第1の発明は、直流電源を入力してスイッチング素子のオン・オフ動作でそのピーク値より大きいピーク値を有する直流電圧に昇圧して出力する昇圧機能部と、加熱コイルを有し前記昇圧機能部が出力する電圧を入力して他のスイッチング素子のオン・オフ動作で前記加熱コイルに高周波電流を発生させるインバータ回路と、前記昇圧機能部の昇圧動作を制御する昇圧制御部と、前記インバータ回路の動作を制御するインバータ制御部とを備え、前記昇圧制御部は、前記インバータ回路の動作停止に伴う前記昇圧機能部から見た負荷インピーダンスの変化で前記昇圧機能部により昇圧されて前記インバータ回路に出力される電圧の昇圧幅を所定以下に抑制すべく、インバータ回路の駆動周波数および導通時間を所定の出力以下かつ所定の出力変動幅以下に設定して、前記インバータ回路の出力変動を抑制した状態で停止することにより、昇圧機能を有する回路からみた負荷インピーダンスの大小が急激に変化しない状態で、前記昇圧機能部の昇圧動作を、前記インバータ回路の動作停止に対して所定以上遅延することなく停止するようにしたので、インバータ回路の入力電圧をインバータ回路の動作に対して自由度を持って昇圧値を可変してインバータ回路の出力をきめ細かく可変制御することができるとともに、昇圧制御部は、インバータ回路の動作停止に伴う昇圧機能部から見た負荷インピーダンスの変化で昇圧機能部により昇圧されてインバータに出力される電圧の昇圧幅を所定以下に抑制すべく、昇圧機能部の昇圧動作を、インバータ回路の動作停止に対して所定以上遅延することなく停止するようにしたので、インバータ回路の停止に伴い昇圧機能部からみた負荷インピーダンスが高くなって昇圧機能部の昇圧作用によりその出力電圧が所定以上高くなる前に、昇圧動作を停止して昇圧機能部の出力電圧が過昇圧されることを抑制することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、昇圧制御部は、インバータ制御部によるインバータ回路の動作停止に先行して昇圧機能部の昇圧動作を停止するようにしたことにより、加熱動作を停止する際、少なくとも昇圧回路が昇圧動作を行っている間は、負荷であるインバータ回路が駆動されているため、昇圧回路からみた負荷インピーダンスが急に大きく変動して昇圧回路の出力電圧が過昇圧されることを確実に防止して、出力電圧を素早く低下せしめ安全に加熱動作を停止することが可能な誘導加熱装置となる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、交流電源を整流して得られる直流電源を入力して平滑した直流電圧を第1のコンデンサに出力しかつ前記交流電源の力率を改善する力率改善回路を備え、昇圧機能部は、前記昇圧回路を制御する昇圧回路制御部を備え、前記インバータ回路の動作に先行して前記昇圧回路の昇圧動作を停止するようにしたことにより、加熱動作を停止する際、少なくとも昇圧回路が昇圧動作を行っている間は、負荷であるインバータ回路が駆動されているため、昇圧回路からみた負荷インピーダンスが急に大きく変動して昇圧回路の出力電圧が過昇圧されることを確実に防止して、出力電圧を素早く低下せしめ安全に加熱動作を停止することが可能な誘導加熱装置となる。
第4の発明は、特に、第2の発明において、昇圧機能部は、交流電源を整流して得られる直流電源を入力してそのピーク値より大きいピーク値の電圧に昇圧して第1のコンデンサに出力しかつ前記交流電源の力率を改善する力率改善回路を備え、昇圧制御部は、前記力率改善回路の動作を制御する力率改善回路制御部を備え、前記力率改善回路制御部は、前記インバータ回路の動作停止に先行して前記力率改善回路の昇圧動作を停止することにより、昇圧機能を力率改善回路が備えるので、昇圧・力率改善回路の小型化、低コスト化を図ることができるとともに、加熱動作を停止する際、少なくとも力率改善回路が昇圧動作を行っている間は、負荷であるインバータ回路が駆動されているため、力率改善回路からみた負荷インピーダンスが急に大きく変動して力率改善回路の出力電圧が過昇圧されることを確実に防止して、力率改善回路の出力電圧を素早く低下せしめ安全に加熱動作を停止することが可能な誘導加熱装置となる。
第5の発明は、特に、第3の発明において、力率改善回路は、入力する直流電源のピーク値より大きいピーク値の電圧に昇圧して第1のコンデンサに出力するとともに、力率改善回路制御部は、インバータ回路の動作停止に先行して前記力率改善回路の昇圧動作を停止するようにしたことにより、昇圧機能を力率改善回路と昇圧回路とで分担することができるので、昇圧回路の小型化、低コスト化を図ることができるとともに、加熱動作を停止する際、少なくとも力率改善回路が昇圧動作を行っている間は、負荷であるインバータ回路が駆動されているため、力率改善回路からみた負荷インピーダンスが急に大きく変動して力率改善回路の出力電圧が過昇圧されることを確実に防止して、力率改善回路の出力電圧を素早く低下せしめ安全に加熱動作を停止することが可能な誘導加熱装置となる。
