JP4899143B2 - 熱可塑性エラストマ樹脂組成物および成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟でゴム的性質に優れ、機械的物性が高く、優れた透光性や透明性を有し、成形性が良好で、硬質樹脂との接着性にも優れる熱可塑性エラストマ樹脂組成物、およびそれを用いた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレート単位のような結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位をソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体は、押出成形性、射出成形性に優れ、機械的強度が高く、耐衝撃性、弾性回復性、柔軟性などのゴム的性質、低温および高温特性、耐水性、耐薬品性などに優れ、さらに熱可塑性で成形加工が容易であるため、自動車部品および電気・電子部品、繊維、フィルムなどに用途を拡大している。
【0003】
このように有用なポリエステルブロック共重合体ではあるが、溶融時は透明であっても、冷却固化時は白濁して不透明になるため、透光性や透明性を要求される用途には用いることが困難であり、透明性や透光性を有しながら柔軟なものを得ることは、特に困難であった。
【0004】
ポリエステルブロック共重合体を透明化する技術については、これまでにも検討されており、例えば、ポリエーテルエステルブロック共重合体にカルボン酸のナトリウム塩を配合して透明化した樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、およびポリエステルブロック共重合体に対し、ポリエーテルエステルブロック共重合体にエチレン単位およびカルボン酸含有単位を含有させ、このカルボン酸単位が金属イオンで中和された共重合体を単独でまたはカルボン酸のアルカリ金属塩とともに配合して透明化した樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)がすでに提案されており、これらの従来例には酸化防止剤や可塑剤を配合することも開示されている。さらに、ポリエーテルエステルブロック共重合体にカルボン酸のアルカリ金属塩と溶融状態において透明性を実質的に損なわない可塑剤を配合した樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)も提案されている。
【0005】
これらの従来例によれば、確かに従来のポリエステルブロック共重合体に比べて透光性や透明性のある樹脂組成物を得ることはできるが、反面柔軟性は不足していた。
【0006】
また、ポリエステルブロック共重合体の柔軟性を改良する従来の試みとしては、水添SBSブロックコポリマーなどの熱可塑性弾性体とポリエステル系熱可塑性エラストマからなる組成物(例えば、特許文献4参照)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘導体とゴム用軟化剤とポリエステル系エラストマとからなる組成物(例えば、特許文献5参照)、および熱可塑性ポリエステルエラストマーに水添ジエン系共重合体と可塑剤を配合した組成物(例えば、特許文献6参照)が知られている。
【0007】
一方、ポリエステルブロック共重合体に可塑剤を配合した組成物(例えば、特許文献7および8参照)、およびポリエステルブロック共重合体に変性された水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体と可塑剤を配合した組成物、およびポリエステルブロック共重合体に水添スチレン−イソプレンブロック共重合体と可塑剤を配合した組成物(例えば、特許文献9参照)もすでに提案されている。
【0008】
上記した従来の提案によれば、確かに従来のポリエステルブロック共重合体に比べて柔軟な樹脂組成物を得ることができるが、これらの技術をもってしても柔軟化できる範囲には限界があり、しかも透明性や透光性のあるものを得ることはできなかった。
【0009】
さらに、ポリエステルブロック共重合体と脂肪酸アミド系化合物とからなる樹脂組成物については、ポリエステルブロック共重合体にビス脂肪酸アミドなどを配合して溶融成形時の匂いを減少させた組成物(例えば、特許文献10参照)、ポリエステルエラストマに置換アマイド類を配合した耐摩耗性に優れた組成物(例えば、特許文献11参照)、ポリエステルブロック共重合体に高級脂肪族モノカルボン酸と多塩基酸の混合物とジアミンとの反応によって得られるカルボン酸アマイド系ワックスを配合した離型性の良い組成物(例えば、特許文献12参照)、およびポリエステルプロック共重合体にアルキレンビス脂肪酸アミドを配合した組成物を用いた摺動音の抑制されたフレキシブルブーツ(例えば、特許文献13参照)などが知られているが、これらはポリエステルブロック共重合体の柔軟性改良については何らの開示もするものではない。
【0010】
すなわち、上記の従来技術は、いずれも透光性や透明性を有する十分に柔軟な熱可塑性エラストマ樹脂組成物を提供するものではなく、また、例えばポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂と呼ぶ)およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂(以下、PCTA樹脂と呼ぶ)、ポリプロピレン樹脂のような硬質樹脂との接着性の点でも限界があり、柔軟性とゴム弾性を有し、硬質樹脂との接着性に優れる透光性や透明性を有する熱可塑性エラストマ樹脂組成物を得ることや、それらを用いた、感触に優れ手に馴染みの良い複合成形体を得ることは難しいという現状にあった。さらに、そのような柔軟な透明樹脂組成物は、ペレット間の融着が起こりやすく扱いにくいという問題もあった。また、表層剥離が生じて成形品表面が剥がれてくるため成形品外観が悪くなるという問題もあった。
【0011】
【特許文献1】
特開昭52−4549号公報
【特許文献2】
特開平10−182954号公報
【特許文献3】
特開平7−216202号公報号公報
【特許文献4】
特開平3−100045号公報
【特許文献5】
特開平1−193352号公報
【特許文献6】
特開平4−323250号公報
【特許文献7】
特開平2−043251号公報
【特許文献8】
特開平3−109458号公報
【特許文献9】
特開平8−277359号公報
【特許文献10】
特開昭49−34944号公報
【特許文献11】
特開平5−279557号公報
【特許文献12】
特開平11−181258号公報
【特許文献13】
特開2000−186765号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、柔軟でゴム的性質に優れ、機械的物性が高く、優れた透光性や透明性を有し、成形性が良好で、硬質樹脂との接着性にも優れる熱可塑性エラストマ樹脂組成物およびそれを用いた成形体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、ポリエステルブロック共重合体に対し、水素添加されたスチレン系エラストマおよび/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体と、側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体および/または炭素数35以下のカルボン酸のアルカリ金属塩および/または有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩を配合した組成物が、透光性や透明性に優れ、柔軟でゴム弾性を有し、耐熱性や機械的性質に優れ、押出成形や射出成形などの成形性が良好で、表層剥離のない外観の美しい成形品が得られ、硬質樹脂との接着性にも優れることを見出し、本発明に到達した。
