以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.表示パネル
図1に本実施形態の集積回路装置10(表示ドライバ)が実装される表示パネル300の例を示す。表示パネル300は、アレイ基板310(アレイガラス基板)と、図示しない対向基板(対向ガラス基板)により構成される。アレイ基板310には、TFT及び画素電極がマトリクス状に配置されるTFTアレイ部312(表示部)が形成され、対向基板には対向電極が形成される。そしてこれらのアレイ基板310(広義には第1の基板)と対向基板(広義には第2の基板)の間に液晶素子(広義には電気光学素子)が封入される。
アレイ基板310には、集積回路装置10が、例えばバンプ(金バンプ、樹脂コアバンプ)などを用いてCOG(Chip On Glass)実装される。即ち、集積回路装置10に設けられた複数のバンプと、アレイ基板310に設けられた複数の端子との電気的接続が、異方性導電膜(ACF)を介して行われる。またアレイ基板310にはFPC(Flexible Printed Circuit)基板314が接続される。このFPC基板314(フレキシブル基板)には、集積回路装置10の入力信号線や出力信号線が配線され、このFPC基板314により、集積回路装置10とホストプロセッサ330(ホストプロセッサ330が実装されるメイン基板)との間の信号線の接続が行われる。
2.兼用パッド
図2に示すように集積回路装置には、ロジック回路ブロックLBと高速I/F(インターフェース)回路ブロックHBが設けられる。そしてロジック回路ブロックLBはホストI/F回路HIFを有し、このホストI/F回路HIFにより、MPU(Micro Processor Unit)インターフェースが実現される。このMPUインターフェース(パラレルインターフェース、ホストインターフェース)では、データD0〜D23、ライト信号XWR、リード信号XRD、アドレス0信号A0、チップセレクト信号XCSが用いられる(X”は負論理を意味する)。またMPUインターフェースを実現するために、複数のデータパッドPD23〜PD0や、複数の制御パッドPXWR、PXRD、PA0、PXCSが設けられる。
高速I/F回路ブロックHBは、物理層回路PHYとリンクコントローラLKCを含む。ここで物理層回路PHYは、差動信号を用いてシリアルバスを介したデータ転送を行うための回路である。具体的には物理層回路PHYは、小振幅の差動信号(差動データ信号)を構成する第1、第2の信号DP、DMや、差動信号(差動クロック信号)を構成する第1、第2の信号CKP、CKMが入力され、信号DP、DMの差動増幅や、信号CKP、CKMの差動増幅を行って、ホスト(ホストプロセッサ)からのデータを受信する。またリンクコントローラLKCは、リンク層の処理を行う。具体的には、例えば差動信号により受信したパケットの解析処理などを行う。
高速シリアル転送を実現する高速I/F回路ブロックHBを集積回路装置に組み込もうとすると、この高速I/F回路ブロックHBの面積の分だけチップ面積が増加する。またMPUインターフェース用のパッドPD23〜PD0、PXWR、PXRD、PA0、PXCSの他に、高速シリアルインターフェース用のパッドPDP、PDM、PCKP、PCKMが新たに必要になる。従って、図1に示す表示パネル300がMPUインターフェース(パラレルインターフェース)用のパネルであった場合に、パネルメーカは、高速シリアル転送を実現するために高速シリアルインターフェース用の表示パネルを、新たに設計する必要がある。これは高速シリアルインターフェースの普及の妨げとなる。
またICメーカとしては、パネルメーカの幅広い要請に応えるために、集積回路装置の機種として、MPUインターフェースを備えた機種と、高速シリアルインターフェースを備えた機種の両方を設計・開発する必要がある。従って、その分だけ開発コストが高くなり、製品管理も繁雑化する。
そこで本実施形態では、パラレルインターフェース用のパッドとシリアルインターフェース用のパッドを、同じパッドで兼用する手法を採用している。
例えば図2に示すように、集積回路装置には、複数のデータパッドPD23〜PD0が設けられる。またMPUインターフェース用の複数の制御パッドPXWR、PXRD、PA0、PXCSが設けられる。また、その各々が、複数のデータパッドPD23〜PD0の各々からCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)レベルのデータ信号を受ける複数のI/O回路(I/Oセル)C23〜C0が設けられる。同様に、その各々が、複数の制御パッドPXWR、PXRD、PA0、PXCSの各々からCMOSレベル(差動信号よりも振幅が大きな信号。例えば振幅が1.2V〜5Vの信号)の信号を受ける複数の制御パッド用のI/O回路C24〜C27が設けられる。ここでI/O回路は、入出力兼用バッファ、入力バッファ或いは出力バッファである。
高速I/F回路ブロックHBは、物理層回路PHYを有し、差動信号を用いてシリアルバスを介したデータ転送を行う。ロジック回路ブロックLBは、高速I/F回路ブロックHBや複数のI/O回路C27〜C0から信号を受ける。
そして本実施形態では、図2の複数のデータパッドPD23〜PD0少なくとも一部を、兼用パッドに設定する。そして差動信号を構成する信号DP、DMやCKP、CKMを、兼用パッドを介して物理層回路PHYに入力する。
具体的には図3(A)ではデータパッドPD23が兼用パッドに設定されている。そしてI/O回路C23は、この兼用パッドPD23を介してCMOSレベル(デジタル信号レベル)のデータ信号D23を受けてバッファリングする。バッファリングされたデータ信号D23Cはロジック回路ブロックLBに出力される。
一方、物理層回路PHYは、この兼用パッドPD23を介して差動信号を構成する第1の信号DPを受ける。
また図3(B)ではデータパッドPD22が兼用パッドに設定されている。そしてI/O回路C22は、この兼用パッドPD22を介してCMOSレベルのデータ信号D22を受けてバッファリングする。バッファリングされたデータ信号D22Cはロジック回路ブロックLBに出力される。
一方、物理層回路PHYは、この兼用パッドPD22を介して差動信号を構成する第2の信号DMを受ける。
図4にI/O回路、物理層回路のレイアウトの一例を示す。図4において物理層回路は、差動信号(差動データ信号)の第1、第2の信号DP、DMが入力されるデータ用のレシーバ回路214(広義にはレシーバ回路)を含む。また差動信号(差動クロック信号)の第1、第2の信号CKP、CKMが入力されるクロック用のレシーバ回路212(広義にはレシーバ回路)を含む。そして物理層回路のうちの少なくともデータ用のレシーバ回路214やクロック用のレシーバ回路212が、I/O回路C23〜C20等が配置されるI/O領域に配置される。即ち、通常ならばI/O回路が配置される領域に、高速シリアル転送のレシーバ回路214、212を配置する。
具体的には図4では、兼用パッドPD23(第1の兼用パッド)からのCMOSレベルのデータ信号D23が入力されるI/O回路C23(第1のI/O回路)が、I/O領域に配置される。また兼用パッドPD22(第2の兼用パッド)からのCMOSレベルのデータ信号D22が入力されるI/O回路C22(第2のI/O回路)が、I/O領域に配置される。そしてI/O回路C23、C22は、各々、データ信号D23、D22をバッファリングしてデータ信号D23C、D22Cを出力する。
データ用のレシーバ回路214は、兼用パッドPD23から入力される信号を、差動信号の第1の信号DPとして受け、兼用パッドPD22から入力される信号を、差動信号の第2の信号DMとして受ける。そしてデータ用のレシーバ回路214は、信号DP、DMの差動増幅を行い、得られたデータ信号DATACを出力する。
また図4では、兼用パッドPD21(第1の兼用パッド)からのCMOSレベルのデータ信号D21が入力されるI/O回路C21(第1のI/O回路)が、I/O領域に配置される。また兼用パッドPD20(第2の兼用パッド)からのCMOSレベルのデータ信号D20が入力されるI/O回路C20(第2のI/O回路)が、I/O領域に配置される。そしてI/O回路C21、C20は、各々、データ信号D21、D20をバッファリングしてデータ信号D21C、D20Cを出力する。
クロック用のレシーバ回路212は、兼用パッドPD21から入力される信号を、差動信号の第1の信号CKPとして受け、兼用パッドPD20から入力される信号を、差動信号の第2の信号CKMとして受ける。そしてクロック用のレシーバ回路212は、信号CKP、CKMの差動増幅を行い、得られたクロックCKCを出力する。
そして図4では、データ用のレシーバ回路214は、第1のI/O回路C23と第2のI/O回路C22の間に配置される。同様に、クロック用のレシーバ回路212は、第1のI/O回路C21と第2のI/O回路C20の間に配置される。
図4のようにレイアウト配置すれば、I/O領域を有効活用してレシーバ回路214、212を配置できるため、レイアウト効率を向上できる。
