、部品保護とスタビリティの確保との両立を図るようにした。
すなわち、駆動スリップが発生すると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れとなり、ステップS3において、駆動輪である前輪の角加速度ω'の大きさに応じて第1トルクダウン量が演算され、ステップS4において、要求モータトルクから第1トルクダウン量を差し引くことで第1目標モータトルクTM1*が演算される。
そして、ステップS4から、ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む流れとなり、ステップS6において、駆動輪である前輪のスリップ率ρの大きさに応じて第2トルクダウン量が演算され、ステップS7において、要求モータトルクから第2トルクダウン量を差し引くことで第2目標モータトルクTM2*が演算される。
さらに、ステップS7から、ステップS8→ステップS9へ進む流れとなり、ステップS8において、第1目標モータトルクTM1*と第2目標モータトルクTM2*とのセレクトローによりモータトルク指令値が選択され、ステップS9において、選択されたモータトルク指令値を得るトルク指令が出力される。
したがって、発進時において駆動スリップが発生した場合を例にとり、図12に基づきモータトラクション制御作用を説明する。駆動スリップが発進直後から発生すると、駆動輪の角加速度ω'が大きいことでスリップ率(スリップ量)が過大になってしまうことを予測し、「角加速度制御」による高い第1トルクダウン量を与える指令が出力される。そして、この高い第1トルクダウン量を与えることで駆動輪のグリップ力が回復すると、駆動輪の角加速度は低下し、駆動輪速特性としても角加速度ゼロの状態から角加速度負の状態へと移行して駆動スリップが収束することで、「角加速度制御」による第1トルクダウン量を一気に低下させる指令が出力される。つまり、この第1トルクダウン量の低下の途中において、「スリップ率制御」による第2トルクダウン量との大小関係が逆転することになる。
よって、第1トルクダウン量≧第2トルクダウン量という関係にある図12(a)のt0時点からt1時点までの間は、第1トルクダウン量を演算する「角加速度制御」が選択されるため、部品保護制御である「角加速度制御」の実行により、パワーコントロールユニット3の回路部品を流れる過電流の発生や第2モータジェネレータMG2により回転されるピニオンP等の機械部品の過回転の発生が抑制される。
そして、t1の時点以降において、両トルクダウン量の関係が第1トルクダウン量<第2トルクダウン量という関係に変わると、第2トルクダウン量を選択する「スリップ率制御」に切り替わり、図12(a)に示すように、「スリップ率制御」では、駆動輪の車輪速変動幅を小さく抑える制御が実行される。この「スリップ率制御」により、図12(b)に示すように、スリップ率(スリップ量)が駆動輪のコーナリングパワーの高い領域に収まることになる。言い換えると、駆動輪のポテンシャルを最大限まで使い切れるように駆動スリップがコントロールされる。なお、「角加速度制御」から「スリップ率制御」へ切り替えられると、図12(a)のt1時点以降の駆動輪の車輪速特性から明らかなように、車輪速の変化が滑らかになり、「角加速度制御」での角加速度閾値を超えるような大きな角加速度が出ないので、「スリップ率制御」の途中において「角加速度制御」が制御介入してくることはなく、切り替え後は「スリップ率制御」が維持される。
以上説明したように、参考例1のモータトラクション制御装置では、モータトラクション制御時、「角加速度制御」による第1トルクダウン量と「スリップ率制御」による第2トルクダウン量のうち、トルクダウン量が大きい方を制御目標トルクダウン量として選択する制御としたため、図10(a)と図12(a)との比較において、図12(a)の方が車体の加速度が改善されていることかも明らかなように、確実に部品保護を達成できると共に、スタビリティ確保に伴うトラクション性能の確保も達成することができる。
また、「スリップ率制御」においては、上記のように、駆動輪のコーナリングパワーの高い領域のみのスリップ率(スリップ量)を用い、駆動輪の車輪速変動も小さく抑えられるため、車両前後Gが変動する前後Gハンチングの発生も抑制することができる。
次に、効果を説明する。
参考例1の車両のモータトラクション制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 駆動輪を駆動する動力源に装備された少なくとも1つのモータと、駆動輪の駆動スリップを検出し、モータトルクダウン制御により駆動輪のグリップを回復させるモータトラクション制御手段と、を備えた車両のモータトラクション制御装置において、前記モータトラクション制御手段には、部品保護のための第1トルクダウン量を演算する部品保護制御部と、車両挙動を安定させるための第2トルクダウン量を演算するスタビリティ制御部と、を有し、前記モータトラクション制御手段は、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量と前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量のうち、トルクダウン量が大きい方を制御目標トルクダウン量として選択するため、モータトラクション制御時、部品保護とスタビリティの確保との両立を図ることができる。
(2) 前記部品保護制御部は、前記モータが連結された駆動輪の角加速度により駆動スリップを検出し、角加速度が設定閾値を超えるとモータトルクダウン制御を行う角加速度制御部であるため、設定閾値を超える角加速度の発生により過大な駆動スリップとなることを予測し、応答良くモータの過回転を抑えることで、有効にパワーコントロールユニット3や動力分割機構TMの部品保護を達成することができる。
