JP4841051B2 - 延伸フィルムによる包装装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、延伸フィルムによる包装装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被包装体をプラスチックフィルムで包装する包装装置として、特公昭59−46845号公報や特願平11−104963号公報等に記載されたものが知られている。
これらの包装装置は、被包装体を搬送しつつ、このときの搬送軸を中心として被包装体まわりにプラスチックフィルムのロール体を公転させることにより、ロール体から巻き出される帯状のプラスチックフィルムを、その幅方向の一部を重合させながら被包装体に螺旋状に巻回させるというものである。
【0003】
これらの包装装置において、被包装体が搬送されるときには、包装単位ごとの相互間に所定間隔の区分隙間を保持させており、この区分隙間でもプラスチックフィルムの巻回を連続して行うようになっている。そのため、上記の区分隙間にはプラスチックフィルムの空環部が形成されることとなる。
そこで、プラスチックフィルムの巻回が終わった段階で、切断装置によりこの空環部を切断して、包装単位ごとに包装体の切り離しを行うようにしていた。
【0004】
なお、この切断装置には、ニクロム線等の切断具を上下動させる電気抵抗切断(溶断)方式を採用しており、プラスチックフィルムの切断と同時に、その切断口のプラスチックフィルムを溶かし込んで縮径させ、またその縮径状態を溶着固化(包装材としての端部処理)させるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の各包装装置にあって、上記切断装置は、切断具の上下動駆動を例えば空気圧シリンダ等によって行っていた。
すなわち、切断具は、プラスチックフィルムの空環部へ向けて真っ直ぐに下降し、また真っ直ぐに上昇するという単一な動きを行っていることになる。
【0006】
このような構成であると、被包装体の搬送時にあって、被包装体の相互間に保持させる区分隙間をある程度広く形成させるか、又は搬送速度を遅く設定するか、又は搬送状態を間欠的なものとさせるかしないと、切断具がその上下動中に被包装体と接触干渉を起こしてしまうということがあった。
しかし、このいずれの対処法を採用するとしても、包装装置としての稼働効率が低下することは必定であり、作業化率(包装体としての生産性)が劣るものであると言わなければならない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、包装装置としての稼働効率を高めることにより、作業化率(包装体としての生産性)の向上を図ることができる延伸フィルムによる包装装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る延伸フィルムによる包装装置は、搬入部、巻付部、取出部がこの順番で設けられたものであって、上記巻付部は、相互間に区分隙間を形成させた被包装体を連続搬送しつつ上記区分隙間をも続けて延伸フィルムを巻き付け可能になっている。
【0009】
また上記取出部は、上記巻付部を経た包装体を継続して連続搬送し、搬送方向の中途部にU字状の凹み部が設けられた駆動コンベアと、包装体の区分隙間に形成された延伸フィルムの空環部が上記駆動コンベアの上記凹み部に到達したときに、上記空環部を狙ってカッターを上下動可能にした切り出し部とを有している。
【0010】
そして、上記切り出し部によるカッターの上下動は、駆動コンベアの搬送速度に同調しつつ下降及び上昇させるV字状軌道を含んだものとなっている。
このようなことから、カッターを上下動させる間も駆動コンベアは停止させる必要がなく(すなわち、連続搬送できるものである)、また被包装体の相互間に保持させる区分隙間を広く形成させる必要はなく、その搬送速度を遅くさせる必要もない。
【0011】
切り出し部のカッターは、延伸フィルムの空環部を溶断するものとすればよい。
この場合、少なくとも切り出し部はカバーにより覆うものとして、このカバーには、延伸フィルムの溶断で発生したガス用の排煙部を設けておくのが好適である。
【0012】
このようにすることで、作業環境を異臭等で汚染させずに、良質に維持させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1及び図2は、本発明に係る延伸フィルムによる包装装置1の一実施形態について、その全体を示したものである。
