JP4858316B2 - 画像処理によるトロリ線摩耗測定装置 - Google Patents
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Description
そこで、トロリ線には摩耗限界が設けられており、その摩耗限界を目安にトロリ線を交換し電気鉄道車輌の安全性を確保している。
トロリ線の厚みを直接測定する方法としては、まず、ノギスなどの定規を用いてトロリ線の厚みを測定する方法がある。これは作業者が測定したいトロリ線部分の厚みをノギス等の定規を用いて手作業にて測定する方法で、測定したいトロリ線の厚みを確実に求めることができる。その反面、測定には手間がかかり自動化できないため、長い距離の区間を測定することは困難である。
トロリ線摩耗部の幅を計測する方法として、ナトリウムランプやレーザ光を照射してトロリ線摩耗部を測定する方法がある(例えば、特許文献1参照)。これはトロリ線下部が丸いひょうたん形状になっていて、摩耗によりトロリ線が平たく削れて行くほど割れた部分の幅が広くなることを利用したもので、摩耗幅からその箇所のトロリ線の厚みを換算する。
先件提案1における画像処理の基本的な考え方は、図13に示すように、画像の入力手段としてラインセンサ10を用い、照明としては、ナトリウムランプやレーザ光ではなく、通常の照明器具2を利用するものである。
ラインセンサ10により撮影されたトロリ線4の画像信号は車内に設置された計測用パーソナルコンピュータ(以下、PCと言う)6に入力される。計測用PC6は、ラインセンサ1より得られる走査線の輝度信号を時系列に並べラインセンサ画像(平面の画像)を作成し、入力画像として記録装置7へ保存する。
計測用PC6は、図16に示すフローチャートに従い、入力したラインセンサ画像を画像処理してトロリ線の摩耗部の幅を、以下の手順により求める。
先ず、ラインセンサ10により取得された画像信号は、ラインセンサ画像作成部20にて時系列に並べられラインセンサ画像としてメモリ30へ保存される(ステップS1)。
次いで、ラインセンサ画像はメモリ40を経てパラメータと共に判別分析2値化処理部50ヘ送られ、判別分析2値化処理部50により2値化処理が行われる(ステップS2)。
ここで、トロリ線の摩耗部分はトロリ線がパンタグラフにより削られた部分であるため、摩耗していない部分に比べて強い光沢があるため、ラインセンサ画像上においてもトロリ線の摩耗部分は背景部分と比較して輝度値の異なる帯状の部分として撮影される。
2値化ラインセンサ画像は、図14に示すように、トロリ線摩耗部分が白域、背景部分が黒域となる。
更に、判別分析2値化処理部50では、トロリ線の変位やトロリ線からの反射光の強さの違いに対応するために、判別分析2値化法を用いる。
そのため、閾値を固定値で決めた場合における、撮像時の環境によっては、トロリ線の摩耗部以外が強調、抽出、または摩耗部自身が抽出されないといった問題が解消される。
ラインセンサ画像から2値化処理により2値化ラインセンサ画像を構成した場合、そのままではトロリ線摩耗部の傷や背景部分の状態により細かな点々状のノイズが含まれる場合がある。
そこで、2値化ラインセンサ画像がメモリ40を経てノイズ除去処理部60へ送られると、ノイズ除去処理部60は、2値化処理の膨張、収縮処理を行い、これらのノイズを除去する(ステップS3)。
引き続き、ノイズを除去した2値化ラインセンサ画像がパラメータと共にメモリ40を経てトロリ線摩耗部エッジ検出部70へ送られると、トロリ線摩耗部エッジ検出部70は2値化ラインセンサ画像上において白域で表されているトロリ線摩耗部の両側のエッジを検出する(ステップS4)。
この処理を画像の上から下ヘライン毎に行うことで、図15に示すように、1枚の2値化ラインセンサ画像に関するトロリ線摩耗部分のエッジを検出する。
更に、2値化ラインセンサ画像から検出したトロリ線摩耗部分の両側のエッジデータは、メモリ40を経てパラメータ及びトロリ線高さデータと共にトロリ線摩耗部幅計算部80へ送られ、トロリ線摩耗部幅計算部80はラインセンサ10の一つの走査ライン上にある両側のエッジ点間距離をトロリ線摩耗部分の画像上の幅として計算する(ステップS5)。