【0014】
すなわち、本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)10〜50重量%と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)90〜50重量%とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%との合計100重量部に対し、側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体(D)0.2〜20重量部および/またはカルボン酸のアルカリ金属塩(E)0.01〜3重量部および/または有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩(F)0.01〜3重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有することを特徴とする。
【0015】
なお、本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物においては、
前記ポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%の合計100重量部に対し、さらに可塑剤(G)および/またはゴム用軟化剤(H)1〜100重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有すること、
前記ポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%との合計100重量部に対し、さらに脂肪酸アミド化合物(I)0.01〜5重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有すること、
前記ポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%との合計100重量部に対し、さらに可塑剤(G)および/またはゴム用軟化剤(H)1〜100重量部、および脂肪酸アミド化合物(I)0.01〜5重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有すること、
前記ポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%との合計100重量部に対し、さらにヒンダードフェノール系ラジカル捕捉剤(J)、過酸化物分解剤(K)および光安定剤(L)から選ばれた1種以上0.01〜5重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有すること、
前記高融点結晶性重合体セグメント(a)が、ポリブチレンテレフタレート単位、またはポリブチレンテレフタレート単位とポリブチレンイソフタレート単位で構成されること、
前記低融点重合体セグメント(b)が、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールおよび/またはポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物および/またはエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体で構成されること、
前記水素添加されたスチレン系ブロックエラストマ(B)が、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエンブロック共重合体、および水素添加スチレンブタジエンラバーから選ばれた1種以上であること、
前記結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)が、ハードセグメントとしてポリエチレンブロックまたはポリエチレンブロックとポリスチレンブロックを、ソフトセグメントとして水素添加ポリブタジエンブロックまたは水素添加ポリイソプレンブロックを有する熱可塑性エラストマから選ばれた1種以上であること、
前記側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体(D)が、エチレンとアクリル酸あるいはメタクリル酸に代表される不飽和カルボン酸との共重合体を、ナトリウム、カリウム、リチウムから選ばれたアルカリ金属で中和したものであること、
前記カルボン酸のアルカリ金属塩(E)が、炭素数10以上の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩および/またはダイマー酸のアルカリ金属塩であること、
前記有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩(F)が、芳香族有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩であること、
前記可塑剤(G)が、ベンゾエート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、およびピロメリット酸エステル系可塑剤から選ばれる1種以上の化合物であること、
前記ゴム用軟化剤(H)が、パラフィン系オイルおよび/またはナフテン系オイルであること、および
前記脂肪酸アミド化合物(I)が、アルキレンビス高級脂肪酸アミド化合物であること、
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件を適用することにより、一層優れた効果の取得を期待することができる。
【0016】
また、本発明の成形体は、上記の熱可塑性エラストマ樹脂組成物を射出成形してなることを特徴とし、
複合成形体であること、
硬質樹脂と上記熱可塑性エラストマ樹脂組成物とからなる複合成形体であること、および
ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、PBT樹脂、およびPCTA樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれた硬質樹脂の1種以上と上記熱可塑性エラストマ樹脂組成物とからなる複合成形体であること、
がいずれも好ましい条件として挙げられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0018】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a)は、主として芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成されるポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル−4,4' −ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4' −ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、および3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。主として芳香族ジカルボン酸を用いるが、必要によっては、芳香族ジカルボン酸の一部を、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4' −ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、およびアジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸に置換してもよい。ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、たとえば低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、および酸ハロゲン化物などももちろん同等に用い得る。
