JP4863729B2 - 歪補償装置及び歪補償方法 - Google Patents
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Description
以上のようにして、DPD型増幅器では、参照信号X(I,Q)とフィードバック信号Y(I,Q)との差分(誤差)に基づいて、入力信号X(I,Q)の歪補償(乗算器113)で用いる歪補償係数を適応的に更新して、増幅器118の非線形歪を補償することで、増幅効率の向上を図っている。
以上のようなDPD技術の従来例としては、他に、後記特許文献1,2により提案されている技術がある。
(1)本発明の歪補償装置は、増幅器への入力信号についての歪補償係数を該増幅器の入出力信号の差分に基づいて適応的に更新して、該増幅器の非線形性を補償する歪補償装置であって、該増幅器の出力信号の歪量を検出する歪量検出手段と、設定されるパラメータに応じて前記差分に変動を与えうる被パラメータ設定手段と、該歪量検出手段で検出された前記歪量が改善される方向に該被パラメータ設定手段の前記パラメータを補正するパラメータ補正手段と、該増幅器の前記出力信号を積分して得られる電力値又はその変動要因を監視する電力監視手段と、該電力監視手段による監視結果に基づいて該電力値が歪発生しない値と判断された場合に、該パラメータ補正手段による前記パラメータの補正を停止するパラメータ補正制御手段とをそなえたことを特徴としている。
(3)また、該被パラメータ設定手段は、パラメータ設定に応じて前記差分検出のための前記入出力信号の比較タイミングを調整するタイミング調整部であってもよい。
(4)さらに、該パラメータ補正手段は、該歪量検出手段で検出された歪量をその検出誤差に応じたオフセット量だけ小さくなる方向に補正する歪量補正部をそなえていてもよい。
(1)パラメータ変更(補正)前に、増幅器の出力電力値を監視して、当該電力値が歪発生しないような低い値の場合には、パラメータ補正動作を停止するので、歪測定誤差の影響によりパラメータが最適値から遠ざかる誤設定を防止することができる。
(2)また、歪基準データから誤差成分相当のオフセット値減算を行なうことにより、歪測定誤差の影響による異常パラメータ設定をより確実に防止することができる。
図1は本発明の一実施形態に係るディジタルプリディストーション(DPD)型増幅器(歪補償装置)の要部構成を示すブロック図で、この図1に示すDPD型増幅器も、例えば、ルックアップテーブル(LUT:歪補償テーブル)10,アドレス生成部11,LMS演算部(歪補償演算部)12,乗算器13,イコライザフィルタ(複素フィルタ)14,ディジタル/アナログ(D/A)変換器15,直交変調部(QMOD)16,ローカル発振器17,増幅器(アンプ)18,方向性結合器(Directional Coupler)19,ミキサ(乗算器)20,ローカル発振器21,アナログ/ディジタル(A/D)変換器22,1/Mクロック(CLK)単位遅延回路23,クロック(CLK)単位遅延回路24,減算器25,FFT演算部26,積分器27,バス28及びCPU29をそなえて構成されている。なお、当該DPD型増幅器は、例えば、基地局装置の送信系に適用することができる。また、入力信号(つまり、送信信号)としては、マルチキャリア信号が入力されると仮定する。
方向性結合器19は、上記増幅器18の出力を一部分岐してミキサ20にフィードバックするものであり、ミキサ20は、この方向性結合器19からのフィードバック信号にローカル発振器21からの周波数信号を乗じることにより、当該フィードバック信号を復調(直交検波)してIF帯の復調信号を生成するものであり、A/D変換器22は、当該復調信号をディジタル信号に変換するもので、これにより複素ディジタル信号であるフィードバック信号Y(I,Q)が得られるようになっている。
即ち、図11の例でいえば、CPU29は、枠200で示す電力値取得ポイントの中心周波数からそれぞれ中心方向へ5MHz離れた周波数を中心周波数とする、枠100で示す測定ポイント(監視範囲)のデータを取得し、周波数の高い方と低い方の両方のデータを比較して、図10により前述したごとく、悪い方のデータ(監視範囲内で歪劣化量の多い方のデータ)を歪データとし、前記パラメータを変化させながら当該歪データを取得して、歪データが改善される方向に前記パラメータを補正していくのである。ただし、本例においても、パラメータを変更しただけでは歪量はさほど変化せず、歪補償テーブル10内の歪補償係数を更新することにより歪量の差分が明らかになる。