また図4では、レシーバ回路214に対して線対称にI/O回路C23、C22が配置される。従って、信号DP、DMのラインが、信号D23、D22のラインに交差するのを防止でき、兼用パッドPD23、PD22からの信号DP、DMをショートパスでレシーバ回路214に入力できる。従って、信号DP、DMのラインに、信号D23、D22からのノイズが重畳するのを防止でき、転送エラー等の発生を防止できる。
また図4では、レシーバ回路212に対して線対称にI/O回路C21、C20が配置される。従って、信号CKP、CKMのラインが、信号D21、D20のラインに交差するのを防止でき、兼用パッドPD21、PD20からの信号CKP、CKMをショートパスでレシーバ回路212に入力できる。従って、信号CKP、CKMのラインに、信号D21、D20からのノイズが重畳するのを防止でき、転送エラー等の発生を防止できる。
例えば、MPUインターフェース用のデータパッドにはCMOSレベルの振幅のデジタル信号が入力される。一方、高速シリアルインターフェースの差動入力パッドには小振幅の差動信号が入力される。従って、デジタル信号のノイズが差動信号に重畳されて、高速シリアル転送に転送エラー等が生じるおそれがあるため、データパッドと差動入力パッドは別々に設けるというのが、これまでの技術常識であった。本実施形態では、このようなこれまでの技術常識に反して、データパッドを差動入力パッドとして兼用したところに特徴がある。そしてこのようにパッドを兼用することで、以下のような利点が得られる。
第1に、MPUインターフェース用の表示パネルと高速シリアルインターフェース用の表示パネルを、いわゆるガラス・コンパチにすることができる。即ちMPUインターフェース用のデータパッドと差動入力パッドとが別個に集積回路装置に設けられていると、集積回路装置が実装される表示パネル(アレイ基板、ガラス基板)として、MPUインターフェース用に設計・開発された表示パネルを流用できない。従って、パネルメーカは、高速シリアルインターフェース用の表示パネルを新たに設計・開発しなければならなくなり、高速シリアルインターフェースへの乗り換えをパネルメーカに促すことが難しくなる。
この点、本実施形態では、MPUインターフェース用のデータパッドが差動入力パッドとして兼用されるため、MPUインターフェース用に設計・開発された表示パネルを流用して、高速シリアルインターフェース用の表示パネルとして用いることができる。従って、パネルメーカに対して、高速シリアルインターフェースへの乗り換えを促すことができ、高速シリアル転送の普及を図れる。
第2に、集積回路装置の機種数を減らすことができ、設計・開発期間を短縮できると共に、チップ面積を縮小できるため、集積回路装置の低コスト化を図れる。即ち本実施形態のようなパッド兼用手法を採用しない場合には、MPUインターフェースを備えた機種と高速シリアルインターフェースを備えた機種を、別個に設計・開発しなければならないため、集積回路装置の機種数が増え、設計・開発期間も長期化する。
この点、本実施形態では、データパッドが差動入力パッドとして兼用された1つの機種を設計・開発すれば、この1つの機種を、MPUインターフェースのみを備えた集積回路装置としてパネルメーカに提供できると共に、高速シリアルインターフェースを備えた集積回路装置としても提供できる。即ち後述する信号切り替えやマスク切り替えの手法により、1つの機種を、MPUインターフェース用と高速シリアルインターフェース用に商品展開できる。従って、設計・開発する集積回路装置の機種数を減らすことができると共に設計・開発期間を短縮でき、集積回路装置の低コスト化を図れる。
そして、このようにデータパッドを差動入力パッドとして兼用すると、兼用パッドに入力されるデジタル信号のノイズが、差動信号に重畳される事態が生じるおそれもある。この点、本実施形態では、図4のようにレイアウト手法等を工夫することで、このような事態の発生を防止している。
3.I/O回路、高速I/F回路
図5にI/O回路の構成例を示す。図5は入出力兼用バッファを備えたI/O回路の例である。電源VDDとVSSの間に直列に設けられたP型のトランジスタTQ1、N型のトランジスタTQ2は、出力バッファを構成する。トランジスタTQ1、TQ2のゲートには、各々、NAND回路NAQ1、NOR回路NOQ1の出力が接続され、NAQ1には信号DOUTとOUTENBが入力され、NOQ1には信号DOUTと信号OUTENBの反転信号が入力される。そしてトランジスタTQ1、TQ2により構成される出力バッファはDOUTに応じた電圧をノードNQに出力する。
NAND回路NAQ2とインバータ回路INQ2は入力バッファを構成する。そしてNAQ2には、データパッドPDのノードNQの信号Qと、信号INENBが入力される。
図5のI/O回路を出力バッファとして使用する場合には、信号OUTENBをHレベル(アクティブ)にする。これにより信号DOUTに応じた信号QがデータパッドPDから出力される。一方、I/O回路を入力バッファとして使用する場合には、信号INENBをHレベルにする。これにより、パッドPDからの信号Qがバッファリングされて信号DINとして入力される。なお図5はI/O回路が入出力兼用バッファである場合の例であるが、I/O回路は入力バッファ等であってもよい。
図6(A)、図6(B)にMPUインターフェースの信号波形例を示す。図6(A)はライト時の波形例であり、図6(B)はリード時の波形例である。
図6(A)では、信号XCSのLレベルと信号XWRのLレベルの重なった部分がライト信号になる。そして、データ/コマンド識別信号である信号A0がLレベルである場合には、信号XWRにより、D23〜D0のデータバスを介したコマンドライトが行われる。一方、信号A0がHレベルである場合には、信号XWRにより、D23〜D0のデータバスを介したパラメータライトが行われる。なおD23〜D0のデータバスは任意のバス幅に設定できる。
図6(B)では、信号XCSのLレベルと信号XRDのLレベルの重なった部分がリード信号になる。そして信号A0がLレベルである場合には、信号XRDにより、D23〜D0のデータバスを介したコマンドリードが行われる。一方、信号A0がHレベルである場合には、信号XRDにより、D23〜D0のデータバスを介したデータリード(及びダミーリード)が行われる。なおMPUインターフェースの信号波形は、図6(A)、図6(B)に限定されず、図6(A)、図6(B)とは異なる信号波形にしてもよい。
図7(A)に高速I/F回路200の詳細な構成例を示す。この高速I/F回路200は、物理層回路210、リンクコントローラ230、ドライバI/F回路240を含む。
物理層回路210(トランシーバ)は、差動信号(差動データ信号、差動クロック信号)を用いてデータ(パケット)やクロックを受信したり、送信するための回路である。具体的にはシリアルバスの差動信号線を電流駆動又は電圧駆動することによりデータ等の送受信が行われる。この物理層回路210は、クロック用レシーバ回路212や、データ用レシーバ回路214や、トランスミッタ回路216などを含むことができる。
リンクコントローラ230は、物理層の上層であるリンク層(或いはトランザクション層)の処理を行う。具体的には、リンクコントローラ230はパケット解析回路232を含むことができる。このパケット解析回路232は、シリアルバスを介してホスト(ホストデバイス)からパケットを受信した場合に、受信したパケットを解析する。即ち受信したパケットのヘッダとデータを分離して、ヘッダを抽出する。またリンクコントローラ230はパケット生成回路234を含むことができる。このパケット生成回路234は、シリアルバスを介してホストにパケットを送信する場合に、そのパケットの生成処理を行う。具体的には、送信するパケットのヘッダを生成し、ヘッダとデータを結合してパケットを組み立てる。そして生成したパケットの送信を、物理層回路210に指示する。
ドライバI/F回路240は、高速I/F回路200と表示ドライバの内部回路との間のインターフェース処理を行う。具体的にはドライバI/F回路240は、アドレス0信号A0、ライト信号XWR、リード信号XRD、パラレルデータ信号PDATA、チップセレクト信号XCSなどを含むホストインターフェース信号を生成して、表示ドライバの内部回路(ホストインターフェース回路46)に出力する。
図7(B)において、物理層回路220はホストデバイスに内蔵され、物理層回路210は表示ドライバに内蔵される。また212、214、226はレシーバ回路であり、216、222、224はトランスミッタ回路である。これらのレシーバ回路212、214、226、トランスミッタ回路216、222、224はイネーブル信号ENBH、ENBCにより、その動作をイネーブルにしたり、ディスエーブルにすることができる。
ホスト側のクロック用トランスミッタ回路222は、差動クロック信号CKP、CKMを出力する。クライアント側のクロック用レシーバ回路212は、この差動クロック信号CKP、CKMの差動増幅を行い、得られたクロックCKCを後段の回路に出力する。
