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JP4869120B2 - 多層延伸フィルム - Google Patents

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JP4869120B2 JP2007080969A JP2007080969A JP4869120B2 JP 4869120 B2 JP4869120 B2 JP 4869120B2 JP 2007080969 A JP2007080969 A JP 2007080969A JP 2007080969 A JP2007080969 A JP 2007080969A JP 4869120 B2 JP4869120 B2 JP 4869120B2
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Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水膨潤性層状無機化合物とを含有する層を有する多層延伸フィルムに関する。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下、EVOHと略記する)は、ガスバリア性、保香性、透明性、耐溶剤性、耐油性に優れており、食品、医薬品、工業薬品、農薬などの酸素による酸化劣化を防止すべき物品の包装材料として広く用いられている。また、さらなるガスバリア性の向上を目的として、EVOH中に水膨潤性層状無機化合物を微分散させた樹脂組成物およびこれを用いたフィルム、シート等が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
一方、EVOHは水分や湿度によってその特性が大きく変化し、例えば高湿度環境下ではガスバリア性や強度が大きく低下することから、包装材料として用いられる場合にはポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂などの耐湿性に優れた熱可塑性樹脂をEVOH層の外側に積層した多層構造体として使用されることが多く、その場合には熱可塑性樹脂層の配向・結晶化向上による強度向上やEVOH層のガスバリア性向上のために延伸処理を施すのが一般的である。(例えば、特許文献2参照。)
しかしながら、水膨潤性層状無機化合物を含有するEVOHは、延伸時に樹脂と無機化合物の界面剥離による白化が生じやすく、その結果、得られた延伸フィルムの透明性が損なわれ、包装材料としての価値が低下するという課題を有するものであった。
特開2004−315793号公報 特公平07−064019号公報
本発明は、ガスバリア性に優れ、さらに透明性の改善されたEVOH/水膨潤性層状無機化合物層含有多層延伸フィルムの提供を目的とする。
本発明者は上記実情に鑑み鋭意検討した結果、EVOHとして下記の構造単位(1)を有するEVOH(A)を用い、これと水膨潤性層状無機化合物(B)とを含有する層を有する多層フィルムを延伸してなる多層延伸フィルムによって本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
Figure 0004869120
(ここで、R1は水素または有機基を表わし、Xはエーテル結合を除く結合鎖を表わし、nは0または1を表し、R2〜R4はそれぞれ水素または有機基を表わす)
本発明においては、EVOHがかかる構造単位を有することによって水膨潤性層状無機化合物との親和性が向上し、あるいはEVOHの可撓性が向上することによって延伸時の水膨潤性層状無機化合物との界面剥離が抑制され、その結果、延伸による白化が生じず透明性に優れた多層延伸フィルムが得られたものであると推定される。
本発明の多層延伸フィルムはガスバリア性に優れ、透明性にも優れているため、食品、医薬品などの包装材料として極めて好適である。
以下、本発明について具体的に説明する。
なお、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
まず、本発明で用いられるEVOH(A)について説明する。
なお、本発明においてEVOH、すなわちエチレン−ビニルアルコール共重合体とは、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合物をケン化して得られるものを意味する。
本発明で用いられるEVOH(A)は下記構造単位(1)を含有するEVOHであり、かかる構造単位(1)のR1は水素または有機基を表わし、Xは結合鎖を表わし、nは0または1を表し、R2〜R4はそれぞれ水素または有機基を表わす。
Figure 0004869120
なお、かかるEVOH(A)における構造単位(1)は、主鎖の置換基であるR1、および側鎖の置換基であるR2〜R4がすべて水素原子であり、結合鎖(X)nのnが0、すなわち単結合であるものが望ましく、その水素原子が樹脂特性を大幅に損なわない程度の量および大きさであれば有機基で置換されたものでもよい。
また、かかるEVOH(A)は構造単位(1)を0.1〜30モル%、エチレンに由来する構造単位を10〜60モル%含有し、残る部分の90モル%以上がビニルアルコール構造単位であるものが好ましく用いられる。
また、構造単位(1)の結合鎖(X)nのnが1の場合、エーテル結合を除くいずれの結合鎖を適用することも可能で、特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンの他、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等が挙げられ(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である)、その中でも熱溶融安定性の点でアルキレンが好ましく、炭素数6以下のものが好適に用いられる。
なお、結合鎖Xがエーテル結合を含むものは溶融成形によるフィルム製造時、延伸時、あるいは熱固定時にエーテル結合部分が熱分解しやすく、熱安定性が不十分である場合がある。
また、構造単位(1)のR1およびR2〜R4が有機基である場合、その有機基としては特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
本発明で用いられるEVOH(A)の製造方法については特に限定されないが、最も好ましい構造である結合鎖が単結合((X)nにおけるnが0)である構造単位(1)を含有するEVOH(A)を例とすると、コモノマーとして3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランを用い、これらとビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、あるいはコモノマーとしてビニルエチレンカーボネートを用い、得られた共重合体をケン化、脱炭酸する方法が挙げられる。
