本発明は、複数の無停電電源装置(UPS)が並列接続された交流電力供給装置に関する。
負荷の容量の増大に伴なって無停電電源装置即ちUPSを並列接続することは、例えば特開2002−10527号公報(特許文献1)等で公知である。また、無停電電源装置に対して並列にバイパス給電回路を接続することも公知である。バイパス給電回路の接続方法として、複数の無停電電源装置に対して共通に1つのバイパス給電回路を設ける方法と、各無停電電源装置に個別にバイパス給電回路を設ける方法とがある。
ところで、無停電電源装置に含まれているDC−AC変換回路即ちインバータ回路を制御するために、例えばバイパス給電回路等の交流電源電圧に基いて同期信号が形成される。このように同期信号を形成してインバータ回路を制御す場合において、もし、停電等でバイパス給電回路から得ることが不可能になった時には、例えば、特開平2−262869号公報(特許文献2)に開示されているように発振器から自走同期信号をインバータ制御回路に送り、個別に並列分担制御を行う。しかし、自走同期信号による個別に並列分担制御と他号機の同期信号に基に位相制御を行っている無停電電源装置との間に位相差が生じ、全ての無停電電源装置の並列運転を良好に継続できなくなるおそれがある。
特開2002−10527号公報
特開平2−262869号公報
従って、本発明が解決しょうとする課題は、複数の無停電電源装置の並列運転の安定的な継続が要求されていることであり、本発明の目的は、複数の無停電源装置の並列運転をできるだけ好ましい状態で継続することができる交流電力供給装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、
バイパス給電回路を伴っている複数の無停電電源装置が並列接続された交流電力供給装置において、
前記複数の前記無停電電源装置は、交流電源電圧を直流電圧に変換する交流―直流変換回路と、前記交流―直流変換回路から出力された直流電圧で充電され且つ直流電圧を出力することができる蓄電手段と、前記交流−直流変換回路と前記蓄電手段とのいずれか一方又は両方の直流電圧を交流電圧に変換するためのスイッチング素子を含む直流―交流変換回路と、前記直流―交流変換回路の前記スイッチング素子をオン・オフ制御するための制御回路と、前記複数の前記無停電電源装置を同期運転するための同期信号を前記制御回路に供給する同期信号供給回路とをそれぞれ備え、
前記同期信号供給回路は、複数の同期信号を得るための同期信号入力手段と前記同期信号入力手段から得られた複数の同期信号から1つを選択して前記制御回路に送る同期信号選択手段とを有し、
前記同期信号入力手段は、前記バイパス給電回路の交流入力電圧に基づいて同期信号を形成する第1の同期信号形成手段、前記無停電電源装置の交流入力電圧に基づいて同期信号を形成する第2の同期信号形成手段、前記無停電電源装置又は前記バイパス給電回路の交流出力電圧に基づいて同期信号を形成する第3の同期信号形成手段、他号機の同期信号供給回路の出力を検出する他号機同期信号検出手段、及び自走同期信号を発生する自走同期信号発生回路を有し、
前記同期信号選択手段は、
前記バイパス給電回路の交流入力電圧の有無を判定し、有りを示す信号又は無しを示す信号を送出する第1の判定手段と、
前記無停電電源装置の交流入力電圧の有無を判定し、有りを示す信号又は無しを示す信号を送出する第2の判定手段と、
前記交流出力電圧の有無を判定し、有りを示す信号又は無しを示す信号を送出する第3の判定手段と、
前記他号機同期信号の有無を判定し、有りを示す信号又は無しを示す信号を送出する第4の判定手段と、
前記自走同期信号の有無を判定し、有りを示す信号又は無しを示す信号を送出する第5の判定手段と、
前記第1の判定手段の有りを示す信号に応答して前記第1の同期信号形成手段の出力を選択し、前記第2の判定手段から有りを示す信号が得られていると共に前記第1の判定手段から無しを示す信号が得られていることに応答して前記第2の同期信号形成手段の出力を選択し、前記第3の判定手段から有りを示す信号が得られていると共に、前記第1及び第2の判定手段から無しを示す信号が得られていることに応答して前記第3の同期信号形成手段の出力を選択し、第4の判定手段から有りを示す信号が得られていると共に、前記第1、第2及び第3の判定手段から無しを示す信号が得られていることに応答して前記他号機同期信号検出手段の出力を選択し、第5の判定手段から有りを示す信号が得られていると共に、前記第1、第2、第3及び第4の判定手段から無しを示す信号が得られていることに応答して前記自走同期信号発生回路の出力を選択する優先選択手段とを備えていることを特徴とする交流電力供給装置に係わるものである。
請求項2に示すように、更に、前記同期信号選択手段と前記制御回路との間に接続されたPLL回路を有していることが望ましい。
なお、本発明において、複数の無停電電源装置の中から選択された1台の無停電電源装置が自号機と定義され、選択されなかった別の無停電電源装置が他号機と定義されている。
本発明は複数の同期信号形成手段又は同期信号検出手段を有し、複数の同期信号から選択された1つが自号機の同期信号として使用される。従って、1つの同期信号形成手段又は同期信号検出手段から同期信号が得られない場合であっても別の同期信号形成手段又は同期信号検出手段から得られた同期信号によって同期運転を継続することができる。これにより、複数の無停電源装置の並列運転をできるだけ好ましい状態で継続することができる。
次に、図1〜図10を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1に示す実施例1に従う交流電力供給装置は、交流電源端子1と、交流出力端子2と、第1、第2及び第3の無停電電源装置(UPS)3a,3b,3cとを有している。交流電源端子1は例えば50Hzの三相商用交流電源(図示せず)に接続される。交流出力端子2は負荷4に接続されている。第1、第2及び第3の無停電電源装置3a,3b,3cは、交流電源端子1と交流出力端子2との間にそれぞれ接続されている。従って、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a,3b,3cは互いに並列に接続されている。
次に、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a,3b,3cを説明する。但し、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a,3b,3cはユニット化され、互いに同一に形成されているので、第1の無停電電源装置3aの内部を詳しく説明し、第2及び第3の無停電電源装置3b,3cの内部の詳しい説明を省略する。なお、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a,3b,3cにおいて互いに同一の回路要素に同一の参照数字が付され、この参照数字に第1、第2及び第3の無停電電源装置3a,3b,3cを区別するための添字a,b,cが付されている。