第6の発明は、特に、第4又は第5の発明において、昇圧回路制御部は、力率改善回路制御部による力率改善回路の動作停止に先行して昇圧回路の昇圧動作を停止することにより、力率改善回路の力率改善機能が失われた状態でインバータ回路が動作して周囲の電源環境に影響を及ぼすのを防止することができる。
第9の発明は、特に、第3の発明において、昇圧回路制御部が昇圧回路の昇圧動作を停止後第1の駆動停止期間が経過し第2のコンデンサの電圧が低下してから、インバータ制御部がインバータの駆動を停止することにより、昇圧回路が安定な停止状態となり出力電圧が加わる第2のコンデンサの電圧が低下するまでの間、昇圧回路からみた負荷インピーダンスは、インバータ回路が継続して駆動し変動が少ない状態とすることができるため、速やかに出力電圧を低下しかつ昇圧回路が自身の出力コンデンサやインバータ回路のスイッチング素子の耐圧以上に過昇圧した電圧を加えることなく安全に停止することが可能となる。
第10の発明は、特に、第4の発明において、力率改善回路制御部が力率改善回路の昇圧動作を停止後第2の駆動停止期間が経過し第1のコンデンサおよび第2のコンデンサの電圧が低下してから、インバータ制御部がインバータ回路の駆動を停止することにより、力率改善回路が安定な停止状態となり出力電圧が加わる第1のコンデンサの電圧が低下するまでの間、力率改善回路からみた負荷インピーダンスは変動が少ない状態とすることができるため、力率改善回路の出力電圧を速やかに低下しかつ力率改善回路が自身の出力コンデンサやインバータ回路のスイッチング素子の耐圧以上に過昇圧した電圧を加えることなく安全に停止することが可能となる。
第11の発明は、特に、第5の発明において、昇圧回路制御部が前記昇圧回路の昇圧動作を停止後、第3の駆動停止期間が経過し第2のコンデンサの電圧が低下してから力率改善回路制御部が力率改善回路の昇圧動作を停止し、その後第4の駆動停止期間が経過して第1のコンデンサの電圧が低下してから、インバータ制御部がインバータ回路の駆動を停止するとともに、前記第3の駆動停止期間と前記第4の駆動停止期間の長短を、前記昇圧回路駆動停止後における第2のコンデンサの放電時間と力率改善回路の駆動停止後における第1のコンデンサの放電時間の大小にそれぞれ対応して異ならせることにより、確実に昇圧回路と力率改善回路の駆動停止状態となるのに必用な第1の駆動停止期間と第2の駆動停止期間を適正に確保し且つそのトータル時間を短くすることができる。
第12の発明は、特に、第2の発明において、昇圧機能部の出力電圧を検知する昇圧出力電圧検知部を備え、昇圧制御部が前記昇圧機能部の昇圧動作の停止をした後前記昇圧出力電圧検知部の検知する出力電圧が所定値以下になってから、インバータ制御部がインバータ回路の駆動停止を行うことにより、昇圧機能部が昇圧動作の停止後の安定状態になったことあるいは安定状態に近づいたことを検知することが可能となり、検知するまでは昇圧機能部からみた負荷インピーダンスはインバータ回路が駆動しているため、変動が少ない状態であるので、昇圧機能部はその構成部品である出力コンデンサやインバータ回路のスイッチング素子の耐圧以上に過昇圧することなく安全に停止することが可能となる。
第13の発明は、特に、第2の発明において、入力電流を検知する入力電流検知部を備え、昇圧制御部が昇圧機能部の昇圧動作の停止を行い前記入力電流検知部の検知した入力電流又は入力電流より算出した入力電力が所定値以下になった後に、インバータ制御部がインバータ回路の動作停止を行うことにより、昇圧機能部(複数の昇圧機能部がある場合には各昇圧機能部それぞれ)が安定的に昇圧動作を停止したことを検知した後に、インバータ回路の動作停止を行うことが可能となり、昇圧機能部がその構成部品である出力コンデンサやインバータ回路の構成部品であるスイッチング素子の耐圧以上に過昇圧することなく安全に停止することが可能となる。
第14の発明は、特に、第2の発明において、昇圧機能部を構成し昇圧レベルを決定するスイッチング素子の導通時間を測定する導通時間測定部を備え、昇圧回路制御部が昇圧動作の停止を行いスイッチング素子の導通時間が所定値以下になった後に、インバータ制御部がインバータ回路の動作停止を行うことにより、インバータ制御部が昇圧機能部が安定的に昇圧動作を停止したことを検知した後に、インバータ回路の動作停止を行うことが可能となり、昇圧機能部からみた負荷インピーダンスは昇圧機能部の昇圧動作が停止するまでインバータ回路が駆動しているため、変動が少ない状態で昇圧機能部がその構成部品である出力コンデンサやインバータ回路のスイッチング素子の耐圧以上に過昇圧することなく安全に停止することが可能となる。