(1)積分器27により得られた電力値を取得し、当該電力値が所定の閾値以上か否かを判定する判定機能293
(2)上記判定機能による判定の結果、上記電力値が閾値以上の場合は、通常通り、上記パラメータ補正を実行する一方、閾値未満の場合は、上記パラメータ補正を停止するパラメータ補正制御機能294
(3)前記測定ポイント100で取得された歪データ(歪基準データ)をその誤差成分(測定誤差)に応じたオフセット量だけ小さくなる方向に補正(オフセット減算)する歪データ(歪量)補正機能295
なお、上記電力値(送信電力値)についての閾値は、主に、FFT演算部26の解析能力に応じて設定され、CPU29が適宜にアクセス可能なメモリ等に格納されているものとする。
・全体基本動作
まず、入力信号Xは、乗算器13にて、歪補償テーブル11から与えられる歪補償係数と乗算されることにより、歪補償が行なわれた後、イコライザフィルタ14に入力される。イコライザフィルタ14では、前述したごとく内部のパラメータ(フィルタ係数)がCPU29により制御されて、入力信号Xがもつ周波数特性とは逆特性のフィルタリングを行なうことにより、アナログ回路がもつ一次傾斜の周波数特性を補償する。
その出力信号の一部は、方向性結合器19にて分岐され、ミキサ20にフィードバックされ、当該ミキサ20にて、ローカル発振器21の出力と乗算されることにより、復調(直交検波)されてIF帯の信号として出力され、A/D変換器22にて、ディジタル信号(複素信号)Yに変換された上で、1/Mクロック単位遅延回路23,FFT演算部26及び積分器27にそれぞれ入力される。
以上のようにして、本実施形態のDPD型増幅器においても、参照信号Xとフィードバック信号Yとの差分(誤差)に基づいて、入力信号Xの歪補償(乗算器13)で用いる歪補償係数を適応的に更新して、増幅器18の非線形歪を補償することで、増幅効率の向上が図られる。
ところで、イコライザフィルタ14やディジタルフィルタ23における内部パラメータ(フィルタ係数)は、CPU29により適応的に補正されるが、本例のCPU29は、例えば図2〜図4に示すフローチャートに従って動作する。
即ち、図2に示すように、CPU29は、まず、積分器27による一定期間(例えば、100ms区間)の積分により得られた積分値(電力値)をバス28経由で取得し(ステップS1)、当該電力値が前記閾値以上か否かを判定する(電力監視ステップ;ステップS2)。なお、積分値はフィードバック信号Yの電力値が大きいほど大きな値を取る。その結果、閾値以上であれば、CPU29は、図3に示す通常通りのACLR型歪補正処理を実行する。
そして、CPU29は、取得した歪データを歪基準データとして歪オフセット補正処理を実行する(ステップS32)。即ち、CPU29は、例えば図4に示すように、オフセット値を算出し(ステップS321)、上記歪基準データ(歪基準値とも表記する)から当該オフセット値を減算して(つまり、歪基準データが小さくなる方向へ)補正を行なう(歪量補正ステップ;ステップS322)。
(a)誤差学習によるオフセット値算出
ACLR型補正実行時以外にも、FFT演算部26を起動させて、FFT演算を実施させ、数回〜数十回のFFT結果データを基に測定誤差を割り出し、その値をオフセット値として使用する。
以下の式(1)に示すように、積分器27により測定した電力値(積分値)に応じたオフセット値を算出する。固定のオフセット値では電力が小さいときに相対的にオフセット値が大きく見えてしまうが、測定した電力値に対する補正を行なうことにより、誤差成分値の電力値比が一定となる。
(c)ビット幅制限によるオフセット値算出
有効ビット幅を予め決定してそれ以外は誤差値であると判断する。歪基準値のビット換算後に最下位のビットから一定値(例えば、1)を減算することにより電力値比が一定のオフセット値が得られる。例えば、歪基準値が3FFF(hex)で有効ビット幅を7とすると3F00(hex)となるので、さらに、最下位ビットから1を減算すると、3E00(hex)となり、これがオフセット補正後の歪基準値となる。