【0019】
ジオールの具体例としては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、およびキシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニルプロパン、2,2' −ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4' −ジヒドロキシ−p−ターフェニル,4,4' −ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールもエステル形成性誘導体、例えばアセチル体、およびアルカリ金属塩などの形でも用い得る。
【0020】
これらのジカルボン酸、その誘導体、ジオール成分およびその誘導体は、2種以上を併用してもよい。
【0021】
そして、好ましい高融点結晶性重合体セグメント(a)の例としては、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位である。また、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンイソフタレート単位からなるものも好ましく用いられる。
【0022】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(b)は、脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルであり、脂肪族ポリエーテルの具体例としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。
【0023】
また、脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、およびポリブチレンアジペートなどが挙げられる。これらのなかでも、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールおよび/またはポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物および/またはエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体が好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
【0024】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(b)の共重合量は、通常、10〜90重量%、好ましくは20〜85重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。
【0025】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)は、公知の方法で製造することができる。この製造方法の具体例としては、例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、および低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、ジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、あらかじめ高融点結晶性セグメントを作っておき、これに低融点セグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法、および高融点結晶性セグメントと低融点重合体セグメントを鎖連結剤でつなぐ方法などが挙げられる。さらに、ポリ(ε−カプロラクトン)を低融点重合体セグメントに用いる場合には、高融点結晶性セグメントにε−カプロラクトンモノマを付加反応させるなどのいずれの方法をとってもよい。
【0026】
本発明に用いられる水素添加されたスチレン系エラストマ(B)は、芳香族ビニル系単量体からなるブロックと、共役ジエンからなるブロックから形成されるスチレン系ブロック共重合体や、芳香族ビニル系単量体と共役ジエンからなるスチレンブタジエンラバーを水素添加して得られるものである。
【0027】
上記芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、およびo,p−ジクロルスチレンなどが挙げられる。
【0028】
また、共役ジエンの具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ブタジエン/イソプレン共重合体、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、およびクロロプレンなどが挙げられる。
【0029】
これらの中でも、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加されたスチレン−イソプレン/ブタジエンブロック共重合体、および水素添加スチレンブタジエンラバーが好ましい。
【0030】
本発明に用いられる水素添加されたスチレン系エラストマ(B)は、変性されていても良い。変性はカルボキシル基含有不飽和化合物または酸無水物含有不飽和化合物、あるいはエポキシ基含有モノマーによって行われる。カルボキシル基含有不飽和化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、およびマレイン酸などが挙げられる。酸無水物含有不飽和化合物の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ブテニル無水コハク酸、およびテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。エポキシ基含有モノマーの具体例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、ビニルグリシジルエーテル、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテルなどが挙げられる。変性された水素添加スチレン系ブロック共重合体の中でも、変性された水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、変性された水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、変性された水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン共重合体、および水素添加スチレンブタジエンラバーが好ましい。
【0031】
本発明に用いられる結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)とは、ハードセグメントとして結晶性ポリオレフィンブロックまたは結晶性ポリオレフィンブロックとポリスチレンブロックを、ソフトセグメントとして水素添加されたゴム成分を有するものであるが、中でも、ハードセグメントとしてポリエチレンブロックまたはポリエチレンブロックとポリスチレンブロックを、ソフトセグメントとして水素添加ポリブタジエンブロックまたは水素添加ポリイソプレンブロックを有する熱可塑性ブロック共重合体であることが好ましい。
