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JP4888654B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに係り、特に車両(移動体)に搭載されるハイブリッド形燃料電池システムに関する。
エンジン起動の発電機とバッテリとを電源とし、駆動用モータで走行するエンジン式のハイブリッド型車両において、パワーステアリング用の油圧ポンプが、やはりエンジンで駆動されるもの(いわゆる油圧式のパワーステアリングを搭載している車両)については、エンジン出力が低いか、またはエンジンが停止している場合であっても、バッテリが車両用モータに必要トルクを与えることが可能な状態でありさえすれば、車両を走行させることが可能となる。
しかし、このような状態での走行時には、エンジン出力が低いか、またはエンジンが停止しているために、パワーステアリング用の油圧ポンプの出力が低いか、または停止しており、よって、パワーステアリング用の動力が定格に達しないので、ハンドル操作が重くなる。
そこで、例えば、特開平8−98318号公報では、エンジンが所定の回転数を示すのを確認してから走行許可を与える「ハイブリッド型電気自動車の制御方法」が提案されている(特許文献1)。
また、燃料電池を搭載したハイブリッド型車両では、例えば、特開平9−231991号公報に記載されているように、始動時であって燃料電池が発電可能となるまでの期間は、二次電池から電力を供給して暖機運転を行い、燃料電池の暖機が終了した後、車両走行用モータに燃料電池の電力を供給していた(特許文献2、要約)。
特開平8−98318号公報(段落0020等) 特開平9−231991号公報(要約書等)
しかしながら、燃料電池式のハイブリッド型車両にパワーステアリング機能を設ける場合、上記従来の技術はエンジン式のハイブリッド型電気自動車に対する制御技術であるので、そのままでは燃料電池式のハイブリッド型車両に適用できないという課題があった。
例えば、エンジン式のハイブリッド型車両では、エンジンによりパワーステアリング用の油圧ポンプを動作させていたため、エンジンの出力が上昇してからパワーステアリング機能を有効にしないとハンドル操作の重さに差が出ていたが、燃料電池式のハイブリッド車両では、燃料電池または二次電池の一方または双方から供給される電力によりパワーステアリング用の油圧ポンプを駆動する。
ここで、燃料電池式のハイブリッド型車両において、上記特許文献2のように、燃料電池の暖機運転が終了してからパワーステアリング機能を有効にすると、始動時の暖機運転に一定の時間がかかるため、パワーステアリング機能を使えるようになるまで時間がかかりすぎるという不都合がある。
一方、燃料電池の暖機運転中は、二次電池から補機類に電力を供給可能であるが、二次電池の電力供給が可能になった時点でパワーステアリング機能を有効にすると、二次電池の電力供給からパワーステアリング用の油圧ポンプの回転数が一定になるまでの間、パワーステアリング用の動力が定格に達しないため、二次電池の電力供給開始直後のハンドル操作が重くなってしまうという不都合もあった。
そこで本発明は、上記課題を解決するために、燃料電池システムを搭載したハイブリッド型車両において、比較的短時間に走行を開始でき、かつ、走行開始直後からハンドル操作が重くなることを防止可能な移動体に搭載されるハイブリッド形燃料電池システムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、移動体に搭載され、移動体の動力源として燃料電池と二次電池とを有するハイブリッド形燃料電池システムであって、燃料電池および二次電池の動作を制御する電源制御部と、移動体のパワーステアリング機能を制御する走行機能制御部と、始動時における起動を制御する起動制御部と、を備え、起動制御部は、二次電池から移動体を走行可能とする起電力が出力可能であること、および、パワーステアリング機能が利用可能な状態であることの双方が満たされた場合に、移動体の走行を許可するように制御することを特徴とする。
