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JP4876376B2 - プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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JP4876376B2 JP2004201574A JP2004201574A JP4876376B2 JP 4876376 B2 JP4876376 B2 JP 4876376B2 JP 2004201574 A JP2004201574 A JP 2004201574A JP 2004201574 A JP2004201574 A JP 2004201574A JP 4876376 B2 JP4876376 B2 JP 4876376B2
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Description

本発明はプロピレン系ブロック共重合体の製造方法に関する。
ポリプロピレン樹脂は、その優れた物理的性質により近年著しい需要の伸びを示している。結晶性のプロピレン重合体は優れた剛性と耐熱性を有するが、低温においては脆いという欠点があるため、エチレン等プロピレン以外のオレフィンとの低結晶性もしくは非結晶性共重合体成分を、多段重合法等によって含有せしめることによる改良方法が採られることがある。
上記のような多段重合法で、プロピレン系ブロック共重合体を製造する方法は、一般的に、第一の重合工程において第一のプロピレン系重合体成分を製造した後、ひきつづき該成分の存在下に第二の重合工程において第二のプロピレン系重合体成分を製造するものである。
ところで、プロピレンの重合に際して分子量を調節する手段としては、水素を系内に添加して重合する方法が知られているが、プロピレン重合用触媒の立体規則性および重合活性の性能向上に伴い、水素による分子量制御性が低下する傾向がある。そのため、第一工程で分子量の低い成分を得ようとすると、多量の水素の使用が必要となり、その結果、この水素が第二工程に混入する量が増加するので、第二工程において分子量の高いプロピレン系重合体成分を製造することがより困難になってきた。そこで、第一工程で分子量の低いプロピレン系重合体成分を製造し、第二工程で分子量の高いプロピレン系重合体成分を製造しようとする場合には、煩雑で不安定要因となりうるプロセスを設ける必要が生じるなど、その分子量制御そのものに制約を受けることがあった。
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、煩雑で不安定要因となりうるプロセスを設ける必要なく、比較的低分子量のプロピレン系重合体成分と、比較的高分子量のプロピレン系重合体成分を含むプロピレン系ブロック共重合体の分子量制御が容易な製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、下記の成分(A)〜(C)を接触させて得られる重合用触媒の存在下に、第一工程においてプロピレン系重合体成分(1)を製造し、第二工程において該成分(1)の存在下にプロピレン系重合体成分(2)を製造し、該プロピレン系重合体成分(1)および(2)の極限粘度をそれぞれ[η]Pおよび[η]EPとしたとき、その比[η]EP/[η]Pが2以上であるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法にかかるものである。
(A)チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を必須成分とする固体触媒成分
(B)アルミニウム−メチル結合を有する有機アルミニウム化合物
(C)電子供与性化合物
本発明によれば、煩雑で不安定要因となりうるプロセスを設けることなく、比較的低分子量のプロピレン系重合体成分と、比較的高分子量のプロピレン系重合体成分を含むプロピレン系ブロック共重合体の分子量制御が容易な製造方法が提供される。
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体は、第一工程においてプロピレン系重合体成分(1)を製造し、第二工程において該成分(1)の存在下にプロピレン系重合体成分(2)を製造して得られ、該プロピレン系重合体成分(1)および(2)の極限粘度をそれぞれ[η]Pおよび[η]EPとしたとき、その比[η]EP/[η]Pが2以上であるプロピレン系ブロック共重合体である。
プロピレン系重合体成分(1)と(2)とが、それぞれ結晶性の高い成分と結晶性の低いもしくは非結晶性の成分であると、耐衝撃性および引張強度に優れるため好ましい。即ち本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体として好ましくは、第一工程において高結晶性のプロピレン系重合体成分(1)を製造し、第二工程において該成分(1)の存在下に低結晶性もしくは非結晶性のプロピレン系重合体成分(2)を製造して得られるプロピレン系ブロック共重合体である。
かかるプロピレン系重合体成分(1)としてより好ましくは、プロピレンの単独重合あるいはプロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα−オレフィンとの共重合を行なうことにより得られ、エチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα−オレフィンから誘導される繰り返し構造単位の含有量が0〜2重量%のプロピレン系重合体成分である。さらに好ましくはプロピレンの単独重合体である。また、かかるプロピレン系重合体成分(2)としてより好ましくは、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα−オレフィンとの共重合を行なうことにより得られ、エチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα−オレフィンから誘導される繰り返し構造単位の含有量が10〜60重量%のプロピレン系重合体成分である。