【0032】
本発明においては、ポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%に対し、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)を90〜5重量%、好ましくは85〜7重量%、さらに好ましくは80〜10重量%配合する。ポリエステルブロック共重合体(A)の配合量が上記の範囲に満たない場合は、耐熱性、耐薬品性、成形性などが不十分であり、上記の範囲を越える場合は、柔軟性が不十分となるため好ましくない。
【0033】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物に用いられる成分の一つである側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体(D)とは、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのエチレン系不飽和カルボン酸との共重合体を、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、亜鉛イオンなどで中和したものであり、これらは、例えばデュポン社から“サーリン”または三井・デュポンポリケミカル社から“ハイミラン”として市販されているものである。中でもナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属イオンで中和したものが好ましい。
【0034】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物においては、ポリエステルブロック共重合体(A)と水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)の合計100重量部に対し、側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体(D)を0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、特に好ましくは1〜10重量部配合する。側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体(D)の配合量が上記の範囲未満では、透光性や透明性が不十分であり、上記の範囲を越えると、相分離が起こり、機械的な物性と透光性や透明性が低下するため好ましくない。
【0035】
本発明に用いられるカルボン酸のアルカリ金属塩(E)としては、脂肪族、脂環族または芳香族のカルボン酸のナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩が挙げられるが、中でも炭素数10以上の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩、および/またはダイマー酸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0036】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物においては、ポリエステルブロック共重合体(A)と水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)の合計100重量部に対し、これらのカルボン酸のアルカリ金属塩(E)を、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部配合する。カルボン酸のアルカリ金属塩(E)の配合量が上記の範囲に満たない場合は、透光性や透明性が不十分であり、上記の範囲を越えると、ブルーミングが発生するため好ましくない。
【0037】
本発明に用いられる有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩(F)としては、脂肪族、脂環族または芳香族のリン酸エステル化合物のナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩が挙げられるが、中でも芳香族有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩が好ましい。
【0038】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物においては、ポリエステルブロック共重合体(A)と水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)の合計100重量部に対し、これらの有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩(F)を、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部配合する。有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩(F)の配合量が上記の範囲に満たない場合は、透光性や透明性が不十分であり、上記の範囲を越えると、ブルーミングが発生するため好ましくない。
【0039】
なお、上記の(D)、(E)および(F)の各成分は、いずれかを単独で配合することも、2成分以上を組み合わせて配合することも可能であるが、(D)成分単独、(D)成分/(E)成分または(D)成分/(F)成分の組合わせで配合した場合に際だった効果が得られる。
【0040】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、さらに可塑剤(G)および/またはゴム用軟化剤(H)を配合することによって、透光性や透明性を保ちつつ柔軟性や溶融流動性を向上させることができる。
【0041】
本発明に用いられる可塑剤(G)の具体例としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリス−ジクロロプロピルホスフェートなどのリン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル、トリメリット酸イソデシルエステルなどのトリメリット酸エステル系可塑剤、ジペンタエリスリトールエステル系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルセバケート、メチルアセチルリシノレートなどの脂肪酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸オクチルエステルなどのピロメリット酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化可塑剤、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテルなどのポリエーテル系可塑剤、およびジエチレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、ジブチレングリコールジベンゾエート、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、グリセリルトリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、トリメチロールエタントリベンゾエートなどのベンゾエート系可塑剤などを挙げることができ、これらの中でもベンゾエート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、およびピロメリット酸エステル系可塑剤から選ばれた1種以上の化合物であることが好ましい。