このように構成することにより、発車に際し、燃料電池の起動前であっても、二次電池の起動を確認すると同時に走行機能の起動を確認してから走行を許可するので、走行開始直後から走行機能が動作不良に陥る不都合を防止することができ、移動体の安定性向上に資することができる。
また、燃料電池システムにおいて、二次電池の起動を確認すると同時にパワーステアリング機能の起動を確認してから走行を許可するので、走行開始直後からハンドル操作が重くなるといった不都合な状態を防止することができ、移動体の操作性向上に資することができる。
また、前記パワーステアリング機能は、電動式または電動油圧式のいずれであっても構わないので、従来のエンジンを動力源として用いた油圧式パワーステアリング機能に比べて燃費を節約することが可能となり、大型車に搭載することも可能となっている。
さらに、前記パワーステアリング機能は、前記二次電池からの電力供給のみで作動可能に構成されているので、二次電池が電力供給可能になってから起動を開始させることができる。
本発明によれば、二次電池から移動体を走行可能とする起電力が出力可能であること、および、パワーステアリング機能が利用可能な状態であることの双方が満たされた場合に移動体の走行を許可するように制御されるので、ハイブリッド形燃料電池システムを搭載した移動体において、比較的短時間に走行を開始でき、かつ、走行開始直後からハンドル操作が重くなることを防止することが可能である。
次に本発明を実施するための好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態は、燃料電池を搭載する電気自動車に本発明を適用したものである。以下の実施形態は本発明の適用形態の単なる例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
この実施形態は、二次電池が動作可能であることと、パワーステアリング等の走行系の準備が完了したこととを制御部で確認した後、駆動系(ここでは少なくとも車両走行用モータ94が該当する)の起動を許可するものである。
図1は、本発明が適用された燃料電池システムのシステム構成図である。
図1において、燃料電池システム10は、主要な構成要素として、燃料電池20に燃料ガス(水素ガス)を供給するための燃料ガス供給系統4と、燃料電池20に酸化ガス(空気)を供給するための酸化ガス供給系統7と、燃料電池20を冷却するための冷却液供給系統3と、燃料電池20からの発電電力を充放電する電力系統9と、パワーステアリング機能を制御するパワステ制御部110と、パワーステアリング用の駆動モータであるパワステ駆動モータ111と、を備えて構成されている。
燃料電池20は、フツ素系樹脂などにより形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜などから成る高分子電解質膜21の両面にアノード極22とカソード極23をスクリーン印刷などで形成した膜・電極接合体24を備えている。膜・電極接合体24の両面は、燃料ガス、酸化ガス、冷却水の流路を有するセパレータ(図示せず)によってサンドイッチされ、このセパレータとアノード極22およびカソード極23との間に、それぞれ溝状のアノードガスチャンネル25およびカソードガスチャンネル26を形成している。アノード極22は、燃料極用触媒層を多孔質支持層上に設けて構成され、カソード極23は、空気極用触媒層を多孔質支持層上に設けて構成されている。これら電極の触媒層は、例えば、白金粒子を付着して構成されている。
アノード極22では、次の(1)式の酸化反応が生じ、カソード極23では、次の(2)式の還元反応が生じる。燃料電池20全体としては、次の(3)式の起電反応が生じる。
2→2H++2e-・・・(1)
(1/2)O2+2H++2e-→H2O・・・(2)
2+(1/2)O2→H2O・・・(3)
なお、図1では説明の便宜上、膜・電極接合体24、アノードガスチャンネル25およびカソードガスチャンネル26からなる単位セルの構造を模式的に図示しているが、実際には、上述したセパレータを介して複数の単位セル(セル群)が直列に接続したスタック構造を備えている。
