JP4888521B2 - 水和物スラリの製造装置 - Google Patents
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Description
(1)過冷却方式:水を熱交換器に通して、0℃以下の過冷却水を生成し、熱交換器外でその過冷却を解除して氷水スラリを生成する方式である。
(2)カキトリ方式:冷却面に氷を生成し、刃物のようなもので氷を削り取り氷水スラリを作る方式である。
また、この水和物スラリを上記(1)、(2)の方法で生成するにしても、氷水スラリ製造の際と同様の問題が生ずることになる。
水和剤を水に溶解した水溶液もしくは水和物スラリを蓄える蓄熱槽と、冷却媒体を冷却する冷凍機と、蓄熱槽から流通される水溶液もしくは水和物スラリと冷却媒体との間で熱交換を行って水和物スラリを生成する複数並列に設けられている熱交換器と、蓄熱槽と熱交換器との間で水溶液もしくは水和物スラリを循環可能とする水溶液の熱交換回路とを備えた水和物スラリの製造装置において、
冷却媒体を熱交換器に供給する冷却媒体の熱交換回路に接続された加熱媒体の供給回路と、両回路の接続部に設けられ熱交換器に供給される媒体を冷却媒体と加熱媒体との間で切換える供給媒体の切換弁と、前記切替弁を制御する制御手段と、冷却媒体の熱交換回路の熱交換器出口温度を計測する温度計と、を備え、
前記制御手段は、一つの熱交換器の冷却面に水和物が付着したことを付着判定パラメータに基づき判定したとき、前記熱交換器に供給される媒体を冷却媒体から加熱媒体に切換えるように前記切換弁を制御し、付着した水和物を融解する融解運転を開始させ、融解運転開始から一定時間後又は温度計により計測した冷却媒体の熱交換回路の熱交換器出口温度が上昇に転じた時に、熱交換器に供給される媒体を加熱媒体から冷却媒体に切換えるように前記切換弁を制御し融解運転を終了させ、一つの熱交換器の融解運転を行う間にも他の熱交換器に冷却媒体を供給し水和物スラリの生成を継続するように切換弁を制御し、
付着判定パラメータは、熱交換器における冷却媒体の交換熱量、熱交換器における水溶液もしくは水和物スラリの交換熱量、水溶液もしくは水和物スラリの流量、水溶液もしくは水和物スラリの熱交換器出口温度、熱交換器出入口間における水溶液もしくは水和物スラリの差圧、水和物が第一水和物から第二水和物に変化する温度及び水溶液の濃度のうちいずれか一つであることを特徴とする。
ここで、本発明において、水和物すなわち包接水和物とは、特開平11−264681号公報に記載するように、水分子(ホスト分子)で構成された籠状の包接格子内に以下のようなゲスト分子が包み込まれて結晶化する化合物をいう。ゲスト分子として、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−フォスフォニウム塩、トリiso−アミルサルフォニウム塩などであり、テトラn−ブチルアンモニウム塩の例として、フッ化テトラn−ブチルアンモニウム((n−C4H9)4NF)、塩化テトラn−ブチルアンモニウム((n−C4H9)4NCl)、臭化テトラn−ブチルアンモニウム((n−C4H9)4NBr)などがある。
また、これらF,Cl,Brの代わりに酢酸(CH3CO2)、クロム酸(CrO4)、タングステン酸(WO4)、シュウ酸(C2O4)、リン酸(HPO4)でもよい。その他の上記塩も同様である。
(1)冷却媒体の交換熱量を求め、その求めた交換熱量に基づいて、加熱媒体の供給時期を定める。
(2)水溶液もしくは水和物スラリの交換熱量を求め、その求めた交換熱量に基づいて、加熱媒体の供給時期を定める。
(3)水溶液もしくは水和物スラリの流量に基づいて、加熱媒体の供給時期を定める。
(4)水溶液もしくは水和物スラリの熱交換器出口温度に基づいて、加熱媒体の供給時期を定める。
(5)熱交換器出入口間における水溶液もしくは水和物スラリの差圧に基づいて、加熱媒体の供給時期を定める。
(6)水和物が第一水和物から第二水和物に変化する温度に基づいて、加熱媒体の供給時期を定める。