【0042】
本発明において可塑剤(G)を用いる場合は、ポリエステルブロック共重合体(A)と水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)の合計100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは3〜50重量部を配合する。
【0043】
本発明で用いられるゴム用軟化剤(H)としては、ナフテン系オイルやパラフィン系オイルなどの鉱物油系軟化剤、およびポリブテンや低分子量ポリブタジエンなどの合成樹脂系軟化剤が挙げられるが、これらの中でもパラフィン系オイルおよび/またはナフテン系オイルが好ましく用いられる。
【0044】
本発明においてゴム用軟化剤(H)を用いる場合は、ポリエステルブロック共重合体(A)と水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)の合計100重量部に対して1〜100重量部を配合する。
【0045】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物においては、さらに脂肪酸アミド化合物(I)を配合することによって、透光性や透明性を保ちつつ、ブロッキングや表層剥離の発生を抑制することができる。
【0046】
本発明に用いられる脂肪酸アミド化合物(I)は、脂肪酸とアミン化合物の反応によって得られる化合物であり、アルキレンビス高級脂肪酸アミド化合物、高級脂肪族モノカルボン酸と多塩基酸の混合物とジアミンとの反応によって得られるカルボン酸アマイド系ワックスから選ばれた1種以上の化合物などを挙げることができる。アルキレンビス高級脂肪酸アミド化合物の具体例としては、オレイルオレイン酸アミド、ステアリルオレイン酸アミド、オレイルステアリン酸アミドなどのモノアミド化合物、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、メチレンビスミリスチン酸アミド、メチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスミリスチン酸アミド、エチレンビスパルミチン酸アミドなどのアルキレン対称ビス高級脂肪酸アミド、メチレンステアリルオレイルビスアミド、メチレンステアリルラウリルビスアミド、メチレンパルミトレイルオレイルビスアミド、エチレンステアリルオレイルビスアミド、エチレンステアリルラウリルビスアミド、およびエチレンパルミトレイルオレイルビスアミドなどを具体的に挙げることができる。また、アルキレン対称ビス高級脂肪酸アミドとアルキレン非対称ビス高級脂肪酸アミド化合物の混合物であってもかまわない。
【0047】
本発明において、これらの脂肪酸アミド化合物(I)を用いる場合は、ポリエステルブロック共重合体(A)と水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)の合計100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部を配合する。
【0048】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物においては、さらに、ヒンダードフェノール系ラジカル捕捉剤(J)、過酸化物分解剤(K)および光安定剤(L)から選ばれた1種以上を配合することによって、透光性や透明性を保ちつつ熱や光による変色に対する耐性を向上させることができる。ここで用いるヒンダードフェノール系ラジカル捕捉剤(J)としては、分子量が500以上のヒンダードフェノール系化合物が好ましい。過酸化物分解剤(K)としてはホスファイト系化合物および/またはチオエーテル系化合物が好ましい。ホスファイト系化合物としては、分子中に2個以上のリン原子を有するものがさらに好ましい。光安定剤(K)としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、およびヒンダードアミン系化合物などが好ましい。これらを単独で用いてもよいが、ベンゾトリアゾール系化合物あるいはベンゾフェノン系化合物などの紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定剤を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0049】
これらの酸化防止剤や光安定剤を用いる場合は、ポリエステルブロック共重合体(A)と水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)の合計100重量部に対して、各々0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部を配合する。
【0050】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下のものである。ヘイズ値が70%未満のものは目視で透明である。例えば印刷物の上にこのシートを置いた場合、文字がきわめて明瞭に見える。ヘイズ値が70%から85%のものは目視では半透明であるが、実質的に透光性を有する。ヘイズ値がこのレベルのものも、印刷物の上にこのシートを置いた場合には、文字を十分に読むことができる。ヘイズ値が85%を越えるものは不透明であり、透光性も透明性も有しない。この場合は印刷物の上にこのシートを置くと、文字を全く読むことができない。
【0051】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物の製造方法については、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルブロック共重合体、スチレン系エラストマおよび/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体、側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体および/またはカルボン酸のアルカリ金属塩をはじめとする他の添加物を一緒に配合した原料をスクリュー型押出機に供給し溶融混練する方法、またスクリュー型押出機に、まずポリエステルブロック共重合体を供給して溶融し、さらに他の供給口よりスチレン系エラストマ、側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体、および必要によりカルボン酸のアルカリ金属塩をはじめとする他の添加物を供給混練する方法などを適宜採用することができる。
【0052】
本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、射出成形や押出成形などにより成形され、柔軟かつ透明性または透光性を有し、反発弾性のようなゴム弾性に優れ、破断強さや破断伸度などの機械的特性が高く、しかも表面外観の美しい成形品を与える。このため自動車、電子・電気機器、精密機器、および一般消費財用途の各種成形品などに有用である。さらに、グリップ、チューブ、パッキン、ガスケット、クッション体、フィルム、およびシートなどにも適している。
【0053】
また、本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物からなる層と硬質樹脂層とを積層させてなる複合成形体を得ることも有用である。硬質樹脂層を構成する硬質樹脂としては、複合成形品の剛性を保持し、目的の機械的強度を有する樹脂であれば、特に限定されるものではない。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、およびポリオレフィン樹脂などが挙げられるが、これらの中でもポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、PBT樹脂、PCTA樹脂、およびポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0054】