ホスト側のデータ用トランスミッタ回路224は、差動データ信号DP、DMを出力する。クライアント側のデータ用レシーバ回路214は、この差動データ信号DP、DMの差動増幅を行い、得られたデータDATACを後段の回路に出力する。また図7(B)では、クライアント側のデータ用トランスミッタ回路216と、ホスト側のデータ用レシーバ回路226を用いて、クライアント側からホスト側にデータを転送することもできる。
なお物理層回路210の構成は図7(A)、図7(B)に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば物理層回路210は、図示しないシリアル/パラレル変換回路やパラレル/シリアル変換回路などを含むことができる。或いは、PLL(Phase Locked Loop)回路や、バイアス電圧生成回路などを含ませてもよい。またシリアルバスの差動信号線は多チャンネル構成であってもよい。また物理層回路210は、レシーバ回路とトランスミッタ回路の少なくとも一方を含むものであり、例えばトランスミッタ回路を含まない構成としてもよい。またクロック用レシーバ回路を設けずに、受信データに基づいてサンプリングクロックを生成してもよい。
4.兼用パッドの切り替え手法
本実施形態の兼用パッドの切り替え手法としては、信号切り替え手法とマスク切り替え手法がある。図8に信号切り替え手法の場合の例を示す。
図8において兼用パッドPD23、PD22は、I/O回路C23、C22及び物理層回路のレシーバ回路214に接続される。即ち兼用パッドPD23、PD22はデータ用のレシーバ回路214のDP、DMの入力端子に接続される。兼用パッドPD21、PD20は、I/O回路C21、C20及び物理層回路のレシーバ回路212に接続される。即ち兼用パッドPD21、PD20はクロック用のレシーバ回路212のCKP、CKMの入力端子に接続される。なお、兼用パッドPD23〜PD20以外の通常のデータパッドPD19〜PD0はI/O回路C19〜C0に接続される。
そして兼用パッドPD23、PD22が、CMOSレベルのデータ信号D23、D22の入力パッドとして使用されるMPUインターフェースモードでは、レシーバ回路214がディスエーブルに設定される。そしてI/O回路C23、C22がイネーブルに設定される。一方、兼用パッドPD23、PD22が、信号DP、DMの入力パッドとして使用されるシリアルインターフェースモードでは、I/O回路C23、C22がディスエーブルに設定される。そしてレシーバ回路214がイネーブルに設定される。
また兼用パッドPD21、PD20が、CMOSレベルのデータ信号D21、D20の入力パッドとして使用されるMPUインターフェースモードでは、レシーバ回路212がディスエーブルに設定される。そしてI/O回路C21、C20がイネーブルに設定される。一方、兼用パッドPD21、PD20が、信号CKP、CKMの入力パッドとして使用されるシリアルインターフェースモードでは、I/O回路C21、C20がディスエーブルに設定される。そしてレシーバ回路212がイネーブルに設定される。
具体的には図8では、MPUインターフェースモードとシリアルインターフェースモードとを切り替えるための切り替え端子となるパッドPSWが設けられる。そしてパッドPSWを介して入力される切り替え信号SPSWがHレベルになると、MPUインターフェースモードに設定される。即ちレシーバ回路214、212がディスエーブルに設定され、I/O回路C23〜C20がイネーブルに設定される。これにより、兼用パッドPD23〜PD20を介して入力されたデータ信号D23〜D20が、I/O回路C23〜C20によりバッファリングされて、ロジック回路ブロックに入力されるようになる。
一方、切り替え信号SPSWがLレベルになると、シリアルインターフェースモードに設定される。即ちI/O回路C23〜C20がディスエーブルに設定され、レシーバ回路214、212がイネーブルに設定される。これにより、兼用パッドPD23、PD22を介して入力された信号DP、DMが、レシーバ回路214により差動増幅されると共に、兼用パッドPD21、PD20を介して入力された信号CKP、CKMが、レシーバ回路212により差動増幅され、高速シリアル転送が実現される。
なおI/O回路C23〜C20のディスエーブルやイネーブル設定は、例えば図5の信号OUTENB、INENBを用いて実現できる。またレシーバ回路214、212のディスエーブルやイネーブル設定は、例えばレシーバ回路214、212の電流経路をオフにしたりオンにしたりすることにより実現できる。
図8の信号切り替え手法によれば、切り替え信号SPSWを外部から制御するだけで、集積回路装置のMPUインターフェースモードとシリアルインターフェースモードを切り替えることができ、兼用パッドPD23〜PD20をMPUインターフェース用に使用したり、シリアルインターフェース用に使用できるようになる。従って、簡素な処理で兼用パッドの切り替えが可能になり、利便性を向上できる。なお、MPUインターフェースモードとシリアルインターフェースモードの切り替えを、切り替え信号SPSWで実現するのではなく、レジスタ設定などにより実現してもよい。
次に、図8の手法を採用した場合のテスト処理について、図9(A)、図9(B)を用いて説明する。例えば図9(A)のように、通常モードにおいて、切り替え信号SPSWがLレベルに設定され、シリアルインターフェースモードに設定されたとする。この場合に、シリアルインターフェースモードでは、差動信号でデータを入力しなければならない。従って、このシリアルインターフェースモードのままで、テストモードに設定して、外部のテスタからのテスト信号により集積回路装置をテストすることは難しい。
そこで図9(B)では、通常モードにおいて集積回路装置がシリアルインターフェースモードに設定された場合にも、テストモードにおいてはMPUインターフェースモードに設定する。そしてI/O回路C23〜C0の後段に設けられたロジック回路ブロックLBは、テストモードにおいて、データパッドPD23〜PD0からI/O回路C23〜C0を介してテスタから入力されたCMOSレベルのテスト信号に基づいて、テスト処理を行う。即ちロジック回路ブロックLBに設けられたテスト回路TSTが、これらのテスト信号に基づいてテスト処理を行う。
このようにすれば、テストモードにおいては、CMOSレベルのパラレルのテスト信号に基づいてテスト処理を行うことができるため、テスト効率を向上できる。即ち通常モードでは、差動信号で高速シリアル転送を行いながら、テストモードでは、テスタが扱い易いCMOSレベルの信号を用いて、集積回路装置をテストできる。従って、高速シリアル転送とテスト効率向上とを両立できる。
図10(A)、図10(B)はマスク切り替え手法の例である。この手法では、配線のマスクを変更することで、兼用パッドの切り替えを実現している。
具体的には図10(A)に示すように、兼用パッドPD23〜PD20が、CMOSレベルのデータ信号の入力パッドとして使用される場合には、兼用パッドPD23〜PD20とI/O回路C23〜C20とを、配線により接続する。即ち兼用パッドPD23〜PD20と物理層回路PHYとが接続されずに、兼用パッドPD23〜PD20とI/O回路C23〜C20とが接続されるような配線パターンのマスクで、接続配線(金属配線)を形成する。なお図10(A)の場合に物理層回路PHY(高速I/F回路)については、バルク(アクティブ領域、ポリ配線等)だけを形成し、配線層については形成しないようにしてもよい。或いは物理層回路PHYの一部をI/O回路C23〜C20に転用してもよい。
一方、図10(B)に示すように、兼用パッドPD23〜PD20が、信号DP、DM、CKP、CKMの入力パッドとして使用される場合には、兼用パッドPD23〜PD20と物理層回路とを、配線により接続する。即ち兼用パッドPD23〜PD20とI/O回路C23〜C20とが接続されずに、兼用パッドPD23〜PD20と物理層回路PHYとが接続されるような配線パターンのマスクで、接続配線(金属配線)を形成する。なお図10(B)の場合にI/O回路C23〜C20については、バルクだけを形成し、配線層については形成しないようにしてもよい。或いはI/O回路C23〜C20の一部を物理層回路PHYに転用してもよい。
図10(A)、図10(B)の手法によれば、図8のような切り替え信号SPSWの入力端子を新たに設けなくても、マスク変更による配線変更だけで、兼用パッドの切り替えを実現できるという利点がある。
次に図10(A)、図10(B)の手法を採用した場合のテスト処理について図11を用いて説明する。例えば図11に示すように、兼用パッドPD23〜PD20と物理層回路PHYとがマスクによる配線により接続されている場合に、テストモードに設定されたとする。この場合に、シリアルインターフェースモードでは、差動信号でデータを入力しなければならない。従って、このシリアルインターフェースモードのままで、テストモードに設定して、外部のテスタからのテスト信号により集積回路装置をテストすることは難しい。
そこで図11では、ロジック回路ブロックLBは、データパッドPD23〜PD0のうち兼用パッドPD23〜PD20以外のパッドPD7〜PD0から、I/O回路C7〜C0を介して入力されたCMOSレベルのテスト信号に基づいて、テスト処理を行う。即ちロジック回路ブロックLBに設けられたテスト回路TSTが、これらのテスト信号に基づいてテスト処理を行う。
