JP4896270B1 - 駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】方向性のある力以外の力を用いてステージを移動させる。
【手段】駆動装置(100)は、ベース部(110)と、回転可能な被駆動部(130)と、弾性部(120)と、被駆動部及び弾性部により定まる共振周波数で被駆動部が一の方向(Y軸)に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように被駆動部を回転させるための微振動をベース部に加える印加部(140)とを備える。
【選択図】図1
【手段】駆動装置(100)は、ベース部(110)と、回転可能な被駆動部(130)と、弾性部(120)と、被駆動部及び弾性部により定まる共振周波数で被駆動部が一の方向(Y軸)に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように被駆動部を回転させるための微振動をベース部に加える印加部(140)とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えばミラー等の被駆動物を回転させるMEMSスキャナ等の駆動装置の技術分野に関する。
例えば、ディスプレイ、プリンティング装置、精密測定、精密加工、情報記録再生などの多様な技術分野において、半導体工程技術によって製造されるMEMS(Micro Electro Mechanical System)デバイスについての研究が活発に進められている。このようなMEMSデバイスとして、例えば、光源から入射された光を所定の画面領域に対して走査して画像を具現するディスプレイ分野、または所定の画面領域に対して光を走査して反射された光を受光して画像情報を読み込むスキャニング分野では、微小構造のミラー駆動装置(光スキャナないしはMEMSスキャナ)が注目されている。
ミラー駆動装置は、一般的には、ベースとなる固定された本体と、所定の中心軸の周りに回転可能なミラーと、本体とミラーとを接続する又は接合するトーションバー(ねじれ部材)とを備える構成が知られている(特許文献1参照)。
このような構成を有するミラー駆動装置では、コイルと磁石を用いてミラーを駆動する構成が一般的である。このような構成では、例えばミラーにコイルを直接貼り付ける構成が一例としてあげられる。この場合、コイルに電流を流すことで生ずる磁界と磁石の磁界との間の相互作用によってミラーに対して回転方向の力が加えられ、その結果、ミラーが回転させられる。また、上述の特許文献1では、コイルと磁石とが、トーションバーにねじれ方向(言い換えれば、ミラーの回転軸方向)の歪みを生じさせるように配置される構成を採用している。この場合、コイルに電流を流すことで生ずる磁界と磁石の磁界との間の相互作用によってトーションバーがねじれ方向に歪み、トーションバーのねじれ方向の歪みがミラーを回転させることになる。
このような従来のミラー駆動装置に対して、本発明は、例えば、ミラーの回転を直接生じさせる力若しくはトーションバーのねじれ方向の歪みを直接生じさせる力以外の力(つまり、ミラーの回転方向に作用する力以外の力)の作用によってミラー(或いは、回転する被駆動物)を駆動可能な駆動装置(つまり、MEMSスキャナ)を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、駆動装置は、ベース部と、回転可能な被駆動部と、前記ベース部と前記被駆動部とを接続し、且つ前記被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する弾性部と、前記被駆動部及び前記弾性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるための微振動を前記ベース部に加える印加部とを備える。
本発明のこのような作用及び利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下、発明を実施するための最良の形態として、駆動装置に係る実施形態について順に説明する。
本実施形態の駆動装置は、ベース部と、回転可能な被駆動部と、前記ベース部と前記被駆動部とを接続し、且つ前記被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する弾性部と、前記被駆動部及び前記弾性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるための微振動を前記ベース部に加える印加部とを備える。
本実施形態の駆動装置によれば、基礎となるベース部と回転可能に配置される被駆動部(例えば、後述するミラー等)とが、弾性を有する弾性部(例えば、後述するトーションバー等)によって直接的に又は間接的に接続されている。被駆動部は、弾性部の弾性(例えば、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができるという弾性)によって、一の方向に沿った軸を中心軸として回転駆動される。
本実施形態の駆動装置では特に、印加部の動作により、被駆動部及び弾性部により定まる共振周波数で被駆動部が一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するような微振動が加えられる。このとき、本実施形態に係る印加部は、ベース部という構造体内を微振動が伝搬するように、微振動をベース部に対して加える。つまり、本実施形態に係る印加部は、ベース部そのものを直接ねじれさせる力を加えることに代えて、構造体内を伝搬する微振動を、被駆動部を回転させるための加振エネルギー(言い換えれば、波動エネルギー)として加える。言い換えれば、本実施形態に係る印加部は、構造体内をエネルギーとして(言い換えれば、「振動」という力を振動に変えることなく、当該力を発現させるエネルギーとして)伝搬する微振動を、被駆動部を回転させるための波動エネルギーとして加える。このような微振動(言い換えれば、構造体内を伝搬する波動エネルギー)は、少なくとも構造体内を伝搬している段階では、方向性を有していない力となる。言い換えれば、微振動としてベース部内を伝搬する波動エネルギーは、ベース部内を任意の方向に向かって伝搬する。その結果、この微振動は、波動エネルギーとして、例えばベース部等の構造体から弾性部へと(更には、ベース部から弾性部を介して被駆動部へと)伝わる。その後、構造体内を伝搬してきた微振動(言い換えれば、波動エネルギー)が、弾性部自身の弾性に応じた方向に向かって弾性部を振動させたり、弾性部の弾性に応じた方向に向かって被駆動部を回転させたりする。言い換えれば、この波動エネルギーは、微振動の方向を限定することなくあらゆる方向の振動として取り出すことができる。つまり、ベース部内を伝搬した波動エネルギーは、振動(より具体的には、共振)という形で外部に取り出すことができ、その結果、被駆動部を回転させることができる。尚、波動エネルギーは、音として外部に取り出すことができるが、この場合に発生する音は、いわゆるピストンモーションによって得られる音と比較して、その発音原理が異なるものである。
ここで、いわゆる方向性を有する力を加えることで被駆動部の回転駆動を行う場合(例えば、ベース部そのものを被駆動部の回転方向に向かって大きくねじれさせ、そのねじれを弾性部や被駆動部に直接加えることで被駆動部の回転駆動を行う場合)には、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力(つまり、ベース部等の構造体を一の方向に沿った軸を中心軸とする回転方向に向けてねじれさせる方向性を有する力)を印加部から加える必要がある。このため、このような方向性を有する力を加えることができるように、印加部の配置位置を適切に設定しなければならない。つまり、方向性を有する力を加える場合には、当該力を作用させる方向に依存して印加部の配置位置が限定されてしまう。
しかるに、本実施形態では、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、印加部の配置位置が限定されてしまうことはなくなる。言い換えれば、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、被駆動部の回転の方向に依存して印加部の配置位置が限定されてしまうことはなくなる。つまり、印加部の配置位置がどのような位置に設定されたとしても、印加部から加えられる微振動(つまり、方向性のない力)は、弾性部の弾性を利用して、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。これにより、駆動装置の設計の自由度を相対的に増加させることができる。
本実施形態の駆動装置の一の態様では、前記微振動は、無方向性振動エネルギーとしての無方向性微振動又は異方性微振動である。
この態様によれば、無方向性微振動又は異方性微振動としてベース部内を伝搬する波動エネルギーを、ベース部内を任意の方向に向かって伝搬させることができる。その結果、この波動エネルギーは、微振動の方向を限定することなくあらゆる方向の振動として取り出すことができる。つまり、ベース部内を伝搬した波動エネルギーは、振動(より具体的には、共振)という形で外部に取り出すことができ、その結果、被駆動部を回転させることができる。
本実施形態の駆動装置の他の態様では、前記印加部は、前記一の方向に沿った軸を中心軸とする回転方向とは異なる方向に作用する力によって生ずる前記微振動を加える。
この態様によれば、印加部は、微振動を加える際には、まず、一の方向に沿った軸を中心軸とする回転方向(つまり、被駆動部の回転方向)とは異なる方向に作用する力を発生させる。この力は、後に図面を用いて詳細に説明するように、微振動(言い換えれば、波動エネルギー)となってベース部に加えられる。つまり、一の方向に沿った軸を中心軸とする回転方向とは異なる方向に作用する力によって生ずる微振動(言い換えれば、当該力が変換されて生ずる微振動ないしは波動エネルギー)を加えることができる。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
本実施形態の駆動装置の他の態様では、前記印加部は、静止時の前記被駆動部の表面に沿った方向に作用する力によって生ずる前記微振動を加える。
この態様によれば、印加部は、微振動を加える際には、まず、静止時の(言い換えれば、初期配置時の)被駆動部の表面に沿った方向(つまり、面内方向)に作用する力を発生させる。この力は、後に図面を用いて詳細に説明するように、微振動(言い換えれば、波動エネルギー)となってベース部に加えられる。つまり、静止時の被駆動部の表面に沿った方向に作用する力によって生ずる微振動(言い換えれば、当該力が変換されて生ずる微振動ないしは波動エネルギー)を加えることができる。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
本実施形態の駆動装置の他の態様では、前記弾性部は、前記被駆動部を前記一の方向とは異なる他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有しており、前記印加部は、前記被駆動部及び前記弾性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるためであって且つ前記被駆動部を含む被懸架部及び前記弾性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記他の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるための前記微振動を前記ベース部に加える。
この態様によれば、被駆動部は、弾性部の弾性(例えば、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができるという弾性や、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができるという弾性)によって、一の方向に沿った軸を中心軸として回転駆動されると共に他の方向に沿った軸を中心軸として回転駆動される。つまり、この態様の駆動装置は、被駆動部の2軸回転駆動を行うことができる。但し、2軸以上の多軸回転駆動を行ってもよいことは言うまでもない。
この態様では特に、印加部の動作により、被駆動部を含む被懸架部(より具体的には、被駆動部を懸架する構造体からなる被懸架部であって、後に詳述する被駆動部並びに第2ベース部及び第2弾性部から構成される構造体からなる被懸架部)及び弾性部(より具体的には、後に詳述する第2ベース部を懸架する第1弾性部)により定まる共振周波数で被駆動部(言い換えれば、被駆動部を含む被懸架部)が他の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するような微振動が加えられる。より具体的には、印加部の動作により、被駆動部を含む被懸架部(より具体的には、被駆動部を懸架する構造体からなる被懸架部であって、後に詳述する被駆動部並びに第2ベース部及び第2弾性部から構成される構造体からなる被懸架部)の他の方向に沿った軸周りの慣性モーメント及び弾性部(より具体的には、後に詳述する第1弾性部)のねじりばね定数により定まる共振周波数で被駆動部(言い換えれば、被駆動部を含む被懸架部)が他の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するような微振動が加えられる。同時に、この微振動は、被駆動部及び弾性部(より具体的には、後に詳述する被駆動部を懸架する第2弾性部)により定まる共振周波数で、被駆動部を、一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転させる。より具体的には、この微振動は、被駆動部の一の方向に沿った軸周りの慣性モーメント及び弾性部(より具体的には、後に詳述する第2弾性部)のねじりばね定数により定まる共振周波数で、被駆動部を、一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転させる。つまり、この態様では、同一の印加部(言い換えれば、単一の印加部)から、被駆動部の2軸回転駆動を行うための微振動が加えられる。
