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JP4899671B2 - 走行軌跡推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の走行軌跡を推定する走行軌跡推定装置に関する。
追従目標軌跡を追従して車両を走行させる自動追従制御などで用いる走行軌跡を推定する装置が各種提案されている。例えば、特許文献1に記載の装置では、実際の道路を走行して得られる走行軌跡情報を取得し、その走行軌跡と道路情報から得られる道路形状とが類似しない区間について走行軌跡情報を用いて道路形状を推定している。
特開2005−221419号公報
車両が実際に走行する場合、右折するために右折車線を走行したり、追い越し車線を走行したり、あるいは、障害物(例えば、工事、事故、落下物)を避けるために車線変更したりするので、走行路においてどの車線を走行するかも重要となる。したがって、同じ走行路でも、車両をいずれの車線で走行させるかによって車線ごとに異なる追従目標軌跡が必要となり、あるいは、走行路上の電柱のような障害物が存在している場合には障害物を避けた通常とは異なる追従目標軌跡が必要となる。しかし、従来の走行軌跡の推定装置では、同じ走行路については1つの走行軌跡を推定しており、車線などを考慮した厳密な走行軌跡を推定していない。
そこで、本発明は、走行軌跡を高精度に推定することができる走行軌跡推定装置を提供することを課題とする。
本発明に係る走行軌跡推定装置は、車両の走行軌跡を推定する走行軌跡推定装置であって、所定の検出条件のときに車両の位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段で検出した位置の情報を記録する情報記録手段と、情報記録手段に記録されている車両の位置の情報を用いて、所定範囲内に存在する車両の位置を平均化して走行軌跡を推定する走行軌跡推定手段とを備えることを特徴とする。
この走行軌跡推定装置では、位置検出手段により所定の検出条件のときに車両の位置を検出し、その検出した位置の情報を情報記録手段に記録する。所定の検出条件としては、例えば、一定の距離を移動する毎、一定の角度だけ進行方向が変化した場合、一定の速度だけ車速が変化した場合、一定の車速以下の場合、一定時間内に検出されなかった場合、車両周辺の特定の環境を認識した場合、意図したイベントが発生した場合である。そして、走行軌跡推定装置では、走行軌跡推定手段により、情報記録手段に記録されている車両の位置の情報を用いて所定範囲内に存在する車両の位置をその分布に応じて統計的に処理して、例えば、平均化し、その平均化された位置により走行軌跡を構成する。所定範囲は、走行軌跡の推定に用いる車両の位置の情報を抽出するための範囲である。所定範囲は、例えば、分離したい対象(例えば、隣接車線)との関係で設定される範囲であり、走行軌跡を求めるときに分離したい対象に含まれる情報を除外するための範囲である。したがって、走行軌跡推定装置では、推定される走行軌跡には特定の範囲内に含まれる車両の位置の情報だけが加味されるので、不要な位置の情報を排除でき、特定の範囲を走行するための走行軌跡を推定することができる。これによって、例えば、同じ走行内の異なる車線毎の走行軌跡の推定、右折車線や追い越し車線などの特定の車線の走行軌跡の推定、車線変更などの特定の走行を行うための走行軌跡の推定が可能となる。このように、走行軌跡推定装置では、非常に精度の高い走行軌跡を推定することができ、走行軌跡としての信頼性を向上させることができる。
本発明の上記走行軌跡推定装置では、所定の検出条件のときに車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を備え、情報記録手段には、検出タイミングが同じ車両の位置の情報と走行状態の情報とが対応付けて記録され、走行軌跡推定手段は、車両の位置に走行状態を加味した走行軌跡を推定する構成としてもよい。
この走行軌跡推定装置では、走行状態検出手段により所定の検出条件のときに車両の走行状態を検出し、検出タイミングが同じ車両の走行状態と位置とを対応付けて情報記録手段に記録する。車両の走行状態としては、例えば、進行方向、方位角、車速である。そして、走行軌跡推定装置では、走行軌跡推定手段により、車両の位置に走行状態を加味した走行軌跡を推定する。このように、走行軌跡推定装置では、走行軌跡に走行状態の情報も含ませることにより、より精度の高い走行軌跡を推定することができる。これによって、例えば、対向車線との区別、停止位置の識別、高速道路や市街道路などの道路種別の識別、交通量、交通流推定が可能となる。