このようにすれば、通常モードのデータ転送については、物理層回路PHYを用いた高速シリアル転送で実現しながら、テストモードでは、テスタが扱い易いCMOSレベルのパラレル信号を用いて、集積回路装置をテストできる。従って、高速シリアル転送とテスタ効率向上とを両立できる。
なお図11では8ビットのテスト信号でテスト処理を行っているが、テスト信号のビット幅は任意であり、例えば16ビット幅にしてもよい。また図8〜図11ではデータパッドPD23〜PD0が兼用パッドに設定されているが、兼用パッドに設定されるデータパッドはこれに限定されない。例えば下位ビットのデータパッドを兼用パッドに設定してもよい。或いは兼用パッドに設定されるデータパッドの数は、4個より少なくてもよいし(例えば2個のDP、DM用パッド)、5個以上でもよい。
5.サブ表示パネル
図12では、ホストプロセッサ330から転送されるデータに基づいて、表示パネル300(メイン表示パネル)のみならず、サブ表示パネル340の表示動作も行われる。即ち本実施形態の集積回路装置10は、表示パネル300のデータ線を駆動するための少なくとも1つのデータドライバブロックを含み、これにより表示パネル300の表示動作が行われる。また集積回路装置10は、ホストプロセッサ330から例えば高速シリアルバス332(或いはMPUインターフェースバス)を介してデータを受信し、受信したデータを、例えばCMOSレベルのバス334(パラレルバス及びシリアルバスの少なくとも一方)を介して、サブ表示パネル340の集積回路装置342(サブ表示ドライバ)に転送する。この集積回路装置342は、サブ表示パネル340のデータ線を駆動するためのデータドライバブロック等を含み、サブ表示パネル340を駆動する。
ここでサブ表示パネル340は表示パネル300に比べて例えばそのサイズが小さいパネル(表示画素数が少ないパネル)である。そして表示パネル300は、例えばTFT(Thin Film Transistor)やTFD(Thin Film Diode)などのスイッチング素子(2端子型非線形素子)を用いたアクティブマトリクス方式のパネルにより構成できる。一方、サブ表示パネル340は、例えばSTNなどを用いた単純マトリクス方式のパネルにより構成したり、アクティブマトリクス方式のパネルにより構成できる。このサブ表示パネル340は、アレイ部352(表示部)が形成されるアレイ基板350と、図示しない対向基板により構成できる。なお表示パネル300やサブ表示パネル340は、液晶パネル以外の表示パネル(例えば有機ELパネル)であってもよい。
集積回路装置10は、例えば図示しないサブ表示パネル用インターフェース回路を含むことができる。このサブ表示パネル用インターフェース回路は、ホストプロセッサ330(ホストデバイス)から受信したパケットが、サブ表示パネル用(サブ表示ドライバ用)のコマンド又はデータを含んでいた場合に、このコマンド又はデータを、高速シリアルバス332より低速なバス334を介して、集積回路装置342(サブ表示ドライバ)に出力する。これにより表示パネル300のみならずサブ表示パネル340の表示制御も可能になる。
図13に、図12のF1に示す部分の詳細な配線接続図を示す。PD23〜PD20は兼用パッドであり、PD7〜PD0は兼用パッド以外のkビット(kは自然数)のデータバットであり、図13ではk=8になっている。PXWR、PXRD、PA0、PXCSは制御パッドである。これらの制御パッドは、MPUインターフェースモードの場合には、図6(A)、図6(B)で説明したMPUインターフェースの制御信号XWR、XRD、A0、XCSの入力パッドになる。一方、ホストプロセッサから受信したデータを、サブ表示パネル側に転送する場合には、サブ表示パネルへのデータ転送のための制御信号XWR、XRD、A0、XCSの出力パッドになる。この時、サブ表示パネルへのパラレルデータは、8ビット(kビット)のデータパッドPD7〜PD0を介して出力される。なおサブ表示パネルに対して、CMOSレベルのシリアル信号でデータを転送してもよい。
図13において、集積回路装置10のロジック回路ブロックLB(サブパネル用インターフェース回路)は、高速I/F回路HBが高速シリアルバスを介して受信したデータ(DP、DM)を受ける。そしてサブ表示パネルを駆動するためのデータ信号D7〜D0を、複数のデータパッドのうちkビット(k=8)のデータパッドPD7〜PD0を介してサブ表示パネル側(集積回路装置342)に出力する。また、データパッドPD7〜PD0によるデータ転送のための制御信号XWR、XRD、A0、XCSを、制御パッドPXWR、PXRD、PA0、PXCSを介してサブ表示パネル側に出力する。そして、データ信号D7〜D0と制御信号XWR、XRD、A0、XCSを用いてMPUインターフェース(パラレルインターフェース)によるデータ転送を行う。このようにすることで、高速シリアル転送を利用してホストプロセッサから受信したデータを、サブ表示パネル側に転送できる。
この場合に図13では、kビットのデータパッドPD7〜PD0は、兼用パッドPD23〜PD20と制御パッドPXWR、PXRD、PA0、PXCSの間に配置される。このようにすれば、高速シリアル転送の差動信号へのノイズ重畳の防止と、高速シリアル転送の受信データのサブ表示パネル側への転送とを両立できる。
即ち、仮に、下位ビットのデータパッドPD7〜PD0を兼用パッドに設定し、上位ビットのデータパッドPD23〜PD16をサブ表示パネル用のデータパッドに設定すると、ホストプロセッサからの差動信号線と、サブ表示パネル側へのデータ信号線とが交差してしまう。これにより、サブ表示パネル側へのデータ信号線のノイズが差動信号線に重畳してしまい、高速シリアル転送にエラー等が生じてしまう。
この点、図13では、上位ビットのデータパッドPD23〜PD20が兼用パッドに設定され、下位ビットのデータパッドPD7〜PD0がサブ表示パネル用のデータパッドに設定されるため、差動信号線とサブ表示パネル側へのデータ信号線とが交差しなくなり、ノイズによる高速シリアル転送のエラー等を防止できる。
6.集積回路装置の詳細なレイアウト
図14に集積回路装置10の詳細なレイアウト例を示す。図14では、集積回路装置10の短辺である第1の辺SD1から対向する第3の辺SD3へと向かう方向を第1の方向D1とし、D1の反対方向を第3の方向D3としている。また集積回路装置10の長辺である第2の辺SD2から対向する第4の辺SD4へと向かう方向を第2の方向D2とし、D2の反対方向を第4の方向D4としている。なお、図14では集積回路装置10の左辺が第1の辺SD1で、右辺が第3の辺SD3になっているが、左辺が第3の辺SD3で、右辺が第1の辺SD1であってもよい。
図14の集積回路装置10は、D1方向に沿って配置され、データ線を駆動するための複数のデータドライバブロックDB1〜DBJや、走査線を駆動するための第1、第2の走査ドライバブロックSB1、SB2を含む。また複数の階調電圧を生成する階調電圧生成回路ブロックGBや、電源電圧を生成するための電源回路ブロックPBや、高速I/F回路ブロックHBや、ロジック回路ブロックLBを含む。
ここでロジック回路ブロックLBは、高速I/F回路ブロックHBにより受信されたデータを受ける。そして、階調電圧を調整するための階調調整データを階調電圧生成回路ブロックGBに転送したり、電源電圧を調整するための電源調整データを電源回路ブロックPBに転送する。
図14では、階調電圧生成回路ブロックGBはデータドライバブロックDB1〜DBJのD3方向側に配置される。即ち最も左端にあるデータドライバブロックDB1のD3方向側に配置される。同様に電源回路ブロックPBはデータドライバブロックDB1〜DBJのD3方向側に配置される。即ち最も左端にあるデータドライバブロックDB1のD3方向側に配置される。そして高速I/F回路ブロックHB及びロジック回路ブロックLBは、データドライバブロックDB1〜DBJのD1方向側に配置される。即ち最も右端にあるデータドライバブロックDBJのD1方向側に配置される。
階調電圧生成回路ブロックGBは、第1の走査ドライバブロックSB1とデータドライバブロックDB1〜DBJとの間に配置される。高速I/F回路ブロックHBは、第2の走査ドライバブロックSB2とデータドライバブロックDB1〜DBJとの間に配置される。
また図14では、隣接する回路ブロック間では、下層の配線層で形成されるローカル線が配線される。一方、隣接しない回路ブロック間では、ローカル線よりも上層の配線層で形成されるグローバル線がD1方向に沿って配線される。そして階調電圧生成回路ブロックGBからの階調電圧をデータドライバDB1〜DBJに供給するための階調用グローバル線や、電源回路ブロックPBからの電源電圧を供給するための電源用グローバル線が、データドライバブロックDB1〜DBJ上をD1方向に沿って配線される。
