JP4889016B2 - 殺菌装置 - Google Patents
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Description
電子線照射を用いる場合、量産工程においては、容器を略一定間隔の整列状態で搬送して電子線の照射領域内を通過させつつ、電子線を照射する。
図8に示すように、このような電子線を用いた殺菌装置1においては、容器を搬送する搬送ライン2と、搬送ライン2上の容器に対して電子線を照射する電子線照射装置3と、電子線照射装置3から照射される電子線、および電子線の照射によって生じるX線の外部への漏洩を防ぐため、電子線照射装置3における電子線照射領域を覆うように設けられた遮蔽壁4とを有する。
搬送ライン2は、遮蔽壁4に形成された開口部を通して、遮蔽壁4を貫通するように設けられている。ここで、搬送ライン2は、搬送中の容器を目視で確認したり、容器の搬送に何らかの異常が発生した場合や、装置自体に異常が発生した場合等の作業性や、装置付近を作業者が移動するためのスペースを確保するため、床面から1.5m前後の高さに設定されているのが通常である(例えば、特許文献1参照。)。
遮蔽壁4は、コンクリートや鉄や鉛、あるいはそれらの組み合わせからなり、X線の遮蔽性を確保するために、1MeV程度の電子銃を用いる場合、その厚さは30cm以上、重量も200t(トン)といった規模にも及んでいる。したがって、遮蔽壁4の設置コストは非常に高く、これが殺菌装置全体のコストにも大きく影響を及ぼしている。
また、殺菌装置1を設置する場所においては、殺菌装置1全体の重量を支持するために基礎7を鉄筋コンクリート等により構築する必要がある。その基礎7も、支持物の重量に応じた耐圧力を確保するため、遮蔽壁4が大型化すれば基礎7も大型化し、これによって設置工事も大掛かりなものとなり、設置コストは大きくなる。またこれにより、基礎7を含む殺菌装置1の規模が大きくなるため、殺菌装置1の設置スペースが確保できないようなケースも出てくる可能性がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、遮蔽壁を小型化し、その設置コストを低減することを目的とする。
このようにして電子線照射装置を容器搬送部の下方に配置することで、装置全体の高さを抑えることができ、遮蔽壁を低くすることが可能となる。
また、殺菌装置を半地下構造としているので、遮蔽壁の高さはさらに抑えることが可能となる。
さらに、半地下構造とすることにより、遮蔽壁は、その外周側が空間に面している部分よりも、地盤に面している部分の遮蔽性能を下げることができるので、遮蔽壁を形成するのに要する材料コストを抑えることが可能となるとともに、基礎で支持する荷重も減るので、基礎を小規模化することも可能であり、その設置コストを抑えることができる。このようにして、殺菌装置全体のコストを低減することが可能となる。
ここで、電子線照射装置が、電子線発生源と、ホーンと、を備える場合、少なくとも電子線発生源の全体を、地下ピット内に収まるように設けることができる。
このような殺菌装置においては、殺菌すべき容器の一端側を第一の搬送部材で保持した状態で、この容器を電子線照射装置における電子線の照射領域内を通過させる。これにより、照射された電子線によって、容器の他端側が主に殺菌される。この殺菌後、受け渡し機構により、容器を第一の搬送部材から第二の搬送部材に受け渡す。そして、第二の搬送部材で容器の他端側を保持し、この容器を電子線照射装置における電子線の照射領域内を通過させる。すると、容器の一端側が主に殺菌される。これによって、容器の一端側と他端側、つまり、例えば容器がペットボトルである場合には、容器の肉厚が大きくまた複雑な形状を有している口部や底部を十分に殺菌することが可能となる。
この場合、無端軌道は、ベルトコンベアや、チェーン等によって構成することができる。また、レールに沿ってボトルの保持具を走行させるような構成とすることもできる。この場合も、レールを無端状にループさせることで、無端軌道を構成することができる。
