JP4848024B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
HCCI燃焼とは、ガソリンエンジンのように吸気管で空気と燃料を均一に混合させて燃焼室に送り込み、燃焼は圧縮自己着火でさせるという考え方である。
着火時期は、従来のディーゼルエンジンよりも10〜15°遅れることで、ある程度希薄化した予混合気を圧縮着火させ、低温でNOxの発生が無く、且つ、PMの少ない燃焼となる。
破線Yに示すように、従来の拡散燃焼では、不均一な噴霧燃料を圧縮着火させることで、PMの生成領域及びNOxの生成領域の両方にわたって燃焼する。一方、実線Xで示すように、PCCI燃焼は、希薄化した予混合気を圧縮着火することで、従来の拡散燃焼に対して燃料の過濃な領域や高温の領域が少なく、PM及びNOxの生成量を低減することができる。
この課題に対して、高セタン価燃料を用いたり、燃料の噴射時期を内燃機関の標準時期よりも遅らせたりすることで、ある程度の改善ができるものの、燃料噴射時期を遅らせる手法では、燃費や、着火及び燃焼の安定性が大幅に悪化することも知られている。PCCI燃焼方式の内燃機関では、中高負荷運転領域において前記した様な課題があるため、現状ではPCCI燃焼方式は、低負荷領域のみに限定された燃焼方式である。
また、内燃機関の運転状態に係る情報にもとづいて熱効率が高くなる様に、水素添加濃度に係る燃焼データの中から適切なものを選択し、内燃機関に供給する所定の水素添加濃度を決定した後、燃料噴射量算出手段において算出された噴射量の主燃料の噴射時期を決定するので、内燃機関の熱効率を向上させるとともに、NO X の発生率を抑制することができる。
また、内燃機関の運転状態にもとづいて熱効率が高くなる様に、水素添加濃度に係る燃焼データの中から適切なものを選択し、内燃機関に供給する所定の水素添加濃度を決定した後、燃料噴射量算出手段において算出された噴射量の主燃料の噴射時期を決定するので、内燃機関の熱効率を向上させるとともに、NO X の発生率を抑制することができる。
更に、予混合ガスは、主燃料から生成されるので、予混合ガスを別個供給受けずに済むので内燃機関の運用に好都合である。
図1から図4を参照して本発明の第1の実施形態に係わるエンジン制御装置(内燃機関の制御装置)の概要について説明する。
図1は、第1の実施形態の本実施形態のエンジン制御装置の概略機能構成図であり、図2は、図1のエンジンの気筒頭部拡大図であり、図3は、エンジン制御装置に用いられるエンジン制御電子制御ユニットのハード的な構成説明図であり、図4は、エンジン制御電子制御ユニットの機能ブロック構成図である。
内燃機関(以下、エンジンと称する)1は、気筒2に形成された燃焼室4内で、ピストン3により圧縮した高温の吸気内に燃料を噴射して自己着火させるディーゼルエンジンである。ちなみに、エンジン1は、吸気弁16、排気弁17をシリンダヘッドに設けた4ストロークディーゼルエンジンである。
なお、図1には、エンジン1の複数の気筒2のうち1つのみを代表的に図示している。
主燃料供給系110は、主に、燃料インジェクタ5、コモンレール6、高圧供給ポンプ8、燃料タンク42、燃料フィルタ43A、それらを接続する配管62A,63,64,65A,71,73や、各種センサSPc,STf、流量調整弁69、圧力調整弁72等から構成される。
排気還流系120は、排気還流通路(以下、EGR通路という)23、排気還流量調整弁(以下、EGR弁と称する)24、EGRクーラ25から構成される。
ガス供給系130Aは、主に、ガスインジェクタ(ガス噴射弁)31、ヘッダ管32、圧力調整弁33、水素タンク34A、それらを接続する配管75,76、各種センサSPHb,SPhg等から構成される。
先ず、主燃料供給系110について説明する。
燃焼室4の上面の略中央部には、燃料インジェクタ5が先端部の噴射孔を燃焼室4に臨ませて配設されていて、各気筒2に所定の噴射タイミングで開閉作動されて、燃焼室4に主燃料を直接噴射するようになっている。
図1に示した燃料インジェクタ5は背圧式のものであり、燃料インジェクタ5のアクチュエータ5a(図2参照)を駆動すると、主燃料噴射動作のために一部の主燃料が戻り配管73を経由して燃料タンク42に戻される構成となっている。燃料インジェクタ5が直動式の場合は、戻り配管73は不要となる。
高圧供給ポンプ8の吐出口には、主燃料の温度を検出する燃料温度センサSTfが設けられている
次に、エンジン1の吸気系の構成について説明する。
エアクリーナ41で濾過された吸気(空気)は、吸気通路10を通り、図示しないサージタンクを介して気筒2毎に分岐して、それぞれ吸気ポートから各気筒2の燃焼室4に導入される。前記吸気通路10には上流側から下流側に向かって順に、前記したエアクリーナ41、エンジン1に吸入される吸気流量を検出するエアフローセンサSAir、吸気を圧縮するターボ過給機12の圧縮機12b、圧縮されて温度の高くなった吸気を冷却するインタークーラ13、吸気通路10の断面積を絞るスロットル弁14、前記したサージタンク内で各気筒2に供給される過給圧力を検出する過給圧センサSPsa及び吸気温度を検出する過給気温度センサSTsaと、が設けられている。
また、大気圧を検出する大気圧センサSPatや大気温度を検出する大気温度センサSTatが配設され、エンジン制御電子制御ユニット50A(以下、ECU50Aと称する)には、それらの信号が入力されている。