図3にその一例を示すように、この包装装置1は、横倒しの円筒体2aを長方形台2b上へ載せたような形体のカバー2によって全体が覆われるようになっており、その上流側及び下流側にはベルトコンベアやローラコンベア等の適宜搬送手段3,4が接続されて所定の工程間等へ設置される。
【0014】
図4は、この包装装置1によって包装された包装体5の一例を示しており、被包装体6に対してその周りにプラスチックフィルム7が被覆されたものとなっているが、被包装体6は、白ボール紙製とされた正方形状の薄型の箱体6aを複数個(図例では3個)整列させたものとしてあり、プラスチックフィルム7は、被包装体6において各箱体6aが並べられた方向に沿うようにしつつ、この被包装体6の周りを螺旋状に巻回されたものとなっている。
【0015】
被包装体6は、正方形状の薄型の箱体に限られるものではなく、例えば、ハーフトレー(瓶などを縦横に複数本整列配置し、各瓶などの足下を規制するようにされたトレーであり、瓶などの高さの半分或いはそれ以下、又はそれ以上であっても瓶などの全高さを有しないもの)に整列した瓶、缶、ボトルなど、更に、上下又は左右に積層或いは整列される長尺の板材、棒材、管材、パネル等、自動車、家電製品、ゴミ、紙、アルミやスチールなどの缶類など圧縮機により加圧圧縮固形定型化された廃棄物など、一定の形状に保持されており、フィルムを螺旋状に巻き付けることにより、荷崩れしない包装体として形成可能な物品であれば適用可能である。
【0016】
言うまでもなく、各箱体6aはその1個1個としても被包装体である。
なお、被包装体6の両端部では、プラスチックフィルム7が溶断されると、延伸フィルムであるので切断口が縮径すると共に、切断端は溶着固化されている。
上記プラスチックフィルム7は、帯状をしたものがロール体として巻回されて準備されており、被包装体6へ巻回される段階で、帯状の長手方向及び幅方向の双方に延伸された状態とされる(以下、「延伸フィルム」と言い換える)。
【0017】
そして、被包装体6への巻回状態として、帯状としての幅方向の一部が適量だけ重合される(図示略)ようになっている。
更に、この延伸フィルム7は、その螺旋軸方向に沿って巻回方向を互いに逆向きにするようにして二重螺旋に重ね合わされている。すなわち、延伸フィルム7には、第1被覆層を形成するものと第2被覆層を形成するものとがある。
【0018】
そして、この延伸フィルム7に対し、包装体5の側面に対応する位置付けで上記螺旋軸に沿って1本又は複数本の切り取り部8が、互いに平行、近接して設けられている。
本実施形態では、切り取り部8を2本にしたので、これら2本の切り取り部8の相互間に、細帯状の引きちぎり片9を形成可能になっている。
【0019】
この包装体5では、図5に示すように、延伸フィルム7の巻回作用(巻き締め力)によってヒシャゲやツブレ等の変形を起こした不良品Xとなることはなく、また各箱体6aがねじれ状の位置ズレを起こした不良品Yとなることもなく、綺麗な包装状態が得られている。
図1及び図2において、上記包装装置1は、搬入部10、巻付部11、取出部12がこの順番で設けられている。
【0020】
まずこれらの概略構成を説明すると、搬入部10は、駆動コンベア15と、転倒防止手段16とを有している。
また巻付部11は、両面コンベア17と、巻付装置18と、位置ズレ防止手段19とを有している。
そして取出部12は、切取形成部20と、駆動コンベア21と、切り出し部22とを有している。
【0021】
これらのうち、まず巻付部11から説明する。
図6は、この巻付部11を理解しやすいように簡素化して示したものである。
この図6から明らかなようなように、この巻付部11では、両面コンベア17と位置ズレ防止手段19とで被包装体6の上下両面を挟持状に支えながらこの被包装体6を搬送しつつ、この搬送途中に、巻付装置18が具備する延伸フィルム7のロール体25を被包装体6のまわりで公転させ、このとき同時に延伸フィルム7を繰り出させることによって、両面コンベア17と位置ズレ防止手段19とを含めた被包装体6全体に、延伸フィルム7を巻回させるものとなっている。
【0022】
この巻付部11において、両面コンベア17は、主コンベア30と副コンベア31とを、上側が主コンベア30となり下側が副コンベア31となるように、上下に組み合わしたものである。
主コンベア30は、上面を支持面30aとするエンドレスのベルトコンベアであって、被包装体6を搬入部10側から取出部12側へ向けて搬送するものである。