ここで、いわゆる方向性を有する力を加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合(例えば、ベース部そのものを被駆動部の回転方向に向かって大きくねじれさせ、そのねじれを弾性部や被駆動部に直接加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合)には、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力(つまり、ベース部等の構造体を一の方向に沿った軸を中心軸とする回転方向に向けてねじれさせる方向性を有する力)を一の印加部から加えると共に、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力(つまり、ベース部等の構造体を他の方向に沿った軸を中心軸とする回転方向に向けてねじれさせる方向性を有する力)を他の印加部から加える必要がある。つまり、方向性を有する力を加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合には、通常は、2つ以上の印加部(つまりは、2つ以上の駆動源)を駆動装置が備えていなければならない。言い換えれば、方向性を有する力を加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合には、1つの印加部からは1つの方向に向かって作用する力しか加えることができないため、2つ以上の印加部(つまりは、2つ以上の駆動源)を駆動装置が備えていなければならない。
しかるに、この態様では、微振動に起因した方向性のない力を加えることで、被駆動部の2軸回転駆動を行うことができる。ここで、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、1つの印加部から加えられた微振動は、弾性部の弾性(つまり、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させる弾性及び被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させる弾性)を利用して、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させると共に被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。つまり、この態様では、被駆動部の2軸回転駆動を行う場合であっても、2つの印加部を備える必要は必ずしもない。このため、単一の印加部(言い換えれば、単一の駆動源)を用いて、被駆動部の2軸回転駆動を行うための微振動を加えることができる。
加えて、仮に1つの印加部から2つの方向に向かって作用する力を加えることができたとしても、方向性を有する力を加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合には、結局のところ、2つの方向に作用する成分(つまり、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力の成分と、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力の成分)を有する力を加える必要がある。しかるに、この態様では、微振動に起因した方向性のない力を加振エネルギーとして加えているため、力が作用する方向を考慮した上で当該力を加える必要がなくなるという利点も有している。
本実施形態の駆動装置の他の態様では、前記ベース部は、第1ベース部と、当該第1ベースにより少なくとも一部が取り囲まれる第2ベース部とを備え、前記弾性部は、(i)前記第1ベース部と前記第2ベース部とを接続し且つ前記第2ベース部を前記他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する第1弾性部と、(ii)前記第2ベース部と前記被駆動部とを接続し且つ前記被駆動部を前記一の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する第2弾性部とを備え、前記印加部は、前記第2ベース部及び前記第1弾性部により定まる共振周波数で前記第2ベース部が前記他の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記第2ベース部を回転させるための前記微振動であって且つ前記被駆動部及び前記第2弾性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるための前記微振動を加える。
この態様によれば、被駆動部は、弾性部の弾性(例えば、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができるという弾性や、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができるという弾性)によって、一の方向に沿った軸を中心軸として回転駆動されると共に他の方向に沿った軸を中心軸として回転駆動される。より具体的には、第1弾性部の弾性を利用して第2ベース部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させると共に、第2弾性部の弾性を利用して被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。ここで、被駆動部は、第2弾性部を介して第2ベース部に接続されているため、第2ベース部が他の方向に沿った軸を中心軸として回転することで、結果として被駆動部も他の方向に沿った軸を中心軸として回転する。つまり、この態様の駆動装置は、被駆動部の2軸回転駆動を行うことができる。但し、2軸以上の多軸回転駆動を行ってもよいことは言うまでもない。
この態様では特に、印加部の動作により、第2ベース部を含む被懸架部及び第1弾性部により定まる共振周波数で第2ベース部(言い換えれば、第2ベース部により支持される被駆動部)が他の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するような微振動が加えられる。より具体的には、印加部の動作により、第2ベース部を含む被懸架部(より具体的には、被駆動部を懸架する第2ベース部を含む構造体からなる被懸架部であって、被駆動部並びに第2ベース部及び第2弾性部から構成される構造体からなる被懸架部)の他の方向に沿った軸周りの慣性モーメント及び第1弾性部のねじりばね定数により定まる共振周波数で第2ベース部(言い換えれば、第2ベース部により支持される被駆動部)が他の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するような微振動が加えられる。同時に、この微振動は、被駆動部及び第2弾性部により定まる共振周波数で、被駆動部を、一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転させる。より具体的には、この微振動は、被駆動部の一の方向に沿った軸周りの慣性モーメント及び第2弾性部のねじりばね定数により定まる共振周波数で、被駆動部を、一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転させる。つまり、この態様では、同一の印加部(言い換えれば、単一の印加部)から、被駆動部の2軸回転駆動を行うための微振動が加えられる。
ここで、いわゆる方向性を有する力を加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合(例えば、ベース部そのものを被駆動部の回転方向に向かって大きくねじれさせ、そのねじれを弾性部や被駆動部に直接加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合)には、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力(つまり、ベース部等の構造体を一の方向に沿った軸を中心軸とする回転方向に向けてねじれさせる方向性を有する力)を一の印加部から加えると共に、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力(つまり、ベース部等の構造体を他の方向に沿った軸を中心軸とする回転方向に向けてねじれさせる方向性を有する力)を他の印加部から加える必要がある。つまり、方向性を有する力を加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合には、通常は、2つ以上の印加部(つまりは、2つ以上の駆動源)を駆動装置が備えていなければならない。言い換えれば、方向性を有する力を加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合には、1つの印加部からは1つの方向に向かって作用する力しか加えることができないため、2つ以上の印加部(つまりは、2つ以上の駆動源)を駆動装置が備えていなければならない。
しかるに、この態様では、微振動に起因した方向性のない力を加えることで、被駆動部の2軸回転駆動を行うことができる。ここで、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、1つの印加部から加えられた微振動は、第1及び第2弾性部の弾性(つまり、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させる弾性及び被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させる弾性)を利用して、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させると共に被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。つまり、この態様では、被駆動部の2軸回転駆動を行う場合であっても、2つの印加部を備える必要は必ずしもない。このため、単一の印加部(言い換えれば、単一の駆動源)を用いて、被駆動部の2軸回転駆動を行うための微振動を加えることができる。
加えて、仮に1つの印加部から2つの方向に向かって作用する力を加えることができたとしても、方向性を有する力を加えることで被駆動部の2軸回転駆動を行う場合には、結局のところ、2つの方向に作用する成分(つまり、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力の成分と、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力の成分)を有する力を加える必要がある。しかるに、この態様では、微振動に起因した方向性のない力を加振エネルギーとして加えているため、力が作用する方向を考慮した上で当該力を加える必要がなくなるという利点も有している。
尚、上述の説明では、第2ベース部を含む被懸架部として、被駆動部並びに第2ベース部及び第2弾性部から構成される構造体からなる被懸架部を例に説明を進めている。しかしながら、第2ベース部に対して他の構造体(例えば、後述の磁極やコイル又は櫛葉状電極等)が設置されている場合には、これらの他の構造体もまた被懸架部を構成することとなる。
この態様では、前記印加部は、前記第2ベース部及び前記第1弾性部により定まる共振周波数で前記第2ベース部が前記他の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記第2ベース部を回転させるための前記微振動であって且つ前記被駆動部及び前記第2弾性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるための前記微振動を前記第1ベース部に加えるように構成してもよい。
このように構成すれば、第1ベース部に微振動を加えることで、被駆動部の2軸回転駆動を好適に行うことができる。
本実施形態の駆動装置の他の態様では、前記被駆動部は、複数の被駆動部分に分割されており、前記弾性部は、(i)前記複数の被駆動部分のうちの第1群の被駆動部分と前記ベース部とを接続すると共に前記第1群の被駆動部分を前記一の方向及び前記一の方向とは異なる他の方向の少なくとも一方に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する第3弾性部と、(ii)前記複数の被駆動部分のうちの前記第1群の被駆動部分とは異なる第2群の被駆動部分と前記ベース部とを接続すると共に前記第2群の被駆動部分を前記一の方向及び前記他の方向の少なくとも一方に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する第4弾性部とを備え、前記印加部は、前記第1群の被駆動部分及び前記第3弾性部により定まる共振周波数で前記第1群の被駆動部分が前記一の方向及び前記他の方向の少なくとも一方に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記第1群の被駆動部分を回転させるための前記微振動であって且つ前記第2群の被駆動部分及び前記第4弾性部により定まる共振周波数で前記第2群の被駆動部分が前記前記一の方向及び他の方向の少なくとも一方に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記第2群の被駆動部分を回転させるための前記微振動を加える。
この態様によれば、被駆動部を、一の共振周波数で共振しながら回転する第1群の被駆動部分と他の共振周波数で共振しながら回転する第2群の被駆動部分とに分割することができる。この場合であっても、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、当該微振動により、第1弾性部の弾性を利用して第1群の被駆動部分を一の方向及び他の方向の少なくとも一方に沿った軸を中心軸として回転させると共に、第2弾性部の弾性を利用して第2群の被駆動部分を一の方向及び他の方向の少なくとも一方に沿った軸を中心軸として回転させることができる。このため、被駆動部が異なる方向に沿った軸を中心軸として異なる共振周波数で共振しながら回転する複数の被駆動部分に分割されている場合であっても、単一の印加部を用いて複数の被駆動部分の夫々を好適に回転させることができる。
