JP4895348B2 - プラスチック成形品、その製造装置、及び製造方法 - Google Patents
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Description
近年これらの光学素子は、製品のコストダウンの要求によりガラスからプラスチック製へと変更された。また、複数の機能を最小限の素子で行うために、その転写面形状も球面のみならず、複雑な非球面形状を有するようになってきている。さらに、レンズの場合には、その形状はレンズ厚が厚く、長手方向でレンズ厚が一定ではない偏肉形状である場合が多くなってきている。
しかしながら、レンズ厚みが偏肉形状のレンズを前述した射出成形法、又は射出圧縮成形法で製造した場合、レンズ厚みの偏差によって充填された樹脂の冷却速度が長手方向の各部分で異なるため、熱応力が発生し、レンズ内部に複屈折が発生する。その結果、レンズを透過したビームのスポット径を所望の大きさまで絞ることができないという問題があった。
このような射出成形法、又は射出圧縮成形法の欠点を改善する方法として、金型内で樹脂をガラス転移温度以上に加熱し、その後冷却して成形品を取り出すことによって、内部歪みが小さく、形状精度の良い成形品を得る方法が、以下に示すようにいくつか提案されている。
特開平8−244085号公報(射出成形法:特許文献2)に記載された発明においては、樹脂のガラス転移温度以上に加熱された金型に射出・充填し、一定時間保持した後、ガラス転移温度以下まで冷却して成形品を取り出すことにより、歪みを緩和させ且つ形状精度の良い成形品を作製している。
また、特開2000−25120号公報(プラスチックレンズの製造方法、およびプラスチックレンズの製造装置:特許文献3)に記載された発明においては、キャビティ間に樹脂を保持した状態でそのガラス転移温度以上に加熱保持し、樹脂が受ける圧力が変化しないように外部からの圧力を調節しながら樹脂のガラス転移温度近傍まで冷却することにより、歪みを緩和させ且つ形状精度の良い成形品を作製している。
この方法では、残留応力は少ないものの離型時に樹脂が完全に固化していないため、離型時の変形は避けられず、十分な形状精度を得ることができないという問題が生じる。
プラスチック光学素子の一般的な加工法である上述した射出成形や射出圧縮成形は、成形サイクルを速くするため、一般的に使用樹脂の軟化温度以下に保持した金型に溶融樹脂を射出充填し、固化させることにより成形品を作製している。このような方法で上述した光学鏡面に微細パターンを有する光学素子を加工した場合、金型内に溶融樹脂を充填した瞬間に、その表層部が軟化温度以下に保持された金型表面に接触し急冷されるため、前記微細パターンへ樹脂を完全に充填することができないという不具合が生じる。
一方、このような場合においても前述したように、樹脂をガラス転移温度以上に加熱軟化させ、その後ガラス転移温度以下までゆっくり冷却させることにより、光学面に形成された微細パターンに樹脂を完全に充填させることが可能となるが、やはり樹脂のガラス転移温度以上に加熱し、その後冷却するといった工程が必要であるため、成形サイクルが非常に長くなる上、多大な電力を消費するという問題を回避することはできない。
そこで、本発明は、このような従来の問題点を解決するために、短い成形サイクルで成形時の消費エネルギーが少なく、転写性に優れ、且つ内部歪みの少ないプラスチック光学素子等のプラスチック成形品を成形することができるように、その製造方法及び製造装置について工夫することを、その技術的課題とするものである。
具体的には、一定容積の金型のキャビティ内にプラスチック部材を挿入し、次いで該プラスチック部材に加圧気体又は超臨界流体を膨潤させる。この時、樹脂のガラス転移温度を低下させることができるので、従来よりも低い温度での加熱により樹脂を軟化させることができる。また、加圧気体が樹脂の内部に膨潤されることにより体積膨張が生じ、これによって樹脂内圧が発生するため、転写面を転写することができる。
即ち、本発明では、従来よりも低い温度で樹脂の粘度を低下させることができる上に、樹脂内圧を発生させ転写面を転写させることができるため、従来よりも短い成形サイクルで、少ない消費エネルギー(消費電力)で、且つ高精度で内部歪みの少ない光学素子等のプラスチック成形品を得ることができる。
