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JP4847972B2 - ガラス用撥水剤 - Google Patents

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JP4847972B2
JP4847972B2 JP2008014655A JP2008014655A JP4847972B2 JP 4847972 B2 JP4847972 B2 JP 4847972B2 JP 2008014655 A JP2008014655 A JP 2008014655A JP 2008014655 A JP2008014655 A JP 2008014655A JP 4847972 B2 JP4847972 B2 JP 4847972B2
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Description

本発明は、自動車の窓ガラスや、建築用窓ガラスその他のガラスに、撥水性を付与する撥水処理剤,特に、塗布後の乾燥・被膜化を必要とせず、スプレーやノズルその他でガラス面に適用後、直ちに効果を奏する、簡易型の撥水処理剤に関するものであり、具体的には、自動車等の車体に装填し、ノズルから噴出させて用いるウインド・ウォッシャー等として用いることができるものである。
従来、ガラス面上に水分が残っていても使用可能で、取り扱いも容易かつ安全なガラス用撥水剤を製造目的で、アミノ変性ポリシロキサン(いわゆるアミノシリコーン)を、未変性のポリシロキサンに変えて用いる方法が開発されている。
更に、
(1)アミノ変性ポリシロキサンの水溶性を高めるとともに、
(2)アミノ変性ポリシロキサンがアルコキシ基を有している場合に、アルコキシ基同士の架橋を触媒したり、アルコキシ基とガラス面上のSiOH基との反応を触媒することによって、撥水剤のガラス面への吸着性を高める
等の目的で、酸を併用する方法が開発されており、中でも、取り扱いに危険を伴う酸に代えて、蟻酸や乳酸等の弱酸を、アミノ変性ポリシロキサンと併用する方法が開発されている(特許文献1,特許文献2等)。
しかしながら、これらのアミノシリコーンを含有する撥水処理剤は、塗布直後の撥水性には優れているものの、持続性に乏しく、例えば、塗布後、雨に降られたような場合には、数十秒で効果を喪失してしまうという傾向にあった。
一方、霜取解氷剤において、撥水性の改善のために、アミノシリコーンに加えて、他のシリコーン類を併用する技術が提案されている(特許文献3)。
この霜取解氷剤は、解氷と同時に、溶けた氷が再凍結することの無いように、非水溶性シリコーンによって撥水性をも付与することを目的とするものではあるが、これは、非水溶性シリコーンによって、解氷後の水分を疎水化し、ガラス面との付着を予防すること等によって、適用後の“初期の撥水性を”向上させようとするものであり、アミノシリコーンが雨で流れ落ちてしまって、撥水効果が持続しないという上述の問題を解決するものでは無い。
また、ガラス用撥水剤が、自動車の車体に装填するウインド・ウォッシャーである場合には、自動車の車体と言う、温度管理その他の品質管理の困難な状況下、例えば零下から60℃近くまで変化する自動車内部環境により、ウインド・ウォッシャーが変質し、ノズルで目詰まりを起こしてしまったり、含有されるアルコール成分等に起因して、ウインド・ウォッシャーが車体の塗装面に飛散・吸着した際に、光の屈折率等の違いから、塗装の色目を変質させてしまう等の問題を解決することが望まれる。
特開平7−41336号公報 特開平10−102046号公報 特開2004−59846号公報
従って、本発明の目的とするところは、適用直後の初期撥水性のみならず、雨等が当たった後も、撥水性が持続する、ガラス用撥水剤を提供すること,更には、望ましくは、自動車内の過酷な環境下でも変質し難く、車体塗装面の変色が起こらないガラス用撥水剤を提供することにある。
上述の目的は、下記第一の発明から第九の発明によって、達成される。
<第一の発明>
アミノ変性ポリシロキサン,酸,及び活性剤を含む撥水剤において、さらに、アミノシランを含むことを特徴とする、ガラス用撥水剤。