第15の発明は、特に、第1の発明において、インバータ制御部は、インバータ回路の駆動・停止の時間比率を変化させる入力電力制御時に、前記昇圧機能部の昇圧動作が前記インバータ回路の動作停止に対して所定以上遅延することなく停止するように制御することにより、昇圧回路および力率改善回路が各回路の出力コンデンサやインバータ回路のスイッチング素子の耐圧以上に過昇圧することなく安全に停止することが可能となる。
第16の発明は、特に、第3又は4の発明において、力率改善回路は、入力端が直流電源に接続される第1のチョークコイルと前記第1のチョークコイルの出力端に高電位側端子が接続されオンすることにより前記第1のチョークコイルにエネルギーを蓄積しオフすることにより前記エネルギーを第1のダイオードを介して出力側の第1のコンデンサに供給する第1のスイッチング素子とを有し前記第1のスイッチング素子のオン・オフにより入力する電源の力率を改善しかつ前記直流電源より大きい電圧に昇圧し、昇圧回路は、前記力率改善回路の出力端に接続される第2のチョークコイルと前記第2のチョークコイルの出力端に高電位側端子が接続されオンすることにより前記第2のチョークコイルにエネルギーを蓄積しオフすることにより前記エネルギーを第2のダイオードを介して出力側の第2のコンデンサに供給する第2のスイッチング素子とを有し前記第2のスイッチング素子のオン・オフにより前記力率改善回路の出力電圧より大きい電圧に昇圧する構成としてもよい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における誘導加熱装置の回路図を示すものである。図に示すように、本発明の実施の形態における誘導加熱装置は、力率改善回路7、昇圧回路14、インバータ制御部28、昇圧回路制御部32、力率改善回路制御部33、操作部39が設けられており、以下これらの回路ブロックの構成について説明する。
まず、力率改善回路7の構成について説明する。商用電源1は低周波交流電源である200V商用電源であり、ブリッジダイオードと入力フィルターを含む整流回路2の入力端に接続される。第1のチョークコイルであるチョークコイル3、第1のスイッチング素子であるスイッチング素子4(本実施の形態においてはMOSFET)、第1のダイオードであるダイオード5、第1のコンデンサである平滑コンデンサ6は商用電源1の力率を改善する力率改善回路7を構成する。整流回路2の高電位側(正極側)出力端子にチョークコイル3の入力側端子が接続される。さらにチョークコイル3の出力側端子とダイオード5のアノード側端子の接続点にスイッチング素子4の高電位側端子(ドレイン)が接続される。整流回路2の低電位側(負極側)出力端子にスイッチング素子4の低電位側端子(ソース)と平滑コンデンサ6の低電位側端子が接続され、平滑コンデンサ6の高電位側端子は、ダイオード5のカソード側端子に接続される。平滑コンデンサ6の両端には、力率改善回路7が入力する直流電源である整流回路2の出力電圧をチョークコイル3とスイッチング素子11のオン・オフ動作によりそのピーク値より大きいピーク値を有する直流電圧であって任意の電圧に昇圧した電圧が供給され平滑される。ただし、本実施の形態においては、力率改善回路7を高周波動作させ力率改善効果を高めるためにスイッチング速度の速いMOSFETをスイッチング素子4として使用している。通常、MOSFETに逆向きに保護用ダイオードが付帯するが、この保護用ダイオードが無くても本実施の形態の基本動作の説明に何ら影響を与えないため、図には記載していない。
次に、昇圧回路14の構成について説明する。第2のコンデンサである平滑コンデンサ6、第2のチョークコイルであるチョークコイル8、スナバコンデンサ9、ダイオード10、第2のスイッチング素子であるスイッチング素子11(本実施の形態においてはIGBT)、第2のダイオードであるダイオード12、平滑コンデンサ13は昇圧回路14を構成する。ダイオード5のカソード側端子と平滑コンデンサ6の高電位側出力端子の接続点にはチョークコイル8の入力側端子が接続される。チョークコイル8の出力側端子と平滑コンデンサ6の低電位側端子間にスナバコンデンサ9が接続され、スナバコンデンサ9に並列に、ダイオード(逆導通用素子)10とスイッチング素子11の並列接続体とが接続される。またスイッチング素子11の高電位側端子(コレクタ)にダイオード(逆導通素子)12のアノード側端子が接続され、ダイオード12のカソード側端子とスイッチング素子11の低電位側端子(エミッタ)間に平滑コンデンサ13が接続される。平滑コンデンサ13の電圧は、平滑コンデンサ6の電圧をそのピーク値より大きいピーク値を有する直流電圧に昇圧した電圧であり、インバータ回路15の入力端子間に供給される。
