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JP4854843B2 - Method for producing 3'-sialyllactose lactone - Google Patents

Method for producing 3'-sialyllactose lactone Download PDF

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JP4854843B2
JP4854843B2 JP2000350842A JP2000350842A JP4854843B2 JP 4854843 B2 JP4854843 B2 JP 4854843B2 JP 2000350842 A JP2000350842 A JP 2000350842A JP 2000350842 A JP2000350842 A JP 2000350842A JP 4854843 B2 JP4854843 B2 JP 4854843B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に乳又は乳成分等の天然原料から高収量及び高純度で、食品、飼料、医薬品又は化粧品等の素材として有用なシアル酸化合物から得られるラクトン体を製造する方法に関する。
【0002】
詳しくは、本発明は、シアル酸化合物を含有する原料溶液中のラクトン体を予め開環処理し、該原料溶液中のシアル酸化合物を分離し、ラクトン化し、陰イオン交換体に通液し、非吸着画分を採取することを特徴とするシアル酸化合物から得られるラクトン体の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、シアル酸は細胞表面糖鎖、糖タンパク質糖鎖、又は糖脂質糖鎖の末端に位置し、細胞間識別等種々の生理機能を有することが知られている。
【0004】
シアル酸は乳中ではオリゴ糖、ガングリオシド、糖タンパク質等の構成分子として存在しており、感染防御活性があること、ビフィズス因子として作用すること(山内邦男他編、「ミルク総合辞典」、第519頁、朝倉書店、1992年)及び乳児の初期免疫を制御すること(酪農科学の研究、第17巻、第A−55頁、1968年)等の生理機能が知られている。
【0005】
また、母乳中には牛乳に比べて多量のシアル酸化合物が含まれており、シアル酸化合物を母乳代替品、機能性食品、及び医薬品素材として利用する試みが行われている(山内邦男他編、「ミルク総合辞典」、第310頁、朝倉書店、1992年)。
【0006】
一方、分子内にラクトン構造をもつシアル酸化合物から得られるラクトン体が脳内及び乳中に存在することが報告されている[ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry )、第261巻、第8514頁、1986年、及びビオキミカ・エト・ビオフィジカ・アクタ(Biochimica et Biophysica Acta )、第1381巻,第286頁、1998年。]。
【0007】
シアル酸化合物から得られるラクトン体には遊離のカルボキシル基が存在せず、カルボキシル基がラクトン環の一部を形成し、ラクトン化していないシアル酸化合物とは全く異なる化学構造の化合物である。
【0008】
また、シアル酸化合物から得られるラクトン体は、分子内にラクトン構造を有するため、ラクトン化していないシアル酸化合物に比較してノイラミニダーゼによるシアル酸の分解に抵抗性であるという有用な性質を有する[ケミカル・レターズ(Chemical Letters)、第669頁、1997年]ことから、ラクトン化していないシアル酸化合物とは全く異なる物質である。
【0009】
従来、このような有用な性質を有するシアル酸化合物から得られるラクトン体の天然原料からの分離方法としては、シアル酸化合物を含有する原料であるウシ初乳中のシアル酸化合物を分離し、ラクトン化し、陰イオン交換体に接触させ、非吸着画分を取得するシアル酸化合物から得られるラクトン体の分離方法[メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第242巻、第102頁、1994年。以下、従来技術1と記載する。]が知られていた。
しかしながら、従来技術には、次に記載するとおりの不都合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術1は、シアル酸化合物から得られるラクトン体と非ラクトン体(いわゆるラクトン化されていないシアル酸化合物)との化学的性質が異なるため、原料中のシアル酸化合物の分離工程で、原料中に当初から存在するラクトン体を回収することができず、最終的に取得することができるシアル酸化合物から得られるラクトン体の収量が劣るという問題点を有していた。
【0011】
本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、鋭意検討した結果、後記試験例から明らかなとおり、シアル酸化合物を含有する原料中のラクトン体を予め開環処理することにより、原料中に当初から存在するラクトン体を非ラクトン体と共に簡便に回収することが可能となり、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高収量及び高純度で製造することができることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
本発明の目的は、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高収量及び高純度で製造することができる製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明は、3’−シアリルラクトースを含有する原料溶液中のラクトン体を予め凍結融解法で開環処理し、該原料溶液中の3’−シアリルラクトースを分離し、ラクトン化し、陰イオン交換体に通液し、非吸着画分を採取することを特徴とする3’−シアリルラクトースラクトンの製造方法であり、3’−シアリルラクトースを含有する原料溶液が、乳又は乳加工物であること(以下、態様1と記載する。)、乳又は乳加工物が、ウシ初乳、ウシ脱脂初乳、ホエー、クアルク酸ホエー、又はカゼインであること(以下、態様2と記載する。)、を望ましい態様としてもいる。次に、本発明について詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に使用するシアル酸化合物を含有する原料は、シアル酸化合物を含有するものであれば、如何なるものでも使用することができるが、食品として許容される天然原料であることが望ましく、本発明の態様1に示すとおり、大量の原料の入手が容易であることから、乳又は乳加工物であることが一層望ましい。
【0015】
乳としては、牛乳、人乳、山羊乳、これらの脱脂乳等が例示され、シアル酸化合物のラクトン体を多く含有し、比較的入手し易いことから、特にウシ初乳又はウシ脱脂初乳が望ましいが、本発明の分離精製効率が高いことから、大量に利用可能なウシ常乳を使用することも可能である。
【0016】
乳加工物としては、初乳又は常乳から分離される酸カゼイン、レンネットカゼイン、チーズ製造時等に副生されるホエー等が例示され、簡便には、市販のカゼイン、ホエー(例えば、森永乳業社製等。)、クアルク酸ホエー(例えば、ミライ社製サワーホエーパウダー等。)等を使用することができる。
【0017】
本発明の態様2に示すとおり、シアル酸化合物を比較的多く含有していることから、乳又は乳加工物が、ウシ初乳、ウシ脱脂初乳、ホエー、又はカゼインであることがより一層望ましく、これらを任意に混合して使用することも可能である。
【0019】
溶液状の原料は、そのまま原料溶液として使用することができるが、固形状又は粉状の原料は、水又は温湯に分散し、溶解して原料溶液として使用する。該溶解液の濃度は格別の制限はないが、通常、固形分換算で5〜15%(重量。以下、特に断りのない限り同じ。)前後の濃度範囲にするのが、後の工程の効率性及び操作性の点から望ましい。
【0020】
シアル酸化合物を含有する原料溶液に対しては、効率性及び操作性の点から、各原料溶液に応じて、次のとおりの前処理を行うことが望ましい。
【0021】
ウシ初乳等の脂肪を含有する原料溶液は、遠心分離、クリームセパレータ等により脱脂処理を行うことが望ましい。
【0022】
また、脱脂処理後のウシ初乳、ウシ脱脂初乳、又はレンネットホエーを除くホエー等の蛋白質を含有する原料は、限外瀘過、加熱、有機溶媒又はこれらを組み合わせ等により除蛋白処理を行うことが望ましい。尚、カゼイン、カゼイン分解物、又はレンネットホエーについては、シアル酸化合物が蛋白質又はペプチドに共有結合した状態でも存在していることから、収量を減らさないため、除蛋白処理を行わないことが望ましい。
【0023】
除蛋白処理に使用する有機溶媒は、クロロホルム、アセトン、ヘキサン、エタノール、又はこれらの混合物を例示することができる。尚、有機溶媒による除蛋白処理を行った場合には、除蛋白処理液から有機溶媒を留去する必要がある。
【0024】
得られた除蛋白処理液は、固形分換算で5〜15%前後の濃度範囲まで、エバポレーター等により濃縮処理を行うことが望ましい。
【0025】
また、必要に応じてオクタデシル基(C18)を有する樹脂等による疎水カラムクロマトグラフィーにより、混在したペプチド等を除去し、一層高純度のシアル酸化合物から得られるラクトン体を製造することが望ましい。
【0026】
その他の原料溶液の処理として、原料溶液中に塩類を含有する場合には、電気透析法等により脱塩処理を行うことが望ましく、また、原料溶液中に微細な沈殿物を含有する場合には、クラリファイヤー等でこれらを除去することが望ましい。
【0027】
本発明の原料溶液中のラクトン体の開環処理方法は、物質を添加することなくラクトンを開環させることができるので、凍結融解法とする
【0028】
凍結融解法は、例えば次のとおり実施される。即ち、シアル酸化合物を含有する原料溶液を、フリーザー等により−10℃等の温度で数時間を要して徐々に凍結させ、のち融解させる。この方法により原料中に当初から存在するラクトン体のラクトン環を開環させることができる。