このように構成することにより、プラスチック部材に加圧気体又は超臨界流体を膨潤させることによって、プラスチック部材の軟化温度を低下させると共に、その体積膨張を生じさせることができるので、より低い温度で転写をすることが可能となる。
所定圧力に加圧された加圧気体又は超臨界流体を上記キャビティ内に流入させ、上記プラスチック部材に膨潤させて、該プラスチック部材を該プラスチック部材固有のガラス転移温度より低い温度で軟化させると共に、該プラスチック部材の体積膨張によって発生する圧力により、上記金型の転写面をプラスチック部材表面に転写させる第2の工程と、
上記キャビティ内を減圧させることにより、上記プラスチック部材から加圧気体又は超臨界流体を脱気させることによって、該プラスチック部材を固化させる第3の工程と、を有することである。
このように構成することにより、プラスチック部材に加圧気体又は超臨界流体を膨潤させ、次いでキャビティ内を減圧することによって、膨潤させた加圧気体又は超臨界流体をプラスチック部材から脱気することができるので、転写時にはプラスチック部材の軟化温度を低下させ、且つ離型時にはその軟化温度を上昇させることが可能となる。
このような構成により、加圧気体又は超臨界流体が二酸化炭素であるので、安全性、価格、及び取り扱い性の点において最も良好に使用できるばかりでなく、プラスチック部材(樹脂)への溶解性を大きくすることができる。
このような構成により、キャビティ内の減圧速度を調整することができるので、プラスチック成形品の内部に発泡が生じない。
このような構成により、キャビティ内に加圧気体又は超臨界流体を流入させる前に、該キャビティ内を減圧させておくことにより、空隙内に残存していた空気が吸引されるため、該空隙を通して転写面全体に均一な二酸化炭素濃度となり、プラスチック部材内に二酸化炭素を均一な濃度で膨潤させることができる。
このような構成により、加工時に金型を加熱する工程を有するので、膨潤による膨張と加熱による熱膨張を併用することができ、より確実に転写に必要な内圧を発生させることができる。
このような構成により、金型の温度を、使用する樹脂の軟化温度以下で、且つ、加圧気体又は超臨界流体を膨潤させたときの軟化温度以上の一定温度に保持しておくことによって、加工時に加熱/冷却工程が不要となる。
このような構成により、プラスチック部材が予め射出成形によって略最終形状に加工されるので、該プラスチック部材を低コストで簡易に作製することができる。
このような構成により、プラスチック部材をプラスチックシートとするので、プラスチック部材を押し出し成形等で大量に安価に作製することができる。
このような構成により、プラスチックシートを金型間に順次連続して供給し、転写済みのものから順次裁断するので、 プラスチックシートの移動の自動化を容易に実施することできる。
このような構成により、レンズ等の光学鏡面を有する光学部品を高精度で、且つ安価に作製することができる。
このような構成により、回折レンズ、導光板、又は光ディスク等のような転写面に微細な凹凸パターンが形成された光学部品等のプラスチック成形品を、高精度で且つ安価に作製することができる。
このような構成により、予め略最終形状に加工されたプラスチック部材又はプラスチックシートには、微細パターンが形成されていないので、キャビティ内にプラスチック部材を挿入するとき、正確な位置決めが不要になるばかりでなく、プラスチック部材を作製するための金型へのパターン加工が不要となる。
上記キャビティ内に加圧気体又は超臨界流体を流入させ、該キャビティ内に挿入されたプラスチック部材に膨潤させて、該プラスチック部材を該プラスチック部材固有のガラス転移温度より低い温度で軟化させると共に、該プラスチック部材の体積膨張によって発生する圧力により、上記金型の転写面をプラスチック部材表面に転写することである。
このように構成することにより、プラスチック部材に加圧気体又は超臨界流体を膨潤させることによって、プラスチック部材の軟化温度を低下させると共に、その体積膨張を生じさせることができるので、より低い温度で転写をすることが可能となる。
このような構成により、キャビティ内に加圧気体又は超臨界流体を流入させる前に、該キャビティ内を減圧させておくことによって、空隙内に残存していた空気が吸引されるため、該空隙を通して転写面全体に均一なガス濃度となり、プラスチック部材内に加圧気体又は超臨界流体を均一な濃度で膨潤させることができる。