第1、第2及び第3の無停電電源装置3a,3b,3cは、バイパス出力スイッチ6a、6b、6cを含むバイパス給電回路5a、5b、5cと、AC−DC変換回路(コンバータ回路)7a,7b,7cと、蓄電手段としての蓄電池8a,8b,8cと、DC−AC変換回路(インバータ回路)9a,9b,9cと、インバータ出力スイッチ10a,10b,10cと、制御回路11a,11b,11cと、同期信号供給回路12a,12b,12cとを備えている。
バイパス給電回路5a、5b、5cのバイパス入力端子13a,13b,13cはバイパス入力スイッチ14a,14b,14cを介して交流電源端子1に接続されている。バイパス出力スイッチ6a、6b、6cはバイパス入力端子13a,13b,13cとUPS出力端子15a,15b,15cとの間に接続されている。
AC−DC変換回路7a,7b,7cはコンバータ入力端子16a,16b,16cとコンバータ入力スイッチ17a,17b,17cとを介して交流電源端子1に接続され、交流電源端子1から供給される交流電圧を直流電圧に変換して出力する。このAC−DC変換回路7a,7b,7cは、例えば周知の力率改善機能を有するAC−DC変換スイッチング回路とその制御回路とから成る。なお、このAC−DC変換回路7a,7b,7cは、蓄電池8a,8b,8cを充電できる別な回路、例えば周知の整流平滑回路で構成することもできる。また、AC−DC変換回路7a,7b,7cを、蓄電池8a,8b,8cを充電するためのそれぞれの第1のAC−DC変換回路とDC−AC変換回路9a,9b,9cに直流電圧を供給するためのそれぞれの第2のAC−DC変換回路との組み合わせで構成することができる。
AC−DC変換回路7a,7b,7cとDC−AC変換回路9a,9b,9cとの両方に接続された蓄電池8a,8b,8cはAC−DC変換回路7a,7b,7cから出力された直流電圧で充電され、停電時にDC−AC変換回路9a,9b,9cに直流電圧を供給する。
DC−AC変換回路9a,9b,9cの直流入力端子(図示せず)はAC−DC変換回路7a,7b,7cと蓄電池8a,8b,8cとに接続され、これらの交流出力端子(図示せず)はインバータ出力スイッチ10a,10b,10cを介してUPS出力端子15a,15b,15cに接続されている。DC−AC変換回路9a,9b,9cは、蓄電池8a,8b,8cから出力された直流電圧とAC−DC変換回路7a,7b,7cから出力された直流電圧とのいずれか一方又は両方を交流電圧に変換する。
第1の無停電電源装置3aのDC−AC変換回路9aは図2に示すように3相ブリッジ接続された第1、第2、第3、第4、第5及び第6のスイッチQ1 、Q2 、Q3 、Q4 、Q5 、Q6 と、第1〜第6のスイッチQ1 〜Q6 に対してそれぞれ逆方向並列に接続された第1、第2、第3、第4、第5及び第6のダイオードD1 、D2 、D3 、D4 、D5 、D6 とから成る。図2では第1〜第6のスイッチQ1 〜Q6 として絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ即ちIGBTが使用されているが、この代りにFET、トランジスタ等の別の制御可能な半導体スイッチを使用することができる。第1及び第2のスイッチQ1 、Q2の直列回路、第3及び第4のスイッチQ3 、Q4の直列回路、第5及び第6のスイッチQ5 、Q6の直列回路は対の直流入力端子31,32間に接続されている。 第1及び第2のスイッチQ1 、Q2の相互接続点、第3及び第4のスイッチQ3 、Q4の相互接続点、及び第5及び第6のスイッチQ5 、Q6の相互接続点は周知の高周波成分除去フィルタFを介して第1、第2及び第3相交流出力端子33、34、35に接続されている。なお、第2及び第3の無停電電源装置3、3cのDC−AC変換回路9b、9cは第1の無停電電源装置3aのDC−AC変換回路9aと同一に構成されているので、これらの詳細な説明を省略する。
図1の制御回路11a,11b,11cはDC−AC変換回路9a,9b,9cを制御するものであって、ライン18a,18b,18cによって同期信号供給回路12a,12b,12cに接続され、ライン19a,19b,19cによってDC−AC変換回路9a,9b,9cの交流出力端子に接続され、制御バス20a,20b,20cによってDC−AC変換回路9a,9b,9cに接続されている。
図2に第1の無停電電源装置3aの制御回路11aが詳しく示されている。制御回路11aは、DC−AC変換回路9aの第1〜第6のスイッチQ1〜Q6をオンオフ制御する周知の制御信号を形成するために第1及び第2のスイッチQ1,Q2の制御端子に接続された第1相制御回路36と、第3及び第4のスイッチQ3,Q4の制御端子に接続された第2相制御回路37と、第5及び第6のスイッチQ5,Q6の制御端子に接続された第3相制御回路38とを有する。第1、第2及び第3相制御回路36,37,38は、互いに位相差を有する制御信号を出力する点を除いて互いに同一に構成されているので、第1相制御回路36のみが詳しく示され、第2相制御回路37と第3相制御回路38がブロックで示されている。
第1相制御回路36は、第1及び第2のスイッチQ1 、Q2 の制御信号を形成するために、第1相基準電圧発生器80と、出力電圧検出回路81と、乗算器82と、比較器83と、鋸波発生器84と、駆動増幅回路85と、反転駆動増幅回路86とを有する。
基準電圧発生器80は、正弦波から成る第1相基準電圧 を発生するものであって、例えば正弦波データを格納するメモリからなり、図1の同期信号供給回路12aにライン18aを介して接続されている。この基準電圧発生器80はライン18aの同期信号に同期して第1相基準電圧を発生する。第2及び第3相制御回路37,38に同様に含まれている基準電圧発生器は第1相基準電圧と120度の位相差を順次に有する第2及び第3相基準電圧を発生する。なお、第1、第2及び第3相基準電圧を正弦波とする代わりに正弦波を全波整流した脈流波形にすることもできる。
出力電圧検出回路81は、周知の電圧帰還信号を形成するためのものであって、ライン19aによって第1の無停電電源装置3aのDC−AC変換回路9aの出力端子に接続された三相整流平滑回路と基準電圧源と誤差増幅器とから成る。誤差増幅器は三相整流平滑回路から得られた直流電圧と基準電圧源の基準電圧との差に対応する信号からなる電圧帰還信号を形成する。図2では出力電圧検出回路81が第1、第2及び第3相制御回路36,37,38で兼用され、出力電圧検出回路81から得られた電圧帰還信号は第2及び第3相制御回路37,38にも送られている。なお、第1、第2及び第3相制御回路36,37,38に個別の出力電圧検出回路を設けることもできる。
乗算器82の一方の入力端子は基準電圧発生器80に接続され、その他方の入力端子は出力電圧検出回路81に接続されている。従って、乗算器82は第1相基準電圧 に電圧帰還信号を乗算し、第1相基準電圧の振幅を補正する。
鋸波発生器84は、交流電源端子1の交流入力電圧、及び第1、第2及び第3相基準電圧の周波数(例えば50Hz)よりも十分に高い例えば20〜100kHz の繰返し周波数で鋸波電圧即ちキャリア波形を発生する。なお、鋸波発生器84の代りに三角発生器を設けることができる。図2では、鋸波発生器84が第1、第2及び第3相制御回路36,37,38で兼用されているが、第1、第2及び第3相制御回路36,37,38に個別に鋸波発生器を設けることもできる。