また、図1において、各気筒2の燃焼室4から排ガスを排出する排気通路20の上流端部は分岐して、それぞれ図示しない排気ポートにより各気筒2の燃焼室4に接続されている。この排気通路20には、上流側から下流側に向かって順に、排ガス中の酸素濃度を検出する排気O2センサSO2exと、排ガス流により回転されるタービン12aと、排ガス中のHC、CO及びNOx並びにパティキュレートを浄化可能な触媒コンバータ22とが配設されている。
触媒コンバータ22は、酸化触媒部22aとDPF(Diesel Particulate Filter)22bを有している。そして、触媒コンバータ22の入口側と出口側の差圧を検出する差圧センサSΔPと、酸化触媒部22a出口側及びDPF出口側に排気温度センサSTex1,STex2が設けられている。更に、触媒コンバータ22の下流側に排気ガス中の空燃比(A/F比)を検出する排気A/FセンサSA/Fexが配されている。
そのため、可動ベーンを回動させるVGTアクチュエータ21が設けられ、可動ベーン回動位置を検出するVGTポジションセンサ21aを有し、ベーン回動位置の目標位置と実位置との差を検出してECU50Aによりフィードバック制御される構成としている。
前記排気通路20は、タービン12aよりも上流側の部位で、排ガスの一部を吸気側に還流させるEGR通路23の上流端に分岐接続されている。このEGR通路23の下流端はスロットル弁14よりも吸気下流側の吸気通路10に接続されており、そのEGR通路23の途中の下流端寄りには、開度調整可能なEGR弁24が配置されている。そして、前記EGR通路23を流れる排ガスに対して上流側である排気通路20の圧力(以下、排気側圧力という)と下流側である吸気通路10の圧力(以下、吸気側圧力という)との間の圧力差によって前記排気通路20から吸い出した排ガスの一部を、EGR弁24により流量調整しながら吸気通路10に還流させるようになっている。
ちなみに、気筒2の冷却水の温度を検出する水温センサSTwjが設けられ、その信号もECU50Aに入力されている。
次に、ガス供給系130Aについて説明する。
各気筒2の吸気ポートには、ガスインジェクタ31が配設されていて、各気筒2に所定の噴射タイミングで開閉作動されて、予混合ガスである水素を含むガスを先端部の噴射孔を吸気弁16に向けて噴射するようになっている。
圧力調整弁33は、ECU50Aに制御されてヘッダ圧Pgを制御する。
ガスインジェクタ31は、噴射圧が比較的低く設定できるので、直動式のもので十分である。ガスインジェクタ31のアクチュエータ31a(図2参照)は、例えば、ソレノイド式又はピエゾ式である。
ちなみに、符号18で示すものはグロープラグである。
次に、図3を参照しながら適宜図4を参照して本実施形態の内燃機関の制御装置に用いられるECU50Aについて説明する。
ECU50Aは、図3に示されるようにマイクロコンピュータと周辺の電気回路で構成され、カレンダ時計機能を有するCLOCK201、制御と演算の機能を有するCPU(中央処理装置)202、プログラムを記憶するROM203、プログラム実行時にデータ等を記憶するRAM204、入力インタフェース206、出力インタフェース207、並びに、CPU202とROM203、RAM204、入力インタフェース206、出力インタフェース207等を相互に接続するバス205を備えている。
クランク角センサSaからのパルス信号は、パルスインクレメント回路46で処理されて、所定のクランク角度に対応させた信号(以下、クランク角度Acrankと称する)とし、TDCセンサSbからのTDC信号とともに入力インタフェース206を介してCPU202に入力される。
なお、エンジン回転速度Neは、クランク角度Acrankを示す信号からCPU202内で算出され、図4に示す機能ブロック図の中で使用される。
なお、新気量FAirは、大気圧Pat及び大気温度Tatで標準温度及び標準大気圧状態での新気量FAirの換算計算に用いられる。
ガス供給系130Aの関係では、水素タンク圧センサSPHbからの水素タンク34Aの圧PHbを示す信号及びヘッダ圧センサSPhgからのヘッダ圧Pgを示す信号が入力される。
なお、排気温度Tex1,Tex2、排気中のA/F比、及び差圧ΔPの信号は、触媒コンバータ22の排気浄化機能の監視及び制御に主に用いられるものであり、本発明の特徴には関係しない。
また、水温センサSTwjからの水温Twjの信号も入力される。この信号は、エンジン1の起動直後の排気還流系120のEGRクーラ25の温度制御やインタークーラ13の温度制御等に用いられる。
例えば、高圧供給ポンプ8への主燃料への流入量を制御する流量調整弁69への制御信号、燃料インジェクタ5のアクチュエータ5aを制御する燃料インジェクタ駆動回路301への制御信号、コモンレール6の圧力調整弁72への制御信号、ガスインジェクタ31のアクチュエータ31a(図2参照)を制御するガスインジェクタ駆動回路302への制御信号、ヘッダ管32の圧力調整弁33への制御信号、スロットル弁14を駆動するスロットル弁駆動回路303への制御信号、EGR弁24を駆動するEGR弁駆動回路304への制御信号、VGTアクチュエータ21を駆動制御するVGTアクチュエータ駆動回路305への制御信号等である。
なお、図3中、破線枠で示した機能ブロックは第2の実施形態における追加の構成であり、詳細は第2の実施形態において説明する。
次に、図4を参照しながら、適宜、図3、図5から図7を参照してECU50Aにおけるエンジン制御について説明する。
(制御の概要)
