JP4861223B2 - ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物着色用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
(2)グリシジル基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(F)10〜40重量%、及び
(3)顔料(C)15〜60重量%
を含有する、塩化ビニリデン60〜98重量%と共重合可能な他の単量体2〜40重量%との共重合体であるポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物着色用樹脂組成物が提供される。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物の製造において用いられるポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC系樹脂)は、塩化ビニリデン(VDC)60〜98重量%(質量%)と共重合可能な他の単量体(共単量体)2〜40質量%との共重合体である。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物の製造において、熱安定剤として、エポキシ化植物油、エポキシ化動物油、エポキシ化脂肪酸エステル、及びエポキシ樹脂プレポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物(B1)と、グリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂(B2)とを併用する。
PVDC系樹脂組成物には、抗酸化剤、可塑剤、滑剤、分散助剤、充填剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、その他の安定剤、pH調整剤、顔料などの各種添加剤を含有させることができる。
本発明では、PVDC系樹脂組成物に顔料を含有させるため、予め顔料を高濃度で含有する樹脂組成物、即ち着色剤マスターバッチの形態で用いる。着色剤マスターバッチは、グリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂(B2)と、グリシジル基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(F)と、顔料(C)とを含有する。
また、着色用樹脂組成物には、顔料の分散性を高めるなどのために、可塑剤や分散助剤などを添加することができる。
本発明の着色用樹脂組成物には、必要に応じて、有機または無機の滑剤、抗酸化剤などの各種添加剤を適量の範囲で含有させることができる。
本発明の着色用樹脂組成物は、それ自体の熱安定性に優れているので、通常の熱可塑性樹脂にも添加することができる。
一般に、PVDC系樹脂と各種添加剤を含有する樹脂組成物を調製する場合、PVDC系樹脂の粉体レジンと共に各種添加剤をブレンドし、粉体状の樹脂組成物(コンパウンド)を製造する。ブレンドによって、エポキシ化植物油や可塑剤などの液体の添加剤は、PVDC系樹脂の粉体レジンに吸収され、また、粉体の添加剤は、PVDC系樹脂の粉体レジンの回りに付着する。
本発明において、「常温」とは、通常5〜45℃、好ましくは10〜40℃、より好ましくは15〜35℃の温度を意味する。
本発明の着色用樹脂組成物を用いるPVDC系樹脂組成物(コンパウンド)は、溶融押出して延伸または未延伸フィルム、シートなどに成形することができる。フィルムの成形方法としては、例えば、サーキュラーダイによるインフレーション押出成形法などが適用される。延伸、好ましくは二軸延伸により得られる配向フィルムは、熱収縮性を有し、また、レトルト可能な耐熱性フィルムとして好適に用いられる。延伸倍率は、縦方向に2〜5倍、横方向に2〜5倍が好ましい。
PVDC系樹脂をメタノールを溶媒とするソックスレー抽出器により抽出処理した後、乾燥したものを試料とし、ウベローデ粘度計を用いて、溶媒をシクロヘキサン、樹脂濃度を4g/リットル、測定温度を30℃とする条件で還元粘度を求めた。
PVDC系樹脂組成物(コンパウンド)を、スクリュー直径90mmの押出機(モーター15KW)を使用して溶融押出をした。その押出機のモーター負荷の変動範囲を記録した。また、押出状況を観察した。下記の基準で評価した。
○:±3A以下(加工性が安定)、
△:±5A以下(加工性の安定は悪いが、製造できる)、あるいは押出機から溶融樹脂が押し出されるダイ出口のところで樹脂の付着(分解)が多く発生する、
×:±5Aを越える(製造が難しい)。
PVDC系樹脂組成物と着色用樹脂組成物とをブレンドして使用する場合は、#10メッシュの篩、それ以外は、#50メッシュの篩を用いて篩別を行った。篩別後に、篩を通過しなかったものの重量を計り、以下の基準で評価した。
○:メッシュ上に残った量が、投入量の0.2重量%未満である、
×:メッシュ上に残った量が、投入量の0.2重量%以上である。
レトルト殺菌した包装体を健康な成人10人に観察してもらい、従来品と比べて色調や風合いが改善されているか否かを判定してもらった。評価基準は、次のとおりである。7人以上の評価が一致した場合で判定した。
○:従来品よりも色調、風合いが良好で高級感がある、
△:白っぽく、やや不透明である、
×:あめ色、やや黒ずんでいる。
フィルム中の分散状態を拡大鏡で観察し、任意の100g範囲(約1.5m2)を無作為に10ケ所観察し、0.4mm以上の凝集塊の個数を調査して評価尺度とし、以下の基準で評価した。
○:10個以下、
×:10個超過。