比較器83の一方即ち負入力端子は乗算器82に接続され、他方即ち正の入力端子は鋸波発生器84に接続されている。従って、比較器83は鋸波電圧と乗算器82の出力信号(正弦波)とを比較して周知のPWM信号から成るDC−AC変換用の第1相の制御信号を出力する。比較器83の出力端子は駆動増幅回路85を介して第1のスイッチQ1の制御端子に接続され、且つ反転駆動増幅回路86を介して第2のスイッチQ2の制御端子に接続されている。なお、反転駆動増幅回路86の代りに反転制御信号を形成するための比較器を設け、この比較器の正入力端子に乗算器82の出力信号を入力させ、この比較器の負入力端子に鋸波電圧を入力させて成る反転制御信号(反転PWM信号)を形成することもできる。
第2相制御回路37及び第3相制御回路38は出力電圧検出回路81及び鋸波発生器84が兼用されている点を除いて第1相制御回路36と同様に形成されており、第1相制御回路36と同様に第3〜第6のスイッチQ3 〜Q6 のための制御信号を形成する。
図1の第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの同期信号供給回路12a、12b、12cは、出力ライン18a、18b、18cを介して制御回路11a、11b、11cに同期信号を供給するものであって、バイパス入力検出ライン21a、21b、21cによってバイパス入力端子13a、13b、13cに接続され、コンバータ入力検出ライン22a、22b、22c、によってコンバータ入力端子16a、16b、16cに接続され、出力電圧検出ライン23a、23b、23cによってUPS出力端子15a、15b、15cに接続されている。また、同期信号供給回路12a、12b、12cに第1の他号機検出ライン24a、24b、24cと第2の他号機検出ライン25a、25b、25cとが接続されている。第1の無停電電源装置3aの同期信号供給回路12aのための第1の他号機検出ライン24aは第2の無停電電源装置3bの同期信号供給回路12bの出力ライン18bに接続され、第2の他号機検出ライン25aは第3の無停電電源装置3cの同期信号供給回路12cの出力ライン18cに接続されている。第2の無停電電源装置3bのための第1の他号機検出ライン24bは、第3の無停電電源装置3cの同期信号供給回路12cの出力ライン18cに接続され、第2の他号機検出ライン25bは第1の無停電電源装置3aの同期信号供給回路12aの出力ライン18aに接続されている。
図3に第1の無停電電源装置3aの同期信号供給回路12aの内部構成が示されている。なお、第2及び第3の無停電電源装置3b、3cの同期信号供給回路12b、12cも入出力ラインの接続先を除いて図3と同一に形成されているので、これ等の説明を省略する。図3の同期信号供給回路12aは、同期信号入力手段40を有する。この同期信号入力手段40には、第1、第2及び第3の同期信号形成手段として機能する第1、第2及び第3のゼロクロス検出回路41、42、43と、他号機同期信号検出手段としてのOR(論理和)回路44と、自号機同期信号形成手段としての発振器45とが含まれている。この同期信号入力手段40を同期信号形成手段と呼ぶこともできる。
第1のゼロクロス検出回路41はバイパス入力検出ライン21aに接続されており、バイパス給電回路の第1相交流入力電圧のゼロクロスの時点を示すパルスを形成し、これを第1の同期信号として出力する。第2のゼロクロス検出回路42は交流入力検出手段又はUPS入力検出手段としてのコンバータ入力検出ライン22aに接続されており、コンバータ入力端子16aにおける第1相交流入力電圧のゼロクロスの時点を示すパルスを形成し、これを第2の同期信号として出力する。第3のゼロクロス検出回路43は出力電圧検出ライン23aに接続されており、UPS出力端子15aにおける第1相交流出力電圧のゼロクロスの時点を示すパルスを形成し、これを第3の同期信号として出力する。第1、第2及び第3のゼロクロス検出回路41、42、43は例えばゼロクロス検出用比較器とこの比較器から得られるゼロクロス時点を示す信号に応答して所定幅のパルスを発生する発生回路(例えば単安定マルチバイブレータ)で構成することができ、正弦波の1周期に1個の同期信号(同期パルス)を発生する。
図3のOR(論理和)回路44は第1及び第2の他号機検出ライン24a、25aに接続された第1及び第2の入力端子を有し、他号機同期信号を出力する。即ち、第2及び第3の無停電電源装置3b、3cの同期信号供給回路12b、12cの何れか一方又は両方から同期信号が出力されている時に、OR回路44は他号機同期信号を出力する。なお、第1及び第2の他号機検出ライン24a、25a、又はこれ等とOR回路44とを合せた部分を他号機同期信号検出手段と呼ぶこともできる。
発振器45は、第1、第2及び第3のゼロクロス検出回路41、42、43及びOR回路44と同様に正弦波交流電圧の1周期に1個の割合で自走同期信号(クロックパルス)を発生する。この発振器45は後述から明らかなように第1、第2及び第3のゼロクロス検出回路41、42、43とOR回路44とのいずれからも同期信号が得られない時にDC−AC変換回路9aを個別に並列分担制御による自走モードで駆動するために設けられている。
同期信号入力手段40の出力段に同期信号選択手段46が設けられている。この同期信号選択手段46は、第1、第2及び第3のゼロクロス検出回路41、42、43から得られる第1、第2及び第3の同期信号とOR回路44とから得られる他号機同期信号と発振器45から得られる自走同期信号とから1つを選択して出力するものであって、同期信号選択スイッチ手段47とスイッチ切替制御回路48とから成る。
同期信号選択スイッチ手段47は、マルチプレクサと呼ぶことができるものであって、第1、第2及び第3のゼロクロス検出回路41、42、43と共通出力ライン49との間にそれぞれ接続された第1、第2及び第3の選択スイッチS1、S2、S3とOR回路44と共通出力ライン49との間に接続された第4の選択スイッチS4と、発振器45と共通出力ライン49との間に接続された第5の選択スイッチS5とから成る。第1、第2、第3、第4及び第5の選択スイッチS1、S2、S3、S4、S5の制御端子はスイッチ切替制御回路48の第1、第2、第3、第4及び第5の切替制御ラインA、B、C、D、Eにそれぞれ接続されている。
スイッチ切替制御回路48は、第1、第2、第3、第4及び第5の選択スイッチS1、S2、S3、S4、S5をこの順序と同一の優先順位を有してオン制御するものであって、ライン50によってバイパス入力検出ライン21aに接続され、ライン51によってコンバータ入力検出ライン22aに接続され、ライン52によって出力電圧検出ライン23aに接続され、ライン53によってOR回路44に接続され、ライン54によって発振器45に接続されている。