燃料電池システム10の冷却液供給系統3には、冷却液を循環させる冷却路31、燃料電池20から排水される冷却液の温度を検出する温度センサ32、冷却液の熱を外部に放熱するラジエータ(熱交換器)33、ラジエ−タ33へ流入する冷却液の水量を調整するバルブ34、冷却液を加圧して循環させる冷却液ポンプ35、燃料電池20に供給される冷却液の温度を検出する温度センサ36などが設けられている。
燃料電池システム10の燃料ガス供給系統4には、燃料ガス供給装置42からの燃料ガス(アノードガス)、例えば、水素ガスをアノードガスチャンネル25に供給するための燃料ガス流路40と、アノードガスチャンネル25から排気される燃料オフガスを燃料ガス流路40に循環させるための循環流路(循環経路)51が配管されており、これらのガス流路によって燃料ガス循環系統が構成されている。
燃料ガス流路40には、燃料ガス供給装置42からの燃料ガス流出を制御する遮断弁(元弁)43、燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ44、循環経路51の燃料ガス圧力を調整する調整弁45、燃料電池20への燃料ガス供給を制御する遮断弁46が設置されている。
燃料ガス供給装置42は、例えば、高圧水素タンク、水素吸蔵合金、改質器などより構成される。循環流路51には、燃料電池20から循環流路51への燃料オフガス供給を制御する遮断弁52、燃料オフガスに含まれる水分を除去する気液分離器53および排出弁54、アノードガスチャンネル25を通過する際に、圧力損失を受けた燃料オフガスを圧縮して適度なガス圧まで昇圧させて、燃料ガス流路40に還流させる水素ポンプ(循環ポンプ)55、燃料ガス流路40の燃料ガスが循環流路51側に逆流するのを防止する逆流阻止弁56が設置されている。水素ポンプ55をモータによって駆動することで、水素ポンプ55の駆動による燃料オフガスは、燃料ガス流路40で燃料ガス供給装置42から供給される燃料ガスと合流した後、燃料電池20に供給されて再利用される。なお、水素ポンプ55には、水素ポンプ55の回転数を検出する回転数センサ57が設置されている。
また、循環流路51には、燃料電池20から排気された燃料オフガスを、希釈器(例えば水素濃度低減装置)62を介して車外に排気するための排気流路61が分岐して配管されている。排気流路61にはパージ弁63が設置されており、燃料オフガスの排気制御を行えるように構成されている。パージ弁63を開閉することで、燃料電池20内の循環を繰り返して、不純濃度が増加した燃料オフガスを外部に排出し、新規の燃料ガスを導入してセル電圧の低下を防止することができる。また、循環流路51の内圧に脈動を起こし、ガス流路に蓄積した水分を除去することもできる。
一方、燃料電池システム10の酸化ガス供給系統7には、カソードガスチャンネル26に酸化ガス(カソードガス)を供給するための酸化ガス流路71と、カソードガスチャンネル26から排気されるカソードオフガスを排気するためのカソードオフガス流路72が配管されている。酸化ガス流路71には、大気からエアを取り込むエアクリーナ74、および、取り込んだエアを圧縮し、圧縮したエアを酸化剤ガスとして、カソードガスチャンネル26に送給するエアコンプレッサ75が設定されており、エアコンプレッサ75には、エアコンプレッサ75の回転数を検出する回転数センサ73が設置されている。酸化ガス流路71とカソードオフガス流路72との間には湿度交換を行う加湿器76が設けられている。カソードオフガス流路72には、カソードオフガス流路72の排気圧力を調整する調圧弁77、カソードオフガス中の水分を除去する気液分離器64、カソードオフガスの排気音を吸収するマフラー65が設けられている。気液分離器64から排出されたカソードオフガスは分流され、一方は、希釈器62に流れ込み、希釈器62内に滞留する燃料オフガスと混合希釈され、また分流された他方のカソードオフガスは、マフラー65にて吸音され、希釈器62により混合希釈されたガスと混合されて、車外に排出される。