本実施形態の駆動装置の他の態様では、前記印加部は、単一の印加部である。
この態様によれば、被駆動部の2軸回転駆動を行う場合であっても、2つの印加部を備える必要は必ずしもない。このため、単一の印加部を用いて、被駆動部の2軸回転駆動を行うための微振動を加えることができる。但し、2軸以上の多軸回転駆動を行ってもよいことは言うまでもない。
本実施形態の駆動装置の他の態様では、前記弾性部は、前記被駆動物を前記一の方向とは異なる他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有しており、前記印加部は、(i)前記被駆動部及び前記弾性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるための前記微振動、及び(ii)前記被駆動部が前記他の方向に沿った軸を中心軸として回転するように前記被駆動部を回転させるための駆動力の夫々を加える。
この態様によれば、弾性部(より具体的には、後述する第1弾性部)の弾性を利用して被駆動部(より具体的には、被駆動部を懸架する構造体であって、後に詳述する被駆動部並びに第2ベース部及び第2弾性部から構成される構造体)を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させると共に、弾性部(より具体的には、後述する第2弾性部)の弾性を利用して被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。このため、後に図面を用いて詳述するように、被駆動部の2軸回転駆動を好適に行うことができる。
この態様では特に、上述の駆動装置の態様では被駆動部の回転の際に一の方向及び他の方向の夫々に沿って被駆動部が共振しているのに対して、被駆動部の移動の際に一の方向に沿って被駆動部が共振している一方で他の方向に沿って被駆動部が共振している必要がないという点において異なっている。このとき、印加部は、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させるための力として上述した方向性のない力を用いている一方で、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるための力として上述した方向性のない力を用いる必要はない。つまり、印加部は、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させるための力として上述した方向性のない力を用いている一方で、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるための力として上述した方向性のある力(つまり、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向に直接作用する力)を用いてもよい。このように構成したとしても、被駆動部の2軸回転駆動を好適に行うことができる。
尚、印加部は、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるための力として、上述した方向性のある力に加えて上述した方向性のない力を用いてもよい。つまり、方向性のある力と方向性のない力とを組み合わせた力を用いて、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させてもよい。
本実施形態の駆動装置の他の態様では、前記ベース部は、第1ベース部と、当該第1ベースにより取り囲まれる第2ベース部とを備え、前記弾性部は、(i)前記第1ベース部と前記第2ベース部とを接続し且つ前記第2ベース部を前記他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する第1弾性部と、(ii)前記第2ベース部と前記被駆動部とを接続し且つ前記被駆動部を前記一の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する第2弾性部とを備え、前記印加部は、(i)前記被駆動部及び前記弾第2性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるための前記微振動、及び(ii)前記第2ベース部が前記他の方向に沿った軸を中心軸として回転するように前記第2ベース部を回転させるための駆動力の夫々を加える。
この態様によれば、第1弾性部の弾性を利用して第2ベース部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させると共に、第2弾性部の弾性を利用して被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。ここで、被駆動部は、第2弾性部を介して第2ベース部に接続されているため、第2ベース部が他の方向に沿った軸を中心軸として回転することで、結果として被駆動部も他の方向に沿った軸を中心軸として回転する。このため、後に図面を用いて詳述するように、被駆動部の2軸回転駆動を好適に行うことができる。
この態様では特に、上述の駆動装置の態様では被駆動部の回転の際に一の方向及び他の方向の夫々に沿って被駆動部が共振しているのに対して、被駆動部の移動の際に一の方向に沿って被駆動部が共振している一方で他の方向に沿って被駆動部が共振している必要がないという点において異なっている。このとき、印加部は、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させるための力として上述した方向性のない力を用いている一方で、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるための力として上述した方向性のない力を用いる必要はない。つまり、印加部は、被駆動部を一の方向に沿った軸を中心軸として回転させるための力として上述した方向性のない力を用いている一方で、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるための力として上述した方向性のある力(つまり、被駆動部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向に直接作用する力)を用いてもよい。このように構成したとしても、被駆動部の2軸回転駆動を好適に行うことができる。
この態様では、前記印加部は、(i)前記被駆動部及び前記弾第2性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるための前記微振動、及び(ii)前記第2ベース部が前記他の方向に沿った軸を中心軸として回転するように前記第2ベース部を回転させるための駆動力の夫々を前記第2ベース部に加えるように構成してもよい。
このように構成すれば、第2ベース部に微振動及び駆動力を加えることで、被駆動部の2軸回転駆動を好適に行うことができる。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本実施形態の駆動装置によれば、ベース部と、被駆動部と、弾性部と、印加部とを備える。従って、方向性のある力以外の力を用いて被駆動部を回転させることができる。
以下、図面を参照しながら、駆動装置の実施例について説明する。尚、以下では、駆動装置をMEMSスキャナに適用した例について説明する。
(1)第1実施例
初めに、図1から図3を参照して、MEMSスキャナの第1実施例について説明する。
初めに、図1から図3を参照して、MEMSスキャナの第1実施例について説明する。
(1−1)基本構成
初めに、図1を参照して、第1実施例に係るMEMSスキャナ100の基本構成について説明する。ここに、図1は、第1実施例に係るMEMSスキャナ100の基本構成を概念的に示す平面図である。
初めに、図1を参照して、第1実施例に係るMEMSスキャナ100の基本構成について説明する。ここに、図1は、第1実施例に係るMEMSスキャナ100の基本構成を概念的に示す平面図である。
図1に示すように、第1実施例に係るMEMSスキャナ100は、上述した「ベース部」の一具体例を構成するベース110と、上述した「弾性部」の一具体例を構成するトーションバー120a及び120bと、上述した「被駆動部」の一具体例を構成するミラー130と、上述した「印加部」の一具体例を構成する駆動源部140とを備えている。
ベース110は、内部に空隙を備える枠形状を有している。つまり、第1ベース110は、図1中のY軸方向に延伸する2つの辺と図1中のX軸方向(つまり、Y軸に直交する軸方向)に延伸する2つの辺とを有すると共に、Y軸方向に延伸する2つの辺とX軸方向に延伸する2つの辺とによって取り囲まれた空隙を有する枠形状を有している。図1に示す例では、ベース110は、正方形の形状を有しているが、これに限定されることはなく、例えばその他の形状(例えば、長方形等の矩形の形状や円形の形状等)を有していてもよい。また、ベース110は、第1実施例に係るMEMSスキャナ100の基礎となる構造体であって、不図示の基板ないしは支持部材に対して固定されている(言い換えれば、MEMSスキャナ100という系の内部においては固定されている)ことが好ましい。
尚、図1では、ベース110が枠形状を有している例を示しているが、その他の形状を有していてもよいことは言うまでもない。例えば、ベース110は、その一部の辺が開口となるコの字型形状を有していてもよい。或いは、例えば、ベース110は、内部に空隙を備える箱型形状を有していてもよい。つまり、ベース110は、X軸及びY軸によって規定される平面上に分布する2つの面と、X軸及び不図示のZ軸(つまり、X軸及びY軸の双方に直交する軸)によって規定される平面上に分布する2つの面と、Y軸及び不図示のZ軸によって規定される平面上に分布する2つの面とを有すると共に、これらの6つの面によって取り囲まれた空隙を有する箱形状を有していてもよい。或いは、ミラー130が配置される態様に応じて適宜ベース110の形状を任意に代えてもよい。
トーションバー120aは、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。トーションバー120aは、図1中Y軸の方向に延伸するように配置される。言い換えれば、トーションバー120aは、Y軸の方向に延伸する長手を有すると共にX軸の方向に延伸する短手を有する形状を有している。但し、後述する共振周波数の設定状況に応じて、トーションバー120aは、Y軸の方向に延伸する短手を有すると共にX軸の方向に延伸する長手を有する形状を有していてもよい。トーションバー120aの一方の端部121aは、ベース110の内側の辺111に接続される。トーションバー120aの他方の端部122aは、Y軸の方向に沿ってベース110の内側の辺111に対向するミラーの辺131に接続される。
同様に、トーションバー120bは、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。トーションバー120bは、図1中Y軸の方向に延伸するように配置される。言い換えれば、トーションバー120bは、Y軸の方向に延伸する長手を有すると共にX軸の方向に延伸する短手を有する形状を有している。但し、後述する共振周波数の設定状況に応じて、トーションバー120bは、Y軸の方向に延伸する短手を有すると共にX軸の方向に延伸する長手を有する形状を有していてもよい。トーションバー120bの一方の端部121bは、Y軸の方向に沿ってベース110の内側の辺(言い換えれば、領域部分)111(つまり、トーションバー120aの一方の端部121aが接続されるベース110の内側の辺111)に対向するベース110の内側の辺112に接続される。トーションバー120bの他方の端部122bは、Y軸の方向に沿ってベース110の内側の辺112に対向するミラー130の辺132に接続される。
ミラー130は、ベース110の内部の空隙に、トーションバー120a及び120bによって吊り下げられる又は支持されるように配置される。ミラー130は、トーションバー120a及び120bの弾性によって、Y軸の方向を中心軸として回転するように構成されている。
駆動源部140は、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるために必要な微振動をベース110に対して加える。尚、駆動源部140が微振動をベース110に加えることができる限りは、その配置態様は任意に定めてもよい。また、ベース110に対して力を加えることに限らず、その他の位置に対して力を加えることができるように構成されてもよい。
より具体的には、駆動源部140は、圧電素子140aと、伝達枝140bと、空隙140dを有すると共に伝達枝140bを介してベース110に固定される支持板140cとを備えている。支持板140c上では、空隙140dによって規定されると共に相対向する枝140e及び140fによって、圧電素子140aが挟持される。不図示の電極を介して圧電素子140aに電圧を印加することで、圧電素子140aはその形状を変化させる。この圧電素子140aの形状の変化は、枝140e及び140fの形状の変化を引き起こす。その結果、枝140e及び140fの形状の変化は、後に詳述するように微振動(ないしは、波動エネルギー)として伝達枝140bを介してベース110に伝えられる。
尚、駆動源部140としては、圧電効果に起因した微振動を加える駆動源部に限らず、電磁力に起因した微振動を加える駆動源部及び静電力に起因した力を加える駆動源部を用いてもよい。もちろん、その他の方式を用いてもよいことは言うまでもない。
例えば、電磁力に起因した微振動を加える被駆動源部は、枝140eに配置される磁極と枝140fに配置されるコイルとを備えている。この場合、コイルには、不図示の駆動源部制御回路から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。コイルへの電圧の印加によって電流が流れ、コイルと磁極との間に電磁相互作用が生ずる。その結果、電磁相互作用による電磁力が発生する。この電磁力は、枝140e及び140fの形状の変化を引き起こす。その結果、枝140e及び140fの形状の変化は、後に詳述するように微振動(ないしは、波動エネルギー)として伝達枝140bを介してベース110に伝えられる。