【0023】
副コンベア31は、下面を支持面31aとするエンドレスのベルトコンベアであって、延伸フィルム7を上記被包装体6と同調させつつ搬送するものである。
位置ズレ防止手段19は、上記両面コンベア17上を搬送されつつある被包装体6に対し、その位置ズレを防止するためのものである。
この位置ズレ防止手段19にも、主コンベア34と副コンベア35とを上下に組み合わせた両面コンベア36を使用することができる。
【0024】
ただ、この位置ズレ防止手段19として使用する両面コンベア36において、上側に設けるものは副コンベア35とし、下側に設けるものは主コンベア34としてある。
従って、主コンベア34の下面が押圧面34aとなって、被包装体6を搬入部10側から取出部12側へ向けて押圧保持するようになり、副コンベア35の上面が支持面35aとなって延伸フィルム7を上記被包装体6と同調させつつ搬送するものである。
【0025】
この両面コンベア36には、主コンベア34の押圧面34aを被包装体6へ向けて付勢するための付勢手段40が設けられている。
本実施形態において、この付勢手段40には、押圧面34aの裏側(上面)に当接させたシュー41をバネ等の弾性材42によって下向きに押圧するといった簡潔な構造を採用した。この他、種々の構造を採用することができる。例えば、弾性材42にスポンジを用い、シュー41としてテフロンなどのテープを用い、テープをスポンジに張り合わせ、弾性を有し摩擦係数の小さい積層タイプのテープ等使用可能である。更に、シュー41としては、複数のフリーロラーを用い、バネ等で付勢してもよい。
【0026】
この位置ズレ防止手段19として使用する両面コンベア36は、被包装体6の大きさに応じて上下位置調節可能になっている。また、左右に位置調整することもできる。このように上下または左右に位置調整することにより、被包装体として、種々のサイズのものに対応させることが出来る。
図7に示すように、上記した下側の両面コンベア17及び位置ズレ防止手段19として使用する両面コンベア36は、いずれも、それらの上流側(図7左側であって搬入部10側に相当)を支持され、下流側(図7右側であって取出部12側に相当)が自由端として、片持ち状態に設置される。
【0027】
そして、このうち下側の両面コンベア17は、その下流側が支持部材45によって支持されている。この支持部材45としては、例えば延伸フィルム7の支持面31aに当接した状態で転動自在となるローラコロや、ボールユニット等を用いることができる。
なお、図8に示すように、下側の両面コンベア17は、好ましくは被包装体6の幅寸法よりも小さく、大きくてもせいぜい被包装体6と同等にするのが、延伸フィルム7を被包装体6に確実に巻回させるうえで好適である。
【0028】
また、位置ズレ防止手段19の両面コンベア36は、この下側の両面コンベア17よりも更に幅狭にしておくことが、構造上の簡潔化、搬送抵抗の抑制化、延伸フィルム7の巻回容易性等々の面で好適となる。
これら位置ズレ防止手段19の両面コンベア36と、下側の両面コンベア17とは、図2及び図14に示すように、連動伝動機構48(略図)によって同時に駆動が伝えられ、同調駆動されるようになっている。
【0029】
図9及び図10に示すように、巻付装置18は、装置内フレーム49(図1及び図2参照)に固定された固定輪体50を基礎として、このまわりに第1輪体51と第2輪体52とがそれぞれ回転自在に設けられ、第1輪体51に対しては第1駆動部53が設けられ、第2輪体52に対しては負荷発生装置54が設けられたものとなっている。
【0030】
第1輪体51と第2輪体52とは同軸であり、これらの中心を、上記した両面コンベア17によって搬送される被包装体6が通過するようになっている。
また、これら第1輪体51及び第2輪体52は、いずれもリングギヤとして形成されており、それらの外周面にギヤ歯が刻設されたものとなっている。第1輪体51の方が第2輪体52よりも径大に形成されている。
【0031】
第1駆動部53は、第1輪体51の外周部に対し、減速ギヤ67を介設(当接)させるか又は設けないで直接に、駆動シャフト68の伝動ギヤ69を噛合させており、この駆動シャフト68は、図1及び図2に示したように、原動部70からギヤボックス71を介して回転駆動可能とされている。
従って、この原動部70を駆動させることで、必要に応じて第1輪体51を回転駆動させることができるものである。
【0032】
