JP4858761B2 - 衝突危険性判定システム及び警告システム - Google Patents
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Description
一方、近年の画像処理技術の発展により、個々の車両の挙動を直接把握することができるようになってきた。この画像処理技術を用いれば、大量のデータ処理が可能で、かつ解析結果に個人の特性が影響しない、などといったことから、大量の車両の挙動を定量的に解析することが可能となる.
そこで、本発明は、画像処理技術を用いて、注目車両と近隣の車両との関係を把握し、もって車両の安全走行を支援し、交通事故の発生を防止することのできる衝突危険性判定システム及び警告システムを提供することを目的とする。
この衝突危険性判定システムによれば、速度と車間距離とに基づいて複数の車両間における衝突危険性指標を自動的に算出することができる。この衝突危険性指標に基づいて、複数の車両の衝突の危険性を判断することができる。この衝突危険性指標の値を出力することによって、車両の安全走行を支援し、交通事故の発生を未然に防止することができる。
前記算出手段により算出された衝突危険性指標を蓄積する蓄積手段をさらに有するシステムとすれば、大量の衝突危険性指標のデータを作成することができ、渋滞や交通事故発生の解析などに役立つ。例えば、この蓄積された衝突危険性指標のデータに基づいて、交通工学的見地から道路標識設置の必要性を判断することができる。また、交通取り締まりの必要性なども判断することができる。
車両に前記警告情報を送信する時刻を、前方車両が送信手段の設置位置を通過する時刻よりも後にすれば、当該前方車両及びそれよりも先行する車両に煩わしい情報を与えなくても済むので、交通の円滑化が図れる。
図1は、本発明の衝突危険性判定システムの設置図を示す。
道路上方に道路面を俯瞰するように、カメラ2を所定の高さに設置している。カメラ2の視野範囲は、道路の一車線上にあり、その幅は車線幅にほぼ等しく、その道路に沿った長さDは、例えば100m程度である。
図2は、計測装置4の構成例を示すブロック図である。
計測装置4は、カメラ2の画像を取り込み、カメラ2の画面上に設定した車両検出用の計測ウィンドウ内で車両の有無を判定し、車両が検出された場合に、車両位置座標の算出、急減速時の衝突危険性指標の演算処理等を実行する。なお、前記カメラ2と前記計測装置4は一体型としても良い。
画像処理部41は、カメラ2の画像を取り込むためのインターフェイスを提供する入力部、画像信号をデジタル変換するA/D変換部、デジタル変換した画像データを一時的に格納する画像メモリ等を有している。そして、画像データに基づいて車両の判別、車両の位置座標算出等の処理を実行する。
事象判定部42の判定結果は、通信回線を通して信号機や表示板、交通管制センタ等に伝えられる。
図3は、画像処理部41で行われる画像処理方法を示すフローチャートである。画像処理部41の各部の機能の全部又は一部は、CD−ROMやハードディスクなど所定の媒体に記録されたプログラムを、計測装置4のコンピュータが実行することにより実現される。
射影変換の方法の一例を以下、図4を参照しながら説明する。この変換方法は例えば特開2003-42760号公報に詳しく記述されている。
路面上の座標系(現地座標系という)をX軸,Y軸,Z軸で定義し,カメラ設置位置O(投影中心)の座標を(X0,Y0,Z0)とする。Y軸は、道路の走行方向に沿うものとする。X軸は道路面に平行で、道路の走行方向と直角な方向にとる。Z軸は道路面に垂直とする。
このとき,路面上の点P(X,Y,Z)の,カメラ座標系における座標(xp,yp,zp)は、次の式で表される。
また、この7つの画角パラメータを未知変量とし,結像面上の座標(x,y)と現地座標(X,Y,Z)の対応付けを何点か与え,連立方程式を逐次近似解法により解くことにより7つのパラメータを求めることができる.
計測装置4は、映像ケーブル3を通して画像を取り込み、画像メモリに記憶させる(ステップS2)。画像の取り込み間隔は、例えば1秒間に30枚とする。
この2値化方法は、例えば、予め車両が存在しない場合の路面画像(以下、背景画像と呼ぶ)を作成しておき、取り込んだ画像(以下、入力画像と呼ぶ)との明るさの差を算出し、閾値以上の変化が検出された画素を「2値化結果=1」とする。閾値以下の変化の場合は「2値化結果=0」とする。
以上のような方法で検出した2値化結果から、車両候補を抽出する(ステップS4)。これは例えば以下の方法で行う。
ただし距離の近い複数の候補については、一つに結合する。また、その面積が一定未満のものについてはノイズと判定し、「車両候補」としない。
それぞれの「車両候補」について、以下の位置情報を記憶する。
・車両の左端位置(計測範囲の左端〜車両左端)
・車両の右端位置(計測範囲の左端〜車両右端)
このようにして求められた画面上の車両位置座標を、ステップS1で与えたパラメータを使って座標変換することで、実空間上での車両位置座標が得られる。なお、道路がカーブ区間の場合は、車線のカーブに沿ってY軸を定義しなおすよう、X座標とY座標をさらに座標変換すると良い。
次に、事象判定部42による衝突危険性指標算出処理を説明する。
このためには、事象判定部42は、図5のフローチャートに示すように、個々の車両について、挙動データを収集する(ステップT1)。
次に、収集した挙動データに基づきデータの補正を行う(ステップT2)。この補正処理について、以下に説明する。
車頭位置については、図6に示すように、実際には車両の屋根の部分を捉えることが多いため、実際の車両の先端を表しているものではない。このため、高さをいくらで与えたとしても、車頭位置には誤差(図6にαで示す)ができてしまう。
