以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本実施の形態に係る充電装置を搭載したプラグインハイブリッド車について説明する。この車両は、エンジン100と、第1MG(Motor Generator)110と、第2MG120と、動力分割機構130と、減速機140と、バッテリ150とを備える。
この車両は、エンジン100および第2MG120のうちの少なくともいずれか一方からの駆動力により走行する。なお、プラグインハイブリッド車の代わりに、その他、モータからの駆動力のみで走行する電気自動車もしくは燃料電池車を用いるようにしてもよい。
エンジン100、第1MG110および第2MG120は、動力分割機構130を介して接続されている。エンジン100が発生する動力は、動力分割機構130により、2経路に分割される。一方は減速機140を介して前輪160を駆動する経路である。もう一方は、第1MG110を駆動させて発電する経路である。
第1MG110は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。第1MG110は、動力分割機構130により分割されたエンジン100の動力により発電する。第1MG110により発電された電力は、車両の走行状態や、バッテリ150のSOC(State Of Charge)の状態に応じて使い分けられる。たとえば、通常走行時では、第1MG110により発電された電力はそのまま第2MG120を駆動させる電力となる。一方、バッテリ150のSOCが予め定められた値よりも低い場合、第1MG110により発電された電力は、後述するインバータにより交流から直流に変換される。その後、後述するコンバータにより電圧が調整されてバッテリ150に蓄えられる。
第1MG110が発電機として作用している場合、第1MG110は負のトルクを発生している。ここで、負のトルクとは、エンジン100の負荷となるようなトルクをいう。第1MG110が電力の供給を受けてモータとして作用している場合、第1MG110は正のトルクを発生する。ここで、正のトルクとは、エンジン100の負荷とならないようなトルク、すなわち、エンジン100の回転をアシストするようなトルクをいう。なお、第2MG120についても同様である。
第2MG120は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。第2MG120は、バッテリ150に蓄えられた電力および第1MG110により発電された電力のうちの少なくともいずれかの電力により駆動する。
第2MG120の駆動力は、減速機140を介して前輪160に伝えられる。これにより、第2MG120はエンジン100をアシストしたり、第2MG120からの駆動力により車両を走行させたりする。なお、前輪160の代わりにもしくは加えて後輪を駆動するようにしてもよい。
プラグインハイブリッド車の回生制動時には、減速機140を介して前輪160により第2MG120が駆動され、第2MG120が発電機として作動する。これにより第2MG120は、制動エネルギを電力に変換する回生ブレーキとして作動する。第2MG120により発電された電力は、バッテリ150に蓄えられる。
動力分割機構130は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車から構成される。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤが自転可能であるように支持する。サンギヤは第1MG110の回転軸に連結される。キャリアはエンジン100のクランクシャフトに連結される。リングギヤは第2MG120の回転軸および減速機140に連結される。
エンジン100、第1MG110および第2MG120が、遊星歯車からなる動力分割機構130を介して連結されることで、エンジン100、第1MG110および第2MG120の回転数は、図2に示すように、共線図において直線で結ばれる関係になる。
図1に戻って、バッテリ150は、複数のバッテリセルを一体化したバッテリモジュールを、さらに複数直列に接続して構成された組電池である。バッテリ150の電圧は、たとえば200V程度である。バッテリ150には、第1MG110および第2MG120の他、車両の外部の電源から供給される電力が充電される。
エンジン100、第1MG110、第2MG120は、ECU(Electronic Control Unit)170により制御される。なお、ECU170は複数のECUに分割するようにしてもよい。
図3を参照して、プラグインハイブリッド車の電気システムについてさらに説明する。プラグインハイブリッド車には、コンバータ200と、第1インバータ210と、第2インバータ220と、DC/DCコンバータ230と、補機バッテリ240と、SMR(System Main Relay)250と、DFR(Dead Front Relay)260と、コネクタ270と、LCフィルタ280とが設けられる。
コンバータ200は、リアクトルと、二つのnpn型トランジスタと、二つダイオードとを含む。リアクトルは、バッテリ150の正極側に一端が接続され、2つのnpn型トランジスタの接続点に他端が接続される。
2つのnpn型トランジスタは、直列に接続される。npn型トランジスタは、ECU170により制御される。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードがそれぞれ接続される。