また、加圧気体又は超臨界流体をプラスチック部材に膨潤させた後に、キャビティ内を減圧することによって、膨潤させた加圧気体又は超臨界流体をプラスチック部材から脱気することができるので、転写時に低下させた軟化温度を離型時には上昇させることが可能となる。
このような構成により、加圧気体又は超臨界流体が二酸化炭素であるので、安全性、価格、及び取り扱い性の点において最も良好に使用できるばかりでなく、プラスチック部材(樹脂)への溶解性を大きくすることができる。
このような構成により、キャビティ内の減圧速度を調整することができるので、プラスチック成形品の内部に発泡を生じることがない。
このような構成により、加工時に金型を加熱することができるので、膨潤による膨張と加熱による熱膨張を併用することができ、より確実に転写に必要な内圧を発生させることが可能である。
このような構成により、金型の温度を、使用する樹脂の軟化温度以下で、且つ、加圧気体又は超臨界流体を膨潤させたときの軟化温度以上の一定温度に保持することによって、加工時に加熱/冷却をすることが不要になる。
このような構成により、プラスチックシートのスタンパ側において、加圧気体又は超臨界流体を膨潤させて、プラスチックシートの軟化温度を低下させると共に、その体積膨張を生じさせることができるので、スタンパの微細な凹凸パターンをより低い温度で転写をすることが可能である。
このような構成により、加工時にスタンパと鏡面板を加熱することができるので、膨潤による膨張と加熱による熱膨張を併用することができ、より確実に転写に必要な内圧を発生させることが可能である。
(1) 請求項1及び請求項14に係る発明
プラスチック部材に加圧気体又は超臨界流体を膨潤させることによって、プラスチック部材の軟化温度を低下させると共に、その体積膨張を生じさせることができるので、より低い温度で転写をすることが可能となり、加工時の成形サイクルを短くし、且つ消費エネルギー(消費電力)を低減することができる。
(2) 請求項2及び請求項15に係る発明
プラスチック部材に加圧気体又は超臨界流体を膨潤させ、次いでキャビティ内を減圧することによって、膨潤させた加圧気体又は超臨界流体をプラスチック部材から脱気することができるので、転写時にはプラスチック部材の軟化温度を低下させ、且つ離型時にはその軟化温度を上昇させることが可能となり、加工時の成形サイクルを短くし、且つ消費エネルギーを低減することができる。
加圧気体又は超臨界流体が二酸化炭素であるので、安全性、価格、及び取り扱い性の点において最も良好に使用できるばかりでなく、プラスチック部材(樹脂)への溶解性を大きくすることができるので、該プラスチック部材の軟化温度を低下させる効果を大きくすることができる。
(4) 請求項4及び請求項17に係る発明
キャビティ内の減圧速度を調整することができるので、プラスチック成形品の内部に発泡が生じるのを防止することが可能である。
キャビティ内に加圧気体又は超臨界流体を流入させる前に、該キャビティ内を減圧させておくことにより、空隙内に残存していた空気が吸引されるため、該空隙を通して転写面全体に均一な二酸化炭素濃度となり、プラスチック部材内に二酸化炭素を均一な濃度で膨潤させることができるので、プラスチック部材の軟化温度を均一に低下させることができ、高精度の転写を行うことが可能である。
(6) 請求項6及び請求項18に係る発明
加工時に金型を加熱することによって、膨潤による膨張と加熱による熱膨張を併用することができ、より確実に転写に必要な内圧を発生させることができるので、高精度の転写を確実に行うことが可能である。
金型の温度を、使用する樹脂の軟化温度以下で、且つ、加圧気体又は超臨界流体を膨潤させたときの軟化温度以上の一定温度に保持しておくことにより、加工時に加熱/冷却をする必要がないので、加工時の成形サイクルを短くすることができ、且つ、加工時の消費エネルギーを低減することができる。
(8) 請求項8に係る発明
プラスチック部材が予め射出成形によって略最終形状に加工されるので、該プラスチック部材を低コストで簡易に作製することができる。
プラスチック部材をプラスチックシートとすることにより、プラスチック部材を押し出し成形等で大量に安価に作製することができる。
(10) 請求項10に係る発明