また、静電力に起因した微振動を加える被駆動源部は、枝140eに配置される櫛葉状の第1電極と、枝140fに配置されると共に第1電極の間に分布する櫛葉状の第2電極とを備えている。この場合、第1電極には、不図示の駆動源部制御回路から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。ここで、第1電極と第2電極との間の電位差に起因して、第1電極と第2電極との間には静電力(言い換えれば、クーロン力)が生ずる。この静電力は、枝140e及び140fの形状の変化を引き起こす。その結果、枝140e及び140fの形状の変化は、後に詳述するように微振動(ないしは、波動エネルギー)として伝達枝140bを介してベース110に伝えられる。
(1−2)MEMSスキャナの動作
続いて、図2を参照して、第1実施例に係るMEMSスキャナ100の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図2は、第1実施例に係るMEMSスキャナ100による動作の態様を概念的に示す平面図である。
続いて、図2を参照して、第1実施例に係るMEMSスキャナ100の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図2は、第1実施例に係るMEMSスキャナ100による動作の態様を概念的に示す平面図である。
第1実施例に係るMEMSスキャナ100の動作時には、駆動源部140は、圧電素子140aが図2中X軸の方向に沿って伸縮するように、不図示の電極を介して圧電素子140aに電圧が印加される。これにより、圧電素子140aの形状が変化すると共に、枝140e及び140fの形状が変化する。その結果、枝140e及び140fの形状の変化は、後に詳述するように微振動(ないしは、波動エネルギー)として伝達枝140bを介してベース110に伝えられる。
ここで、圧電素子140aの形状の変化が図2中X軸の方向であるため、この圧電素子140aの形状の変化によって生ずる枝140e及び140fの夫々の形状の変化は、図2中X軸の方向に沿って発生する。ここで、この圧電素子140aの形状の変化によって生ずる力そのものは、ミラー130の回転方向(つまり、Y軸に沿った方向を中心軸とする回転方向)とは異なる。一方で、この圧電素子140aの形状の変化(つまり、枝140e及び140fの夫々の形状の変化)は、支持板140c及び伝達枝140bを介して、微振動(言い換えれば、波動エネルギーであって、方向性のない力)としてベース110に伝わる。より具体的には、駆動源部140は、基礎となるベース110に対して、ベース110そのものの回転方向のねじれをなくしつつもベース110内を伝搬する微振動を、波動エネルギーとして加える。言い換えれば、駆動源部140は、ベース110そのものに回転方向のねじれを与える力を加えることに代えて、ベース110内をエネルギーとして(言い換えれば、力を発現させる波動エネルギーとして)伝搬する微振動を加える。このような微振動は、ベース110内を伝搬している時点では、方向性を有していない力となる。言い換えれば、微振動としてベース110内を伝搬する波動エネルギーは、ベース110内を任意の方向に向かって伝搬する。また、このような微振動が加えられたベース110は、ベース110そのものが振動する物体となるというよりは、微振動(言い換えれば、波動エネルギー)を伝搬する媒体となる。
その結果、駆動源部140からベース110に対して加えられる微振動は、ベース110からトーションバー120a及び120bへと伝わる。その後、図2に示すように、ベース110内を伝搬してきた微振動(言い換えれば、波動エネルギー)が、トーションバー120a及び120b自身の弾性に応じた方向に向かってトーションバー120a及び120bを回転させたり、ミラー130を回転させたりする。言い換えれば、ベース110内を伝搬してきた微振動は、トーションバー120a及び120bの回転やミラー130の回転という形で発現する。言い換えれば、この波動エネルギーは、微振動の方向を限定することなくあらゆる方向の振動として取り出すことができる。つまり、ベース110内を伝搬した波動エネルギーは、振動(より具体的には、共振)という形で外部に取り出すことができ、その結果、ミラー130を回転させることができる。その結果、図2に示すように、ミラー130が、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。より具体的には、ミラー130は、共振周波数での回転動作を所定の角度の範囲内で繰り返すように(言い換えれば、所定の角度の範囲内での回転の往復運動を繰り返す)。尚、波動エネルギーは、音として外部に取り出すことができるが、この場合に発生する音は、いわゆるピストンモーションによって得られる音と比較して、その発音原理が異なるものである。
このとき、ミラー130は、ミラー130並びにトーションバー120a及び120bに応じて定まる共振周波数で共振するように回転する。例えば、ミラー130のY軸に沿った軸回り慣性モーメントがIであり且つトーションバー120a及び120bを1本のバネとみなした場合のねじりバネ定数がkであるとすれば、ミラー130は、(1/(2π))×√(k/I)にて特定される共振周波数(或いは、(1/(2π))×√(k/I)のN倍若しくはN分の1倍(但し、Nは1以上の整数)の共振周波数)で共振するように、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。このため、駆動源部140は、ミラー130が上述の共振周波数で共振するように、上記共振周波数に同期した態様で微振動を加える。
ここで、図3を参照して、駆動源部140から加えられる微振動に起因した方向性のない力について更に説明する。ここに、図3は、駆動源部140から加えられる微振動に起因した方向性のない力について説明するための平面図である。尚、以下の説明では、駆動源部140が電磁力に起因した微振動を加える構成を用いて説明を進める。
図3に示すように、駆動源部140は、伝達枝140bと、伝達枝140bを介して第1ベース110−1に接続される支持板140cであって且つX軸の方向に沿って相対向する枝140x及び140yを備える支持板140cと、枝140x及び140yの夫々に巻かれたコイル140zとを備えている。また、枝140x及び140yの形状及び特性は同一であるとし、枝140xに巻かれたコイル140zの特性(例えば、巻き数等)及び枝140yに巻かれたコイル140zの特性(例えば、巻き数等)は同一であるものとする。
ここで、枝140x及び140yの夫々に巻かれたコイル140に電流を流すと、電磁相互作用により、枝140xに対して枝140yの方向に向かって引っ張られる力(つまり、X軸の負の方向であって図3中左側に向かう方向に作用する力)が発生する場合には、枝140yに対しても、枝140xの方向に向かって引っ張られる力(つまり、X軸の正の方向であって図3中右側に向かう方向に作用する力)が発生する。この力は、互いに逆向きで同じ大きさであるため、それらが外部に加速度を生じさせたり、それら自身に加速度を発生させることもなく、枝140xと140yとが接合する点P(言い換えれば、伝達枝140b上の点P)には微振動のみが伝達される。その結果、点Pにおける力には方向性がないことになる。同様に、電磁相互作用により、枝140xに対して枝140yから引き離される力(つまり、X軸の正の方向であって図3中右側に向かう方向に作用する力)が発生する場合には、枝140yに対しても枝140xから引き離される力(つまり、X軸の負の方向であって図3中左側に向かう方向に作用する力)が発生する。この力は、互いに逆向きで同じ大きさであるため、それらが外部に加速度を生じさせたり、それら自身に加速度を発生させることもなく、枝140xと140yとが接合する点P)には微振動のみが伝達される。その結果、点Pにおける力には方向性がないことになる。
しかしながら、本願発明者の実験によれば、上記構成によってベース110内を微振動(つまり、波動エネルギーであって、方向性のない力)が伝搬し、その結果、ミラー130がY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転することが判明している。つまり、駆動源部140により加えられる微振動が上述した方向性のない力(言い換えれば、波動エネルギー)としてベース110内を伝搬することで、ミラー130がY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転することが判明している。
このように、第1実施例においては、ミラー130がミラー130並びにトーションバー120a及び120bに応じて定まる共振周波数で共振するようにY軸の方向に沿った軸を中心軸としてミラー130を回転させることができる。つまり、第1実施例においては、ミラー130はY軸を中心軸として自励共振する。
ここで、「共振」とは、無限小の力の繰り返しにより無限大の変位が生じる現象であること。このため、ミラー130を回転させるために加えられる力を小さくしても、ミラー130の回転範囲(言い換えれば、回転方向の振幅)を大きくとることができる。つまり、ミラー130が回転するために必要な力を相対的に小さくすることができる。このため、ミラー130の回転に必要な力を加えるために必要な電力量をも少なくすることができる。従って、より効率的にミラー130を移動させることができ、その結果、MEMSスキャナ100の低消費電力化を実現することができる。
加えて、第1実施例では、方向性を有していない力を加えている。
ここで、比較例として、いわゆる方向性を有する力を加えることでミラー130の回転駆動を行う構成(例えば、ベース110そのものをミラー130の回転方向に向かって大きくねじれさせ、そのねじれをトーションバー120a及び120bやミラー130に直接加えることでミラー130の回転駆動を行う構成)を例にあげて説明する。この場合、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力(つまり、ベース110を、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるようにねじれさせる力)をある駆動源部140から加える必要がある。このため、このような方向性を有する力を加えることができるように、駆動源部140の配置位置を適切に設定しなければならない。つまり、方向性を有する力を加える場合には、当該力を作用させる方向に依存して駆動源部140の配置位置が限定されてしまう。
しかるに、第1実施例では、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、駆動源部140の配置位置が限定されてしまうことはなくなる。言い換えれば、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、ミラー130の回転の方向に依存して駆動源部140の配置位置が限定されてしまうことはなくなる。つまり、駆動源部140の配置位置がどのような位置に設定されたとしても、駆動源部140から加えられる微振動(つまり、方向性のない力)は、トーションバー120a及び120bの弾性を利用して、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。これにより、MEMSスキャナ100の設計の自由度を相対的に増加させることができる。これは、各構成要件のサイズ的な又は設計的な制約が大きいMEMSスキャナにとって実践上非常に有利である。
(2)第2実施例
初めに、図4から図7を参照して、MEMSスキャナの第2実施例について説明する。
初めに、図4から図7を参照して、MEMSスキャナの第2実施例について説明する。
(2−1)基本構成
初めに、図4を参照して、第2実施例に係るMEMSスキャナ101の基本構成について説明する。ここに、図4は、第2実施例に係るMEMSスキャナ101の基本構成を概念的に示す平面図である。
初めに、図4を参照して、第2実施例に係るMEMSスキャナ101の基本構成について説明する。ここに、図4は、第2実施例に係るMEMSスキャナ101の基本構成を概念的に示す平面図である。
図4に示すように、第2実施例に係るMEMSスキャナ101は、上述した「ベース部(或いは、第1ベース部)」の一具体例を構成する第1ベース110−1と、上述した「弾性部(或いは、第1弾性部)」の一具体例を構成する第1トーションバー120a−1と、上述した「弾性部(或いは、第1弾性部)」の一具体例を構成する第1トーションバー120b−1と、上述した「ベース部(或いは、第2ベース部)」の一具体例を構成する第2ベース110−2と、上述した「弾性部(或いは、第2弾性部)」の一具体例を構成する第2トーションバー120a−2と、上述した「弾性部(或いは、第2弾性部)」の一具体例を構成する第2トーションバー120b−2と、上述した「被駆動部」の一具体例を構成するミラー130と、上述した「印加部」の一具体例を構成する駆動源部140とを備えている。
第1ベース110−1は、内部に空隙を備える枠形状を有している。つまり、第1ベース110−1は、図4中のY軸方向に延伸する2つの辺と図4中のX軸方向(つまり、Y軸に直交する軸方向)に延伸する2つの辺とを有すると共に、Y軸方向に延伸する2つの辺とX軸方向に延伸する2つの辺とによって取り囲まれた空隙を有する枠形状を有している。図4に示す例では、第1ベース110−1は、正方形の形状を有しているが、これに限定されることはなく、例えばその他の形状(例えば、長方形等の矩形の形状や円形の形状等)を有していてもよい。また、第1ベース110−1は、第2実施例に係るMEMSスキャナ101の基礎となる構造体であって、不図示の基板ないしは支持部材に対して固定されている(言い換えれば、MEMSスキャナ101という系の内部においては固定されている)ことが好ましい。