前記ECU50Aにおけるエンジン制御の基本的な処理の概要は図4の機能ブロック図に示されており、アクセル開度θthとエンジン回転速度Neにもとづいて要求トルクTrqsolを算出し(要求トルク算出手段)、基本となる主燃料の噴射量、主燃料の噴射時期及び予混合ガスの噴射量(水素添加濃度)を決定するとともに、EGR弁24の作動によりEGR率を調整して、各気筒2のA/F比(空燃比)を均一かつ高精度に制御するようにしている。前記EGR率は全排気量中の還流される排ガス量(EGR量)の割合をいう(EGR率=EGR量/全排気量)。
先ず、主燃料噴射制御について図4を参照しながら説明する。
主燃料噴射制御では、先ず、アクセル開度センサSAccにより検出されたアクセル開度θthとクランク角センサSaにより検出された信号からECU50AのCPU202でエンジン回転速度に変換されたエンジン回転速度Neとを用いて、要求トルク演算部(要求トルク算出手段)501において、前記メモリ上の二次元マップ501aを参照して要求トルクTrqsolを算出する。
そして、この目標主燃料噴射量Fsolと後記する制御されたコモンレール圧Pcsolとにもとづいて、PCCI燃焼主燃料噴射制御部511において各燃料インジェクタ5の励磁時間(噴射時期及び噴射時間)を決定し、燃料インジェクタ駆動回路301(図3参照)に出力し、PCCI燃焼条件にもとづく噴射時期及び噴射時間を制御する。
ここでPCCI燃焼条件にもとづく噴射時期及び噴射時間の制御とは、標準大気圧力に換算したとき、新気の吸気量に対して前記標準大気圧力に対して後記する所定体積濃度の水素が添加された状態で、主燃料の噴射が完了した後で着火する様に、それもTDC後に着火し、かつ、排気ガス中のNOX量を低減する様に主燃料の噴射時期を制御することである。
なお、目標主燃料噴射量演算部505、PCCI燃焼主燃料噴射制御部511、コモンレール圧演算部512、コモンレール圧制御部513は特許請求の範囲に記載の「燃料供給制御手段」を構成する。
PCCI燃焼主燃料噴射制御部511は、PCCI燃焼主燃料噴射時間演算部511aと、PCCI燃焼主燃料噴射時期演算部(NO X 排ガス濃度記憶手段、噴射時期決定手段)511bとから構成されている。
PCCI燃焼主燃料噴射時間演算部511aにおいては、予め求められたコモンレール圧Pc及び目標主燃料噴射量Fsolに応じた主燃料の噴射時間を決めるマップ600にもとづき、目標主燃料噴射量Fsolとコモンレール圧Pcを参照して、主燃料の燃料噴射時間Tiを演算する。ちなみに、図5において、燃料噴射時間Tiを決めるマップ600は、横軸が目標主燃料噴射量Fsol、縦軸が燃料噴射時間Ti、パラメータがコモンレール圧Pcである。
主燃料噴射時期Fiテーブル601は、図6に示す様に、例えば、横軸に主燃料噴射時期をクランク角で示し、縦軸に、例えば、NO発生率(g/kWh)を表したものであり、エンジン回転速度Ne及び要求トルクTrqsolの離散的な値をパラメータとしたテーブルである。PCCI燃焼主燃料噴射時期演算部511bは、エンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsolを参照して、エンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsolの値の近傍の主燃料噴射時期Fiテーブル601を検索して、補間して、NO発生率(g/kWh)が最低となる主燃料の噴射時期を算出する。
また、図6は、主燃料噴射時期と排気ガスのNO発生率の関係を示す説明図であり、図5に示す主燃料噴射時期Fiテーブル601の一部を抜き出したものである。この図は、主燃焼噴射圧力は150MPa、エンジン回転速度Neは1500rpm、熱発生量は13kWの条件下である。図6において、クランク角(ATDC)が小さい領域では、NO発生率が比較的大きく、クランク角が大きくなるとある一定のクランク角以降からは、NO発生率が略一定になる。
よって、二次元パラメータにより検索された主燃料噴射時期Fiテーブル601を参照して、NO発生率が最も低減される主燃料噴射時期を決定し、燃料インジェクタ5を駆動し、PCCI燃焼におけるNO発生率を低減することができる。
そして、PCCI燃焼主燃料噴射制御部511は、演算された噴射時間Ti、噴射時期を示す信号を、燃料インジェクタ回路301に出力する。
また、ECU50Aの要求トルク演算部501において得られた要求トルクTrqsol(内燃機関の運転状態に係る情報)とエンジン回転速度Ne(内燃機関の運転状態に係る情報)とを用いて、コモンレール圧演算部512においてコモンレール圧の二次元マップ512aを参照して目標コモンレール圧Pcsolを算出し、これを用いてコモンレール圧制御部513がコモンレール圧センサSPcからの信号と比較して、圧力調整弁72に制御信号を出力し、コモンレール圧Pcを目標コモンレール圧Pcsolになる様に制御する。
一方、要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、目標空燃比演算部506において、前記した二次元マップ506aを参照して、NOx及びスモークの両立を図るための目標空燃比A/Fsolを算出する。そして、この目標空燃比A/Fsolと前記目標主燃料噴射量演算部505において求められた目標主燃料噴射量Fsolとを用いて、目標新気量演算部507において目標新気量FAsolを算出し(FAsol=Fsol×A/Fsol)、この目標新気量FAsolを目標として、新気量制御部508において新気量制御を行う。この新気量制御は、新気の供給量自体を直接調整するのではなく、排ガスの還流量を調整することによって新気量を変化させるというものである。つまり、新気の補正量を決定するのではなく、先ず、目標とする新気量FAsolにもとづいて、新気量制御部508がEGR弁24の基本動作量EGRbaseを決定し、これを更に新気量の偏差FAsol−FAirに応じてフィードバック補正して、EGR弁24の動作量EGRsolを決定し、その動作量EGRsolに対応する様にEGR弁制御部509がEGR弁駆動回路304(図3参照)に開度信号を出力する。EGR弁駆動回路304は、EGR弁24のEGR弁リフトセンサ24aからの信号にもとづき、動作量EGRsolになる様にEGR弁24の開度を制御する。