【0029】
本発明の開環処理後の原料溶液中のシアル酸化合物を分離する方法は、如何なる方法でも使用することができるが、シアル酸化合物の非ラクトン体(いわゆるラクトン化されていないシアル酸化合物)の効率的な分離が可能である陰イオン交換体を使用したイオン交換法が望ましい。
【0030】
陰イオン交換体を使用したイオン交換法は、具体的には次のとおり実施される。即ち、イオン交換体への通液条件は、原料溶液の濃度が乳糖が析出しない範囲、望ましくは固形分換算で0.01乃至30%、温度は乳糖が析出しない範囲、望ましくは4℃乃至50℃、及びイオン強度が電気伝導率として30mS/cm以下が望ましい。従って、開環処理後の原料溶液の濃度、温度、及びイオン強度を水の添加等により前記範囲に調整し、陰イオン交換体へ通液し、シアル酸化合物の非ラクトン体を吸着させ、溶出分離することにより実施される。
【0031】
陰イオン交換体への通液方法は特に制限がなく、カラム法、バッチ法を例示することができる。尚、カラムに充填した陰イオン交換樹脂に通液するカラム法が、吸着画分と非吸着画分を容易に分離できることから望ましい。
【0032】
本発明のシアル酸化合物の分離工程に使用する陰イオン交換体は、特に制限はなく、AG1X4(バイオラッド社製)、マクロプレップQサポート(バイオラッド社製)、DEAE−セルロース(アマシャムファルマシアバイオテック社製)、DEAE−セファデックス(アマシャムファルマシアバイオテック社製)、Q−セファロース(アマシャムファルマシアバイオテック社製)、アンバーライトIRA400(オルガノ社製)等を例示することができる。イオン交換体のイオン型は特に限定されず、通常のイオン交換体の再生方法で得られるCl-型、OH-型、CH3COO-型等を例示することができる。
【0033】
陰イオン交換体に吸着したシアル酸化合物の非ラクトン体の溶出分離は、水等による洗浄後、塩溶液により溶出することにより実施される。塩溶液としては、塩化ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム溶液等を例示することができる。
【0034】
塩溶液により溶出する場合、塩濃度は0.01〜1.5Mの範囲であれば特に制限はないが、塩濃度が低いと回収率が低く、また塩濃度が高すぎると後の脱塩処理に長時間を要することから、塩濃度は0.05〜1.0Mの範囲が望ましい。
【0035】
得られたシアル酸化合物の非ラクトン体を含有する溶出分離液は、電気透析法等により脱塩し、凍結乾燥を行う。
【0036】
本発明の分離されたシアル酸化合物の非ラクトン体をラクトン化する方法は、シアル酸化合物のラクトン化が可能な方法であれば、如何なる方法でも使用することができるが、最終生産物の食品等への使用が可能である氷酢酸等の食品に許容されている酸を使用したラクトン化が望ましい。
【0037】
具体的には、シアル酸化合物の非ラクトン体を含有する濃縮液又は凍結乾燥物を氷酢酸に溶解し、25℃以上で10時間以上、望ましくは30℃以上で72時間以上反応させてラクトン化を行う。尚、シアル酸化合物の非ラクトン体の濃度が高すぎる場合、分子間脱水縮合等の反応を惹起する可能性があることから、固形分換算で10%未満の濃度でラクトン化を行う必要がある。
【0038】
前記ラクトン化を反復して行うことで、シアル酸化合物のラクトン体を更に高純度で得ることもできる。
【0039】
具体的には、得られたシアル酸化合物のラクトン体を含有する溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥した粉末を氷酢酸に溶解し、再度、前記と同様に反応させラクトン化を行う。
【0040】
尚、シアル酸化合物の分子内のラクトン化は、後記試験方法に示すとおりの核磁気共鳴法等により適時モニターすることができる。
【0041】
本発明のラクトン化されたシアル酸化合物を陰イオン交換体に接触し、非吸着画分を採取する方法は、前記原料溶液中のシアル酸化合物を分離する方法とほぼ同様に実施することが可能であり、使用できる陰イオン交換体の種類及びイオン型も限定されない。唯一、前記シアル酸化合物の陰イオン交換体を使用した分離方法とは、非吸着画分を採取することから、吸着画分を溶出分離する工程が必要ない点で相違する。尚、非吸着画分の取得に使用する陰イオン交換体は、前記シアル酸化合物を分離する方法で使用された陰イオン交換体と同種のものを使用することができ、また、異種のものを組合せて使用することもできる。
【0042】
具体的には、ラクトン化されたシアル酸化合物を含有する溶液を中性の水溶液(例えば、リン酸緩衝液等。)で適宜希釈する前処理、水酸化ナトリウム等でpHを中性付近に調整する前処理、又は電気透析法等により酢酸を除去する前処理等を行い、陰イオン交換体に接触し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高い純度で含有する非吸着画分を分離して採取する。
【0043】
また、陰イオン交換体の吸着画分には、操作過程でラクトンが開環したシアル酸化合物が微量ながら含まれることがある。そのため、この陰イオン交換体の吸着画分を溶出して回収し、脱塩し、再度ラクトン化し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を回収し、回収率を高めることもできる。
【0044】
前記のシアル酸化合物から得られるラクトン体を高い純度で含有する非吸着画分は、そのまま又は脱塩後に溶液状態で使用できるが、望ましくは、フリージングバス、ドライアイスアセトンバス、液体窒素等を用いて急速に冷凍し凍結乾燥し、ラクトン体の保存安定性を高めた固形粉末状態で保存し、使用することができる。
【0045】
本発明の製造方法により製造される高純度のシアル酸化合物から得られるラクトン体は、食品、飼料、医薬品、化粧品等の素材として利用可能である。
【0046】
次に、試験例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明においては、次の試験方法を採用した。
【0047】
(1)シアル酸化合物の分子内のラクトン化の分析方法
中原らの方法[テトラヘドロン・レター(Tetrahedron Letter)、第35巻、第3321頁、1994年]に従って、1H−核磁気共鳴スペクトル法により試料の分子中のラクトン化の状態を分析し、シアル酸化合物のラクトン体の生成状態をモニターした。
本分析方法の理解を容易にするため、次に代表的なシアル酸化合物である3´−シアリルラクトースのラクトン体の生成状態をモニターする例により説明する。
【0048】
尚、1H−核磁気共鳴(以下、NMRと記載することがある。)は重水(D2O)中で300Kにおいてスペクトロメーター INOVA600(バリアン社製)を使用して記録し、ケミカルシフト値(ppm)は基準物質である3−(トリメチルシリル)−1−プロパン硫酸ナトリウム塩(TPS)及びアセトンのシグナル位置からの差として求めた。
【0049】
3´−シアリルラクトース(シグマ社製)を氷酢酸(和光純薬社製)存在下で25℃5日間の反応によりラクトン化させ、その前後で1H−NMR分析を行った。その結果の図をそれぞれ図1及び図2に示すとおりである。図1及び図2はNMRスペクトルを示す。
【0050】
分析の結果、次式(化1)に示す3´−シアリルラクトースからラクトン化により、3´−シアリルラクトースラクトンの一種ではあるが、化学構造が異なる次式(化2)に示す3´−シアリルラクトース1−2ラクトン及び次式(化3)に示す3´−シアリルラクトース1−4ラクトンが生成していることが確認された。詳しくは、図1及び図2から明らかなとおり、シアル酸分子の3位炭素上に位置するエカトリアル位の水素(以下、H−3eqと記載することがある。)に由来する2.732ppmのシグナルが、それぞれ2.552ppm及び2.581ppmと高磁場側にシフトしていることから、ラクトン化が確認され、それぞれ3´−シアリルラクトース1−2ラクトン及び3´−シアリルラクトース1−4ラクトンが生成していることが確認された。
【0051】
以上の結果から、シアル酸化合物からのラクトン体の生成状態を調べる場合、シアル酸のH−3eqに由来する高磁場側にシフトしたシグナルの強度を測定し、その積分曲線の高さからラクトン体の生成をモニターできることが判明した。
尚、この他のシアル酸化合物についても同様に分析した結果,ラクトン化によって同様にシアル酸のH−3eqに由来するシグナルのシフトが観察された。
【0052】
【化1】

Figure 0004854843
【0053】
【化2】
Figure 0004854843
【0054】
【化3】
Figure 0004854843
【0055】
(2)シアル酸化合物から得られるラクトン体の定量方法
薄層クロマトグラフィー法(新家龍編、「糖質の科学」、第33頁、朝倉書店、1996年)に従って、各シアル酸化合物を同定し、定量した。
【0056】
本定量方法の理解を容易にするため、次に代表的なシアル酸化合物である3´−シアリルラクトース及びこれをラクトン化した3´−シアリルラクトースラクトンを同定し、定量する例により説明する。
【0057】
即ち、蒸留水に1%濃度で溶解した試料並びに標準物質として既知濃度(スポットあたり0.02〜0.1μmol)の3´−シアリルラクトース及び3´−シアリルラクトースラクトンを、展開溶液としてエタノール−n−ブタノール−ピリジン−水−氷酢酸 (容積比率100:10:10:30:3) を使用して展開した。展開終了後、乾燥し、発色剤としてエタノール−硫酸(容積比率95:5)を噴霧し、加熱(110℃)して発色させた。次いで、薄層クロマトグラムをスキャナーで取り込み、各スポットの相対濃度と移動度を求めた。標準物質で比較した結果、3´−シアリルラクトースの相対移動度を1とした場合、3´−シアリルラクトースラクトンの移動度は1.250を示し、容易に区別が可能であった。
【0058】
既知濃度の標準物質と試料中のシアル酸化合物から得られるラクトン体に相当するスポットの相対濃度を比較し、試料中のシアル酸化合物から得られるラクトン体を定量した。
【0059】