(3) 前記スタビリティ制御部は、前記モータが連結された駆動輪のスリップ率により駆動スリップを検出し、スリップ率が駆動輪の路面グリップを確保する適正範囲に収まるようにモータトルクダウン制御を行うスリップ率制御部であるため、スリップ率制御に入ると駆動輪のコーナリングパワーの高い領域のみのスリップ率(スリップ量)を用いる制御となり、トラクション性能を確保することができると共に、車両前後Gが変動する前後Gハンチングの発生も抑制することができる。
[参考例2]
参考例2は、スタビリティ制御部において第2トルクダウン量を演算する際、推定される路面摩擦係数が低摩擦係数を示すほど大きな位相遅れを与えるようにした例である。
すなわち、参考例1の「スリップ率制御」において、図13(a)に示すように、第2トルクダウン量を演算する部分の構成を、駆動力制限演算部30としたとき、駆動力制限演算部30は、スリップ率ρに応じて第2トルクダウン量を算出する第2トルクダウン量算出部30aと、該第2トルクダウン量算出部30aからの第2トルクダウン量を路面μが低μであるほど大きな位相遅れを与える第2トルクダウン量指令値算出部30bと、を備えている。
前記第2トルクダウン量出力値算出部30bは、1/(TS+1)の1次の位相遅れ式を用いて第2トルクダウン量の指令値を算出するもので、その時定数Tは、図13(b)のT-μテーブルに示すように、推定される路面μが低μである場合に最も高い値とし、推定される路面μが高くなるほど比例的に低い値により与えられる。
ここで、路面μの推定は、例えば、第2トルクダウン量算出部30aにて算出した第2トルクダウン量が小さい値であるほど、路面μが低μであると推定する(路面摩擦係数相当値推定手段)。なお、他の参考例2の構成は、参考例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
作用を説明すると、例えば、低μ路での発進時や中間加速時等においては、微小トルク変動でもスリップアップする可能性があった。これに対し、トラクションを維持するスリップ率(スリップ量)から算出した第2トルクダウン量が小さいとき(=路面μが小さいとき)、図13(c)に示すように、路面μが低μであるほどトルク指令値の位相遅れ時間を長くし、図13(d),(e)に示すように、トルク変化量が小さくされる。
したがって、発進時や中間加速時等において、微小トルク変動ではスリップアップすることがない高μ路では、応答の良い第2トルクダウン量によりスリップ率ρの最適範囲への収束性を高めた「スリップ率制御」を実行することができる。また、微小トルク変動でスリップアップする低μ路では、トルク変化量を小さく抑えてスリップアップを防止することで、安定性の高い「スリップ率制御」を実行することができる。なお、他の作用は参考例1と同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
参考例2の車両のモータトラクション制御装置にあっては、参考例1の(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(4) 路面摩擦係数相当値を推定する路面摩擦係数相当値推定手段を設け、前記「スリップ率制御」では、第2トルクダウン量を演算する際、推定される路面摩擦係数相当値が低摩擦係数を示すほど大きな位相遅れを与えるため、「スリップ率制御」を実行するにあたって、路面μが高μである場合にはスリップ率ρの最適範囲への収束性を高めることができ、路面μが低μである場合にはスリップアップの防止による安定性を高めることができる。
[参考例3]
参考例3は、スタビリティ制御部において第2トルクダウン量を演算する際、推定される路面摩擦係数が低摩擦係数を示すほど大きな位相遅れを与えると共に、所定値以下の極低摩擦係数領域では位相遅れ上限値を設定するようにした例である。
すなわち、参考例1の「スリップ率制御」において、図14(a)に示すように、第2トルクダウン量を演算する部分の構成を、駆動力制限演算部30'としたとき、駆動力制限演算部30'は、スリップ率ρに応じて第2トルクダウン量を算出する第2トルクダウン量算出部30aと、該第2トルクダウン量算出部30aからの第2トルクダウン量を路面μが低μであるほど大きな位相遅れを与えると共に、推定した路面μが所定値以下の領域では位相遅れ上限値を与える第2トルクダウン量指令値算出部30b'と、を備えている。
前記第2トルクダウン量出力値算出部30b'は、1/(TS+1)の1次の位相遅れ式を用いて第2トルクダウン量の指令値を算出するもので、その時定数Tは、図14(b)のT-μテーブルに示すように、推定した路面μが所定値(=μ1:氷結路相当の路面μ)以下の領域では時定数Tを一定値tとすることにより位相遅れ上限値を与え、推定した路面μが所定値μ1以上の領域では、推定される路面μが高くなるほど比例的に低い値により与えられる。
ここで、路面μの推定は、例えば、第2トルクダウン量算出部30aにて算出した第2トルクダウン量が小さい値であるほど、路面μが低μであると推定する(路面摩擦係数相当値推定手段)。なお、他の参考例3の構成は、参考例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
作用を説明すると、例えば、極端に路面μが低いときに位相を遅くし過ぎると、路面変化への対応が遅くなり、加速不良が発生する。これに対し、参考例3では、推定される路面μが極端に低いときには、位相遅れ上限値を与えることで、図14(c)に示すように、トルク立ち上がり時間が遅くなることを防止できる。