計算に用いるラインセンサ10からトロリ線4までの高さについては、別の手段(例えば、「画像処理によるトロリ線摩耗測定装置(特願2005−068793)」、以下、先件提案2と言う)等によって得られるデータを用いて求めるものとする。
このように説明したように、先件提案1の画像処理によるトロリ線摩耗測定装置は、非接触の方式であるため高速な運用が可能であり、短期で長い距離の区間を測定することができる。
さらにどのような撮像環境においても、自動的に比較的良好な閾値を算出することが可能になり、閾値を定数で決めていた場合に起こる輝度の低さによるトロリ線が抽出されない現象が改善され、またデータとしてラインセンサ画像が残っているため、トロリ線摩耗として問題があった部分については、その部分の画像を見ることで問題の確認を行うことが可能である。
また、トロリ線をセンサが挟む構造であるため、ポイント、エアーセクション、アンカーといったセンサと衝突するような構造物が存在する部分での使用が不可能であり、それら既存構造物の存在する場所では衝突しないよう測定位置から装置を離す必要がある。
これに対し、本願発明によれば、時系列に連続する前回解析エリアと次回解析エリアを用いて、これらエリアの設定区間を上下に横断する連続する白域と今回解析エリアで連続する白域もトロリ線として認識することにより、セクション区間など今回解析エリア内で2値化処理後の画像で上下に横断していない場合でもトロリ線と認識して抽出することが可能となる。
図1(a)は、本発明のトロリ線摩耗測定に関する画像処理の概念図、図1(b)は、2値化用記憶領域内を模式的に示す概念図である。
即ち、全測定区間のラインセンサ画像は、ハードディスクドライブ(以下、HDDと言う)100に保存された後、HDD100から読み出されて2値化用記憶領域200に展開される。
2値化処理後において、ラインセンサ画像を、Mライン毎に区切って連続番号nを付すと、1番目のラインセンサ画像は、1ラインの画像データをM個時系列t1〜tMで並べたものであり、2番目のラインセンサ画像は、1ラインの画像データをM個時系列tM〜tM+Mで並べたものであり、一般式としては、n番目のラインセンサ画像は、1ラインの画像データをM個時系列tM・(n-1)+1〜tM・nで並べたものである。
そして、連続番号nを付したラインセンサ画像は、例えば、HDD300に一時的に保存された後、HDD300から読み出され、n番目のラインセンサ画像に対して、(n−1)番目のラインセンサ画像におけるMラインのうちのNライン(M≧N)であってn番目のラインセンサ画像に時系列的に連続する予備ライン及び(n+1)番目のラインセンサ画像におけるMラインのうちのNラインであってn番目のラインセンサ画像に時系列的に連続する予備ライン画像を連結して(M+2N)ラインよりなるラインセンサ画像を作成する。
従って、本発明においては、従来の画像処理において使用される2値化ラインセンサ画像に比較し、予備ライン画像の分だけ、つまり、2Nラインよりなる画像の分だけ、画像の領域が拡張されたものとなる。
本実施例においても、背景技術の欄で説明した通り、図13に示すように、画像の入力手段としてラインセンサ10を用い、照明としては、ナトリウムランプやレーザ光ではなく、通常の照明器具2を利用するものである点では共通するものである。
即ち、図8に示すように、ラインセンサにより取得された走査線の輝度信号は、ラインセンサ画像作成部21にて時系列に並べられメモリ31へ保存されると共に(ステップS1)、メモリ31を利用して予備ライン画像の連結処理がなされる(ステップS6)。
例えば、図2及び図3に示すように、従来の画像解析を行っていた解析エリアである1000ラインの画像Bと隣接する前の解析エリアの画像の一部である100ラインの画像を予備ライン画像Aとし、その次の解析エリアの画像の一部である100ラインの画像を予備ライン画像Cとすると、1000ラインの画像Bに対して予備ライン画像A,Cを連結する。
本実施例は、予備ラインNを、上述した通り、100ラインとし、従って、1000+100+100=1200ラインのラインセンサ画像を用いて、以下の画像処理を実施する。