図14のように集積回路装置10の両端に走査ドライバブロックSB1、SB2を配置した場合には、走査信号が出力される走査ドライバ用パッドについても、集積回路装置10の両端に配置することが、配線効率を考慮すると望ましい。一方、データドライバブロックDB1〜DBJは、集積回路装置10の中央付近に配置される。従って、データ信号が出力されるデータドライバ用パッドについては、集積回路装置10の中央付近に配置することが、配線効率を考慮すると望ましい。
このため図14では、走査ドライバ用パッド配置領域PR1、PR2を集積回路装置10の両端に設け、これらの走査ドライバ用パッド配置領域PR1、PR2の間にデータドライバ用パッド配置領域PR3を設けている。こうすることで、走査ドライバブロックSB1、SB2の出力線やデータドライバブロックDB1〜DBJの出力線を、走査ドライバ用パッド配置領域PR1、PR2のパッドやデータドライバ用パッド配置領域PR3のパッドに対して、効率良く接続できる。
また図14では、データドライバブロックDB1〜DBJが集積回路装置10の中央付近に配置される。従って、データドライバブロックDB1〜DBJのD2方向側の空きスペースに、データドライバ用パッド配置領域PR3を設けることが可能になり、空きスペースの有効活用を図れる。なお、データドライバ用パッド配置領域PR3のパッドに接続されたパネル上のデータ信号線は、アレイ基板上においてTFTアレイ部に配線される。
また図14では、データドライバブロックDB1〜DBJのD3方向側に、回路面積が大きい階調電圧生成回路ブロックGBや電源回路ブロックPBが配置される。またデータドライバブロックDB1〜DBJのD1方向側に、回路面積が大きいロジック回路ブロックLBや高速I/F回路ブロックHBが配置される。このようにすれば、これらの回路面積が大きい階調電圧生成回路ブロックGBや電源回路ブロックPBのD2方向側の空きスペースや、ロジック回路ブロックLBや高速I/F回路ブロックHBのD2方向側の空きスペースを利用して、走査ドライバ用パッドの配置領域PR1、PR2を設けることができる。従って、空きスペースを有効利用して配線効率を向上できるため、集積回路装置10のD2方向での幅を小さくできる。なお、走査ドライバ用パッド配置領域PR1、PR2のパッドに接続されたパネル上の走査信号線は、アレイ基板上においてTFTアレイ部に配線される。
また図14では、ロジック回路ブロックLBと高速I/F回路ブロックHBが隣接配置される。従って、高速I/F回路ブロックHBで受信したデータの信号線をロジック回路ブロックLBにショートパスで接続でき、レイアウト効率を向上できる。
また図14では、データドライバブロックDB1〜DBJのD1方向側に高速I/F回路ブロックHBが配置され、データドライバブロックDB1〜DBJの配置領域には、高速I/F回路ブロックHBは配置されない。従って、データドライバブロックDB1〜DBJに配線される階調用グローバル線や電源用グローバル線が、高速I/F回路ブロックHB上を通らなくて済む。従ってこれらのグローバル線からのノイズの悪影響が、高速I/F回路ブロックHBに及ぶのを防止でき、高速I/F回路ブロックHBの誤動作等を防止できる。
例えば集積回路装置10を、バンプを用いてガラス基板(アレイ基板)にCOG実装した場合、集積回路装置10の両端部のバンプでの接触抵抗が上昇してしまうという問題がある。即ち集積回路装置10とガラス基板の熱膨張係数は異なるため、熱膨張係数の差によって生じる応力(熱ストレス)は、集積回路装置10の両端部の方が、中央部よりも大きくなる。このため、集積回路装置10の両端部では、バンプでの接触抵抗が時間経過につれて上昇してしまう。特に集積回路装置10がスリムで細長になるほど、両端部と中央部の応力の差は大きくなり、両端部のバンプでの接触抵抗の上昇も大きくなる。
一方、高速I/F回路ブロックHBでは、信号の反射を防止するために送信側と受信側とでインピーダンス整合をとっている。従って、高速I/F回路ブロックHBのパッドのバンプでの接触抵抗が上昇すると、インピーダンス整合が崩れ、高速シリアル転送の信号品質が劣化するおそれもある。従って、このような接触抵抗のことを考慮すれば、高速I/F回路ブロックHBは、集積回路装置10のなるべく中央部側に配置することが望ましい。
この点、図14では、高速I/F回路ブロックHBは、集積回路装置10の最も右端側の場所ではなく、データドライバブロックDBJと走査ドライバブロックSB2の間に配置される。従って、高速I/F回路ブロックHBを最も右端側に配置した場合に比べて、バンプでの接触抵抗の上昇を、許容範囲内に抑えることができる。また接触抵抗の問題を重視しすぎて、高速I/F回路ブロックHBをデータドライバブロックDB1〜DBJの配置領域に設けると、前述したようにグローバル線からのノイズの影響で、高速I/F回路ブロックHBの性能がかえって低下する。図14のレイアウト手法によれば、接触抵抗の上昇を許容範囲内に抑えながら、グローバル線からのノイズによる性能劣化の問題を解消できる。なお、ノイズが許容できる場合には、例えばデータドライバブロックDBJのD4方向側のI/O領域等に高速I/F回路ブロックHB(物理層回路、レシーバ回路)を配置してもよい。
7.集積回路装置の回路構成例
図15に本実施形態の集積回路装置(表示ドライバ)の回路構成例を示す。なお本実施形態の集積回路装置は図15の回路構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
表示パネルは、複数のデータ線(ソース線)と、複数の走査線(ゲート線)と、データ線及び走査線により特定される複数の画素を有する。そして各画素領域における電気光学素子(狭義には液晶素子)の光学特性を変化させることで、表示動作を実現する。この表示パネルは、TFT、TFDなどのスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式のパネルにより構成できる。なお表示パネルは、アクティブマトリクス方式以外のパネルであってもよいし、液晶パネル以外のパネル(有機ELパネル等)であってもよい。
メモリ20(表示データRAM)は画像データを記憶する。メモリセルアレイ22は複数のメモリセルを含み、少なくとも1フレーム(1画面)分の画像データ(表示データ)を記憶する。ローアドレスデコーダ24(MPU/LCDローアドレスデコーダ)はローアドレスについてのデコード処理を行い、メモリセルアレイ22のワード線の選択処理を行う。カラムアドレスデコーダ26(MPUカラムアドレスデコーダ)はカラムアドレスについてのデコード処理を行い、メモリセルアレイ22のビット線の選択処理を行う。ライト/リード回路28(MPUライト/リード回路)はメモリセルアレイ22への画像データのライト処理や、メモリセルアレイ22からの画像データのリード処理を行う。
ロジック回路40(ドライバ用ロジック回路)は、表示タイミングを制御するための制御信号やデータ処理タイミングを制御するための制御信号などを生成する。このロジック回路40は例えばゲートアレイ(G/A)などの自動配置配線により形成できる。
制御回路42は各種制御信号を生成したり、装置全体の制御を行う。具体的には階調電圧生成回路110に対して、階調特性(γ特性)を調整するための階調調整データ(γ補正データ)を出力したり、電源回路90に対して、電源電圧を調整するための電源調整データを出力する。またローアドレスデコーダ24、カラムアドレスデコーダ26、ライト/リード回路28を用いたメモリへのライト/リード処理を制御する。表示タイミング制御回路44は表示タイミングを制御するための各種の制御信号を生成し、メモリ20から表示パネル側への画像データの読み出しを制御する。ホスト(MPU)インターフェース回路46は、ホストからのアクセス毎に内部パルスを発生してメモリ20にアクセスするホストインターフェースを実現する。RGBインターフェース回路48は、ドットクロックにより動画のRGBデータをメモリ20に書き込むRGBインターフェースを実現する。なおホストインターフェース回路46、RGBインターフェース回路48のいずれか一方のみを設ける構成としてもよい。
データドライバ50は、表示パネルのデータ線を駆動するためのデータ信号を生成する回路である。具体的にはデータドライバ50は、メモリ20から画像データ(階調データ)を受け、階調電圧生成回路110から複数(例えば256段階)の階調電圧(基準電圧)を受ける。そして、これらの複数の階調電圧の中から、画像データに対応する電圧を選択して、データ信号(データ電圧)として表示パネルのデータ線に出力する。
走査ドライバ70は表示パネルの走査線を駆動するための走査信号を生成する回路である。具体的には、内蔵するシフトレジスタにおいて信号(イネーブル入出力信号)を順次シフトし、このシフトされた信号をレベル変換した信号を、走査信号(走査電圧)として表示パネルの各走査線に出力する。なお走査ドライバ70に、走査アドレス生成回路やアドレスデコーダを含ませ、走査アドレス生成回路が走査アドレスを生成して出力し、アドレスデコーダが走査アドレスのデコード処理を行うことで、走査信号を生成してもよい。