また、前記目標主燃料噴射量演算部505において得られた目標主燃料噴射量Fsolとエンジン回転速度Neとを用いて、目標吸気絞り量演算部514において二次元マップ514aを参照して目標吸気絞り量THsolを算出し、これを用いて、スロットル弁制御部515においてスロットル開度センサ14aからの信号をフィードバック制御してスロットル弁14の開度を制御する。
更に、ECU50Aの要求トルク演算部501において得られた要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、目標過給圧力演算部516において、前記した二次元マップ516aを参照して目標過給圧力Boostsolを算出する。そして、この目標過給圧力Boostsolと過給圧センサSPsaにより検出されたスロットル弁14下流の吸気通路10の過給気圧Psaとを用いて、過給圧力制御部517において、過給気圧Psaが目標過給圧力Boostsolになる様に、ターボ過給機12のベーン回動位置VGTsolを算出し、VGTアクチュエータ駆動回路305(図3参照)に出力し、これを用いてVGTポジションセンサ21aからの信号をフィードバックしてVGTsolに一致する様にVGTアクチュエータ21を制御する。
また、ECU50Aの要求トルク演算部501において得られた要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、ヘッダ圧演算部531において、ヘッダ圧の二次元マップ531aを参照して目標ヘッダ圧Pgsolを算出し、これを用いてヘッダ圧制御部532がヘッダ圧センサSPhgからのヘッダ圧Pgを示す信号と比較して、圧力調整弁33に制御信号を出力し(図示省略)、ヘッダ圧Pgを目標ヘッダ圧Pgsolになる様に制御する。
なお、ヘッダ圧制御部532は、後記する様に、予混合ガス噴射制御部535からのヘッダ圧Pgを増加させる様にとの制御指示を受けたとき、それに従いヘッダ圧Pgを増加制御する。
次に、図7から図9を参照しながら予混合ガス噴射制御の方法について説明する。図7は、第1の実施形態のエンジン制御電子制御ユニットの機能ブロック構成図における要求予混合ガス演算部の詳細機能ブロック構成図であり、図8の(a)は、吸気への水素添加濃度をパラメータに熱発生率の時間変化波形(燃焼波形)をクランク角で示す時間推移の説明図、図8の(b)は、吸気への水素添加濃度の違いによる気筒内圧の変化をクランク角で示す時間推移の説明図である。図9は、第1の実施形態における水素添加濃度と熱効率との関係を示す説明図である。
以下に、最適熱効率マップ603の生成方法について説明する。図8の(b)は、主燃焼噴射圧力は150MPa、エンジン回転速度Neは1500rpm、熱発生量は13kWの条件下の場合の熱発生率の時間変化波形(燃焼波形)の例である。図8の(b)において、主燃料の噴射時期をATDC2deg.の条件で固定し、水素の添加濃度を0〜16[vol%]の範囲で燃焼を行った結果を示す。図8の(b)は気筒内圧と熱発生率に及ぼす水素濃度の影響を検討した結果である。添加する水素濃度に対して熱発生率の波形とその着火タイミングが顕著に変化した。燃焼の波形と着火タイミングが変化する原因を着火源の観点から以下に簡単に考察する。水素添加濃度0[vol%]の場合の着火源は軽油の自着火である。水素添加濃度0[vol%]に対して水素添加濃度2[vol%]は、着火遅れ期間が若干長くなった。このことから、水素添加濃度2[vol%]は、着火源は軽油の自己着火であるが、水素による着火抑制効果が多少認められたものと考えられる。水素の可燃限界空燃比が4[vol%]以上であることを考慮すると、4[vol%]未満の場合には水素自体の自己着火は起こらず、逆に着火に対し抑制効果をもつものであると考えられる。水素添加濃度16[vol%]と14[vol%]の場合には、TDC以前の水素の自己着火が着火源であると考えられる。また、水素添加濃度12[vol%]、10[vol%]、及び、8[vol%]の場合には、TDC付近での水素の自己着火が主に着火源であると考えられる。
また、吸気に水素添加なしの状態で主燃料のATDC噴射を行うと、燃焼が急激になりPCCI燃焼条件とならず、熱効率が急激に悪化するのに対し、吸気に4[vol%]以上の水素添加した状態で主燃料のATDC噴射を行うと、燃焼がなだらかになりPCCI燃焼条件を満たし、効率よく燃焼することが可能となる。
この例では水素添加濃度が6〜8[vol%]までは熱効率が上昇し、それ以上に水素濃度を増加させていくと熱効率は低下していく。また、着火源としては、水素添加濃度が低い場合は軽油の自己着火が主であり、水素添加濃度が高い場合は水素の自己着火が主になる。これらの中間の濃度では、軽油の自己着火、水素の自己着火、及び主燃料の噴射による着火が共存する。主燃料の噴射による着火としては、水素が関与する主燃料着火や主燃料がもつ静電気・プラズマ等の電気的なものが考えられる。このように水素添加濃度によって着火源が多様化し、結果として熱発生の波形に影響を与えているものと考えられる。