(3)シアル酸化合物から得られるラクトン体の純度の算出方法
前記シアル酸化合物の定量方法により、試料中のシアル酸化合物から得られるラクトン体の総量(A)を測定し、この測定値及び試料の総量(B)の値からシアル酸化合物から得られるラクトン体の純度を次式により算出した。
【0060】
純度(%)=(A/B)×100
【0061】
試験例1
この試験は、従来技術のシアル酸化合物から得られるラクトン体の製造方法と比較して本発明のシアル酸化合物から得られるラクトン体の製造方法が収量において優れていることを示すために行った。
(1)試料の調製
次に示す2種類の試料をそれぞれ5回反復して調製した。
試料1:本発明の実施例1と同一の方法により製造したシアル酸化合物のラクトン体
試料2:従来技術1と同様に、シアル酸化合物を含有する原料中のラクトン体を予め開環処理を行わないことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造したシアル酸化合物のラクトン体
【0062】
(2)試験方法
各試料のシアル酸化合物から得られるラクトン体の収量を、前記シアル酸化合物から得られるラクトン体の定量方法により各試料毎に測定し、5回の平均値を算出した。
【0063】
(3)試験結果
この試験の結果から、試料2のシアル酸化合物のラクトン体の収量(C)を100として、試料1のシアル酸化合物のラクトン体の収量(D)の増加率(%)を次式により算出した。
【0064】
増加率(%)=[(D/C)×100]−100
【0065】
この結果、従来技術1に比較して本発明の製造方法による増加率は20%を超えており、高収量でラクトン体が得られることが判明した。尚、試料1及び試料2のシアル酸化合物のラクトン体の純度は同一であった。
【0066】
尚、原料の種類、ラクトン体の開環処理の方法、シアル酸化合物の分離方法、ラクトン化の方法、並びに陰イオン交換体の種類及びイオン型を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0067】
試験例2
この試験は、シアル酸化合物から得られるラクトン体の純度を指標として、ラクトン化後の陰イオン交換体処理の必要性を調べるために行った。
次に示す3種類の試料をそれぞれ5回反復して調製した。
試料3:本発明の実施例1と同一の方法により製造したシアル酸化合物のラクトン体
試料4:ラクトン化後の陰イオン交換体処理に変えて陽イオン交換体であるAG2X8(バイオラッド社製)を使用して陽イオン交換体処理を行うことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造したシアル酸化合物のラクトン体
試料5:ラクトン化後の陰イオン交換体処理を行わないことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造したシアル酸化合物のラクトン体
【0068】
(2)試験方法
各試料のシアル酸化合物から得られるラクトン体の純度を、前記の試験方法により各試料毎に算出して5回の平均値を算出した。
【0069】
(3)試験結果
この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1から明らかなとおり、純度の高いシアル酸化合物から得られるラクトン体を製造するためには、ラクトン化後の陰イオン交換体処理が必要であることが判明した。
尚、原料の種類、ラクトン体の開環処理の方法、シアル酸化合物の分離方法、ラクトン化の方法、並びにイオン交換体の種類及びイオン型を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0070】
【表1】
Figure 0004854843
【0071】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0072】
【実施例】
実施例1
ウシ初乳(森永乳業社製)1.5kgを117,600m/s2で20分間遠心して脱脂し、脱脂乳約1kgを得た。これに蒸留水2kgを添加し、この混合液の4倍容量のクロロホルム−エタノール(容積比率2:1。いずれも和光純薬社製)により抽出し、除蛋白し、得られた水・エタノール相を40℃以下に保持してロータリーエバポレーターで約100ml(固形分換算で4.0%)まで濃縮した。
濃縮液を−10℃のフリーザー(日立製作所社製)で徐々に冷却して凍結させ、のち室温に放置して融解し、ラクトン体を予め開環処理した。融解した溶液をワコーゲルLP−40C18カラム(和光純薬社製)に通液し、残存するペプチドを除去した。
【0073】
次いで、得られた溶出液(固形分換算で3.5%)を4℃で、陰イオン交換体であるAG1X4(バイオラッド社製。イオン型Cl-、イオン強度13.5mS/cm。)を充填したカラムに通液した。カラムに吸着したシアル酸化合物を0.5M塩化ナトリウム溶液で溶出して分離し、溶出液をマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して脱塩し、凍結乾燥し、シアル酸化合物の非ラクトン体を含有する粉末約750mgを得た。
【0074】
この凍結乾燥粉末を氷酢酸(和光純薬社製)に固形分換算で2%の濃度で溶解し、37℃で7日間反応させラクトン化した。
【0075】
得られたラクトン化されたシアル酸化合物を含有する溶液を蒸留水で10倍希釈し、のちマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して酢酸を除去し、固形分換算で0.1%の濃度に調整し、この溶液を4℃で、陰イオン交換体であるAG1X4(バイオラッド社製。イオン型Cl-、イオン強度13.5mS/cm。)を充填したカラムに通液し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高い純度で含有する非吸着画分である透過液を採取した。
【0076】
次いで、透過液をマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して脱塩し、のち−80℃のドライアイスアセトンバスにより急冷し、凍結し、凍結乾燥し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高純度で含有する凍結乾燥粉末約450mgを得た。
【0077】
得られた凍結乾燥粉末は、前記試験方法と同一の方法により試験した結果、3´−シアリルラクトースラクトンを純度97%で含有していた。
【0078】
実施例2
ウシ脱脂初乳(森永乳業社製)100kgに、塩酸(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を添加し、pH4.3に調整し、得られたホエーを限外濾過膜処理し除蛋白し、透過液を水酸化ナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)でpH7.0に調整した。得られた溶液をクラリファイヤー(エイ・ピイ・ブイ社製)により微細な沈殿物を除去し、濃縮機(旭化成社製)で濃縮し、電気透析装置(旭化成社製)により脱塩した。
脱塩処理して得られた濃縮液を−10℃のフリーザー(日立製作所社製)で徐々に冷却して凍結させ、のち室温に放置して融解し、ラクトン体を予め開環処理した。
【0079】
次いで、融解した溶液(固形分換算で20%)を4℃で、陰イオン交換体であるアンバーライトIRA410(オルガノ社製。イオン型Cl-、イオン強度1mS/cm。)を充填したカラムに通液した。カラムに吸着したシアル酸化合物を水洗し、0.5M塩化ナトリウム溶液で溶出して分離し、溶出液を電気透析装置(旭化成社製)を使用して脱塩し、凍結乾燥し、シアル酸化合物の非ラクトン体を含有する粉末約130gを得た。
【0080】
この凍結乾燥粉末を氷酢酸(三栄源エフ・エフ・アイ社製)に固形分換算で2%の濃度で溶解し、37℃で5日間反応させラクトン化した。
【0081】
得られたラクトン化されたシアル酸化合物を含有する溶液を蒸留水で10倍希釈し、のち電気透析装置(旭化成社製)を使用して酢酸を除去し、固形分換算で0.1%の濃度に調整し、水酸化ナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)でpH6.0に調整し、この溶液を4℃で、陰イオン交換体であるアンバーライトIRA410(オルガノ社製。イオン型Cl-、イオン強度1mS/cm。)を充填したカラムに通液し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高い純度で含有する非吸着画分である透過液を採取した。
【0082】
次いで、透過液を電気透析装置(旭化成社製)を使用して脱塩し、のち−40℃のフリージングバスにて急冷し、凍結し、凍結乾燥し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高純度で含有する凍結乾燥粉末約50gを得た。
【0083】
得られた凍結乾燥粉末は、前記試験方法と同一の方法により試験した結果、3´−シアリルラクトースラクトンを純度95%で含有していた。
【0084】
実施例3
レンネットホエー(森永乳業社製)200kgを水酸化ナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)でpH7.0に調整した。得られた溶液をクラリファイヤー(エイ・ピイ・ブイ社製)により微細な沈殿物を除去し、濃縮機(旭化成社製)で濃縮し、電気透析装置(旭化成社製)により脱塩した。
脱塩処理して得られた濃縮液を−10℃のフリーザー(日立製作所社製)で徐々に冷却して凍結させ、のち室温に放置して融解し、ラクトン体を予め開環処理した。
【0085】
次いで、融解した溶液(固形分換算で19%)を4℃で、陰イオン交換体であるDEAE−セファデックス(アマシャムファルマシアバイオテック社製。イオン型Cl-、イオン強度3mS/cm。)にバッチ法で通液し、陰イオン交換体ゲルに吸着したシアル酸化合物を水洗し、0.8M塩化ナトリウム溶液で溶出して分離し、溶出液を電気透析装置(旭化成社製)を使用して脱塩し、凍結乾燥し、シアル酸化合物の非ラクトン体を含有する粉末約900gを得た。
【0086】