インバータ回路15の入力端子は昇圧回路14の出力端子、つまり平滑コンデンサ13の両端に接続される。平滑コンデンサ13の両端には、スイッチング素子16、17の直列接続体が接続される。スイッチング素子16、17にはそれぞれダイオード18、19が逆並列に(スイッチング素子の高電位側端子(コレクタ)とダイオードのカソード側端子が接続されるように)接続される。またスイッチング素子17(スイッチング素子16であってもよい)に並列にスナバコンデンサ20が接続される。さらにスイッチング素子17(スイッチング素子16であってもよい)に並列に加熱コイル21と共振コンデンサ22の直列接続体が接続される。加熱コイル21は負荷である鍋などの被加熱物体23の底面と対向して配置されている。
次に、インバータ制御部28の構成について説明する。図に示す誘導加熱装置の入力電流を検知する入力電流検知部25の出力する信号と、使用者の操作内容より決定される入力設定に応じた電流参照値を出力する基準電流設定部24から出力された信号がマイクロコンピュータ26(以下マイコン)によって比較され、マイコン26からは設定された入力が得られるよう可変導通比設定部27に信号が出力される。可変導通比設定部27は、マイコン26により設定された駆動周波数で、スイッチング素子16、17の駆動時間の導通比を設定し、スイッチング素子16とスイッチング素子17を排他的に導通制御する。インバータ制御部28は、これらの基準電流設定部24、入力電流検知部25、マイコン26、可変導通比設定部27を内包する。
次に昇圧回路制御部32の構成について説明する。インバータ回路15の入力電圧となる平滑コンデンサ13の電圧を検知する昇圧出力電圧検知部29から出力された信号は、マイコン26によって基準電圧設定部30で設定される基準電圧と比較され、マイコン26からは所定の平滑コンデンサ13の電圧が得られるよう可変導通比設定部31に信号が出力される。可変導通比設定部31では、マイコン26により設定された駆動周波数で、スイッチング素子11の導通比を設定し、スイッチング素子11の導通制御を行う。昇圧回路14の駆動する昇圧回路制御部32は、これらのマイコン26、昇圧出力電圧検知部29、基準電圧設定部30、可変導通比設定部31を内包し、マイコン26をインバータ制御部28と共有し、回路構成および制御方法の簡素化を可能にする。
次に、力率改善回路制御部33の構成について説明する。力率改善回路7のスイッチング素子4の駆動を制御する力率改善回路制御部33は、誘導加熱装置の入力電流を検知する入力電流検知部34を備え、前記入力電流検知部34の出力と参照正弦波検知部35の出力する参照正弦波電圧波形とを力率改善回路駆動制御用IC36で比較し、力率改善回路駆動制御用IC36からは導通比設定部37に信号が出力され、導通比設定部37では参照正弦波電圧波形と同等の入力電流波形が得られるよう発振部38により設定される駆動周波数でスイッチング素子4の導通比を設定し、スイッチング素子4の導通制御を行う。さらに力率改善回路駆動制御用IC36はインバータ制御部28、昇圧回路制御部32に内包されるマイコン26との通信ポートを有しており、マイコン26が任意のタイミングで力率改善回路駆動制御用IC36の動作を制御することが可能である。力率改善回路制御部33は、これらの入力電流検知部34、参照正弦波検知部35、力率改善回路駆動制御用IC36、導通比設定部37、発振部38を内包する。
また、誘導加熱装置は操作部39を有しており、操作部39は使用者の操作内容をマイコン26に送信する。マイコン26は操作部39からの受信内容に基づいて、加熱開始、火力調整、加熱停止を行う。
以上のように構成された誘導加熱装置において、以下動作を説明する。
図2に、本実施の形態における誘導加熱装置の各部の電圧又は電流波形を示す。同図(a)に、商用電源1の交流電圧波形を示す。同図(b)に、直流電源の出力電圧波形、すなわち整流回路2の出力電圧波形を示す。この電圧を、力率改善回路7が入力し、昇圧して平滑コンデンサ6に出力する。同図(c)は、平滑コンデンサ6に印可される波形、すなわち力率改善回路7の出力電圧波形でありかつ昇圧回路14の入力電圧波形である。同図(d)は、平滑コンデンサ13に印可される波形、すなわち昇圧回路14の出力電圧波形でありかつインバータ回路15の入力電圧波形である。同図(e)は、加熱コイル21に発生する高周波電流波形を示す。
まず、力率改善回路7の動作について説明する。図2(a)に示す商用電源1は整流回路2により全波整流され図2(b)その電圧波形を示すように直流電源が形成される。この直流電源は、力率改善回路7の入力端子間に供給される。力率改善回路7は、この直流電源電圧の瞬時値の大きさが平滑コンデンサ6の電圧よりも小さい場合に力率改善回路7に含まれるダイオード5および整流回路2のブリッジダイオードがターンオンできずに入力電流波形が歪み、力率が著しく低くなる。その際に、力率改善回路制御部33は、入力電流検知部34により検知する電流波形が参照正弦波検知部35の検知波形と等しくなるように導通比設定部37の出力を変化させ、スイッチング素子4をターンオン・オフさせる。