したがって、発進時や中間加速時等において、微小トルク変動ではスリップアップすることがない高μ路では、応答の良い第2トルクダウン量によりスリップ率ρの最適範囲への収束性を高めた「スリップ率制御」を実行することができる。また、微小トルク変動でスリップアップする低μ路では、トルク変化量を小さく抑えてスリップアップを防止することで、安定性の高い「スリップ率制御」を実行することができる。参考例2のこれら作用に加え、参考例3では、極端に路面μが低い領域において、加速不良を改善することができる。なお、他の作用は参考例1と同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
参考例3の車両のモータトラクション制御装置にあっては、参考例1の(1),(2),(3)および参考例2の(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(5) 前記「スリップ率制御」では、第2トルクダウン量を演算する際、推定される路面摩擦係数相当値が所定値以下の極低摩擦係数領域であると推定された場合、位相遅れ上限値を設定するため、氷結路相当以下の極低摩擦係数領域において、加速不良を改善することができる。
[実施例1]
実施例1は、部品保護制御がスタビリティ制御(VDCシステム等でのTCS制御分)よりも優先されていても、スタビリティ制御の方がトルクダウン量が大きい場合は、優先順位を無視してスタビリティ制御を選択するようにした例である。なお、構成は参考例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[モータトラクション制御処理]
図15は実施例1のブレーキコントローラ5及び統合コントローラ6にて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(モータトラクション制御手段)。
ステップS41では、各車輪速センサ12,13,14,15やヨーレイトセンサ27や横加速度センサ28から入力した信号に応じて、車輪速やヨーレイトや横加速度を算出し、ステップS42へ移行する。
ステップS42では、ステップS41での必要情報の算出に続き、「スリップ率制御」での第2トルクダウン量(VDCシステムやその他の制御システムにおけるTCS制御分)を算出し、ステップS43へ移行する。
ステップS43では、ステップS42での第2トルクダウン量の算出に続き、図6のステップS3と同様に、「角加速度制御」での第1トルクダウン量(強電ユニット部品保護制御量)を算出し、ステップS44へ移行する。
ステップS44では、ステップS43での第1トルクダウン量の算出に続き、部品保護優先フラグがセットされているか否かを判断し、部品保護優先フラグがセットされている場合はステップS48へ移行し、部品保護優先フラグがセットされていない場合はステップS45へ移行する。
ここで、「部品保護優先フラグ」は、部品保護が必要と思われるときにセットされるフラグであり、例えば、駆動輪の角加速度が所定値以上である場合、ある車両状態において出力電力が所定電力以上であるために過電流が流れるおそれがある場合、等において、部品保護優先フラグがセットされる(優先選択手段)。
ステップS45では、ステップS44での部品保護優先フラグがセットされていないとの判断に続き、VDCシステムやその他の制御システムからのトルクダウン要求が有るか無いかの判断を行い、トルクダウン要求が有る場合にはステップS46へ移行し、トルクダウン要求が無い場合にはステップS47へ移行する。
ステップS46では、ステップS45での他の制御システムからのトルクダウン要求有りとの判断に続き、ステップS42で算出された第2トルクダウン量を選択し、第2トルクダウン量を得る制御指令を出力し、リターンへ移行する。
ステップS47では、ステップS45での他の制御システムからのトルクダウン要求無しとの判断に続き、トルクダウン無しの制御指令を出力し、リターンへ移行する。
ステップS48では、ステップS44での部品保護優先フラグがセットされているとの判断に続き、部品保護制御による第1トルクダウン量がスタビリティ制御による第2トルクダウン量以上であるか否かが判断され、第1トルクダウン量≧第2トルクダウン量の場合にはステップS49へ移行し、第1トルクダウン量<第2トルクダウン量の場合にはステップS50へ移行する。
ステップS49では、ステップS48での第1トルクダウン量≧第2トルクダウン量との判断に続き、部品保護制御による第1トルクダウン量を選択し、第1トルクダウン量を得る制御指令を出力し、リターンへ移行する。
ステップS50では、ステップS48での第1トルクダウン量<第2トルクダウン量との判断に続き、部品保護優先フラグをクリアし、ステップS51へ移行する。
ステップS51では、ステップS50での部品保護優先フラグのクリアに続き、スタビリティ制御による第2トルクダウン量を選択し、第2トルクダウン量を得る制御指令を出力し、リターンへ移行する。
[部品保護制御について]
部品保護制御は、例えば、雪道やアイスバーン等の低μ路で、発進時や走行時の駆動輪スリップや駆動輪ロック等により駆動力(トラクション)が急変した場合、高精度の回転センサ(図16に示すレゾルバ)が駆動軸の回転状況を瞬時に検出し、統合コントローラ6に信号を送り、その後、統合コントローラ6はモータコントローラ2への指令により第2モータジェネレータMG2の駆動力を低減制御することにより行われる。つまり、駆動輪のグリップを回復させて運転者のアクセル操作に応じた駆動力を路面に伝達するというトラクション制御を実施する。併せて、モータコントローラ2が前記レゾルバからの信号に基づき算出した角加速度が大きいと、モータトルクを制限することで、急激な電流変動や動力分割機構TMのギヤ回転急上昇を防止し、十分に部品保護機能を果たす。