また、燃料電池システム10の電力系統9には、一次側にバッテリ91の出力端子が接続され、二次側に燃料電池20の出力端子が接続されたDC−DCコンバータ90、二次電池として余剰電力を蓄電するバッテリ91、バッテリ91の充電状況を監視するバッテリコンピュータ92、燃料電池20の負荷または駆動対象となる車両走行用モータ94に交流電力を供給するインバータ93、燃料電池システム10の各種高圧補機96に交流電力を供給するインバータ95、燃料電池20の出力電圧を測定する電圧センサ97、および出力電流を測定する電流センサ98が接続されている。
DC−DCコンバータ90は、燃料電池20の余剰電力または車両走行用モータ94への制動動作により発生する回生電力を電圧変換してバッテリ91に供給して充電させる。また、車両走行用モータ94の要求電力に対する、燃料電池20の発電電力の不足分を補填するため、DC−DCコンバータ90は、バッテリ91からの放電電力を電圧変換して二次側に出力する。
インバータ93,95は、直流電流を三相交流電流に変換して、車両走行用モータ94および高圧補機96にそれぞれ出力する。車両走行用モータ94には、モータ94の回転数を検出する回転数センサ99が設置されている。モータ94は、ディファレンシャルを介して車輪100が機械的に結合されており、モータ94の回転力を車両の推進力に変換可能となっている。
電圧センサ97および電流センサ98は、電力系統9に重畳された交流信号の電圧に対する電流の位相と振幅とに基づいて交流インピーダンスを測定するためのものである。交流インピーダンスは、燃料電池20の含水量に対応している。この交流インピーダンス測定によって測定される含水量は燃料電池20にスタックされている単位セル全体の平均的な含水量に対応している。
さらに、燃料電池システム10には、燃料電池12の発電、パワステ制御部110の動作、及び前述の駆動系の起動を制御するための制御部80が設置されている。制御部80は、例えば、CPU(中央処理装置)、RAM、ROM、インターフェイス回路などを備えた汎用コンピュータで構成されており、温度センサ32,36、圧力センサ44、回転数センサ57,73,99からのセンサ信号や、電圧センサ97、電流センサ98、イグニッションスイッチ82からの信号を取り込み、電池運転の状態、例えば、電力負荷に応じて各モータを駆動して、水素ポンプ55およびエアコンプレッサ75の回転数を調整し、さらに、各種の弁(バルブ)の開閉制御または弁開度の調整などを行うようになっている。
制御部80は、電圧センサ97と電流センサ98を含む含水量測定部に対して、燃料電池全体の含水量の測定を指令し、燃料電池全体の含水量が不適正なときには掃気駆動部に対して掃気駆動を指令する。さらに制御部80は、燃料電池全体の含水量が適正であっても、電圧測定部101に対して、単位セルのうち含水量が相対的に多くなり易い特定の単位セルについて開回路電圧の測定を指令し、電圧測定部101の測定による開回路電圧の低下速度に基づいて、燃料電池20の含水量の適否を判断する判断部として動作するように構成されている。
特に、制御部80は、本発明の特徴的な制御動作として、バッテリ91が動作可能であることと、パワステ駆動モータ111を含めてパワーステアリング等の走行系の準備が完了し、所定の動作が可能であることとを確認した後、前述の駆動系の起動を許可するよう構成されている。
パワステ制御部110は、走行系のパワーステアリングを駆動するパワステ駆動モータ111およびパワーステアリング機能を稼働させるために必要な各種の制御をする。パワステ駆動モータ111は、電動式または電動油圧式のパワーステアリングを駆動させるモータである。
パワステ制御部110とパワステ駆動モータ111は、電動式または電動油圧式のいずれのパワーステアリング機能をも実現することができる。パワステ制御部110の電源とパワステ駆動モータ111の駆動電源は、いずれも燃料電池20またはバッテリ91のいずれか、または双方であってもよいが、独自の電源(燃料電池を範疇に含む)と接続されていてもよい。
図2は、本発明が適用される燃料電池システム10の制御部80の機能ブロック図である。
図2に示す制御部80は、機能ブロックとして、前述の駆動系の起動(始動)を制御する起動制御部801と、燃料電池20およびバッテリ91等の燃料電池システムの電力系統9を制御する電源制御部802と、パワーステアリング機能を制御する走行機能制御部803と、前述の駆動系の起動後の動作を制御する駆動系制御部804と、を備える。