この凍結乾燥粉末を氷酢酸(三栄源エフ・エフ・アイ社製)に固形分換算で2%の濃度で溶解し、37℃で5日間反応させラクトン化した。
【0087】
得られたラクトン化されたシアル酸化合物を含有する溶液を蒸留水で10倍希釈し、のち電気透析装置(旭化成社製)を使用して酢酸を除去し、固形分換算で0.1%の濃度に調整し、この溶液を4℃で、陰イオン交換体であるDEAE−セファデックス(アマシャムファルマシアバイオテック社製。イオン型Cl-、イオン強度3mS/cm。)にバッチ法で通液し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高い純度で含有する非吸着画分の溶液を採取した。
【0088】
次いで、非吸着画分溶液を電気透析装置(旭化成社製)を使用して脱塩し、のち−40℃のフリージングバスにて急冷し、凍結し、凍結乾燥し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高純度で含有する凍結乾燥粉末約230gを得た。
得られた凍結乾燥粉末は、前記試験方法と同一の方法により試験した結果、シアル酸化合物から得られるラクトン体を純度84%で含有していた。
【0089】
実施例4
ウシ初乳(森永乳業社製)1.5kgを117,600m/s2で20分間遠心して脱脂し、脱脂乳約1kgを得た。これに蒸留水2kgを添加し、この混合液の4倍容量のクロロホルム−エタノール(容積比率2:1。いずれも和光純薬社製)により抽出し、除蛋白し、得られた水・エタノール相を40℃以下に保持してロータリーエバポレーターで約100ml(固形分換算で4.0%)まで濃縮した。
濃縮液を−10℃のフリーザー(日立製作所社製)で徐々に冷却して凍結させ、のち室温に放置して融解し、ラクトン体を予め開環処理した。融解した溶液をワコーゲルLP−40C18カラム(和光純薬社製)に通液し、残存するペプチドを除去した。
【0090】
次いで、得られた溶出液(固形分換算で3.5%)を4℃で、陰イオン交換体であるAG1X4(バイオラッド社製。イオン型Cl-、イオン強度13.5mS/cm。)を充填したカラムに通液した。カラムに吸着したシアル酸化合物を0.5M塩化ナトリウム溶液で溶出して分離し、溶出液をマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して脱塩し、凍結乾燥し、シアル酸化合物の非ラクトン体を含有する粉末約750mgを得た。
【0091】
この凍結乾燥粉末を氷酢酸(和光純薬社製)に固形分換算で2%の濃度で溶解し、30℃で3日間反応させラクトン化した。
【0092】
得られたラクトン化されたシアル酸化合物を含有する溶液を蒸留水で10倍希釈し、のちマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して酢酸を除去し、凍結乾燥した。
【0093】
この凍結乾燥粉末を、再度、氷酢酸(和光純薬社製)に固形分換算で2%の濃度で溶解し、30℃で3日間反応させラクトン化した。
【0094】
得られたラクトン化されたシアル酸化合物を含有する溶液を蒸留水で10倍希釈し、のちマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して酢酸を除去し、固形分換算で0.1%の濃度に調整し、この溶液を4℃で、陰イオン交換体であるAG1X4(バイオラッド社製。イオン型Cl-、イオン強度13.5mS/cm。)を充填したカラムに通液し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高い純度で含有する非吸着画分である透過液を採取した。
【0095】
次いで、透過液をマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して脱塩し、のち−80℃のドライアイスアセトンバスにより急冷し、凍結し、凍結乾燥し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高純度で含有する凍結乾燥粉末約510mgを得た。
【0096】
得られた凍結乾燥粉末は、前記試験方法と同一の方法により試験した結果、3´−シアリルラクトースラクトンを純度99%で含有していた。
【0097】
実施例5
サワーホエーパウダー(ミライ社製)1kgを蒸留水20kgに溶解し、−10℃のフリーザー(日立製作所社製)で徐々に冷却して凍結させ、のち室温に放置して融解し、ラクトン体を予め開環処理した。
【0098】
次いで、融解した溶液(固形分換算で約5%)を4℃で、陰イオン交換体であるAG1X4(バイオラッド社製。イオン型Cl-、イオン強度13.5mS/cm。)を充填したカラムに通液した。カラムに吸着したシアル酸化合物を0.5M塩化ナトリウム溶液で溶出して分離し、溶出液をマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して脱塩し、凍結乾燥し、シアル酸化合物の非ラクトン体を含有する粉末約11.7gを得た。
【0099】
この凍結乾燥粉末を氷酢酸(和光純薬社製)に固形分換算で2%の濃度で溶解し、30℃で3日間反応させラクトン化した。
【0100】
得られたラクトン化されたシアル酸化合物を含有する溶液を蒸留水で10倍希釈し、のちマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して酢酸を除去し、凍結乾燥した。
【0101】
この凍結乾燥粉末を、再度、氷酢酸(和光純薬社製)に固形分換算で2%の濃度で溶解し、30℃で3日間反応させラクトン化した。
【0102】
得られたラクトン化されたシアル酸化合物を含有する溶液を蒸留水で10倍希釈し、のちマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して酢酸を除去し、固形分換算で0.1%の濃度に調整し、この溶液を4℃で、陰イオン交換体であるAG1X4(バイオラッド社製。イオン型Cl-、イオン強度13.5mS/cm。)を充填したカラムに通液し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高い純度で含有する非吸着画分である透過液を採取した。
【0103】
次いで、透過液をマイクロアシライザーG1(旭化成社製)を使用して脱塩し、のち−80℃のドライアイスアセトンバスにより急冷し、凍結し、凍結乾燥し、シアル酸化合物から得られるラクトン体を高純度で含有する凍結乾燥粉末約5gを得た。
【0104】
得られた凍結乾燥粉末は、前記試験方法と同一の方法により試験した結果、3´−シアリルラクトースラクトンを純度75%で含有していた。
【0105】
【発明の効果】
以上詳細に説明したとおり、本発明は、主に乳又は乳成分等の天然原料から高収量及び高純度で、食品、飼料、医薬品又は化粧品等の素材として有用な3’−シアリルラクトースラクトンを製造する方法に関するものであり、本発明により奏される効果は次のとおりである。
1)本発明の方法により、3’−シアリルラクトースを含有する原料溶液中のラクトン体を予め開環処理することにより、原料溶液中に当初から存在するラクトン体を非ラクトン体と共に簡便に回収することが可能となり、3’−シアリルラクトースラクトンを高収量で製造することができる。
2)本発明の方法により、3’−シアリルラクトースラクトンを高純度で製造することができる。
3)本発明の方法により、3’−シアリルラクトースラクトンを高収量及び高純度で製造することができることから、3’−シアリルラクトースラクトンの大量生産が可能となり、食品、飼料、医薬品、化粧品等の素材として広範な用途に応用できる。
4)本発明の方法により、食品に許容される安全な3’−シアリルラクトースラクトンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、3´−シアリルラクトースの1H−NMRスペクトルである。
【図2】図2は、3´−シアリルラクトースラクトンの1H−NMRスペクトルである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a lactone body obtained from a sialic acid compound that is useful as a raw material for food, feed, pharmaceuticals, cosmetics and the like with high yield and high purity mainly from milk or natural ingredients such as milk components.
[0002]
Specifically, in the present invention, the lactone body in the raw material solution containing the sialic acid compound is previously ring-opened, the sialic acid compound in the raw material solution is separated, lactonized, and passed through the anion exchanger, The present invention relates to a method for producing a lactone product obtained from a sialic acid compound, which comprises collecting a non-adsorbed fraction.
[0003]
[Prior art]
Conventionally, it is known that sialic acid is located at the terminal of a cell surface sugar chain, glycoprotein sugar chain, or glycolipid sugar chain and has various physiological functions such as cell-to-cell identification.