プラスチックシートを金型間に順次連続して供給し、転写済みのものから順次裁断するので、プラスチックシートの移動の自動化を容易に実施することでき、非常に効率よく生産することが可能である。
(11) 請求項11に係る発明
レンズ等の光学鏡面を有する光学部品を高精度で、且つ安価に作製することができる。
回折レンズ、導光板、又は光ディスク等のような転写面に微細な凹凸パターンが形成された光学部品等のプラスチック成形品を、高精度で且つ安価に作製することができる。
(13) 請求項13に係る発明
予め略最終形状に加工されたプラスチック部材又はプラスチックシートには、微細パターンが形成されていないので、キャビティ内にプラスチック部材を挿入するとき、正確な位置決めが不要になるばかりでなく、プラスチック部材を作製するための金型へのパターン加工が不要となり、製造コストを低減することが可能である。
プラスチックシートのスタンパ側において、加圧気体又は超臨界流体を膨潤させてプラスチック部材の軟化温度を低下させると共に、その体積膨張を生じさせることができるので、より低い温度でスタンパの凹凸パターンを転写をすることが可能となり、加工時の成形サイクルを短くし、且つ消費エネルギー(消費電力)を低減することができる。
(15) 請求項21に係る発明
加工時にスタンパと鏡面板を加熱することにより、膨潤による膨張と加熱による熱膨張を併用することができるので、より確実に転写に必要な内圧を発生させることができ、高精度の転写を確実に行うことが可能である。
この実施例1では、プラスチック成形装置を用いて、図1に示すようなレーザービームプリンター用のfθレンズ(1)を作製した。このfθレンズ(1)のレンズ面(2)は、高精度の光学鏡面を有している。なお、樹脂素材としてはガラス転移温度が140℃のポリカーボネイト樹脂を使用した。
〔工 程I〕
予め作製された略最終形状のプラスチック部材(17)を金型(9)のキャビティ(11)内に挿入する(図3(a))。ここで、プラスチック部材(17)の作製方法は限定されるものではないが、形状精度が求められないために、通常の射出成形を用いることによりプラスチック部材(17)を低コストで且つ簡易に作製することができる。
〔工 程II〕
プレス装置(5)の上型ダイプレート(3)を下方に移動させることにより、上型(7)と下型(8)からなる金型(9)を閉じる(図3(b))。ここで、プラスチック部材(17)とキャビティ(11)の形状は完全に一致しないため、両者の間に空隙(18)が存在している。
加圧ガス発生装置(14)側の電磁弁(16A)を開放して、所定のガス圧で二酸化炭素をキャビティ(11)内に流入させ、その後電磁弁(16A)を閉じる。この時、真空ポンプ(15)側の電磁弁(16B)は閉じているため、キャビティ(11)内に侵入した二酸化炭素は空隙(18)に充満し、その後、キャビティ(11)内に挿入してあるプラスチック部材(17)内に膨潤される(図3(b))。
なお、キャビティ(11)内に加圧された二酸化炭素を充満させる前に、真空ポンプ(15)でキャビティ(11)内を減圧状態としておくことにより、空隙(18)内に残存していた空気が吸引されるため、該空隙(18)を通してプラスチック部材(17)の転写面全体に均一な濃度の二酸化炭素を膨潤することができる。
加熱用ヒーター(12)によって金型(9)を所定の温度に加熱し、一定時間保持した後、所定温度まで降温させる(図3(c))。
なお、加熱と二酸化炭素を膨潤させる工程の順序は問われるものではなく、加熱した後に二酸化炭素を膨潤させてもかまわない。加熱と膨潤を同時に実施しても良いが、温度可変中に膨潤させるとプラスチック部材(17)内への二酸化炭素溶解量が安定しないめ、加熱前もしくは加熱後のどちらかにおいて二酸化炭素を膨潤させる方が好ましい。
真空ポンプ(15)によって、キャビティ(11)内を減圧する(図3(c))。このようにキャビティ(11)内を減圧することにより、樹脂内に膨潤されていた二酸化炭素がガス化して樹脂外に脱気される。このキャビティ(11)内の減圧は、金型温度を降温する前に実施しても差し支えない。
〔工 程VI〕
プレス装置(5)の上側ダイプレート(3)を上方に移動させることにより、上型(7)と下型(8)から成る金型(9)を開き、最終成形品であるfθレンズ(1)が取り出される(図3(d))。