負荷発生装置54は、パウダーブレーキをはじめとして、トルクリミッターや電磁ブレーキ、モータ等であって、要は、第2輪体52に噛合させた減速ギヤ64を介して、第2輪体52に必要に応じた程度の回転負荷(回転抵抗)を与えるようになったものである。
この負荷発生装置54には、遠隔操作(特に電気的制御)によって負荷の強弱調節ができる構造のものを採用するのが好適である。
【0033】
第1輪体51は、フィルム保持部56と、二軸延伸部57と、ガイドローラ58と、入力伝動部59と、フィルム展開部60と、フィード部61と、傾斜ローラ62とを有している。
また、この第1輪体51には、上記フィルム保持部56等に対する荷重バランスを調整してその回転を円滑にするためのカウンターウエイト63が設けられている。
【0034】
フィルム保持部56は、延伸フィルム7のロール体(このロール状態では未だ延伸されていない素材フィルムである)25を回転自在に保持するところである。
二軸延伸部57は、並行状態で相互近接して設けられた一対の第1ローラ73と第2ローラ74とを有している。
【0035】
図10に示すように、これら第1ローラ73及び第2ローラ74は、第1輪体51に固定された1/4円弧状(図9参照)の取付ベース75と、この取付ベース75に所定間隔をおいて対向保持された略同形の挟持ベース76との間で架設され、回転自在となっている。
図11に示すように、第1ローラ73の外周面にはその軸方向に沿って突条部73aと溝部73bとが交互に設けられ、また第2ローラ74の外周面にはその軸方向に沿って突条部74aと溝部74bとが交互に設けられている。そして、これら第1ローラ73と第2ローラ74とは、それぞれの突条部73a,74aと溝部73b、74bとが交互に噛み合うように配置されている。
【0036】
従って、フィルム保持部56から繰り出される素材フィルムがこれら両ローラ73,74間にタスキ掛け状に掛け渡されると、この素材フィルムが長手方向とこの長手方向に直交する幅方向との二方向へ同時に延伸されることになる。
この場合、両ローラ73,74の回転速度比や相互間ピッチ等を調節することで、長手方向及び幅方向の延伸度を調節することができる。
【0037】
本実施形態の場合、後述する入力伝動部59に伴う両ローラ73,74の配置関係により、フィルム保持部56から繰り出された素材フィルムは、まず第1ローラ73に掛け回され、次に第2ローラ74に掛け回されるようになっている。
入力伝動部59は、上記の二軸延伸部57に駆動力を伝えるためのもので、取付ベース75及び第1輪体51を貫通するローラ73の軸心にこれと一体回転可能に設けられた第1伝動ホイール77と、取付ベース75だけを貫通するローラ74の軸心にこれと一体回転可能に設けられた第2伝動ホイール78とを有しており、これら両伝動ホイール77,78が互いに当接しあうと共に、このうち一方(図例では第1伝動ホイール77)が第2輪体52の外周部に当接されることによって構成されている(図12も併せて参照)。
【0038】
本実施形態では、上記したように第2輪体52をリングギヤとしているので、第1伝動ホイール77及び第2伝動ホイール78も平ギヤとして、これら三者が互いにスリップなく当接する噛合伝動関係にした。ただ、これに限定されるものではない。
また、第1伝動ホイール77と第2伝動ホイール78との歯数関係を2対1にして、第1伝動ホイール77(即ち、第1ローラ73)よりも第2伝動ホイール78(即ち、第2ローラ74)が倍速で回転するように設定されているので、縦方向に延伸される。
【0039】
フィルム展開部60は、いわゆるバナナローラと呼ばれるもので、取付ベース75と挟持ベース76との間で弓型に曲がった状態で架設された軸心に対し、その軸方向に短いローラが数珠繋ぎ状に串刺し連結され、それぞれ回転自在になっている。
そのため、二軸延伸部57で延伸されて延伸フィルム7とされた状態で、この延伸フィルム7がこのフィルム展開部60に巻掛けられることで、この延伸フィルム7は主として幅方向に広げられることになる。
【0040】
フィード部61は、取付ベース75と挟持ベース76との間に架設された駆動ローラ82と、この駆動ローラ82用の回転駆動部83とを有しており、延伸フィルム7に対して引き出し方向に送りをかけることができるようになっている。
回転駆動部83としては、モータを直結的に取り付ける構造を採用してもよいが、本実施形態では、図12に示すように第2輪体52の回転を利用するようにした。
【0041】