[0004]
Sialic acid exists in milk as a constituent molecule of oligosaccharides, gangliosides, glycoproteins, etc., and has anti-infection activity and acts as a bifido factor (Kunio Yamauchi et al., “Milk General Dictionary”, 519) Page, Asakura Shoten, 1992) and physiological functions such as controlling the initial immunity of infants (Research in Dairy Science, Vol. 17, A-55, 1968) are known.
[0005]
In addition, breast milk contains a greater amount of sialic acid compounds than milk, and attempts have been made to use sialic acid compounds as substitutes for breast milk, functional foods, and pharmaceutical ingredients (Kunio Yamauchi et al.). "Milk General Dictionary", page 310, Asakura Shoten, 1992).
[0006]
On the other hand, it has been reported that lactones obtained from sialic acid compounds having a lactone structure in the molecule exist in the brain and milk [The Journal of Biological Chemistry 261, 8514, 1986, and Biochimica et Biophysica Acta, 1381, 286, 1998. ].
[0007]
The lactone form obtained from the sialic acid compound does not have a free carboxyl group, and the carboxyl group forms a part of the lactone ring, and is a compound having a completely different chemical structure from the non-lactonized sialic acid compound.
[0008]
Moreover, since the lactone body obtained from a sialic acid compound has a lactone structure in the molecule, it has a useful property that it is more resistant to the degradation of sialic acid by neuraminidase than a sialic acid compound that is not lactonized [ From Chemical Letters, page 669, 1997], it is a completely different substance from a non-lactonated sialic acid compound.
[0009]
Conventionally, as a method of separating a lactone body obtained from a sialic acid compound having such useful properties from a natural raw material, a sialic acid compound in bovine colostrum, which is a raw material containing a sialic acid compound, is separated and a lactone is obtained. And separation method of lactone obtained from sialic acid compound to obtain non-adsorbed fraction by contacting with anion exchanger [Methods in Enzymology, Volume 242, page 102, 1994. Hereinafter, it is referred to as prior art 1. ] Was known.
However, the prior art has the following disadvantages.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
In the prior art 1, since the chemical properties of the lactone body obtained from the sialic acid compound and the non-lactone body (so-called non-lactonized sialic acid compound) are different, the separation of the sialic acid compound in the raw material The lactone compound present from the beginning cannot be recovered, and the yield of the lactone compound obtained from the sialic acid compound that can be finally obtained is inferior.
[0011]
As a result of intensive investigations in view of the above-described prior art, the inventors of the present invention, as is apparent from the test examples described later, by subjecting a lactone body in a raw material containing a sialic acid compound to ring-opening treatment in advance, The present invention was completed by finding that the lactone form existing from the above can be easily recovered together with the non-lactone form, and that the lactone form obtained from the sialic acid compound can be produced in high yield and high purity.
[0012]
The objective of this invention is providing the manufacturing method which can manufacture the lactone body obtained from a sialic acid compound with high yield and high purity.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
The present invention for solving the above-mentioned problems is to subject a lactone body in a raw material solution containing 3′-sialyllactose to ring-opening treatment in advance by a freeze-thaw method, to separate 3′-sialyllactose in the raw material solution, and to lactonize it. 3'-sialyllactose characterized by being passed through an anion exchanger and collecting a non-adsorbed fraction Lactone The raw material solution containing 3′-sialyllactose is milk or a milk processed product (hereinafter referred to as “embodiment 1”), and the milk or milk processed product is bovine colostrum or bovine defatting. Colostrum, whey, quaternary acid whey, or casein (hereinafter referred to as “embodiment 2”) is also desirable. Next, the present invention will be described in detail.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
As the raw material containing the sialic acid compound used in the present invention, any raw material can be used as long as it contains a sialic acid compound. Since it is easy to obtain a large amount of raw materials as shown in Aspect 1, it is more desirable to use milk or a processed milk product.
[0015]
Examples of milk include bovine milk, human milk, goat milk, skim milk of these, etc., and it contains a large amount of sialic acid compound lactones and is relatively easy to obtain. Although desirable, since the separation and purification efficiency of the present invention is high, it is possible to use bovine normal milk that can be used in large quantities.
[0016]
Examples of processed milk products include acid casein, rennet casein separated from colostrum or regular milk, whey produced as a by-product during cheese production, and the like. For convenience, commercially available casein and whey (for example, Morinaga) Dairy Co., Ltd., etc.), quarkic acid whey (for example, Mirai sour whey powder etc.), etc. can be used.
[0017]
As shown in aspect 2 of the present invention, it is more desirable that the milk or milk product is bovine colostrum, bovine defatted colostrum, whey, or casein because it contains a relatively large amount of sialic acid compound. It is also possible to use any mixture of these.
[0019]
The solution-like raw material can be used as it is as a raw material solution, but the solid or powdery raw material is dispersed in water or hot water, dissolved and used as the raw material solution. The concentration of the solution is not particularly limited, but it is usually set to a concentration range around 5 to 15% (weight, hereinafter, the same unless otherwise specified) in terms of solid content, so that the efficiency of the subsequent steps It is desirable from the viewpoint of safety and operability.
[0020]
For the raw material solution containing the sialic acid compound, from the viewpoint of efficiency and operability, it is desirable to perform the following pretreatment according to each raw material solution.
[0021]
Desirably, a raw material solution containing fat such as bovine colostrum is degreased by centrifugation, a cream separator, or the like.
[0022]
In addition, raw materials containing proteins such as whey excluding bovine colostrum, bovine degreased colostrum, or rennet whey should be deproteinized by ultrafiltration, heating, organic solvents, or a combination of these. It is desirable to do. Casein, casein degradation product, or rennet whey is preferably not subjected to deproteinization in order not to reduce the yield because the sialic acid compound is present even in the state of being covalently bound to the protein or peptide. .
[0023]
The organic solvent used for the deproteinization treatment can be exemplified by chloroform, acetone, hexane, ethanol, or a mixture thereof. In addition, when deproteinization processing with an organic solvent is performed, it is necessary to distill off the organic solvent from the deproteinization solution.
[0024]
The obtained protein removal treatment solution is preferably concentrated by an evaporator or the like to a concentration range of about 5 to 15% in terms of solid content.
[0025]
Further, it is desirable to remove a mixed peptide or the like by hydrophobic column chromatography using a resin having an octadecyl group (C18), if necessary, and to produce a lactone body obtained from a sialic acid compound with higher purity.
[0026]
As a treatment of other raw material solutions, when salts are contained in the raw material solution, it is desirable to perform a desalting treatment by an electrodialysis method or the like, and when the raw material solution contains fine precipitates It is desirable to remove these with a clarifier or the like.
[0027]
The method for ring-opening treatment of the lactone body in the raw material solution of the present invention is as follows: ,object Freezing and thawing because the lactone can be opened without adding quality To .
[0028]
The freeze-thaw method is performed, for example, as follows. That is, the raw material solution containing the sialic acid compound is gradually frozen at a temperature such as −10 ° C. for several hours with a freezer or the like, and then thawed. By this method, the lactone ring of the lactone compound present from the beginning in the raw material can be opened.
[0029]
The method for separating the sialic acid compound in the raw material solution after the ring-opening treatment of the present invention can be used by any method, but the non-lactone form of the sialic acid compound (so-called non-lactonized sialic acid compound) An ion exchange method using an anion exchanger capable of efficient separation is desirable.
[0030]
Specifically, the ion exchange method using an anion exchanger is carried out as follows. That is, the conditions for passing through the ion exchanger are such that the concentration of the raw material solution does not precipitate lactose, preferably 0.01 to 30% in terms of solid content, and the temperature does not precipitate lactose, preferably 4 ° C. to 50 ° C. Desirably, the electrical conductivity is 30 mS / cm or less at a temperature of ℃. Therefore, the concentration, temperature, and ionic strength of the raw material solution after the ring-opening treatment are adjusted to the above ranges by adding water, etc., passed through the anion exchanger, and the non-lactone form of the sialic acid compound is adsorbed and eluted. It is carried out by separating.
[0031]
There is no restriction | limiting in particular in the liquid flow method to an anion exchanger, A column method and a batch method can be illustrated. A column method in which the liquid is passed through an anion exchange resin packed in the column is desirable because the adsorbed fraction and the non-adsorbed fraction can be easily separated.
[0032]
The anion exchanger used in the separation step of the sialic acid compound of the present invention is not particularly limited, and AG1X4 (manufactured by Bio-Rad), Macroprep Q support (manufactured by Bio-Rad), DEAE-cellulose (Amersham Pharmacia Biotech) DEAE-Sephadex (manufactured by Amersham Pharmacia Biotech), Q-Sepharose (manufactured by Amersham Pharmacia Biotech), Amberlite IRA400 (manufactured by Organo), and the like. The ion type of the ion exchanger is not particularly limited, and Cl obtained by an ordinary regeneration method of the ion exchanger - Mold, OH - Type, CH Three COO - Examples include molds.