電源回路90は各種の電源電圧を生成する回路である。具体的には、入力電源電圧や内部電源電圧を、内蔵する昇圧回路が含む昇圧用キャパシタや昇圧トランジスタを用いてチャージポンプ方式で昇圧する。そして昇圧により得られた電圧を、データドライバ50、走査ドライバ70、階調電圧生成回路110などに供給する。
階調電圧生成回路(γ補正回路)110は階調電圧を生成してデータドライバ50に供給する回路である。具体的には階調電圧生成回路110は、高電位側電源と低電位側電源の間を抵抗分割し、抵抗分割ノードに階調電圧を出力するラダー抵抗回路を含むことができる。また階調調整データが書き込まれる階調レジスタ部や、書き込まれた階調調整データに基づいて、抵抗分割ノードに出力される階調電圧を可変に設定(制御)する階調電圧設定回路などを含むことができる。
高速I/F回路200(シリアルインターフェース回路)は、シリアルバスを介した高速シリアル転送を実現する回路である。具体的には、シリアルバスの差動信号線を電流駆動又は電圧駆動することにより、ホスト(ホストデバイス)との間で高速シリアル転送が実現される。
8.細長の集積回路装置
図16に集積回路装置10の配置例を示す。集積回路装置10は、D1方向に沿って配置される第1〜第Nの回路ブロックCB1〜CBN(Nは2以上の整数)を含む。また集積回路装置10は、第1〜第Nの回路ブロックCB1〜CBNのD2方向側に辺SD4に沿って設けられる出力側I/F領域12(広義には第1のインターフェース領域)を含む。また第1〜第Nの回路ブロックCB1〜CBNのD4方向側に辺SD2に沿って設けられる入力側I/F領域14(広義には第2のインターフェース領域)を含む。より具体的には、出力側I/F領域12は、回路ブロックCB1〜CBNのD2方向側に、例えば他の回路ブロック等を介さずに配置される。なお集積回路装置10をIP(Intellectual Property)コアとして用いて他の集積回路装置に組み込む場合等には、出力側I/F領域、入力側I/F領域(第1、第2のI/O領域)12、14の少なくとも一方を設けない構成とすることもできる。
出力側(表示パネル側)I/F領域12は、表示パネルとのインターフェースとなる領域であり、パッドや、パッドに接続される出力用トランジスタ、保護素子などの種々の素子を含むことができる。具体的には、データ線へのデータ信号や走査線への走査信号を出力するための出力用トランジスタなどを含むことができる。なお表示パネルがタッチパネルである場合等には、入力用トランジスタを含んでもよい。
入力側(ホスト側)I/F領域14は、ホスト(MPU、画像処理コントローラ、ベースバンドエンジン)とのインターフェースとなる領域であり、パッドや、パッドに接続される入力用(入出力用)トランジスタ、出力用トランジスタ、保護素子などの種々の素子を含むことができる。具体的には、ホストからの信号(デジタル信号)を入力するための入力用トランジスタやホストへの信号を出力するための出力用トランジスタなどを含むことができる。
なお、短辺である辺SD1、SD3に沿った出力側I/F領域や入力側I/F領域を設けるようにしてもよい。また外部接続端子となるバンプ等は、I/F(インターフェース)領域12、14に設けてもよいし、それ以外の領域(第1〜第Nの回路ブロックCB1〜CBN)に設けてもよい。I/F領域12、14以外の領域に設ける場合には、金バンプ以外の小型バンプ技術(樹脂をコアとするバンプ技術など)を用いることで実現される。
また第1〜第Nの回路ブロックCB1〜CBNは、少なくとも2つ(或いは3つ)の異なる回路ブロック(異なる機能を持つ回路ブロック)を含むことができる。集積回路装置10が表示ドライバである場合を例にとれば、回路ブロックCB1〜CBNは、データドライバ、メモリ、走査ドライバ、ロジック回路、階調電圧生成回路、電源回路のブロックの少なくとも2つを含むことができる。更に具体的には回路ブロックCB1〜CBNは、少なくともデータドライバ、ロジック回路のブロックを含むことができ、更に階調電圧生成回路のブロックを含むことができる。またメモリ内蔵タイプの場合にはメモリのブロックを含むことができる。
図17(A)、図17(B)に集積回路装置10の平面レイアウトの詳細例を示す。図17(A)、図17(B)において、第1〜第Nの回路ブロックCB1〜CBNは、第1〜第4のメモリブロックMB1〜MB4(広義には第1〜第Iのメモリブロック。Iは2以上の整数)を含む。また第1〜第4のメモリブロックMB1〜MB4の各々に対して、D1方向に沿ってその各々が隣接して配置される第1〜第4のデータドライバブロックDB1〜DB4(広義には第1〜第Iのデータドライバブロック)を含む。具体的にはメモリブロックMB1とデータドライバブロックDB1がD1方向に沿って隣接して配置され、メモリブロックMB2とデータドライバブロックDB2がD1方向に沿って隣接して配置される。そしてデータドライバブロックDB1がデータ線を駆動するために用いる画像データ(表示データ)は、隣接するメモリブロックMB1が記憶し、データドライバブロックDB2がデータ線を駆動するために用いる画像データは、隣接するメモリブロックMB2が記憶する。
また図17(A)、図17(B)では、集積回路装置10の両端に走査ドライバブロックSB1、SB2が配置される。なお、これらの走査ドライバブロックSB1、SB2の一方のみを設けたり、SB1、SB2を設けない変形実施も可能である。
そして図17(A)では、データドライバブロックDB1〜DB4(メモリブロックMB1〜MB4)のD3方向側に、階調電圧生成回路ブロックGBや電源回路ブロックPB2が配置される。またデータドライバブロックDB1〜DB4(MB1〜MB4)のD1方向側にロジック回路ブロックLBや高速I/F回路ブロックHBが配置される。また階調電圧生成回路ブロックGBは、電源回路ブロックPB2とデータドライバブロックDB1〜DB4(MB1〜MB4)との間に配置される。またロジック回路ブロックLBと高速I/F回路ブロックHBはD1方向において隣接配置される。
なお図17(A)では、ロジック回路ブロックLBのD4方向側に物理層回路PHYが設けられている。またVCBは対向電極に印加されるコモン電圧を生成するVCOM生成回路である。
また図17(A)では、細長の電源回路ブロックPB1が、回路ブロックCB1〜CBN(データドライバブロックDB1〜DB4)と入力側I/F領域14(第2のインターフェース領域)との間に、D1方向に沿って配置される。この電源回路ブロックPB1は、D1方向を長辺とし、D2方向を短辺とし、D2方向での幅が極めて狭い回路ブロック(WB以下の幅の細長回路ブロック)である。電源回路ブロックPB1は、チャージポンプにより電圧の昇圧を行う昇圧回路の昇圧トランジスタや、昇圧制御回路などを含むことができる。一方、電源回路ブロックPB2は、電源電圧を調整するための電源調整データが書き込まれる電源レジスタ部や、チャージポンプにより電圧の昇圧を行う昇圧回路により昇圧された電圧を調整するレギュレータなどを含むことができる。
一方、図17(B)では、階調電圧生成回路ブロックGBとロジック回路ブロックLBが隣接配置される。そして電源回路ブロックPBと、階調電圧生成回路ブロックGB及びロジック回路ブロックLBとの間に、データドライバブロックDB1〜DB4(MB1〜MB4)が配置される。このようにすれば、ロジック回路ブロックLBからの階調電圧の設定信号をショートパスで階調電圧生成回路ブロックGBに入力することが可能になる。
また図17(B)では、高速I/F回路HB(物理層回路)がロジック回路ブロックLBのD4方向側に配置される。このようにすれば差動入力パッドからの差動入力信号を高速I/F回路ブロックHBにショートパスで入力できる。また物理層回路PHYとI/O回路でのデータパッドの兼用が容易になる。
なお本実施形態の集積回路装置10のレイアウト配置は図17(A)、図17(B)に限定されない。例えばメモリブロックやデータドライバブロックのブロック数を2、3或いは5以上にしてもよいし、メモリブロックやデータドライバブロックをブロック分割しない構成にしてもよい。またメモリブロックとデータドライバブロックが隣接しないようにする変形実施も可能である。またメモリブロック、走査ドライバブロック、電源回路ブロック又は階調電圧生成回路ブロックなどを設けない構成としてもよい。例えばメモリ非内蔵の場合にはメモリブロックを省略でき、表示パネルのガラス基板に走査ドライバを形成できる場合には、走査ドライバブロックを省略できる。またCSTN(Color Super Twisted Nematic)パネル、TFD(Thin Film Diode)パネル用では、階調電圧生成回路ブロックを省略できる。また回路ブロックCB1〜CBNと出力側I/F領域12や入力側I/F領域14の間に、D2方向での幅が極めて狭い回路ブロック(WB以下の細長回路ブロック)を設けてもよい。また回路ブロックCB1〜CBNが、異なる回路ブロックがD2方向に多段に並んだ回路ブロックを含んでもよい。例えば走査ドライバ回路と電源回路を1つの回路ブロックとした構成としてもよい。