中でも、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンがビニルエステル系モノマーおよびエチレンとの共重合反応性に優れ、重合度低下の問題が少ない点で好ましく、さらにはケン化反応による副生成物がビニルエステル系モノマーとして多用される酢酸ビニルと共通する3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることが好ましい。また、モノマー中に少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタンや1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。
また、結合鎖Xがアルキレンであるものとしては4,5−ジオール−1−ペンテンや4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン等とビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が挙げられる。
なお、ビニルエステル系モノマーとしてはギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
以下、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンをコモノマーとした共重合方法について詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとビニルエステル系モノマー及びエチレン単量体を共重合するに当たっては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。
共重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用される。
なお、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等の共重合割合は特に限定されないが、前述の構造単位(1)の導入量に合わせて共重合割合を決定すればよい。
また、共重合体中のエチレン含有量は重合時のエチレンの圧力によって制御することが可能であり、目的とするエチレン含有量により一概にはいえないが、通常は25〜80kg/cm2の範囲から選択される。
かかる共重合で用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的にはメタノールが好適に使用される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
共重合に当たっては重合触媒が用いられ、かかる重合触媒としては例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒やt−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、α,α'ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−iso−プロピルパーオキシジカーボネート]、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、ジ(3,3,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジイソブチリルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類などの低温活性ラジカル重合触媒等が挙げられる。
重合触媒の使用量は触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、通常ビニルエステル系モノマーに対して10〜2000ppmであり、特には50〜1000ppmが好ましく用いられる。
また、共重合反応の反応温度は使用する溶媒や圧力により通常40℃〜沸点程度の範囲から選択される。
また、本発明では上記の共重合時に本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やその誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、ビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、グリセリンモノアリルエーテル、エチレンカーボネート等が挙げられる。
さらに、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体、アセトアセチル基含有単量体等も挙げられる。
さらに上述のビニルシラン類としてはビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン等を挙げることができる。
なお、重合時に上記触媒とともにヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸を共存させることが得られるEVOH(A)の着色を抑制する点で好ましく、該ヒドロキシラクトン系化合物としては分子内にラクトン環と水酸基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、グルコノデルタラクトン等を挙げることができ、好適にはL−アスコルビン酸、エリソルビン酸が用いられ、また、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸等を挙げることができ、好適にはクエン酸が用いられる。
かかるヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸の使用量は、通常酢酸ビニル100重量部に対して0.0001〜0.1重量部であり、さらには0.0005〜0.05重量部、特には0.001〜0.03重量部が好ましく、かかる使用量が少なすぎるとこれらの添加効果が得られないことがあり、逆に多すぎると酢酸ビニルの重合を阻害する結果となって好ましくない。
かかる化合物を重合系に仕込むにあたっては、特に限定はされないが、通常は低級脂肪族アルコールや酢酸ビニルを含む脂肪族エステルや水等の溶媒又はこれらの混合溶媒で希釈されて重合反応系に仕込まれる。
得られた共重合体は次いでケン化されるのであるが、かかるケン化にあたっては、上記で得られた共重合体がアルコール又は含水アルコールに溶解された状態でアルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。
ケン化に使用される触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマー及び3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等のモノマーの合計量に対して0.001〜0.1当量、好ましくは0.005〜0.05当量が適当である。
かかるケン化方法に関しては目標とする鹸化度等に応じて、バッチ鹸化、ベルト上の連続鹸化、塔式の連続鹸化の何れも可能で、鹸化時のアルカリ触媒量が低減できることや鹸化反応が高効率で進み易い等の理由より、好ましくは、一定加圧下での塔式鹸化が用いられる。また、ケン化時の圧力は目的とするエチレン含有量により一概に言えないが、2〜7kg/cm2の範囲から選択され、このときの温度は80〜150℃、好ましくは100〜130℃から選択される。