なお、npn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。npn型トランジスタに代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いることができる。
バッテリ150から放電された電力を第1MG110もしくは第2MG120に供給する際、電圧がコンバータ200により昇圧される。逆に、第1MG110もしくは第2MG120により発電された電力をバッテリ150に充電する際、電圧がコンバータ200により降圧される。
コンバータ200と、第1インバータ210および第2インバータ220との間のシステム電圧VHは、電圧計180により検出される。電圧計180の検出結果は、ECU170に送信される。
第1インバータ210は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、第1MG110の各コイルの中性点112とは異なる端部にそれぞれ接続される。
第1インバータ210は、バッテリ150から供給される直流電流を交流電流に変換し、第1MG110に供給する。また、第1インバータ210は、第1MG110により発電された交流電流を直流電流に変換する。
第2インバータ220は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、第2MG120の各コイルの中性点122とは異なる端部にそれぞれ接続される。
第2インバータ220は、バッテリ150から供給される直流電流を交流電流に変換し、第2MG120に供給する。また、第2インバータ220は、第2MG120により発電された交流電流を直流電流に変換する。
各インバータにおいて、U相コイルとU相アームの組、V相コイルとV相アームの組およびW相コイルとW相アームの組は、それぞれコンバータ200と同様の構成を有する。したがって、第1インバータ210および第2インバータ220は、電圧を昇圧できる。本実施の形態においては、車両外部の電源から供給された電力をバッテリ150に充電する際、第1インバータ210および第2インバータ220は、電圧を昇圧する。たとえば、100Vの電圧が200V程度の電圧に昇圧される。
DC/DCコンバータ230は、バッテリ150と、コンバータ200との間において、コンバータ200と並列に接続される。DC/DCコンバータ230は、直流電圧を降圧する。DC/DCコンバータ230から出力される電力は、補機バッテリ240に充電される。補機バッテリ240に充電された電力は、電動オイルポンプ等の補機242およびECU170に供給される。
SMR(System Main Relay)250は、バッテリ150とDC/DCコンバータ230との間に設けられる。SMR250は、バッテリ150と電気システムとを接続した状態および遮断した状態を切換えるリレーである。SMR250が開いた状態であると、バッテリ150が電気システムから遮断される。SMR250が閉じた状態であると、バッテリ150が電気システムに接続される。SMR250の状態は、ECU170により制御される。たとえば、ECU170が起動すると、SMR250が閉じられる。ECU170が休止する際、SMR250が開かれる。
DFR(Dead Front Relay)260は、第1MG110の中性点112および第2MG120の中性点122に接続される。DFR260は、プラグインハイブリッド車の電気システムと外部の電源とを接続した状態および遮断した状態を切換えるリレーである。DFR250が開いた状態であると、プラグインハイブリッド車の電気システムが外部の電源から遮断される。DFR250が閉じた状態であると、プラグインハイブリッド車の電気システムが外部の電源に接続される。
コネクタ270は、たとえばプラグインハイブリッド車の側部に設けられる。後述するように、コネクタ270には、プラグインハイブリッド車と外部の電源とを連結する充電ケーブルのコネクタが接続される。LCフィルタ280は、DFR260とコネクタ270との間に設けられる。
図4を参照して、プラグインハイブリッド車と外部の電源とを連結する充電ケーブル300は、コネクタ310と、プラグ320と、CCID(Charging Circuit Interrupt Device)330とを含む。充電ケーブル300は、EVSEに相当する。
充電ケーブル300のコネクタ310は、プラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270に接続される。コネクタ310には、スイッチ312が設けられる。充電ケーブル300のコネクタ310が、プラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270に接続された状態でスイッチ312が閉じると、充電ケーブル300のコネクタ310が、プラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270に接続された状態であることを表わすコネクタ信号CNCTがECU170に入力される。
スイッチ312は、充電ケーブル300のコネクタ310をプラグインハイブリッド車のコネクタ270に係止する係止金具(図示せず)に連動して開閉する。係止金具(図示せず)は、コネクタ310に設けられたボタン(図示せず)を操作者が押すことにより揺動する。
たとえば、充電ケーブル300のコネクタ310がプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270に接続した状態で、操作者がボタンから指を離した場合、係止金具がプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270に係合するとともに、スイッチ312が閉じる。操作者がボタンを押すと、係止金具とコネクタ270との係合が解除されるとともに、スイッチ312が開く。なお、スイッチ312を開閉する方法はこれに限らない。
