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JP4863627B2 - 熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、特定のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体、酸化チタン、シリコーン化合物、有機金属塩化合物が配合された難燃性、耐衝撃性、作業性、表面外観等に優れ、さらには環境面への影響も配慮したポリカーボネート樹脂組成物、ならびに該組成物より成形されてなる光反射板に関する。本発明に係わる樹脂組成物は、特に液晶バックライト等の光反射板に好適に使用できる。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性などに優れた熱可塑性樹脂であり、電気・電子、機械、自動車、建材などの分野で広く用いられている。このうち、OAを含めた電気・電子などの分野では安全上の要求を満たすため、ポリカーボネート樹脂が有する上述の優れた性能に加えて、難燃性に優れた材料が求められている。
従来は、有機臭素化合物やリン系化合物などの難燃剤が使用されていたが、最近ではより環境面への影響を配慮するべくシリコーン系難燃剤を使用する難燃化の方法が種々提案され、採用されつつある。
しかしながら、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)規格94に基づくV−0などの高度な難燃性を満足させるには、当該シリコーン系難燃剤のみによる難燃化ではもちろん不十分であり、ドリッピングを防止するためポリテトラフルオロエチレン樹脂を配合することが提案され、実施されてきた。
特開昭60−23442号公報 特開昭60−260647号公報 特開昭61−57645号公報
一方、光反射板、とりわけ液晶バックライト用光反射板の用途においては、難燃性ポリカーボネート樹脂に酸化チタン等を配合し、難燃性と光反射性の両者を具備する材料が使用されてきた。
ポリカ−ボネート樹脂にシリコーン系難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、酸化チタン等を配合した光反射性難燃ポリカーボネート樹脂材料においては、光反射性を付与するために比較的大量の酸化チタンを配合する必要があった。さらに、この酸化チタンは造粒加工や成形加工の際に受ける熱履歴によりポリカーボネート樹脂の加水分解を促進し、ポリカーボネート樹脂の分子量の低下や成形品表面にシルバーストリーク等の発生を促し成形品の表面外観を悪化させるという問題があった。
また、使用されるポリテトラフルオロエチレン樹脂に起因する表面外観の悪化という問題もあった。これは、ポリカーボネート樹脂組成物の造粒加工時にポリテトラフルオロエチレン樹脂自体が容易に凝集するため、押出機バレルへのフィード性不良、当該樹脂の分散不良が原因とされ、表面外観の悪化のみならず衝撃強度や難燃性の低下といった問題があり、これらの改良が求められてきた。
本発明者は、ポリカーボネート樹脂の特長である耐衝撃性を犠牲にすることなく、造粒加工時の作業性や表面外観にも極めて優れ、かつ環境面への影響にも配慮した熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物を得るべく研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)0.01〜2重量部、塩化メチレン中での沈降カサ密度が1.1g/cc以上の酸化チタン(C)5〜25重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(D)0.01〜2重量部および有機金属塩(E)0.005〜2重量部からなることを特徴とする熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物、ならびにそれからなる光反射板または液晶バックライト用光反射板を提供するものである。
本発明の熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物は、塩素、臭素化合物などからなるハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を含まないことから、環境面への影響についても配慮し、さらに高度な難燃性と光反射性を具備するのみならず優れた熱安定性、表面外観および機械強度を有しており、とりわけ液晶バックライト用途等の光反射板の素材として好適に用いることができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは、単独または2種類以上混合して使用してもよい。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用されるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)は、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるものであり、当該ポリテトラフルオロエチレンの粒子径が10μmを超え凝集体となっていないことを要件とする。
さらに、ポリカーボネート樹脂に配合した際の分散性の観点から、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、ビニル単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られたものが好ましい。当該ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得ることができる。
ポリテトラフルオロエチレン粒子の乳化重合の際、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレンに対して10重量%以下であることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液の市販原料としては、旭硝子フロロポリマー社製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業社製のポリフロンD−1、D−2、三井デュポンフロロケミカル社製のテフロン30J等を代表例として挙げられる。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)を得るために用いる有機系重合体粒子水性分散液は、ビニル単量体を乳化重合等の公知の方法により重合させることにより得ることができる。