複合成形体は、共押出成形法や、二色成形をはじめとする多色射出成形法などによって製造される。本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、これらの硬質樹脂との接着性に優れている。これらの複合成形体は、各種筐体、アンテナカバー、コネクター、グリップ、ローラー、キャスター、ホース、多層チューブなどに好ましく使用することができる。
【0055】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明の効果を説明する。なお、実施例中の%および部とは、ことわりのない場合すべて重量基準である。また、例中に示される物性は次のように測定した。
[融点]
差動走査熱量計(Du Pont社製DSC−910型)を使用して、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の昇温速度で加熱した時の融解ピークの頂上温度を測定した。
[溶融粘度指数(MFR)]
ASTM D−1238にしたがって温度200℃、荷重2160gで測定した。
[硬度(デュロメーターA)]
ASTM D−2240にしたがって測定した。
[反発弾性率]
BS規格903にしたがって測定した。
[機械的特性]
JIS K7113にしたがって、引張破断強度と引張破断伸度を測定した。
[ヘイズ値]
プレス成形法によって作成した厚さ約2mmのシートを用い、直読ヘイズメーター(東洋精機社製NO.206型)で測定した。
[ブロッキング性]
ペレット200gを内寸が縦15cm×横7cm×高さ6cmの組立可能な箱型容器に入れ、ペレットの上に縦15cm×横7cmの板を乗せ、そこに16kgの荷重をかける。その状態で80℃の熱風オーブン中で20時間の熱処理を行う。試験後、箱型容器の側壁を取り除いて荷重をかけ、ブロッキング状態が崩れる最大荷重を測定した。
[表層剥離]
80℃で3時間乾燥したペレットを、温度200℃で射出成形することによって、長さ115mm、幅60mm、厚さ2mmの成形品を得た。成形品の表面に表層剥離が発生していないかどうかを肉眼で観察した。
[耐熱変色性]
試験片を、80℃の恒温槽中で4週間熱処理し、取り出した後、変色の状態を目視で観察した。
[耐光変色性]
試験片を、紫外線カーボンアークランプを光源とするフェードオーメーター中で、槽内温度50℃で10時間処理し、取り出した後、変色の状態を目視で観察した。
[参考例]
[ポリエステルブロック共重合体(A−1)の製造]
テレフタル酸208部、1,4−ブタンジオール228部、および数平均分子量約2000のエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体(EO/THFモル比40/60)720部を、チタンテトラブトキシド2部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応をおこなった。反応混合物に“イルガノックス”1010(チバガイギー社製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.5部を添加した後、245℃に昇温し、次いで40分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で2時間50分重合を行なった。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレットとした。
[ポリエステルブロック共重合体(A−2)の製造]
テレフタル酸293部、イソフタル酸85部、および1,4−ブタンジオール415部、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(数平均分子量約1400)467部を、チタンテトラブトキシド1.5部およびトリメリット酸無水物3部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、210℃で2時間30分加熱して、理論メタノール量の95%のメタノールを系外に留出させた。反応混合物に“イルガノックス”1010を0.75部添加した後、245℃に昇温し、次いで40分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で2時間40分重合を行なった。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレットとした。
[ポリエステルブロック共重合体(A−3)の製造]
ジメチルテレフタレート320部、ジメチルイソフタレート93部、1,4−ブタンジオール345部、およびエチレンオキシドで末端をキャッピングしたポリ(プロピレンオキシド)グリコール(数平均分子量2200、EO含量26.8%)550部を、チタンテトラブトキシド2部およびトリメリット酸無水物3部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、210℃で2時間30分加熱して、理論メタノール量の95%のメタノールを系外に留出させた。反応混合物に“イルガノックス”1010を0.75部添加した後、245℃に昇温し、次いで、50分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で1時間50分重合を行なった。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレットとした。
【0056】
表1にA−1、A−2、A−3の組成と物性を示す。なお、表中、低融点重合体セグメントの種類で、EO/THFはエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体を、PTMGはポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを、EO−PPGは末端をエチレンオキシドでキャッピングしたポリ(プロピレンオキシド)グリコールを表し、数字は数平均分子量を示す。
【0057】
【表1】
【0058】
[実施例1〜12]
参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)に、
水素添加されたスチレン系エラストマとして
クラレ(株)製“セプトン”2063(水素添加SIS,SEPS)(B−1)、
クラレ(株)製“セプトン”4030(水素添加SIBS,SEEPS)(B−2)、
クラレ(株)製“ハイブラー”7125(B−3)、
JSR(株)製“ダイナロン”1320P(水添スチレンブタジエンラバー)(B−4)を、
結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体として
JSR(株)製“ダイナロン”4600P(SEBC)(C−1)、
JSR(株)製“ダイナロン”6200P(CEBC)(C−2)を、
側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体として
三井・デュポンポリケミカル社製の“ハイミラン“1707(イオンタイプはナトリウム)(D−1)を、
カルボン酸のアルカリ金属塩として
ステアリン酸ナトリウム(E−1)を、
有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩として
リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウム(旭電化社製“アデカスタブ“NA−11)(F−1)を、
ベンゾエート系可塑剤として
ジプロピレングリコールジベンゾエート(G−1)を、
ゴム用軟化剤として
出光興産(株)製“ダイアナプロセスオイル”PW−90(パラフィン系オイル)(H−1)を、
脂肪酸アミド化合物として
エチレンビスオレイン酸アミド(I−1)を、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤として
チバガイギー社製“イルガノックス”1010(J−1)を、
過酸化物分解剤として
旭電化(株)製“アデカスタブ”PEP−8(ホスファイト系酸化防止剤)(K−1)を、
光安定剤として
チバガイギー社製“チヌビン”327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)(L−1)、
チバガイギー社製“キマソーブ”944LD(ヒンダードアミン系光安定剤)(L−2)を、
それぞれ表2に示すような配合比率(部)になるようにドライブレンドし、45mmφのシリンダー径を有する二軸押出機を用いて、220℃で溶融混練したのちペレット化した。このペレットを80℃で3時間乾燥後、融点と溶融粘度指数を測定した。また、ポリテトラフルオロエチレン製シート(ニチアス(株)製“ナフロン”テープ、TOMBO 9001)にペレットをはさんで、220℃でプレスし、60℃で冷却したのち、ポリテトラフルオロエチレン製シートを剥がして、厚み約2mmのシートを成形した。このプレスシートについて、表面硬度と全光線透過率およびヘイズ値を測定するとともに、透明性を外観と印刷物の上にシートを置いた時の文字の見え方で評価した。さらに反発弾性率と機械的特性を測定した。これらの結果を表3に示す。
[比較例1〜8]
各成分を表2に示す配合比率(部)でドライブレンドし、、実施例1〜12と同様にペレット化した。実施例1〜12と同様に物性を評価した結果を表3に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
[実施例13]
実施例8で製造した配合組成物No.8のペレットを使用して、ブロッキング性を評価した。ブロッキングが崩れる最大荷重は70Nであった。
[比較例9]
比較例4で製造した配合組成物No.16のペレットを使用して、ブロッキング性を評価した。2500Nの荷重をかけてもブロッキングは崩れなかった。
[実施例14]
実施例11で製造した配合組成物No.11のペレットを使用して、表層剥離を評価した。表層剥離は観察されなかった。
[比較例10]
比較例8で製造した配合組成物No.20のペレットを使用して、表層剥離を評価した。表層剥離が観察された。
[実施例15]
硬質樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンプラ(株)製“ユ−ピロン”S3000)を射出成形することにより、一次側成形品としての80mm角で厚さ2mmの角板を成形した。次に、この角板を80mm角で深さ4mmのキャビティーに装着し、実施例4で製造した配合組成物No.4を二次材料として用いて二次成形を行い、平板状の複合成形品を成形した。この複合成形品は透明性を有していた。この複合成形品を幅10mmに切断し、その一端の接合界面を一定の長さだけカッターナイフで強制剥離し、その各々の端をテンシロン引張試験機の固定具にセットして引張り、剥離強度を測定した。剥離強度は100Nであった。この複合成形品の耐熱変色性と耐光変色性を評価したが、処理による外観の変化はなかった。
[実施例16]
硬質樹脂として透明ABS樹脂(東レ(株)製“トヨラック”T−900)を射出成形することにより、一次側成形品としての80mm角で厚さ2mmの角板を成形した。次に、この角板を80mm角で深さ4mmのキャビティーに装着し、実施例5で製造した配合組成物No.5を二次材料として用いて二次成形を行い、平板状の複合成形品を成形した。この複合成形品は透明性を有していた。この複合成形品を幅10mmに切断し、その一端の接合界面を一定の長さだけカッターナイフで強制剥離し、その各々の端をテンシロン引張試験機の固定具にセットして引張り、剥離強度を測定した。剥離強度は120Nであった。この複合成形品の耐熱変色性と耐光変色性を評価したが、処理による外観の変化はなかった。
[実施例17]
硬質樹脂としてPBT樹脂(東レ(株)製“トレコン”1401X06)を射出成形することにより、一次側成形品としての80mm角で厚さ2mmの角板を成形した。次に、この角板を80mm角で深さ4mmのキャビティーに装着し、実施例9で製造した配合組成物No.9を二次材料として用いて二次成形を行い、平板状の複合成形品を成形した。この複合成形品全体は透明性を有していないが、表面が透明性を有するため意匠性に優れていた。この複合成形品を幅10mmに切断し、その一端の接合界面を一定の長さだけカッターナイフで強制剥離し、その各々の端をテンシロン引張試験機の固定具にセットして引張り、剥離強度を測定した。剥離強度は100Nであった。この複合成形品の耐熱変色性と耐光変色性を評価したが、処理による外観の変化はなかった。
[実施例18]
硬質樹脂としてPCTA樹脂(イーストマン社製“イースター”AN004)を射出成形することにより、一次側成形品としての80mm角で厚さ2mmの角板を成形した。次に、この角板を80mm角で深さ4mmのキャビティーに装着し、実施例7で製造した配合組成物No.7を二次材料として用いて二次成形を行い、平板状の複合成形品を成形した。この複合成形品は透明性を有していた。この複合成形品を幅10mmに切断し、その一端の接合界面を一定の長さだけカッターナイフで強制剥離し、その各々の端をテンシロン引張試験機の固定具にセットして引張り、剥離強度を測定した。剥離強度は130Nであった。この複合成形品の耐熱変色性と耐光変色性を評価したが、処理による外観の変化はなかった。
[実施例19]
硬質樹脂としてポリプロピレン樹脂(グランドポリマ(株)製“グランドポリプロ”J703W)を射出成形することにより、一次側成形品としての80mm角で厚さ2mmの角板を成形した。次に、この角板を80mm角で深さ4mmのキャビティーに装着し、実施例12で製造した配合組成物No.12を二次材料として用いて二次成形を行い、平板状の複合成形品を成形した。この複合成形品全体は透明性を有していないが、表面が透明性を有するため意匠性に優れていた。この複合成形品を幅10mmに切断し、その一端の接合界面を一定の長さだけカッターナイフで強制剥離し、その各々の端をテンシロン引張試験機の固定具にセットして引張り、剥離強度を測定した。剥離強度は100Nであった。
[比較例11]
硬質樹脂として透明ABS樹脂(東レ(株)製“トヨラック”T−900)を射出成形することにより、一次側成形品としての80mm角で厚さ2mmの角板を成形した。次に、この角板を80mm角で深さ4mmのキャビティーに装着し、比較例2で製造した配合組成物No.14を二次材料として用いて二次成形を行い、平板状の複合成形品を成形した。この複合成形品は全体も表面も透明性を有しないため、意匠性が劣っていた。また、この複合成形品を幅10mmに切断し、その一端の接合界面を一定の長さだけカッターナイフで強制剥離し、その各々の端をテンシロン引張試験機の固定具にセットして引張り、剥離強度を測定した。剥離強度は90Nであった。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱可塑性エラストマ樹脂組成物は、透光性や透明性を有し、柔軟でゴム的性質が良好であり、融点が高くて耐熱性に優れ、機械的強度も高い上に、成形性に優れ表層剥離が発生しないという優れた特性を発揮するものである。また、ポリカーボネート樹脂をはじめとする硬質樹脂との接着力が高く、手に馴染みの良い触感に優れた複合成形体を与え、この場合の耐熱変色性、耐光変色性にも優れている。