第1のスイッチング素子4がターンオンしている状態では商用電源1からチョークコイル3にエネルギーが蓄えられており、その後、導通比設定部37で設定された導通時間が経過するとスイッチング素子4がターンオフし、チョークコイル3に蓄えられたエネルギーがダイオード5を介して、平滑コンデンサ6に供給される。これにより、商用電源1からチョークコイル3を介して入力電流が流れるようになり、商用電源1側に歪んだ入力電流を流さないようにする。また、本実施の形態では、力率改善回路7は、力率改善機能だけでなく、昇圧機能を同時に有する。このため、図2(c)に示すように、平滑コンデンサ6の電圧はそのピーク値が商用電源1のピーク値すなわち直流電源のピーク値である力率改善回路7の入力電圧のピーク値より高い電圧となり、平滑コンデンサ13を介してインバータ回路15に供給される。
次に昇圧回路14の動作について説明する。昇圧回路14はスイッチング素子11がターンオンしている期間中にチョークコイル8にエネルギーを蓄え、スイッチング素子11がターンオフすると、チョークコイル8に蓄えられたエネルギーがダイオード12を介して平滑コンデンサ13を充電することで昇圧動作をするものである。本実施の形態では、スイッチング素子11の動作周波数および導通時間を可変として、平滑コンデンサ13の電圧を調整している。また、平滑コンデンサ13とスイッチング素子11の高電位側端子間にはダイオード12が設けられ、かつスイッチング素子11にはスナバコンデンサ9が並列に接続されているため、スイッチング素子11をオフする時、スナバコンデンサ9がチョークコイル8とスナバコンデンサ9の共振による傾きをもって充電を開始し、スイッチング素子11はいわゆるZVSターンオフ動作を実現する。また、スイッチング素子11がオフしている期間中にスナバコンデンサ9の電圧が平滑コンデンサ13と同じ電圧になるとダイオード12がオンして平滑コンデンサ13と同等の電圧に固定され、その後、平滑コンデンサ13の電圧がスナバコンデンサ9より高い電圧になると、ダイオード12がオフしてスナバコンデンサ9は放電を開始し、スナバコンデンサ9が放電完了すると、ダイオード10がオンする。
本実施の形態では、スナバコンデンサ9の放電完了後、所定時間内にスイッチング素子11がターンオンする連続駆動モードとしているが、スナバコンデンサ9が放電完了してから所定時間以上経過してから、スイッチング素子11をターンオンしても問題ない。またスナバコンデンサ9が放電完了する前にスイッチング素子11をターンオンしても動作可能であるが、その場合、チョークコイル8に流れていた電流が急激にスイッチング素子11に流れ込むため損失が増加してしまうことになり、スナバコンデンサ9が放電完了後、所定時間内にスイッチング素子11がターンオンさせる。以上が昇圧回路14の動作である。
次に、インバータ回路15の動作について説明する。図2(c)に示す力率改善回路7の出力端間に接続された平滑コンデンサ6に発生する電圧が、昇圧回路14によって図2(d)に示すように昇圧され、平滑コンデンサ13に出力される。平滑コンデンサ13の電圧値は使用者が操作部39に設定した電力が被加熱物体23に入力されるように増減されて調整される。平滑コンデンサ13の両端に出力され平滑された直流電圧はインバータ回路15に供給される。インバータ回路15は、スイッチング素子16、17のオン・オフによって加熱コイル21に図2(e)に示すように所定の周波数の高周波電流を発生させる。スイッチング素子16がオンしている状態から、オフするとスナバコンデンサ20が加熱コイル21とスナバコンデンサ20の共振による緩やかな傾きをもって放電するため、スイッチング素子16は零ボルトスイッチング(ZVS)ターンオフ動作を実現する。スナバコンデンサ20が放電しきると、ダイオード19がオンし、ダイオード19がオンしている期間中にスイッチング素子17のゲートにオン信号を加え待機すると、加熱コイル21の共振電流の向きが反転しダイオード19がターンオフしてスイッチング素子17に電流が転流し、スイッチング素子17はZVS&零電流スイッチング(ZCS)ターンオン動作を実現する。スイッチング素子17がオンしている状態から、オフするとスナバコンデンサ20は加熱コイル21とスナバコンデンサ20の共振による緩やかな傾きをもって充電するため、スイッチング素子17はZVSターンオフ動作を実現する。前記スナバコンデンサ20が、平滑コンデンサ13と同じ電圧まで充電されるとダイオード18がオンし、ダイオード18がオンしている期間中にスイッチング素子16のゲートにオン信号を加え待機すると、加熱コイル21の共振電流の向きが反転しダイオード18がターンオフしてスイッチング素子16に電流が転流し、スイッチング素子16はZVS&ZCSターンオン動作を実現する。以上がインバータ回路15の動作である。