本発明の上記走行軌跡推定装置では、所定範囲は、走行車線数又は走行車線幅に基づいて設定される。特に、本発明の上記走行軌跡推定装置では、所定範囲は、走行車線幅を直径とする円よりも小さい円内であると好適である。
この走行軌跡推定装置では、所定範囲を走行車線の数又は車線幅に基づいて設定し、走行軌跡推定手段により1本の走行車線内に含まれる車両の位置や走行状態の情報だけを利用して走行軌跡を推定する。これによって、走行軌跡推定装置では、隣接する走行車線を分離でき、走行車線毎の走行軌跡を推定することができる。さらに、走行軌跡推定装置では、所定範囲として車線幅を直径とする円よりも小さい円内とすることにより、1本の走行車線内に含まれる車両の位置や走行状態の情報だけを確実に利用して走行軌跡を推定することができる。
本発明の上記走行軌跡推定装置では、所定範囲は、位置検出手段で任意のタイミングで検出された車両の位置と次のタイミングで検出された車両の位置との間の距離に基づいて設定される。特に、本発明の上記走行軌跡推定装置では、所定範囲は、位置検出手段で任意のタイミングで検出された車両の位置と次のタイミングで検出された車両の位置との間の距離を直径とする円よりも小さい円内であると好適である。
この走行軌跡推定装置では、所定範囲を任意のタイミングで検出された車両の位置と次のタイミングで検出された車両の位置との距離に基づいて設定し、走行軌跡推定手段により連続するタイミングで検出された位置の範囲内に含まれる車両の位置や走行状態の情報を利用して走行軌跡を推定する。これによって、走行軌跡推定装置では、検出された位置のばらつきを考慮して走行軌跡を推定することができる。さらに、走行軌跡推定装置では、所定範囲として任意のタイミングで検出された車両の位置と次のタイミングで検出された位置との距離を直径とする円よりも小さい円内と設定することにより、連続するタイミングで検出された位置間の距離未満の値を直径とする円内に含まれる車両の位置や走行状態の情報だけを確実に利用して走行軌跡を推定することができる。
本発明は、所定範囲内に含まれる情報だけを用いて走行軌跡を推定することにより、走行軌跡を高精度に推定することができる。また、複数の走行軌跡を用いることにより所定範囲内に含まれる情報だけで推定される走行軌跡は、例外的な車両位置を除くことが可能となり、代表的な走行軌跡として利用するのに好ましい。
以下、図面を参照して、本発明に係る走行軌跡推定装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係る走行軌跡推定装置を、車両に搭載され、自動走行を行う自動追従制御装置に提供する。本実施の形態に係る自動追従制御装置は、追従目標軌跡を推定し、追従目標軌跡を追従して走行するように車両を制御する。
図1〜図4を参照して、本実施の形態に係る自動追従制御装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る自動追従制御装置の構成図である。図2は、本実施の形態に係る追従目標軌跡を求める方法の説明図である。図3は、本実施の形態に係る車線幅に基づく分離半径(計算範囲半径)を示す図である。図4は、本実施の形態に係る点間距離に基づく計算範囲半径を示す図である。
自動追従制御装置1は、検出した位置などに関するデータに基づいて追従目標軌跡を計算し、その追従目標軌跡に追従するように車両Vの操舵制御、駆動制御、制動制御を行う。特に、自動追従制御装置1では、追従目標軌跡を計算する際に隣接する車線を分離し、車線毎の追従目標軌跡を求める。そのために、自動追従制御装置1は、自己位置検出手段2、車両周辺環境認識手段3、車両挙動計測手段4、情報記録手段5、追従目標軌跡計算手段6、車両制御手段7を備えている。情報記録手段5、追従目標軌跡計算手段6及び車両制御手段7の制御部は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[ReadOnly Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなるECU[ElectronicControl Unit]に構成される。
なお、本実施の形態では、自己位置検出手段2が特許請求の範囲に記載する位置検出手段及び走行状態検出手段に相当し、情報記録手段5が特許請求の範囲に記載する情報記録手段に相当し、追従目標軌跡計算手段6が特許請求の範囲に記載する走行軌跡推定手段に相当する。