尚、図4では、第1ベース110−1が枠形状を有している例を示しているが、その他の形状を有していてもよいことは言うまでもない。例えば、第1ベース110−1は、その一部の辺が開口となるコの字型形状を有していてもよい。或いは、例えば、第1ベース110−1は、内部に空隙を備える箱型形状を有していてもよい。つまり、第1ベース110−1は、X軸及びY軸によって規定される平面上に分布する2つの面と、X軸及び不図示のZ軸(つまり、X軸及びY軸の双方に直交する軸)によって規定される平面上に分布する2つの面と、Y軸及び不図示のZ軸によって規定される平面上に分布する2つの面とを有すると共に、これらの6つの面によって取り囲まれた空隙を有する箱形状を有していてもよい。或いは、ミラー130が配置される態様に応じて適宜第1ベース110−1の形状を任意に代えてもよい。
第1トーションバー120a−1は、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。第1トーションバー120a−1は、図4中X軸の方向に延伸するように配置される。言い換えれば、第1トーションバー120a−1は、X軸の方向に延伸する長手を有すると共にY軸の方向に延伸する短手を有する形状を有している。但し、後述する共振周波数の設定状況に応じて、第1トーションバー120a−1は、X軸の方向に延伸する短手を有すると共にY軸の方向に延伸する長手を有する形状を有していてもよい。第1トーションバー120a−1の一方の端部121a−1は、第1ベース110−1の内側の辺115−1に接続される。第1トーションバー120a−1の他方の端部122a−1は、X軸の方向に沿って第1ベース110−1の内側の辺115−1に対向する第2ベース110−2の外側の辺117−2に接続される。
同様に、第1トーションバー120b−1は、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。第1トーションバー120b−1は、図4中X軸の方向に延伸するように配置される。言い換えれば、第1トーションバー120b−1は、X軸の方向に延伸する長手を有すると共にY軸の方向に延伸する短手を有する形状を有している。但し、後述する共振周波数の設定状況に応じて、第1トーションバー120b−1は、X軸の方向に延伸する短手を有すると共にY軸の方向に延伸する長手を有する形状を有していてもよい。第1トーションバー120b−1の一方の端部121b−1は、X軸の方向に沿って第1ベース110−1の内側の辺(言い換えれば、領域部分)115−1(つまり、第1トーションバー120a−1の一方の端部121a−1が接続される第1ベース110−1の内側の辺115−1)に対向する第1ベース110−1の内側の辺116−1に接続される。第1トーションバー120b−1の他方の端部122b−1は、X軸の方向に沿って第1ベース110−1の内側の辺116−1に対向する第2ベース110−2の外側の辺118−2に接続される。
第2ベース110−2は、内部に空隙を備える枠形状を有している。つまり、第2ベース110−2は、図4中のY軸方向に延伸する2つの辺と図4中のX軸方向(つまり、Y軸に直交する軸方向)に延伸する2つの辺とを有すると共に、Y軸方向に延伸する2つの辺とX軸方向に延伸する2つの辺とによって取り囲まれた空隙を有する枠形状を有している。図4に示す例では、第2ベース110−2は、正方形の形状を有しているが、これに限定されることはなく、例えばその他の形状(例えば、長方形等の矩形の形状や円形の形状等)を有していてもよい。
また、第2ベース110−2は、第1ベース110−1の内部の空隙に、第1トーションバー120a−1及び120b−1によって吊り下げられる又は支持されるように配置される。第2ベース110−2は、第1トーションバー120a−1及び120b−1の弾性によって、X軸の方向を中心軸として回転するように構成されている。
尚、図4では、第2ベース110−2が枠形状を有している例を示しているが、その他の形状を有していてもよいことは言うまでもない。例えば、第2ベース110−2は、その一部の辺が開口となるコの字型形状を有していてもよい。或いは、例えば、第2ベース110−2は、内部に空隙を備える箱型形状を有していてもよい。つまり、第2ベース110−2は、X軸及びY軸によって規定される平面上に分布する2つの面と、X軸及び不図示のZ軸(つまり、X軸及びY軸の双方に直交する軸)によって規定される平面上に分布する2つの面と、Y軸及び不図示のZ軸によって規定される平面上に分布する2つの面とを有すると共に、これらの6つの面によって取り囲まれた空隙を有する箱形状を有していてもよい。或いは、ミラー130が配置される態様に応じて適宜第2ベース110−2の形状を任意に代えてもよい。
第2トーションバー120a−2は、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。第2トーションバー120a−2は、図4中Y軸の方向に延伸するように配置される。言い換えれば、第2トーションバー120a−2は、Y軸の方向に延伸する長手を有すると共にX軸の方向に延伸する短手を有する形状を有している。但し、後述する共振周波数の設定状況に応じて、第2トーションバー120a−2は、Y軸の方向に延伸する短手を有すると共にX軸の方向に延伸する長手を有する形状を有していてもよい。第2トーションバー120a−2の一方の端部121a−2は、第2ベース110−2の内側の辺111−2に接続される。第2トーションバー120a−2の他方の端部122a−2は、Y軸の方向に沿って第2ベース110−2の内側の辺111−2に対向するミラー130の一方の辺131に接続される。
同様に、第2トーションバー120b−2は、例えばシリコン、銅合金、鉄系合金、その他金属、樹脂等を材料とするバネ等のような弾性を有する部材である。第2トーションバー120b−2は、図4中Y軸の方向に延伸するように配置される。言い換えれば、第2トーションバー120b−2は、Y軸の方向に延伸する長手を有すると共にX軸の方向に延伸する短手を有する形状を有している。但し、後述する共振周波数の設定状況に応じて、第2トーションバー120b−1は、Y軸の方向に延伸する短手を有すると共にX軸の方向に延伸する長手を有する形状を有していてもよい。第2トーションバー120b−2の一方の端部121b−2は、Y軸の方向に沿って第2ベース110−2の内側の辺(言い換えれば、領域部分)111−2(つまり、第2トーションバー120a−2の一方の端部121a−2が接続される第2ベース110−2の内側の辺111−2)に対向する第2ベース110−2の内側の辺112−2に接続される。第2トーションバー120b−2の他方の端部122b−2は、Y軸の方向に沿って第2ベース110−2の内側の辺112−2に対向するミラー130の他方の辺132に接続される。
ミラー130は、第2ベース110−2の内部の空隙に、第2トーションバー120a−2及び120b−2によって吊り下げられる又は支持されるように配置される。ミラー130は、第2トーションバー120a−2及び120b−2の弾性によって、Y軸の方向を中心軸として回転するように構成されている。
駆動源部140は、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるために必要であって且つミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるために必要な微振動を第1ベース110−1に対して加える。尚、駆動源部140が上述の微振動を第1ベース110−1に加えることができる限りは、その配置態様は任意に定めてもよい。また、第1ベース110−1に対して微振動を加えることに限らず、その他の位置に対して微振動を加えることができるように構成されてもよい。
より具体的には、駆動源部140は、圧電素子140aと、伝達枝140bと、空隙140dを有すると共に伝達枝140bを介して第1ベース110−1に固定される支持板140cとを備えている。支持板140c上では、空隙140dによって規定されると共に相対向する枝140e及び140fによって、圧電素子140aが挟持される。不図示の電極を介して圧電素子140aに電圧を印加することで、圧電素子140aはその形状を変化させる。この圧電素子140aの形状の変化は、枝140e及び140fの形状の変化を引き起こす。その結果、枝140e及び140fの形状の変化は、後に詳述するように微振動(ないしは、波動エネルギー)として伝達枝140bを介して第1ベース110−1に伝えられる。
尚、駆動源部140としては、圧電効果に起因した微振動を加える駆動源部に限らず、電磁力に起因した微振動を加える駆動源部及び静電力に起因した微振動を加える駆動源部を用いてもよい。もちろん、その他の方式を用いてもよいことは言うまでもない。
例えば、電磁力に起因した微振動を加える被駆動源部は、枝140eに配置される磁極と枝140fに配置されるコイルとを備えている。この場合、コイルには、不図示の駆動源部制御回路から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。コイルへの電圧の印加によって、コイルと磁極との間に電磁相互作用が生ずる。その結果、電磁相互作用による電磁力が発生する。この電磁力は、枝140e及び140fの形状の変化を引き起こす。その結果、枝140e及び140fの形状の変化は、後に詳述するように微振動(ないしは、波動エネルギー)として伝達枝140bを介して第1ベース110−1に伝えられる。
また、静電力に起因した微振動を加える被駆動源部は、枝140eに配置される櫛葉状の第1電極と、枝140fに配置されると共に第1電極の間に分布する櫛葉状の第2電極とを備えている。この場合、第1電極には、不図示の駆動源部制御回路から所望のタイミングで、所望の電圧が印加される。ここで、第1電極と第2電極との間の電位差に起因して、第1電極と第2電極との間には静電力(言い換えれば、クーロン力)が生ずる。この静電力は、枝140e及び140fの形状の変化を引き起こす。その結果、枝140e及び140fの形状の変化は、後に詳述するように微振動(ないしは、波動エネルギー)として伝達枝140bを介して第1ベース110−1に伝えられる。
(2−2)MEMSスキャナの動作
続いて、図5を参照して、第2実施例に係るMEMSスキャナ101の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図5は、第2実施例に係るMEMSスキャナ101による動作の態様を概念的に示す平面図である。
続いて、図5を参照して、第2実施例に係るMEMSスキャナ101の動作の態様(具体的には、ミラー130を回転させる動作の態様)について説明する。ここに、図5は、第2実施例に係るMEMSスキャナ101による動作の態様を概念的に示す平面図である。
第2実施例に係るMEMSスキャナ101の動作時には、駆動源部140は、圧電素子140aが図5中X軸の方向に沿って伸縮するように、不図示の電極を介して圧電素子140aに電圧を印加する。これにより、圧電素子140aの形状が変化すると共に、枝140e及び140fの形状が変化する。その結果、枝140e及び140fの形状の変化は、後に詳述するように振動そのものに代えて振動のエネルギーとして伝達枝140bを介して第1ベース110−1に伝えられる。
ここで、圧電素子140aの形状の変化が図5中X軸の方向であるため、この圧電素子140aの形状の変化によって生ずる枝140e及び140fの夫々の形状の変化は、図5中X軸の方向に沿って発生する。ここで、この圧電素子140aの形状の変化によって生ずる力そのものは、第2ベース110−2の回転方向(つまり、X軸に沿った方向を中心軸とする回転方向)及びミラー130の回転方向(つまり、Y軸に沿った方向を中心軸とする回転方向)の夫々とは異なる。一方で、この圧電素子140aの形状の変化(つまり、枝140e及び140fの夫々の形状の変化)は、支持板140c及び伝達枝140bを介して、微振動(言い換えれば、波動エネルギーであって、方向性のない力)として第1ベース110−1に伝わる。より具体的には、駆動源部140は、基礎となる第1ベース110−1に対して、第1ベース110−1そのものの回転方向のねじれをなくしつつも第1ベース110−1内を伝搬する微振動を、波動エネルギーとして加える。言い換えれば、駆動源部140は、第1ベース110−1そのものに回転方向のねじれを与える力を加えることに代えて、第1ベース110−1内をエネルギーとして(言い換えれば、力を発現させるエネルギーとして)伝搬する微振動を加える。このような微振動は、第1ベース110−1内を伝搬している時点では、方向性を有していない力となる。言い換えれば、微振動としてベース110内を伝搬する波動エネルギーは、ベース110内を任意の方向に向かって伝搬する。また、このような微振動が加えられた第1ベース110−1は、第1ベース110−1そのものが振動する物体となるというよりは、微振動(言い換えれば、波動エネルギー)を伝搬する媒体となる。
その結果、駆動源部140から第1ベース110−1に対して加えられる微振動は、第1ベース110−1から第1トーションバー120a−1及び120b−1へと伝わる。その後、図5に示すように、第1ベース110−1内を伝搬してきた微振動(言い換えれば、波動エネルギー)が、第1トーションバー120a−1及び120b−1自身の弾性に応じた方向に向かって第1トーションバー120a−1及び120b−1を回転させたり、第2ベース110−2を回転させたりする。言い換えれば、第1ベース110−1内を伝搬してきた微振動は、第1トーションバー120a−1及び120b−1の回転や第2ベース110−2の回転という形で発現する。言い換えれば、この波動エネルギーは、微振動の方向を限定することなくあらゆる方向の振動として取り出すことができる。つまり、第1ベース110−1内を伝搬した波動エネルギーは、振動(より具体的には、共振)という形で外部に取り出すことができ、その結果、ミラー130を支持する第2ベース110−2を回転させることができる。その結果、図5に示すように、第2ベース110−2が、X軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。より具体的には、第2ベース110−2は、共振周波数での回転動作を所定の角度の範囲内で繰り返す(言い換えれば、所定の角度の範囲内での回転の往復運動を繰り返す)。
