JP4868563B2 - 蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤およびその使用方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業の属する技術分野】
本発明は、ガラス及びプラスチックスの表面改質のために行われる工程の不良蒸着膜の溶解剥離及び前工程としての表面洗浄に関するものである。より具体的には本発明は、レンズや反射鏡などの蒸着の際に生ずる不良品の蒸着膜剥がしおよび面上に付着したアルミナや珪酸塩などの除去に使用される剥離剤水溶液に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
膜剥がし剤としては、従来より弗化水素酸塩液やアルカリ金属水酸化物の溶液が使用されてきた。しかし、弗化水素酸塩はガラス素地を腐蝕し、使用時に注意を要するので、対象がプラスチックス素地が主体となり、ガラスには敬遠されている。水酸化物の溶液は溶解力が弱く、溶解後に溶質の析出が生じて洗浄面に再付着する問題があった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガラス素地を腐蝕することなく蒸着膜及び／又は付着物を除去し、再析出しない剥がし液の提供を目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶液中の溶質が水酸化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸２ナトリウム（以下、「ＥＤＴＡ-２Ｎａ」と略称する。）およびジエタノールアミンよりなり、その組成が重量比で、水酸化ナトリウム：エチレンジアミン四酢酸２ナトリウム・２H2O：ジエタノールアミン＝１：０．８〜１．３：２．０〜３．０であって、溶液が質量百分率で溶質を５５〜２．７％含有する水溶液であることを特徴とする蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤を要旨としている。
【０００７】
また、本発明は、溶液中の溶質が水酸化ナトリウム、ＥＤＴＡ-２Ｎａおよびジエタノールアミンよりなり、その組成が、水酸化ナトリウム：ＥＤＴＡ-２Ｎａ・２Ｈ2Ｏ：ジエタノールアミン＝１：０．８〜１．３：２．０〜３．０よりなり、ならびに溶質を５５〜２．７％含有する水溶液である、ことを特徴とする蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤を用いた蒸着膜の剥離またはガラス面の洗浄方法を要旨としている。
【０００９】
【発明の実施の形態】
本発明は課題を解決するために、表面の蒸着膜及び／又は付着物をキレート剤の作用で溶解除去する。キレート剤が作用するｐＨを維持し、キレートを安定させるために水酸化ナトリウムを用いる。更に生成するキレートの析出を防ぐためにジエタノールアミンを加えて目的を達した。
【００１０】
本発明を実施するには、水１５．８重量部に水酸化ナトリウム１．３２重量部を溶解する。この溶液に水酸化ナトリウムの０．８〜１．３倍量（好ましくは１．０倍量）のＥＤＴＡ-２Ｎａ・２Ｈ2Ｏ（例えば商品名キレスト−２００）を加えて撹拌溶解する。溶解後、水酸化ナトリウムの２．０〜３．０倍量のジエタノールアミンを加えて溶解することよりなる剥離剤を作成する。
【００１１】
剥離を実施するには、この剥離剤又は目的に応じた水で希釈した液に目的物を浸漬し、蒸着膜及び／又は付着物を除去する。液温を４０〜６０℃に温めれば除去に要する時間を短縮することができる。所要時間は除去する目的物の厚さ、種類により異なる。
水酸化ナトリウムの比率が高過ぎると基材であるガラス又はプラスチックスに悪影響を及ぼすおそれがあり、低過ぎれば剥離に長時間を要し、遂には完全に剥離しない状況となる。ジエタノールアミンが多過ぎる場合は剥離、洗浄に影響はないが、後工程の水洗液のＢＯＤ負荷が大きくなる。少な過ぎればキレートの析出を起こし、所期の目的を達しない。
汎用性を考慮するならば、水酸化ナトリウム ５．０〜７．０ｗ／ｗ％、ＥＤＴＡ-２Ｎａ・２Ｈ2Ｏ ５．０〜７．０ｗ／ｗ％、ジエタノールアミン １３．０〜１６．０ｗ／ｗ％、水残量の組成が適する。運搬その他の理由で水を減じて濃度を２倍とすることもできるが、液の粘性が多少上昇する。しかし、低温での凍結を防止できる。
【００１２】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【００１３】
実施例１
表１の組成の溶液を作成し、液温６０℃に加温した後、ガラス上にＡｌ2Ｏ3、ＺｒＯ2、ＭｇＯの順で蒸着された試料を浸漬すれば、約２時間後に蒸着膜の干渉色は消失した。
【００１４】
【表１】
【００１５】
実施例２
実施例１の組成液を５０℃に加温し、Ａｌ蒸着した凹面鏡に注ぎ溜める。数分後、細かな気泡を発してＡｌ蒸着膜は剥離溶解する。