Claims (19)
- 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)10〜50重量%と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)90〜50重量%とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%との合計100重量部に対し、側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体(D)0.2〜20重量部および/またはカルボン酸のアルカリ金属塩(E)0.01〜3重量部および/または有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩(F)0.01〜3重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有する熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記ポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%の合計100重量部に対し、さらに可塑剤(G)および/またはゴム用軟化剤(H)1〜100重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有する請求項1に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記ポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%との合計100重量部に対し、さらに脂肪酸アミド化合物(I)0.01〜5重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有する請求項1に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記ポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%との合計100重量部に対し、さらに可塑剤(G)および/またはゴム用軟化剤(H)1〜100重量部、および脂肪酸アミド化合物(I)0.01〜5重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有する請求項1に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記ポリエステルブロック共重合体(A)10〜95重量%と、水素添加されたスチレン系エラストマ(B)および/または結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)90〜5重量%との合計100重量部に対し、さらにヒンダードフェノール系ラジカル捕捉剤(J)、過酸化物分解剤(K)および光安定剤(L)から選ばれた1種以上0.01〜5重量部を配合してなり、厚さ約2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の透光性あるいは透明性を有する請求項2〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記高融点結晶性重合体セグメント(a)が、ポリブチレンテレフタレート単位、またはポリブチレンテレフタレート単位とポリブチレンイソフタレート単位で構成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記低融点重合体セグメント(b)が、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールおよび/またはポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物および/またはエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体で構成される請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記水素添加されたスチレン系エラストマ(B)が、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエンブロック共重合体、および水素添加スチレンブタジエンラバーから選ばれた1種以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記結晶性ポリオレフィンブロックを有する水素添加された熱可塑性ブロック共重合体(C)が、ハードセグメントとしてポリエチレンブロックまたはポリエチレンブロックとポリスチレンブロックを、ソフトセグメントとして水素添加ポリブタジエンブロックまたは水素添加ポリイソプレンブロックを有する熱可塑性エラストマから選ばれた1種以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体(D)が、エチレンとアクリル酸あるいはメタクリル酸に代表される不飽和カルボン酸との共重合体を、ナトリウム、カリウム、リチウムから選ばれたアルカリ金属で中和したものである請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記カルボン酸のアルカリ金属塩(E)が、炭素数10以上の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩および/またはダイマー酸のアルカリ金属塩である請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩(F)が、芳香族有機リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩である請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記可塑剤(G)が、ベンゾエート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、およびピロメリット酸エステル系可塑剤から選ばれる1種以上の化合物である請求項2、4〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記ゴム用軟化剤(H)が、パラフィン系オイルおよび/またはナフテン系オイルである請求項2、4〜13のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 前記脂肪酸アミド化合物(I)が、アルキレンビス高級脂肪酸アミド化合物である請求項3〜14のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物を射出成形してなる成形体。
- 複合成形体である請求項16に記載の成形体。
- 硬質樹脂と、請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマ樹脂組成物との複合成形体である請求項17に記載の成形体。
- 前記硬質樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂、およびポリプロピレン樹脂から選ばれた1種以上である請求項18に記載の成形体。
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