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JP4859517B2 - 開口容器の電子線照射装置 - Google Patents

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Description

本発明は開口容器の電子線照射装置に係り、特にプラスチック製で首部が口細の開口容器の内外面を、電子線で殺菌するのに好適な開口容器の電子線照射装置に関する。
最近では、飲料や食品や医薬品、更には化粧品の充填にプラスチック製の開口容器が多く用いられている。これらの開口容器は、内容物の充填前に、内部を滅菌処理して無菌状態にし、その後内容物を充填して密封を行っている。開口容器の滅菌処理は、設備が大掛かりとなる薬剤を用いるものに代えて電子線を使用し、開口容器の内外面を滅菌することが提案されている。
一般に、PETボトル等の飲み口が細い首部を持つ開口容器は、製造ラインで高速搬送されるから、大規模でエネルギ効率も悪い電子線照射装置では、ボトル製造ライン中に組み込むことができないでいる。このため、小型化とエネルギ効率の向上を図った低エネルギの電子線を発生させる電子線照射装置を、ボトル製造ライン中に組み込むことが提案されている。
この種の低エネルギの電子線照射装置を用いた場合には、電子線の透過作用が期待できないため、磁場偏向手段等を利用し、開口容器を電子線で均一に照射することが行われる。しかし、首部が細いプラスチック製ボトル等の開口容器の場合、首部の開口部分から電子線を内部に入れ、内面を照射することになる。このような電子線の照射では、開口容器の首部の開口から入る電子線の量が少なく、しかも電子線発生手段手段に用いる電子透過材や電子照射する雰囲気の気体での電子発散のため、更に電子線量が減少するので、ある程度の照射時間を確保する必要がある。しかし、照射時間を長くすると開口容器の細い開口部分やこの周辺の所謂首部が、電子線の過剰照射を受けることになり、開口容器の電子線照射部分が変色、或いは極端な場合には変形して使用に耐えなくなる。
これを改善するため、例えば100kV級の電子線発生手段を用い、この電子線発生手段による電子線の照射部を、開口容器の搬送路中に備え、連続して搬送されてくる開口容器を電子線で照射滅菌処理する際に、開口容器の首部上方に電子吸収冷却マスクを配置し、照射する電子線を部分的に制限することが提案されている(特許文献1参照)。
また、製造ライン中で電子線照射を行う際に、電子線発生手段に近くて電子線の照射線量の大きくなる開口容器の首部に、電子線に対して半透過性を有するマスク部材を装着させ、この部分の電子線照射量を抑制し、開口容器の変質を防ぐことも提案されている(特許文献2参照)。
特表2001−524056号 特開2005−249671号
しかし、プラスチック製ボトル等の開口容器を用いる清涼飲料の製造ラインでは、開口容器を毎分600本等の高速で搬送しているから、開口容器を順に連続して搬送している状態で、電子線の照射を行うことになる。このような開口容器を連続して高速搬送する製造ラインにおいて、特許文献1及び2のようにマスクを使用して電子線照射をする場合には、厚さの薄い金属製や樹脂製のマスクは、透過されないエネルギが蓄積されて熱となり、この熱でマスクが変形して恐れがあり、開口容器の連続製造ラインに簡単に適用できない問題がある。
本発明の目的は、首部を有する開口容器の全面を、高速搬送中に電子線で均一に照射して滅菌処理できる開口容器用電子線照射装置を提供することにある。
発明の開口容器の電子線照射装置は、中央に位置する照射処理槽と、前記照射処理槽の側面部に隣接して配置して一体に連結する前圧力調整槽及び後圧力調整槽と、前記照射処理槽と前圧力調整槽及び後圧力調整槽の内にそれぞれ配置した首部を有する開口容器を連続搬送する回転搬送体と、前記各回転搬送体の外面に等間隔に設けて開口容器を保持して連続搬送する保持機構と、前記照射処理槽に設けて前記開口容器の搬送中に減圧雰囲気内で電子線を照射する電子線照射手段と、前記照射処理槽内の回転搬送体に設けた各保持機構の上部に取り付けられて前記開口容器の首部付近に配置する照射保護板と、前記照射保護板を前記照射処理槽内の回転搬送体に支持させると共に、前記照射処理槽内の回転搬送体の回転移動に伴って動作して前記照射保護板を電子線照射の間は装着し、かつ電子線照射後に除去する着脱機構とを備えて構成したことを特徴とする。