このとき、第2ベース110−2は、第2ベース110−2を含む被懸架部(言い換えれば、第1トーションバー120a−1及び120b−1により懸架される第2ベース110−2を含む被懸架部)並びに第1トーションバー120a−1及び120b−1に応じて定まる共振周波数で共振するように回転する。例えば、第2ベース110−2を含む被懸架部のX軸に沿った軸回りの慣性モーメント(より具体的には、第2ベース110−2内に備えられる第2トーションバー120a−2及び120b−2並びにミラー130の夫々の質量をも加味した第2ベース110−2という系全体からなる被懸架設部のX軸に沿った軸回りの慣性モーメント)がI1であり且つ第1トーションバー120a−1及び120b−1を1本のバネとみなした場合のねじりバネ定数がk1であるとすれば、第2ベース110−2は、(1/(2π))×√(k1/I1)にて特定される共振周波数(或いは、(1/(2π))×√(k1/I1)のN倍若しくはN分の1倍(但し、Nは1以上の整数)の共振周波数)で共振するように、X軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。このため、駆動源部140は、第2ベース110−2が上述の共振周波数で共振するように、上記共振周波数に同期した態様で微振動を加える。
同様に、駆動源部140から第1ベース110−1に対して加えられる微振動は、第1ベース110−1から第1トーションバー120a−1及び120b−1、並びに第2ベース110−2を介して第2トーションバー120a−2及び120b−2へと伝わる。その後、図5に示すように、第1ベース110−1内を伝搬してきた微振動(言い換えれば、波動エネルギー)が、第2トーションバー120a−2及び120b−2自身の弾性に応じた方向に向かって第2トーションバー120a−2及び120b−2を回転させたり、ミラー130を回転させたりする。言い換えれば、第1ベース110−1内を伝搬してきた微振動は、第2トーションバー120a−1及び120b−1の回転やミラー130の回転という形で発現する。言い換えれば、この波動エネルギーは、微振動の方向を限定することなくあらゆる方向の振動として取り出すことができる。つまり、第1ベース110−1及び第2ベース110−2内を伝搬した波動エネルギーは、振動(より具体的には、共振)という形で外部に取り出すことができ、その結果、ミラー130を回転させることができる。その結果、図5に示すように、ミラー130が、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。より具体的には、ミラー130は、共振周波数での回転動作を所定の角度の範囲内で繰り返す(言い換えれば、所定の角度の範囲内での回転の往復運動を繰り返す)。
このとき、ミラー130は、ミラー130並びに第2トーションバー120a−2及び120b−2に応じて定まる共振周波数で共振するように回転する。例えば、ミラー130のY軸に沿った軸回りの慣性モーメントがm2であり且つ第2トーションバー120a−2及び120b−2を1本のバネとみなした場合のねじりバネ定数がk2であるとすれば、ミラー130は、(1/(2π))×√(k2/I2)にて特定される共振周波数(或いは、(1/(2π))×√(k2/I2)のN倍若しくはN分の1倍(但し、Nは1以上の整数)の共振周波数)で共振するように、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。このため、駆動源部140は、ミラー130が上述の共振周波数で共振するように、上記共振周波数に同期した態様で微振動を加える。
ここで、図6を参照して、駆動源部140から加えられる微振動に起因した方向性のない力について更に説明する。ここに、図6は、駆動源部140から微振動に起因した加えられる方向性のない力について説明するための平面図である。尚、以下の説明では、駆動源部140が電磁力に起因した微振動を加える構成を用いて説明を進める。
図6に示すように、駆動源部140は、伝達枝140bと、伝達枝140bを介して第1ベース110−1に接続される支持板140cであって且つX軸の方向に沿って相対向する枝140x及び140yを備える支持板140cと、枝140x及び140yの夫々に巻かれたコイル140zとを備えている。また、枝140x及び140yの形状及び特性は同一であるとし、枝140xに巻かれたコイル140zの特性(例えば、巻き数等)及び枝140yに巻かれたコイル140zの特性(例えば、巻き数等)は同一であるものとする。
ここで、枝140x及び140yの夫々に巻かれたコイル140に電流を流すと、電磁相互作用により、枝140xに対して枝140yの方向に向かって引っ張られる力(つまり、X軸の負の方向であって図6中左側に向かう方向に作用する力)が発生する場合には、枝140yに対しても、枝140xの方向に向かって引っ張られる力(つまり、X軸の正の方向であって図6中右側に向かう方向に作用する力)が発生する。この力は、互いに逆向きで同じ大きさであるため、それらが外部に加速度を生じさせたり、それら自身に加速度を発生させることもなく、枝140xと140yとが接合する点P(言い換えれば、伝達枝140b上の点P)には微振動のみが伝達される。その結果、点Pにおける力には方向性がないことになる。同様に、電磁相互作用により、枝140xに対して枝140yから引き離される力(つまり、X軸の正の方向であって図6中右側に向かう方向に作用する力)が発生する場合には、枝140yに対しても枝140xから引き離される力(つまり、X軸の負の方向であって図6中左側に向かう方向に作用する力)が発生する。この力は、互いに逆向きで同じ大きさであるため、それらが外部に加速度を生じさせたり、それら自身に加速度を発生させることもなく、枝140xと140yとが接合する点Pには微振動のみが伝達される。その結果、点Pにおける力には方向性がないことになる。
しかしながら、本願発明者の実験によれば、上記構成によって第1ベース110−1内を微振動(つまり、波動エネルギーであって、方向性のない力)が伝搬し、その結果、第2ベース110−2がX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転すると共に、ミラー130がY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転することが判明している。つまり、駆動源部140により加えられる微振動が上述した方向性のない力(言い換えれば、波動エネルギー)として第1ベース110−1内を伝搬することで、第2ベース110−2がX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転すると共に、ミラー130がY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転することが判明している。
また、実際の実験結果のグラフについて、図7を参照して説明する。ここに、図7は、実験結果のグラフである。尚、実験では、「3mm×4mm」のサイズのミラー130を用い、第2ベース110−2の共振周波数を700Hzに設定し、且つミラー130の共振周波数を5.3kHzに設定している。尚、本発明がこれらの数値を有する構成に限定されることを意図するものではない。
図7(a)は、第2ベース110−2のX軸の方向に沿った軸を中心軸とする回転の態様を示す。図7(a)の横軸は、駆動源部140に加えられる信号の周波数を示し、図7(a)の縦軸は、第2ベース110−2の回転量(左側)及び回転の位相(右側)を示している。図7(a)に示すグラフから分かるように、駆動源部140に加えられる信号周波数を変更していった場合には、信号の繰り返しの周波数が「700Hz」となった時点で第2ベース110−2の回転量が最大となり且つ回転の位相が反転することが分かる。これは、第2ベース110−2が「700Hz」の周波数で共振しながら、X軸の方向に沿った軸を中心軸として回転していることを示している。つまり、微振動に起因した方向性のない力を加えることで、第2ベース110−2が「700Hz」の周波数で共振しながら、X軸の方向に沿った軸を中心軸として回転することが実験により確認されている。
図7(b)は、ミラー130のY軸の方向に沿った軸を中心軸とする回転の態様を示す。図7(b)の横軸は、駆動源部140に加えられる信号の周波数を示し、図7(b)の縦軸は、ミラー130の回転量(左側)及び回転の位相(右側)を示している。図7(b)に示すグラフから分かるように、駆動源部140に加えられる信号の周波数を変更させていった場合には、信号の繰り返しの周波数が「5.3kHz」となった時点でミラー130の回転量が最大となり且つ回転の位相が反転することが分かる。これは、ミラー130が「5.3kHz」の周波数で共振しながら、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転していることを示している。つまり、微振動に起因した方向性のない力を加えることで、ミラー130が「5.3kHz」の周波数で共振しながら、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転することが実験により確認されている。
このように、第2実施例においては、ミラー130がミラー130並びに第2トーションバー120a−2及び120b−2に応じて定まる共振周波数で共振するようにY軸の方向に沿った軸を中心軸としてミラー130を回転させることができると共に、第2ベース110−2が第2ベース110−2並びに第1トーションバー120a−1及び120b−1に応じて定まる共振周波数で共振するようにX軸の方向に沿った軸を中心軸として第2ベース110−2を回転させることができる。ここで、ミラー130が第2トーションバー120a−2及び120b−2を介して第2ベース110−2に接続されていることを考慮すれば、X軸の方向に沿った軸を中心軸とする第2ベース110−2の回転に合わせて、ミラー130もまたX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。その結果、ミラー130がX軸及びY軸の夫々を中心軸として共振するようにミラー130を回転させることができる。つまり、第2実施例においては、ミラー130はX軸及びY軸の夫々を中心軸として自励共振する。
ここで、「共振」とは、無限小の力の繰り返しにより無限大の変位が生じる現象であること。このため、ミラー130を回転させるために加えられる力を小さくしても、ミラー130の回転範囲(言い換えれば、回転方向の振幅)を大きくとることができる。つまり、ミラー130が回転するために必要な力を相対的に小さくすることができる。このため、ミラー130の回転に必要な力を加えるために必要な電力量をも少なくすることができる。従って、より効率的にミラー130を移動させることができ、その結果、MEMSスキャナ101の低消費電力化を実現することができる。
加えて、第2実施例では、方向性を有していない力を加えている。
ここで、比較例として、いわゆる方向性を有する力を加えることでミラー130の2軸回転駆動を行う構成(例えば、第1ベース110−1そのものを大きくねじれさせ、そのねじれを第1トーションバー120a−1及び120b−1や第2トーションバー120a−2及び120b−2やミラー130に直接加えることでミラー130の2軸回転駆動を行う構成)を例にあげて説明する。この場合、ミラー130をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力(つまり、第1ベース110−1を、X軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるようにねじれさせる力)をある駆動源部140から加えると共に、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力(つまり、第1ベース110を、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるようにねじれさせる力)を他の駆動源部140から加える必要がある。つまり、方向性を有する力を加えることでミラー130の2軸回転駆動を行う場合には、通常は、2つ以上の駆動源部140をMEMSスキャナが備えていなければならない。言い換えれば、方向性を有する力を加えることでミラー130の2軸回転駆動を行う場合には、1つの駆動源部140からは1つの方向に向かって作用する力しか加えることができないため、2つ以上の駆動源部140をMEMSスキャナが備えていなければならない。
しかるに、第2実施例では、微振動に起因した方向性のない力を加えることで、ミラー130の2軸回転駆動を行うことができる。ここで、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、1つの駆動源部140から加えられた微振動(つまり、方向性のない力)は、第1トーションバー120a−1及び120b−1の弾性(つまり、ミラー130を支持する第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる弾性)並びに第2トーションバー120a−2及び120b−2の弾性(つまり、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる弾性)を利用して、ミラー130をX軸及びY軸の夫々の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。つまり、第2実施例では、ミラー130の2軸回転駆動を行う場合であっても、2つの駆動源部140を備える必要は必ずしもない。このため、単一の駆動源部140を用いて、ミラー130の2軸回転駆動を行うための微振動に起因した方向性のない力を加えることができる。
