JP4876248B2 - 非破壊検査方法及び装置 - Google Patents
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Description
図1は、着磁装置を例示する図である。この着磁装置の着磁コイルの真上には、構造物(図示の仮想コンクリート)内の鉄筋を模擬する実験用の鉄筋が、その両側で非磁性材の支柱によって支持されている。図中、X方向に伸びるよう配置した1本の鉄筋のみが見えているが、複数本の鉄筋を平行配置する場合も同様にX方向に伸びるように配置し、また、複数本の鉄筋を交差配置する場合は、X方向だけでなくY方向にも配置するものとして、以下説明する。図中の着磁電源は、構造物内の鉄筋を磁化させるのに十分な直流電流(パルス電流)を流すことができるものである。さらに、この電源は、必要があれば一度着磁した鉄筋を脱磁させる交番磁界を発生させるのに十分な交番電流を流すことができるものである。ホールセンサは、着磁時の印加磁場を測るためのもので、着磁コイルから発生した磁場を計測することができる。
図2は、鉄筋深さの解析を説明する図である。図示の鉄筋は、着磁磁場を印加することにより予め着磁したものとする。構造物内にある鉄筋の正確な位置を特定することができない場合であっても、少なくとも、それが配置されていると推測される位置の近辺から着磁を行えば、鉄筋位置の解析には十分である。
この際に、tanθの値は鉄筋直上に近づくにつれて無限大に発散するので、yを変えた数点の測定による平均値を取ることにより、鉄筋深さとすることができる。例えば、鉄筋直上から2cm間隔で±14cmの点の磁束密度を計測し、鉄筋直上±4cmの5点(鉄筋直上も含む)を除いた値の平均値を、鉄筋の深さとする。
図3は、磁束密度計測を説明する図である。図3は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに複数本(3本として図示)の鉄筋が、間隔を空けて配置されている場合を示している。X軸方向及びY軸方向は、それぞれ中央を原点としている。このように縦横に交差した鉄筋を、非磁性体の土台を使って配置する。なお、後述する平行鉄筋の場合は、図中のX軸方向のみに伸びるよう配置されているとする。
上述したように、複数本の鉄筋が配置されていると想定しているが、今、この中の1本の目標とする鉄筋(Y=0の位置で、X方向に伸びる1本の鉄筋)に着目し、この鉄筋が、鉄筋の中央から着磁されていると仮定する。X方向の磁束分布は、鉄筋の中央(着磁点)を境目にして磁束の向きが変わる。即ち、磁束が鉄筋中央に入って、鉄筋の中央付近が、例えばS極、両端がN極になる。この極の分布は着磁コイルの発生する磁場に影響を受ける。Y方向の磁束分布は、鉄筋を境に磁束の方向が変化する。これによって、鉄筋がY方向のどこに配置されているかが推測できる。Z方向の磁束分布は、着磁点の磁束密度が最も強く両側に反対向きの磁束分布が形成される。他方向の磁束分布に比べ、Z方向が、最も計測される磁束が強く分布がはっきりとしており、後述の鉄筋の腐食解析に適している。
目標とする1本の鉄筋と他の鉄筋を併せて複数本の鉄筋が配置されている場合について検討する。最初に、複数本のすべての鉄筋の位置を推測する。次に、目標とする鉄筋に対向する位置で、複数本の鉄筋に対して構造物外部から着磁して、この着磁された複数本の鉄筋の総合した磁束密度を、構造物外部で計測する。次に、この計測磁束密度を補正して、目標とする鉄筋以外に少なくとも1つ存在する他の鉄筋による影響を排除する。このために、着磁点からの距離を離した磁束分布のデータを予め多数とっておき、データベースとして保存しておく。例えば、このデータは、鉄筋か配管か等の別、材質、及び径とかの種別、及び、着磁点からの距離、着磁コイル方向に対する配置角度毎に蓄積しておく。目標とする鉄筋以外の他の鉄筋については、それに相当する(同一種別、距離、方向等の)鉄筋データを、蓄積データベースから求めて、これを、上記の計測磁束密度データから差し引くことで1本のデータと同じものを作る。これによって、目標鉄筋の深さ及び腐食解析が可能となる。以下、さらに詳細に説明する。
図5A〜図5Cは、鉄筋1本のX,Y,Z方向の磁束分布を示す図である。この1本の鉄筋は、Y=0の位置で、X方向に配置されている。図5A、図5B、図5Cは、それぞれ、X、Y、Z方向の磁束成分Bx、By、Bzの分布を示している。
図7A〜図7Cは、平行に配列された3本の鉄筋のX、Y、Z方向での磁束分布を示す図である。図7A、図7B、図7Cは、それぞれ、X、Y、Z方向の磁束成分Bx、By、Bzの分布を示している。3本の鉄筋は、Y=−15,0,15の位置で、X方向に配置されている。
図10A〜図10Cは、垂直に交差配列された2本の鉄筋のX、Y、Z方向の磁束分布を示す図である。図10A、図10B、図10Cは、それぞれ、X、Y、Z方向の磁束成分Bx、By、Bzの分布を示している。原点(X=0及びY=0)を通る2本の鉄筋が、垂直に交差するよう配置されている。図10Cに示すZ方向の磁束分布の形状から、目標とする鉄筋の方向とそれ以外の鉄筋のおおまかな位置が推測できる。