(7)水溶液の濃度に基づいて、加熱媒体の供給時期を定める。
すなわち、水和物の付着判定パラメータとして、それぞれ冷却媒体の交換熱量、水溶液もしくは水和物スラリの交換熱量、水溶液もしくは水和物スラリの流量、水溶液もしくは水和物スラリの熱交換器出口温度、水溶液もしくは水和物スラリの差圧、水和物の転移温度、水溶液の濃度を採用したものである。
交換熱量=温度差×流量×比熱
温度差は冷却媒体の熱交換器入口温度と出口温度の差であり、流量は熱交換器を流れる冷却媒体の流量である。これらの値はそれぞれ温度計、流量計によって測定すればよく、一方冷却媒体の比熱は既知であるので、これらの測定値を用いて冷却媒体の交換熱量を求めることができる。そして、求めた交換熱量が予め設定した設定値以下となれば、水和物が付着していると判定して、加熱媒体の供給を開始する。
(2)の方法では、水溶液もしくは水和物スラリについて交換熱量を上記と同様に求めればよい。
(3)の方法では、水溶液もしくは水和物スラリの流量だけで加熱媒体の供給時期を判定する。水和物の付着により流路の圧力損失が増大し水溶液の流量が変化(減少)するからである。前記(1)、(2)の方法に比べてより簡便な方法である。
(4)の方法では、水溶液もしくは水和物スラリの熱交換器出口温度で加熱媒体の供給時期を判定する。水和物スラリの冷却が進むと水和物が付着しやすくなるからである。
(5)の方法では、水溶液もしくは水和物スラリの熱交換器出入口間の差圧で加熱媒体の供給時期を判定する。水和物が付着すると、流送抵抗が増大し圧損が生じるため、流量に対する水溶液もしくは水和物スラリの差圧が大きくなるからである。
ここで、水溶液の濃度によって2種類の水和物が生成される場合において、第一水和物とは、水和数が小さく生成温度の低い水和物をいい、第二水和物とは、水和数が大きく生成温度が高い水和物をいう。
例えば、前記臭化テトラn−ブチルアンモニウムを水和剤とする水和物スラリの場合、大気圧下において冷却により水和物の結晶を生成する水溶液濃度と温度の関係は図3のようになっている。すなわち、第一水和物は、水溶液濃度がおよそ20wt%の場合約8.4℃で生成されるが、この温度から冷却が進むと、約8℃で第二水和物に変化する。このときの水溶液濃度は約15.4wt%になっている。第二水和物は第一水和物よりも安定しており、かつ、潜熱量が大きいので、第二水和物がより多く含まれるように水和物スラリを調整することが好ましい。そこで、前記第二水和物転移温度の8℃を監視し、第一水和物の過冷却を回避しつつ第二水和物へスムーズに変化させる。もし、この温度以下になったら加熱媒体を供給する。
また、第二水和物転移温度のときの水溶液濃度で加熱媒体の供給時期を判定するのが前記(7)の方法である。
このように、使用する水和物スラリの温度−濃度特性から、加熱媒体の供給時期を定めることができる。
加熱媒体の供給により、熱交換器の冷却面に付着した水和物がほとんど融解すると、冷却媒体の熱交換器出口温度が上昇に転ずるので、その後は加熱媒体の供給を停止し、冷却媒体に切り換えてこれを熱交換器に送る。
9は加熱媒体として、例えば、温水が入れられた温水タンクであり、ここではその内部に加熱装置が組み込まれているものとする。
水溶液を冷却するための冷水は、冷凍機5、ポンプ8、流路6(往路)、熱交換器HX1,HX2、及び流路7(復路)の経路を循環可能に構成している。この経路を、冷却媒体の熱交換回路Bという。
温水タンク9の温水は、ポンプ12、流路10(往路)、流路6、熱交換器HX1,HX2、流路7、及び流路11(復路)の経路を循環可能に構成している。この経路を、加熱媒体の供給回路Cという。
そして、加熱媒体の供給回路Cと冷却媒体の熱交換回路Bは、それぞれ遮断弁(切換弁)V1,V2,V3,V4を介して接続されている。
また、熱交換器HX1,HX2の水溶液入口には水溶液の流量を測定する流量計51,52を、そして、水溶液出入口間にはその間の水溶液差圧を測定する差圧計53,54を、それぞれ取り付けている。