<第二の発明>
更に、水溶性溶剤を含むことを特徴とする、第一の発明に記載のガラス用撥水剤。
<第三の発明>
アミノ変性ポリシロキサンが、下記(A)及び/又は(B)の性質を有するものであることを特徴とする、第一の発明又は第二の発明に記載のガラス用撥水剤。
(A)25℃における動粘度が、10〜5000cstである。
(B)アミノ当量が、100〜15000のものである。
<第四の発明>
アミノシランが、アミノ基以外に、2乃至3個の反応性官能基を有するものであることを特徴とする、第一の発明乃至第三の発明のいずれかに記載のガラス用撥水剤。
<第五の発明>
アミノ変性ポリシロキサンの含有量が0.01〜10.0質量%で、アミノシランの含有量が0.01〜1質量%であることを特徴とする、第一の発明乃至第四の発明のいずれかに記載のガラス用撥水剤。
<第六の発明>
アミノ変性ポリシロキサンと、アミノシランの含有比率が、1:2〜10:1であることを特徴とする、第一の発明乃至第五の発明のいずれかに記載のガラス用撥水剤。
<第七の発明>
中和率が、50〜110%であることを特徴とする、第一の発明乃至第六の発明のいずれかに記載のガラス用撥水剤。
<第八の発明>
アミノシランが、下記式〔1〕で表されるものを含むことを特徴とする、第一の発明乃至第七の発明のいずれかに記載のガラス用撥水剤。

(式中、R1 及びR2 は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜20の非置換もしくは置換一価炭化水素基であり、
3 は、炭素原子数1〜10の非置換または置換二価炭化水素基、
4 は、炭素原子数1〜20の非置換または置換一価炭化水素基、
Xは、水素原子または炭素原子数1〜20の非置換または置換一価炭化水素基であり、
aは、0〜5の整数、
bは、0〜2の整数である。)
<第九の発明>
第一の発明乃至第八の発明のいずれかに記載のガラス用撥水剤からなることを特徴とする、ウインド・ウォッシャー。
本発明のガラス用撥水剤は、適用直後の初期撥水性のみならず、雨等が当たった後も、撥水性が持続する、ガラス用撥水剤である。
また、本発明の中でも、特定のものについては、自動車内の過酷な環境下でも変質し難く、車体塗装面の変色の可能性も、大幅に改善されるという効果に特に優れるという効果を有している。
[ガラス用撥水剤の定義]
本発明のガラス用撥水剤は、撥水剤という製品名のみならず、ウインドーウォッシャー,ガラスクリーナー,霜取り剤,解氷剤その他の製品名である場合も含み、ガラス面に撥水性を付与することを、少なくとも目的の一つとする組成物全般を含むものである。
[本発明で用いられるアミノ変性ポリシロキサン]
本発明で用いられるアミノ変性ポリシロキサンとは、側鎖及び/又は末端に、アミノ基を有するポリシロキサンである。
アミノ変性ポリシロキサンとしては、撥水剤に用いられている公知のものであれば使用でき、様々なアミノ基のものが使用できる。
尚、このアミノ変性ポリシロキサンは、末端が炭素数1〜3のアルキル基,又は炭素数1〜3のアルコキシ基であることが好ましい。
アルコキシ基が、水の存在下で加水分解を起こし、架橋反応を起こし、重合度が増すことによって、水に溶解し難くなり、降雨によって流され難くなることや、さらにアルコキシ基が、ガラス表面のSiOH基と反応して、ガラス面に化学的に吸着することにより、降雨や払拭に対して強くなり、撥水持続性が増すという点からは、アルコキシ基がより好ましく、一方、ガラス用撥水剤の品質が、一定に保たれるという点からは、アルキル基がより好ましい。
アルキル基としては、メチル基,エチル基,プロピル基等が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシキ基等が挙げられる。
本発明に用いられるアミノ変性ポリシロキサンの末端は、同じものであっても異なるものであっても良い。
具体的なアミノ変性ポリシロキサンとしては、例えば、下記式〔2〕又は〔3〕で表されるようなものが挙げられるが、これらに限られるものでは無く、また、アミノ変性ポリシロキサンは、2種類以上のものを併用して用いることもできる。