加えて、仮に1つの駆動源部から2つの方向に向かって作用する力を加えることができたとしても、方向性を有する力を加えることでミラー130の2軸回転駆動を行う場合には、結局のところ、2つの方向に作用する成分(つまり、ミラー130をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力の成分と、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有する力の成分)を有する力を加える必要がある。しかるに、第2実施例では、微振動に起因した方向性のない力を波動エネルギーとして加えているため、力が作用する方向を考慮した上で当該力を加える必要がなくなるという利点も有している。
加えて、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、駆動源部140の配置位置が限定されてしまうことはなくなる。言い換えれば、微振動に起因した方向性のない力を加えているがゆえに、ミラー130の回転の方向に依存して駆動源部140の配置位置が限定されてしまうことはなくなる。つまり、駆動源部140の配置位置がどのような位置に設定されたとしても、駆動源部140から加えられる微振動(つまり、方向性のない力)は、第1トーションバー120a−1及び120b−1並びに第2トーションバー120a−2及び120b−2の夫々の弾性を利用して、ミラー130をX軸及びY軸の夫々の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。これにより、MEMSスキャナ101の設計の自由度を相対的に増加させることができる。これは、各構成要件のサイズ的な又は設計的な制約が大きいMEMSスキャナにとって実践上非常に有利である。
(3)第3実施例
続いて、図8及び図9を参照して、MEMSスキャナの第3実施例について説明する。ここに、図8は、第3実施例に係る一の構成のMEMSスキャナ102の基本構成を概念的に示す平面図であり、図9は、第3実施例に係る他の構成のMEMSスキャナ103の基本構成を概念的に示す平面図である。尚、上述した第1実施例に係るMEMSスキャナ100及び第2実施例に係るMEMSスキャナ101と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明については省略する。
続いて、図8及び図9を参照して、MEMSスキャナの第3実施例について説明する。ここに、図8は、第3実施例に係る一の構成のMEMSスキャナ102の基本構成を概念的に示す平面図であり、図9は、第3実施例に係る他の構成のMEMSスキャナ103の基本構成を概念的に示す平面図である。尚、上述した第1実施例に係るMEMSスキャナ100及び第2実施例に係るMEMSスキャナ101と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明については省略する。
図8に示すように、第3実施例に係る第1のMEMSスキャナ102は、第2実施例に係るMEMSスキャナ101と同様に、第1ベース110−1と、第1トーションバー120a−1と、第1トーションバー120b−1と、第2ベース110−2と、第2トーションバー120a−2と、第2トーションバー120b−2と、ミラー130と、駆動源部150とを備えている。
第3実施例に係る第1のMEMSスキャナ102は特に、第2実施例に係るMEMSスキャナ101と比較して、駆動源部150の配置位置が異なっている。具体的には、第3実施例に係る第1のMEMSスキャナ102では、駆動源部150は、第2ベース110−2に対して力を加えることができるように配置されている。より具体的には、第3実施例に係る第1のMEMSスキャナ102が備える駆動源部150は、ミラー130を挟んで配置される2つの駆動源部150a及び150bを備えている。駆動源部150aは、静電力に起因した力を加える駆動源部であって、第1ベース110−1の内側の辺111−1に配置される櫛葉状の第1電極151aと、第2ベース110−2の外側の辺113−2に配置されると共に第1電極151aの間に分布する第2電極152aとを備える。また、駆動源部150bは、静電力に起因した力を加える駆動源部であって、第1ベース110−1の内側の辺112−1に配置される櫛葉状の第1電極151bと、第2ベース110−2の外側の辺114−2に配置されると共に第1電極151bの間に分布する第2電極152bとを備える。
第3実施例に係る駆動源部150a及び150bの夫々は、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるために必要な力を第2ベース110−2に加える。特に、駆動源部150a及び150bの夫々は、第2ベース110−2を回転させるために、第2ベース110−2を相対的に大きく振動させる力を第2ベース110−2に対して加える。より具体的には、第1電極151a及び151b並びに第2電極152a及び152bの夫々に対して電圧を印加すると、第1電極151aと第2電極152aとの間及び第1電極151bと第2電極152bとの間には、互いに引き合う静電力が発生する。この静電力は、図8の紙面に対して奥側から手前側又は手前側から奥側へ向かう力として第2ベース110−2に対して作用する。その結果、第2ベース110−2は相対的に大きく振動することで、X軸に沿った軸を中心軸として回転する。つまり、駆動源部150a及び150bの夫々は、第2ベース110−1をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる力(つまり、方向性を有する力)を第2ベース110−2に直接加えることで、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる。同時に、駆動源部150a及び150bの夫々は、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる力を利用して、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる。言い換えれば、ミラー130は、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる力を利用して、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。ここで、第1電極151aと第2電極152aとの間及び第1電極151bと第2電極152bとの間に発生する静電力は、その発生時点では、第2ベース110−1をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有しているものの、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有しているものではない。従って、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる力を利用してミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる場合には、当該力は上述した方向性のない力に相当する。
このような動作を実現するために、駆動源部150a及び150bの夫々には、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる力を発生させるための信号(つまり、電圧信号)に対して、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる際の共振周波数に同期した信号(つまり、微振動を発生させるための電圧信号)が重畳された信号が、入力信号として加えられる。
このため、第3実施例に係る第1のMEMSスキャナ102によれば、ミラー130をY軸に沿った軸を中心軸として回転させるために方向性のない力を利用しつつも、ミラー130(言い換えれば、ミラー130を支持する第2ベース110−2)をX軸に沿った軸を中心軸として回転させるために方向性のある力を利用している。このように構成しても、ミラー130の2軸回転駆動を好適に行うことができる。
図9に示すように、第3実施例に係る第2のMEMSスキャナ103は、第2実施例に係るMEMSスキャナ101と同様に、第1ベース110−1と、第1トーションバー120a−1と、第1トーションバー120b−1と、第2ベース110−2と、第2トーションバー120a−2と、第2トーションバー120b−2と、ミラー130と、駆動源部160とを備えている。
第3実施例に係る第2のMEMSスキャナ103は特に、第2実施例に係るMEMSスキャナ101と比較して、駆動源部160の配置位置が異なっている。具体的には、第3実施例に係る第2のMEMSスキャナ103では、駆動源部160は、第2ベース110−2に対して力を加えることができるように配置されている。つまり、第3実施例に係る第2のMEMSスキャナ103における駆動源部160の配置位置は、第3実施例に係る第1のMEMSスキャナ102における駆動源部150の配置位置と同一である。第3実施例に係る第2のMEMSスキャナ103は、第3実施例に係る第1のMEMSスキャナ102と比較して、駆動源部160の構成が異なるという点において異なっている。より具体的には、第3実施例に係る第2のMEMSスキャナ103が備える駆動源部160は、電磁力に起因した力を加える駆動源部であって、第2ベース110−2の枠形状に沿って配置されるコイル161と、第1ベース110−1の内側の辺111−1に配置される磁極162aと、第1ベース110−1の内側の辺112−1に配置される磁極162bとを備える。
第3実施例に係る駆動源部160は、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるために必要な力を第2ベース110−2に加える。特に、駆動源部160は、第2ベース110−2を回転させるために、第2ベース110−2を相対的に大きく振動させる力を第2ベース110−2に対して加える。より具体的には、例えばコイル161に対して図6中反時計回りの方向に電流を流し、磁極162aからは図6中下側から上側へ向かう磁束が発生し、磁極162bからは図9中下側から上側へ向かう磁束が発生するとする。この場合、コイル161(つまり、コイル161が配置された第2ベース110−2)の上側の辺111−2及び113−2には、図9の紙面に対して手前側から奥側に作用する力が加えられる。同様に、コイル161(つまり、コイル161が配置された第2ベース110−2)の下側の辺112−2及び114−2には、図9の紙面に対して奥側から手前側に作用する力が加えられる。その結果、第2ベース110−2は、X軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。このとき加えられる力は、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるように直接作用する力であり、上述の方向性のある力となる。同時に、駆動源部160の夫々は、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる力を利用して、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる。言い換えれば、ミラー130は、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる力を利用して、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する。ここで、コイル161に発生する電磁力は、その発生時点では、第2ベース110−1をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有しているものの、ミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる方向性を有しているものではない。従って、第2ベース110−2をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる力を利用してミラー130をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる場合には、当該力は上述した方向性のない力に相当する。
このため、第3実施例に係る第2のMEMSスキャナ103によれば、ミラー130をY軸に沿った軸を中心軸として回転させるために方向性のない力を利用しつつも、ミラー130(言い換えれば、ミラー130を支持する第2ベース110−2)をX軸に沿った軸を中心軸として回転させるために方向性のある力を利用している。このように構成しても、ミラー130の2軸回転駆動を好適に行うことができる。
尚、第3実施例では、ミラー130をY軸に沿った軸を中心軸として回転させるために方向性のない力を利用しつつも、ミラー130をX軸に沿った軸を中心軸として回転させるために方向性のある力を利用している。しかしながら、ミラー130をX軸に沿った軸を中心軸として回転させるために方向性のある力及び方向性のない力の双方を利用してもよい。言い換えれば、所定の軸を中心軸としてミラー130を回転させるために、方向性のない力のみを用いてもよいし、方向性のある力のみを用いてもよいし、方向性のない力及び方向性のある力の組み合わせを用いてもよい。
(4)第4実施例
続いて、図10を参照して、MEMSスキャナの第4実施例について説明する。ここに、図10は、第4実施例に係るMEMSスキャナ104の基本構成を概念的に示す平面図である。尚、上述した第1実施例に係るMEMSスキャナ100及び第2実施例に係るMEMSスキャナ101と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明については省略する。
続いて、図10を参照して、MEMSスキャナの第4実施例について説明する。ここに、図10は、第4実施例に係るMEMSスキャナ104の基本構成を概念的に示す平面図である。尚、上述した第1実施例に係るMEMSスキャナ100及び第2実施例に係るMEMSスキャナ101と同一の構成については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明については省略する。