図3のスイッチ切替制御回路48の1例が図4に示されている。図4のスイッチ切替制御回路48は第1の判定手段としてのバイパス入力有無判定回路55、第2の判定手段としてのコンバータ入力有無判定回路56、第3の判定手段としての出力電圧有無判定回路57、第4の判定手段としての他号機同期信号有無判定回路73、及び第5の判定手段としての自走同期信号有無判定回路74を有する。バイパス入力有無判定回路55は、ライン50を介してバイパス検出ライン21aに接続され、バイパス給電回路の入力電圧が有る時に第1の電圧レベル(高レベル)の出力を発生し、無い時に第2の電圧レベル(低レベル)の出力を発生する。コンバータ入力有無判定回路56はライン51を介してコンバータ入力検出ライン22aに接続され、コンバータ入力電圧(交流入力電圧)が有る時に第1の電圧レベル(高レベル)の出力を発生し、無い時に第2の電圧レベル(低レベル)の出力を発生する。出力電圧有無判定回路57はライン52を介して出力電圧検出ライン23aに接続され、出力電圧が有る時に第1の電圧レベル(高レベル)の出力を発生し、無い時に第2の電圧レベル(低レベル)の出力を発生する。各判定回路55、56、57は、各ライン50、51、52に接続されたトランス58a、58b、58cと、各トランス58a、58b、58cの出力段に接続されたダイオード59a、59b、59cと平滑コンデンサ60a、60b、60cとから成る各整流平滑回路と、各コンデンサ60a、60b、60cに接続された一方の入力端子と各基準電圧源62a、62b、62cに接続された他方の入力端子とを有する比較器61a、61b、61cとから成る。他号機同期信号有無判定回路73はライン53を介して図3のOR回路44に接続され、自走同期信号有無判定回路74はライン54を介して図3の自走用の発信器45に接続されている。他号機同期信号有無判定回路73及び自走同期信号有無判定回路74のそれぞれは、バイパス入力有無判定回路55からトランス58aを省いた回路と同一、即ち、ダイオード59aと平滑コンデンサ60aと基準電圧源62aと比較器61aとから成る回路と同一に形成され、ライン53、54に同期信号が有る時に高レベル信号を出力し、同期信号が無い時に低レベル信号を出力する。なお、他号機同期信号有無判定回路73及び自走同期信号有無判定回路74のそれぞれを、同期信号が有る時にこれを保持して高レベル信号を出力する保持回路のみで構成することもできる。要するに、他号機同期信号有無判定回路73及び自走同期信号有無判定回路74は、他号機同期信号の有無、自走同期信号の有無を示す回路であれば、どのような回路であっても良い。
図4のスイッチ切替制御回路48は、所定の優先順位を有して図3の第1〜第5の選択スイッチS1〜S5をオン制御するための選択制御信号を形成する選択制御信号形成回路63を有している。選択制御信号形成回路63は優先順位決定回路と呼ぶこともできるものであり、ここでの優先順位は、バイパス入力有無判定回路55の高レベル出力、コンバータ入力有無判定回路56の高レベル出力、出力電圧有無判定回路57の高レベル出力、他号機同期信号有無判定回路73の高レベル出力、自走同期信号有無判定回路74の高レベル出力の順に低くなる。上記優先順位を決定するために選択制御信号形成回路63は、第1、第2、第3及び第4のNOT回路(否定回路)64、65、66、67と、第1、第2、第3及び第4のAND回路(論理積回路)68、69、70、71とを有している。バイパス入力有無判定回路55の出力端子はラインAを介して第1の選択スイッチS1の制御端子に接続されている。第1のANDゲート68の一方の入力端子は第1のNOT回路64を介してバイパス入力有無判定回路55に接続され、他方の入力端子はコンバータ入力有無判定回路56に接続され、出力端子はラインBを介して第2の選択スイッチS2に接続されている。第2のANDゲート69の第1の入力端子は第1のNOT回路64に接続され、第2の入力端子は第2のNOT回路65を介してコンバータ入力有無判定回路56に接続され、第3の入力端子は出力電圧有無判定回路57に接続され、出力端子はラインCを介して第3の選択スイッチS3の制御端子に接続されている。第3のANDゲート70の第1の入力端子は第1のNOT回路64に接続され、第2の入力端子は第2のNOT回路65に接続され、第3の入力端子は第3のNOT回路66を介して出力電圧有無判定回路57に接続され、第4の入力端子は他号機同期信号有無判定回路73に接続され、出力端子はラインDを介して第4の選択スイッチS4の制御端子に接続されている。第4のANDゲート71の第1の入力端子は第1のNOT回路64に接続され、第2の入力端子は第2のNOT回路65に接続され、第3の入力端子は第3NOT回路66に接続され、第4の入力端子は第4のNOT回路67を介して他号機検出ライン53に接続され、第5の入力端子は自走同期信号有無判定回路74に接続されている。なお、ライン50、51、52を図3のバイパス入力検出ライン21a、コンバータ入力検出ライン22a、出力電圧検出ライン23aに接続する代わりに、第1、第2及び第3のゼロクロス検出回路41,42、43に接続することもできる。
本願では、図3の同期信号選択スイッチ47と図4の選択制御信号形成回路63との組み合わせを優先選択手段と呼んでいる。図5に図4の選択制御信号形成回路63の5つのケースの入力状態と図3の同期信号選択スイッチ47の5つの選択スイッチS1〜S5との関係が示されている。なお、図5において、Hは同期信号が有ることを示し、Lは同期信号が無いことを示し、*印はH又はLのいずれか一方であることを示し、選択スイッチの欄は各ケースにおいてオンになる選択スイッチを示す。この図5から明らかなように選択制御信号形成回路63で決定される優先順位は、バイパス入力、コンバータ入力、UPS出力、他号機、自走発振器の順に低くなる。
図3の第1〜第5の選択スイッチS1〜S5の共通出力ライン49は、周知のPLL(Phase Locked Loop)回路75に接続されている。PLL回路75は、ローパスフイルタ(LPF)、電圧制御発振器(VCO)を含み、位相差検出器は共通出力ライン49の同期信号とゼロクロス検出回路76の出力信号との位相差を示す信号を形成する。ゼロクロス検出回路76はUPS出力端子15aに接続され、UPS出力電圧のゼロクロス時点で所定幅を有するパルスを出力する。なお、PLL回路75のためのゼロクロス検出回路76を省き、同期信号形成のためのゼロクロス検出回路43の出力をPLL回路75に入力させることができる。また、PLL回路75は同期信号の安定化又はノイズ除去等のためのものであるので、PLL回路75を省いても本発明に従う同期信号の供給は可能である。PLL回路75は同期信号供給回路12aの出力ライン18aを介して図1の制御回路11aに接続されている。
既に説明したように第2及び第3の無停電電源装置3b、3cの同期信号供給回路12b、12cは、第1の無停電電源装置3aの同期信号供給回路12aと同様に構成されているので、第2及び第3の無停電電源装置3b、3cにおいて同期信号の検出又は形成が正常に行うことができない場合には、第1の無停電電源装置3aと同様に複数の同期信号から所定の優先順位で選択されたものが同期信号として制御回路11b、11cに送られる。
図1の交流電力供給装置において、例えば、第1の無停電電源装置3aのバイパス給電回路5a、又はバイパス入力検出ライン21a、又はゼロクロス検出回路41等の故障のためにバイパス入力に基づく同期信号の形成が不可能になると、同期信号供給回路12aはコンバータ入力検出ライン22a、又は出力電圧検出ライン23a、又は第1及び第2の他号機検出ライン24a、25a、又は自走発振器45に基づく同期信号によって制御回路11aを駆動し、DC−AC変換回路9aを他号機と同期運転する。