かくして、得られるEVOH(A)のエチレン含有量やケン化度は、特に限定されないが、エチレン含有量は10〜60モル%、さらには20〜50モル%、特には25〜48モル%、ケン化度は90モル%以上、さらには95モル%以上、特には99モル%以上のものが好適に用いられ、該エチレン含有量が少なすぎると高湿度条件下でのガスバリア性が低下したり、外観が悪化する傾向にあり、逆に多すぎるとガスバリア性が低下する傾向にあるため、好ましくない。また、ケン化度が低すぎるとガスバリア性や耐湿性が低下する傾向にあり、好ましくない。
さらに、EVOH(A)中に共重合によって導入される上記の構造単位(1)の含有量としては特に制限はされないが、0.1〜30モル%、さらには0.5〜20モル%、特には1〜10モル%であることが好ましく、かかる含有量が小さすぎると本発明の効果が十分に発現されず、逆に多すぎると高湿度下でのガスバリア性が低下する傾向にあり好ましくない。
また、かかる含有量を調整するにあたっては構造単位(1)の含有量の異なる2種以上のEVOH(A)をブレンドして調整することも可能であり、そのうちの少なくとも1種が構造単位(1)を含有しないEVOHであっても構わない。
かかるブレンドによって得られたEVOH(A)に関しては、その構造単位(1)の含有量は重量平均で算出しても差し支えなく、またそのエチレン含有量についても重量平均で求めてもよいが、正確には1H−NMRの測定結果からエチレン含有量、構造単位(1)含有量を算出することができる。
さらには、本発明の目的を阻害しない範囲においてEVOH(A)に酢酸、リン酸などの酸類、ホウ酸またはそのアルカリ金属、アルカリ土類金属塩、各種有機酸あるいは無機酸の金属塩を添加することが溶融成形時の熱安定性を向上させる点で好ましい。
酢酸の添加量は、通常EVOH(A)100重量部に対して0.001〜1重量部であり、さらには0.005〜0.2重量部、特には0.010〜0.1重量部とすることが好ましく、かかる添加量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得ることが難しくなり好ましくない。
また、ホウ素化合物の添加量はEVOH(A)100重量部に対して通常ホウ素換算で0.001〜1重量部であり、さらには0.002〜0.2重量部、特には0.005〜0.1重量部とすることが好ましく、かかる添加量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となり好ましくない。
また、有機酸あるいは無機酸の金属塩としてはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸や、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸等の無機酸の金属塩が挙げられ、好適には酢酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩である。また、該金属塩の添加量は、通常EVOH(A)100重量部に対して金属換算で0.0005〜0.1重量部、さらには0.001〜0.05重量部、特には0.002〜0.03重量部とすることが好ましく、かかる添加量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となり好ましくない。尚、EVOH(A)に2種以上のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩を添加する場合は、その総計が上記の添加量の範囲にあることが好ましい。
EVOH(A)に酸類やその金属塩を添加する方法については特に限定されず、ア)含水率20〜80重量%のEVOH(A)の多孔性析出物を、酸類やその金属塩の水溶液と接触させて、酸類やその金属塩を含有させてから乾燥する方法、イ)EVOH(A)の均一溶液(水/アルコール溶液等)に酸類やその金属塩を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法、ウ)EVOH(A)と酸類やその金属塩を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法、エ)EVOH(A)の製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の酸類で中和して、残存する酢酸等の酸類や副生成する酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属塩の量を水洗処理により調整したりする方法等を挙げることができる。
なお、EVOH(A)あるいはその組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、多少のモノマー残査やモノマーのケン化物、具体的には、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−オール−1−ブテン、4−アセトキシ−3−オール−1−ブテン、等を含んでいてもよい。
また、本発明で使用されるEVOH(A)は、構造単位(1)を含有するEVOH(A)とこれと異なる他のEVOHのブレンド物であることも延伸性と延伸後の強度を良好とする点で好ましく、かかる他のEVOHとしては異なる構造単位を有するもの、エチレン含有量が異なるもの、ケン化度が異なるもの、分子量が異なるものなどを挙げることができる。
構造単位(1)を有するEVOHと構造単位が異なるEVOHとしては、例えばエチレン構造単位とビニルアルコール構造単位のみからなるEVOHや、EVOHの側鎖に2−ヒドロキシエトキシ基などの官能基を有する変性EVOHを挙げることができる。
また、エチレン含有量が異なるものを用いる場合、その構造単位は同じであっても異なっていても良いが、そのエチレン含有量差は1モル%以上、さらには2モル%以上、特には2〜20モル%であることが好ましい。かかるエチレン含有量差が大きすぎると延伸性が不良となる場合があり、好ましくない。また、異なる2種以上のEVOH(ブレンド物)の製造方法は特に限定されず、例えばケン化前のEVAの各ペーストを混合後ケン化する方法、ケン化後の各EVOHのアルコールまたは水とアルコールの混合溶媒に溶解させた溶液を混合する方法、各EVOHをペレット状、または粉体で混合した後、溶融混練する方法などが挙げられる。
かくして得られたEVOH(A)あるいはその組成物のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)についても特に限定はされないが、通常0.1〜100g/10分であり、さらには1〜50g/10分、特には2〜35g/10分であるものが好ましく、かかるメルトフローレートが該範囲よりも小さい場合には、溶融成形時に押出機内が高トルク状態となって押出加工が困難となる傾向があり、MFRが大きすぎる場合には、外観が悪くなったり、ガスバリア性が低下する傾向にあり、好ましくない。