さらに、本実施例では脱気時に真空吸引させているが、これにより脱気速度が速くなり成形サイクルを短くすることができる。但し、脱気時に急減圧させると、プラスチック部材(17)の内部に発泡が生じる場合がある。発泡の発生の有無は使用する樹脂、使用するガス、加工条件等によって異なるが、本実施例のように脱気速度を調整し得る開閉電磁弁(16B)を設けておくことにより、発泡が生じないように該電磁弁を適宜調節することができる。
本発明では、加圧ガス体をプラスチック部材(17)に膨潤させるだけで、樹脂のガラス転移温度の低下と体積膨張が生じるため、本実施例のように金型(9)の温度を加熱/冷却することなく、一定温度(二酸化炭素を膨潤させたときのガラス転移温度以上)に保持した状態で、高精度な転写面をプラスチック部材に形成させることもできる。金型(9)の温度を一定に保持するには、該金型(9)の検出温度に応じて加熱用ヒーター(12)を制御する温度制御手段を設ける。但し、本実施例のように、プラスチック部材(17)とキャビティ(11)の容積差があり、該プラスチック部材(17)を加熱することによって空隙(18)が大きくなっても、膨潤による膨張と加熱による熱膨張を併用することにより、一層確実に転写に必要な内圧を発生させることができる。
この実施例2では、プラスチック成形装置を用いて、図5に示すような光ピックアップ用レンズ(19)を作製した。この光ピックアップ用レンズ(19)のレンズ表面には、微細構造である回折パターン(20)が形成されている。本実施例においても実施例1と同様に、プラスチック素材としてはポリカーボネイト樹脂を、加圧ガスとしては二酸化炭素を用いている。
〔工 程I〕
予め作製された略最終形状のプラスチック部材(17)を金型(9)のキャビティ(11)内に挿入する(図6(a))。ここで、上型(7)の転写面(6)に回折パターンが形成されている。一方、予め作製した略最終形状のプラスチック部材(17)の表面(21)には、回折パターン(20)は形成されておらず、凸曲面の略近似形状に加工されている。
〔工 程II〕
上型(7)と下型(8)からなる金型(9)を閉じる(図6(b))。ここで、プラスチック部材(17)の表面(21)には、上述のように回折パターン(20)は形成されておらず、一方、上型(7)の転写面(6)には回折パターンが形成されているため、これら両者の間に回折パターン(20)の部分が空隙(18)として形成される。
加圧ガス発生装置(14)から所定のガス圧で二酸化炭素をキャビティ(11)内に流入させる。キャビティ(11)内に流入した二酸化炭素は、回折パターン(20)の部分からなる空隙(18)に充満され、プラスチック部材(17)の表面から膨潤される(図6(b))。
〔工 程IV〕
加熱用ヒーター(12)によって金型(9)を所定の温度に加熱し、一定時間保持した後、所定温度まで降温させる(図6(c))。
〔工 程V〕
真空ポンプ(15)によって、キャビティ(11)内を減圧する(図6(c))。
〔工 程VI〕
プレス装置(5)の上型ダイプレート(3)を上方に移動させることにより、上型(7)と下型(8)からなる金型(9)を開き、最終成形品である光ピックアップ用レンズ(19)が取り出される(図6(d))。
この実施例3では、プラスチック成形装置を用いて、図7に示すような液晶バックライト用導光板(22)を作製した。この導光板(22)の転写面には、V溝形状パターン(23)が形成されている。本実施例において、プラスチック素材としてはガラス転移温度が110℃のポリメタクリル酸メチル樹脂を使用しており、加圧ガスとしては上記実施例1や実施例2と同様に二酸化炭素を用いた。
上記スタンパ(24)及び鏡面板(25)と、上記上側ダイプレート(3)及び下側ダイプレート(4)との間にそれぞれ配置された加熱板(27)は、これらに設けられた加熱用ヒーター(12)により、任意の一定温度で保持されるようになっている。
〔工 程I〕
下側ダイプレート(4)に固定された鏡面板(25)上に平板状のプラスチックシート(28)を配置する(図9(a))。
〔工 程II〕
プレス装置(5)の上側ダイプレート(3)を下方に移動させて、上側ダイプレート(3)に固定されたスタンパ(24)が上記平板状プラスチックシート(28)に接触した位置で、その移動を止める。このとき、該スタンパ(24)の両端部に形成されたガス溜まり(26)は、該プラスチックシート(28)との間で密閉空間(29)を形成する(図9(b))。