よって、最適熱効率マップ603にもとづいて熱効率が最大となる水素添加濃度Rgsolを決定し、予混合ガス噴射制御部535(図4参照)に出力し、ガスインジェクタ31を駆動し、PCCI燃焼における熱効率を向上することができる。
なお、水素添加濃度としては、前記したピーク値Hmax、半値幅a、ピーク値Hmaxに対応するクランク角に限定されるものではなく、更に燃焼波形の面積を加えても良い。
次に、図11を参照しながら、適宜、図3、図4、図5を参照して予混合ガスの噴射制御と、主燃料噴射の制御の方法について説明する。図11は、予混合ガスの噴射制御と、燃料噴射制御の方法の流れを示すフローチャートである。
ステップS1では、要求トルク演算部(要求トルク算出手段)501において、アクセル開度θthとエンジン回転速度Neにもとづいて、要求トルクTrqsolを算出する。
ステップS2では、目標主燃料噴射量演算部505において、要求トルクTrqsolと新気量FAirとエンジン回転速度Neにもとづいて、目標主燃料噴射量Fsolを算出する。
ステップS3では、要求予混合ガス演算部533において、要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neにもとづいて、PCCI燃焼における熱効率が最も高い燃焼波形に対応する水素添加濃度を吸気の水素添加濃度として決定する。
ステップS4では、要求予混合ガス演算部533において、水素添加濃度を予混合ガス噴射制御部535へ出力する。
ステップS5では、要求予混合ガス演算部533において、ヘッダ圧Pgにもとづいて、水素添加濃度に対応する噴射時間を算出する。
ステップS6では、要求予混合ガス演算部533において、ガスインジェクタ駆動回路302(図3参照)へ噴射時間の制御信号を出力する。
そして、ガスインジェクタ駆動回路302が、ガスインジェクタ31(図3参照)のアクチュエータ31a(図3参照)を駆動する。
ステップS7では、PCCI燃焼主燃料噴射時間演算部511aにおいて、目標主燃料噴射量Fsolとコモンレール圧Pcにもとづいて、主燃料噴射時間を算出する。
ステップS8では、PCCI燃焼主燃料噴射時期演算部511bにおいて、要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neにもとづいて、主燃料噴射時期Fiテーブル601を検索する。
ステップS10では、PCCI燃焼主燃料噴射演算部511において、主燃料噴射時期と主燃料噴射時間を燃料インジェクタ駆動回路301(図3参照)へ出力する。そして、燃料インジェクタ駆動回路301が、燃料インジェクタ5(図3参照)のアクチュエータ5a(図3参照)を駆動する。
以上で、一連の予混合ガスの噴射制御と、主燃料噴射の制御の処理が完了する。
ここで、ステップS3が、特許請求の範囲に記載の「燃焼制御手段」に対応する。
本実施形態では、要求トルク演算部501において、アクセル開度θthとエンジン回転速度Neにもとづいて、要求トルクTrqsolを算出し、要求予混合ガス演算部505において、要求トルクTrqsolと新気量FAirとエンジン回転速度Neにもとづいて、目標主燃料噴射量Fsolを算出する。そして、要求予混合ガス演算部533において、要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neにもとづいて、PCCI燃焼における熱効率が最も高い燃焼波形に対応する水素添加濃度を吸気の水素添加濃度として決定する。予混合ガス噴射制御部535においては、ヘッダ圧Pgにもとづいて、水素添加濃度に対応する噴射時間を算出する。そして、ガスインジェクタ駆動回路302へ制御信号を出力し、ガスインジェクタ31の駆動を制御する。
したがって、PCCI燃焼において、熱効率の向上とNOの発生を抑制することができる。
比較例の予混合ガスの水素添加濃度が4[vol%]の場合に比較して、本実施形態では、燃焼波形により熱効率が向上する水素添加濃度8[vol%]と選択されることにより熱効率が5.7%向上している。この比較例(特願2008-176939号)に記載の図14に記載されている様な熱発生率の波形に相当する場合である。
比較例の水素添加濃度が4[vol%]、主燃料の噴射時期がクランク角でATDC2deg.の場合に比較し、本実施形態では、水素添加濃度が8[vol%]、主燃料の噴射時期がクランク角でATDC2deg.と熱効率の上で最適化されることによりNO発生率[g/kWh]が33%低減されている。更に、主燃料噴射時期を、NOX低減のためにATDC8deg.に最適化されることで着火タイミングが遅れ、NO発生率[g/kWh]が20%低減され、比較例よりも合計で排出されるNO発生率が53%低減されている。この様に、本実施形態によれば、熱効率を向上させることができるとともに、NOXを低減することができた。
図17は、PCCI燃焼の燃焼改善による熱効率の向上とNO発生抑制が見込める主燃料噴射時期と、水素添加濃度の領域を示す説明図である。横軸は、クランク角度[ATDC/deg.]を表し、主燃料噴射時期におけるTDC(Top Dead Center)を0deg.とし、マイナス側はBTDC(Before Top Dead Center)を、プラス側はATDC(After Top Dead Center)を示す。縦軸は、水素添加濃度[vol%]を表し、吸気体積に対する添加する水素体積の百分率を示す。