上記式〔2〕中、X,Yは、上述の、炭素数1〜3のアルキル基,又は炭素数1〜3のアルコキシ基であることが好ましいが、中でもメチル基,又はアルコキシ基であることが好ましく、l,mは、1以上の整数であり、Aは、−R5−NHまたは−R6NHR7NHであることが好ましく、R5,R6,R7は、それぞれ独立に2価の炭化水素を表し、2価の炭化水素としては、例えば炭素数1〜5の炭化水素基が一般的であり、具体的には、エチレン基,プロピレン基等が挙げられるが、アミノ変性ポリシロキサンの25℃における動粘度や、アミノ当量が、後述の好適な値になるようなものが好ましい。
上記式〔2〕のようなアミノ変性ポリシロキサンは、具体的には、下記のものとして、市場から入手することができる。
上記式中、A2およびA3はそれぞれ独立にメチル基,アルコキシ基(例えば、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基等),−R8−NH2,または−R9NHR10NH2を表し、少なくとも一方が−R8−NH2,または−R9NHR10NH2である。また、R8,R9およびR10はそれぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、nは1以上の整数を表す。
上記一般式〔3〕において、R8,R9およびR10で表される2価の炭化水素基としては、特に限定されないが、炭素数1〜5の炭化水素基が一般的であり、具体的には、エチレン基,プロピレン基等が挙げられる。上記一般式〔3〕において、nとしては、好ましくは後述の動粘度および当量を満たす整数である。
上記式〔3〕のようなアミノ変性ポリシロキサンは、具体的には、下記のものとして、市場から入手することができる。
本発明に用いられるアミノ変性ポリシロキサンは、25℃における動粘度が、10〜5000cstであることが好ましく、更に好ましくは、20〜1000cstである。
10cst以上の場合に、特にガラス面への撥水性の付与効果に優れ、撥水の持続性に優れる5000cst以下で、特に油膜になり難いという利点を有するからである。
尚、本発明のガラス用撥水剤が、ウインド・ウォッシャーである場合には、25℃における動粘度は100cst以下であることが好ましい。
100cst以下の場合、ウインド・ウォッシャーの水溶性が特に高くなり、目詰まり防止性能に優れ、自動車等の塗装面への影響が著しく少なくなるからである。
従って、本発明のウインド・ウォッシャーにおいては、撥水性・撥水持続性,及び目詰まり防止性・塗装面への影響の減少の両立のためには、アミノ変性ポリシロキサンの25℃における動粘度が、10〜100cstであることが好ましい。
本発明に用いられるアミノ変性ポリシロキサンは、アミノ当量が、100〜10000であることが好ましく、より好ましくは、300〜5000である。
100以上であると、撥水性の付与効果に特に優れ、10000以下で、ガラス面への吸着性に特に優れるほか、撥水剤中での水溶性及び均一分散性に優れ、また、特に油膜になり難く、撥水の持続性に優れるという利点を有するからである。
尚、本発明のガラス用撥水剤が、ウインド・ウォッシャーである場合には、アミノ当量は1000以下であることが好ましい。
1000以下の場合、ウインド・ウォッシャーの水溶性が特に高くなり、目詰まり防止性能に優れ、自動車等の塗装面への影響が著しく少なくなるからである。
従って、本発明のウインド・ウォッシャーにおいては、撥水性・撥水持続性,及び目詰まり防止性・塗装面への影響の減少の両立のためには、アミノ変性ポリシロキサンのアミノ当量が、100〜1000であることが好ましい。
本発明のガラス用撥水剤中における、アミノ変性ポリシロキサンの含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、更に好ましくは、0.05〜5質量%である。
0.01質量%以上で、ガラスに付着する水滴の転落角が特に低く、撥水性に優れ、10質量%以下で、特に油膜になり難く、撥水の持続性に優れるという利点を有するからである。
[本発明で用いられる酸]
本発明で用いられる酸としては、有機酸,無機酸及びこれらの混合物が挙げられる。