充電ケーブル300のプラグ320は、家屋に設けられたコンセント400に接続される。コンセント400には、プラグインハイブリッド車の外部の電源402から交流電力が供給される。
CCID330は、リレー332およびコントロールパイロット回路334を有する。リレー332が開いた状態では、プラグインハイブリッド車の外部の電源402からプラグインハイブリッド車へ電力を供給する経路が遮断される。リレー332が閉じた状態では、プラグインハイブリッド車の外部の電源402からプラグインハイブリッド車へ電力を供給可能になる。リレー332の状態は、充電ケーブル300のコネクタ310がプラグインハイブリッド車のコネクタ270に接続された状態でECU170により制御される。
コントロールパイロット回路334は、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400、すなわち外部の電源402に接続され、かつコネクタ310がプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270に接続された状態において、コントロールパイロット線にパイロット信号(方形波信号)CPLTを送る。
パイロット信号は、コントロールパイロット回路334内に設けられた発振器から発振される。パイロット信号は、発振器の動作が遅れる分だけ遅れて出力されたり停止されたりする。
コントロールパイロット回路334は、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400に接続されると、コネクタ310がプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270から外されていても、一定のパイロット信号CPLTを出力し得る。ただし、コネクタ310がプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270から外された状態で出力されたパイロット信号CPLTを、ECU170は検出できない。
充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400に接続され、かつコネクタ310がプラグインハイブリッド車のコネクタ270に接続されると、コントロールパイロット回路334は、予め定められたパルス幅(デューティサイクル)のパイロット信号CPLTを発振する。
パイロット信号CPLTのパルス幅により、供給可能な電流容量がプラグインハイブリッド車に通知される。たとえば、充電ケーブル300の電流容量がプラグインハイブリッド車に通知される。パイロット信号CPLTのパルス幅は、外部の電源402の電圧および電流に依存せずに一定である。
一方、用いられる充電ケーブルの種類が異なれば、パイロット信号CPLTのパルス幅は異なり得る。すなわち、パイロット信号CPLTのパルス幅は、充電ケーブルの種類毎に定められ得る。
本実施の形態においては、充電ケーブル300によりプラグインハイブリッド車と外部の電源402とが連結された状態において、外部の電源402から供給された電力がバッテリ150に充電される。
外部の電源402の交流電圧VACは、プラグインハイブリッド車の内部に設けられた第1電圧計171および第2電圧計172により検出される。第1電圧計171および第2電圧計172は並列に設けられる。一方の電圧計は、他方の電圧計のバックアップのために設けられる。なお、電圧計の数は2つに限らない。
以下、外部の電源402によりバッテリ150を充電する際におけるコンバータ200、第1インバータ210および第2インバータ220の動作について説明する。図5に、図3および図4に示す回路図のうちの充電に関する部分を示す。
図5では、図1の第1インバータ210および第2インバータ220のうちのU相アーム212,222が代表として示されている。第1MG110および第2MG120のコイルのうちのU相コイル114,124が代表として示されている。他の2相の回路は、U相の回路と同様に作動する。そのため、ここではそれらの詳細な説明は繰り返さない。
前述したように、第1MG110のU相コイル114と第1インバータ210のU相アーム212との組、および第2MG120のU相コイル124と第2インバータ220のU相アーム222との組は、それぞれコンバータ200と同様の構成を有する。
外部の電源402の電圧VAC>0である場合、すなわちライン410の電圧VXがライン420の電圧VYよりも高い場合、コンバータ200のトランジスタ501はON状態にされ、トランジスタ502はOFF状態にされる。第1インバータ210のトランジスタ512が外部の電源402の電圧VACに応じた周期およびデューティー比でスイッチングされる。トランジスタ511がOFF状態またはダイオード611の導通に同期して導通されるスイッチング状態に制御される。第2インバータ220のトランジスタ521はOFF状態にされ、トランジスタ522はON状態にされる。
第1インバータ210のトランジスタ512がON状態であると、電流がU相コイル114、トランジスタ512、ダイオード622、U相コイル124の順で流れる。U相コイル114およびU相コイル124に蓄積されたエネルギは、第1インバータ210のトランジスタ512がOFF状態になると放出される。放出されたエネルギ、すなわち電力は、第1インバータ210のダイオード611およびコンバータ200のトランジスタ501を経由してバッテリ150に供給される。