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体は、前記プロピレン系重合体成分(1)の含有量が、プロピレン系ブロック共重合体全体に対して40〜98重量%であることが好ましく、50〜95重量%であることがさらに好ましい。
本発明においては、前記プロピレン系重合体成分(1)および(2)の極限粘度をそれぞれ[η]Pおよび[η]EPとしたとき、その比[η]EP/[η]Pが2以上であり、好ましくは5〜20であり、より好ましくは6〜15である。
第一工程で製造された該プロピレン系重合体成分(1)の極限粘度[η]Pと、第二工程で製造された該プロピレン系重合体成分(2)の極限粘度[η]EPとの比が上記のような範囲にあるとき、プロピレン系ブロック共重合体は、剛性、流動性、機械物性および射出成形物の外観に優れる。
本発明においては、[η]EPとして好ましくは2〜30dl/gであり、より好ましくは3〜15dl/gであり、さらに好ましくは4〜10dl/gである。
本発明において使用される重合用触媒は、下記の成分(A)、(B)および(C)を接触させて得られる。
(A)チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を必須成分とする固体触媒成分
前記固体触媒成分(A)は、チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する公知のいかなる固体触媒成分であってもよい。
該固体触媒成分として、特公昭46−34092号公報、特公昭47−41676号公報、特公昭55−23561号公報、特公昭57−24361号公報、特公昭52−39431号公報、特公昭52−36786号公報、特公平1−28049号公報、特公平3−43283号公報、特開平4−80044号公報、特開昭55−52309号公報、特開昭58−21405号公報、特開昭61−181807号公報、特開昭63−142008号公報、特開平5−339319号公報、特開昭54−148093号公報、特開平4−227604号公報、特開平6−2933号公報、特開昭64−6006号公報、特開平6−179720号公報、特公平7−116252号公報、特開平8−134124号公報、特開平9−31119号公報、特開平11−228628号公報、特開平11−80234号公報および特開平11−322833号公報に記載された固体触媒成分を例示することができる。
該固体触媒成分として、チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子の他に、さらに電子供与体をも含有する固体触媒成分が好ましい。該電子供与体としては、後述の有機酸のエステル類もしくはエーテル類が好ましい。
該固体触媒成分の製造方法として、以下(1)〜(5)の方法を例示することができる。
(1)ハロゲン化マグネシウム化合物とチタン化合物とを接触させる方法。
(2)ハロゲン化マグネシウム化合物と、電子供与体と、チタン化合物とを接触させる方法。
(3)ハロゲン化マグネシウム化合物とチタン化合物とを電子供与性溶媒に溶解させて溶液を得、次いで、該溶液を担体物質に含浸させる方法。
(4)ジアルコキシマグネシウム化合物と、ハロゲン化チタン化合物と、電子供与体とを接触させる方法。
(5)マグネシウム原子、チタン原子および炭化水素オキシ基を含有する固体成分と、ハロゲン化化合物と、電子供与体および/または有機酸ハライドとを接触させる方法。
なかでも、マグネシウム原子、チタン原子および炭化水素オキシ基を含有する固体成分と、ハロゲン化化合物と、電子供与体および/または有機酸ハライドとを接触させる方法(5)が好ましい。
(B)アルミニウム−メチル結合を有する有機アルミニウム化合物
アルミニウム−メチル結合を有する有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウムが好ましい。具体例としては、トリメチルアルミニウム、ジメチルエチルアルミニウム、ジメチルノルマルプロピルアルミニウム、ジメチルイソプロピルアルミニウム、ジメチルノルマルブチルアルミニウム、ジメチルイソブチルアルミニウム、ジメチルノルマルヘキシルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、メチルジノルマルプロピルアルミニウム、メチルジイソプロピルアルミニウム、メチルジノルマルブチルアルミニウム、メチルジイソブチルアルミニウム、メチルジノルマルヘキシルアルミニウムである。なかでもトリメチルアルミニウムが好ましい。
また、アルミニウム−メチル結合を有する有機アルミニウム化合物は、これら複数種の化合物の混合物、あるいは他の有機アルミニウム化合物との混合物として用いてもよい。
(C)電子供与性化合物
電子供与性化合物としては、酸素含有化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物が挙げられ、なかでも酸素含有化合物または窒素含有化合物が好ましく、特に酸素含有化合物が好ましい。
酸素含有化合物としては、アルコキシケイ素類、エーテル類、エステル類、ケトン類等が挙げられ、なかでもアルコキシケイ素類またはエーテル類が好ましい。