エンジン1の中高負荷運転領域においても広い通常運転領域をカバーしたPCCI燃焼が実現でき、排気ガス中のPMやNOXを低減できる。したがって、さらにDPFやLNC(Lean NOx Catalyst)システムの負担が軽減される。あるいはそのシステム自体不要になる可能性がある。あるいは、排気還流系120も不要になる可能性がある。また、中高負荷領域において従来以上に騒音・振動を大幅に低減することができる。
次に、図3及び、図18を参照して本発明の第2の実施形態に係わるエンジン制御装置の概要について説明する。図3は、エンジン制御装置に用いられるエンジン制御電子制御ユニットのハード的な構成説明図であり、図18は、第2の実施形態のエンジン制御装置の概略機能構成図である。
本実施形態におけるエンジン制御装置100Bが、第1の実施形態におけるエンジン制御装置100Aと異なる点は、ガス供給系130Aがガス供給系(ガス供給手段)130Bに置き換わった点であり、そのためにECU50AがECU50Bに変っている。
第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
ここで、改質触媒における改質反応は、例えば、水蒸気改質法、部分酸化法、炭酸ガス改質法、水性ガスシフト反応、並びに、水蒸気改質法及び部分酸化法を組み合わせたオートサーマル法よりなる中から選ばれた1種以上の反応である。
ガス圧縮機36で昇圧された予混合ガスは、水素タンク34Bに貯留され、水素タンク34Bの下流側に配置された圧力調整弁33を経由してヘッダ管32に至り、ヘッダ管32から各気筒2に分岐するガス供給配管76により前記ガスインジェクタ31に供給される。
水素タンク34Bに貯められた予混合ガスは、ECU50Bに制御される圧力調整弁33により、ヘッダ管32に設けられたヘッダ圧センサSPhgの信号にもとづいて所定の噴射圧力に減圧してから、ヘッダ管32から各気筒2に分岐するガス供給配管76を経由し、各気筒2の吸気ポート近くに配置されたガスインジェクタ31の図示しない噴射孔から吸気中に噴射される。
なお、前記した燃料改質器37の燃料及び純水の図示省略の流量調整弁は、ECU50Bに制御される燃料改質器37における改質ガス(予混合ガス)の単位時間当たりの生成量(出力レベル)に見合う様に協調制御される。
次に、図19を参照しながらECU50Bにおけるガス供給系130Bに係る制御機能ブロックについて説明する。第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
第1の実施形態では、ガス供給系130Aの制御機能ブロックとして、ヘッダ圧演算部531、ヘッダ圧制御部532、要求予混合ガス演算部533、予混合ガス噴射制御部535を含んでいたが、本実施形態におけるガス供給系130Bの制御機能ブロックとして、タンク圧制御部536、ヘッダ圧演算部531、ヘッダ圧制御部532、要求予混合ガス演算部533、予混合ガス噴射制御部535、燃料改質器制御部538を含んでいる。
燃料改質器制御部538は、要求予混合ガス演算部533で算出された要求予混合ガス量Rgsolにもとづいて、燃料改質器37の運転レベルを制御する。それに対応して水タンク38及び燃料タンク42から燃料改質器37に供給する純水の流量と燃料の流量も制御する。
水素タンク34Bの目標タンク圧PHbsolは、予め実験的に求められ、ROM203(図3参照)に電子的に格納されたエンジン回転速度Neと要求トルクTrqsolの二次元マップ536aを参照してタンク圧制御部536で算出して、ガス圧縮機36を制御してタンク圧PHbを制御する。
ここで、燃料改質器37が走行状態の通常の運転レベルに達している場合は、目標ヘッダ圧Pgsolは、タンク圧制御部536が算出して制御する目標タンク圧力PHbsolよりも少し低めの圧力である。
ECU50Bの要求トルク演算部501において得られた要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとは、第1の実施形態において、要求予混合ガス演算部533において要求予混合ガス量の二次元マップ603(最適熱効率マップ)を参照して要求予混合ガス量Rgsolを算出し、これと目標新気量演算部507において算出された目標新気量FAsolとから、要求予混合ガス量補正部534Bにおいて、標準大気圧換算で要求予混合ガス量Rgsolに含まれる水素の体積濃度が標準大気圧換算した目標新気量FAsolに対して、可燃限界比を超えているか否かチェックし、可燃限界比を超えていない場合は、超える様に要求予混合ガス量Rgsolの値を補正して、予混合ガス噴射制御部535に出力する。このとき、第1の実施形態では予混合ガス中の水素濃度が一定と仮定できたが、本実施形態では、燃料の成分が基準のものからばらつくことを考慮しているので、ヘッダ管32に水素濃度センサSHを配置して水素濃度vHを検出し、検出した水素濃度vHを反映して水素の体積濃度が標準大気圧換算した目標新気量FAsolに対して、可燃限界比を超えているか否かチェックする。
ここで、ヘッダ圧演算部531、ヘッダ圧制御部532、要求予混合ガス演算部533、予混合ガス噴射制御部535、タンク圧制御部536、燃料改質器制御部538が、特許請求の範囲に記載の「ガス供給制御手段」を構成する。
この様に、吸気への水素添加と燃料のBTDC噴射に、更に、筒内圧Pclにもとづく、要求トルクTrqsolのフィードバック補正と、燃料の噴射時期のフィードバック補正とを組み合わせることにより、図12に示す様に常用運転領域を含む中高負荷運転領域まで、セタン価の変化に対して実用的なPCCI燃焼が可能となる。