なお、第1インバータ210のダイオード611による損失を低減させるために、ダイオード611の導通期間に同期させてトランジスタ511を導通させても良い。外部の電源の電圧VACおよびシステム電圧(コンバータ200とインバータとの間における電圧)VHの値に基づいて、第1インバータ210のトランジスタ512のスイッチングの周期およびデューティー比が定められる。
外部の電源402の電圧VAC<0である場合、すなわちライン410の電圧VXがライン420の電圧VYよりも低い場合、コンバータ200のトランジスタ501はON状態にされ、トランジスタ502はOFF状態にされる。第2インバータ220ではトランジスタ522が電圧VACに応じた周期およびデューティー比でスイッチングされ、トランジスタ521がOFF状態またはダイオード621の導通に同期して導通されるスイッチング状態にされる。第1インバータ210のトランジスタ511はOFF状態にされ、トランジスタ512はON状態にされる。
第2インバータ220のトランジスタ522がON状態であると、電流がU相コイル124、トランジスタ522、ダイオード612、U相コイル114の順で流れる。U相コイル114およびU相コイル124に蓄積されたエネルギは、第2インバータ220のトランジスタ522がOFF状態になると放出される。放出されたエネルギ、すなわち電力は、第2インバータ220のダイオード621およびコンバータ200のトランジスタ501を経由してバッテリ150に供給される。
なお、第2インバータ220のダイオード621による損失を低減させるために、ダイオード621の導通期間に同期させてトランジスタ521を導通させても良い。外部の電源の電圧VACおよびシステム電圧VHの値に基づいて、トランジスタ522のスイッチングの周期およびデューティー比が定められる。
図6を参照して、ECU170の機能ついて説明する。なお、以下に説明する機能はソフトウエアにより実現するようにしてもよく、ハードウェアにより実現するようにしてもよい。
ECU170は、第1電圧検出部701と、第2電圧検出部702と、停止部710と、再開部720と、判断部730とを含む。第1電圧検出部701は、第1電圧計171から送信された信号に基づいて、プラグインハイブリッド車の外部の電源402の電圧VACを検出する。第2電圧検出部702は、第2電圧計172から送信された信号に基づいて、外部の電源402の電圧VACを検出する。
停止部710は、第1電圧検出部701により検出される電圧VAC(電圧VACの絶対値)もしくは第2電圧検出部702により検出される電圧VACがしきい値より小さい場合(略零である場合)、外部の電源402によるバッテリ150の充電を停止する。充電を停止する際、コンバータ200、第1インバータ210および第2インバータ220が停止されるとともに、DFR260およびCCID330内のリレー332が開かれる。なお、少なくともいずれか一つのリレーを開くようにしてもよい。
再開部720は、バッテリ150の充電を停止した後、すなわち、DFR260およびCCID330内のリレー332を開いて電源402を遮断した後、予め定められた時間が経過し、パイロット信号が出力され、かつ第1電圧検出部701により検出される電圧VACおよび第2電圧検出部702により検出される電圧VACがしきい値以上である場合、バッテリ150の充電を再開する。
より具体的には、バッテリ150の充電を停止した後、待機時間αが経過し、かつパイロット信号CPLTが出力される場合に、DFR260およびCCID330内のリレー332が閉じられる。DFR260およびCCID330内のリレー332を閉じた後に、第1電圧検出部701により検出される電圧VACおよび第2電圧検出部702により検出される電圧VACがしきい値以上である場合、バッテリ150の充電を再開するようにコンバータ200、第1インバータ210および第2インバータ220が制御される。
待機時間αは、たとえば、コントロールパイロット回路334の発振器の動作が遅れる時間、すなわち、充電ケーブル300のプラグ320をコンセント400から外した後でも発振器の動作遅れによりパイロット信号CPLTがしばらく出力される時間よりも長い時間に設定することが好ましい。
バッテリ150の充電を停止した後の経過時間、すなわち、DFR260およびCCID330内のリレー332を開いて電源402を遮断した後の経過時間は、ECU170に設けられたカウンタにより計測される。経過時間を計測するカウンタには、たとえば、リセットされない限り経過時間を計測し続けるオートインクリメントカウンタが用いられる。なお、オートインクリメントカウンタ以外のカウンタを用いるようにしてもよい。
判断部730は、バッテリ150の充電を停止した後、予め定められた時間が経過し、パイロット信号が出力され、かつ第1電圧検出部701により検出される電圧VACもしくは第2電圧検出部702により検出される電圧VACがしきい値よりも小さい場合、外部の電源402からバッテリ150に電力を供給する経路が断線していると判断する。
より具体的には、DFR260およびCCID330内のリレー332を閉じた後に、第1電圧検出部701により検出される電圧VACもしくは第2電圧検出部702により検出される電圧VACがしきい値よりも小さい場合、外部の電源402からバッテリ150に電力を供給する経路が断線していると判断される。判断部730により断線の有無を判断できる範囲は、図7において斜線で示すように、LCフィルタ280からCCID330のリレー332までの範囲である。