原反1m幅を幅70mmに細断し、再度巻き取った原反を作成した。フィルム供給部、高周波シール部、自動充填部、結紮部が一体化された自動充填結紮装置(呉羽型KAP500型、呉羽化学工業社製)を用いて、電流値70mA、電極面圧400g、充填速度100本/分、包装体の製品長さ(全属クリップ間)設定200mmで、ポークソーセージ用の原料肉を充填した。高周波シール性は、以下の基準で評価した。
○:製袋時のフィルム滑り性が良く、蛇行がなく、フォーミングプレートのフィルム外れがなく、折巾のムラがなく、安定した高周波シールができ、そして、包装体の製品長さが、設定値の±2.5mm以内で仕上がっている、
×:製袋時のフィルム滑り性が悪く、蛇行があり、フォーミングプレートのフィルム外れがあり、折巾のムラがあり、安定した高周波シールができず、そして、包装体の製品長さが、設定値の±2.5mm以上で仕上がっている。
上記で得られた包装体100本を、加熱缶内ゲージ圧2.0kg/cm2、温度120℃で20分問加熱加圧殺菌し、圧力を維持したままで温度を25℃に加圧冷却し、その後開放して加熱缶から取り出した。包装体のシール部から破体した数を調査し、破体率(%)を求めた。
1.着色用樹脂組成物の調製
表1に示すように、グリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂〔メタクリル酸グリシジル−メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸ブチル(30/31/31/8重量%)〕41重量%、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体23重量%、ピグメントレッド混合物(顔料)25重量%、二酸化珪素(無機滑剤;平均粒径5.2μm)5重量%、エポキシ化大豆油3重量%、脂肪族炭化水素オリゴマー(Mw=2,100)2重量%、及びモンタン酸カルシウム1重量%を、常温(23℃)で、へンシェルミキサーにより5分間撹拌して着色用樹脂組成物を得た。組成を表1に示す。
PVDC系樹脂として、PVDC(1)〔塩化ビニリデン(VD)/塩化ビニル(VC)=88/12(重量%)、還元粘度=0.063〕と、PVDC(2)〔VD/VC=83/17(重量%)、還元粘度=0.052〕の各粉体レジンを用いた。各粉体レジンの重合時に、PVDC系樹脂100重量部に対して、エポキシ化亜麻仁油(O−180)2.4重量部とジブチルセバケート3.5重量部とを、これらの割合になるように含有させた。
真空ホッパー付きの直径90mmの押出機(真空圧=約−680mmHg水銀柱に調整)を用いてPVDC系樹脂組成物を環状に溶融押出した後、7℃の冷却槽で急冷し、次いで、20℃の温水浴槽を通過させ、そして、2組の回転表面速度の異なるピンチローラー間で空気を圧入して膨張させて、長さ方向に約2.5倍、横方向に約4.2倍延伸配向させ、延伸フィルムを作成した。評価結果を表2に示す。
各粉体レジンの重合時に、PVDC系樹脂100重量部に対して、エポキシ化亜麻仁油(O−180)3.4重量部とジブチルセバケート3.5重量部とを、これらの割合になるように含有させた。これらの粉体レジンを用い、そして、着色用樹脂組成物及びグリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に操作した。結果を表2に示す。
PVDC(1)の粉体レジンの重合時に、PVDC系樹脂100重量部に対して、エポキシ化亜麻仁油(O−180)0.3重量部とジブチルセバケート4.0重量部とを、これらの割合になるように含有させた。表2に示す各成分の内、グリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂以外の成分を、PVDC(1)の粉体レジン、粉体添加剤、液体添加剤(アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化亜麻仁油)、及び顔料の順に羽根ブレンダー内に投入し、混合しながら約80℃まで昇温した(昇温ブレンド)。昇温後、直ちに冷却し、温度が約65℃にまで低下した時点でグリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂の粉体を投入して混合した(昇温後ブレンド)。冷却後、#50メッシュの篩で篩別して樹脂組成物(コンパウンド)を得た。この樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムを作成し、評価した。結果を表2に示す。
PVDC(1)の粉体レジンの重合時に、PVDC系樹脂100重量部に対して、ジブチルセバケート4.0重量部を、この割合になるように含有させた。この粉体レジンを用い、そして、ブレンド時にグリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂を他の粉体添加剤とともに一括して添加したこと以外は、参考例1と同様に操作した。結果を表2に示す。
各粉体レジンの重合時に、PVDC系樹脂100重量部に対して、エポキシ化亜麻仁油(O−180)2.46重量部とジブチルセバケート3.5重量部とをこれらの割合になるように含有させた。これらの粉体レジンを用い、そして、表2に示す各成分の内、グリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂及びEVA以外の成分を、粉体レジン、粉体添加剤、及び顔料の順に羽根ブレンダー内に投入して、混合しながら約80℃まで昇温した(昇温ブレンド)。昇温後、直ちに冷却し、温度が約65℃にまで低下した時点でグリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂の粉体を投入して混合した(昇温後ブレンド)。その後、EVAを常温でブレンドした(常温ブレンド)。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして延伸フィルムを作成した。結果を表2に示す。