自己位置検出手段2は、サンプリング条件を満たす毎に、自車両Vの絶対位置(例えば、緯度、経度、標高からなる位置)及び進行方向(方位角)と車速を検出する手段である。自己位置検出手段2で検出された情報は、検出する毎に、情報記録手段5に記録される。自己位置検出手段2としては、例えば、GPS[Global Positioning System]やIMU[InertialMeasurement Unit]を利用した検出手段、カーナビゲーションシステムにおける現在位置の検出手段、撮像画像を利用した検出手段がある。サンプリング条件としては、予め設定された距離を走行する毎、進行方向が予め設定された角度以上変化した場合、車速が予め設定された速度以上変化した場合、予め設定された時間の間に検出されなかった場合、車両周辺環境認識手段3で特定の対象(例えば、工事、事故、車線規制)を認識した場合、意図したイベントが発生した場合である。
車両周辺環境認識手段3は、車両Vの周辺環境(特に、車両Vの走行に影響を与える環境)を認識する手段である。車両周辺環境認識手段3で認識された結果は、認識する毎に、情報記録手段5に記録される。車両周辺環境認識手段3としては、障害物認識手段3a、位置情報手段3b、車車/路車間通信手段3c、統計的情報処理手段3d、車内通信手段3eがある。障害物認識手段3aは、自車両Vの走行に障害となる障害物(例えば、周辺車両、歩行者、自転車、落下物)を認識する手段であり、例えば、カメラと画像処理装置からなる手段、ミリ波センサと信号処理装置からなる手段である。位置情報手段3bは、位置に関する情報(例えば、道路地図情報)を保持する手段であり、例えば、地図データベース、カーナビゲーション装置である。車車/路車間通信手段3cは、他車両又はVICS[Vehicle Information CommunicationSystem]などの路側のシステムから情報(例えば、渋滞情報、工事情報、落下物情報、車線規制情報、走行軌跡情報)を取得するための通信手段である。統計的情報処理手段3dは、自車両Vが取得した情報や自己位置検出手段2で検出された位置に関する情報などを統計的に処理し、統計的情報(例えば、渋滞情報、事故多発情報)を取得する情報処理手段である。統計的情報処理手段3dでは、例えば、自己位置検出手段2でサンプリング条件として所定車速以下の低車速(停止を含む)で検出された情報を統計的に処理し、信号停止位置や一旦停止位置の情報を取得する。車内通信手段3eは、車両V内の他の装置から情報(例えば、カーナビゲーション装置からの渋滞情報)を取得するための通信手段である。
なお、車両周辺環境認識手段3では、過去の認識結果を用いて認識範囲を限定し、認識処理を高速化することができる。例えば、カメラによる撮像画像を用いた認識手段の場合、過去の認識結果から画像上の検索範囲を限定し、検索の高速化を図る。
車両挙動計測手段4は、車両の並進運動(車両Vの三次元位置、進行方向)と回転運動(車両Vの前後方向、左右方向、上下方向の3軸の回転角、回転角度速度)を計測する手段である。車両挙動計測手段で計測された車両挙動の情報は、車両制御手段7にフィードバックされる。
情報記録手段5は、RAM[Random Access Memory]の所定の領域に構成され、自己位置検出手段2で検出した位置に関する情報、車両周辺環境認識手段3で認識した結果、追従目標軌跡計算手段6で計算した追従目標軌跡を記録するための手段である。自己位置検出手段2で検出された位置に関する情報は、任意の道路を走行する毎に1つの点列データとして記録される。したがって、同じ道路を3回走行した場合、その道路に対して3つの点列データが記録される。図2の例では、3つの点列データ(斜線の丸で示す点列データ、黒の丸で示す点列データ、白の丸で示す点列データ)がある。点列データは、サンプリングされた順に並ぶ点のデータであり、各点のデータが絶対位置、進行方向、車速からなる。追従目標軌跡計算手段6で計算された追従目標軌跡は、任意の道路を走行する毎に新たな追従目標軌跡に更新される。追従目標軌跡は、平均化された点データからなり、各点データが絶対位置、進行方向、車速からなる。
追従目標軌跡計算手段6は、情報記録手段5に記録されている現在走行中の道路についての車両周辺環境情報を反映し、情報記録手段5に記憶されている現在走行中の道路についての全ての点列データから追従目標軌跡を計算する手段である。追従目標軌跡計算手段6で計算された追従目標軌跡は、更新される毎に、情報記録手段5に記録される。
図2を参照して、追従目標軌跡計算手段6で行う追従目標軌跡を求める基本的な処理について説明する。まず、追従目標軌跡から分離したい対象を決め、分離半径を設定する。自動追従制御装置1では、車線毎の追従目標軌跡を求めるために、分離したい対象が隣接車線である。分離半径は、分離したい対象までの最短距離の1/2未満の半径である。図3に示すように、分離半径SRは、自車線と隣接する車線との中心線間距離RL(すなわち、車線幅)の1/2より少し短い長さである。