このとき、搬送レベル変更機構は、循環駆動される無端軌道と、無端軌道に沿って複数が配置されて容器の一端側または他端側を保持する保持具とを有してものとするのが好ましい。このような無端軌道は、ベルトコンベアや、チェーン等によって構成することができる。このような無端軌道は可撓性を有しているため、スプロケットやシーブ、ローラ等によってその経路を変えることができ、保持部で保持した状態で横方向に搬送されていた容器を、上下方向に搬送させるようなこともできる。したがって、容器の搬送レベルの変更を、場所をとらずに行うことができる。
ところで、この搬送レベル変更機構は、第一の搬送部材や第二の搬送部材と別体とすることもできるが、第一の搬送部材や第二の搬送部材と一体に連続したものとすることもできる。つまり、一本のチェーンやベルトコンベアによって、第一の搬送部材や第二の搬送部材と搬送レベル変更機構とを連続した軌道で実現するのである。
〔参考例〕
ここでは追って説明する本実施形態と共通する要素を備える殺菌装置を参考例として説明するが、便宜上、本実施形態、称することにする。
図1は、本実施形態における殺菌装置10Aの全体構成を示すための図である。
この図1に示すように、殺菌装置10Aは、地盤Gに形成された基礎12と、基礎12上に図示しない支持部材によって支持されることで設置され、ボトル(容器)100に電子線を照射して殺菌を行う電子線照射装置20と、ボトル100を搬送するボトル搬送部(容器搬送部)30と、基礎12上に構築され、ボトル搬送部30で搬送されるボトル100に対する電子線照射装置20における電子線の照射領域を覆う遮蔽壁40と、を備えて構成されている。
電子線発生源21としては、いわゆる電子銃を用いることができる。この電子線発生源21では、ビーム状の電子線を発生し、これを、ボトル搬送部30によって搬送されるボトル100に照射する。このとき、電子線照射装置20には、図示しないスキャン用磁石が備えられている。スキャン用磁石は、それぞれ、印加される電流に応じて発生する磁界が変化するものであり、コントローラの制御により発生する磁界を変化させることで、電子線発生源21で発生した電子線を所定の方向にスキャンさせるようになっている。ここでは、電子線を、ボトル100の搬送方向に対して略直交する方向にスキャンするのが好ましい。
ホーン22は、電子線発生源21から離れるに従い、その断面寸法が拡大する筒状で、スキャン用磁石によって電子線のスキャンを行っているときの、電子線の照射領域を取り囲むように設けられる。
このような殺菌装置10Aにおいて、電子線照射装置20は、ボトル搬送部30の下方に配置されている。
ボトル搬送部30は、ボトル100を上下逆さまにした状態で搬送するようになっている。
ボトル搬送部30の構成について、本発明で何らの限定を行う意図はないが、例えば、図1(b)に示すように、ボトル100の搬送方向両側に、ボトル100を上下逆さまにした状態でボトル100の肩部を支持するガイド部材30aと、ボトル100の胴部を支持するガイド部材30bとを設け、さらに、螺旋状のスクリュー部材30cをこれらガイド部材30a、30bに沿って配置する構成とすることができる。スクリュー部材30cのポケット(溝)の部分に係合し、スクリュー部材30cを図示しないモータ等で回転させると、ボトル100は、上下逆さまの状態のままガイド部材30a、30bに保持されて、ガイド部材30a、30bに沿って搬送される。
この遮蔽壁40には、殺菌すべきボトル100を遮蔽壁40内に入れるための供給口41と、殺菌後のボトル100を遮蔽壁40外に排出するための排出口42とが形成されている。これら供給口41、排出口42には、電子線および電子線の照射によって生じるX線が外部に漏洩するのを防ぐため、ラビリンス構造、開閉可能なシャッター、回転式の扉等を適宜設けるのが好ましい。
すると、遮蔽壁40単体の重量を20%程度軽減することが可能となり、遮蔽壁40を形成するのに要する材料コストを抑えることが可能となる。また、これにより、基礎12で支持する荷重も減るので、基礎12の面積を20%程度小さくすることも可能であり、これによって基礎12についても設置コストを抑えることができる。