また、図1の交流電力供給装置において、常時インバータ給電の場合は、コンバータ入力スイッチ17a、17b、17c、インバータ出力スイッチ10a、10b、10cをオンに保ち、バイパス出力スイッチ6a、6b、6cをオフに保つ。ここで、例えば、DC−AC変換回路(インバータ回路)9a、9b、9cの内の第1の無停電電源装置3aのDC−AC変換回路(インバータ回路)9aによる給電が不可能になった時には、インバータ出力スイッチ10aをオフにし、正常な第2及び第3の無停電電源装置3b、3cのDC−AC変換回路9b、9cによる給電を継続する。また、第1及び第2の無停電電源装置3a、3bのDC−AC変換回路(インバータ回路)9a、9bによる給電が不可能になった時には、インバータ出力スイッチ10a、10b、10cをオフにし、バイパス出力スイッチ6a、6b、6cをオンにしてバイパス給電で負荷4に電力を供給する。バイパス給電回路5a,5b,5cによる給電の要否は負荷4の電流容量を考慮して任意に決定できる。
上述から明らかなように本実施例は次の効果を有する。
(1) バイパス入力に基づく同期信号、コンバータ入力に基づく同期信号、UPS出力に基づく同期信号、他号機に基づく同期信号、及び発信器45に基づく同期信号からなる複数の同期信号が用意されている。従って、1つの同期信号の形成又は検出が不可能になっても別の同期信号を使用して複数のUPSの同期運転即ち並列運転を継続することができ、電力供給の信頼性が向上する。
(2) 複数の同期信号からランダムに1つを選択するのではなく、同期運転を良好に実行するために優位な順に同期信号を選択するので、より良い状態で同期運転を継続することができる。なお、同期状態が良好であれば、複数の無停電電源装置3a、3b、3c間の出力電流のバランスが良くなる。
(3) 自走用の発振器45を含むので、自号機の交流入力又は交流出力に基く同期信号の形成、及び他号機の同期信号の検出が不可能になった場合でも、DC−AC変換回路9aを駆動することができる。
次に、図6〜図9を参照して実施例2の交流電力供給装置を説明する。但し、図6〜図9において図1〜図5と実質的に同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図6の実施例2の交流電源供給装置は、変形された同期信号供給回路12a´、12b´、12c´を設け、且つ図1の第1及第2の他号機検出ライン24a、24b、24c、25a、25b、25cの代わりに第1、第2及び第3の連係バス91、92、93を設け、この他は実施例1と同一に形成したものである。
互いに同一に形成されている第1、第2及び無停電電源装置3a、3b、3cの同期信号供給回路12a´12b´12c´は、図1の同期信号供給回路12a、12b、12cと同期信号の決定方法において相異し、自号機の優先順位よりも高い優先順位の他号機の同期信号がある場合には、これを自号機の同期信号として使用するように構成されている。例えば、自号機の最高位の優先順位の同期信号が無い時に、もし他号機の最高位の優先順位の同期信号が有る場合はこれを自号機で使用する。また、最高位の優先順位よりも低い順位以上の同期信号が無い場合も、もし、他号機にこの低い順位以上の同期信号が有る場合にはこれを自号機で使用する。
図7は図6の第1の無停電電源装置3aの同期信号供給回路12a´を詳しく示す。図7において図3と実質的に同一の部分に同一の参照符号を付し、その説明を省略する。図7の同期信号供給回路12a´は、変形された同期信号入力手段40´と変形された同期信号選択手段46´とを有する。同期信号形成手段と呼ぶこともできる同期信号入力手段40´は、図3の同期信号入力手段40から他号同期信号が入力するOR回路44を省いたものに相当する。同期信号選択手段46´は同期信号有無判定回路48´と変形された選択制御信号形成回路63´と変形された同期信号選択スイッチ手段47´とを有する。詳しく図示されていない第2及び第3の無停電電源装置3b、3cの同期信号供給回路12b´、12c´も図7の同期信号供給回路12a´と同一原理で構成されている。なお、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの同期信号供給回路12a´、12b´12c´を区別するために、同期信号有無判定回路48´の出力ラインを第1の無停電電源装置3aにおいてはA1、B1、C1、E1で示し、第2の無停電電源装置3bにおいてはA2、B2、C2、E2で示し、第3の無停電電源装置3cにおいてはA3、B3、C3、E3で示す。また、ゼロクロス検出回路41、42、43の出力ライン及び自走発振器45の出力ラインを、第1の無停電電源装置3aにおいては41a、42a、43a、45aで示し、第2の無停電電源装置3bにおいては41b、42b、43b、45bで示し、第3の無停電電源装置3cにおいては41c、42c、43c、45cで示す。また、図6の第1の連係バス91は、第1の無停電電源装置3aにおける出力ラインA1、B1、C1、E1、41a、42a、43a、45aの信号を伝送し、第2の連係バス92は第2の無停電電源装置3bにおける出力ラインA2、B2、C2、E2、41b、42b、43b、45bの信号を伝送し、第3の連係バス93は第3の無停電電源装置3cにおける出力ラインA3、B3、C3、E3、41c、42c、43c、45cの信号を伝送する。
図8に詳しく示す同期信号有無判定回路48´は、図4のスイッチ切替制御回路48から選択制御信号形成回路63を省いたものに相当し、図4と同一のバイパス入力有無判定回路55とコンバータ入力有無判定回路56と出力電圧有無判定回路57と自走同期信号有無判定回路74とから成る。図8の出力ラインA1、B1、C1、E1は同期信号有無判定結果を出力するものであり、高レベル(H)の時に同期信号が有ることを示し、低レベル(L)の時に同期信号が無いことを示す。既に説明したように、第2及び第3の無停電電源装置3b、3cにおいては、図8の出力ラインA1、B1、C1、E1がA2、B2、C2、E2及びA3、B3、C3、E3に置き換えられる。
図9において同期信号選択スイッチ手段47´に対して第1の無停電電源装置3aにおける出力ライン41a、42a、43a、45aが接続されている他に、第2及び第3の連係バス92、93に含まれている第2の無停電電源装置3bにおける出力ライン41b、42b、43b、45b及び第3の無停電電源装置3cにおける出力ライン41c、42c、43c、45cが接続されている。また、同期信号選択スイッチ47´を制御するためにここに選択制御信号形成回路63´が接続されている。選択制御信号形成回路63´は、自号機(第1の無停電電源装置3a)における同期信号有無判定回路48´の出力ラインA1、B1、C1、E1に接続されている他に、第2の無停電電源装置3b(他号機)における出力ラインA2、B2、C2、E2及び第3の無停電電源装置3c(他号機)における出力ラインA3、B3、C3、E3にも接続され、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの全ての同期信号中から最も高い優先順位の同期信号を選び出す機能を有する。換言すれば、選択制御信号形成回路63´は、自号機よりも高い優先順位の同期信号が他号機にあるか否かも判定し、総合的に同期信号の優先順位を決定する。