[0033]
The elution separation of the non-lactone form of the sialic acid compound adsorbed on the anion exchanger is carried out by elution with a salt solution after washing with water or the like. Examples of the salt solution include sodium chloride solution and sodium acetate solution.
[0034]
When eluting with a salt solution, there is no particular limitation as long as the salt concentration is in the range of 0.01 to 1.5 M. However, if the salt concentration is low, the recovery rate is low, and if the salt concentration is too high, the subsequent desalting treatment is performed. Therefore, the salt concentration is preferably in the range of 0.05 to 1.0M.
[0035]
The obtained elution separation solution containing the non-lactone form of the sialic acid compound is desalted by electrodialysis or the like and freeze-dried.
[0036]
The method for lactonizing the non-lactone form of the separated sialic acid compound of the present invention can be used by any method as long as the method enables lactonization of the sialic acid compound. Lactonization using an acid that is acceptable in foods such as glacial acetic acid that can be used in is desirable.
[0037]
Specifically, a concentrated solution or lyophilized product containing a non-lactone form of a sialic acid compound is dissolved in glacial acetic acid and reacted at 25 ° C. or higher for 10 hours or longer, desirably 30 ° C. or higher for 72 hours or longer to make a lactonization. I do. If the concentration of the non-lactone form of the sialic acid compound is too high, a reaction such as intermolecular dehydration condensation may occur, so that it is necessary to perform lactonization at a concentration of less than 10% in terms of solid content. .
[0038]
By repeating the lactonization, a lactone form of a sialic acid compound can be obtained with higher purity.
[0039]
Specifically, the obtained solution containing a lactone form of a sialic acid compound is freeze-dried, and the freeze-dried powder is dissolved in glacial acetic acid and reacted again in the same manner as described above to perform lactonization.
[0040]
The intramolecular lactonization of the sialic acid compound can be monitored in a timely manner by a nuclear magnetic resonance method or the like as shown in the test method described later.
[0041]
The method of contacting the lactonized sialic acid compound of the present invention with an anion exchanger and collecting the non-adsorbed fraction can be carried out in substantially the same manner as the method of separating the sialic acid compound in the raw material solution. The types and ion types of anion exchangers that can be used are not limited. The only difference from the separation method using an anion exchanger of the sialic acid compound is that a non-adsorbed fraction is collected, and therefore a step of separating and separating the adsorbed fraction is not necessary. The anion exchanger used for obtaining the non-adsorbed fraction can be the same as the anion exchanger used in the method for separating the sialic acid compound. It can also be used in combination.
[0042]
Specifically, pretreatment for appropriately diluting a solution containing a lactonized sialic acid compound with a neutral aqueous solution (for example, a phosphate buffer solution), adjusting the pH to near neutrality with sodium hydroxide or the like Or pretreatment for removing acetic acid by electrodialysis, etc., contacting the anion exchanger, and separating the non-adsorbed fraction containing the lactone compound obtained from the sialic acid compound with high purity Collect.
[0043]
Further, the adsorption fraction of the anion exchanger may contain a small amount of a sialic acid compound in which a lactone is ring-opened during the operation process. Therefore, the adsorbed fraction of the anion exchanger can be eluted and recovered, desalted, and lactonized again to recover the lactone obtained from the sialic acid compound, thereby increasing the recovery rate.
[0044]
The non-adsorbed fraction containing the lactone compound obtained from the above-mentioned sialic acid compound with high purity can be used as it is or after being desalted, but it can be used in a solution state, preferably using a freezing bath, a dry ice acetone bath, liquid nitrogen or the like. It can be quickly frozen and freeze-dried, and stored and used in a solid powder state with enhanced storage stability of the lactone form.
[0045]
The lactone body obtained from the high-purity sialic acid compound produced by the production method of the present invention can be used as a raw material for foods, feeds, pharmaceuticals, cosmetics and the like.
[0046]
Next, the present invention will be described in detail by showing test examples. In the present invention, the following test method was adopted.
[0047]
(1) Intramolecular lactonization analysis method of sialic acid compound
According to the method of Nakahara et al. [Tetrahedron Letter, Vol. 35, p. 3321, 1994] 1 The state of lactonization in the molecule of the sample was analyzed by H-nuclear magnetic resonance spectroscopy, and the production state of the lactone form of the sialic acid compound was monitored.
In order to facilitate understanding of this analysis method, an example of monitoring the production state of a lactone form of 3'-sialyllactose, which is a typical sialic acid compound, will be described below.
[0048]
still, 1 H-nuclear magnetic resonance (hereinafter sometimes referred to as NMR) is deuterated (D 2 O) in 300K using a spectrometer INOVA600 (manufactured by Varian), chemical shift values (ppm) of 3- (trimethylsilyl) -1-propanesulfate sodium salt (TPS) and acetone as reference materials The difference from the signal position was obtained.
[0049]
3′-sialyllactose (manufactured by Sigma) is lactonized by reaction at 25 ° C. for 5 days in the presence of glacial acetic acid (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.). 1 H-NMR analysis was performed. The results are shown in FIGS. 1 and 2, respectively. 1 and 2 show NMR spectra.
[0050]
As a result of the analysis, 3'-sialyl lactate represented by the following formula (Chemical Formula 2), which is a kind of 3'-sialyl lactose lactone but is different in chemical structure by lactonization from 3'-sialyl lactose represented by the following formula (Chemical Formula 1) It was confirmed that lactose 1-2 lactone and 3′-sialyl lactose 1-4 lactone represented by the following formula (Formula 3) were produced. Specifically, as is clear from FIG. 1 and FIG. 2, a 2.732 ppm signal derived from equatorial hydrogen located on the 3-position carbon of the sialic acid molecule (hereinafter sometimes referred to as H-3eq). However, since they are shifted to the high magnetic field side with 2.552 ppm and 2.581 ppm, respectively, lactonization was confirmed, and 3′-sialyl lactose 1-2 lactone and 3′-sialyl lactose 1-4 lactone were produced, respectively. It was confirmed that
[0051]
From the above results, when examining the production state of the lactone form from the sialic acid compound, the intensity of the signal shifted to the high magnetic field side derived from H-3eq of sialic acid is measured, and the lactone form is determined from the height of the integral curve. It was found that the production of can be monitored.
In addition, as a result of analyzing similarly about this other sialic acid compound, the shift of the signal derived from H-3eq of sialic acid was similarly observed by lactonization.
[0052]
[Chemical 1]
Figure 0004854843
[0053]
[Chemical 2]
Figure 0004854843
[0054]
[Chemical 3]
Figure 0004854843
[0055]
(2) Method for quantifying lactone compounds obtained from sialic acid compounds
Each sialic acid compound was identified and quantified according to a thin layer chromatography method (Shinya Ryu, “Science of Carbohydrate”, page 33, Asakura Shoten, 1996).
[0056]
In order to facilitate understanding of this quantification method, an example in which 3′-sialyllactose, which is a typical sialic acid compound, and 3′-sialyllactose lactone obtained by lactonizing the same is identified and quantified will be described.
[0057]
That is, a sample dissolved in distilled water at a concentration of 1%, 3′-sialyl lactose and 3′-sialyl lactose lactone at known concentrations (0.02 to 0.1 μmol per spot) as standard substances, and ethanol-n as a developing solution. Development was performed using -butanol-pyridine-water-glacial acetic acid (volume ratio 100: 10: 10: 30: 3). After the development, the film was dried, sprayed with ethanol-sulfuric acid (volume ratio 95: 5) as a color former, and heated (110 ° C.) for color development. Next, a thin layer chromatogram was captured with a scanner, and the relative concentration and mobility of each spot were determined. As a result of comparison with standard substances, when the relative mobility of 3′-sialyllactose was 1, the mobility of 3′-sialyllactose lactone was 1.250, which was easily distinguishable.
[0058]
The relative concentration of the spot corresponding to the lactone compound obtained from the sialic acid compound in the sample was compared with the standard substance having a known concentration, and the lactone compound obtained from the sialic acid compound in the sample was quantified.
[0059]
(3) Calculation method of purity of lactone compound obtained from sialic acid compound
The total amount (A) of the lactone body obtained from the sialic acid compound in the sample is measured by the method for quantifying the sialic acid compound, and the lactone body obtained from the sialic acid compound from the measured value and the total amount (B) of the sample The purity of was calculated by the following formula.