図8を参照して、ECU170が実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、ECU170により実行されるプログラムをCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記録して市場に流通させてもよい。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、ECU170は、プラグインハイブリッド車の外部の電源402によりバッテリ150を充電中であるか否かを判断する。たとえば、DFR260およびCCID330内のリレー332が閉じている場合、バッテリ150が充電中であると判断される。なお、バッテリ150を充電中であるか否かを判断する方法はこれに限らない。
バッテリ150を充電中であると(S100にてYES)、処理はS110に移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS130に移される。
S110にて、ECU700は、コネクタ信号CNCTがOFFであるか(停止しているか)、パイロット信号CPLTがOFFであるか、第1電圧計171を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいか、もしくは第2電圧計172を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいかを判断する。
コネクタ信号CNCTがOFFであるか、パイロット信号CPLTがOFFであるか、第1電圧計171を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいか、もしくは第2電圧計172を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいと(S110にてYES)、処理はS120に移される。もしそうでないと(S110にてNO)、処理はS100に戻される。
S120にて、ECU170は、外部の電源402を遮断すると判定する。すなわち、バッテリ150の充電を停止すると判定される。外部の電源402を遮断すると判定されると、DFR260およびCCID330内のリレー332が開かれる。さらに、バッテリ150の充電を停止した後の経過時間、すなわち、DFR260およびCCID330内のリレー332を開いて電源402を遮断した後の経過時間を計測するオートインクリメントカウンタがリセットされる(カウンタのカウント値が零にされる)。
S130にて、ECU170は、電源402を遮断した後の経過時間が待機時間α以上であるか否かを判断する。電源402を遮断した後の経過時間が待機時間α以上であると(S130にてYES)、処理はS140に移される。もしそうでないと(S130にてNO)、処理はS100に戻される。
S140にて、ECU170は、コネクタ信号CNCTがONであり(出力されており)、かつパイロット信号CPLTがONであるかを判断する。コネクタ信号CNCTがONであり、かつパイロット信号CPLTがONであると(S140にてYES)、処理はS150に移される。もしそうでないと(S140にてNO)、処理はS100に戻される。
S150にて、ECU170は、DFR260およびCCID330内のリレー332を閉じる。S160にて、ECU170は、第1電圧計171を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいか、もしくは第2電圧計172を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいかを判断する。
第1電圧計171を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいか、もしくは第2電圧計172を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいと(S160にてYES)、処理はS180に移される。もしそうでないと(S160にてNO)、処理はS170に移される。S170にて、ECU170は、充電を再開する。
S180にて、ECU170は、外部の電源402からバッテリ150に電力を供給する経路が断線していると判断する。すなわち、断線が検出される。S190にて、ECU170は、DFR260およびCCID330内のリレー332を開く。その後、この処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づくECU170の動作について説明する。
以下、図9を参照して、バッテリ150の充電中に、充電ケーブル300のコネクタ310がプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270から外される場合について説明する。
プラグインハイブリッド車の外部の電源402によりバッテリ150を充電中であると(S100にてYES)、コネクタ信号CNCTがOFFであるか、パイロット信号CPLTがOFFであるか、第1電圧計171を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいか、もしくは第2電圧計172を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さいかが判断される(S110)。