図9は図7の同期信号選択スイッチ手段47´と選択制御信号形成回路63´との1例を詳しく示すものである。この同期信号選択スイッチ手段47´は図3の同期信号選択スイッチ手段47を変形したものであって、自号機の優先順位と他号機の優先順位との両方を考慮して同期信号を選択するために、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11及び第12の選択スイッチ95a、95b、95c、95d、95e、95f、95g、95h、95i、95j、95k、95lを有している。第1の選択スイッチ95aは最も優先順位の高い同期信号を選択し、第12の選択スイッチ95lは最も低い優先順位の同期信号を選択する。第1、第4、第7、第10の選択スイッチ95a、95d、95g、95jは第1の無停電電源装置3aにおける図7及び図8に示す出力ライン41a、42a、43a、45aと共通出力ライン49との間に接続されている。第2、第5、第8、第11の選択スイッチ95b、95e、95h、95kは第2の無停電電源装置3bから導出されている第2の連係バス92に属する出力ライン41b、42b、43b、45bと共通出力ライン49との間に接続されている。第3、第6、第9及び第12の選択スイッチ95c、95f、95i、95lは第3の連係バス93に属する出力ライン41c、42c、43c、45cと共通出力ライン49との間に接続されている。第1〜第12の選択スイッチ95a〜95lは、これ等の制御端子が高レベルの時にオン状態になる。
図9には第1の無停電電源装置3aのための同期信号選択スイッチ手段47´が示されているので、第1、第4、第7及び第10の選択スイッチ95a、95d、95g、95jに自号機の出力ライン41a、42a、43a、45aが接続されているが、第2の無停電電源装置3bが自号機の場合にはこれに代わって出力ライン41b、42b、43b、45bが接続され、第3の無停電電源装置3cが自号機の場合にはこれに代わって出力ライン41c、42c、43c、45cが接続される。上記以外の選択スイッチも図9の第1の無停電電源装置3aが自号機の場合と同一の原理で接続される。なお、第1〜第12の選択スイッチ95a〜95lをAND回路に置き換えることができる。また、第1〜第12の選択スイッチ95a〜95lと共通の出力ライン49との間にOR回路を介在させることもできる。
選択制御信号形成回路63´は第1〜第12の選択スイッチ95a〜95lのいずれか1つのみをオン状態(同期信号伝送状態)にするためのものであって、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10及び第11のAND回路96a、96b、96c、96d、96e、96f、96g、96h、96i、96j、96k、及び第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10及び第11のNOT回路97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g、97h、97i、97j、97kから成る。
自号機(第1の無停電電源装置3a)の出力ラインA1は第1の選択スイッチ95aの制御端子に接続されている。従って、自号機のバイパス入力が有ることを示す高レベル信号がラインA1に有る時には、第1の選択スイッチ95aがオンになり、優先順位が最も高い自号機のバイパス入力に基く同期信号が出力ライン41aから共通出力ライン49に伝送される。この時、自号機の第2〜第12の選択スイッチ95b〜95lはオフに保たれる。
第1のAND回路96aの一方の入力端子は第1のNOT回路97aを介して第1の順位を示す自号機(第1の無停電電源装置3a)の出力ラインA1に接続され、その他方の入力端子は他号機(第2の無停電電源装置3b)の第2の順位を示す出力ラインA2に接続され、その出力ラインは第2の選択スイッチ95bの制御端子に接続されている。従って、自号機のバイパス入力に基づく第1の順位の同期信号が無いことを示す信号が自号機の出力ラインA1に得られ、且つ第2の無停電電源装置3bのバイパス入力に基づく同期信号が有ることを示す信号が出力ラインA2に得られている時には、第1のAND回路9aの出力が同期信号が有ることを示す高レベルになり、第2の選択スイッチ95bがオンになり、ここを他号機(第2の無停電電源装置3b)の出力ライン41bの同期信号が通過する。
第2のAND回路96bの第1の入力端子は第2のNOT回路97bを介して第1のAND回路96aに接続され、第2の入力端子は第1のNOT回路97aに接続され、第3の入力端子は他号機の出力ラインA3に接続され、出力端子は第3の選択スイッチ95cの制御端子に接続されている。従って、出力ラインA1、A2の両方が同期信号が無いことを示す低レベルであると共に出力ラインA3が同期信号が有ることを示す高レベルの時に、第2のANDゲート96bの出力が高レベルになり、第3の選択スイッチ95cがオンになり、他号機の出力ライン41cの同期信号が伝送される。
第3のAND回路96cの一方の入力端子は第3のNOT回路97cを介して第2のAND回路96bに接続され、他方の入力端子は自号機の出力ラインB1に接続され、出力端子は第4の選択スイッチ95dの制御端子に接続されている。従って、バイパス入力の有無を示す出力ラインA1、A2、A3の全てがバイパス入力が無いことを示す低レベルであり且つ自号機の出力ラインB1がコンバータ入力が有ることを示す高レベルの時に第3のAND回路96cの出力が高レベルになり、第4の選択スイッチ95dは自号機の出力ライン42aの同期信号を出力する。
第4のAND回路96dの第1の入力端子は第4のNOT回路97dを介して第3のAND回路96cに接続され、第2の入力端子は第3のNOT回路97cを介して第2のAND回路96bに接続され、第3の入力端子は他号機の出力ラインB2に接続され、出力端子は第5の選択スイッチ95eの制御端子に接続されている。従って、出力ラインA1、A2、A3の全てがバイパス入力が無いことを示す低レベルであり、且つ自号機の出力ラインB1がコンバータ入力が無いことを示す低レベルであり且つ他号機の出力ラインB2がコンバータ入力が有ることをことを示す高レベルの時に、第4のAND回路96dの出力が高レベルになり、第5の選択スイッチ95eがオンになり、ライン42bの他号機の同期信号が出力される。
第5のAND回路96eの第1の入力端子は第5のNOT回路97eを介して第4のAND回路96dに接続され、第2の入力端子は第3のNOT回路97cに接続され、第3の入力端子は他号機の出力ラインB3に接続され、出力端子は第6の選択スイッチ95fの制御端子に接続されている。従って、出力ラインA1、A2、A3、B1、B2の全てが低レベルであり且つ出力ラインB3が高レベルの時に第5のAND回路96eの出力が高レベルになり、第6の選択スイッチ95fがオンになり、ライン42cのコンバータ入力に基づく同期信号が出力される。