前記「レゾルバ」とは、図16に示すように、ステータには3つのコイルが内蔵され、出力コイルB,Cは電気的に90°ずれて配置されている。ロータは楕円形をしており、ロータが回転すると、ステータとロータとの間のギャップ長さが変化する。コイルAに交流電流を流すことにより、コイルB,Cにはロータ位置に応じた出力が発生し、この出力の差から絶対位置を検出出きるセンサである。また、一定時間内の位置の変化量をCPUにて演算することにより、回転センサとしても使用しているセンサである。
[VDCシステムについて]
VDCシステムは、車両の旋回方向の安定性を確保するシステムである。通常、車両はステアリング操作に従い安定的に旋回するが、緊急旋回時等の不測の状況、または、外的要因等によっては、強い後輪横滑りや前輪横滑り傾向になる。VDCシステムでは、このような場合に安定性を確保させるべくエンジン・モータの出力制御と各車輪のブレーキ制御を自動的に行い、強い前輪横滑りや前輪横滑りを緩和する制御が行われる。本システムは、ヨーレイトセンサ27や横加速度センサ28等の各種センサからの信号により、車両の状態を感知し、ブレーキアクチュエータであるハイドロユニット19に制御信号を出力することによるブレーキ液圧制御と、エンジンコントローラ1とモータコントローラ2に制御信号を出力することによるエンジン・モータ出力トルク制御と、から構成される。
例えば、駆動輪が横方向のグリップ限界を超える状況として、下記の2つの例が挙げられる。
(1) 後輪が前輪に対して相対的にグリップを失いつつある場合(強い後輪横滑り状態)。
(2) 前輪が後輪に対して相対的にグリップを失いつつある場合(強い前輪横滑り状態)。
VDCシステムは、図17に示す状況の時に作動し、車両の強い後輪横滑りまたは前輪横滑り傾向を緩和する。車両の状態は、操舵角・車速・車両のヨーレイト・車両の横加速度を検出し、ブレーキコントローラ5により演算され、判定を行う。車両の強い後輪横滑り傾向の判定は、車体のスリップ角と車体のスリップ角速度の値により判定する。これは、車体のスリップ角が大きく、かつ、スリップ角速度も大きい場合、車体は強い後輪横滑り傾向であると演算する(図18(a)参照)。車両の強い前輪横滑り傾向の判定は、目標ヨーレイトと実際の車両のヨーレイトの値により判定する。これは、運転者がステアリング操舵をした場合、本来発生すべき目標ヨーレイト(操舵角と車速から決定)よりも、実際の車両ヨーレイト(ヨーレイトセンサにより検出)が少なくなれば、車体が曲がらないことを意味するため前輪横滑り傾向が大きいと演算する(図18(b)参照)。
VDCの作動方法としては、例えば、ブレーキコントローラ5の判定により、車両状態が強い後輪横滑りまたは前輪横滑り傾向が大きいと判定された場合、エンジン・モータ出力を下げると共に、前輪又は後輪の制動力を与え、車両のヨーイングモーメントを制御して車両の横滑り状況を緩和させる。つまり、車両の強い後輪横滑り傾向の緩和を実施するためには、後輪横滑り傾向が大きいと判定した場合において、その傾向の程度に応じて旋回外側の前輪または前後輪にブレーキをかけ、車両の外向きにモーメントを発生させて後輪横滑り傾向を抑制させる。また、制動力による車速の低下も車両安定性の確保に寄与している(図18(c)参照)。車両の強い前輪横滑り傾向の緩和を実施するためには、前輪横滑り傾向が大きいと判定した場合において、その傾向の程度に応じてエンジン・モータ出力を制御し、前後輪にブレーキをかけて横力を減少させることにより前輪横滑り傾向を抑制させる(図18(d)参照)。
[モータトラクション制御作用]
従来、部品保護制御としては、例えば、特開平10−304514号公報に「角加速度制御」が記載されているし、上記VDCシステムも実車に搭載されているように周知である。そこで、例えば、駆動輪の角加速度が所定値以上であり、部品保護が必要であることから部品保護優先フラグがセットされていて、図19(a)に示すように、「角加速度制御」が実行されている時に、VDCシステムでのモータトルクダウン制御が介入してきた場合、図19(b)の時刻t1から時刻t3までの部品保護優先フラグがセット中においては、優先順位にしたがって「角加速度制御」が優先されるため、第1トルクダウン量が選択されることになる。したがって、第1トルクダウン量がゼロとなる時刻t3の時点で部品保護優先フラグがリセットされると、その瞬間、VDCシステムでの第2トルクダウン量に切り替わり、図19(c)に示すように、トルクダウン量がゼロから第2トルクダウン量まで変動する。よって、優先順位にしたがって「角加速度制御」からVDCシステムでの「スタビリティ制御」へ切り替えると、切り替え時、急激なトルク変動や非線形なトルクが生じてしまうのでドライバビリティ性能を損なうばかりか、車両挙動に悪影響(例えば、前後G変動)を及ぼしてしまうという問題がある。
これに対し、実施例1の車両のモータトラクション制御装置では、部品保護制御部が優先して選択されているとき、スタビリティ制御部による第2トルクダウン量の方が部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも大きい場合には、優先順位を無視してスタビリティ制御部による第2トルクダウン量を選択することで、部品保護とスタビリティの確保との両立を図ることができるのに加え、シームレスなトルク変化を実現でき、車両挙動を安定させるようにした。