バッテリ150の充電中に、図9に示す時間T1において、充電ケーブル300のコネクタ310がプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270から外される際、コネクタ信号CNCTがOFFにされる(S110にてYES)。また、ECU170はパイロット信号CPLTを検出できないため、パイロット信号CPLTがOFFになる(S110にてYES)。さらに、第1電圧計171により検出される電圧VACもしくは第2電圧計172により検出される電圧VACは、しきい値より小さくなる(S110にてYES)。すなわち、電圧VACは略零になる。
この場合、外部の電源402を遮断すると判定される(S120)。また、DFR260およびCCID330内のリレー332が開かれる(S120)。さらに、バッテリ150の充電を停止した後の経過時間、すなわち、DFR260およびCCID330内のリレー332を開いて電源402を遮断した後の経過時間を計測するカウンタがリセットされる(S120)。
なお、図9におけるAC電源供給状態フラグは、DFR260およびCCID330内のリレー332の状態および充電の実施状態に同期して設定されるフラグである。DFR260およびCCID330内のリレー332が閉じ、バッテリ150が充電されている状態では、AC電源供給状態フラグはONにされる。DFR260およびCCID330内のリレー332が開き、バッテリ150の充電が停止されている状態では、AC電源供給状態フラグはOFFにされる。
時間T2において、電源402を遮断した後の経過時間が待機時間α以上になると(S130にてYES)、コネクタ信号CNCTがONであり、かつパイロット信号CPLTがONであるかが判断される(S140)。
充電ケーブル300のコネクタ310をプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270から外された状態では、コネクタ信号CNCTがOFFであり、パイロット信号CPLTがOFFである(S140にてNO)。したがって、充電は再開されずに、S100、S130およびS140の処理が繰り返される。
時間T3において、充電ケーブル300のコネクタ310をプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270に接続されると、コネクタ信号CNCTが速やかにONになる。パイロット信号CPLTは、コントロールパイロット回路334における発振器の動作が遅れるために、コネクタ信号CNCTに遅れて、時間T4においてONになる。
コネクタ信号CNCTがONであり、かつパイロット信号CPLTがONになると(S140にてYES)、DFR260およびCCID330内のリレー332が閉じられる(S150)。
正常であれば、第1電圧計171を用いて検出される外部の電源402の電圧VACおよび第2電圧計172を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値以上になる(S160にてNO)。この場合、バッテリ150の充電が再開される(S170)。
以下、図10を参照して、バッテリ150の充電中に、充電ケーブル300のプラグ320が家屋に設けられたコンセント400、すなわちプラグインハイブリッド車の外部の電源402から外される場合について説明する。
バッテリ150の充電中に、図10に示す時間T5において、充電ケーブル300のプラグ320が家屋に設けられたコンセント400から外されると、第1電圧計171により検出される電圧VACもしくは第2電圧計172により検出される電圧VACは、しきい値より小さくなる(S110にてYES)。
この場合、外部の電源402を遮断すると判定される(S120)。また、DFR260およびCCID330内のリレー332が開かれる(S120)。さらに、バッテリ150の充電を停止した後の経過時間、すなわち、DFR260およびCCID330内のリレー332を開いて電源402を遮断した後の経過時間を計測するカウンタがリセットされる(S120)。
充電ケーブル300のコネクタ310はプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270に接続されているため、コネクタ信号CNCTはONに維持される。パイロット信号CPLTは、コントロールパイロット回路334における発振器の動作が遅れるために、プラグ320がコンセント400から外された時間T5よりも後の時間T6においてOFFになる。
時間T7において、電源402を遮断した後の経過時間が待機時間α以上になると(S130にてYES)、コネクタ信号CNCTがONであり、かつパイロット信号CPLTがONであるかが判断される(S140)。
充電ケーブル300のプラグ320コネクタ310がコンセント400から外された状態では、コネクタ信号CNCTがONであり、パイロット信号CPLTがOFFである(S140にてNO)。したがって、充電は再開されずに、S100、S130およびS140の処理が繰り返される。
時間T8において、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400に接続されると、コントロールパイロット回路334における発振器の動作が遅れる分だけ遅れて、時間T9において、パイロット信号CPLTがONになる。
コネクタ信号CNCTがONであり、かつパイロット信号CPLTがONになると(S140にてYES)、DFR260およびCCID330内のリレー332が閉じられる(S150)。