有機酸としては、例えばギ酸,酢酸,乳酸,モノ−,ジ−及びトリ−クロル酢酸,モノ−,ジ−及びトリ−フルオロ酢酸,p−トルエンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,エチルスルホン酸,メチルスルホン酸,エチレンジスルホン酸,ドデシルスルホン酸,トリフルオロメチルスルホン酸,パーフルオロアルキルカルボン酸類,パーフルオロアルキルスルホン酸類,マレイン酸,ピクリン酸,トリヒドロキシ安息香酸,トリニトロフェノール,スルファミン酸,フルオロケイ酸,クロロスルホン酸,フルオロスルホン酸,クエン酸,りんご酸,及びこれらの混合物等が挙げられる。
無機酸としては、硫酸,亜硫酸,発煙硫酸(オレウム),フッ化水素酸,塩酸,臭化水素酸,リン酸,亜リン酸,ピロリン酸,硝酸,硫化水素,ヨウ素酸,及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明においては、硫酸やスルホン酸等のような強酸でなくとも、カルボン酸で十分であるため、より安全性の高い撥水剤とすることができる。カルボン酸としては、上記の、ギ酸,酢酸,乳酸,トリ−フルオロ酢酸,パーフルオロアルキルカルボン酸類,マレイン酸,ピクリン酸,及びトリヒドロキシ安息香酸等が挙げられるが、撥水の持続性が高い点で、ギ酸,酢酸,乳酸が好ましく、更に好ましくは、ギ酸である。
尚、上記の酸は、水溶液や、アルコール溶液の形態のものを用いることができ、たとえば、10〜90%水溶液等のものを用いることができる。
本発明のガラス用撥水剤中における、酸の含有量は、撥水剤全体を100とした場合の「酸」自体の量としては、例えば、0.0001〜1質量%が好ましく、更に好ましくは、0.0004〜0.5質量%である。
酸の量が0.0001質量%以上で、アミノ変性ポリシロキサンと反応して、その水溶解性を高め、ウインド・ウォッシャーのノズルの目詰まりを防止する効果に優れるからである。また、酸の量が1質量%以下で、ガラス面への撥水剤塗布直後の、初期撥水性に優れるとともに撥水の持続性にも優れるという利点を有するからである。
尚、本発明のガラス用撥水剤の中和率は、50〜110%であることが好ましく、特に好ましくは、70〜80%である。
中和率が50%以上で、水中での安定性が高く、ガラスへの吸着が強いため、ガラス面に高い撥水性を付与でき、当該撥水性の持続性にも富むからである。
中和率とは、組成物全体のアミン価を中和するのに必要な酸の量の、モル換算比率を言う。
[本発明で用いられる活性剤]
本発明で用いられる活性剤としては、アルキルエーテルサルフェート,アルキルサルフェート,アルキルスルホネート,アルキルスルホサクシネート,アルキルエーテル型非イオン,アルキルエステル型非イオン,ショ糖エステル,グリセリンエステル,アルキルグルコシド,アミンキサイド,ナイノール型非イオン,ベタイン型両性,アラニン型両性,イミダゾリン型両性等が挙げられるが、車体等の塗装面を傷めにくいという理由で、アルキルグルコシド等が好ましい。
本発明のガラス用撥水剤中における、活性剤の含有量は、例えば、0.01〜2質量%が好ましく、更に好ましくは、0.05〜1質量%である。
活性剤の量が0.01質量%以上で、アミノ変性ポリシロキサンを乳化して、その水溶解性を高め、ウインド・ウォッシャーのノズルの目詰まりを防止する効果に優れるからである。また、活性剤の量が2質量%以下で、ガラス面への撥水剤塗布直後の、初期撥水性に優れるとともに撥水の持続性にも優れるという利点を有するからである。
[本発明で用いられるアミノシラン]
本発明で用いられるアミノシランとは、モノアミノ,ジアミノ,トリアミノ,テトラアミノのいずれであっても良いが、撥水剤としては、親水性が低い方が好ましいため、モノアミノ,ジアミノ,トリアミノが好ましく、特に好ましくは、モノアミノ,ジアミノである。
アミノシランには、反応性官能基が2つのものと、3つのものがあるが、平滑な撥水面を作り、またガラス面に付与する撥水効果が高い点で、反応性官能基が2つのものが好ましい。
反応性官能基とは、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基等のアルコキシ基等が挙げられるが、中でも、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好ましい。