すなわち、部品保護優先フラグがセット中であって、部品保護制御部による第1トルクダウン量がスタビリティ制御部による第2トルクダウン量以上である場合には、図15のフローチャートにおいて、ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS44→ステップS48→ステップS49へと進み、部品保護制御部による第1トルクダウン量が選択される。
そして、部品保護優先フラグがセット中であって、部品保護制御部による第1トルクダウン量がスタビリティ制御部による第2トルクダウン量未満になると、ステップS48からステップS450→ステップS51へと進み、VDCシステムのスタビリティ制御部による第2トルクダウン量が選択される。
したがって、図19(d)に示すように、部品保護優先フラグがセット中であって、第1トルクダウン量≧第2トルクダウン量という関係を保つ時刻t1から時刻t2までは、第1トルクダウン量が選択され、第1トルクダウン量<第2トルクダウン量という関係に切り替わる時刻t2から時刻t3までは第2トルクダウン量が選択されることになる。よって、切り替え時(時刻t2)、急激なトルク変動や非線形なトルクが抑制されたシームレスなトルク変化となり、車両挙動を安定させることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両のモータトラクション制御装置にあっては、参考例1の(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(6) 前記モータトラクション制御手段に、前記部品保護制御部と前記スタビリティ制御部との一方を優先して選択する優先選択手段を設け、前記モータトラクション制御手段は、前記優先選択手段により部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量以上の場合には、優先順位のとおり前記部品保護制御部による第1トルクダウン量を選択し、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量の方が前記部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも大きい場合には、優先順位を無視して前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量を選択するため、前記部品保護制御から前記スタビリティ制御への切り替え時、急激なトルク変動や非線形なトルクが抑制されたシームレスなトルク変化となり、車両挙動を安定させることができる。
[実施例2]
実施例2は、実施例1と同様に、スタビリティ制御の方がトルクダウン量が大きい場合は、優先順位を無視してスタビリティ制御を選択すると共に、部品保護制御とスタビリティ制御との切り替え領域でよりシームレスなトルク変化にする例である。なお、構成は参考例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[モータトラクション制御処理]
図20は実施例2のブレーキコントローラ5及び統合コントローラ6にて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(モータトラクション制御手段)。なお、ステップS61〜ステップS71のそれぞれのステップは、図15のステップS41〜ステップS51のそれぞれのステップと同じ処理を行うので、説明を省略する。
ステップS72では、ステップS68での第1トルクダウン量≧第2トルクダウン量との判断に続き、部品保護制御部による第1トルクダウン量が減少傾向、かつ、スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が増加傾向であるか否かが判断され、Yesの場合はステップS73へ移行し、Noの場合はステップS69へ移行する。
ステップS73では、ステップS72での第1トルクダウン量が減少傾向、かつ、第2トルクダウン量が増加傾向であるとの判断に続き、部品保護優先フラグをクリアし、ステップS74へ移行する。
ステップS74では、ステップS73での部品保護優先フラグのクリアに続き、条件成立時のトルクダウン量を保持するか、もしくは、条件成立時のトルクダウン量を緩やかな勾配にて変化させる。
ここで、条件成立時のトルクダウン量を緩やかな勾配にて変化させる場合、操舵角が大きいほどトルクダウン量の変化速度を低下させる。
ステップS75では、ステップS68での第1トルクダウン量<第2トルクダウン量との判断に続き、部品保護制御部による第1トルクダウン量が増加傾向、かつ、スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が減少傾向であるか否かが判断され、Yesの場合はステップS70へ移行し、Noの場合はステップS71へ移行する。
ステップS76では、ステップS70での部品保護優先フラグのクリアに続き、条件成立時のトルクダウン量を保持するか、もしくは、条件成立時のトルクダウン量を緩やかな勾配にて変化させる。
ここで、条件成立時のトルクダウン量を緩やかな勾配にて変化させる場合、ステップS74と同様に、操舵角が大きいほどトルクダウン量の変化速度を低下させる。
[モータトラクション制御作用]
部品保護優先フラグがセット中であって、部品保護制御を実行している時にVDCシステムでのスタビリティ制御が介入してきた場合の作用を図21に基づき説明する。