*1:( )内の数値は、着色用樹脂組成物2.0重量部中に含まれている各成分の重量部数を表わす。
PVDC(1)とPVDC(2)の各粉体レジンの重合時に、PVDC系樹脂100重量部に対して、エポキシ化亜麻仁油(O−180)0.4重量部とジブチルセバケート(DBS)3.5重量部とを、これらの割合になるように含有させた。表3に示す各成分の内、グリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂(GMA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)以外の成分を、PVDC(1)及びPVDC(2)の粉体レジン、粉体添加剤、液体添加剤(エポキシ化亜麻仁油)、及び顔料の順に羽根ブレンダー内に投入し、混合しながら約80℃まで昇温した(昇温ブレンド)。昇温後、直ちに冷却し、温度が約65℃にまで低下した時点でグリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂の粉体を投入して混合した(昇温後ブレンド)。その後、EVAを常温でブレンドした。冷却後、#50メッシュの篩で篩別して樹脂組成物(コンパウンド)を得た。この樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムを作成し、評価した。結果を表3に示す。
参考例3において、昇温ブレンド時のエポキシ化亜麻仁油の配合量を2.2重量部から3.0重量部に変え、かつ、昇温後、グリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂(GMA)をブレンドしなかったこと以外は、参考例3と同様にして延伸フィルムを作成した。結果を表3に示す。
参考例3において、重合時及び昇温ブレンド時にエポキシ化亜麻仁油を使用しなかったこと以外は、参考例3と同様にして延伸フィルムを作成した。結果を表3に示す。
参考例3において、EVAをブレンドしなかったこと以外は、参考例3と同様にして延伸フィルムを作成した。結果を表3に示す。
PVDC(1)とPVDC(2)の各粉体レジンの重合時に、PVDC系樹脂100重量部に対して、エポキシ化亜麻仁油(O−180)0.4重量部とジブチルセバケート(DBS)3.5重量部とを、これらの割合になるように含有させた。PVDC(1)及びPVDC(2)の粉体レジン、及びエポキシ化亜麻仁油2.2重量部を羽根ブレンダー内に投入し、混合しながら約80℃まで昇温した(昇温ブレンド)。昇温後、直ちに冷却し、常温(23℃)なって時点で、フィルム滑り剤(二酸化珪素)0.1重量部、着色用樹脂組成物2.0重量部、及びEVA2.5重量部を混合した(常温ブレンド)。その後、#50メッシュの篩で篩別して樹脂組成物(コンパウンド)を得た。この樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムを作成し、評価した。結果を表3に示す。
実施例2において、粉体レジン、エポキシ化亜麻仁油2.2重量部、フィルム滑り剤(二酸化珪素)0.1重量部、着色用樹脂組成物2.0重量部、及びEVA2.5重量部を常温で混合した(常温ブレンド)こと以外は、実施例2と同様にして延伸フィルムを作成し、評価した。結果を表3に示す。
実施例3において、エポキシ化亜麻仁油2.2重量部を3.0重量部に、フィルム滑り剤(二酸化珪素)0.1重量部を0.2重量部に、着色用樹脂組成物2.0重量部を顔料0.5重量部に、それぞれ変えたこと以外は、実施例3と同様にして延伸フィルムを作成し、評価した。結果を表3に示す。
*1:( )内の数値は、着色用樹脂組成物2.0重量部中に含まれている各成分の重量部数を表わす。
Claims (2)
- (1)ビニル重合可能な不飽和有機酸のグリシジルエステル10〜50重量%、グリシジル基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル10〜90重量%、及びこれらと共重合可能な、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のビニル単量体0〜40重量%の共重合体であるグリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂であって、共重合時に、ロジン酸エステル、テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、石油樹脂、またはタンマーから選ばれる粘着付与樹脂の存在下で共重合させていないグリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂であるグリシジル基含有(メタ)アクリル系樹脂(B2)30〜60重量%、
(2)グリシジル基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(F)10〜40重量%、及び
(3)顔料(C)15〜60重量%
を含有する、塩化ビニリデン60〜98重量%と共重合可能な他の単量体2〜40重量%との共重合体であるポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物着色用樹脂組成物。 - エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)を更に含有する請求項1記載のポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物着色用樹脂組成物。
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