従って、本発明で用いられるアミノシランとしては、反応性官能基が2つの、ジアミノシランが最も好ましい。
本発明で用いられるアミノシランは、特開平7-41757号公報に記載の下記の構造式のもの(具体的には表3記載のもの等)等が挙げられるが、これらに限定されるものでは無く、また、アミノシランは、2種類以上のものを併用して用いることもできる。
具体的には、下記のものとして、市場から入手することができる。
この式〔1〕において、R1 及びR2 は、それぞれ、水素原子または炭素原子数が1〜20の非置換または置換一価炭化水素基であり、このうち、一価の炭化水素基の代表例としては、
メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,テトラデシル基,ヘキサデシル基,オクタデシル基,エイコシル基等のアルキル基;シクロペンチル基,シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基,アリル基等のアルケニル基;フェニル基,トリル基等のアリール基;ベンジル基,フェニルエチル基等のアラルキル基;及びこれらの基の水素原子の少なくとも一部をハロゲン原子,シアノ基等で置換した基,例えばクロロメチル基,トリフロロプロピル基,γ−パーフロロアルキルプロピル基,クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基やシアノエチル基等のシアノアルキル基;
を挙げることができる。
一般的に好適な基はメチル基である。
本発明において、R1及びR2として特に好ましいものは水素原子である。
またR3は、炭素原子数1〜10の非置換または置換二価炭化水素基であり、代表的なものとしては、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基等を挙げることができ、好ましくはメチレン基,ジメチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基であり、中でも好ましいものはトリメチレン基である。
さらにR4は、炭素原子数1〜20の非置換または置換一価炭化水素基であり、具体例としては、上記R1 及びR2について例示したものと同様の基を挙げることができる。好ましいものは、メチル基等のアルキル基及びフェニル基である。
Xは、水素原子または炭素原子数1〜20の非置換または置換一価炭化水素基であり、このうち、一価の炭化水素基の代表例としては、上記R1 及びR2について例示したものと同様の基を挙げることができる。本発明において特に好ましいXは、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基等の低級アルキル基である。
また式〔1〕中、aは0〜5の整数、bは0〜2の整数である。このa及びbの値から理解されるように、R2 及びR4 は、必ずしも存在しなければならないものではない。
本発明において、このようなアミノアルキル基含有シランの適当な例としては、これに限定されるものではないが、以下の式〔4〕〜〔19〕もの等を例示することができる。
本発明に用いられるアミノシランは、25℃における動粘度が、0.5〜10cstであることが好ましく、より好ましくは、1〜5cstである。
0.5cst以上であると、撥水性の付与効果に特に優れ、10cst以下で、特に油膜になり難く、撥水の持続性に優れるという利点を有するからである。
尚、本発明のガラス用撥水剤が、ウインド・ウォッシャーである場合には、25℃における動粘度は5cst以下であることが好ましい。
5cst以下の場合、ウインド・ウォッシャーの水溶性が特に高くなり、目詰まり防止性能に優れ、自動車等の塗装面への影響が著しく少なくなるからである。
従って、本発明のウインド・ウォッシャーにおいては、撥水性・撥水持続性,及び目詰まり防止性・塗装面への影響の減少の両立のためには、アミノシランの25℃における動粘度が、0.5〜5cstであることが好ましい。
本発明に用いられるアミノシランは、アミノ当量が、50〜250であることが好ましく、より好ましくは、80〜220である。