同じ走行路に対する過去の走行で取得した点列データの中から1つの点列データを抽出する。どの点列データを抽出するかは、特に条件はなく、どの点列データを抽出してもよい。というのは、いずれの点列データを抽出した場合でも、同一の車線を走行していれば、点列データの数が増えるほど、各点列データの点の位置が二項分布に類似することが統計的に予想されるので、求められる追従目標軌跡はその分布の中央付近に収束するからである。図2に示す例では、黒の丸で示す点列データを抽出している。
抽出した点列データからサンプリングした順に1つの点データ(位置、進行方向、車速)を順次取り出す。そして、過去の走行で取得した点列データの中から、その1つの点データを中心として分離半径SRの円内に存在する点データを抽出し、その中心の点データと抽出した全ての点データの位置、進行方向、車速をそれぞれ平均化する。さらに、今回の走行で取得した周辺環境の認識結果に応じた重みに用いて、その平均化した点データと円内に存在する今回の走行でサンプリングされた新たな点データの位置、進行方向、車速をそれぞれ荷重平均化する。以上の処理を点列データの最後の点まで繰り返し行う。そして、この荷重平均化した全ての点データにより、追従目標軌跡を構成する。
設定する重みは、周辺環境が一時的に認識されたものかあるいは継続的に認識されたものか、認識された周辺環境の種類などを考慮し、任意に設定してよい。重みを重くするかあるいは軽くするかは、状況によって変わる。例えば、工事や車線規制が一時的に認識された場合、今回の走行でサンプリングされた新たな点データに対する重みを軽くする。また、新たな道路が開通されたりあるいは新たな車線が増設された場合、追従目標軌跡に反映する必要があるので、今回の走行でサンプリングされた新たな点データに対する重みを重くする。
基本的には以上の処理により、隣接車線と分離した車線毎の追従目標軌跡を求めることができる。しかし、サンプリングされる点データにはばらつきがあるので、追従目標軌跡計算手段6では、そのばらつきを考慮し、実際の計算を行うときの計算範囲半径を設定している。具体的には、分離半径SRが、抽出した点列データにおける任意の点データとその次にサンプリングされた点データとの間の距離(点間距離)の1/2以上か否かを判定する。そして、分離半径SRが点間距離の1/2以上の場合、ばらつきが小さいので、計算範囲半径として点間距離の1/2より少し短い長さを設定する。この計算範囲半径は、分離半径SRより更に小さい半径となる。図4に示す例では、計算範囲半径として、点P1と点P2との距離の1/2未満のR1が設定され、点P2と点P3との距離の1/2未満のR2が設定され、点P3と点P4との距離の1/2未満のR3が設定される。一方、分離半径SRが点間距離の1/2未満の場合、ばらつきが大きいので、計算範囲半径として分離半径SRを設定する。このいずれの半径を設定した場合でも、隣接車線から分離した車線毎の追従目標軌跡を求めることができるが、点間距離の1/2未満の半径を用いた場合にはばらつきの小さいデータにより更に精度の高い追従目標軌跡を求めることができる。追従目標軌跡計算手段6では、この計算範囲半径より、上記した平均化処理と荷重平均化処理を行い、追従目標軌跡の各点データを計算する。
なお、ある走行路を最初に走行する場合、追従目標軌跡を求めるための点列データがないので、他車両から車車間通信によってその走行路についての点列データあるいは追従目標軌跡データを取得するようにしてもよいし、あるいは、高精度の道路地図データから取得するようにしてもよい。特に、他車両からデータを取得する場合、自車両Vと同様の動特性を有する車両からデータを取得するのが望ましい。
車両制御手段7では、情報記録手段5に記録されている追従目標軌跡を追従して走行するように、車両挙動計測手段4で検出した車両挙動と追従目標軌跡に基づいて車両Vの操舵制御、駆動制御及び制動制御を行う手段である。そのために、車両制御手段7は、制御部と操舵用アクチュエータ、駆動用アクチュエータ、制動用アクチュエータを備えている。
図1〜図4を参照して、自動追従制御装置1の動作について説明する。特に、追従目標軌跡計算手段6における処理については図5のフローチャートに沿って説明する。図5は、図1の追従目標軌跡計算手段における処理の流れを示すフローチャートである。
自己位置検出手段2は、サンプリング条件を満たす毎に、自車両Vの位置、進行方向、車速を検出し、この点データを情報記録手段5に記録する。また、車両周辺環境認識手段3では、各手段3a〜3eにより、自車両Vの周辺環境を認識し、認識できた場合にはその認識結果を情報記録手段5に記録する。これによって、情報記録手段5には、過去の点列データに加えて今回の走行による新たな点列データが記録されるとともに、過去の周辺環境の認識結果に加えて今回の走行による新たな認識結果が記録される。