アルコキシケイ素類としては、一般式 R3 rSi(OR44-r (式中、R3は炭素原子数1〜20の炭化水素基、水素原子またはヘテロ原子含有置換基を表し、R4は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、rは0≦r<4を満足する数を表す。R3およびR4が複数存在する場合は、それぞれのR3およびR4は同一であっても異なっていてもよい。)で表されるアルコキシケイ素化合物が好ましく用いられる。
3が炭化水素基の場合、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分岐鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、シクロペンテニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等が挙げられる。なかでもアルコキシケイ素化合物のケイ素原子と直接結合した炭素原子が2級もしくは3級炭素であるR3を少なくとも1つ持つことが好ましい。
3がヘテロ原子含有置換基の場合、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子が挙げられる。具体的にはジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチル−n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ピロリル基、ピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、パーヒドロインドリル基、パーヒドロイソインドリル基、パーヒドロキノリル基、パーヒドロイソキノリル基、パーヒドロカルバゾリル基、パーヒドロアクリジニル基、フリル基、ピラニル基、パーヒドロフリル基、チエニル基等が挙げられ、なかでもヘテロ原子がアルコキシケイ素化合物のケイ素原子と直接化学結合できる置換基が好ましい。
前記アルコキシケイ素化合物の具体例としては、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−ブチルジメトキシシラン、tert−アミルメチルジメトキシシラン、tert−アミルエチルジメトキシシラン、tert−アミル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−アミル−n−ブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、シクロブチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロブチルイソブチルジメトキシシラン、シクロブチル−tert−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロペンチル−tert−ブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−tert−ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルイソプロピルジメトキシシラン、フェニルイソブチルジメトキシシラン、フェニル−tert−ブチルジメトキシシラン、フェニルシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、tert−ブチルメチルジエトキシシラン、tert−ブチルエチルジエトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジエトキシシラン、tert−ブチル−n−ブチルジエトキシシラン、tert−アミルメチルジエトキシシラン、tert−アミルエチルジエトキシシラン、tert−アミル−n−プロピルジエトキシシラン、tert−アミル−n−ブチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)メチルジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)メチルジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)エチルジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)エチルジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)(n−プロピル)ジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)(n−プロピル)ジメトキシシラン、(パーヒドロキノリノ)(tert−ブチル)ジメトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)(tert−ブチル)ジメトキシシランが挙げられる。好ましくは、ジイソプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランが挙げられる。
エーテル類の例としては、一般式
Figure 0004876376
(ただし、R5〜R8はそれぞれ独立に炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは脂環式のアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、R6およびR7はそれぞれ独立に水素原子であってもよい。)で表される直鎖状ジエーテル化合物および環状ジエーテル化合物を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上が好適に用いられる。