次に、本発明で用いられる水膨潤性層状無機化合物(B)について説明する。
本発明に用いられる水膨潤性層状無機化合物(B)としては、特に制限されることなく、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト類やバーミキュライト類等の粘土鉱物、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライト、Na型ヘクトライト等の水膨潤性フッ素雲母系鉱物、合成マイカ等が挙げられ、中でも水に対する膨潤性に優れたモンモリロナイトが好ましく用いられる。
なお、水膨潤性層状無機化合物(B)の水に対する膨潤性は日本ベントナイト工業会標準試験法(容積法)によって評価でき、かかる値が30ml/2g以上、特には40ml/2g以上であるものが好ましく用いられ、膨潤性が小さすぎるとガスバリア性が不十分となって好ましくない。
また、かかる水膨潤性層状無機化合物(B)はアスペクト比が大きいものが好ましく、50以上、さらには100以上、特には200以上のものが好適に用いられ、通常、そのサイズは一次粒子径が20〜2000nmのものが使用される。
さらに、かかる水膨潤性層状無機化合物(B)は有機化処理を施したものであってもよく、かかる有機化処理の方法としては、4級アンモニウム塩などのオニウムイオン基を有する化合物を水膨潤性層状無機化合物(B)と混合する方法が挙げられる。
本発明の多層延伸フィルム中のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を含有する層における水膨潤性層状無機化合物(B)の含有量は特に限定されないが、EVOH100重量部に対して(B)を0.5〜100重量部、さらには1〜15重量部、特には2〜8重量部であることが好ましく、かかる(B)の含有割合が少なすぎると得られた多層延伸フィルムのガスバリア性が不足する場合があり、逆に多すぎると、多層延伸フィルムの透明性の低下や、高倍率での延伸が困難になる場合があるため好ましくない。
次に、本発明の多層延伸フィルムの製造法について説明する。
本発明の多層延伸フィルム中のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を含有する層は、通常は予めEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)とを混合し、樹脂組成物(以下、EVOH樹脂組成物と略記することがある。)とした後、多層フィルムへと成形加工される。
かかるEVOH樹脂組成物を得るためのEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)のブレンド方法としては、特に限定されないが、均一な混合が可能である点で溶融混合する方法が好ましく、さらには含水率が20〜70重量%のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合する方法が、水膨潤性層状無機化合物(B)を良好に分散させ、且つ、水膨潤性層状無機化合物(B)が膨潤状態を維持し、層間を広げた状態でEVOH(A)中に存在することとなるので好ましい。
なお、本発明におけるEVOHの含水率は以下の方法により測定・算出されるものである。
〔含水率の測定方法〕
EVOHを電子天秤にて秤量(W1)し、150℃の熱風乾燥機中で5時間乾燥させ、デシケーター中で30分間放冷後の重量を秤量(W2)し、下記式より算出する。
含水率(%)=[(W1−W2)/W1]×100
EVOH(A)に20〜70重量%の水を含有させる方法としては、特に制限されないが、EVOH(A)中に水を均一に含有させることが好ましく、かかる方法としては、EVOH(A)の溶液を水中で析出させ充分に水洗して溶剤を除去し水を含有させる方法、加圧熱水中でEVOH(A)を1〜3時間程度処理する方法、EVOH(A)の製造時にエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化後のペーストを水中で析出させて水を含有させる方法等が挙げられる。
上記の中でも特にEVOH(A)製造時にエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化後のペーストを水中で析出させる方法が好ましく用いられる。
尚、EVOHと水を単に混合しただけではEVOH中に水が均一に含まれないため、本発明の効果を発揮することはできない。
かかる溶融混合する方法としては、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の混練装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、また、必要に応じてベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。
上記のEVOH(A)および水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合するに当たっては特に制限はなく、含水率20〜70重量%のEVOH(A)、粉体の水膨潤性層状無機化合物(B)を一括に押出機のホッパーに投入したり、或いは含水率20〜70重量%のEVOH(A)だけをホッパーに供給し、粉末の水膨潤性層状無機化合物(B)を押出機のシリンダーの途中から(例えばベント孔)から添加してもよい。また、水膨潤性層状無機化合物(B)に水を添加し、スラリー状または溶液状としてポンプ等を用いて押出機に供給しても良い。
なお、本発明に用いるEVOHと水膨潤性層状無機化合物(B)を一括して溶融混合してもよいが、EVOHの一部と水膨潤性層状無機化合物(B)を予め溶融混合し、得られたマスターバッチを残るEVOHと溶融混合することも好ましい実施態様である。その場合、マスターバッチに用いるEVOHと残りのEVOHとは同じものであっても、異なるものであってもよい。
かくして得られたEVOH樹脂組成物は必要に応じて、多層フィルムに成形される前に乾燥が行われる。
かかる乾燥方法としては種々の乾燥方法を採用することが可能である。例えば、実質的にペレット状のEVOH樹脂組成物が機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
該乾燥処理時に用いられる加熱ガスとしては空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)が用いられ、該加熱ガスの温度としては、40〜150℃が、生産性とEVOHの熱劣化防止の点で好ましい。また、減圧状態で乾燥を行うことも、より低温あるいはより短時間で乾燥でき、熱劣化防止の点で好ましい。該乾燥処理の時間は、対象物の含水量やその処理量にもよるが、通常は15分〜200時間程度が生産性と熱劣化防止の点で好ましい。
また、その他の乾燥方法としてはEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を押出機で溶融混合する際にベント等から水分を除去する方法も挙げられる。