パターン解析処理は、図4の右側部分及び左側部分に示すように、1000ラインの画像Bを横断する横断白域をトロリ線として判定する点については、段落0022で前述した通りである。
そのため、本実施例では、1000ラインの画像Bの画像のみでトロリ線として判定していた場合に比較して、図18に示すセクション部において、ノイズとして処理していたをトロリ線を確実に抽出することができるのである。
本実施例においても、背景技術の欄で説明した通り、図13に示すように、画像の入力手段としてラインセンサ10を用い、照明としては、ナトリウムランプやレーザ光ではなく、通常の照明器具2を利用するものである。
計測用PC6は、図11に示すフローチャートに従い、入力したラインセンサ画像を画像処理してトロリ線の摩耗部の幅を、以下の手順により求める。
先ず、ラインセンサ10により取得された画像信号は、ラインセンサ画像作成部22にて時系列に並べられラインセンサ画像としてメモリ32へ保存される(ステップT1)。
メモリ32に保存されるラインセンサ画像は、時系列に並べられた所定数のラインよりなるが、その後の画像処理過程においてノイズフィルタ等の処理により、図9に示すように、画像の上端および下端の数行に関して処理できない部分が存在してしまいデータ抜けが発生する。
本来は連続しているはずのデータだが、その数行分のデータが抜けてしまう現象を防ぐため、処理対象となる画像に対し、時間的にその前後となる画像を上下に連結させ、上下に数行分の画像を連結する連結処理をする(ステップT2)。
従って、以下の画像処理において、画像の上端および下端の数行に関して処理できない部分が存在してしまい、予備ライン画像においてデータ抜けが発生したとしても、n番目のラインセンサ画像についてのデータ抜けを未然に防止することが可能となる。
次いで、ラインセンサ画像はメモリ40を経てパラメータと共に2値化処理部51ヘ送られ、2値化処理部50により2値化処理が行われる(ステップT3)。
ここで、トロリ線の摩耗部分はトロリ線がパンタグラフにより削られた部分であるため、摩耗していない部分に比べて強い光沢があるため、ラインセンサ画像上においてもトロリ線の摩耗部分は背景部分と比較して輝度値の異なる帯状の部分として撮影される。
2値化ラインセンサ画像は、図14に示すように、トロリ線摩耗部分が白域、背景部分が黒域となる。
ラインセンサ画像から2値化処理により2値化ラインセンサ画像を構成した場合、そのままではトロリ線摩耗部の傷や背景部分の状態により細かな点々状のノイズが含まれる場合がある。
そこで、2値化ラインセンサ画像がメモリ40を経てノイズ除去処理部60へ送られると、ノイズ除去処理部60は、2値化処理の膨張、収縮処理を行い、これらのノイズを除去する(ステップT4)。
引き続き、ノイズを除去した2値化ラインセンサ画像がパラメータと共にメモリ40を経てトロリ線摩耗部エッジ検出部70へ送られると、トロリ線摩耗部エッジ検出部70は2値化ラインセンサ画像上において白域で表されているトロリ線摩耗部の両側のエッジを検出する(ステップT5)。
この処理を画像の上から下ヘライン毎に行うことで、図15に示すように、1枚の2値化ラインセンサ画像に関するトロリ線摩耗部分のエッジを検出する。
更に、2値化ラインセンサ画像から検出したトロリ線摩耗部分の両側のエッジデータは、メモリ40を経てパラメータ及びトロリ線高さデータと共にトロリ線摩耗部幅計算部80へ送られ、トロリ線摩耗部幅計算部80はラインセンサ10の一つの走査ライン上にある両側のエッジ点間距離をトロリ線摩耗部分の画像上の幅として計算する(ステップT6)。
計算に用いるラインセンサ10からトロリ線4までの高さについては、例えば、先件提案2等の別の手段によって得られるデータを用いて求めるものとする。
(1)非接触式の方式であるため高速な運用が可能であり、短期間で長い距離の区間を測定することができる。
(2)装置の構造上、ポイント、エアーセクション、アンカーといった既存構造物から離れた位置にセンサが設置されているため、回転ローラと光学センサを用いてトロリ線の厚みを直接計測する方法に比べて既存構造物との衝突を考慮する必要が無く、既存構造物が存在する場所にでも連続的に測定を行うことができる。