具体例としては、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−3,7−ジメチルオクチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ヘプチル−2−ペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン等を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上が好適に用いられる。
エーテル類として特に好ましくは、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン等の直鎖状ジエーテル化合物、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン等の環状ジエーテル化合物である。
窒素含有化合物としては、2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の2,6−置換ピペリジン類、2,5−置換ピペリジン類、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルメチレンジアミン等の置換メチレンジアミン類、1,3−ジベンジルイミダゾリジン等の置換イミダゾリジン類等が挙げられる。なかでも2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の2,6−置換ピペリジン類が好ましい。
本発明で重合に供されるオレフィンは、プロピレンおよびプロピレン以外の炭素原子数2以上のオレフィンである。プロピレン以外のオレフィンの具体例としてはエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等の直鎖状モノオレフィン類、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1等の分岐状モノオレフィン類、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。なかでもプロピレン、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1が好ましい。
本発明で用いられる触媒は、前記の固体触媒成分(A)、アルミニウム−メチル結合を有する有機アルミニウム化合物(B)および電子供与性化合物(C)を接触させて得られる重合用触媒である。ここに述べる接触とは、成分(A)〜(C)が接触し、触媒が形成されるならどのような手段によってもよく、あらかじめ溶媒で希釈してもしくは希釈せずに成分(A)〜(C)を混合して接触させる方法や、別々に重合槽に供給して重合槽の中で接触させる方法等を採用できる。
各触媒成分または触媒を重合槽に供給する方法としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で水分のない状態で供給することが好ましい。
本発明においては、前記の触媒存在下にオレフィンの重合を行うが、このような重合(本重合)の実施前に以下に述べる予備重合を行ってもかまわない。
予備重合は通常、固体触媒成分(A)およびトリアルキルアルミニウム化合物の存在下、少量のオレフィンを供給して実施され、スラリー状態で行うのが好ましい。スラリー化するのに用いる溶媒としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンのような不活性炭化水素を挙げることができる。また、スラリー化するに際し、不活性炭化水素溶媒の一部または全部に換えて液状のオレフィンを用いることができる。
予備重合時のトリアルキルアルミニウム化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子1モルあたり、通常0.5〜700モルのごとく広範囲に選ぶことができるが、0.8〜500モルが好ましく、1〜200モルが特に好ましい。
また、予備重合されるオレフィンの量は、固体触媒成分1gあたり通常0.01〜1000g、好ましくは0.05〜500g、特に好ましくは0.1〜200gである。
予備重合を行う際のスラリー濃度は、1〜500g−固体触媒成分/リットル−溶媒が好ましく、特に3〜300g−固体触媒成分/リットル−溶媒が好ましい。予備重合温度は、−20〜100℃が好ましく、特に0〜80℃が好ましい。また、予備重合中の気相部でのオレフィンの分圧は、1kPa〜2MPaが好ましく、特に10kPa〜1MPaが好ましいが、予備重合の圧力および温度において液状であるオレフィンについてはこの限りではない。さらに、予備重合時間に特に制限はないが、通常2分から15時間が好適である。
予備重合を実施する際、固体触媒成分(A)、トリアルキルアルミニウム化合物およびオレフィンを供給する方法としては、固体触媒成分(A)とトリアルキルアルミニウム化合物を接触させておいた後オレフィンを供給する方法、固体触媒成分(A)とオレフィンを接触させておいた後トリアルキルアルミニウム化合物を供給する方法等のいずれの方法を用いてもよい。また、オレフィンの供給方法としては、重合槽内が所定の圧力になるように保持しながら順次オレフィンを供給する方法、あるいは所定のオレフィン量を最初にすべて供給する方法のいずれの方法を用いてもよい。また、得られる重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することも可能である。