Claims (13)
- 非磁性材構造物の内部に複数本配置された棒状或いは管状の磁性材の位置或いは腐食状態を非破壊的に解析する非破壊検査方法において、
前記複数本の磁性材が配置されていると推測される位置の近辺から第一段階の着磁を行って計測した磁束密度より、目標とする磁性材の位置を特定した後、交番磁場を印加することにより前記磁性材を脱磁し、
第二段階の着磁として、特定された前記目標とする磁性材に対向する位置で、前記複数本の磁性材に対して構造物外部から着磁し、かつ、この着磁された前記複数本の磁性材の総合した磁束密度を、構造物外部で計測し、
少なくとも前記目標とする磁性材の着磁点から離れる距離毎及び着磁方向に対する配置角度毎に磁束密度のデータを予め複数とって、データベースに保存し、
前記目標とする磁性材について前記計測した総合磁束密度から、前記目標とする磁性材以外に少なくとも1つ存在する他の磁性材に相当する磁性材について予め求めて前記データベースに保存しておいた磁束密度を差し引いて、前記目標とする磁性材のみによる磁束密度を求めることにより、前記目標とする磁性材の位置を特定し、或いは該磁性材の腐食状態を解析する、
ことから成る非破壊検査方法。 - 前記非磁性材構造物がコンクリート、断熱材、又は保護材料であり、かつ、前記磁性材が鉄筋又は配管である請求項1に記載の非破壊検査方法。
- 前記着磁は、コイルにパルス電流を流すことにより発生させたパルス磁場、或いは超電導線材を用いる超電導マグネットにより発生させた磁場、或いは着磁した超電導体により定常的に発生させた磁場により行う請求項1に記載の非破壊検査方法。
- 前記磁性材位置の特定は、座標軸X方向に伸びる磁性材に直交する一つの方向をZ方向、さらに、これらに直交する方向をY方向として、前記求められた目標とする磁性材のみによる磁束密度のY方向成分及びZ方向成分から演算して、前記目標とする磁性材の構造物内の深さを求めることにより行う請求項1に記載の非破壊検査方法。
- 前記磁性材の腐食状態は、磁性材の直径に依存して変化する最大磁束密度を、着磁点の近くで計測することにより解析する請求項1に記載の非破壊検査方法。
- 磁束密度の計測結果を画像処理して、可視化した磁場分布を用いることによって、磁性材の位置を特定し、或いは該磁性材の腐食状態を解析する請求項1に記載の非破壊検査方法。
- 非磁性材構造物の内部に複数本配置された棒状或いは管状の磁性材の位置或いは腐食状態を非破壊的に解析する非破壊検査装置において、
前記磁性材を、構造物外部から着磁する磁場を発生する機能を有する着磁装置と、前記着磁装置により着磁された前記磁性材の磁束密度を、構造物外部で計測する磁気センサとを備え、
前記着磁装置は、さらに交番磁場を発生する機能を有して、着磁を行った前記磁性材の磁束密度の計測により磁性材位置を特定した後に、交番磁場を印加することにより前記磁性材を脱磁し、
前記着磁装置は、特定された目標とする磁性材に対向する位置で、前記複数本の磁性材に対して構造物外部から着磁し、かつ、この着磁された前記複数本の磁性材の総合した磁束密度を、構造物外部で計測し、
少なくとも前記目標とする磁性材の着磁点から離れる距離毎及び着磁方向に対する配置角度毎に磁束密度のデータを予め複数とって保存するデータベースを備え、
前記目標とする磁性材について前記計測した総合磁束密度から、前記目標とする磁性材以外に少なくとも1つ存在する他の磁性材に相当する磁性材について予め求めて前記データベースに保存しておいた磁束密度を差し引いて、前記目標とする磁性材のみによる磁束密度を求めることにより、前記目標とする磁性材の位置を特定し、或いは該磁性材の腐食状態を解析する、
ことから成る非破壊検査装置。 - 前記非磁性材構造物がコンクリート、断熱材、又は保護材料であり、かつ、前記磁性材が鉄筋又は配管である請求項7に記載の非破壊検査装置。
- 前記着磁装置は、コイルにパルス電流を流すことにより発生させたパルス磁場、或いは超電導線材を用いる超電導マグネットにより発生させた磁場、或いは着磁した超電導体により定常的に発生させた磁場により着磁を行う請求項7に記載の非破壊検査装置。
- 前記磁性材位置の特定は、座標軸X方向に伸びる磁性材に直交する一つの方向をZ方向、さらに、これらに直交する方向をY方向として、前記求められた目標とする磁性材のみによる磁束密度のY方向成分及びZ方向成分から演算して、前記目標とする磁性材の構造物内の深さを求めることにより行う請求項7に記載の非破壊検査装置。
- 前記磁性材の腐食状態は、磁性材の直径に依存して変化する最大磁束密度を、着磁点の近くで計測することにより解析する請求項7に記載の非破壊検査装置。
- 前記着磁装置は、前記磁性材の長手方向に沿って複数個備えられる請求項7に記載の非破壊検査装置。
- 磁束密度の計測結果を画像処理して、可視化した磁場分布を用いることによって、磁性材の位置を特定し、或いは該磁性材の腐食状態を解析する請求項7に記載の非破壊検査装置。
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