第6のAND回路96fの一方の入力端子は第6のNOT回路97fを介して第5のAND回路96eに接続され、他方の入力端子は自号機の出力ラインC1に接続され、出力端子は第7の選択スイッチ95gの制御端子に接続されている。従って、バイパス入力の有無を示す出力ラインA1、A2、A3の全てがバイパス入力が無いことを示す低レベルであり、且つコンバータ入力の有無を示す出力ラインB1、B2、B3の全てがコンバータ入力が無いことを示す低レベルであり且つ自号機の出力ラインがUPS出力が有ることを示す高レベルの時に、第6のAND回路96fの出力が高レベルになり、第7の選択スイッチ95gは自号機の出力ライン42aの同期信号を出力する。
第7のAND顔路96gの第1の入力端子は第7のNOT回路97gを介して第6のAND回路96fに接続され、第2の入力端子は第6のNOT回路97fを介して第5のAND回路96eに接続され、第3の入力端子は他号機の出力ラインC2に接続され、出力端子は第8の選択スイッチ95hの制御端子に接続されている。従って、出力ラインA1、A2、A3の全てがバイパス入力が無いことを示す低レベルであり且つ出力ラインB1、B2、B3の全てがコンバータ入力が無いことを示す低レベルであり且つ自号機の出力ラインC1がUPS出力が無いことを示す低レベルであり且つ他号機の出力ラインC2がUPS出力が有ることを示す高レベルの時に、第7のAND回路96gの出力が高レベルになり、第8の選択スイッチ95hがオンになり、ライン34bの他号機の同期信号が出力される。
第8のAND回路96hの第1の入力端子は第8のNOT回路97hを介して第7のAND回路96gに接続され、第2の入力端子は第6のNOT回路97fに接続され、第3の入力端子は他号機の出力ラインC3に接続され、出力端子は第9の選択スイッチ95iの制御端子に接続されている。従って、出力ラインA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2の全てが低レベルであり且つ出力ラインC3が高レベルの時に、第8のAND回路96hの出力が高レベルになり、第9の選択スイッチ95iがオンになり、ライン43cのUPS出力に基づく同期信号が出力される。
第9のAND回路96iの一方の入力端子は第7のNOT回路の97iを介して第8のAND回路96hに接続され、他方の入力端子は自号機の出力ラインE1に接続され、出力端子は第10の選択スイッチ95jの制御端子に接続されている。従って、ラインA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3の全てが低レベルであり、且つ自号機の出力ラインE1が自走発振器45の出力が有ることを示す高レベルの時に、第9のAND回路96iの出力が高レベルになり、第10の選択スイッチ95jはオンになり、自号機の出力ライン45aの同期信号を出力する。
第10のAND回路96jの第1の入力端子は第10のNOT回路97jを介して第9のAND回路96iに接続され、第2の入力端子は第9のNOT回路97iを介して第8のAND回路96hに接続され、第3の入力端子は他号機の出力ラインE2に接続され、出力端子は第11の選択スイッチ95kの制御端子に接続されている。従って、出力ラインA1、A2、A3、B1、B2、B3、E1の全てが低レベルであり且つ他号機の出力ラインE2が自走発振器45の出力が有ることを示す高レベルの時に、第10のAND回路96jの出力が高レベルになり、第11の選択スイッチ95kはオンになり、ライン45bの他号機の同期信号を出力する。
第11のAND回路96kの第1の入力端子は第11のNOT回路97kを介して第10のAND回路96jに接続され、第2の入力端子は第9のNOT回路97iに接続され、第3の入力端子は他号機の出力ラインE3に接続され、出力端子は第12の選択スイッチ95cの制御端子に接続されている。従って、出力ラインA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3、E1、E2の全てが低レベルであり且つ出力ラインE3が高レベルの時に、第11のAND回路96kの出力が高レベルになり、第12の選択スイッチ95lはオンになり、ライン45cの自走発振器45の出力に基づく最も優先順位の低い同期信号を出力する。
図9の選択制御信号形成回路63´は第1の無停電電源装置3aを自号機として示されているが、第2の無停電電源装置3bが自号機の場合には、図9の出力ラインA1、B1、C1、E1が出力ラインA2、B2、C2、E2に置き換えられる。また、第3の無停電電源装置3cが自号機の時には、図9の出力ラインA1、B1、C1、E1が出力ラインA3、B3、C3、E3に置き換えられる。
図10は第1〜第12のケースにおける図9の選択制御信号形成回路63´の入力ラインA1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2,C3,E1,E2,E3の状態と第1〜第12の選択スイッチ95a〜95lとの関係を示す。なお、図10において、Hは入力ラインに同期信号が有ることを示し、Lは入力ラインに同期信号が無いことを示し、*印はH又はLのいずれか一方であることを示し、選択スイッチの欄は各ケースにおいてオンになる選択スイッチを示す。
実施例2の第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの並列運転中に同期信号が欠落した時の代表的な動作を次に説明する。
(1) 図10のケース2に示すように、第1の無停電電源装置3aのバイパス入力が無いために入力ラインA1がLの時には、これに基づく同期信号が得られないので、選択スイッチ95bをオンにして第2の無停電電源装置3bのバイパス入力に基づく同期信号によって第1の無停電電源装置3aを運転する。この時、第2の無停電電源装置3bは自号機のバイパス入力に基づく同期信号で運転される。第3の無停電電源装置3cは自号機のバイパス入力に基づく同期信号が有る場合にはこれにより運転され、無い場合には第2の無停電電源装置3bのバイパス入力に基づく同期信号によって運転される。
(2) 図10のケース4に示すように第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの全てのバイパス入力が無く、第1の無停電電源装置3aのコンバータに入力に基づく同期信号が有る時は、第1の無停電電源装置3aは自号機のコンバータ入力に基づく同期信号で運転される。第2及び第3の無停電電源装置3b、3cは、自号機のコンバータ入力に基づく同期信号が有る時には自号機のコンバータ入力に基づく同期信号で運転され、無い時には第1の無停電電源装置3aのコンバータ入力に基づく同期信号で運転される。
(3) 図10のケース5に示すように第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cのバイパス入力に基づく同期信号が無く、且つ第1の無停電電源装置3aのコンバータ入力に基づく同期信号が無く、第2の無停電電源装置3bのコンバータ入力に基づく同期信号が有る時には、第1の無停電電源装置3aは第2の無停電電源装置3bのコンバータ入力に基づく同期信号で運転される。第3の無停電電源装置3aは自号機又は第2の無停電電源装置3bのコンバータ入力に基づく同期信号で運転される。