図18(A)に、集積回路装置10のD2方向に沿った断面図の例を示す。ここでW1、WB、W2は、各々、出力側I/F領域12、回路ブロックCB1〜CBN、入力側I/F領域14のD2方向での幅である。この幅W1、WB、W2は、各々、出力側I/F領域12、回路ブロックCB1〜CBN、入力側I/F領域14のトランジスタ形成領域(バルク領域、アクティブ領域)の幅(最大幅)であり、バンプの形成領域は含まない。またWは集積回路装置10のD2方向での幅である。この場合に、例えばW1+WB+W2≦W<W1+2×WB+W2の関係が成り立つ。或いは、W1+W2<WBが成り立つため、W<2×WBの関係が成り立つ。
図18(B)の配置手法では、D2方向での幅が広い2以上の複数の回路ブロックがD2方向に沿って配置される。具体的にはデータドライバブロックとメモリブロックがD2方向に沿って配置される。
例えば図18(B)においてホスト側からの画像データはメモリブロックに書き込まれる。そしてデータドライバブロックは、メモリブロックに書き込まれたデジタルの画像データをアナログのデータ電圧に変換して、表示パネルのデータ線を駆動する。従って画像データの信号の流れはD2方向である。このため図18(B)では、この信号の流れに合わせて、メモリブロックとデータドライバブロックをD2方向に沿って配置している。
ここで、図18(B)の配置手法には以下のような課題がある。
第1に、表示ドライバなどの集積回路装置では、低コスト化のためにチップサイズの縮小が要求される。ところが、微細プロセスを採用し、集積回路装置を単純にシュリンクしてチップサイズを縮小すると、短辺方向のみならず長辺方向も縮小されてしまい、狭ピッチのために実装が困難になる。
第2に、表示ドライバでは、表示パネルの種類(アモルファスTFT、低温ポリシリコンTFT)や画素数(QCIF、QVGA、VGA)や製品の仕様などに応じて、メモリやデータドライバの構成が変わる。従って図18(B)の配置手法では、ある製品ではパッドピッチとメモリのセルピッチとデータドライバのセルピチが一致していたとしても、メモリやデータドライバの構成が変わると、これらのピッチが一致しなくなる。ピッチが一致しなくなると、回路ブロック間に、ピッチの不一致を吸収するための無駄な配線領域を形成しなければならなくなる。この結果、集積回路装置のD2方向での幅が大きくなり、チップ面積が増加し、コスト増を招く。一方、このような事態を避けるために、パッドピッチとセルピッチが揃うようにメモリやデータドライバのレイアウトを変更すると、開発期間が長期化し、結局、コスト増を招く。
これに対して図16〜図17(B)の配置手法では複数の回路ブロックCB1〜CBNがD1方向に沿って配置される。また図18(A)では、パッド(バンプ)の下にトランジスタ(回路素子)を配置できる(能動面バンプ)。また回路ブロック内の配線であるローカル配線よりも上層(パッドよりも下層)で形成されるグローバル配線により、回路ブロック間や、回路ブロックとI/F領域間等での信号線を形成できる。従って、集積回路装置10のD1方向での長さを維持したままで、D2方向での幅Wを狭くでき、スリムな細長チップを実現できる。
また図16〜図17(B)の配置手法では回路ブロックCB1〜CBNがD1方向に沿って配置されるため、製品の仕様変更等に容易に対応できる。即ち共通のプラットフォームを用いて様々な仕様の製品を設計できるため、設計効率を向上できる。例えば、表示パネルの画素数や階調数が増減した場合にも、メモリブロックやデータドライバブロックのブロック数や、1水平走査期間での画像データの読み出し回数等を増減するだけで対応できる。また、例えば低温ポリシリコンTFTパネルのように走査ドライバを表示パネル側に形成できる場合等には、回路ブロックCB1〜CBNの中から走査ドライバブロックを取り除くだけで済む。またメモリ非内蔵の製品を開発する場合には、メモリブロックを取り除けば済む。そしてこのように仕様に合わせて回路ブロックを取り除いても、それが他の回路ブロックに及ぼす影響が最小限に抑えられるため、設計効率を向上できる。
また図16〜図17(B)の配置手法では、各回路ブロックCB1〜CBNのD2方向での幅(高さ)を、例えばデータドライバブロックやメモリブロックの幅(高さ)に統一できる。そして各回路ブロックのトランジスタ数が増減した場合には、各回路ブロックのD1方向での長さを増減することで調整できるため、設計を更に効率化できる。例えば、階調電圧生成回路ブロックやロジック回路ブロックの構成が変更になり、トランジスタ数が増減した場合にも、階調電圧生成回路ブロックやロジック回路ブロックのD1方向での長さを増減することで対応できる。
9.ブロック分割
図19(A)に示すように表示パネルが、垂直走査方向(データ線方向)での画素数がVPN=320であり、水平走査方向(走査線方向)での画素数がHPN=240であるQVGAのパネルであったとする。また1画素分の画像(表示)データのビット数PDBが、R、G、Bの各々が8ビットであり、PDB=24ビットであったとする。この場合には、表示パネルの1フレーム分の表示に必要な画像データのビット数は、VPN×HPN×PDB=320×240×24ビットになる。従って集積回路装置のメモリは、少なくとも320×240×24ビット分の画像データを記憶することになる。またデータドライバは、1水平走査期間毎(1本の走査線が走査される期間毎)に、HPN=240本分のデータ信号(240×24ビット分の画像データに対応するデータ信号)を表示パネルに対して出力する。
そして図19(B)では、データドライバは、DBN=4個のデータドライバブロックDB1〜DB4に分割される。またメモリも、MBN=DBN=4個のメモリブロックMB1〜MB4に分割される。即ち、例えばデータドライバブロック、メモリブロック、パッドブロックをマクロセル化した4個のドライバマクロセルDMC1、DMC2、DMC3、DMC4がD1方向に沿って配置される。従って、各データドライバブロックDB1〜DB4は、1水平走査期間毎にHPN/DBN=240/4=60本分のデータ信号を表示パネルに出力する。また各メモリブロックMB1〜MB4は、(VPN×HPN×PDB)/MBN=(320×240×24)/4ビット分の画像データを記憶する。
10. 1水平走査期間での複数回読み出し
図19(B)では、各データドライバブロックDB1〜DB4は、1水平走査期間に60本分(R、G、Bを3本とすると、60×3=180本)のデータ信号を出力する。従ってDB1〜DB4に対応するメモリブロックMB1〜MB4からは、1水平走査期間毎に240本分のデータ信号に対応する画像データを読み出す必要がある。
しかしながら、1水平走査期間毎に読み出す画像データのビット数が増えると、D2方向に並ぶメモリセル(センスアンプ)の個数を多くする必要が生じる。この結果、集積回路装置のD2方向での幅Wが大きくなり、チップのスリム化が妨げられる。またワード線WLが長くなり、WLの信号遅延の問題も招く。
このような問題を解決するためには、各メモリブロックMB1〜MB4から各データドライバブロックDB1〜DB4に対して、各メモリブロックMB1〜MB4に記憶される画像データを1水平走査期間において複数回(RN回)読み出す手法を採用することが望ましい。
例えば図20ではA1、A2に示すように、1水平走査期間においてRN=2回だけメモリアクセス信号MACS(ワード選択信号)がアクティブ(ハイレベル)になる。これにより各メモリブロックから各データドライバブロックに対して画像データが1水平走査期間においてRN=2回読み出される。すると、データドライバブロック内に設けられた図21のデータドライバDRa、DRbのラッチ回路が、A3、A4に示すラッチ信号LATa、LATbに基づいて、読み出された画像データをラッチする。そしてデータドライバDRa、DRbのマルチプレクサが、ラッチされた画像データの多重化を行い、DRa、DRbのD/A変換器が、多重化後の画像データのD/A変換を行う。そしてデータドライバDRa、DRbの出力回路が、D/A変換により得られたデータ信号DATAa、DATAbをA5、A6に示すように出力する。その後、A7に示すように、表示パネルの各画素のTFTのゲートに入力される走査信号SCSELがアクティブになり、データ信号が表示パネルの各画素に入力されて保持される。
なお図20では第1の水平走査期間で画像データを2回読み出し、同じ第1の水平走査期間においてデータ信号DATAa、DATAbをデータ信号出力線に出力している。しかしながら、第1の水平走査期間で画像データを2回読み出してラッチしておき、次の第2の水平走査期間で、ラッチされた画像データに対応するデータ信号DATAa、DATAbをデータ信号出力線に出力してもよい。また図20では、読み出し回数RN=2である場合を示しているが、RN≧3であってもよい。
図20の手法によれば、図21に示すように、各メモリブロックから30本分のデータ信号に対応する画像データが読み出され、各データドライバDRa、DRbが30本分のデータ信号を出力する。これにより各データドライバブロックからは60本分のデータ信号が出力される。このように図20では、各メモリブロックからは、1回の読み出しにおいて30本分のデータ信号に対応する画像データを読み出せば済むようになる。従って1水平走査期間に1回だけ読み出す手法に比べて、図21のD2方向でのメモリセル、センスアンプの個数を少なくすることが可能になる。この結果、集積回路装置のD2方向での幅を小さくでき、スリムな細長チップを実現できる。特に1水平走査期間の長さは、QVGAの場合は52μsec程度である。一方、メモリの読み出し時間は例えば40nsec程度であり、52μsecに比べて十分に短い。従って、1水平走査期間での読み出し回数を1回から複数回に増やしたとしても、表示特性に与える影響はそれほど大きくない。