追従目標軌跡計算手段6では、分離半径を設定する(S1)。この分離半径は、運転者によって分離したい対象に応じて入力されてもよいし、あるいは、装置側で道路地図データなどから設定してもよい。
次に、追従目標軌跡計算手段6では、情報記録手段5における現在走行中の道路に対する点列データを参照し、その中から中心に用いる1つの点列データを指定する(S2)。そして、追従目標軌跡計算手段6では、情報記録手段5から現在走行中の道路に対する点列データを読み込む(S3)。
追従目標軌跡計算手段6では、指定した点列データから点データを順次抽出し、その点データと次のサンプリングの点データの点間距離を計算する(S4)。そして、追従目標軌跡計算手段6では、分離半径が点間距離の1/2以上か否かを判定する(S5)。S5にて分離半径が点間距離の1/2未満と判定した場合、追従目標軌跡計算手段6では、計算範囲半径として分離半径を設定する(S6)。一方、S5にて分離半径が点間距離の1/2以上と判定した場合、追従目標軌跡計算手段6では、計算範囲半径として点間距離の1/2未満の値を設定する(S7)。
そして、追従目標軌跡計算手段6では、順次抽出した点データを中心とし、計算範囲半径を半径とする円内に存在する過去の点データを全て抽出し、それらの点データの位置、進行方向、車速をそれぞれ平均化する(S8)。さらに、追従目標軌跡計算手段6では、車両周辺環境の認識結果に応じた重みにより、その平均化した点データと円内に存在する新たにサンプリングされた点データの位置、進行方向、車速をぞれぞれ荷重平均化する(S9)。追従目標軌跡計算手段6では、この荷重平均化した点データ(位置、進行方向、車速)を更新し、情報記録手段5に記録する(S10)。
追従目標軌跡計算手段6では、今回処理した点データが指定した点列データの最後の点データか否かを判定する(S11)。S11にて最後の点データでないと判定した場合、追従目標軌跡計算手段6では、指定した点列データから次の点データを抽出し(S12)、S4に戻ってこの抽出した点データに対する処理を行う。一方、S11にて最後の点データと判定した場合、追従目標軌跡計算手段6では、処理を終了する。これによって、情報記録手段5に今回の処理で記録された全ての点データによって、新たな追従目標軌跡が構成される。
車両挙動計測手段4では、車両の各種挙動(並進運動と回転運動)を計測し、その計測したデータを車両制御手段7にフィードバックしている。車両制御手段7では、情報記録手段5に記録されている追従目標軌跡を読み出し、追従目標軌跡に追従して走行するように、車両挙動計測手段4で検出した車両挙動と追従目標軌跡に基づいて車両Vの操舵制御、駆動制御及び制動制御を行う。これによって、車両Vは、追従目標軌跡に沿って走行する。
この自動追従制御装置1によれば、車線幅を直径とする円よりも小さい円内に含まれる点データを平均化して追従目標軌跡を求めることにより、走行する車線に関係のない不要な点データを排除することができ、車線毎の高精度な追従目標軌跡を推定することができる。これによって、右折車線を走行するとき、追い越し車線を走行するとき、車線変更するときなどの特定の車線を走行するための追従目標軌跡を推定することができる。さらに、自動追従制御装置1によれば、分離半径の他に点間距離に基づく計算範囲半径を設定することにより、検出した点データのばらつきも考慮して高精度な追従目標軌跡を推定することができる。
また、自動追従制御装置1では、過去の点列データを蓄積し、その蓄積した点列データを用いて追従目標軌跡を求めるので、ある走行路に対する点列データが増えるほど、より高精度な追従目標軌跡を求めることができる。例えば、同じ場所で車線変更を毎回行うのであれば、その点列データが増えるほど、その場所での車線変更の推奨軌跡を示す追従目標軌跡を求めることができる。一方、一度だけ車線変更を行ったのであれば、車線変更を行っていいない他の点列データによって、車線変更を行わない追従目標軌跡を求めることができる。さらに、自動追従制御装置1では、新たに検出した点列データも加味して追従目標軌跡を求めるので、追従目標軌跡に最新の情報を加味して更新してゆくことができる。この際、自動追従制御装置1では、車両周辺環境によって重み付けして新たな点列データを加味するので、工事、事故、車線軌跡などの最新の車両周辺環境に柔軟に対応した追従目標軌跡を推定することができる。
また、自動追従制御装置1では、位置の他に進行方向や車速も加味して追従目標軌跡を求めているので、より高精度な追従目標軌跡を推定することができる。これによって、例えば、対向車線との区別、停止位置の識別、高速道路や市街道路などの道路種別の識別が可能となる。さらに、自動追従制御装置1では、点列データに対して統計的な処理を施すことにより、より高精度な追従目標軌跡を推定することができる。これによって、例えば、所定の車速より低速となった場所を統計的に求めることにより、信号停止位置や一旦停止位置などを識別することができる。