該乾燥処理後の含水率は通常0.001〜5重量%であり、さらには0.01〜2重量%、特には0.1〜1重量部になるようにするのが好ましく、該含水率が0.001重量%未満では、ロングラン成形性が低下する傾向にあり、逆に5重量%を超えると、押出成形時時に発泡が発生する虞があり好ましくない。
かくして得られたEVOH樹脂組成物はこのままでフィルムに加工することもできるが、本発明においては、かかる樹脂組成物に本発明の目的を阻害しない範囲において各種添加剤を配合することもできる。かかる添加剤としては飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、充填材(例えば無機フィラー等)、酸素吸収剤、他樹脂(例えばポリオレフィン、ポリアミド等)等が挙げられる。
次に、EVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を含有するEVOH樹脂組成物は、他の基材と積層されて多層フィルムとされる。他の基材と積層するときの積層方法としては、例えば本発明のEVOH樹脂組成物のフィルム、シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に該樹脂を溶融押出ラミネートする方法、該樹脂と他の基材とを共押出する方法、該樹脂(層)と他の基材(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、他の基材上に該樹脂の溶液を塗工してから溶媒を除去する方法等が挙げられるが、積層体として延伸性が良好な点で共押出する方法が好ましい。
かかる共押出法としては、具体的には、マルチマニーホールドダイ法、フィードブロック法、マルチスロットダイ法、ダイ外接着法等の公知の方法を採用することができる。ダイスの形状としてはTダイス、丸ダイス等を使用することができ、溶融押出時の溶融成形温度は150〜300℃が好ましい。
かかる他の基材としては熱可塑性樹脂が有用で、具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものなどの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類、更には他のEVOH等が挙げられるが、積層体の物性(特に強度)等の実用性の点から、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂やポリアミド系樹脂が好ましく、特にはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。
さらに、多層フィルムに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、かかる基材としては前記の熱可塑性樹脂以外にも任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシートおよびその無機化合物蒸着物、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
多層フィルムの層構成は、EVOH樹脂組成物含有層をa(a1、a2、・・・)、熱可塑性樹脂含有層をb(b1、b2、・・・)とするとき、フィルム、シート状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能であり、さらには、少なくとも該EVOH樹脂組成物と熱可塑性樹脂の混合物からなるリグラインド層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。なお、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することもでき、延伸性に優れた積層体が得られる点で好ましく、bの樹脂の種類によって異なり一概に言えないが、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(上述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。このときの、熱可塑性樹脂に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。またこれらの接着性樹脂には、EVOH組成物や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
また、基材樹脂層に従来知られているような酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいても良い。
上記の如き多層フィルム(積層体)は、次いで(加熱)延伸処理が施され分けであるが、かかる(加熱)延伸処理とは熱的に均一に加熱されたフィルム、シート状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、チューブ、フィルム状に均一に成形する操作を意味し、かかる延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。
延伸方法としてはロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が40℃未満では延伸性が不良となり、170℃を越えると安定した延伸状態を維持することが困難となる。
なお、延伸倍率は高倍率であるほど物性が向上する傾向にあり、面積比で4〜80倍、さらには9〜80倍、特には20〜80倍であることが好ましい。
本発明の多層延伸フィルムは延伸性に優れるため、かかる延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラや偏肉等が生じることなく、ガスバリア性に優れ、さら白化による透明性低下がない多層延伸フィルムが得られる。
なお、得られた多層延伸フィルムに寸法安定性を付与することを目的として、延伸が終了した後、次いで熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜180℃、好ましくは100〜165℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。
また、本発明の多層延伸フィルムをシュリンク用フィルムとして用いる場合には、熱収縮性を付与するために、上記の熱固定を行わず、例えば延伸後のフィルムに冷風を当てて冷却固定するなどの処理を行う。
多層延伸フィルムの熱可塑性樹脂層および接着性樹脂層の厚みは、層構成、熱可塑性樹脂の種類、接着性樹脂の種類、用途や包装形態、要求される物性などにより一概に言えないが、通常は熱可塑性樹脂層は1〜200μm、さらには2〜50μm、接着性樹脂層は0.1〜30μm、さらには0.2〜10μm程度の範囲から選択される。
また、EVOH樹脂組成物含有層の厚みは要求されるガスバリア性などによって異なるが、通常は0.5〜30μm、さらには0.8〜10μm、特に1〜5μmであることが好ましく、かかる厚みが薄すぎると十分なガスバリア性が得られない場合があり、逆に厚すぎるとフィルムの柔軟性が不足する傾向にあるため好ましくない。