好ましくは、前記保持機構の上部に取り付けられた照射保護板は、電子線の不透過の平板部と開口容器の首部に挿入する円筒部とから形成し、前記平板部の下面に電子線収束用の磁場偏向手段を設けると共に、冷却手段を備えて構成したことを特徴とする。
発明の開口容器用電子線照射装置のように構成すれば、照射処理槽内の回転搬送体に設けた保持機構の上部に取り付けられて回転搬送体の回転移動に伴って動作して照射保護板の着脱を行う着脱機構を備えているので、開口容器を高速搬送する製造ラインに簡単に組み込んで使用でき、開口容器の電子線照射を効果的に行うことができる。
本発明では、首部を有する開口容器を回転搬送体で連続搬送し、減圧雰囲気内で搬送中の開口容器に対して電子線照射手段から電子線を照射する。開口容器の首部付近に配置する照射保護板を、前記回転搬送体に支持させると共に、前記回転搬送体の回転移動に伴って動作して前記照射保護板を電子線照射の間は装着し、かつ電子線照射後に除去する着脱機構とを備えている。
本発明を適用する開口容器用電子線照射装置を図1(a)に示しており、首部を有する開口容器としてプラスチック製ボトルを用いた例である。中央に配置する照射処理槽10の側面部に隣接して、前圧力調整槽20と後圧力調整槽30を配置して一体に連結している。これら各槽10、20、30内には、駆動機構により同期させて矢印で示すように回転させる回転搬送体11、21、31を回転可能に配置し、これによって各槽の外壁面との間に開口容器1を順に搬送する環状の搬送路を形成している。したがって、開口容器1の生産ライン中には、前処理ラインに連なる前圧力調整槽20、次に照射処理槽10、最後に後処理ラインに連なる後圧力調整槽30が順に配置される状態になる。
各回転搬送体11、21、31は、その外面に開口容器1を保持して搬送する保持機構2を等間隔で多数設けており、この保持機構2によって、開口容器1の前処理ラインから後処理ラインまでの間の各槽10、20、30内の回転搬送体11、21、31の相互間で、開口容器1が直立状態のまま順に円滑に受け渡しできる構成としている。
照射処理槽10内は、内部を減圧するため耐圧の密封構造に構成し、この照射処理槽10に真空排気装置13を含む排気手段に連なる配管14を接続し、搬送する開口容器1の周囲の雰囲気を、所定の負圧状態に維持している。しかも、照射処理槽10内で電子線照射室となる搬送路に対応する部分に、電源に接続する電子線の電子線発生手段40を少なくとも一つを備えている。この電子線発生手段40を用いて、負圧状態を維持した照射処理槽10内で、電子線照射室となる搬送路に向けて電子線を照射し、搬送されてくる開口容器1を連続して、滅菌処理を行うようにしている。
電子線発生手段40には、負圧雰囲気内で開口容器1の内外面に電子線を照射して滅菌処理するので、低エネルギで150kV以下の加速電圧のものを使用することができる。照射処理槽10内が減圧された状態にあると、電子線の減衰が大幅に軽減されるので、低エネルギの電子線であっても、電子の飛程(飛行距離)が長くなり、しかも電子線の発散量が少なく、口細の開口容器1であっても内面への電子線の照射が効果的に行える。
照射処理槽10内の負圧状態を効果的に維持可能にして電子線の照射を良好に行えるようにするため、この開口容器搬入である前処理ライン側及び搬出側である後処理ラインに連なる前圧力調整槽20と後圧力調整槽30は、本発明により特別の工夫を施している。即ち、前圧力調整槽20と後圧力調整槽30内の回転搬送体21、31に、それぞれ各保持機構2間を区分する隔壁3を突設しており、回転搬送体21、31の回転移動時に、各保持機構2の両側の隔壁3と槽壁面との間で、小部屋となる複数の小区画22、32が形成される構造にしている。
しかも、前圧力調整槽20側では、開口容器1を前工程ラインから取り込んだ位置から照射処理槽10に移動する範囲に存在する複数の小区画22を減圧するため、この範囲の壁面に、真空排気装置23を含む排気手段に連なる配管24の複数本を接続している。これによって開口容器1が、前工程ラインより前圧力調整槽20に搬入されてから照射処理槽10までの範囲の小区画22は、大気圧から所望の負圧までの状態となる圧力調整範囲として効果的に管理することができる。
また、後圧力調整槽30側では、開口容器1を照射処理槽10から後工程ラインの位置に移動する範囲に形成される小区画32を減圧するため、同様にこの範囲の壁面に、真空排気装置33を含む排気手段に連なる配管34の複数本を接続している。このため、照射処理槽10から後圧力調整槽30の後工程ラインに開口容器1が搬出されるまでの範囲の小区画32は、逆に所望の負圧から大気圧までの状態となる圧力調整範囲として効果的に管理することができる。