さらに、トリアルキルアルミニウム化合物の存在下、固体触媒成分(A)を少量のオレフィンで予備重合するに際し、必要に応じて電子供与性化合物(C)を共存させてもよい。使用される電子供与性化合物は、上記の電子供与性化合物(C)の一部または全部である。その使用量は、固体触媒成分(A)中に含まれるチタン原子1モルに対し、通常0.01〜400モル、好ましくは0.02〜200モル、特に好ましくは、0.03〜100モルであり、トリアルキルアルミニウム化合物に対し、通常0.003〜5モル、好ましくは0.005〜3モル、特に好ましくは0.01〜2モルである。
予備重合の際の電子供与性化合物(C)の供給方法に特に制限はなく、トリアルキルアルミニウム化合物と別々に供給してもよいし、予め接触させて供給してもよい。また、予備重合で使用されるオレフィンは、本重合で使用されるオレフィンと同一であっても異なっていてもよい。
上記のように予備重合を行った後、あるいは、予備重合を行うことなく、前述の固体触媒成分(A)、アルミニウム−メチル結合を有する有機アルミニウム化合物(B)および電子供与性化合物(C)を接触させて得られる重合用触媒の存在下に、オレフィンの本重合を行うことができる。
本重合時のアルミニウム−メチル結合を有する有機アルミニウム化合物(B)の使用量は通常、固体触媒成分(A)中のチタン原子1モルあたり、1〜1000モルのごとく広範囲に選ぶことができるが、特に5〜600モルの範囲が好ましい。
また、本重合時に使用される電子供与性化合物(C)は、固体触媒成分(A)中に含まれるチタン原子1モルに対し、通常0.1〜2000モル、好ましくは0.3〜1000モル、特に好ましくは、0.5〜800モルであり、有機アルミニウム化合物に対し、通常0.001〜5モル、好ましくは0.005〜3モル、特に好ましくは0.01〜1モルである。
本重合は、通常−30〜300℃までにわたって実施することができるが、20〜180℃が好ましい。重合圧力に関しては特に制限は無いが、工業的かつ経済的であるという点で、一般に、常圧〜10MPa、好ましくは200kPa〜5MPa程度の圧力が採用される。重合形式としては、バッチ式、連続式いずれでも可能である。また、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのごとき不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合もしくは溶液重合、重合温度において液状のオレフィンを媒体としたバルク重合または気相重合も可能である。特に前述の第二工程が気相重合であることが好ましい。
重合時には重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することも可能である。
以下、実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって特に限定をうけるものではない。なお実施例中、重合体の各種物性の評価方法は、次のとおりである。
(1)極限粘度([η]):テトラリンを溶媒とし、温度135℃でウベローデ型粘度計を用いて測定した。また、重合体の各成分に対してプロピレン系重合体成分(1)の極限粘度を[η]P、プロピレン系重合体成分(2)の極限粘度を[η]EPで表わした。[η]EPはプロピレン系ブロック共重合体全体の極限粘度を[η]TOTALとした場合、以下の式によって算出した。
Figure 0004876376
(2)20℃キシレン可溶部(以下、CXSと略す。):20℃の冷キシレンに可溶な分量を百分率(重量%)で表した。通常、CXSは値が小さいほど、無定形重合体が少なく、高立体規則性であることを示す。
(3)組成分析:チタン含有量は、固体成分を希硫酸で分解後、過剰の過酸化水素水を加え、410nmの特性吸収を日立製ダブルビーム分光光度計U−2001型により測定し、検量線により求めた。アルコキシ基含有量は、固体成分を水で分解後、ガスクロマトグラフィー内部標準法を用いて対応するアルコール量を測定することで求めた。フタル酸エステル含有量は、固体成分をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解後、溶液中のフタル酸エステル量をガスクロマトグラフィー内部標準法で求めた。
[実施例1]
(1)固体触媒成分前駆体の合成
200リットルの円筒型反応器を窒素置換し、ヘキサン54リットル、ジイソブチルフタレート400g、テトラエトキシシラン20.6kgおよびテトラブトキシチタン2.23kgを投入、撹拌した。次に、前記攪拌混合物に、ブチルマグネシウムクロリドのジブチルエーテル溶液(濃度2.1モル/リットル)51リットルを反応器内の温度を5℃に保ちながら4時間かけて滴下した。滴下終了後、20℃で1時間撹拌したあと濾過し、得られた固体について室温下トルエン70リットルでの洗浄を3回行い、トルエンを加え、固体触媒成分前駆体スラリーを得た。
該固体触媒成分前駆体は、Ti:2.0重量%、OEt(エトキシ基):37.5重量%、OBu(ブトキシ基):3.9重量%を含有していた。
(2)固体触媒成分の合成
200リットルの円筒型反応器を窒素置換し、上記(1)で得られた固体触媒成分前駆体スラリーを移送した。静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、70℃に昇温、その状態で1時間攪拌を行った。その後、スラリーを40℃以下になるまで降温し、攪拌下、テトラクロロチタン30リットルと、ジブチルエーテル1.16kgとの混合液を投入、さらにオルトフタル酸クロライド4.23kgを投入した。反応器内の温度を115℃として3時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン90リットルでの洗浄を3回実施した。
トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン15リットルと、ジブチルエーテル1.16kgと、ジイソブチルフタレート0.87kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン90リットルでの洗浄を2回実施した。
トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン15リットルと、ジブチルエーテル1.16kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン90リットルでの洗浄を2回実施した。
トルエンを加え、スラリーとし、静置後、スラリーの体積が49.7リットルとなるようにトルエンを抜き出し、攪拌下、テトラクロロチタン15リットルと、ジブチルエーテル1.16kgとの混合液を投入した。反応器内の温度を105℃として1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体について95℃にてトルエン90リットルでの洗浄を3回、ヘキサン90リットルでの洗浄を2回実施した。得られた固体成分を乾燥し、固体触媒成分を得た。
該固体触媒成分は、Ti:2.0重量%、フタル酸エステル成分:10.7重量%を含有していた。
(3)プロピレン系ブロック共重合体の重合
第一工程として、1リットルの内容積を持つステンレス製オートクレーブ内を真空とし、0.12MPaの分圧に相当する水素を加えた。成分(B)としてトリメチルアルミニウム0.5ミリモル、成分(C)としてtert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン0.1ミリモルおよび成分(A)として上記(2)で合成した固体触媒成分8.85mgを仕込み、次いで150gの液化ブタン、150gの液化プロピレンを仕込み、オートクレーブの温度を80℃に昇温し、重合を開始した。32分後、オートクレーブの内圧がおよそ1.7MPaとなった時点でテトラエトキシシラン0.1ミリモルを投入し、3分後、液状成分をパージした。さらにアルゴンを流通させることでオートクレーブ内のオレフィンおよび水素を除去した。6.0gのパウダーをオートクレーブ内よりサンプリングし、オートクレーブの重量を測定した。オートクレーブ内の重合体重量は96gであった。
その後、第二工程として0.21MPaの分圧のプロピレン、0.49MPaの分圧のエチレンを仕込み、65℃で163分重合を行った。この際、オートクレーブ内の圧力を維持するようにプロピレン/エチレン混合ガス(プロピレン濃度:50重量%)をフィードした。重合後、未反応のオレフィンをパージし、オートクレーブの重量を測定した。オートクレーブ内の重合体重量は139gであった。
第一工程で生成した重合体重量および第二工程で生成した重合体重量から算出した第二工程重合体成分の比率は31重量%、第一工程重合体成分の極限粘度[η]P=1.5(dl/g)、CXS=0.32(重量%)(第一工程重合後に抜き出した少量の第一工程重合体成分を用いて測定した)、第二工程重合体成分の極限粘度[η]EP=9.4(dl/g)であり、[η]EP/[η]P=6.3であった。
[比較例1]
(1)プロピレン系ブロック共重合体の重合
トリメチルアルミニウム0.5ミリモルのかわりにトリエチルアルミニウム0.5ミリモルを用いた以外は、実施例1(3)と同様の手順で重合を実施した。
オートクレーブの重量変化から算出した第二工程重合体成分の比率は33重量%、第一工程重合体成分の極限粘度[η]P=1.9(dl/g)、CXS=0.41(重量%)(第一工程重合後に抜き出した少量の第一工程重合体成分を用いて測定した)、第二工程重合体成分の極限粘度[η]EP=8.0(dl/g)であり、[η]EP/[η]P=4.2であった。トリメチルアルミニウムを用いた場合よりも[η]Pが大きく、[η]EPが小さくなっており、同重合条件における[η]EP/[η]Pが小さかった。実施例1の第二工程において、水素を添加することで[η]EPを小さくすることは容易であるが、一方で、比較例1の第二工程においては、水素の量の調節等で[η]EPを大きくすることは容易ではない。

Claims (2)

  1. 下記の成分(A)〜(C)を接触させて得られる重合用触媒の存在下に、第一工程においてプロピレン単独重合体成分(1)を製造し、第二工程において該成分(1)の存在下にプロピレン−エチレン共重合体成分(2)を製造し、該プロピレン単独重合体成分(1)およびプロピレン−エチレン共重合体成分(2)の極限粘度をそれぞれ[η]Pおよび[η]EPとしたとき、その比[η]EP/[η]Pが6〜15であるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
    (A)チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を必須成分とする固体触媒成分
    (B)アルミニウム−メチル結合を有する有機アルミニウム化合物
    (C)電子供与性化合物
  2. 該極限粘度[η]EPが2〜30dl/gである請求項1に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
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