本実施の形態では、スイッチング素子16、17は平滑コンデンサ13を短絡しないようにデッドタイム2μsの間隔を設けて、交互にオン・オフさせている。またスイッチング素子16、17の駆動周波数は固定として、導通時間を可変することで高周波電力の制御を行っており、昇圧回路14とインバータ回路15の駆動周波数を同一とすることで昇圧回路14とインバータ回路15の駆動周波数差に起因する可聴音の発生を抑制している。ただし、インバータ回路15の駆動周波数を可変しても高周波電力が制御可能であることは言うまでもない。
次に、誘導加熱装置の加熱動作を停止する際の、力率改善回路7、昇圧回路14及びインバータ回路15の停止タイミングについて説明する。本実施の形態の誘導加熱装置では、使用者が操作部39に加熱停止操作をすると、操作部39がマイコン26に加熱停止命令を送信する。加熱停止命令を受信したマイコン26は、インバータ回路15の駆動周波数および導通時間を所定の変動幅以下に固定してインバータ回路15の出力の変動を抑制するとともに、力率改善回路7より昇圧電圧幅の大きい昇圧回路14の可変導通比設定部31に昇圧回路14の昇圧動作を停止する信号を出力する。マイコン26は、可変導通比設定部31に昇圧回路14の昇圧動作停止信号を出力後、第3の駆動停止期間が経過すると力率改善回路制御用IC36に力率改善回路7の動作を停止する信号を出力する。マイコン26は、力率改善回路制御用IC36に力率改善回路7の動作を停止する信号を出力してから、第4の駆動停止期間が経過すると可変導通比設定手段27にインバータ回路15の動作を停止する信号を出力する。このように、インバータ回路15よりも優先的に昇圧回路14の動作を停止した後に力率改善回路7の動作を停止し、最後にインバータ回路15の加熱動作を停止するものである。なお、昇圧機能を昇圧回路14のみが有する場合には、マイコン26は、可変導通比設定部31に昇圧回路14の昇圧動作停止信号を出力後、第1の駆動停止期間が経過すると可変導通比設定手段27にインバータ回路15の動作を停止する信号を出力するようにしてもよい。昇圧機能を力率改善回路回路14のみが有する場合には、マイコン26は、力率改善回路制御用IC36に力率改善回路7の動作を停止する信号を出力してから、第2の駆動停止期間が経過すると可変導通比設定手段27にインバータ回路15の動作を停止する信号を出力するようにしてもよい。
この構成とすることにより、昇圧回路14および昇圧機能を有する力率改善回路7をインバータ回路15より優先的に停止するので、昇圧機能を有する回路からみた負荷インピーダンスの大小、つまり、加熱コイル21と被加熱物体23を含むインバータ回路15の出力値の大小が急激に変化しない状態で昇圧機能を有する回路を停止することが可能となり、力率改善回路7および昇圧回路14の出力電圧が過昇圧されることがなくなる。したがって、昇圧機能を有する回路の出力コンデンサおよびインバータ回路15のスイッチング素子16、17にそれぞれの耐圧以上の電圧が印加されることを抑制することができる。
また、インバータ回路15は下記(1)〜(4)の条件の少なくともひとつを満たすタイミングで停止するようにすることで同様の効果を得ることができる。
(1)マイコン26が昇圧回路14の昇圧動作を制御する昇圧回路制御部32に昇圧動作停止信号を出力してからの経過時間又は力率改善回路7の昇圧動作を制御する力率改善回路制御部33に昇圧動作停止信号を出力してからの経過時間を計測しておき、昇圧回路14および力率改善回路7が停止して安定状態になるのに必用な遅延時間を考慮してあらかじめ決められた駆動停止期間が経過する。このあらかじめ決められた駆動停止期間として、例えば、昇圧回路14については、昇圧回路制御部32に対して昇圧動作停止信号出力後、平滑コンデンサ13の電圧が所定の電圧以下に低下するのに必用な時間とし、力率改善回路7については、力率改善回路制御部33に対して駆動停止信号出力後、平滑コンデンサ6又は平滑コンデンサ13の電圧が所定の電圧以下に低下するのに必用な時間を設定するようにしてもよい。
(2)マイコン26が昇圧回路制御部32および力率改善回路制御部33に駆動停止信号を出力してから、昇圧回路14の出力電圧を検知する昇圧出力電圧検知部29が所定の電圧以下の電圧レベルを検知する。ただし、所定の電圧は商用電源1の電圧ピーク値以下の範囲で決定することが好ましい。
(3)マイコン26が昇圧回路制御部32および力率改善回路制御部33に駆動停止信号を出力してから、誘導加熱装置の入力電流検知部25が検知した入力電流値又は入力電流値より算出した入力電力が所定の入力電流入力電力以下になる。ただし、所定の入力電力は整流回路2に含まれる入力フィルターから算出される力率と商用電源1の電圧とインバータ回路15の固定された駆動周波数および導通時間より決定してもよい。
(4)マイコン26が昇圧回路制御部32および力率改善回路制御部33に駆動停止信号を出力してから、昇圧回路制御部32および力率改善回路制御部33が各々を構成するスイッチング素子の導通時間が所定時間以下になったことをマイコン26に送信し、マイコン26が前記信号を受信完了する。