有機系重合体粒子水性分散液を得るために用いるビニル単量体、または粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で重合させるビニル単量体としては、特に制限されるものではないが、ポリカーボネート樹脂(A)に配合する際の分散性の観点からポリカーボネート樹脂(A)との親和性が高いものであることが好ましい。
これらビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド単量体;グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いてもよい。
これらの単量体の中でポリカーボネート樹脂(A)との親和性の観点から好ましいものとして、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を30重量%以上含有する単量体を挙げることができる。特に好ましいものとして、スチレン、アクリロニトリルからなる群より選ばれる1種以上の単量体を30重量%以上含有する単量体を挙げることができる。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)中に占めるポリテトラフルオロエチレンの含有割合は、0.1重量%〜90%重量であることが好ましい。0.1重量%未満であると難燃性の改良効果が不十分となり、90重量%を超えると表面外観に悪影響を及ぼす可能性がある場合がある。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)は、その水性分散液を、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固した後に乾燥するか、スプレードライにより粉体化することができる。
通常のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収する工程で100μm以上の凝集体となってしまうために熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難であるのに対して、本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)は、ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒子径10μmを超えるドメインを形成していないためにポリカーボネート樹脂(A)に対する分散性がきわめて優れている。この結果、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレンがポリカーボネート中で効率よく微細繊維化しており、難燃性が優れる上に、表面外観、衝撃特性にも優れるものとなる。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.01〜2重量部である。0.01重量部未満ではドリッピング防止効果に劣るため難燃性が低下するので好ましくない。また、2重量部を超えると、耐衝撃性が低下したり、表面外観が悪化するので好ましくない。好ましい配合量は、0.1〜1.5重量部、より好ましくは0.6〜1.0重量部である。
本発明にて使用される酸化チタン(C)の塩化メチレン中での沈降カサ密度は、1.1g/cc以上であることを要件とする。当該沈降カサ密度は、次式により求められる。
塩化メチレン中の沈降カサ密度(g/cc)
=(溶解した酸化チタン重量(g))÷(48時間後の酸化チタン沈降体積(cc)) 式中の48時間後の酸化チタン沈降体積(cc)は、メスシリンダーを用いて所定量の酸化チタンを塩化メチレン中に溶解させ、48時間後の沈降酸化チタンの体積を求められる。
塩化メチレン中の沈降カサ密度が1.1g/cc未満であると、ポリカーボネート樹脂(A)中での酸化チタンの分散性が悪く、その結果、シルバーストリークが発生し成形品外観が劣るので好ましくない。塩化メチレン中の沈降カサ密度が1.2g/cc以上の酸化チタンを用いるとより好適である。
酸化チタン(C)は、塩素法、硫酸法どちらで製造されたものでもよく、その結晶形態としてはルチル型、アナターゼ型のどちらであっても構わない。酸化チタンの粒径としては0.1〜0.5μm程度のものが好適に使用可能である。また、酸化チタンのような無機フィラーの分散性は使用される樹脂に近い極性を有する溶媒中での沈降カサ密度が大きい方が樹脂中での分散性に優れると云われている。そのため、ポリカーボネート樹脂(A)の良溶媒である塩化メチレン中での沈降カサ密度が大きい酸化チタンが好適に使用される。
酸化チタン(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり5〜25重量部である。配合量が5重量部未満では光反射性に劣り、また25重量部を超えると、外観や難燃性が悪化するので好ましくない。より好ましくは9〜16重量部の範囲である。
主鎖が分岐構造でかつ有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(D)としては、下記一般式(1)に示されるようなものである。
一般式(1)
Figure 0004863627
一般式(1)において、R1、R2およびR3は主鎖の有機官能基を、Xは末端の官能基を表わす。
シリコーン化合物(D)は、分岐単位としてT単位(RSiO1.5)および/またはQ単位(SiO2.0)を持つことを特徴とする。これらは全体のシロキサン単位(R3〜0SiO2〜0.5)の20モル%以上含有することが好ましい。(Rは有機官能基をあらわす。)また、シリコーン化合物(D)は、含有される有機官能基のうち芳香族基が20モル%以上であることが好ましい。
この含有される芳香族基としては、フェニル、ビフェニル、ナフタレンまたはこれらの誘導体であるが、フェニル基が好適に使用できる。
シリコーン化合物(D)中の有機官能基で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち芳香族基以外の有機基としては、炭素数4以下の炭化水素基が好ましく、メチル基が好適に使用できる。さらに、末端基はメチル基、フェニル基、水酸基の内から選ばれた1種またはこれらの2種から3種までの混合物であることが好ましい。
シリコーン化合物(D)の平均分子量(重量平均)は、好ましくは3000〜500000であり、更に好ましくは5000〜270000である。
シリコーン化合物(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜2重量部である。配合量が当該範囲外においては、いずれの場合も難燃効果が不十分であるので好ましくない。より好ましくは0.05〜1.0重量部の範囲である。