また、本発明の多層延伸フィルムの透明性は、ヘイズ値として10以下、さらには6以下、特には3以下であることが好ましい。
かくして得られた多層延伸フィルムは良好なガスバリア性を有し、透明性にも優れていることから、食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包装材料として有用である。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下「%」「部」とあるのは、特に断りのない限り、重量基準を意味する。
実施例1
(1)EVOH(A1)の作製
冷却コイルを持つ1m3の重合缶に酢酸ビニルを500kg、メタノール100kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm(対酢酸ビニル)、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン14kgを仕込み、系を窒素ガスで一旦置換した後、エチレンで置換して、さらにエチレンを圧力35kg/cm2となるまで圧入し、攪拌しながら、67℃まで昇温、重合を開始した。さらに3,4−ジアセトキシ−1−ブテン4.5kgを15g/分の速度で添加し、重合率が50%になった6時間後に重合反応を停止した。
得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体中の構造単位(1)の含有量は2.5モル%、エチレン含有量は29モル%であった。なお、上記の構造単位(1)の含有量は、1H−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d6−DMSO、日本ブルカー社製「ΑVΑNCE DPX400」使用)から算出したものである。
得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を棚段塔(ケン化塔)の塔上部より10kg/時の速度で供給し、同時に該共重合体中の酢酸基に対して、0.012当量の水酸化ナトリウムを含むメタノール溶液を塔上部より供給した。一方、塔下部からは15kg/時でメタノールを供給した。その際の塔内温度は100〜110℃、塔圧は3kg/cm2Gであった。仕込み開始後30分から、1,2−グリコール構造単位を有するEVOH(A1)のメタノール溶液(EVOH(A1)30%、メタノール70%)が取出された。
かかるEVOH(A1)のケン化度は99.5モル%であった。
次いで、このEVOH(A1)の30%メタノール溶液をメタノール/水溶液調整塔の塔上部から10kg/時で供給、塔下部からは120℃のメタノール蒸気を4kg/時、水蒸気を2.5kg/時の速度で供給、さらに塔中部からはケン化で用いた水酸化ナトリウム量に対して6当量の酢酸メチルを供給した。その際の塔内温度は95〜110℃であった。塔頂部からメタノールを8kg/時で導出し、塔底部からEVOH(A1)の水/アルコール溶液(樹脂濃度35%)が導出された
得られたEVOH(A1)の水/アルコール溶液を、孔径4mmのノズルより、メタノール5%、水95%よりなる5℃に維持された凝固液槽中にストランド状に押し出して凝固させ、得られたストランド状物をカッターで切断し、直径3.8mm、長さ4mm、含水率45%のEVOH(A1)多孔性ペレットを得た。その後、該多孔性ペレット100部に対して水100部で洗浄した後、0.032%のホウ酸及び0.007%のリン酸二水素カルシウムを含有する混合液中に投入し、30℃で5時間撹拌後取り出して、含水率45%のEVOH(A1)組成物ペレットを得た。さらにかかる多孔性ペレットを回分式通気箱型乾燥器にて温度70℃、水分含有率0.6%の窒素ガスを通過させて12時間乾燥を行って、含水率を30%とした後に、回分式塔型流動乾燥器を用いて、温度120℃、水分含有率0.5%の窒素ガスで12時間乾燥を行って含水率0.3%のEVOH(A1)組成物のペレットを得た。かかるペレットは、EVOH(A1)100部に対して、ホウ酸を0.015部(ホウ素換算)、リン酸二水素カルシウムを0.005部(リン酸根換算)含有していた。また、このEVOH(A1)組成物のMFRは3.5g/10分(210℃ 2160gで測定)であった。
(2)EVOH(A1)樹脂組成物および単層フィルムの作製
含水率45%に調製したEVOH(A1)組成物と水膨潤性層状無機化合物(B)である天然モンモリロナイト(B)(クニミネ鉱業社製「クニピアF」、カチオン交換容量109meq/100g、膨潤力62mL/2g、アスペクト比320、)を二軸押出機(スクリュー径15mm、L/D=60、テクノベル社製「KZW15−60MG」)に供給し、下記条件にて溶融混合を行った。この際、含水率45%のEVOH(A)組成物はホッパー部より供給、水膨潤性層状無機化合物(B)はKZW15用2軸サイドフィーダー(C3位置に設置)より供給した。
〔(A1)/(B)溶融混合条件〕
(A1)組成物(含水率45%)供給量
1.2kg/hour
(B)供給量 0.035kg/hour
スクリュー構成 フルフライト
スクリュー回転数 200rpm
ダイス ストランドダイ(径3mmφ:1穴)
ベント すべて閉
温度設定 C1 65℃ C7 90℃
C2 90℃ C8 90℃
C3 90℃ D 90℃
C4 90℃
C5 90℃
C6 90℃
押出機出口に設けたストランドダイから溶融混合物をストランド状に押出し、ペレタイザーを用いてカッティングしてEVOH樹脂組成物ペレット(含水率40%:直径2.5mm、長さ3mmの円筒状)を得た。次いで、得られたペレットを80℃雰囲気下で7日間真空乾燥を行って含水率0.3%のEVOH樹脂組成物(a)ペレットを得た。
上記で得られた樹脂組成物(a)を、Tダイを取り付けた二軸押出機(スクリュー径15mm、L/D=60 テクノベル社製KZW15−60MG)に供給し、下記成形条件にて単層フィルム(膜厚30μm)を作製した。
〔EVOH樹脂組成物(a)単層フィルム成形条件〕
(a)供給量 1.7kg/hour
スクリュー構成 フルフライト
スクリュー回転数 200rpm
ダイス Tダイ(コートハンガータイプ、ダイ巾250mm)
ベント C7部のみ開放、その他は閉
温度設定 C1 200℃ D1 220℃
C2 220℃ D2 220℃
C3 220℃ D3 220℃
C4 220℃ D4 220℃
C5 220℃ D5 220℃
C6 220℃
C7 220℃
C8 220℃
冷却ロール温度 30℃
引き取り速度 3m/min
エアギャップ 25mm
(3)ポリプロピレン単層フィルムの作製
次に、ポリプロピレン樹脂(b)(日本ポリプロピレン社製「NOVATEC PP FL6CK」)を、Tダイを取り付けた単軸押出機(田辺プラスチック社製「VS40」、スクリュー径40mm、L/D=28)に供給して単層フィルム(膜厚100μm)を作製した。
〔樹脂組成物(b)単層フィルム成形条件〕
スクリュー構成 フルフライト(圧縮比3.5)
スクリュー回転数 72rpm
ダイス Tダイ(コートハンガータイプ、ダイ巾450mm)