上記加圧ガス発生装置(14)から、所定ガス圧の二酸化炭素を上記密閉空間(29)を通じてV溝パターン(23)内に流入させる。この時、上記プラスチックシート(28)に二酸化炭素ガスが膨潤される(図9(b))。
〔工 程IV〕
真空ポンプ(15)と接続している連通孔(13B)側の電磁弁(16B)を開放して、ガス圧を減圧させた後(図9(b))、プレス装置(5)の上側ダイプレート(3)を上方に移動させると、スタンパ(24)とプラスチックシート(28)が剥離され、最終成形品である導光板(22)を取り出すことができる(図9(c),(d))。
なお、本実施例においては、動作中にスタンパ(24)及び鏡面板(25)の温度は、加熱板(27)によって常に80℃に保持しており、加熱/冷却動作は実施していない。
また、これと同時に加圧ガスの膨潤によって体積膨張が生じて内圧が発生するため、スタンパ(24)面のV溝パターン(23)に樹脂が侵入し、プラスチックシート(28)にV溝パターン(23)の形状を転写させることができる。さらに、加圧ガスを減圧させることにより、冷却しなくてもガラス転移温度が上昇するため、スタンパ(24)の温度を一定に保持した状態でも(冷却しなくても)、V溝パターン(23)の形状を転写したプラスチックシート(28)を固化させることができる。
また、本実施例のような平板上に微細パターンを形成する場合には、略最終形状のプラスチック部材として予め押し出し成形等で作製したプラスチックシート(28)を用いることが可能であるため、非常に低コストで作製することができる。図10に示すように、プラスチックシート(28)をプレス機(5)の上側及び下側ダイプレート(3,4)の間に順次連続して送り、転写済みのものから順次裁断することによって、プラスチックシート(28)の移動の自動化を容易に実施することができ、非常に効率よく生産することができる。
なお、ミラー等の内部の均質性が求められない成形品を作製する場合は、該成形品の内部に発泡が存在していても問題がない。この場合は、発泡を抑制するためにキャビティ内の減圧速度を調整する必要がなくなるため、 電磁弁(16B)による減圧速度の調整が不要となり、その機能として開閉することができれば良いため、成形装置のコストが安価になるばかりでなく、成形サイクルを短くすることができる。
3…上側ダイプレート 4…下側ダイプレート
5…プレス装置 6…転写面
7…上型 8…下型
9…金型 10…対抗する面
11…キャビティ 12…加熱用ヒーター(加熱手段)
13A,13B…連通孔
14…加圧ガス発生装置(加圧ガス発生手段)
15…真空ポンプ(真空発生手段)
16A,16B…電磁弁 17…(略最終形状の)プラスチック部材
18…空隙 19…光ピックアップ用レンズ
20…回折パターン
21…(略最終形状の)プラスチック部材の表面
22…導光板
23…V溝パターン 24…スタンパ
25…鏡面板 26…ガス溜まり
27…加熱板 28…プラスチックシート
29…密閉空間
Claims (21)
- 少なくとも1つ以上の転写面を有する金型における一定容積のキャビティ内に、プラスチック部材を挿入し、次いで該プラスチック部材に加圧気体又は超臨界流体を膨潤させて、該プラスチック部材を該プラスチック部材固有のガラス転移温度より低い温度で軟化させると共に、該プラスチック部材の体積膨張によって発生する圧力により、上記金型の転写面を該プラスチック部材に転写することを特徴とするプラスチック成形品の製造方法。
- 少なくとも1つ以上の転写面を有する金型における一定容積のキャビティ内に、プラスチック部材を挿入する第1の工程と、
所定圧力に加圧された加圧気体又は超臨界流体を上記キャビティ内に流入させ、上記プラスチック部材に膨潤させて、該プラスチック部材を該プラスチック部材固有のガラス転移温度より低い温度で軟化させると共に、該プラスチック部材の体積膨張によって発生する圧力により、上記金型の転写面をプラスチック部材表面に転写させる第2の工程と、
上記キャビティ内を減圧させることにより、上記プラスチック部材から加圧気体又は超臨界流体を脱気させることによって、該プラスチック部材を固化させる第3の工程と、