本発明にて使用される有機金属塩(E)としては、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩があげられ、好適には、4−メチル−N−(4−メチルフェニル)スルフォニル−ベンゼンスルフォンアミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3−3'−ジスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等が使用できる。
有機金属塩(E)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.005〜2重量部である。配合量が0.005重量部未満では、難燃性が低下するので好ましくない。また、2重量部を超えると、機械物性や難燃性が得られなかったり、表面外観が悪化したりするといった問題が発生するので好ましくない。より好ましくは、0.1〜1重量部の範囲である。
本発明において、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を混合するにあたり、その形態および順序には何ら制限はない。例えば、有機溶媒溶液、パウダー、ペレット状態のポリカーボネート樹脂(A)に、パウダー状態の(B)、(C)、(D)、(E)を添加する方法、溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)に、パウダー状態の(B)、(C)、(D)、(E)を添加する方法などがあげられる。また、全ての成分をタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等により一括混合する方法や任意の成分を一旦これら混合機により混合した後に残りの成分を配合する方法が挙げられる。さらにはポリカーボネート樹脂(A)とポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)とを混合したマスターバッチを予め調整しておき、その後当該マスターバッチとポリカーボネート樹脂(A)および(C)、(D)、(E)等成分を、所望の組成で混合することもできる。そして、これらの混合物は通常の一軸または二軸押出機を用いて容易に溶融混練され、ペレット化される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、公知の添加剤、例えばフェノール系またはリン系熱安定剤[2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、4,4′−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2−メチレンビス−(4−エチル−6−t−メチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4′−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)等]、紫外線吸収剤[p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキシ−4′−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等]、滑剤[パラフィンワックス、n−ブチルステアレート、合成蜜蝋、天然蜜蝋、グリセリンモノエステル、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールテトラステアレート等]、充填剤[炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、ガラスフレーク、カーボン繊維、タルク、マイカ、各種ウィスカー類等]、流動性改良剤[トリフェニルホスフェート等モノリン酸エステルやオリゴマー状の縮合リン酸エスエル等が例示される。]、添着剤[エポキシ化大豆油、流動パラフィン等]、さらには他の熱可塑性樹脂、例えばポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、非晶性ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタアクリレート等や各種耐衝撃改良剤(ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、エチレン・プロピレン系ゴム等のゴムに、メタアクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル等の化合物をグラフト重合してなるゴム強化樹脂等が例示される。)を必要に応じて添加することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」は断りのない限り重量基準に基づく。
実施例にて使用した材料の詳細は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
・住友ダウ社製カリバー 200−20(分子量:18600)
(以下、PCと略記)
ポリテトラフルオロエチレン:
・三菱レイヨン社製、メタブレンA3800
(ポリテトラフロオロエチレン含有混合粉体(PTFE含有量:50%))
(以下、PTFE−1と略記)
・ダイキン工業社製、ネオフロンFA500
(通常のポリテトラフルオロエチレン樹脂)
(以下、PTFE−2と略記)
酸化チタン:
・Kronos社製Kronos2230
(塩化メチレン中の沈降カサ密度:1.3g/cc)
(以下、TiO2−1と略記)
・Millennium Chemical社製RCL−4
(塩化メチレン中の沈降カサ密度:1.0g/cc)
(以下、TiO2−2と略記)
・Millennium Chemical社製RC−69
(塩化メチレン中の沈降カサ密度:0.7g/cc)
(以下、TiO2−3と略記)
有機金属塩(以下、金属塩と略記):
パラトルエンスルホン酸ナトリウム
シリコーン化合物(以下、Si難燃剤と略記):
シリコーン化合物は、一般的な製造方法に従って製造した。すなわち、適量のジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシランおよびテトラクロロシラン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して、部分的に縮合したシリコーン化合物を形成し、さらにトリオルガノクロロシランを添加して反応させることによって重合を終了させ、その後、溶媒を蒸留等で分離した。上記方法で合成したシリコーン化合物の構造特性は、以下のとおり:
・主鎖構造のD/T/Q単位の比率:40/60/0(モル比)
・全有機官能基中のフェニル基の比率(*):60モル%
・末端基:メチル基のみ
・重量平均分子量(**):15,000
*:フェニル基は、T単位を含むシリコーン中ではT単位にまず含まれ、残った場合がD単位に含まれる。D単位にフェニル基が付く場合、1個付くものが優先し、さらにフェニル基が残余する場合に2個付く。末端基を除き、有機官能基は、フェニル基以外は全てメチル基である。
**:重量平均分子量は、有効数字2桁。
配合方法としては、前述の各種原料を表2に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し10分間乾式混合した後、37mm二軸押出機(神戸製鋼製KTX37)を用いて溶融温度280℃にて溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットから、射出成形機(日本製鋼所製J100E−C5)を用いて溶融温度280℃の条件下、ASTM仕様の機械物性評価用試験片、UL94燃焼性評価用の試験片(1.0mm厚み)、光反射性と表面外観を評価する3段プレートを作成した。
評価方法はそれぞれ下記のとおりである。
1.難燃性:
下記のUL94V垂直燃焼試験法に準拠して燃焼性を評価した。該試験片を温度23℃湿度50%の恒温室の中で48時間放置し、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を行った。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、以下のクラスに分けられる。
Figure 0004863627
表1に示す残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の試験片が有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。評価の基準は、1.0mm厚さの試験においてV−1以上を合格とした。
2.光反射性:
長さ90mm、幅40mmの3段プレート(厚み3、2、1mm)状試験片を作成し、厚み1mmの部分につき波長400〜800nmにおけるY値を分光光度計(村上色彩技術研究所製CMS−35SP)により測定した。Y値が94%以上となるものを合格とした。
3.耐衝撃性:
ASTM D−256に準じてノッチ付アイゾット衝撃強度を測定し、衝撃値が30kg・cm/cm以上を合格とした。厚みは3.2mm。
4.表面外観
長さ90mm、幅40mmの3段プレート(厚み3、2、1mm)状試験片を作成し、その表面外観の状態(シルバーストリークと表面肌荒れ(ピンホール発生)の状態)を目視にて観察した。
5.滞留後の表面外観
得られたペレットを用いて、射出成形機(日本製鋼所製J100E−C5)にて溶融温度300℃の条件下、10分滞留を行い、表面外観を評価する3段プレートを作成し、その成形品表面のシルバーストリーク発生の有無を目視にて観察した。
表2 配合比率と評価結果
Figure 0004863627
表面外観の判定: ○:無し ×:有り
*:塩化メチレン中の沈降カサ密度
実施例1〜3に示すように、本発明の必須成分および各成分の配合量の規定値範囲を満足するものについては、難燃性、光反射性、衝撃強度、表面外観(シルバーストリークと肌荒れの発生状況、更には滞留後のシルバーストリーク)等全ての性能の規格を満たしていた。
一方、比較例1〜5に示すように、本発明の必須成分および各配合成分の配合量の規定値範囲を満足しないものについては、それぞれ次の欠点を有していた。
比較例1においては、本発明の酸化チタンの塩化メチレン中の沈降カサ密度が請求範囲のより低いため、熱安定性の不足に起因する滞留後の表面外観に劣っていた。
比較例2においては、本発明の酸化チタンの塩化メチレン中の沈降カサ密度が請求範囲のより更に低いため、熱安定性の不足に起因する滞留後の表面外観が更に劣っていた。
比較例3においては、本発明のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体の配合量が規定範囲の下限より少ないため、難燃性および滞留後の表面外観に劣っていた。
比較例4においては、逆に本発明のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体の配合量が規定範囲の上限より多いため、衝撃強度が低下し、かつ表面外観および滞留後の表面外観に劣っていた。
比較例5においては、本発明のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体の替わりに通常のポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いたため、衝撃強度が低下し、かつ表面外観(肌荒れの発生)および滞留後の表面外観に劣っていた。




Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)0.01〜2重量部、塩化メチレン中での沈降カサ密度が1.1g/cc以上の酸化チタン(C)5〜25重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(D)0.01〜2重量部および有機金属塩(E)0.005〜2重量部からなることを特徴とする熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(B)が、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなり、当該ポリテトラフルオロエチレンの粒子径が10μmを超え凝集体となっていないことを特徴とする請求項1記載の熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 酸化チタン(C)の塩化メチレン中での沈降カサ密度が、1.2g/cc以上であることを特徴とする熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 有機金属塩(E)が、芳香族スルホン酸の金属塩またはパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱安定性に優れた光反射性難燃ポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形されてなる光反射板。
  6. 光反射板が、液晶バックライト用光反射板である請求項5記載の光反射板。


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