なお、複数の配管24、34は、照射処理槽10に近いほどその配管径を大きくするか、或いは接続する配管の数を増やして効果的に減圧できるようにし、真空排気装置13の容量軽減及び前圧力調整槽20や後圧力調整槽30の圧力変化を円滑に行えるようにする。また、前圧力調整槽20や後圧力調整槽30における小区画32の減圧する範囲は、必要に応じて上記とは反対側、即ち前圧力調整槽20においては照射処理槽10から前工程ラインに移動する範囲の小区画32と、後圧力調整槽30においては照射処理槽10から後工程ラインに移動する範囲の小区画32とも、排気手段を設けて減圧することもできる。
小区画22、32を形成させるための各隔壁3は、図1(b)に示すように各槽20、30の外壁との間に微小な間隙Gを有するように設けている。隔壁3は、照射処理槽10から前圧力調整槽20や後圧力調整槽30の大気開放側の各範囲に、複数個存在することになる。このため、複数個の隔壁3が、ラビリンスシール構造の働きと同様なり、照射処理槽10から大気圧の外部までの流路抵抗が大きくなるので、特別にシール等を使用することなく、照射処理槽10の負圧状態を維持することができる。当然のことながら、照射処理槽10に設ける排気手段の真空排気装置13の容量は、漏れ量を見込んだ容量することで、照射処理槽10内部を予め定めた負圧状態の範囲内に維持することができる。
また、照射処理槽10や前圧力調整槽20及び後圧力調整槽30部分に、例えばドライポンプを用い、適切なフィルタを備えた清浄空気発生装置15からの配管16を接続し、内部に清浄空気を供給するように構成している。なお、清浄空気発生装置15の代りに、電子線の照射が良好に行えるガス雰囲気にするため、窒素ガスやヘリウムガス等やこれらの混合ガスを供給する各種のガス供給装置を接続することができる。
上記の構成の開口容器用電子線照射装置では、前工程ラインからの直立状態のまま各前圧力調整槽20に送り込まれる開口容器1は、順に前圧力調整槽20から照射処理槽10を経て、後圧力調整槽30から後工程ラインに搬出されるが、途中の照射処理槽10部分の負圧雰囲気内で、電子線発生手段40からの電子線照射による滅菌処理を受ける。この際、前圧力調整槽20内の回転搬送体21が時計方向に回転すると、開口容器1の前工程ラインより前圧力調整槽20への取り込み位置から、照射処理槽10に近づく範囲に形成されて内部に開口容器30を保持している小区画22は、排気手段によって大気圧から少しずつ減圧された状態となり、照射処理槽10内の回転搬送体11に移動したときには、照射処理槽10と略同じ負圧となる。
また逆に、後圧力調整槽30内の回転搬送体31が時計方向に回転し、開口容器1が照射処理槽10から後工程ラインへの排出位置に近づく範囲に形成されて内部に開口容器30を保持している小区画32では、排気手段によって照射処理槽10内の負圧状態から少しずつ大気圧に近づく状態になり、後工程ライン側に開口容器1を排出する時点では大気圧になる。
上記のように開口容器用電子線照射装置を構成したので、照射処理槽10と前圧力調整槽20及び後圧力調整槽30で、各槽内部の圧力管理を別個に適切に管理できるから、負圧に維持する照射処理槽10内で、低エネルギの電子線発生手段40を使用して、電子線による開口容器30の滅菌処理を効果的に行うことができる。
更に、この開口容器用電子線照射装置では、照射処理槽10と前圧力調整槽20及び後圧力調整槽30を一体に連結し、各開口容器は各槽内部の回転搬送体で直立状態のまま順に高速で搬送でき、照射処理槽10に設けた領域内で電子線の照射を受けるので、飲料等の生産ライン中に組み込んでの開口容器の滅菌処理を連続して行うことができる。
本発明の開口容器用電子線照射装置では、図2に示すように電子線発生手段40から、搬送中の首部を有する開口容器1に電子線EBを照射する際、照射保護板4を開口容器の首部付近に配置し、これによって過剰に電子線の照射を受けるのを防ぎ、電子線量を効果的に遮蔽している。
照射保護板4は、開口容器1の搬送に支障のない回転搬送体11部分に配置し、着脱機構5を介して回転搬送体11に支持している。しかも、この着脱機構5が、回転搬送体11の回転移動に伴って上下に動作し、照射保護板4を電子線照射の間は開口容器1の首部付近に装着し、かつ電子線照射後に除去する構成としている。