さらに、本実施の形態においては、インバータ回路15のスイッチング素子16および17の導通時間比率で制御不可能な又は困難な入力電力領域を、インバータ回路15を駆動・停止する時間比率を設けることで制御する。前記制御方法の時にはインバータ回路15を駆動から停止する際にも、すでに説明した加熱停止方法と同様の手順で停止することにより同様の効果を得ることができる。
インバータ回路15のスイッチング素子16および17の駆動・停止の時間比率を変化させるPDM(パルス密度制御)による入力電力制御時においても、インバータ回路15が一時停止するよりも先に昇圧回路14を停止し、次に力率改善回路7を停止し、その後、インバータ回路1を停止するものであり、昇圧回路14および力率改善回路7からみた負荷インピーダンスはインバータ回路15が駆動しているため、変動が少ない状態となり、昇圧回路14および力率改善回路7が各回路の出力コンデンサやインバータ回路15のスイッチング素子16、17の耐圧以上に過昇圧することなく安全に停止することが可能となる。
また、昇圧回路14を力率改善回路7より先に停止することにより、昇圧回路14の停止処理期間中の力率低下を抑制可能となり、力率が低い状態で動作する期間を短くすることが可能である。
なお、上記実施の形態では、インバータ回路15が停止するよりも先に昇圧回路14を停止したが、インバータ回路15が昇圧回路14よりも先に停止しても、インバータ回路15の停止から所定時間以内、すなわち昇圧回路14の昇圧作用によりその出力電圧が所定電圧を越える前に昇圧回路15の動作を停止するようにしても同様の効果を得ることができる。
以上のように、本実施の形態による誘導加熱装置(以下、本誘導加熱装置)は、入力する直流電源のピーク値より大きいピーク値を有する直流電圧に昇圧して出力する昇圧機能部として、力率改善回路7と昇圧回路14を設けている。力率改善回路7はスイッチング素子4(第1のスイッチング素子)のオン・オフ動作により昇圧し、昇圧回路14はスイッチング素子11(第2のスイッチング素子)のオン・オフ動作により昇圧する。また、本誘導加熱装置は、加熱コイル21に高周波電流を発生させるインバータ回路15を有する。インバータ回路15は、力率改善回路7および昇圧回路14により昇圧された電圧を入力して他のスイッチング素子16、スイッチング素子17のオン・オフ動作で高周波電流を発生する。
また、本誘導加熱装置は、昇圧機能部の昇圧動作を制御する昇圧制御部として、力率改善回路7の昇圧動作を制御する力率改善回路制御部33および昇圧回路14の昇圧動作を制御する昇圧回路制御部32を備えるとともに、インバータ回路15の動作を制御するインバータ制御部28を備える。この構成により、本誘導加熱装置は、インバータ回路15の入力電圧をインバータ回路15の動作に対して自由度を持って昇圧値を可変してインバータ回路の出力をきめ細かく可変制御することができる。
また、本誘導加熱装置は、力率改善回路7(昇圧機能部)および昇圧回路14(昇圧機能部)が、インバータ回路15の動作停止に伴って生じる前記昇圧機能部から見た負荷インピーダンスの変化で当該昇圧機能部により昇圧されて出力される電圧の昇圧幅を所定以下に抑制すべく、力率改善回路7および昇圧回路14の昇圧動作を、インバータ回路15の動作停止に対して所定以上遅延することなく停止する。この構成により、インバータ回路15の動作停止に伴い、その出力電圧が所定以上高くなる前に、昇圧動作を停止して力率改善回路7および昇圧回路14の出力電圧が過昇圧されることを抑制することができる。
また、本誘導加熱装置は、力率改善回路制御部33(昇圧制御部)および昇圧回路制御部32(昇圧制御部)が、インバータ制御部28によるインバータ回路15の動作停止に先行して力率改善回路制御部33および昇圧回路制御部32の昇圧動作を停止するようにしている。この構成により、加熱動作を停止する際、少なくとも昇圧回路14が昇圧動作を行っている間は、負荷であるインバータ回路15が駆動されているため、昇圧回路14からみた負荷インピーダンスが急に大きく変動して昇圧回路14の出力電圧が過昇圧されることを確実に防止して、出力電圧を素早く低下せしめ安全に加熱動作を停止することが可能な誘導加熱装置となる。
また、本誘導加熱装置は、交流電源を整流して得られる直流電源を入力してそのピーク値より大きいピーク値の電圧に昇圧して平滑コンデンサ6に出力しかつ交流電源の力率を改善する力率改善回路7(昇圧機能部)と、力率改善回路7の動作を制御する力率改善回路制御部33(昇圧制御部)を備える。これにより、力率改善回路7は、昇圧機能と力率改善機能とを同時に備えるので、昇圧・力率改善回路の小型化、低コスト化を図ることができる。また、インバータ回路15の動作停止に先行して力率改善回路7の昇圧動作を停止することにより、加熱動作を停止する際、少なくとも力率改善回路7が昇圧動作を行っている間は、負荷であるインバータ回路15が駆動されているため、力率改善回路7からみた負荷インピーダンスが急に大きく変動して力率改善回路7の出力電圧が過昇圧されることを確実に防止して、力率改善回路7の出力電圧を素早く低下せしめ安全に加熱動作を停止することが可能な誘導加熱装置となる。