また、自動追従制御装置1では、追従目標軌跡や点列データを動力特性の違いを考慮した上で他車両と共用することも可能である。これによって、未走行の道路でも、追従目標軌跡を取得することができたり、あるいは、追従目標軌跡を他車両に提供することができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では走行軌跡推定装置を自動追従制御装置に適用したが、走行軌跡を用いる他の装置に適用してもよいし、あるいは、走行軌跡推定装置単体として適用してもよい。
また、本実施の形態では車両周辺環境認識手段によって障害物情報などを各種認識手段で取得する構成としたが、これらの障害物情報などが路側のシステムや他車両において処理された情報として存在する場合、車車間通信や路車間通信で取得する構成としてもよいし、あるいは、記録媒体に予め記憶させて車内に保持する構成としてもよい。
また、本実施の形態では点データを平均化する際に用いる所定範囲を円で設定したが、正方形などの他の形状で設定してもよい。
また、本実施の形態では車線毎に追従目標軌跡を分離するために分離半径として車線幅の1/2未満の値を設定したが、分離したい対象によって分離半径を適宜設定してよい。
また、本実施の形態では追従目標軌跡を求める際に位置だけでなく、進行方向や車速も加味する構成としたが、位置だけの追従目標軌跡を求める構成としてもよいし、進行方向と車速のいずれかを加味した追従目標軌跡を求める構成としてもよいし、あるいは、進行方向や車速以外の走行状態も加味して追従目標軌跡を求める構成としてもよい。
また、位置情報は立体交差を考えれば高さを含めて3次元であり、渋滞や工事、規制などが時間の情報を持つ場合は情報に含める。
本実施の形態に係る自動追従制御装置の構成図である。 本実施の形態に係る追従目標軌跡を求める方法の説明図である。 本実施の形態に係る車線幅に基づく分離半径(計算範囲半径)を示す図である。 本実施の形態に係る点間距離に基づく計算範囲半径を示す図である。 図1の追従目標軌跡計算手段における処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1…自動追従制御装置、2…自己位置検出手段、3…車両周辺環境認識手段、3a…障害物認識手段、3b…位置情報手段、3c…車車/路車間通信手段、3d…統計的情報処理手段、3e…車内通信手段、4…車両挙動計測手段、5…情報記録手段、6…追従目標軌跡計算手段、7…車両制御手段

Claims (6)

  1. 車両の走行軌跡を推定する走行軌跡推定装置であって、
    所定の検出条件のときに車両の位置を検出する位置検出手段と、
    前記位置検出手段で検出した位置の情報を記録する情報記録手段と、
    前記情報記録手段に記録されている車両の位置の情報を用いて、所定範囲内に存在する車両の位置を平均化して走行軌跡を推定する走行軌跡推定手段と
    を備えることを特徴とする走行軌跡推定装置。
  2. 所定の検出条件のときに車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を備え、
    前記情報記録手段には、検出タイミングが同じ車両の位置の情報と走行状態の情報とが対応付けて記録され、
    前記走行軌跡推定手段は、車両の位置に走行状態を加味した走行軌跡を推定することを特徴とする請求項1に記載する走行軌跡推定装置。
  3. 前記所定範囲は、走行車線数又は走行車線幅に基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する走行軌跡推定装置。
  4. 前記所定範囲は、走行車線幅を直径とする円よりも小さい円内であることを特徴とする請求項3に記載する走行軌跡推定装置。
  5. 前記所定範囲は、前記位置検出手段で任意のタイミングで検出された車両の位置と次のタイミングで検出された車両の位置との間の距離に基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する走行軌跡推定装置。
  6. 前記所定範囲は、前記位置検出手段で任意のタイミングで検出された車両の位置と次のタイミングで検出された車両の位置との間の距離を直径とする円よりも小さい円内であることを特徴とする請求項5に記載する走行軌跡推定装置。
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