50以上であると、撥水性の付与効果に特に優れ、250以下で、ガラス面への吸着性に特に優れるほか、撥水剤中での水溶性及び均一分散性に優れ、また、特に油膜になり難く、撥水の持続性に優れるという利点を有するからである。
尚、アミノ当量が250以下であれば、本発明のガラス用撥水剤が、ウインド・ウォッシャーである場合の、ウインド・ウォッシャーの水溶性が特に高くなり、目詰まり防止性能に優れ、自動車等の塗装面への影響が著しく少なくなる。
従って、上記のアミノシランのアミノ当量50〜250の範囲では、本発明のガラス用撥水剤がウインド・ウォッシャーである場合の、撥水性・撥水持続性と、目詰まり防止性・塗装面への影響の減少の両立をも達成することができる。
本発明のガラス用撥水剤中における、アミノシランの含有量は、0.01〜1質量%が好ましく、更に好ましくは、0.05〜0.5質量%である。
0.01質量%以上で、撥水性に特に優れ、1質量%以下で、特に油膜になりにくく撥水の持続性に優れるという利点を有するからである。
本発明のガラス用撥水剤における、アミノ変性ポリシロキサンと、アミノシランの含有比率が、1:2〜10:1であることが好ましく、特に好ましくは、1:1.5〜5:1である。
アミノ変性ポリシロキサンの比率が、1:2より高いと、適度な撥水性が得られ、10:1より少ないと、撥水性の耐久性に優れるからである。
[本発明で用いられる水溶性溶剤]
本発明で用いられる水溶性溶剤としては、グリセリン,エチレングリコール,プロピレングリコール,還元ショ糖,ソルビトール,ソルビタン,ペンタエリスリトール,プロピレングリコールモノメチルエーテル,ジプロピレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノメチルエーテル,ジエチレングリコール等が挙げられるが、安価である点や、塗装保護性に優れる点で、グリセリンが好ましい。
この水溶性溶剤は、ガラス用撥水剤が、自動車の車体に装填するウインド・ウォッシャーである場合に、自動車の車体と言う、温度管理その他の品質管理の困難な状況下(例えば、自動車の内部環境は、零下から60℃近くまで変化する。)、ウインド・ウォッシャーが変質し、ノズルで目詰まりを起こしてしまったり、含有されるアルコール成分等に起因して、ウインド・ウォッシャーが車体の塗装面に飛散・吸着した際に、光の屈折率等の違いから、塗装の色目を変質させてしまう等のリスクを、大幅に改善する効果がある。
[本発明で用いることができる他の成分]
本発明のガラス用撥水剤は、この他、本発明の目的を損なわない範囲で、水やアルコール等の各種の溶媒,その他の、ガラス用撥水剤に一般に用いられる成分を含有させることができる。
例えば、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の各種界面活性剤,粘剤,油剤,色素,樹脂,顔料等の着色剤,香料,防腐剤,抗菌剤,酸化防止剤,キレート剤,パール化剤,中和剤,pH調整剤等の成分を適宜配合することができる。
アルコール溶媒としては、メチルアルコール,エチルアルコール,ビニル(エテニル)アルコール,アセチルアルコール,プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,プロパジエニルアルコール,プロピニルアルコール,ブチルアルコール,イソブチルアルコール,t−ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール等が挙げられるが、メチルアルコール等が好ましい。
アルコール溶媒は、溶質の溶解性を上げることで、ガラス用撥水剤の、凍結や、沈殿・白濁を防止する効果がある。
本発明のガラス用撥水剤中の、アルコール溶媒の含有量は、特に限定されないが、例えば、5〜50質量%等とすることができる。
以下、本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限られるものでは無い。
尚、実施例に先立ち、本発明の性能を確認するための試験方法等を以下に記載する。
[撥水性・撥水持続性確認試験方法]
ソフト99社製ガラス用コンパウンドZで表面の油分や汚れを除去して水に濡れるような状態にしたガラス板に、実施例や比較例の各撥水剤をポンプタイプのハンドスプレーで噴霧した後、ガラス表面を水切りワイパーで一定方向に5回こすり、表面の水を完全に除去して、これを試験板とした。