[0060]
Purity (%) = (A / B) × 100
[0061]
Test example 1
This test was performed to show that the method for producing a lactone obtained from the sialic acid compound of the present invention is superior in yield compared to the method for producing a lactone obtained from the prior art sialic acid compound.
(1) Sample preparation
The following two types of samples were each prepared 5 times.
Sample 1: Lactone body of sialic acid compound produced by the same method as in Example 1 of the present invention
Sample 2: As in the prior art 1, a sialic acid compound produced by the same method as in Example 1 of the present invention, except that the lactone compound in the raw material containing the sialic acid compound is not subjected to ring opening treatment in advance. Lactone body
[0062]
(2) Test method
The yield of the lactone form obtained from the sialic acid compound of each sample was measured for each sample by the method for quantifying the lactone form obtained from the sialic acid compound, and an average value of 5 times was calculated.
[0063]
(3) Test results
From the results of this test, assuming that the yield (C) of the lactone form of the sialic acid compound of sample 2 was 100, the increase rate (%) of the yield (D) of the lactone form of the sialic acid compound of sample 1 was calculated by the following equation. .
[0064]
Increase rate (%) = [(D / C) × 100] −100
[0065]
As a result, it was found that the increase rate by the production method of the present invention exceeded 20% as compared with the prior art 1, and that the lactone form was obtained in a high yield. In addition, the purity of the lactone form of the sialic acid compound of Sample 1 and Sample 2 was the same.
[0066]
In addition, the type of raw material, the method of ring-opening treatment of the lactone body, the separation method of the sialic acid compound, the method of lactonization, and the type and ion type of the anion exchanger were appropriately tested, but almost the same results was gotten.
[0067]
Test example 2
This test was conducted to investigate the necessity of anion exchanger treatment after lactonization using the purity of the lactone obtained from the sialic acid compound as an index.
The following three types of samples were each prepared 5 times.
Sample 3: Lactone body of sialic acid compound produced by the same method as in Example 1 of the present invention
Sample 4: Example 1 of the present invention except that the cation exchanger treatment is performed using AG2X8 (manufactured by Bio-Rad), which is a cation exchanger, instead of the anion exchanger treatment after lactonization. Lactone body of sialic acid compound produced by the same method
Sample 5: Lactone body of a sialic acid compound produced by the same method as in Example 1 of the present invention, except that the anion exchanger treatment after lactonization is not performed
[0068]
(2) Test method
The purity of the lactone body obtained from the sialic acid compound of each sample was calculated for each sample by the test method described above, and an average value of 5 times was calculated.
[0069]
(3) Test results
The results of this test are as shown in Table 1. As is apparent from Table 1, it was found that an anion exchanger treatment after lactonization was necessary in order to produce a lactone body obtained from a highly pure sialic acid compound.
In addition, the type of raw material, the method of ring-opening treatment of the lactone body, the separation method of the sialic acid compound, the method of lactonization, and the type and ion type of the ion exchanger were appropriately tested, but almost the same results were obtained. Obtained.
[0070]
[Table 1]
Figure 0004854843
[0071]
EXAMPLES Next, although an Example is shown and this invention is demonstrated further in detail, this invention is not limited to a following example.
[0072]
【Example】
Example 1
117,600m / s of bovine colostrum (Morinaga Milk Industry) 1.5kg 2 And then degreased by centrifugation for 20 minutes to obtain about 1 kg of skim milk. To this was added 2 kg of distilled water, and the mixture was extracted with 4 times volume of chloroform-ethanol (volume ratio 2: 1, both manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.), deproteinized, and obtained water / ethanol phase. Was kept at 40 ° C. or lower and concentrated to about 100 ml (4.0% in terms of solid content) with a rotary evaporator.
The concentrated solution was gradually cooled and frozen in a freezer (manufactured by Hitachi, Ltd.) at −10 ° C. and then allowed to melt at room temperature, and the lactone body was ring-opened in advance. The melted solution was passed through a Wakogel LP-40C18 column (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) to remove the remaining peptide.
[0073]
Next, the obtained eluate (3.5% in terms of solid content) was subjected to an anion exchanger AG1X4 (manufactured by Bio-Rad Co., Ltd., ionic Cl) at 4 ° C. - Ionic strength 13.5 mS / cm. The solution was passed through a column packed with The sialic acid compound adsorbed on the column is separated by eluting with 0.5 M sodium chloride solution, and the eluate is desalted using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.), lyophilized, About 750 mg of powder containing a lactone was obtained.
[0074]
This lyophilized powder was dissolved in glacial acetic acid (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) at a concentration of 2% in terms of solid content, and reacted at 37 ° C. for 7 days for lactonization.
[0075]
The obtained solution containing the lactonized sialic acid compound was diluted 10-fold with distilled water, and then acetic acid was removed using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.). The concentration of the solution was 4 ° C., and the anion exchanger AG1X4 (manufactured by Bio-Rad, Inc. - Ionic strength 13.5 mS / cm. ), And the permeate, which is a non-adsorbed fraction containing a lactone compound obtained from a sialic acid compound with high purity, was collected.
[0076]
Next, the permeate is desalted using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.), then rapidly cooled in a dry ice acetone bath at −80 ° C., frozen, freeze-dried, and a lactone obtained from a sialic acid compound About 450 mg of lyophilized powder containing sucrose was obtained in high purity.
[0077]
The obtained freeze-dried powder was tested by the same method as the above test method, and as a result, it contained 3'-sialyllactose lactone with a purity of 97%.
[0078]
Example 2
To 100 kg of bovine defatted colostrum (manufactured by Morinaga Milk Industry Co., Ltd.), hydrochloric acid (manufactured by San-Ei Gen F.F. The permeate was adjusted to pH 7.0 with sodium hydroxide (manufactured by San-Eigen FFI Corporation). From the resulting solution, fine precipitates were removed by a clarifier (manufactured by API buoy), concentrated by a concentrator (manufactured by Asahi Kasei), and desalted by an electrodialyzer (manufactured by Asahi Kasei).
The concentrated solution obtained by the desalting treatment was gradually cooled and frozen with a freezer (manufactured by Hitachi, Ltd.) at −10 ° C., then allowed to melt at room temperature, and the lactone body was ring-opened in advance.
[0079]
Subsequently, the melted solution (20% in terms of solid content) was heated at 4 ° C. to an anion exchanger Amberlite IRA410 (manufactured by Organo Corp., ionic Cl - , Ionic strength 1 mS / cm. The solution was passed through a column packed with The sialic acid compound adsorbed on the column is washed with water, eluted with 0.5M sodium chloride solution and separated, and the eluate is desalted using an electrodialyzer (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.), freeze-dried, and sialic acid compound. About 130 g of powder containing the non-lactone form of was obtained.
[0080]
This lyophilized powder was dissolved in glacial acetic acid (manufactured by San-Ei Gen FFI Co., Ltd.) at a concentration of 2% in terms of solid content, and reacted at 37 ° C. for 5 days for lactonization.
[0081]
The obtained solution containing the lactonized sialic acid compound was diluted 10-fold with distilled water, and then acetic acid was removed using an electrodialysis apparatus (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.). The concentration is adjusted to pH 6.0 with sodium hydroxide (manufactured by San-Ei Gen FFI Co., Ltd.), and this solution is anion exchanger Amberlite IRA410 (manufactured by Organo Co., Inc., ionic type) at 4 ° C. Cl - , Ionic strength 1 mS / cm. ), And the permeate, which is a non-adsorbed fraction containing a lactone compound obtained from a sialic acid compound with high purity, was collected.
[0082]
Next, the permeate is desalted using an electrodialyzer (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.), then rapidly cooled in a freezing bath at −40 ° C., frozen, and lyophilized to obtain a lactone compound obtained from a sialic acid compound. About 50 g of lyophilized powder contained in purity was obtained.
[0083]
The obtained freeze-dried powder was tested by the same method as the above test method, and as a result, it contained 3'-sialyllactose lactone with a purity of 95%.
[0084]
Example 3
200 kg of rennet whey (manufactured by Morinaga Milk Industry Co., Ltd.) was adjusted to pH 7.0 with sodium hydroxide (manufactured by Saneigen FFI Co., Ltd.). From the resulting solution, fine precipitates were removed by a clarifier (manufactured by API buoy), concentrated by a concentrator (manufactured by Asahi Kasei), and desalted by an electrodialyzer (manufactured by Asahi Kasei).
The concentrated solution obtained by the desalting treatment was gradually cooled and frozen with a freezer (manufactured by Hitachi, Ltd.) at −10 ° C., then allowed to melt at room temperature, and the lactone body was ring-opened in advance.