(3)各画像端におけるデータ抜けがなくなり、連続したトロリ線摩耗幅データを求めることができる。
(4)トロリ線摩耗幅データの単なる補間とは異なり、時間的に前後する画像データを連結することで実画像からデータを作成するため、データ補間部においてもより正確なデータを求めることができる。
(5)基本的に全ての区間においてラインセンサ画像の撮像が可能であり、測定区間でのトロリ線及び近傍にある既存構造物の画像データを取得することができる。
(6)特別な照明を使用する必要が無い。
(7)レーザ光を使用する方法に比べて人体への影響を考慮する必要が無く、取り扱いが簡単である。
(8)トロリ線摩耗部の反射光を正反射で受ける必要が無いため、光源と受光装置間で精密な位置あわせを行う煩わしさが無い。
(9)測定区間のラインセンサ画像が残っているため、トロリ線摩耗として問題があった部分については、その部分の画像を見ることで問題の確認を行うことが可能である。
3 検査車輌
4 トロリ線
5 パンタグラフ
6 計測用PC
7 記録装置
10 ラインセンサ
20,21,22 ラインセンサ画像作成部
30,31,32,40 メモリ
50 判別分析2値化処理部
51 2値化処理部
60 ノイズ処理部
70 トロリ線摩耗部エッジ検出部
80 トロリ線摩耗部幅計算部
100,300 HDD(ハードディスクドライブ)
200 2値化用記憶領域
A,B,C 画像
Claims (3)
- ラインセンサより得られる走査線の輝度信号を時系列に並べてラインセンサ画像を作成するラインセンサ作成手段と、前記ラインセンサ画像を2値化して2値化ラインセンサ画像とすることにより、トロリ線摩耗部分を強調する2値化手段と、前記2値化ラインセンサ画像のノイズを除去するノイズ除去手段と、ノイズを除去された前記2値化ラインセンサ画像からトロリ線摩耗部分のエッジを検出するエッジ検出手段と、前記トロリ線摩耗部分のエッジ点間距離からトロリ線の摩耗幅を計算するトロリ線摩耗幅計算手段とを有する画像処理によるトロリ線摩耗測定装置において、前記ラインセンサ画像をMライン毎に区切って連続する番号を付したn番目のラインセンサ画像に対して、(n−1)番目のラインセンサ画像におけるMラインのうちのNライン(M≧N)であってn番目のラインセンサ画像に時系列的に連続する画像(以下、予備ライン画像と言う)及び(n+1)番目のラインセンサ画像におけるMラインのうちのNラインであってn番目のラインセンサ画像に時系列的に連続する画像(以下、予備ライン画像と言う)を連結して(M+2N)ラインよりなるラインセンサ画像を作成する予備ライン画像連結手段を備え、前記ノイズ除去手段、前記エッジ検出手段及び前記トロリ線摩耗幅算出手段は、前記予備ライン画像連結手段により作成された(M+2N)ラインよりなるラインセンサ画像に対して各処理を行うことを特徴とする画像処理によるトロリ線摩耗測定装置。
- 前記(M+2N)ラインよりなるラインセンサ画像のうち2値化処理後の前記予備ライン画像において時系列方向に横断する白域(以下、横断白域という)が存在するときは、前記n番目のラインセンサ画像における2値化処理後において時系列方向に部分的に横断する白域(以下、非横断白域)をトロリ線摩耗部分であると判断するパターン解析手段を追加したことを特徴とする請求項1のトロリ線摩耗測定装置。
- 前記(M+2N)ラインよりなるラインセンサ画像のうち前記n番目のラインセンサ画像に2値化処理後において時系列方向に横断する横断白域が存在する場合、または、前記(M+2N)ラインよりなるラインセンサ画像のうち前記n番目のラインセンサ画像に2値化処理後において時系列方向に部分的に横断する非横断白域が存在し、かつ、当該非横断白域が2値化処理後の前記予備ライン画像において時系列方向に横断する横断白域と連続する場合の何れかに該当するときは、前記非横断白域をトロリ線摩耗部分であると判断するパターン解析手段を追加したことを特徴とする請求項1のトロリ線摩耗測定装置。
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