【００１６】
実施例３
表２の組成の液は、−２０℃に冷却していても凍結せず、粘性の高い液となるが機能は変わらない。この液を１０〜２０倍に水で希釈した液を５０℃に温め、この中にアルミナ及び珪酸の粉が付着したガラス板を浸漬すれば、１０〜２０分で清浄な面となる。
【００１７】
【表２】
【００１８】
【発明の効果】
レンズその他のガラス、プラスチックス表面の改質のために行われる表面処理において、表面処理の失敗、その他の理由で蒸着膜や付着物を除去する組成物を提供することができる。また、表面処理の前工程として表面の付着物を除去する組成物を提供することができる。
【産業の属する技術分野】
本発明は、ガラス及びプラスチックスの表面改質のために行われる工程の不良蒸着膜の溶解剥離及び前工程としての表面洗浄に関するものである。より具体的には本発明は、レンズや反射鏡などの蒸着の際に生ずる不良品の蒸着膜剥がしおよび面上に付着したアルミナや珪酸塩などの除去に使用される剥離剤水溶液に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
膜剥がし剤としては、従来より弗化水素酸塩液やアルカリ金属水酸化物の溶液が使用されてきた。しかし、弗化水素酸塩はガラス素地を腐蝕し、使用時に注意を要するので、対象がプラスチックス素地が主体となり、ガラスには敬遠されている。水酸化物の溶液は溶解力が弱く、溶解後に溶質の析出が生じて洗浄面に再付着する問題があった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガラス素地を腐蝕することなく蒸着膜及び／又は付着物を除去し、再析出しない剥がし液の提供を目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶液中の溶質が水酸化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸２ナトリウム（以下、「ＥＤＴＡ-２Ｎａ」と略称する。）およびジエタノールアミンよりなり、その組成が重量比で、水酸化ナトリウム：エチレンジアミン四酢酸２ナトリウム・２H2O：ジエタノールアミン＝１：０．８〜１．３：２．０〜３．０であって、溶液が質量百分率で溶質を５５〜２．７％含有する水溶液であることを特徴とする蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤を要旨としている。
【０００７】
また、本発明は、溶液中の溶質が水酸化ナトリウム、ＥＤＴＡ-２Ｎａおよびジエタノールアミンよりなり、その組成が、水酸化ナトリウム：ＥＤＴＡ-２Ｎａ・２Ｈ2Ｏ：ジエタノールアミン＝１：０．８〜１．３：２．０〜３．０よりなり、ならびに溶質を５５〜２．７％含有する水溶液である、ことを特徴とする蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤を用いた蒸着膜の剥離またはガラス面の洗浄方法を要旨としている。
【０００９】
【発明の実施の形態】
本発明は課題を解決するために、表面の蒸着膜及び／又は付着物をキレート剤の作用で溶解除去する。キレート剤が作用するｐＨを維持し、キレートを安定させるために水酸化ナトリウムを用いる。更に生成するキレートの析出を防ぐためにジエタノールアミンを加えて目的を達した。
【００１０】
本発明を実施するには、水１５．８重量部に水酸化ナトリウム１．３２重量部を溶解する。この溶液に水酸化ナトリウムの０．８〜１．３倍量（好ましくは１．０倍量）のＥＤＴＡ-２Ｎａ・２Ｈ2Ｏ（例えば商品名キレスト−２００）を加えて撹拌溶解する。溶解後、水酸化ナトリウムの２．０〜３．０倍量のジエタノールアミンを加えて溶解することよりなる剥離剤を作成する。
【００１１】
剥離を実施するには、この剥離剤又は目的に応じた水で希釈した液に目的物を浸漬し、蒸着膜及び／又は付着物を除去する。液温を４０〜６０℃に温めれば除去に要する時間を短縮することができる。所要時間は除去する目的物の厚さ、種類により異なる。
水酸化ナトリウムの比率が高過ぎると基材であるガラス又はプラスチックスに悪影響を及ぼすおそれがあり、低過ぎれば剥離に長時間を要し、遂には完全に剥離しない状況となる。ジエタノールアミンが多過ぎる場合は剥離、洗浄に影響はないが、後工程の水洗液のＢＯＤ負荷が大きくなる。少な過ぎればキレートの析出を起こし、所期の目的を達しない。
汎用性を考慮するならば、水酸化ナトリウム ５．０〜７．０ｗ／ｗ％、ＥＤＴＡ-２Ｎａ・２Ｈ2Ｏ ５．０〜７．０ｗ／ｗ％、ジエタノールアミン １３．０〜１６．０ｗ／ｗ％、水残量の組成が適する。運搬その他の理由で水を減じて濃度を２倍とすることもできるが、液の粘性が多少上昇する。しかし、低温での凍結を防止できる。
【００１２】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【００１３】
実施例１