なお、今回のPCCI燃焼において、NO発生率の抑制を一例として挙げているが、他の窒素酸化物、いわゆるNOX発生率の抑制としてもよい。
34A 水素タンク
34B 水素タンク(蓄圧タンク)
37 燃料改質器(ガス生成手段)
50A,50B ECU
100A,100B 内燃機関の制御装置(内燃機関の制御装置)
110 燃料供給系(燃料供給手段)
130A,130B ガス供給系(ガス供給手段)
501 要求トルク演算部(要求トルク算出手段)
505 目標主燃料噴射量演算部(燃料噴射量算出手段)
511 PCCI燃焼主燃料噴射制御部
511a PCCI燃焼主燃料噴射時間演算部
511b PCCI燃焼主燃料噴射時期演算部(NOX排ガス濃度記憶手段、噴射時期決定手段)
533 要求予混合ガス演算部(水素添加濃度に係る燃焼データ記憶手段、水素添加量決定手段)
535 予混合ガス噴射制御部(ガス供給制御手段)
536 タンク圧制御部
538 燃料改質器制御部
601 主燃料噴射時期Fiテーブル(NOX排気ガス濃度データ)
Claims (6)
- 軽油により、又は軽油を含む混合燃料により運転可能な内燃機関の制御装置において、
前記軽油を、又は軽油を含む混合燃料を、主燃料として前記内燃機関に供給する燃料供給手段と、
少なくとも前記内燃機関の回転速度と、前記内燃機関が出力する様に要求される要求トルクとを含む前記内燃機関の運転状態に係る情報にもとづいて、前記主燃料の各気筒への噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、
水素を予混合ガスとして前記内燃機関に供給するガス供給手段と、
水素添加濃度によって変化する複数の燃焼波形により予め得られる水素添加濃度に係る燃焼データを利用する燃焼制御手段と、
前記燃料噴射量算出手段において算出された前記噴射量の前記主燃料の噴射時期を決定する噴射時期決定手段と、を備え、
前記燃焼制御手段は、前記内燃機関の前記運転状態に係る情報にもとづいて熱効率が高くなる様に、前記水素添加濃度に係る燃焼データの中から適切なものを選択し、前記内燃機関に供給する所定の水素添加濃度を決定する水素添加量決定手段を有し、
前記水素添加量決定手段により決定される前記所定の水素添加濃度が、吸気である空気に対して4〜16体積%の範囲であり、
前記噴射時期決定手段は、前記内燃機関に供給される前記所定の水素添加濃度が決定された後、前記燃料噴射量算出手段において算出された前記噴射量の前記主燃料の噴射時期を決定することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 軽油により、又は軽油を含む混合燃料により運転可能な内燃機関の制御装置において、
前記軽油を、又は軽油を含む混合燃料を、主燃料として前記内燃機関に供給する燃料供給手段と、
少なくとも前記内燃機関の回転速度と、前記内燃機関が出力する様に要求される要求トルクとを含む前記内燃機関の運転状態に係る情報にもとづいて、前記主燃料の各気筒への噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、
前記主燃料から水素を含む改質ガスを生成するガス生成手段と、
前記水素を含む改質ガスを予混合ガスとして前記内燃機関に供給するガス供給手段と、
水素添加濃度によって変化する複数の燃焼波形により予め得られる水素添加濃度に係る燃焼データを利用する燃焼制御手段と、
前記燃料噴射量算出手段において算出された前記噴射量の前記主燃料の噴射時期を決定する噴射時期決定手段と、を備え、
前記燃焼制御手段は、前記内燃機関の前記運転状態に係る情報にもとづいて熱効率が高くなる様に、前記水素添加濃度に係る燃焼データの中から適切なものを選択し、前記内燃機関に供給する所定の水素添加濃度を決定する水素添加量決定手段を有し、
前記水素添加量決定手段により決定される前記所定の水素添加濃度が、吸気である空気に対して4〜16体積%の範囲であり、
前記噴射時期決定手段は、前記内燃機関に供給される前記所定の水素添加濃度が決定された後、前記燃料噴射量算出手段において算出された前記噴射量の前記主燃料の噴射時期を決定することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 更に、少なくとも前記内燃機関の前記運転状態に係る情報と、前記主燃料の噴射時期とに応じて予め推定したNO X 排気ガス濃度データを記憶するNO X 排ガス濃度記憶手段を備え、
前記水素添加量決定手段によって前記内燃機関の最適な熱効率を与える前記所定の水素添加濃度を算出した後、
前記噴射時期決定手段が、前記内燃機関の前記運転状態に係る情報を参照して、前記NO X 排ガス濃度記憶手段に記憶された前記NO X 排気ガス濃度データにもとづいて、前記主燃料の噴射時期を、クランク角で圧縮行程の上死点を基準にして−2〜+10degの範囲内で決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の制御装置。 - 軽油を又は軽油を含む混合燃料を主燃料とし、燃焼室内でこの主燃料を圧縮着火させる内燃機関の制御装置において、
前記主燃料を前記内燃機関の各気筒に供給する燃料供給手段と、
水素を含む予混合ガスを前記内燃機関の前記各気筒に供給するガス供給手段と、
アクセル開度と前記内燃機関の回転速度にもとづいて前記内燃機関に出力させる要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、