[0085]
Next, the melted solution (19% in terms of solid content) was subjected to DEAE-Sephadex (manufactured by Amersham Pharmacia Biotech. Ion-type Cl) as an anion exchanger at 4 ° C. - Ionic strength 3 mS / cm. ), The sialic acid compound adsorbed on the anion exchanger gel is washed with water, eluted with 0.8M sodium chloride solution and separated, and the eluate is used with an electrodialyzer (Asahi Kasei Co., Ltd.). The solution was desalted and freeze-dried to obtain about 900 g of a powder containing a non-lactone form of a sialic acid compound.
[0086]
This lyophilized powder was dissolved in glacial acetic acid (manufactured by San-Ei Gen FFI Co., Ltd.) at a concentration of 2% in terms of solid content, and reacted at 37 ° C. for 5 days for lactonization.
[0087]
The obtained solution containing the lactonized sialic acid compound was diluted 10-fold with distilled water, and then acetic acid was removed using an electrodialysis apparatus (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.). The concentration of the solution was adjusted to 4 ° C., and DEAE-Sephadex (manufactured by Amersham Pharmacia Biotech Co., Ltd.) - Ionic strength 3 mS / cm. ) By a batch method, and a solution of a non-adsorbed fraction containing a lactone compound obtained from a sialic acid compound with high purity was collected.
[0088]
Next, the non-adsorbed fraction solution is desalted using an electrodialyzer (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.), then rapidly cooled in a freezing bath at −40 ° C., frozen, freeze-dried, and a lactone obtained from a sialic acid compound. About 230 g of lyophilized powder containing the body with high purity was obtained.
The obtained freeze-dried powder was tested by the same method as the above test method, and as a result, it contained a lactone compound obtained from a sialic acid compound with a purity of 84%.
[0089]
Example 4
117,600m / s of bovine colostrum (Morinaga Milk Industry) 1.5kg 2 And then defatted by centrifugation for 20 minutes to obtain about 1 kg of defatted milk. To this was added 2 kg of distilled water, and the mixture was extracted with 4 times volume of chloroform-ethanol (volume ratio 2: 1, both manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.), deproteinized, and obtained water / ethanol phase. Was kept at 40 ° C. or lower and concentrated to about 100 ml (4.0% in terms of solid content) with a rotary evaporator.
The concentrated solution was gradually cooled and frozen in a freezer (manufactured by Hitachi, Ltd.) at −10 ° C. and then allowed to melt at room temperature, and the lactone body was ring-opened in advance. The melted solution was passed through a Wakogel LP-40C18 column (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) to remove the remaining peptide.
[0090]
Next, the obtained eluate (3.5% in terms of solid content) was subjected to an anion exchanger AG1X4 (manufactured by Bio-Rad Co., Ltd., ionic Cl) at 4 ° C. - Ionic strength 13.5 mS / cm. The solution was passed through a column packed with The sialic acid compound adsorbed on the column is separated by eluting with 0.5 M sodium chloride solution, and the eluate is desalted using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.), lyophilized, About 750 mg of powder containing a lactone was obtained.
[0091]
This lyophilized powder was dissolved in glacial acetic acid (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) at a concentration of 2% in terms of solid content, and reacted at 30 ° C. for 3 days for lactonization.
[0092]
The resulting solution containing the lactonized sialic acid compound was diluted 10-fold with distilled water, and then acetic acid was removed using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.) and lyophilized.
[0093]
This lyophilized powder was again dissolved in glacial acetic acid (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) at a concentration of 2% in terms of solid content, and reacted at 30 ° C. for 3 days to be lactonized.
[0094]
The obtained solution containing the lactonized sialic acid compound was diluted 10-fold with distilled water, and then acetic acid was removed using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.). The concentration of the solution was 4 ° C., and the anion exchanger AG1X4 (manufactured by Bio-Rad, Inc. - Ionic strength 13.5 mS / cm. ), And the permeate, which is a non-adsorbed fraction containing a lactone compound obtained from a sialic acid compound with high purity, was collected.
[0095]
Next, the permeate is desalted using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.), then rapidly cooled in a dry ice acetone bath at −80 ° C., frozen, freeze-dried, and a lactone obtained from a sialic acid compound About 510 mg of lyophilized powder containing a high purity was obtained.
[0096]
The obtained freeze-dried powder was tested by the same method as the above test method, and as a result, it contained 3'-sialyl lactose lactone with a purity of 99%.
[0097]
Example 5
Dissolve 1 kg of sour whey powder (Mirai) in 20 kg of distilled water, slowly cool and freeze with a freezer (Hitachi, Ltd.) at −10 ° C., leave it at room temperature and thaw it, Ring opening treatment was performed.
[0098]
Next, the melted solution (about 5% in terms of solid content) is subjected to an anion exchanger AG1X4 (manufactured by Bio-Rad, Inc., ionic Cl) at 4 ° C. - Ionic strength 13.5 mS / cm. The solution was passed through a column packed with The sialic acid compound adsorbed on the column is separated by eluting with 0.5 M sodium chloride solution, and the eluate is desalted using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.), lyophilized, About 11.7 g of a powder containing a lactone body was obtained.
[0099]
This lyophilized powder was dissolved in glacial acetic acid (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) at a concentration of 2% in terms of solid content, and reacted at 30 ° C. for 3 days for lactonization.
[0100]
The resulting solution containing the lactonized sialic acid compound was diluted 10-fold with distilled water, and then acetic acid was removed using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.) and lyophilized.
[0101]
This lyophilized powder was again dissolved in glacial acetic acid (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) at a concentration of 2% in terms of solid content, and reacted at 30 ° C. for 3 days to be lactonized.
[0102]
The obtained solution containing the lactonized sialic acid compound was diluted 10-fold with distilled water, and then acetic acid was removed using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.). The concentration of the solution was 4 ° C., and the anion exchanger AG1X4 (manufactured by Bio-Rad, Inc. - Ionic strength 13.5 mS / cm. ), And the permeate, which is a non-adsorbed fraction containing a lactone compound obtained from a sialic acid compound with high purity, was collected.
[0103]
Next, the permeate is desalted using a microacylizer G1 (manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.), then rapidly cooled in a dry ice acetone bath at −80 ° C., frozen, freeze-dried, and a lactone obtained from a sialic acid compound About 5 g of lyophilized powder containing sucrose in high purity was obtained.
[0104]
The obtained lyophilized powder was tested by the same method as the above test method, and as a result, it contained 3'-sialyllactose lactone with a purity of 75%.
[0105]
【The invention's effect】
As described above in detail, the present invention is mainly 3′-sialyllactose which is useful as a raw material for food, feed, pharmaceuticals, cosmetics, etc., with high yield and purity from natural raw materials such as milk or milk components. Lactone The effects produced by the present invention are as follows.
1) The lactone form in the raw material solution containing 3′-sialyllactose is previously ring-opened by the method of the present invention, so that the lactone form present in the raw material solution can be easily recovered together with the non-lactone form. 3'-sialyllactose Lactone Can be produced in high yield.
2) According to the method of the present invention, 3′-sialyl lactose Lactone Can be produced with high purity.
3) 3'-sialyllactose by the method of the present invention Lactone Can be produced with high yield and purity, 3′-sialyllactose Lactone Can be mass-produced, and can be applied to a wide range of uses as materials for food, feed, pharmaceuticals, cosmetics and the like.
4) Safe 3'-sialyllactose acceptable for foods by the method of the present invention Lactone Can be manufactured.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 shows the 3'-sialyl lactose 1 It is a 1 H-NMR spectrum.
FIG. 2 shows the 3′-sialyl lactose lactone 1 It is a 1 H-NMR spectrum.

Claims (3)

3’−シアリルラクトースを含有する原料溶液中のラクトン体を予め凍結融解法で開環処理し、該原料溶液中の3’−シアリルラクトースを分離し、ラクトン化し、陰イオン交換体に通液し、非吸着画分を採取することを特徴とする3’−シアリルラクトースラクトンの製造方法。The lactone body in the raw material solution containing 3′-sialyllactose is previously subjected to ring-opening treatment by freeze-thawing method, 3′-sialyllactose in the raw material solution is separated, lactonized, and passed through an anion exchanger. A method for producing 3′-sialyl lactose lactone , which comprises collecting a non-adsorbed fraction. 3’−シアリルラクトースを含有する原料溶液が、乳又は乳加工物である請求項1に記載の3’−シアリルラクトースラクトンの製造方法。The method for producing 3'-sialyllactose lactone according to claim 1, wherein the raw material solution containing 3'-sialyllactose is milk or a processed milk product. 乳又は乳加工物が、ウシ初乳、ウシ脱脂初乳、ホエー、クアルク酸ホエー、又はカゼインである請求項2に記載の3’−シアリルラクトースラクトンの製造方法。The method for producing 3'-sialyllactose lactone according to claim 2, wherein the milk or milk processed product is bovine colostrum, bovine defatted colostrum, whey, quaternary whey, or casein.
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