表１の組成の溶液を作成し、液温６０℃に加温した後、ガラス上にＡｌ2Ｏ3、ＺｒＯ2、ＭｇＯの順で蒸着された試料を浸漬すれば、約２時間後に蒸着膜の干渉色は消失した。
【００１４】
【表１】
実施例２
実施例１の組成液を５０℃に加温し、Ａｌ蒸着した凹面鏡に注ぎ溜める。数分後、細かな気泡を発してＡｌ蒸着膜は剥離溶解する。
【００１６】
実施例３
表２の組成の液は、−２０℃に冷却していても凍結せず、粘性の高い液となるが機能は変わらない。この液を１０〜２０倍に水で希釈した液を５０℃に温め、この中にアルミナ及び珪酸の粉が付着したガラス板を浸漬すれば、１０〜２０分で清浄な面となる。
【００１７】
【表２】
【発明の効果】
レンズその他のガラス、プラスチックス表面の改質のために行われる表面処理において、表面処理の失敗、その他の理由で蒸着膜や付着物を除去する組成物を提供することができる。また、表面処理の前工程として表面の付着物を除去する組成物を提供することができる。
Claims (2)
- 溶液中の溶質が水酸化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸２ナトリウムおよびジエタノールアミンよりなり、その組成が重量比で、水酸化ナトリウム：エチレンジアミン四酢酸２ナトリウム・２H2O：ジエタノールアミン＝１：０．８〜１．３：２．０〜３．０であって、溶液が質量百分率で溶質を５５〜２．７％含有する水溶液であることを特徴とする蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤。
- 請求項１の蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤を用いた蒸着膜の剥離またはガラス面の洗浄方法。
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|---|---|---|---|
| JP2001083451A JP4868563B2 (ja) | 2001-03-22 | 2001-03-22 | 蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤およびその使用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001083451A JP4868563B2 (ja) | 2001-03-22 | 2001-03-22 | 蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤およびその使用方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002285200A JP2002285200A (ja) | 2002-10-03 |
| JP4868563B2 true JP4868563B2 (ja) | 2012-02-01 |
Family
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001083451A Expired - Fee Related JP4868563B2 (ja) | 2001-03-22 | 2001-03-22 | 蒸着膜の剥離剤又はガラス面の洗浄剤およびその使用方法 |
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4868563B2 (ja) |
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|---|---|---|---|---|
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| CN101250465B (zh) * | 2008-03-19 | 2010-06-02 | 曹学增 | 一种导电玻璃基板清洗剂及其制备方法 |
Family Cites Families (2)
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|---|---|---|---|---|
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| JP2001011497A (ja) * | 1999-06-30 | 2001-01-16 | Lion Corp | 薄肉プラスチックボトルに充填された液体洗浄剤製品 |
-
2001
- 2001-03-22 JP JP2001083451A patent/JP4868563B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JP2002285200A (ja) | 2002-10-03 |
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