図10に示すように、第4実施例に係るMEMSスキャナ104は、第2実施例に係るMEMSスキャナ101と同様に、第1ベース110−1と、駆動源部140とを備えている。
第4実施例に係るMEMSスキャナ104は特に、夫々がX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転するように構成される複数のミラー130−1と、夫々がY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転するように構成される複数のミラー130−2と、夫々が複数のミラー130−1のうちの対応するミラー130−1と第1ベース110−1とを接続する複数のトーションバー120a−1及び120b−1と、夫々が複数のミラー130−2のうちの対応するミラー130−2と第1ベース110−1とを接続する複数のトーションバー120a−2及び120b−2とを備えている。このような第4実施例に係るMEMSスキャナ104は、第2実施例に係るMEMSスキャナ102が備えるミラー130を分割することで得られる構成に相当する。
複数のトーションバー120a−1及び120b−1の夫々は、上述した第1トーションバー120a−1及び120b−1と同様の構成及び特性を有している。複数のトーションバー120a−1及び120b−1の夫々の一方の端部は第1ベース110−1に接続され、複数のトーションバー120a−1及び120b−1の夫々の他方の端部は対応するミラー130−1に接続される。また、複数のトーションバー120a−1及び120b−1の夫々は、対応するミラー130−1をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる弾性を有する。
複数のトーションバー120a−2及び120b−2の夫々は、上述した第2トーションバー120a−2及び120b−2と同様の構成及び特性を有している。複数のトーションバー120a−2及び120b−2の夫々の一方の端部は第1ベース110−1に接続され、複数のトーションバー120a−2及び120b−2の夫々の他方の端部は対応するミラー130−2に接続される。また、複数のトーションバー120a−2及び120b−2の夫々は、対応するミラー130−2をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる弾性を有する。
複数のミラー130−1の夫々は、上述したミラー130と概ね同様の構成を有しており、第1ベース110−1の内部の空隙に、対応するトーションバー120a−1及び120b−1によって吊り下げられる又は支持されるように配置される。また、複数のミラー130−1の夫々は、共振周波数が「f1」となるように設定されている。つまり、複数のミラー130−1の夫々が共振周波数が「f1」となるように、複数のミラー130−1の夫々のX軸の方向に沿った軸を中心軸とする慣性モーメント及び複数のトーションバー120a−1及び120b−1の夫々のねじりばね定数が設定されている。また、複数のミラー130−1の夫々は、トーションバー120a−1及び120b−1の弾性によって、X軸の方向に沿った軸を中心軸として回転するように構成されている。
複数のミラー130−2の夫々は、上述したミラー130と概ね同様の構成を有しており、第1ベース110−1の内部の空隙に、対応するトーションバー120a−2及び120b−2によって吊り下げられる又は支持されるように配置される。また、複数のミラー130−2の夫々は、共振周波数が「f2」となるように設定されている。つまり、複数のミラー130−2の夫々が共振周波数が「f2」となるように、複数のミラー130−1の夫々のY軸の方向に沿った軸を中心軸とする慣性モーメント及び複数のトーションバー120a−2及び120b−2の夫々のねじりばね定数が設定されている。また、複数のミラー130−2の夫々は、トーションバー120a−2及び120b−2の弾性によって、Y軸の方向に沿った軸を中心軸として回転するように構成されている。
このようなMEMSスキャナ104は、例えばディスプレイ装置として利用することができる。具体的には、複数のミラー130−1は、光源からの光を反射することで垂直走査を行うためのミラーとして用いられる。図10に示す例では、3つのミラー130−1が、夫々、赤(R)、緑(G)及び青(B)に対応することが好ましい。同様に、複数のミラー130−2は、光源からの光を反射することで水平走査を行うためのミラーとして用いられる。図10に示す例では、3つのミラー130−2が、夫々、赤(R)、緑(G)及び青(B)に対応することが好ましい。
このような構成を有する第4実施例に係るMEMSスキャナ104によれば、駆動源部140から微振動(つまり、方向性のない力)が第1ベース110−1に加えられるがゆえに、当該微振動に起因した方向性のない力により、複数のトーションバー120a−1及び120b−1の夫々の弾性を利用して、一の共振周波数f1で共振させながら複数のミラー130−1の夫々をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させると共に、複数のトーションバー120a−2及び120b−2の夫々の弾性を利用して、他の共振周波数f2で共振させながら複数のミラー130−2の夫々をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。より具体的には、駆動源部140に対して一の共振周波数f1に同期した信号と他の共振周波数f2に同期した信号とを重畳した信号を供給することで、一の共振周波数f1で共振させながら複数のミラー130−1を回転させることができると共に、他の共振周波数f2で共振させながら複数のミラー130−2を回転させることができる。言い換えれば、駆動源部140に対して一の共振周波数f1に同期した信号のみを供給することで、一の共振周波数f1で共振しながら複数のミラー130−1を回転させることができる一方で、複数のミラー130−2を回転させることはない。同様に、駆動源部140に対して他の共振周波数f2に同期した信号のみを供給することで、他の共振周波数f2で共振しながら複数のミラー130−2を回転させることができる一方で、複数のミラー130−1を回転させることはない。このため、共振周波数が異なる複数のミラー130−1及び130−2をMEMSスキャナ104が備える場合であっても、単一の駆動源部140を用いて複数のミラー130−1及び130−2の夫々を好適に回転させることができる。
尚、上述の例では、共振周波数がf1となる複数のミラー130−1の夫々をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させると共に、共振周波数がf2となる複数のミラー130−2の夫々をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させる例について説明している。しかしながら、共振周波数がf1となる複数のミラー130の夫々をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させ、共振周波数がf1となる複数のミラー130の夫々をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させ、共振周波数がf2となる複数のミラー130の夫々をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させ、且つ共振周波数がf2となる複数のミラー130の夫々をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させるように構成してもよい。例えば、図11に示すように、一の共振周波数f1で共振しながらX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する複数の第1ミラー130−3と、他の共振周波数f2で共振しながらX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する複数の第2ミラー130−4と、一の共振周波数f1で共振しながらY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する複数の第3ミラー130−5と、他の共振周波数f2で共振しながらY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転する複数の第4ミラー130−6とを備えるように構成してもよい。この場合、駆動源部140に対して一の共振周波数f1に同期した信号と他の共振周波数f2に同期した信号とを重畳した信号を供給することで、一の共振周波数f1で共振しながら複数の第1ミラー130−3をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させ且つ一の共振周波数f1で共振しながら複数の第3ミラー130−5をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができると共に、他の共振周波数f2で共振しながら複数の第2ミラー130−4をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させ且つ他の共振周波数f2で共振しながら複数の第4ミラー130−6をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる。言い換えれば、駆動源部140に対して一の共振周波数f1に同期した信号のみを供給することで、一の共振周波数f1で共振しながら複数の第1ミラー130−3をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させ且つ一の共振周波数f1で共振しながら複数の第3ミラー130−5をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる一方で、他の共振周波数f2で共振しながら複数の第2ミラー130−4をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させ且つ他の共振周波数f2で共振しながら複数の第4ミラー130−6をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させることはない。同様に、駆動源部140に対して他の共振周波数f2に同期した信号のみを供給することで、他の共振周波数f2で共振しながら複数の第2ミラー130−4をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させ且つ他の共振周波数f2で共振しながら複数の第4ミラー130−6をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させることができる一方で、一の共振周波数f1で共振しながら複数の第1ミラー130−3をX軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させ且つ一の共振周波数f1で共振しながら複数の第3ミラー130−5をY軸の方向に沿った軸を中心軸として回転させることはない。
このように構成しても、共振周波数及び回転方向が異なる複数のミラー130−3から130−6をMEMSスキャナ104が備える場合であっても、単一の駆動源部140を用いて複数のミラー130−3及び130−6のうちの所望のミラーを好適に回転させることができる。
尚、上述した第4実施例に係るMEMSスキャナ104に対して、上述した第1実施例から第3実施例において説明した各種構成を適宜適用してもよいことは言うまでもない。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駆動装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
100 MEMSスキャナ
110 ベース
120 トーションバー
130 ミラー
140 駆動源部
110 ベース
120 トーションバー
130 ミラー
140 駆動源部
Claims (4)
- 第1ベース部と、
当該第1ベース部により少なくとも一部が取り囲まれる第2ベース部と、
回転可能な被駆動部と、
前記第1ベース部と前記第2ベース部とを接続し、且つ前記第2ベース部を他の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する第1弾性部と、
前記第2ベース部と前記被駆動部とを接続し、且つ前記被駆動部を前記他の方向とは異なる一の方向に沿った軸を中心軸として回転させるような弾性を有する第2弾性部と、
前記第2ベース部が前記他の方向に沿った軸を中心軸として回転するように前記第2ベース部を回転させるための駆動力を前記第2ベース部に加える印加部と
を備え、
前記印加部は、前記駆動力を、前記被駆動部及び前記弾性部により定まる共振周波数で前記被駆動部が前記一の方向に沿った軸を中心軸として共振しながら回転するように前記被駆動部を回転させるための微振動として利用し、
前記印加部は、前記微振動を加えるための第1信号が前記駆動力を加えるための第2信号に重畳されている重畳信号に基づいて駆動することで、前記第2ベース部に前記駆動力を加えることを特徴とする駆動装置。 - 前記微振動は、無方向性振動エネルギーとしての無方向性微振動又は異方性微振動であることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
- 前記印加部は、前記一の方向に沿った軸を中心軸とする回転方向とは異なる方向に作用する力によって生ずる前記微振動を加えることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
- 前記印加部は、静止時の前記被駆動部の表面に沿った方向に作用する力によって生ずる前記微振動を加えることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
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