まず、図21の時刻t0から時刻t1までは、第1トルクダウン量≧第2トルクダウン量であり、第1トルクダウン量が増加傾向、かつ、第2トルクダウン量が増加傾向であるため、図20のフローチャートにおいて、ステップS61→ステップS62→ステップS63→ステップS64→ステップS68→ステップS72→ステップS69へと進み、ステップS69において、第1トルクダウン量が選択される。
図21の時刻t1から時刻t2までは、第1トルクダウン量≧第2トルクダウン量であり、第1トルクダウン量が減少傾向、かつ、第2トルクダウン量が増加傾向であるため、図20のフローチャートにおいて、ステップS61→ステップS62→ステップS63→ステップS64→ステップS68→ステップS72→ステップS73→ステップS74へと進み、ステップS74において、条件成立時の第1トルクダウン量が保持されるか、もしくは、条件成立時の第1トルクダウン量を緩やかな勾配にて減少変化させる。
図21の時刻t2から時刻t3までは、第1トルクダウン量<第2トルクダウン量であり、第1トルクダウン量が減少傾向、かつ、第2トルクダウン量が増加傾向であるため、図20のフローチャートにおいて、ステップS61→ステップS62→ステップS63→ステップS64→ステップS68→ステップS75→ステップS71へと進み、ステップS71において、第2トルクダウン量が選択される。
図21の時刻t3から時刻t4までは、第1トルクダウン量<第2トルクダウン量であり、第1トルクダウン量が減少傾向、かつ、第2トルクダウン量が減少傾向であるため、図20のフローチャートにおいて、ステップS61→ステップS62→ステップS63→ステップS64→ステップS68→ステップS75→ステップS71へと進み、ステップS71において、第2トルクダウン量が選択される。
図21の時刻t4から時刻t5までは、第1トルクダウン量<第2トルクダウン量であり、第1トルクダウン量が増加傾向、かつ、第2トルクダウン量が減少傾向であるため、図20のフローチャートにおいて、ステップS61→ステップS62→ステップS63→ステップS64→ステップS68→ステップS75→ステップS70→ステップS76へと進み、ステップS76において、条件成立時の第2トルクダウン量が保持されるか、もしくは、条件成立時の第2トルクダウン量を緩やかな勾配にて減少変化させる。
図21の時刻t5以降では、第1トルクダウン量≧第2トルクダウン量であり、第1トルクダウン量が増加傾向、かつ、第2トルクダウン量が減少傾向であるため、図20のフローチャートにおいて、ステップS61→ステップS62→ステップS63→ステップS64→ステップS68→ステップS72→ステップS69へと進み、ステップS69において、第1トルクダウン量が選択される。
したがって、図21の改善後特性に示すように、部品保護優先フラグのセットに基づき第1トルクダウン量による部品保護制御のみを実行する改善前特性と比較した場合、部品保護制御とスタビリティ制御との切り替え領域でダウンシフト側を保ちつつ、よりシームレスなトルク変化が達成される。つまり、車両挙動の安定性が確保されることになる。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両のモータトラクション制御装置にあっては、参考例1の(1),(2),(3)および実施例1の(6)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
(7) 前記モータトラクション制御手段は、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量以上の場合であり、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が減少傾向、かつ、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が増加傾向であるときには、制御目標トルクダウン量を条件成立時の値に保持するため、トルクのスタンブルやスリップアップが発生することなく、車両挙動を常に安定させることができる。
(8) 前記モータトラクション制御手段は、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量以上の場合であり、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が減少傾向、かつ、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が増加傾向であるときには、制御目標トルクダウン量を、条件成立時の値から、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも緩やかな勾配にて減少変化させるため、トルクのスタンブルやスリップアップが発生することなく、シームレスなトルク変化ができ、車両挙動を常に安定させることができる。
(9) 前記モータトラクション制御手段は、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量の方が大きい場合であり、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が増加傾向、かつ、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が減少傾向であるときには、制御目標トルクダウン量を条件成立時の値に保持するため、トルクのスタンブルやスリップアップが発生することなく、車両挙動を常に安定させることができる。