前記内燃機関の回転速度と、算出された前記要求トルクにもとづいて、前記主燃料の前記各気筒への噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、
前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件と、算出された前記主燃料の前記各気筒への噴射量とにもとづいて、前記燃料供給手段による前記主燃料の前記各気筒への噴射時期及び噴射期間を制御する燃料供給制御手段と、
少なくとも前記内燃機関の回転速度及び算出された前記要求トルクを含む前記内燃機関の運転状態に係る情報をパラメータにし、水素添加濃度によって変化する複数の燃焼波形により予め得られる水素添加濃度に係る燃焼データを記憶する水素添加濃度に係る燃焼データ記憶手段と、
前記内燃機関の前記運転状態に係る情報を参照して、前記水素添加濃度に係る燃焼データ記憶手段に記憶された前記水素添加濃度に係る燃焼データにもとづいて、熱効率が高くなる様に前記内燃機関の最適な熱効率を与える所定の水素添加濃度を算出し、前記各気筒に供給する水素量を算出する水素添加量決定手段と、
前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件と、算出された前記各気筒に供給する前記水素量とにもとづいて、前記ガス供給手段による前記予混合ガスの前記各気筒への噴射時期及び噴射時間を制御するガス供給制御手段と、を備え、
前記水素添加量決定手段により決定される前記所定の水素添加濃度が、吸気である空気に対して体積%で4〜16の範囲であり、
前記燃料供給制御手段は、前記内燃機関に供給する前記所定の水素添加濃度が前記水素添加量決定手段において決定された後、前記主燃料の噴射時期を決定することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 軽油を又は軽油を含む混合燃料を主燃料とし、燃焼室内でこの主燃料を圧縮着火させる内燃機関の制御装置において、
前記主燃料を前記内燃機関の各気筒に供給する燃料供給手段と、
前記主燃料から水素又は水素を含む改質ガスを予混合ガスとして生成するガス生成手段と、
前記予混合ガスを前記内燃機関の前記各気筒に供給するガス供給手段と、
アクセル開度と前記内燃機関の回転速度にもとづいて前記内燃機関に出力させる要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、
前記内燃機関の回転速度と、算出された前記要求トルクにもとづいて、前記主燃料の前記各気筒への噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、
前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件と、算出された前記主燃料の前記各気筒への噴射量とにもとづいて、前記燃料供給手段による前記主燃料の前記各気筒への噴射時期及び噴射時間を制御する燃料供給制御手段と、
少なくとも前記内燃機関の回転速度及び算出された前記要求トルクを含む前記内燃機関の運転状態に係る情報をパラメータにし、水素添加濃度によって変化する複数の燃焼波形により予め得られる水素添加濃度に係る燃焼データを記憶する水素添加濃度に係る燃焼データ記憶手段と、
前記内燃機関の前記運転状態に係る情報を参照して、前記水素添加濃度に係る燃焼データ記憶手段に記憶された前記水素添加濃度に係る燃焼データにもとづいて、熱効率が高くなる様に前記内燃機関の最適な熱効率を与える所定の水素添加濃度を算出し、前記各気筒に供給する水素量を算出する水素添加量決定手段と、
前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件と、算出された前記各気筒に供給する前記水素量とにもとづいて、前記ガス供給手段による前記予混合ガスの前記各気筒への噴射時期及び噴射時間を制御するガス供給制御手段と、を備え、
前記ガス供給手段は、
前記生成された予混合ガスを圧縮するガス圧縮機と、
前記圧縮された前記予混合ガスを蓄圧状態に貯留する蓄圧タンクと、
前記蓄圧タンクの前記予混合ガスを、前記内燃機関の前記各気筒に向けて分岐したガス供給管を通じて供給されて噴射するガス噴射弁と、
を有し、
前記水素添加量決定手段により決定される前記所定の水素添加濃度が、吸気である空気に対して体積%で4〜16の範囲であり、
前記燃料供給制御手段は、前記内燃機関に供給する前記所定の水素添加濃度が前記水素添加量決定手段において決定された後、前記主燃料の噴射時期を決定することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 更に、少なくとも前記内燃機関の前記運転状態に係る情報と、前記主燃料の噴射時期とに応じて予め推定したNOX排気ガス濃度データを記憶するNOX排ガス濃度記憶手段を備え、
前記水素添加量決定手段によって前記内燃機関の最適な熱効率を与える前記所定の水素添加濃度を算出した後、
前記燃料供給制御手段が、前記内燃機関の前記運転状態に係る情報を参照して、前記NOX排ガス濃度記憶手段に記憶された前記NOX排気ガス濃度データにもとづいて、前記主燃料の噴射時期を、クランク角で圧縮行程の上死点を基準にして−2〜+10degの範囲内で決定することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
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