起動制御部801は、電源制御部802からバッテリ91からの電源供給が可能であることを示す信号Seを受け取るとともに、走行機能制御部803からパワーステアリング機能の準備が完了したことを示す信号Srを受け取った場合に、駆動系の起動を許可するように機能する。
すなわち、起動制御部801は、車両走行用モータ94等の走行系の起動(始動)を制御するが、電源制御部802からの信号Seと、走行機能制御部803からの信号Srとの論理積(AND)が成立した時に、前述の駆動系の起動(始動)を許可するフラグFAを立てる。このフラグFAが立てられると、駆動系制御部804は、前述の走行系を起動すると共に、運転者のアクセルおよびブレーキなどの操作量に基づいて走行系の制御量(例えば、車両走行用モータ94のトルク)を計算し、この制御量でもって走行系を制御する。
電源制御部802は、電力系統9の動作一般を制御する。例えば燃料電池20の起動・停止・発電量を制御すると共に、バッテリコンピュータ92を介してバッテリ91の充放電を制御する。また、この制御を通じて、バッテリ91の状態を把握し、バッテリ91から走行に適合する起電力が出力可能な場合に信号Seを起動制御部801に送出する。さらに電源制御部802は、燃料電池20の運転に必要な前述の各系統(例えば、冷却液供給系統3、燃料ガス供給系統4、酸化ガス供給系統7)や、前述の各流路(例えば、燃料ガス流路40、循環流路51、排気流路61)を制御する。また、この制御を通じて、燃料電池20の起動が完了したことを検知し、燃料電池20に、走行に適合する起電力が得られた時に信号Seを起動制御部801に送出する。
走行機能制御部803は、パワーステアリング、方向指示器、ワイパー等の走行機能系統を制御する。また、この制御を通じて、走行機能系統の状態を把握し、走行に適合する走行機能系統の状態が得られた時に信号Srを起動制御部801に送出する。
駆動系制御部804は、前述のフラグFAが立てられると、前述の走行系を起動すると共に、運転者のアクセルおよびブレーキなどの操作量に基づいて走行系の制御量(例えば、車両走行用モータ94のトルク)を計算し、この制御量でもって走行系を制御する。
バッテリコンピュータ92は、バッテリ91の出力端子に設けられており、制御部80と通信可能になっている。バッテリコンピュータ92は、バッテリ91の充電状態を監視し、バッテリが過充電や過放電に至らない適正な充電範囲内に維持すると共に、万が一バッテが過充電や過放電等の状態になったら制御部80に通知するように構成されている。
これにより、パワーステアリング機能の準備が完了しない間は車両走行用モータ94の起動が許可されず、パワーステアリング機能の準備が完了して、ハンドル操作が通常どおり軽くなった時点で、ようやく走行開始することができるので、従来のように、ハンドル操作が重くて困難であるにも係わらず車両が走行してしまうという不都合な状態を回避することが可能となり、車両の操作性を向上することができる。
図3は、本発明が適用される燃料電池システムの制御部80のエンジン始動時の動作を示すフローチャート図である。以下、図1,2を参照しながら、図3に示すフローチャートを使用して、制御部80で実施されるエンジン始動時の動作を説明する。
まず、起動制御部801は、信号Seが燃料制御部802から送出されるまで待機し、信号Seが電源制御部802から送出されている場合はステップS2に進む(ステップS1)。
ステップS2では、起動制御部801は、信号Srが走行機能制御部803から送出されたか否かを検証し、信号Srが走行機能制御部803から送出されている場合はステップS3に進み、信号Srが走行機能制御部803から送出されていない場合はステップS1に戻る。
以上のステップS1およびS2により、双方がYESとなると、バッテリ91からの電源供給が可能であって、かつ、パワーステアリング機能が稼働可能な状態であること判定される。
そこで、ステップS3では、起動制御部801がフラグFAを立て、次いで、ステップS4において、駆動系制御部804は、このフラグFAが立てられたことを受けて、駆動系の制御量(ここでは車両走行モータ94のトルクSt)を算出する。