また図19(A)はQVGA(320×240)の表示パネルであるが、1水平走査期間での読み出し回数を例えばRN=4にすれば、VGA(640×480)の表示パネルに対応することも可能になり、設計の自由度を増すことができる。
なお1水平走査期間での複数回読み出しは、各メモリブロック内で異なる複数のワード線をローアドレスデコーダ(ワード線選択回路)が1水平走査期間において選択する第1の手法で実現してもよいし、各メモリブロック内で同じワード線をローアドレスデコーダ(ワード線選択回路)が1水平走査期間において複数回選択する第2の手法で実現してもよい。或いは第1、第2の手法の両方の組み合わせにより実現してもよい。
さて図21において、データドライバブロックは、D1方向に沿って並んで配置される複数のデータドライバDRa、DRbを含む。また各データドライバDRa、DRbは、複数のドライバセルを含む。
データドライバDRaは、メモリブロックのワード線WL1aが選択され、図20のA1に示すように1回目の画像データがメモリブロックから読み出されると、A3に示すラッチ信号LATaに基づいて、読み出された画像データをラッチし、ラッチされた画像データの多重化を行う。そして多重化された画像データのD/A変換を行い、1回目の読み出し画像データに対応するデータ信号DATAaを、A5に示すように出力する。
一方、データドライバDRbは、メモリブロックのワード線WL1bが選択され、図20のA2に示すように2回目の画像データがメモリブロックから読み出されると、A4に示すラッチ信号LATbに基づいて、読み出された画像データをラッチし、ラッチされた画像データの多重化を行う。そして多重化された画像データのD/A変換を行い、2回目の読み出し画像データに対応するデータ信号DATAbを、A6に示すように出力する。
このようにして、各データドライバDRa、DRbが30個の画素に対応する30本分のデータ信号を出力することで、合計で60個の画素に対応する60本分のデータ信号が出力されるようになる。
図21のように、複数のデータドライバDRa、DRbをD1方向に沿って配置(スタック)すれば、データドライバの規模の大きさが原因になって集積回路装置のD2方向での幅Wが大きくなってしまう事態を防止できる。またデータドライバは、表示パネルのタイプに応じて種々の構成が採用される。この場合にも、複数のデータドライバをD1方向に沿って配置する手法によれば、種々の構成のデータドライバを効率良くレイアウトすることが可能になる。なお図21ではD1方向でのデータドライバの配置数が2個である場合を示しているが、配置数は3個以上でもよい。
また図21では、各データドライバDRa、DRbは、D2方向に沿って並んで配置される30個(Q個)のドライバセルを含む。そして図21において、表示パネルの水平走査方向の画素数(複数の集積回路装置により分担して表示パネルのデータ線を駆動する場合には、各集積回路装置が受け持つ水平走査方向の画素数)をHPNとし、データドライバブロックのブロック数(ブロック分割数)をDBNとし、ドライバセルに対して1水平走査期間に入力される画像データの入力回数をINとしたとする。なおINは、図20で説明した1水平走査期間での画像データの読み出し回数RNと等しくなる。この場合に、ドライバセルの個数Qは、Q=HPN/(DBN×IN)と表すことができる。図21の場合には、HPN=240、DBN=4、IN=2であるため、Q=240/(4×2)=30個になる。
また表示パネルの水平走査方向のサブピクセル数をHPNSとし、各ドライバセルのマルチプレクサの多重化数をNDMとしたとする。すると、D2方向に沿って並ぶドライバセルの個数Qは、Q=HPNS/(DBN×IN×NDM)と表すことができる。図21の場合には、HPNS=240×3=720、DBN=4、IN=2、NDM=3であるため、Q=720/(4×2×3)=30個になる。例えば多重化数が増えてNDM=6になると、Q=720/(4×2×6)=15個になる。
またドライバセルのD2方向での幅(ピッチ)をWDとし、データドライバブロックが含む周辺回路部分(バッファ回路、配線領域等)のD2方向での幅をWPCBとした場合に、第1〜第Nの回路ブロックCB1〜CBNのD2方向での幅WB(最大幅)は、Q×WD≦WB<(Q+1)×WD+WPCBと表すことができる。またメモリブロックが含む周辺回路部分(ローアドレスデコーダRD、配線領域等)のD2方向での幅をWPCとした場合には、Q×WD≦WB<(Q+1)×WD+WPCと表すことができる。
また表示パネルの水平走査方向の画素数をHPNとし、1画素分の画像データのビット数をPDBとし、メモリブロックのブロック数をMBN(=DBN)とし、1水平走査期間においてメモリブロックから読み出される画像データの読み出し回数をRNとしたとする。この場合に、センスアンプブロックSABにおいてD2方向に沿って並ぶセンスアンプ(1ビット分の画像データを出力するセンスアンプ)の個数Pは、P=(HPN×PDB)/(MBN×RN)と表すことができる。図21の場合には、HPN=240、PDB=24、MBN=4、RN=2であるため、P=(240×24)/(4×2)=720個になる。なお個数Pは、有効メモリセル数に対応する有効センスアンプ数であり、ダミーメモリセル用のセンスアンプ等の有効ではないセンスアンプの個数は含まない。
また表示パネルの水平走査方向のサブピクセル数をHPNSとし、各ドライバセルのマルチプレクサの多重化数をNDMとしたとする。すると、D2方向に沿って並ぶセンスアンプの個数Pは、P=(HPNS×PDB)/(MBN×RN×NDM)と表すことができる。図21の場合には、HPNS=240×3=720、PDB=24、MBN=4、RN=2、NDM=3であるため、P=(720×24)/(4×2×3)=720個になる。
またセンスアンプブロックSABが含む各センスアンプのD2方向での幅(ピッチ)をWSとした場合には、センスアンプブロックSAB(メモリブロック)のD2方向での幅WSABは、WSAB=P×WSと表すことができる。そして、回路ブロックCB1〜CBNのD2方向での幅WB(最大幅)は、メモリブロックが含む周辺回路部分のD2方向での幅をWPCとした場合には、P×WS≦WB<(P+PDB)×WS+WPCと表すこともできる。
11.電子機器
図22(A)、図22(B)に本実施形態の集積回路装置10を含む電子機器(電気光学装置)の例を示す。なお電子機器は図22(A)、図22(B)に示されるもの以外の構成要素(例えばカメラ、操作部又は電源等)を含んでもよい。また本実施形態の電子機器は携帯電話機には限定されず、デジタルカメラ、PDA、電子手帳、電子辞書、プロジェクタ、リアプロジェクションテレビ、或いは携帯型情報端末などであってもよい。
図22(A)、図22(B)においてホストデバイス410は、例えばMPU、ベースバンドエンジンなどである。このホストデバイス410は、表示ドライバである集積回路装置10の制御を行う。或いはアプリケーションエンジンやベースバンドエンジンとしての処理や、圧縮、伸長、サイジングなどのグラフィックエンジンとしての処理を行うこともできる。また図22(B)の画像処理コントローラ420は、ホストデバイス410に代行して、圧縮、伸長、サイジングなどのグラフィックエンジンとしての処理を行う。
図22(A)の場合には、集積回路装置10としてメモリ内蔵のものを用いることができる。即ちこの場合には集積回路装置10は、ホストデバイス410からの画像データを、一旦内蔵メモリに書き込み、書き込まれた画像データを内蔵メモリから読み出して、表示パネルを駆動する。一方、図22(B)の場合には、集積回路装置10としてメモリ非内蔵のものを用いることができる。即ちこの場合には、ホストデバイス410からの画像データは、画像処理コントローラ420の内蔵メモリに書き込まれる。そして集積回路装置10は、画像処理コントローラ420の制御の下で、表示パネル400を駆動する。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1のインターフェース領域、第2のインターフェース領域、電気光学素子等)と共に記載された用語(出力側I/F領域、入力側I/F領域、液晶素子等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また図1〜図13で説明したパッドの兼用手法は、図16〜図18(A)で説明した配置構成の集積回路装置のみならず、他の配置構成の集積回路装置にも適用でき、例えば図18(B)の配置構成の集積回路装置にも適用できる。またCMOSレベルの信号は小振幅の差動信号よりも大きな振幅レベルの信号であればよい。