着脱機構5を矢印で示す上下方向に動作させるため、例えば回転搬送体11の外面に案内ガイド6を設け、この部分に着脱機構5の一端を、上下に摺動可能に配置している。その上、着脱機構5の下面にローラ7Aと上面を円弧状に突出させたカム型のガイドレール7Bの組み合わせて設けている。これらローラ7Aとガイドレール7Bとによって、回転搬送体11の回転移動に伴い、着脱機構5が上下に動作し、電子線照射の間は開口容器1の首部付近に照射保護板4の装着状態を維持し、かつ電子線照射後に除去できる構成としている。
照射保護板4は図3に示すように、小孔4Cを設けた平板部4Aと、開口容器1の首部に一部又は全部を挿入可能な大きさの中空円筒部4Bとで、上端に鍔部を有する円筒状に一体に作製される。照射保護板4の平板部4Aは、電子線の照射を受けて発熱するため、銅やアルミニューム等の熱伝導性の良い材料を用い、また中空円筒部4Bは、複数の穴やメッシュ状になした電熱性の良い材料又は電子線を透過する材料を用いて、開口容器1の首部部分が照射を受ける電子線量を適切にする。
また、照射保護板4は、この下面の中空円筒部4Bに永久磁石製でリング状の磁場偏向手段8を嵌合配置している。この磁場偏向手段8で、電子線発生手段40からの電子線を収束させ、電子線が小孔4Cから首部を有する開口容器1内に入るようにし、電子線で開口容器1内部の照射滅菌処理を良好に行うことができる。なお、照射保護板4の上面は、電子線EBの照射を受けるため発熱するから、熱伝導性の良い材料を用いても更に発熱対策が必要なときは、冷却パイプ等の冷却手段9を設置して温度上昇を抑制し、長期間使用に耐えるようにする。
照射処理槽10の電子線照射室となる搬送路部分には、電子線発生手段40からの電子線EBを偏向させる電子線偏向器41を配置している。この電子線偏向器41は、電子線発生手段40対向する位置で、しかも開口容器1の高さ方向に対して異なる位置に配置する。この電子線偏向器41の配置で、上方から電子線EBで照射する際でも、電子線EBを開口容器1の内外面で偏向させ、開口容器1の高さ方向の全面を良好に照射することができる。電子線偏向器41は、永久磁石を使用し、電子線EBを適切に偏向させ、開口容器1の全面に効果的に照射できるように、その数と配置位置を工夫する。
更に、開口容器1を自転させる自転機構を、回転搬送体11に設けるようにすると、電子線EBの照射時に開口容器1を回転させることができ、上記の電子線偏向器41の使用と併せて、内外面を電子線EBでより均一に照射ができる。
本発明を適用する開口容器用電子線照射装置の原理を示す概略図である。 本発明の一実施例である開口容器用電子線照射装置の要部を示す概略縦断面図である。 本発明に用いる照射保護板の例を示す概略縦断面図である。
符号の説明
1…開口容器、2…保持機構、3…隔壁、4…照射保護板、4A…平板部、4B…中空円筒部、4C…小孔、5…脱着機構、6…案内ガイド、7A…ローラ、7B…ガイドレール、8…磁場偏向手段、9…冷却手段、10…照射処理槽、11、21、31…回転搬送体、13、23、33…真空排気装置、14、24、34配管、20…前圧力調整槽、22、32…小区画、30…後圧力調整槽、40…電子線発生手段。EB…電子線。

Claims (2)

  1. 中央に位置する照射処理槽と、前記照射処理槽の側面部に隣接して配置して一体に連結する前圧力調整槽及び後圧力調整槽と、前記照射処理槽と前圧力調整槽及び後圧力調整槽の内にそれぞれ配置した首部を有する開口容器を連続搬送する回転搬送体と、前記各回転搬送体の外面に等間隔に設けて開口容器を保持して連続搬送する保持機構と、前記照射処理槽に設けて前記開口容器の搬送中に減圧雰囲気内で電子線を照射する電子線照射手段と、前記照射処理槽内の回転搬送体に設けた各保持機構の上部に取り付けられて前記開口容器の首部付近に配置する照射保護板と、前記照射保護板を前記照射処理槽内の回転搬送体に支持させると共に、前記照射処理槽内の回転搬送体の回転移動に伴って動作して前記照射保護板を電子線照射の間は装着し、かつ電子線照射後に除去する着脱機構とを備えて構成したことを特徴とする開口容器の電子線照射装置。
  2. 請求項において、前記保持機構の上部に取り付けられた照射保護板は、電子線の不透過の平板部と開口容器の首部に挿入する円筒部とから形成し、前記平板部の下面に電子線収束用の磁場偏向手段を設けると共に、冷却手段を備えて構成したことを特徴とする開口容器の電子線照射装置。
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