上記のオフセット値算出方式(a)〜(c)を適応的に行ないオフセット値を更新することにより現在の送信状態における最適なオフセット値を得ることができる。
以上の歪基準データの補正(オフセット減算)により、例えば図5に模式的に示すように、歪基準データが実際に取得したデータよりも小さくみえるので、実際には劣化しているのに測定誤差のために改善してみえる現象を回避することが可能となり、測定誤差影響による各パラメータの異常設定をより確実に防ぐことができる。なお、オフセット補正前の歪基準値がかなり低い値であった場合でも、図5に示すように、オフセット値減算後の歪基準値が取りうる範囲には下限があり、これを下回ることができないため、パラメータの誤設定を防ぐことができる。
さて次に、CPU29は、図3に示すように、前記パラメータを所定の更新ステップ幅等で更新(変更)することにより歪補償テーブル10の歪補償係数を更新させ(パラメータ補正ステップ;ステップS33,S34)、歪補償係数更新後の状態で、上記と同様に、歪データ(歪更新データ)を取得する(ステップS35)。
上記積分器27を装備しない構成であっても、CPU29において、FFT演算部26により得られたFFT結果データを積分することにより、図2により前述した閾値判定と同等の判定を実現することが可能である。
即ち、この場合、CPU29は、図6に示すように、FFT演算部26を起動してフィードバック信号YについてFFT処理を実行させ(ステップS5)、その結果(FFT結果データ)を取得し、例えば図11における電力値取得ポイント200の範囲(キャリア信号成分C1,C2,C3,C4が含まれる範囲)のデータを積分することにより、電力値を求める(ステップS6)。
例えば、上述した例では、送信電力値監視によるパラメータ補正の停止処理と、歪データのオフセット補正処置の双方を実施しているが、いずれか一方のみを実施するようにしても、測定誤差の影響による異常パラメータ設定を防止することが可能である。
〔B〕付記
(付記1)
増幅器への入力信号についての歪補償係数を該増幅器の入出力信号の差分に基づいて適応的に更新して、該増幅器の非線形性を補償する歪補償装置であって、
該増幅器の出力信号の歪量を検出する歪量検出手段と、
設定されるパラメータに応じて前記差分に変動を与えうる被パラメータ設定手段と、
該歪量検出手段で検出された前記歪量が改善される方向に該被パラメータ設定手段の前記パラメータを補正するパラメータ補正手段と、
該増幅器の前記出力信号を積分して得られる電力値又はその変動要因を監視する電力監視手段と、
該電力監視手段による監視結果に基づいて該電力値が歪発生しない値と判断された場合に、該パラメータ補正手段による前記パラメータの補正を停止するパラメータ補正制御手段とをそなえたことを特徴とする、歪補償装置。
該被パラメータ設定手段が、
パラメータ設定に応じて該増幅器への入力信号の周波数特性を補償するイコライザであることを特徴とする、付記1記載の歪補償装置。
(付記3)
該被パラメータ設定手段が、
パラメータ設定に応じて前記差分検出のための前記入力出力信号の比較タイミングを調整するタイミング調整部であることを特徴とする、付記1又は2に記載の歪補償装置。
該パラメータ補正手段が、
該歪量検出手段で検出された歪量をその検出誤差に応じたオフセット量だけ小さくなる方向に補正する歪量補正手段をそなえたことを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載の歪補償装置。
前記オフセット量が、該歪量検出手段で複数回検出された歪量に基づいて求められることを特徴とする、付記4記載の歪補償装置。
(付記6)
前記オフセット量が、該電力監視手段による監視結果に応じた可変量であることを特徴とする、付記4記載の歪補償装置。
前記オフセット量が、該歪量検出手段で検出された歪量に応じた可変量であることを特徴とする、付記4記載の歪補償装置。
(付記8)
前記オフセット量が適応的に更新されることにより現在の送信状態に応じて最適なオフセット値となる手段を有することを特徴とする、付記4記載の歪補償装置。