正常であれば、第1電圧計171を用いて検出される外部の電源402の電圧VACおよび第2電圧計172を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値以上になる(S160にてNO)。この場合、バッテリ150の充電が再開される(S170)。
ところで、前述したように、パイロット信号CPLTは、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400から外された後、遅れてOFFになる(停止する)。したがって、電源402の電圧VACがしきい値よりも小さい場合に電源402を遮断した後、パイロット信号CPLTがONである(出力されている)ことにより充電を再開するようにすると、電源402の遮断と充電の再開を繰り返し得る。プラグ320をコンセント400から外すと電圧VACがしきい値よりも小さくなることにより電源402が遮断される一方で、パイロット信号CPLTが検出されることにより充電が再開され、その後、パイロット信号がOFFになることにより再び電源402が遮断されるからである。
しかしながら、本実施の形態においては、電源402を遮断した後、待機時間αが経過し、パイロット信号CPLTがONであり、かつ電源402の電圧VACがしきい値以上であると、バッテリ150の充電が再開される。
これにより、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400から外された直後においてパイロット信号CPLTが残っている状態で誤って充電を再開しないようにすることができる。そのため、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400から外された状態が継続している間は、電源402を遮断することができる。その結果、電源402の遮断と充電の再開とを繰り返すことなくバッテリ150を充電することができる。
図11を参照して、バッテリ150の充電中に、外部の電源402からバッテリ150に電力を供給する経路が断線した場合について説明する。
バッテリ150の充電中に、図11に示す時間T10において、外部の電源402からバッテリ150に電力を供給する経路が断線すると、第1電圧計171により検出される電圧VACおよび第2電圧計172により検出される電圧VACは、しきい値より小さくなる(S110にてYES)。
この場合、外部の電源402を遮断すると判定される(S120)。また、DFR260およびCCID330内のリレー332が開かれる(S120)。さらに、バッテリ150の充電を停止した後の経過時間、すなわち、DFR260およびCCID330内のリレー332を開いて電源402を遮断した後の経過時間を計測するカウンタがリセットされる(S120)。
充電ケーブル300のコネクタ310はプラグインハイブリッド車に設けられたコネクタ270に接続されているため、コネクタ信号CNCTはONに維持される。さらに、充電ケーブル300のプラグ320はコンセント400に接続されているため、パイロット信号CPLTはONのまま維持される。
時間T11において、電源402を遮断した後の経過時間が待機時間α以上になると(S130にてYES)、コネクタ信号CNCTがONであり、かつパイロット信号CPLTがONであるかが判断される(S140)。
コネクタ信号CNCTおよびパイロット信号CPLTはONのまま維持されている。そのため、DFR260およびCCID330内のリレー332が閉じられる(S150)。
外部の電源402からバッテリ150に電力を供給する経路が断線していると、DFR260およびCCID330内のリレー332を閉じた後においても、第1電圧計171を用いて検出される外部の電源402の電圧VACもしくは第2電圧計172を用いて検出される外部の電源402の電圧VACがしきい値より小さくなる(S160にてYES)。
この場合、外部の電源402からバッテリ150に電力を供給する経路が断線していると判断される(S180)。すなわち、断線が検出される。電気システムを強制的に停止するため、時間T12において、DFR260およびCCID330内のリレー332が開かれる(S190)。
以上のように、本実施の形態に係る充電装置によれば、電源を遮断した後、待機時間αが経過し、パイロット信号CPLTがONであり、かつ電源の電圧VACがしきい値以上であると、バッテリ150の充電が再開される。これにより、充電ケーブルのプラグがコンセントから外された直後においてパイロット信号CPLTが残っている状態で誤って充電を再開しないようにすることができる。そのため、充電ケーブルのプラグがコンセントから外された状態が継続している間は、電源を遮断することができる。その結果、電源の遮断と充電の再開とを繰り返すことなくバッテリを充電することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 エンジン、110 第1MG、120 第2MG、130 動力分割機構、140 減速機、150 バッテリ、160 前輪、170 ECU、171 第1電圧計、172 第2電圧計、200 コンバータ、210 第1インバータ、220 第2インバータ、230 DC/DCコンバータ、240 補機バッテリ、242 補機、270 コネクタ、280 LCフィルタ、300 充電ケーブル、310 コネクタ、312 スイッチ、320 プラグ、330 CCID、332 リレー、334 コントロールパイロット回路、400 コンセント、402 電源、701 第1電圧検出部、702 第2電圧検出部、710 停止部、720 再開部、730 判断部。