これによりY座標を補正すれば、図8の場合であっても、車両C2と車両C1との車間距離は計測できないので車両C1,C2の衝突危険度を求めることはできないものの、車両C2の車頭位置の誤差を軽減することができるので、車両C2と車両C3との車間距離は相応に算出でき、車両C2,C3の衝突危険度を求めることはできる。すなわち、図8の場合であっても、システムとして大きく誤ることを防ぐことができる。
次に、注目車両、前方車両のそれぞれの速度と車間距離とを、時刻の関数として求める(ステップT4,T5)。
車両の速度は、車両の位置座標を時間微分して求めることができる。
車間距離は、注目車両の車頭位置と、前方車両の車尾位置との差を求める。この場合、前述したように、車両の車頭位置は、倒れ込み分β相当の補正を行った位置を採用する。
次に、衝突危険性指標を算出する(ステップT6)。
衝突危険性指標には、非特許文献1で提案されたPICUD(急減速時衝突危険性指標, Possibility Index for Collision with Urgent Deceleration)を用いることができる。PICUDの定義式は以下のとおりである。
この定義式の第1項は、前方車両が急減速を開始してから停止するまでの走行距離を表す。第3項は、前方車両の減速に後続車両が気づくまでの空走距離である。第4項は、後続車両が急減速を開始してから停止するまでの走行距離である。
そこで、事象判定部42は、PICUDが、一定の閾値を下回った車両についてデータを蓄積し、交通事故防止のために活用する。
(1)PICUD値を含む各車両の軌跡データを蓄積する。蓄積するデータフォーマットは、表1に掲げた軌跡データフォーマットに加えて、前方車両ID、前方車両との車間距離、PICUD値を加えたデータとして蓄積する。この蓄積されたデータに基づいて、例えば、道路のある区間は、車間距離が平均的に狭くなりやすいと判定できれば、道路設備を設置することにより、前方の見通しをよくする、等の処置をとることができる。
(3)「事故が起きてから」ではなく「事故が起こりそうな」状況をいち早く見つけ、注目車両、及びその後続の車両に対して注意喚起を行う。注意喚起の方法としては、以下のいずれかが考えられる。
道路情報板(図11)をカメラより100m程度下流に設置し、計測装置4と通信回線で結んでおく。
PICUD値により危険と判断された車両を見つけると、「車間距離を広げてください」と情報板に注意喚起の表示を行う。画像処理の結果から、車両の速度に基づいて情報板付近への到達時間を予測し、注目車両、及びその後続車両のみに見えるよう、表示タイミングを決定する。
光ビーコン、電波ビーコン等の路上ビーコン(図11)を道路に設置し、計測装置4と通信回線で結んでおく。
車両が、光ビーコン、電波ビーコン、無線LANなど通信手段(車載器)を搭載している場合に、注目車両、及びその後続車両への通信によって注意喚起を行う。車両に送信するタイミングは、例えば、注目車両の速度に基づいて算出された当該注目車両のビーコン付近への到達予測時刻より後の、後続車両の速度に基づいて算出された当該後続車両のビーコン付近への到達予測時刻とする。これにより、車両のドライバに車間距離を離すよう警告することができる。
車両が前述の通信手段を持ち、かつブレーキなどの自動制御ができる場合に、注目車両、及びその後続車両への通信により自動ブレーキなどをかける。
以上の措置により、スピードを出していて、かつ車間距離の狭い走行状況がある場合に、それをリアルタイムで発見し、交通事故を未然に防ぐことができる。
3 映像ケーブル
4 計測装置
41 画像処理部
42 事象判定部
Claims (6)
- 撮影により画像データを取得するためのカメラと、当該取得した画像データに基づいて衝突危険性を判定するための計測装置とを備える衝突危険性判定システムであって、
前記カメラの撮像情報に基づいて道路を走行する車両を認識する車両認識手段と、
複数の車両が認識された場合に、それぞれの車両の速度、車間距離を算出し、前記算出された速度と車間距離とに基づいて衝突危険性指標を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された衝突危険性指標の値を出力する出力手段とを有し、
前記算出手段は、前記カメラで複数の車両を後方から斜めに撮影した場合、前記複数の車両のうち前方を走行する車両のカメラに最も近い側の画面上の位置1を計測し、前記前方を走行する車両に後続する車両のカメラに最も遠い側の画面上の位置2を計測し、前記位置2の座標に基づいて、車両の前記位置2に相当する個所を地面まで斜めに射影した道路上の座標を算出し、この道路上の座標から所定の距離を引くことにより、前記位置2を補正し、前記位置1と前記補正された位置2とから、前記車間距離を算出するものである衝突危険性判定システム。 - 前記衝突危険性指標は、車間距離、前記複数の車両のうち前方車両が減速を開始してから停止するまでの走行距離、当該前方車両の減速に前記複数の車両のうち後続車両が気づくまでの空走距離、及び当該後続車両が減速を開始してから停止するまでの走行距離に基づいて算出される請求項1記載の衝突危険性判定システム。
- 前記算出手段により算出された衝突危険性指標を蓄積する蓄積手段をさらに有する請求項1又は請求項2記載の衝突危険性判定システム。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の衝突危険性判定システムと、衝突危険性指標に基づいて衝突の危険が判定された場合に、道路管理者に警告情報を送信する送信手段とを含む衝突危険性警告システム。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の衝突危険性判定システムと、衝突危険性指標に基づいて衝突の危険が判定された場合に、車両に警告情報を送信する送信手段とを含む衝突危険性警告システム。
- 車両に前記警告情報を送信する時刻は、前方車両が送信手段の設置位置を通過する時刻よりも後である請求項5記載の衝突危険性警告システム。
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