そして、ステップS5において、駆動系制御部804は、この制御量(即ち、車両走行モータ94のトルクSt)と、前述のフラグFAに対応する信号SAとを、駆動系の車両走行モータ94に送出する。
次に、ステップS6において、起動制御部801は、駆動系が起動したか否かを検証し、駆動系が起動していない場合はステップS3に戻り、駆動系が起動した場合はステップS7に進む。
ステップS7では、駆動系制御部804は、このフラグFAが立てられたことを受けて、駆動系の制御量(ここでは車両走行モータ94のトルクSt)を算出する。
次に、ステップS8において、駆動系制御部804は、この制御量(即ち、車両走行モータ94のトルクSt)を、駆動系の車両走行モータ94に送出する。
そして、ステップS9において、駆動系制御部804は、駆動系が停止したか否かを検証し、駆動系が停止していない場合はステップS7に戻り、駆動系が停止した場合はステップS10に進む。
ステップS10では、駆動系制御部804は、フラグFAを降ろし、ステップS1に戻る。
以上の動作により、バッテリ91からの電源供給が可能であって、かつ、パワーステアリング機能が有効である場合にのみ、車両走行用モータ94がトルクを発生させることが許可され、よって運転が許可されるので、車両の発進直後からパワーステアリング機能を有効に機能させることができる。したがって、ハンドル操作が重たくなることを防止可能である。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態以外にも種々に変更して適用することが可能である。
例えば、上記実施形態では走行機能として、パワーステアリング機能を例示して説明したが、パワーステアリング機能以外の、始動に時間が掛かる他の走行機能に適用することが可能である。
また、本発明は、本実施形態のようにハイブリッド形燃料電池システムに適用すると効果が大きいが、他の一般的な燃料電池システムに適用することも可能である。
また、本実施形態では、パワーステアリング機能として電動式および電動油圧式のパワーステアリング機能を例示したが、本発明は、油圧式のパワーステアリング機能が使用される車両にも適用可能である。
さらに、本発明は、車両のみならず、ハイブリッド形燃料電池システムを搭載して陸上、地中、海上、海中、空中、宇宙空間を移動するあらゆる移動体に本発明を適用することも可能である。
本発明が適用された燃料電池システムのシステム構成図である。 本発明が適用される燃料電池システム10の制御部80の機能ブロック図である。 本発明が適用される燃料電池システムの制御部80のエンジン始動時の動作を示すフローチャート図である。
符号の説明
10 燃料電池システム、20 燃料電池、40 燃料ガス流路、55 水素ポンプ、71 酸化ガス流路、80 制御部、91 バッテリ、
92 バッテリコンピュータ、110 パワステ制御部、
111 パワステ駆動モータ、801 起動制御部、802 電源制御部 803 走行機能制御部、SA,Se,Sr,St 信号、FA フラグ

Claims (3)

  1. 移動体に搭載され、前記移動体の動力源として燃料電池と二次電池とを有するハイブリッド形燃料電池システムであって、
    前記燃料電池および前記二次電池の動作を制御する電源制御部と、
    前記移動体のパワーステアリング機能を制御する走行機能制御部と、
    始動時における起動を制御する起動制御部と、を備え、
    前記起動制御部は、前記二次電池から前記移動体を走行可能とする起電力が出力可能であること、および、前記パワーステアリング機能が利用可能な状態であることの双方が満たされた場合に、前記移動体の走行を許可するように制御することを特徴とするハイブリッド形燃料電池システム。
  2. 前記パワーステアリング機能は、電動式または電動油圧式である、請求項記載のハイブリッド形燃料電池システム。
  3. 前記パワーステアリング機能は、前記二次電池からの電力供給のみで作動可能に構成されている、請求項または記載のハイブリッド形燃料電池システム。
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