なお、上記は説明のため、冷水の温度計、冷水の流量計、水溶液もしくは水和物スラリの温度計、水溶液の流量計、水溶液の差圧計の全てを設けているが、これらの一部のみを設けてもよい。
その第1は、プレート冷却面の水溶液側表面に、摩擦係数が小さくなるよう、硬質クロムめっき、ニッケルめっき、鉄めっき、合金めっき等の電気めっき、リンやホウ素等を用いた無電解ニッケルめっき、電析皮膜、無電解ニッケル等の分散めっき、潤滑性合金めっき等のめっきを施すものである。
その第2は、水和物スラリが流通する側のプレート表面の摩擦係数や表面粗さが小さくなるよう、フッ素系樹脂、シリコン樹脂、無機系樹脂等のコーティングや塗装等の皮膜を施したり、研磨等の加工を施すものである。
この水和物融解運転が終了したときには、遮断弁V21のポートcを閉じ、ポートaとポートbを連通状態に切り換え、同時に、遮断弁V22のポートfを閉じ、ポートdとポートeを連通状態に切り換えて、再び元通り水溶液の冷却運転を行い、水和物スラリを生成する。なお、ほかの熱交換器HX2〜HX4についても上記と同様の操作を行う。
図2の回路構成においても、図1と同様、自動制御系に構成できることはいうまでもない。
B 冷却媒体の熱交換回路
C 加熱媒体の供給回路
HX1〜HX4 熱交換器
V11〜V14 水溶液遮断弁
V5〜V8 冷水遮断弁
V1〜V4 温水遮断弁
V21〜V28 遮断弁(三方弁)
1 蓄熱槽
4 ポンプ
5 冷凍機
8 ポンプ
9 温水タンク
12 ポンプ
13 制御手段
27,37,51,52 流量計
28,29,38,39 温度計
41,42,43,44 温度計
53,54 差圧計
Claims (2)
- 水和剤を水に溶解した水溶液もしくは水和物スラリを蓄える蓄熱槽と、冷却媒体を冷却する冷凍機と、蓄熱槽から流通される水溶液もしくは水和物スラリと冷却媒体との間で熱交換を行って水和物スラリを生成する複数並列に設けられている熱交換器と、蓄熱槽と熱交換器との間で水溶液もしくは水和物スラリを循環可能とする水溶液の熱交換回路とを備えた水和物スラリの製造装置において、
冷却媒体を熱交換器に供給する冷却媒体の熱交換回路に接続された加熱媒体の供給回路と、両回路の接続部に設けられ熱交換器に供給される媒体を冷却媒体と加熱媒体との間で切換える供給媒体の切換弁と、前記切替弁を制御する制御手段と、冷却媒体の熱交換回路の熱交換器出口温度を計測する温度計と、を備え、
前記制御手段は、一つの熱交換器の冷却面に水和物が付着したことを付着判定パラメータに基づき判定したとき、前記熱交換器に供給される媒体を冷却媒体から加熱媒体に切換えるように前記切換弁を制御し、付着した水和物を融解する融解運転を開始させ、融解運転開始から一定時間後又は温度計により計測した冷却媒体の熱交換回路の熱交換器出口温度が上昇に転じた時に、熱交換器に供給される媒体を加熱媒体から冷却媒体に切換えるように前記切換弁を制御し融解運転を終了させ、一つの熱交換器の融解運転を行う間にも他の熱交換器に冷却媒体を供給し水和物スラリの生成を継続するように切換弁を制御し、
付着判定パラメータは、熱交換器における冷却媒体の交換熱量、熱交換器における水溶液もしくは水和物スラリの交換熱量、水溶液もしくは水和物スラリの流量、水溶液もしくは水和物スラリの熱交換器出口温度、熱交換器出入口間における水溶液もしくは水和物スラリの差圧、水和物が第一水和物から第二水和物に変化する温度及び水溶液の濃度のうちいずれか一つであることを特徴とする水和物スラリの製造装置。 - 加熱媒体は、冷却媒体より温度が高い媒体であって、冷却媒体を供給する冷凍機からの出口温水、該冷凍機からのドレン水、冷却塔の冷却水、製造された水和物スラリを利用する冷熱利用システムにおける空調負荷からの戻り水溶液のうちいずれか一つを供給することを特徴とする請求項1に記載の水和物スラリの製造装置。
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