温度設定 C1 185℃ H 220℃
C2 200℃ D 200℃
C3 220℃
C4 230℃
冷却ロール温度 50℃
引き取り速度 2.4m/min
エアギャップ 80mm
(4)多層フィルムの作製
上記で得られたポリプロピレン樹脂(b)単層フィルム上に、市販のアンカーコート剤〔主剤:AD−335、硬化剤:CAT−10(共に東洋モートン社製)〕を用いて主剤:硬化剤:溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1混合溶媒)=100:6:30の重量比で配合調整した溶液を作製して、バーコーター(NO.40)で塗工した後、熱風循環型乾燥機にて乾燥(乾燥温度:80℃、乾燥時間:90秒)した。得られたアンカーコート処理ポリプロピレン樹脂(b)フィルムと樹脂組成物(a)単層フィルムをラミネーター装置(MKS社製「ハルダーラミネーターMRK−650Y」)を用いてニップロール圧力2kg/cm2で1秒間圧着させてドライラミネート処理を行い、(b)層/アンカーコート層/(a)層=100/15/30(μm)の多層フィルムを得た。次いで、(a)層のドライラミネート未処理側について上記と同様の条件でドライラミネート処理を行い(b)層/アンカーコート層/(a)層/アンカーコート層/(b)層=100/15/30/15/100(μm)の多層フィルムを作製した。その後、得られたフィルムを熱風循環型乾燥機にて80℃で5分間乾燥し、さらに40℃で48時間エージングして多層フィルムを得た。
(5)多層延伸フィルムの作製
得られた多層フィルムをテンター式二軸延伸機にて150℃で1分間予熱した後に、延伸温度150℃、延伸速度200mm/秒の条件で縦5倍、横5倍の同時二軸延伸を行い、150℃で3分間の熱固定を行って、多層延伸フィルム(総厚さ11μm、EVOH樹脂組成物層厚さ1.3μm)を得た。
得られた多層延伸フィルムについて、以下の評価を行った。
<透明性評価>
得られた多層延伸フィルムの透明性を、ヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)を用い、JIS K7105に順じてヘイズ値を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、延伸倍率を縦6倍、横6倍に変更した以外は同様にして多層延伸フィルム(総厚さ8μm、EVOH樹脂組成物層厚さ0.7μm)を作製して同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、延伸倍率を縦7倍、横7倍に変更した以外は同様にして多層延伸フィルム(総厚さ6μm、EVOH樹脂組成物層厚さ0.7μm)を作製して同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1のEVOH(A1)の代わりに、構造単位(1)を含有しないEVOH(エチレン含有量29%、ケン化度99.8%、MFR3.0)を用いた以外は同様にして多層フィルム(総厚さ11μm、EVOH樹脂組成物層厚さ1.3μm)を作製して、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
比較例1において、延伸倍率を縦6倍、横6倍に変更した以外は同様にして多層延伸フィルム(総厚さ8μm、EVOH樹脂組成物層厚さ0.9μm)を作製して同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
比較例1において、延伸倍率を縦7倍、横7倍に変更した以外は同様にして多層延伸フィルムを作製したが、延伸途中でフィルムが破断して目標延伸倍率の多層延伸フィルムが得ることができなかった。
〔表1〕
Figure 0004869120
実施例4
(1)EVOH樹脂組成物の作製
実施例1における含水率60%に調製したEVOH(A1)組成物と、水膨潤性層状無機化合物(B)である天然モンモリロナイト(B)(クニミネ鉱業社製「クニピアF」)を二軸押出機(スクリュー径57mm、L/D=44、大阪精機工作社製「OTE−57−II」)に供給して下記の条件で溶融混合し、EVOH(A1)/モンモリロナ
イト(B)が4/1(重量比)であるマスターバッチを作製した。この際、含水率60%のEVOH(A1)はホッパー部より供給、モンモリロナイト(B)は2軸サイドフィーダー(C5位置に設置)より供給した。
〔混合条件〕
(A1)供給量 130kg/時間(EVOH成分として52kg/時間)
(B)供給量 13kg/時間
スクリュー構成 通常混練型スクリュー
(C1〜C5間、C6〜C13間にニーディングディスクを配置)
スクリュー回転数 250rpm
ストランドダイ 径3.5mmφ:8穴
ベント C8、C11部のみ開放、その他は閉
温度設定 C1 65℃ C9 95℃
C2 90℃ C10 95℃
C3 95℃ C11 95℃
C4 95℃ C12 95℃
C5 95℃ C13 95℃
C6 95℃ AD 95℃
C7 95℃ D 95℃
C8 95℃
モータートルク 54Ampere
押出機出口に設けたストランドダイからストランド状に押出し、ペレタイザーを用いてカッティングしてマスターバッチ(A1+B)の含水ペレット(含水率46%:直径2.5mm、長さ3mmの円筒状)を得た。かかる含水ペレットを流動乾燥機にて温度80℃、水分含有率0.6%の窒素ガスを通過させて16時間乾燥を行い含水率5%とした。
次に、得られたマスターバッチ(A1+B)と含水率0.3%のEVOH(A1)を二軸押出機(スクリュー径30mm、L/D=42、プラスチック工学研究所製「BT−30−S2−42−L」)に供給して下記条件にて溶融混合を行い、EVOH樹脂組成物を作製した。この際、マスターバッチペレット(A1+B)とEVOH(A1)ペレットを、(A1+B)/(A1)が21/79となる配合比(重量)で混合した後、ホッパー部から供給した。また、熱安定性改善の目的で酢酸マグネシウムを固形分(A1+B)100重量部に対して0.05重量部(金属換算で0.008重量部)をホッパー部より供給した。
〔混合条件〕
供給量 25kg/時間
スクリュー構成 通常混練型スクリュー
(C1〜C4間、C5〜C7間にニーディングディスクを配置)
スクリュー回転数 190rpm
ストランドダイ 径3.5mmφ:3穴
ベント C7部を真空吸引
温度設定 C1 70℃ C6 230℃
C2 210℃ C7 230℃
C3 230℃ H 230℃
C4 230℃ D 230℃
C5 230℃
モータートルク 28Ampere
押出機出口に設けられたストランドダイからストランド状に押出し、ペレタイザーを用いてカッティングしてEVOH樹脂組成物のペレット(含水率0.3%:直径2.5mm、長さ3mmの円筒状)を得た。
かかるEVOH組成物中のモンモリロナイト(B)の含有量は、EVOH100重量部に対して4.2重量部であった。
(2)多層フィルムの作製