増幅器への入力信号についての歪補償係数を該増幅器の入出力信号の差分に基づいて適応的に更新して、該増幅器の非線形性を補償する歪補償方法であって、
該増幅器の出力信号の歪量を検出する歪量検出ステップと、
設定されるパラメータに応じて前記差分に変動を与えうる被パラメータ設定手段の前記パラメータを、該歪量検出ステップで検出された前記歪量が改善される方向に補正するパラメータ補正ステップと、
該増幅器の前記出力信号を積分して得られる電力値又はその変動要因を監視する電力監視ステップと、
該電力監視ステップによる監視結果に基づいて該電力値が歪発生しない値と判断された場合に、該パラメータ補正ステップによる前記パラメータの補正を停止するパラメータ補正制御ステップとを有することを特徴とする、歪補償方法。
11 アドレス生成部
12 LMS演算部(歪補償演算部)
13 乗算器(歪補償部)
14 イコライザフィルタ(複素フィルタ;被パラメータ設定手段)
15 ディジタル/アナログ(D/A)変換器
16 直交変調部(QMOD)
17 ローカル発振器
18 増幅器(アンプ)
19 方向性結合器(Directional Coupler)
20 ミキサ(乗算器)
21 ローカル発振器
22 アナログ/ディジタル(A/D)変換器
23 1/Mクロック(CLK)単位遅延回路(ディジタルフィルタ;被パラメータ設定手段)
24 クロック(CLK)単位遅延回路
25 減算器(差分検出部)
26 FFT演算部
27 積分器(電力監視部)
28 バス
29 CPU(歪量検出手段、パラメータ補正手段)
291 歪量検出手段
292 パラメータ補正手段
293 判定機能
294 パラメータ補正制御機能
295 歪データ(歪量)補正機能
100 測定ポイント(監視範囲)
200 電力値取得ポイント
Claims (5)
- 増幅器への入力信号についての歪補償係数を該増幅器の入出力信号の差分に基づいて適応的に更新して、該増幅器の非線形性を補償する歪補償装置であって、
該増幅器の出力信号の歪量を検出する歪量検出手段と、
設定されるパラメータに応じて前記差分に変動を与えうる被パラメータ設定手段と、
該歪量検出手段で検出された前記歪量が改善される方向に該被パラメータ設定手段の前記パラメータを補正するパラメータ補正手段と、
該増幅器の前記出力信号を積分して得られる電力値又はその変動要因を監視する電力監視手段と、
該電力監視手段による監視結果に基づいて該電力値が歪発生しない値と判断された場合に、該パラメータ補正手段による前記パラメータの補正を停止するパラメータ補正制御手段とをそなえたことを特徴とする、歪補償装置。 - 該被パラメータ設定手段が、
パラメータ設定に応じて該増幅器への入力信号の周波数特性を補償するイコライザであることを特徴とする、請求項1記載の歪補償装置。 - 該被パラメータ設定手段が、
パラメータ設定に応じて前記差分検出のための前記入出力信号の比較タイミングを調整するタイミング調整部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の歪補償装置。 - 該パラメータ補正手段が、
該歪量検出手段で検出された歪量をその検出誤差に応じたオフセット量だけ小さくなる方向に補正する歪量補正手段をそなえたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歪補償装置。 - 増幅器への入力信号についての歪補償係数を該増幅器の入出力信号の差分に基づいて適応的に更新して、該増幅器の非線形性を補償する歪補償方法であって、
該増幅器の出力信号の歪量を検出する歪量検出ステップと、
設定されるパラメータに応じて前記差分に変動を与えうる被パラメータ設定手段の前記パラメータを、該歪量検出ステップで検出された前記歪量が改善される方向に補正するパラメータ補正ステップと、
該増幅器の前記出力信号を積分して得られる電力値又はその変動要因を監視する電力監視ステップと、
該電力監視ステップによる監視結果に基づいて該電力値が歪発生しない値と判断された場合に、該パラメータ補正ステップによる前記パラメータの補正を停止するパラメータ補正制御ステップとを有することを特徴とする、歪補償方法。
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