(10) 前記モータトラクション制御手段は、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量の方が大きい場合であり、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が増加傾向、かつ、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が減少傾向であるときには、制御目標トルクダウン量を、条件成立時の値から、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量よりも緩やかな勾配にて減少変化させるため、トルクのスタンブルやスリップアップが発生することなく、トラクション性能も保ちながら車両挙動を常に安定させることができる。
(11) 操舵角を検出する操舵角センサ16を設け、前記モータトラクション制御手段は、操舵角が大きいほど制御目標トルクダウン量の変化速度を低下させるため、操舵角が大きい角度であり、車両の旋回挙動の安定性が求められるほど、車両挙動の安定性を高めることができる。
以上、本発明の車両のモータトラクション制御装置を実施例1,2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1,2では、部品保護制御部として、角加速度制御によりモータトルクを制限することで部品保護を達成する例を示したが、例えば、図22や図23に示すように、バッテリ(二次電池)より強電ユニット側で使用される電力の総和が、発電電力と二次電池からの持ち出しを超えないようにモータ出力やモータトルクを制限するようにしたり、また、バッテリ(二次電池)より強電ユニット側で使用される電流が、設定電流値を超えないようにモータ出力やモータトルクを制限するようにしても良い。これらの場合も過電流を防止することができ、部品保護が可能となる。
実施例1,2では、スタビリティ制御部として、スリップ率制御の例を示したが、例えば、駆動輪と従動輪との回転数偏差によりあらわされるスリップ量を最適範囲に制御するスリップ量制御等、要するに車両挙動を安定させるための第2トルクダウン量を演算する制御部であれば他の制御を採用しても良い。
また、参考例1〜3においてスタビリティ制御部は、部品保護制御部と組み合わせられるパターン例を示し、実施例1,2においてスタビリティ制御部は、部品保護制御中に介入してくるパターン例を示したが、部品保護制御部以外にモータトラクション制御部として1つ以上のスタビリティ制御部を有するシステムであれば、部品保護制御部との組み合わせパターンであっても、VDCシステムやそれ以外の車載制御システムにおけるTCS制御分の介入パターンであっても良い。
参考例2,3での路面摩擦係数相当値推定手段として、第2トルクダウン量算出部にて算出した第2トルクダウン量が小さい値であるほど、路面μが低μであると推定する手段の例を示したが、要するに路面摩擦係数相当値を推定することができる手段であれば、例えば、
・各車輪速および単位車輪荷重当たりの制駆動力の組み合わせを表す車輪毎の点を2次元座標上に表記し、これらの点を代表する直線を求めて路面摩擦係数を推定する手段
・駆動スリップ中の制限されたモータトルク出力値を路面摩擦係数相当値とする手段
・スリップ開始時のモータトルク出力値を路面摩擦係数相当値とする手段
・インフラからの路面μ情報の読み込み手段
等を用いても良い。
[産業上の利用可能性]
実施例1,2では、1つのエンジンと2つのモータジェネレータと動力分割機構を備えたハイブリッド車への適用例を示したが、本発明のモータトラクション制御装置は、他のパワーユニット構造を備えたハイブリッド車や電気自動車や燃料電池車やモータ4WD車等、要するに、駆動輪を駆動する動力源に少なくとも1つのモータが装備された車両であれば適用することができる。
E エンジン
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ(モータ)
OS 出力スプロケット
TM 動力分割機構
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 パワーコントロールユニット
4 バッテリ
5 ブレーキコントローラ
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 前左車輪速センサ
13 前右車輪速センサ
14 後左車輪速センサ
15 後右車輪速センサ
16 操舵角センサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 ブレーキストロークセンサ
19 ブレーキ液圧ユニット
20 前左車輪ホイールシリンダ
21 前右車輪ホイールシリンダ
22 後左車輪ホイールシリンダ
23 後右車輪ホイールシリンダ
24,25,26 双方向通信線
27 ヨーレートセンサ
28 横加速度センサ

Claims (8)

  1. 駆動輪を駆動する動力源に装備された少なくとも1つのモータと、駆動輪の駆動スリップを検出し、モータトルクダウン制御により駆動輪のグリップを回復させるモータトラクション制御手段と、を備えた車両のモータトラクション制御装置において、
    前記モータトラクション制御手段は、
    部品保護のための第1トルクダウン量を演算する部品保護制御部と、車両挙動を安定させるための第2トルクダウン量を演算するスタビリティ制御部と、を有し、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量と前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量のうち、トルクダウン量が大きい方を制御目標トルクダウン量として選択すると共に、