得られたEVOH樹脂組成物ペレットと、ポリプロピレン樹脂(PP)(プライムポリプロ社製「F300SP」)、および接着性樹脂(三井化学社製「ADMER QF500」)を、フィードブロック3種5層の多層Tダイを備えた多層押出装置に供給し、PP層/接着性樹脂層/EVOH樹脂組成物層/接着性樹脂層/PP層(200/30/60/30/200(μm))の多層フィルムを作製した。
〔多層フィルム成形条件〕
中間層押出機:32mmφ単軸押出機(バレル温度230℃)
上下層押出機:40mmφ単軸押出機(バレル温度220℃)
接着層押出機:32mmφ単軸押出機(バレル温度220℃)
ダイ温度 :220℃
引取速度 :1m/分
ロール温度 :50℃
(3)多層延伸フィルムの作製
得られた多層フィルムを、テンター式二軸延伸機にて155℃で2分間予熱した後に、延伸温度155℃、延伸速度200mm/秒の条件で縦7倍、横7倍の同時二軸延伸を行い、1分間熱固定して多層延伸フィルム(総厚さ15μm、EVOH樹脂組成物層厚さ1.7μm)を作製した。
得られた多層延伸フィルムについて、上述の透明性評価に加えて以下の評価を行った。
<酸素バリア性評価>
酸素透過度測定装置(MOCON社製「OXTRAN100A」)を用い、23℃、80%RHの条件下で酸素透過度を測定した。なお、テストガスとしては、100%濃度の酸素ガスを使用した。結果を表2に示す。
実施例5
実施例4において、マスターバッチを希釈するEVOHとしてEVOH(A1)に代えて構造単位(1)の含有量1.1モル%、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.7モル%、MFR12g/10分(210℃、2160gで測定)であるEVOH(A2)を用い、マスターバッチに用いるEVOHとして未変性のEVOH(エチレン含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MFR8g/10分(210℃、2160gで測定)を用いた以外は実施例4と同様にEVOH樹脂組成物を作製した。
このときのEVOH樹脂組成物中のEVOHは、構造単位(1)を含有するEVOH(A)と未変性のEVOHとの混合物であり、そのエチレン含有量は31.5モル%、ケン化度99.7モル%、構造単位(1)の含有量は0.92モル%であった。
かかるEVOH組成物中のモンモリロナイト(B)の含有量は、EVOH100重量部に対して4.2重量部であった。
次いで、このEVOH樹脂組成物を用い、多層フィルム、、多層延伸フィルムを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例6
実施例5において、マスターバッチペレットとEVOH(A2)の配合比を11/89(重量比)とした以外は同様にEVOH樹脂組成物を作製した。
このときのEVOH樹脂組成物中のEVOHは、構造単位(1)を含有するEVOH(A)と未変性のEVOHとの混合物であり、そのエチレン含有量は31.7モル%、ケン化度99.7モル%、構造単位(1)の含有量は1.0モル%であった。
次いで、このEVOH樹脂組成物を用い、多層フィルム、多層延伸フィルムを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
かかるEVOH組成物中のモンモリロナイト(B)の含有量は、EVOH100重量部に対して2.1重量部であった。
比較例4
実施例5において、マスターバッチを希釈するEVOHとしてEVOH(A2)に代えてエチレン含有量32モル%、ケン化度99.7モル%、MFR12g/10分(210℃、2160gで測定)の未変性EVOHを用いた以外は同様にEVOH樹脂組成物を作製した。
このときのEVOH樹脂組成物中のEVOHは、未変性のEVOH同士の混合物であり、そのエチレン含有量は31.5モル%、ケン化度99.7モル%であった。
かかるEVOH組成物中のモンモリロナイト(B)の含有量は、EVOH100重量部に対して4.2重量部であった。
次いで、このEVOH樹脂組成物を用い、多層プリフォーム、多層ボトルを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
比較例5
実施例5において、マスターバッチを希釈するEVOHとしてEVOH(A2)に代えてマスターバッチ用のEVOHと同じエチレン含有量29モルmol%、ケン化度99.7モル%、MFR8g/10分(210℃、2160gで測定)の未変性EVOHを用いた以外は同様にEVOH樹脂組成物を作製した。
かかるEVOH組成物中のモンモリロナイト(B)の含有量は、EVOH100重量部に対して4.2重量部であった。
次いで、このEVOH樹脂組成物を用い、多層プリフォーム、多層ボトルを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔表2〕
Figure 0004869120

Claims (8)

  1. 下記の構造単位(1)を有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)とを含有する層を少なくとも1層有する多層フィルムを延伸してなることを特徴とする多層延伸フィルム。
    Figure 0004869120
    (ここで、R1は水素または有機基を表わし、Xは結合鎖を表わし、nは0または1を表し、R2〜R4はそれぞれ水素または有機基を表わす)
  2. エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)中の構造単位(1)のR1が水素原子であり、nが0であり、R2〜R4がいずれも水素原子であることを特徴とする請求項1記載の多層延伸フィルム。
  3. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)中の構造単位(1)の含有量が0.1〜30モル%であることを特徴とする請求項1または2記載の多層延伸フィルム。
  4. 水膨潤性層状無機化合物(B)がモンモリロナイトであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の多層延伸フィルム。
  5. 水膨潤性層状無機化合物(B)の含有量が、エチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対して0.5〜100重量部であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の多層延伸フィルム。
  6. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を含有する層の厚さが0.5〜30μmであることを特徴とする請求項1〜5 記載の多層延伸フィルム。
  7. 延伸倍率が面積比で2〜80倍となるように延伸されてなることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の多層延伸フィルム。
  8. ヘイズが10以下であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の多層延伸フィルム。
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