この試験板の接触角(初期撥水性)を測定した後、流水で5分間水洗して再度接触角を測定した。
接触角は、FTA社製 動的接触角計FTA125を用いて測定した。
接触角を測定するために滴下する水滴の容量としては、各々、4μlのものを用いた。
接触角が大きい程、撥水性に優れていることを示す。
また、この角度の維持性に優れている程、撥水持続性に優れていることを示す。
[撥水性の実用試験方法]
自動車フロントガラス(平成19年式トヨタ自動車 カローラフィルダー,傾斜角約40度)を、ソフト99社製ガラス用コンパウンドZで磨いて表面の油分や汚れを除去して、水に濡れるような状態にした。
このガラス全体に、実施例や比較例の各撥水剤をハンドスプレーで噴霧した後、水を掛けながらワイパーをLOWで45回(1分間)作動させた後、雨天の中で走行を行った。
(評価基準)
上記の実用試験結果は、下記の基準で評価した。
時速70km未満でガラス表面の雨滴がルーフ側に動き出してワイパー無しで良好な視界が得られた場合:○
ワイパー無しで、多少水滴は残るが、十分走行可能であった場合:△
雨滴がガラス表面に残ってワイパー無しでは良好な視界が得られず、走行が困難であった場合:×
[塗装面への影響試験]
JIS K2236に規定するアミノアルキド焼付け塗装板上に実施例、比較例の各液0.3mlをピペットで滴下し、50℃の恒温槽で8時間静置後水洗して、塗装面の状態を目視観察した。
(評価基準)
上記の実用試験結果は、下記の基準で評価した。
異常なし:○
若干シミが見られる:△
かなりシミが見られる:×
[実施例1〜5,比較例1]
下記表4に記載の組成で、実施例1〜5及び比較例1のガラス用撥水剤を製造した。
[試験例1]
上記の撥水性確認試験方法に従い、実施例及び比較例の、初期撥水性(初期接触角)を確認し、その結果を表5,図1に示す。
[試験例2]
上記の撥水持続性確認試験方法に従い、実施例及び比較例の、撥水性能の持続性(接触角の維持)を確認し、その結果を表5,図1に示す。
[試験例3]
上記の撥水性の実用試験方法に従い、自動車による走行試験を行い、上記の評価基準に基づいて評価した結果を表5に示した。
[試験例4]
上記の塗装面への影響試験方法に従い、実施例及び比較例について、上記の評価基準に基づいて評価した結果を表5に示した。

[試験例1〜2の結果]
表5,図1から分かる通り、試験例1〜2による検討の結果、実施例1〜2の撥水剤は、比較例1のものと比べて、初期の撥水性及び撥水持続性の両方について、極めて優れていた。
実施例3は、初期撥水性については、比較例1とほぼ同等程度であったものの、試験例2で示される通り、撥水持続性においては、比較例1よりも格段に優れていた。
実施例4,5は、初期撥水性、持続性ともに、実施例1,2ほどではないが、比較例1と比べて優れていた。
尚、ガラス用撥水剤の中和率が、50%以上である、実施例1〜4は、実施例5よりも、撥水性及びその持続性に優れていた。
[試験例3の結果]
表5から分かる通り、試験例3による走行試験の結果、実施例1,2で、特に良好な結果が得られた。
また、実施例3,4,5についても、実施例1,2ほどではないが、良好な結果となった。
これに対し、比較例1では、走行が困難であった。
[試験例4の結果]
表5から分かる通り、試験例4による検討の結果、水溶性溶剤と併用した以外、実施例2と同組成の実施例1,及び水溶性溶剤を併用した他の実施例3,4は、初期撥水性及(初期接触角)び撥水持続性(水洗後の、接触角の維持)については、やや実施例2より劣るものの、塗装シミの防止効果をも発揮し得るという点で優れていた。
[各試験結果のまとめ]
上記の各試験例等の結果からも分かる通り、実施例の本発明のガラス面用撥水剤は、比較例のものに比べて、撥水性及びその持続性に優れていた。特に、比較例1が,水に濡れた後、急激に撥水性能が低下するのに比べて、水に濡れた後の、撥水持続性に優れていた。
尚、実施例のガラス用撥水剤は、零下から60℃近くまで変化する自動車内部環境下におかれた後も、ウインドウォッシャーのノズルでの目詰まりも起こらないことが分かった。
[他の実施例]