図2は、本発明の第一の実施形態における殺菌装置10Bの構成を示すものである。この図2において、参考例で示した殺菌装置10Aと共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
殺菌装置10Bは、地盤Gに掘削形成された地下ピット11に、半地下構造で設けられている点が主に異なる。
殺菌装置10Bは、地下ピット11の底部に形成された基礎12上に支持された状態で設けられ、ボトル搬送部30が、電子線照射装置20の上方を横切るように設けられている。ボトル搬送部30の下方に配置された電子線照射装置20は、地下ピット11に収められたような構成となっている。そして、ボトル搬送部30で、所定の方向にボトル100を搬送しながら、このボトル100に電子線照射装置20で下方から電子線が照射されるようになっている。
ここで、殺菌装置10Bを半地下構造とするために地下ピット11を掘削形成する必要があるが、元々従来より基礎7(図8参照)を形成するために掘削工事が必要であったこともあり、その掘削コストによるコスト増大分よりも、遮蔽壁40を小型化することによるコスト減少が上回り、得られる効果は大きい。
図3に示すものは、本発明の第二の実施形態における殺菌装置10Cの構成を示すものである。この図3において、以上で説明した殺菌装置10A、10Bと共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
このピニオンギヤ53には、ジョイントピン51を介してボトルホルダ54が連結されているため、ピニオンギヤ53に連動してボトルホルダ54が回転する。
なお、ボトルホルダ54の構成については、ボトル100を口部100a側または底部100b側を保持できるのであれば、上記した構成に限らず、他のいかなる構成としても良い。
そして、上流側から送り込まれてきた電子線を照射すべきボトル100は、一方のチェーン31の下側ライン31Lにおいてボトルホルダ54に装着され、口部100a側が保持される。ボトル100は、チェーン31によってその循環駆動方向に搬送されていき、下側ライン31Lにおいて、ボトル100の底部100b側に、電子線照射装置20の電子線照射領域A内において電子線の照射を受ける。ボトル100は、一方のチェーン31の上側ライン31Uに移動すると、一方のチェーン31から他方のチェーン32の上側ライン32Uに受け渡され、その底部100bが保持される。そして、ボトル100は、底部100b側がボトルホルダ54で保持された状態で、他方のチェーン32の下側ライン32Lに移動していき、ボトル100の口部100a側に、電子線照射領域A内において電子線照射装置20による電子線の照射を受ける。しかる後、電子線が照射されたボトル100は、他方のチェーン32の下側ライン32Lにおいてボトルホルダ54から引き抜かれ、後工程へと搬送されていく。
なお、上記一連の動作は、チェーン31、32が一定の速度で循環駆動されている間に連続的に行われる。
これらの機構としては、ボトルホルダ54に対しボトル100を抜き差しできる機構であればいかなるものを採用しても良い。例えば、開閉可能なチャックやクランプによりボトル100の胴部100c等を挟み込み、これをボトル100の軸線方向に移動させてボトルホルダ54に対しボトル100を抜き差しする機構等がある。これ以外にも、所要の機能を果たすことができるのであれば、いかなる構成のものを用いても良い。
また、ホルダ61のボトル100に対する下方からの接近・離間動作は、図7に示すように、チェーン31、32の両端部のスプロケット(図示無し)の部分においてホルダ61は上下方向に移動するため、これを利用しても良いし、また、別途スプロケットやガイド等により、ホルダ61を上下方向に変位させるようにしても良い。
これにより、電子線は、ボトル100の口部100a、胴部100cおよび底部100bの外面には、直接照射、反射部材25による反射照射がなされ、ボトル100の胴部100cおよび底部100bの内面には、透過照射がなされ、ボトル100の口部100aの内面には、反射部材25による反射照射、それにボトル100自体を透過しての透過照射がなされる。