    前記部品保護制御部と前記スタビリティ制御部との一方を優先して選択する優先選択手段を有し、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量以上の場合には、優先順位のとおり前記部品保護制御部による第1トルクダウン量を制御目標トルクダウン量として選択し、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量の方が前記部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも大きい場合には、優先順位を無視して前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量を制御目標トルクダウン量として選択する
    ことを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記部品保護制御部は、前記モータが連結された駆動輪の角加速度により駆動スリップを検出し、角加速度が設定閾値を超えるとモータトルクダウン制御を行う角加速度制御部であることを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記スタビリティ制御部は、前記モータが連結された駆動輪のスリップ率またはスリップ量により駆動スリップを検出し、前記スリップ率またはスリップ量が駆動輪の路面グリップを確保する適正範囲に収まるようにモータトルクダウン制御を行うことを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記モータトラクション制御手段は、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量以上の場合であり、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が減少傾向、かつ、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が増加傾向であるときには、制御目標トルクダウン量を条件成立時の値に保持することを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  5. 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記モータトラクション制御手段は、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量以上の場合であり、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が減少傾向、かつ、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が増加傾向であるときには、制御目標トルクダウン量を、条件成立時の値から、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも緩やかな勾配にて減少変化させることを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記モータトラクション制御手段は、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量の方が大きい場合であり、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が増加傾向、かつ、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が減少傾向であるときには、制御目標トルクダウン量を条件成立時の値に保持することを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  7. 請求項1乃至5の何れか1項に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記モータトラクション制御手段は、前記優先選択手段により前記部品保護制御部が優先して選択されているとき、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量よりも前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量の方が大きい場合であり、前記部品保護制御部による第1トルクダウン量が増加傾向、かつ、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量が減少傾向であるときには、制御目標トルクダウン量を、条件成立時の値から、前記スタビリティ制御部による第2トルクダウン量よりも緩やかな勾配にて減少変化させることを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  8. 請求項5または請求項7に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    操舵角を検出する操舵角検出手段を設け、
    前記モータトラクション制御手段は、操舵角が大きいほど制御目標トルクダウン量の変化速度を低下させることを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
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