上述では、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの同期信号選択スイッチ手段47´及び選択制御信号形成回路63´を自号機と他号機とで異なる構成にしたが、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの同期信号選択スイッチ手段47´及び選択制御信号形成回路63´を全て同一の構成にすることができる。このように同期信号選択スイッチ手段47´及び選択制御信号形成回路63´が第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの全てにおいて同一構成の場合には、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの全てが図9の論理回路に従って図10に示すように動作する。例えば、図10のケース2に示すように、第1の無停電電源装置3aのバイパス入力が無いために入力ラインA1がLであるが、入力ラインA2がHの時には、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの全てにおいて選択スイッチ95bがオンになり、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの全てが第2の無停電電源装置3bのバイパス入力に基づく同期信号によって運転される。即ち、例えばバイパス入力に基づく同期信号のように同じ種類(重要度)の同期信号であっても第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの順に選択(優先)順位が低下する。自号機と他号機とにおける同じ種類の同期信号の内容は本質的に同一であるので、他号機の同じ種類の同期信号で自号機を運転しても差し支えない。この変形例は、第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの同期信号選択スイッチ手段47´及び選択制御信号形成回路63´を全て同一の構成にすることができるので、構成が容易になるという特長、及び第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cの全てが同一の同期信号で運転されるので、同期が確実に取れるという特長を有する。
実施例2及びこの変形例の交流電力供給装置は、実施例1と同様な効果を有する他に、自号機の同期信号よりも高い優先順位の他号機の同期信号が有る時にはこの他号機の同期信号を使用するので、より安定的な並列運転が可能になるという効果を有する。
本発明は上述の実施例に限定されるものでなく、例えば次の変形が可能なものである。
(1)バイパス入力検出ライン21aと、コンバータ入力検出ライン22aと、UPS出力検出ライン23aと、他号機の同期信号検出手段としてのOR回路44とから選択された2つ、又は3つのみを設けることができる。
(2)バイパス入力検出ライン21aとコンバータ入力検出ライン22aと、UPS出力検出ライン23aから選択された1つのみを自号機検出手段として設けることができる。この場合における実施例1の同期信号の優先順位は、上記の選択された1つの自号機検出手段に基づく同期信号、他号機の同期信号、発信器45に基づく同期信号の順になる。また、実施例2の同期信号の優先順位は、上記の選択された1つの自号機検出手段に基づく同期信号、発信器45に基づく同期信号の順になる。
(3)選択制御信号形成回路63,63´をこれと等価な働きをする別の論理回路又はマイクロコンピュータを用いて構成することができる。また、選択制御信号形成回路63、63´及び同期信号選択スイッチ手段47,47´を負論理で動作するように構成することができる。
(4) 図1では、共通の交流電源端子1にバイパス給電回路5a、5b、5cとUPS給電(インバータ給電)回路との両方が接続されているが、バイパス給電用電源端子とUPS給電用電源端子とを個別に設けることができる。
(5) 図1からバイパス給電回路5a、5b、5cを省いた構成にすることができる。
(6) 第1、第2及び第3の無停電電源装置3a、3b、3cに個別にバイパス給電回路5a、5b、5cを設ける代わりに共通のバイパス給電回路を設けることもできる。
(7) バイパス給電回路5a、5b、5c及びUPS給電(インバータ給電)回路にトランスを含めることができる。
(8) 本発明を単相交流電力供給装置にも適用することができる。
(9) 制御回路11a、11b、11c及び同期信号供給回路12a、12b、12cの一部又は全部をデジタル回路で構成することができる。
(10)図3の同期信号形成手段としての第1、第2及び第3のゼロクロス検出回路41、42、43、同期信号検出手段としてOR(論理和)回路44、自走同期信号発生回路としての発振器45の全てを設ける代わりに、これ等から選択された2つ又は3つ又は4つのみを設けることができる。また、図4の第1の判定手段としてのバイパス入力有無判定回路55、第2の判定手段としてのコンバータ入力有無判定回路56、第3の判定手段としての出力電圧有無判定回路57、第4の判定手段としての他号機同期信号有無判定回路73、及び第5の判定手段としての自走同期信号有無判定回路74の全てを設ける代わりに、これ等から選択された2つ又は3つ又は4つのみを設けることができる。同様に、図7において、第1、第2及び第3のゼロクロス検出回路41、42、43、自走同期信号発生回路としての発振器45の全てを設ける代わりに、これ等から選択された1つ又は2つ又は3つのみを設けることができる。また、図8の第1の判定手段としてのバイパス入力有無判定回路55、第2の判定手段としてのコンバータ入力有無判定回路56、第3の判定手段としての出力電圧有無判定回路57、及び第4の判定手段としての自走同期信号有無判定回路74の全てを設ける代わりに、これ等から選択された1つ又は2つ又は3つのみを設けることができる。
本発明の実施例1に従う交流電力供給装置を示すブロック図である。
図1のDC−AC変換制御回路を詳しく示す回路図である。
図1の同期信号供給回路を詳しく示す回路図である。
図3のスイッチ切替制御回路を詳しく示す回路図である。
図3のスイッチ切替制御回路による同期信号の優先順位の決定を説明するための図である。
本発明の実施例2に従う交流電力供給装置を示すブロック図である。
図6の同期信号供給回路を詳しく示す回路図である。
図7の同期信号有無判定回路を詳しく示す回路図である。
図7の選択制御信号形成回路及び同期信号選択スイッチ手段を詳しく示す回路図である。
図9の選択制御信号形成回路及び同期信号選択スイッチ手段に従う同期信号の優先順位の決定を説明するための図である。
符号の説明
1 交流電源端子
2 交流出力端子
3a、3b、3c 無停電電源装置
5a、5b、5c バイパス給電回路
8a、8b、8c 蓄電池
9a、9b、9c DC−AC変換回路
11a、11b、11c 制御回路
12a、12b、12c 同期信号供給回路
40 同期信号入力手段
46 同期信号選択手段