このようにしてボトル100の口部100aには、強い電子線を照射するだけでなく、胴部100cや底部100bに比較してより多くの電子線を照射できるようになっている。
このようにして、ボトル100に対し、より均一に電子線を照射することが可能となり、特に形状が複雑であったり肉厚が大きかったりするボトル100の口部100a、底部100bに対し、電子線を十分に照射することが可能となり、殺菌効果を高めることができる。
これにより、循環駆動されることで何度も繰り返し電子線が照射されるチェーン31、32、ボトルホルダ54等が加熱されるのを抑えることができる。
このようにすることで、遮蔽壁40の小型化を図ることが可能となり、遮蔽壁40および基礎12を形成するのに要する材料コストを大幅に抑えることが可能となる。
このため、例えば、搬送レベル変更機構35により、複数のスプロケット36A〜36Dにより、チェーン31、32を略L字状の軌道とし、これによって搬送するボトル100を下降(供給口41側の場合)・上昇(排出口42側の場合)させ、ボトル100の搬送レベルを遮蔽壁40の内外で変えるのが好ましい。
このような搬送レベル変更機構35は、チェーン31、32を用いたボトル搬送部30Sでボトル100を搬送するからこそ実現できる。従来より用いられているコンベアやエアを用いた搬送機構等では、急激に高さを変えるのは困難であり、例えば1m上昇させるのに10m程度の距離が必要となることもある。つまり、このようなボトル搬送部30Sを用いることで、ボトル100をほぼ垂直に昇降させるような搬送レベル変更機構35を採用することが可能となり、装置を大型化することなく、上記効果を得ることができる。
これ以外にも本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、上記の各実施形態で示した構成を適宜変更したり、他の構成の追加、一部構成の省略等を行っても良い。
Claims (4)
- 電子線を照射することで容器を殺菌する殺菌装置であって、
電子線を前記容器に下方から照射する電子線照射装置と、
前記電子線照射装置の上方に設けられ、前記電子線照射装置からの電子線の照射領域内を前記容器が通過するよう、前記容器を搬送する容器搬送部と、
前記電子線照射装置から照射される電子線および電子線の照射によって生じるX線の外部への漏洩を遮断するため、前記電子線照射装置における電子線照射領域を囲うよう設けられた遮蔽壁と、を備え、
前記殺菌装置は、地盤に掘削形成された地下ピットに設置され、少なくとも前記電子線照射装置の一部が前記地下ピット内に収まるように設けられ、かつ、前記容器搬送部は地盤よりも上方に設けられ、
前記遮蔽壁は、その外周側が空間に面している部分よりも、前記地盤に面している部分の遮蔽性能が下げられていることを特徴とする殺菌装置。 - 前記容器搬送部は、
殺菌すべき前記容器の一端側を保持し、当該容器を前記電子線照射装置における電子線の照射領域内を通過させる第一の搬送部材と、
前記容器の他端側を保持し、当該容器を前記電子線照射装置における電子線の照射領域内を通過させる第二の搬送部材と、
前記容器を前記第一の搬送部材から前記第二の搬送部材に受け渡す受け渡し機構と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。 - 前記遮蔽壁の外部において、前記遮蔽壁の内部における前記第一の搬送部材および前記第二の搬送部材での前記容器の搬送高さよりも高い位置で前記容器を搬送するため、前記容器の搬送レベルを変更する搬送レベル変更機構をさらに備え、
前記搬送レベル変更機構は、
循環駆動される無端軌道と、
前記無端軌道に沿って複数が配置されて前記容器の一端側または他端側を保持する保持具とを有していることを特徴とする請求項2に記載の殺菌装置。 - 前記電子線照射装置は、電子線発生源と、ホーンと、を備え、
少なくとも前記電子線発生源の全体が、前記地下ピット内に収まるように設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の殺菌装置。
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