を有するプラスチック成形品の製造方法。 - 上記加圧気体又は超臨界流体が二酸化炭素であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記キャビティ内の減圧速度を調整することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記キャビティ内に加圧気体又は超臨界流体を流入させる前に、該キャビティ内を真空吸引させておくことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記転写面を備える金型を加熱/冷却する工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記転写面を備える金型の温度を、プラスチック部材として使用する樹脂の大気圧下での軟化温度以下であり、且つ、加圧気体又は超臨界流体を膨潤させたときの軟化温度以上である一定温度に保持する工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記プラスチック部材が、予め射出成形によって略最終形状に加工されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記プラスチック部材が、プラスチックシートであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記プラスチックシートを金型の間に順次連続して供給し、転写済みのものから順次裁断することを特徴とする請求項9に記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記金型の転写面が高精度に加工された光学鏡面であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記金型の転写面に微細な凹凸パターンが形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 上記プラスチック部材又はプラスチックシートには、予め微細なパターンが形成されていないことを特徴とする請求項12に記載のプラスチック成形品の製造方法。
- 少なくとも1つ以上の転写面を有する金型が固定されたプレス装置と、
上記金型のキャビティ内に加圧気体又は超臨界流体を流入させる加圧ガス発生手段とから構成され、
上記キャビティ内に加圧気体又は超臨界流体を流入させ、該キャビティ内に挿入されたプラスチック部材に膨潤させて、該プラスチック部材を該プラスチック部材固有のガラス転移温度より低い温度で軟化させると共に、該プラスチック部材の体積膨張によって発生する圧力により、上記金型の転写面をプラスチック部材表面に転写することを特徴とするプラスチック成形品の製造装置。 - 上記金型のキャビティに連通する真空発生手段を備え、該キャビティ内を減圧することを特徴とする請求項14に記載のプラスチック成形品の製造装置。
- 上記加圧気体又は超臨界流体が二酸化炭素であることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載のプラスチック成形品の製造装置。
- 上記キャビティ内を減圧する減圧速度を変える減圧速度調整手段を備えることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載のプラスチック成形品の製造装置。
- 上記金型が加熱手段を有することを特徴とする請求項14〜請求項17のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造装置。
- 上記金型の加熱手段を制御する温度制御手段を備えて成り、該金型の温度を、プラスチック部材として使用する樹脂の大気圧下での軟化温度以下であり、且つ、加圧気体又は超臨界流体を膨潤させたときの軟化温度以上である一定温度に保持することを特徴とする請求項18に記載のプラスチック成形品の製造装置。
- 上記金型の一方は所定の微細な凹凸パターンが形成されたスタンパであって、その他方は鏡面板であり、上記キャビティは該スタンパ上に形成された微細な凹凸パターンであることを特徴とする請求項14〜請求項17のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造装置。
- 上記スタンパと鏡面板が加熱手段を備えることを特徴とする請求項20に記載のプラスチック成形品の製造装置。
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