尚、上記の実施例で使用した、アミノ変性ポリシロキサンを、表1,2に記載の他のものに変更した場合も、比較例に比べて、良好な結果が得られた。
中でも、アミノ変性ポリシロキサンとして、動粘度が20〜1000cstである、L650,L656,WR1300,WR1600,KF-393,KF-859,KF-880,KF-8004,BY16-209,X-21-161-A,KF-8008,KF-8012を用いた場合や、アミノ当量が300〜5000である、L650,L656,WR1300,WR1600,KF-393,KF-861,KF-859,KF-880,KF-8004,X-21-161-A,KF-8012,SF8417,BY16-209,BY16-849を用いた場合、撥水性の付与効果や撥水持続性が特に良好であった。
また、上記の実施例で使用したアミノシランを、式〔4〕〜〔19〕や表3に記載の他のものに変更した場合も、比較例に比べて、良好な結果が得られたが、中でも、反応性官能基が2つのアミノシラン(式〔5〕,〔8〕,〔10〕,〔14〕,〔15〕,〔16〕,〔18〕)が、平滑な撥水面を作り、またガラス面に付与する撥水効果が高い点で優れており、特に、反応性官能基が2つのジアミノシラン(式〔5〕,〔14〕,〔15〕)が良好であった。
本発明のガラス用撥水剤は、適用直後の初期撥水性のみならず、雨等が当たった後も、撥水性が持続する、ガラス用撥水剤である。
表5の、水洗前後の、接触角をグラフ化した図である。

Claims (8)

  1. アミノ変性ポリシロキサン,酸,及び活性剤を含む撥水剤において、さらに、アミノシラン及び水溶性溶剤を含み、アミノ変性ポリシロキサンの含有量が0.01質量%以上,アミノシランの含有量が0.01質量%以上,アミノ変性ポリシロキサンと、アミノシランの含有比率が、3:10〜30:1であることを特徴とする、ガラス用撥水剤。
  2. アミノ変性ポリシロキサンが、下記(A)及び/又は(B)の性質を有するものであることを特徴とする、請求項1記載のガラス用撥水剤。
    (A)25℃における動粘度が、10〜5000cstである。
    (B)アミノ当量が、100〜15000のものである。
  3. アミノシランが、アミノ基以外に、2乃至3個の反応性官能基を有するものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガラス用撥水剤。
  4. アミノ変性ポリシロキサンの含有量が0.01〜10.0質量%で、アミノシランの含有量が0.01〜1質量%であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載のガラス用撥水剤。
  5. アミノ変性ポリシロキサンと、アミノシランの含有比率が、1:2〜10:1であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載のガラス用撥水剤。
  6. 中和率が、50〜110%であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載のガラス用撥水剤。
  7. アミノシランが、下記式〔1〕で表されるものを含むことを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載のガラス用撥水剤。

    (式中、R1 及びR2 は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜20の非置換もしくは置換一価炭化水素基であり、
    3 は、炭素原子数1〜10の非置換または置換二価炭化水素基、
    4 は、炭素原子数1〜20の非置換または置換一価炭化水素基、
    Xは、水素原子または炭素原子数1〜20の非置換または置換一価炭化水素基であり、
    aは、0〜5の整数、
    bは、0〜2の整数である。)
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載のガラス用撥水剤からなることを特徴とする、ウインド・ウォッシャー。
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