また、昇圧回路制御部32は、力率改善回路制御部33による力率改善回路7の動作停止に先行して昇圧回路14の昇圧動作を停止する。これにより、本誘導加熱装置は、力率改善回路7の力率改善機能が失われた状態でインバータ回路15が動作して周囲の電源環境に影響を及ぼすのを防止する。
また、本誘導加熱装置は、マイコン26の指示により、力率改善回路7および昇圧回路14からみた負荷インピーダンスの安定を図るべく、インバータ制御部28がインバータ回路15の出力値の変動幅が所定以下となるように、インバータ回路15を駆動するスイッチング素子16、17の導通時間の変動を制限する。その制限状態が維持されている(例えば、動作周波数又は駆動時間比を所定の変動幅以下で動作させる)間に、力率改善回路制御部33および昇圧回路制御部38が、力率改善回路7および昇圧回路14の昇圧動作を停止する。これにより、力率改善回路7および昇圧回路14の昇圧動作が停止される過程で当該負荷インピーダンスの変動量を抑制することになり、力率改善回路7および昇圧回路14の出力電圧が各回路を構成する出力コンデンサ(平滑コンデンサ6、13)やインバータ回路15のスイッチング素子16、17)の耐圧以上に過昇圧することなく安全に停止することが可能となる。
また、本誘導加熱装置は、マイコン26の指示により、昇圧回路14の昇圧動作を停止後第1の駆動停止期間が経過し平滑コンデンサ9の電圧が低下してから、可変導通比設定手段27がインバータ回路15の駆動を停止するように指示を与える。昇圧回路14が安定な停止状態となり出力電圧が加わる平滑コンデンサ13の電圧が低下するまでの間、昇圧回路14からみた負荷インピーダンスは、インバータ回路15が継続して駆動し変動が少ない状態とすることができるため、速やかに出力電圧を低下しかつ昇圧回路14が自身の出力コンデンサである平滑コンデンサ13やインバータ回路15のスイッチング素子の耐圧以上に過昇圧した電圧を加えることなく安全に停止することが可能となる。
また、本誘導加熱装置は、力率改善回路制御部33からの信号を受けたマイコン26の指示により、力率改善回路制御部33が力率改善回路7の昇圧動作を停止後第2の駆動停止期間が経過し平滑コンデンサ6および平滑コンデンサ13の電圧が低下してから、インバータ制御部28がインバータ回路15の駆動を停止する。これにより、力率改善回路7が安定な停止状態となり出力電圧が加わる平滑コンデンサ6の電圧が低下するまでの間、力率改善回路7からみた負荷インピーダンスは変動が少ない状態とすることができるため、力率改善回路7の出力電圧が速やかに低下しかつ力率改善回路7が自身の出力コンデンサやインバータ回路15のスイッチング素子の耐圧以上に過昇圧した電圧を加えることなく安全に停止することが可能となる。
また、本誘導加熱装置は、マイコン26の指示により、昇圧回路制御部32が昇圧回路の昇圧動作を停止後、第3の駆動停止期間が経過し平滑コンデンサ13の電圧が低下してから力率改善回路制御部33が力率改善回路7の昇圧動作を停止し、その後第4の駆動停止期間が経過して平滑コンデンサ6の電圧が低下してから、インバータ制御部28がインバータ回路15の駆動を停止するとともに、第3の駆動停止期間と第4の駆動停止期間の長短を、昇圧回路14の駆動停止後における平滑コンデンサ13の放電時間と力率改善回路7の駆動停止後における平滑コンデンサ6の放電時間の大小にそれぞれ対応して異ならせる。これにより、確実に昇圧回路14と力率改善回路7の駆動停止状態となるのに必用な第3の駆動停止期間と第4の駆動停止期間を適正に確保し且つそのトータル時間を短くすることができる。
また、本誘導加熱装置は、昇圧機能部である力率改善回路7又は昇圧回路14の出力電圧を検知する昇圧出力電圧検知部29を備える。そして、昇圧制御部である力率改善回路制御部33又は昇圧回路制御部32が昇圧動作の停止をした後昇圧出力電圧検知部29の検知する出力電圧が所定値以下になったのを検知してから、インバータ制御部28がインバータ回路15の駆動停止を行うことにより、力率改善回路7又は昇圧回路14が昇圧動作の停止後の安定状態になったことあるいは安定状態に近づいたことを検知することが可能となり、検知するまでは昇圧機能部からみた負荷インピーダンスはインバータ回路15が駆動しているため、変動が少ない状態であるので、昇圧機能部はその構成部品である出力コンデンサやインバータ回路のスイッチング素子の耐圧以上に過昇圧することなく安全に停止することが可能となる。