すなわち、駆動ローラ82の回転軸を、第1輪体51を貫通させるまで延ばし、その先端部に第2輪体52の外周部に噛合当接する平ギヤ84を設けるものとした。
従って、第2輪体52が回転駆動されるとき(なお、第2輪体52の回転駆動については後述する)に、同時に、この回転駆動部83を介してフィード部61が駆動されることになる。
【0042】
なお、本実施形態では、別付けとしてモータ85を設けると共に、このモータ85に設けた平ギヤ86を第2輪体52の外周部に噛合当接させる構造とした。
従って、このモータ85を必要に応じて回転駆動させることで、第2輪体52を介して駆動ローラ82を回転させることができることになるが、このとき第2輪体52が回転することが、同時に、上記した入力伝動部59を介して二軸延伸部57をも駆動させることにも繋がるため、構造的及び制御的に簡潔でありながら、延伸フィルム7の繰り出しが確実化且つ円滑に行えるものとなる。
【0043】
なお、モータ85は、延伸フィルム7の引き出し時(延伸フィルム7のロール体25を最初にフィルム保持部56へ保持させたとき)だけ回転駆動させるものとし、それ以外は空転する状態として、第2輪体52の回転に影響を及ぼさないものとする。
傾斜ローラ62は、取付ベース75と挟持ベース76との間で所定角度に傾斜した状態で回転自在に架設されたローラであって、上記フィード部61を経て両面コンベア17上の被包装体6へと向かわされる延伸フィルム7に対して、これを被包装体6へ螺旋状に巻回させるのに適した角度にガイドするようになっている。
【0044】
以上の説明から明らかなように、この巻付装置18において、第1駆動部53を駆動させると、まず第1輪体51が回転され、この第1輪体51が回転することで、フィルム保持部56をはじめとして二軸延伸部57、ガイドローラ58、入力伝動部59、フィルム展開部60、フィード部61、及び傾斜ローラ62がその全体として、両面コンベヤ17上の被包装体6のまわりを公転するようになる。
【0045】
このとき、入力伝動部59を介して二軸延伸部57が駆動され、またフィード部61が回転駆動されるので、フィルム保持部56から素材フィルムが引き出され且つ二軸延伸部57で延伸されることによって延伸フィルム7とされつつ、この延伸フィルム7が両面コンベヤ17上の被包装体6へと向けて繰り出される。
一方、上記のようにして第1輪体51と共に二軸延伸部57が回転するとき、入力伝動部59による第2輪体52との噛合関係(回転方向に対する係合状態)から、この第2輪体52が第1輪体51と同一方向へ連動回転されることとなる。
【0046】
このときの第2輪体52の回転数は、負荷発生装置54による負荷の強弱度合いによって調節することができる。
従って、この第2輪体52の回転数に応じて、二軸延伸部57やフィード部61の回転速度、即ち、延伸フィルム7を両面コンベヤ17上の被包装体6へ向けて繰り出す速度を調節することができる(ゼロにもできる)ものである。
【0047】
結局、上記した第1駆動部53と、第1輪体51と、二軸延伸部57の入力伝動部59と、第2輪体52と、負荷発生装置54とによって、差動歯車機構が構成されているものである。該作動機構は歯車機構に限らず、ベルトやチェーンなどの他の伝動方式で作動機構を構成してもよい。
図1及び図2に示したように、巻付部11において、上記巻付装置18は、両面コンベア17の搬送方向に沿って2台設けられている。
【0048】
従って、被包装体6は、両面コンベア17を連続搬送される過程で延伸フィルム7が二重に巻回されることになる。
この場合、2台の巻付装置18は、相対的・構造的に表裏対称となるように設けられ、第1輪体51及び第2輪体52の回転方向が逆方向とされている。
そのため、上記したように、被包装体6に対する延伸フィルム7の巻回状態は、その螺旋軸方向に沿って巻回方向を互いに逆向きにして、第1被覆層と第2被覆層との二重螺旋に重ね合わされていることになる。
【0049】
次に、取出部12(切取形成部20、駆動コンベア21、切り出し部22)について説明する。
図13に示すように、切取形成部20は、位置ズレ防止手段19として設けられた(上側配置の)両面コンベア36の下流端上面に対し、切れ目ロータ90を押圧させる構造となっている。
【0050】
この切れ目ロータ90は、その外周面に放射状に突出する針(図示略)が設けられたものであって、回転自在であり、両面コンベア36の上面(延伸フィルム7用の支持面35a)を搬送される延伸フィルム7との接触によって転動しつつ、延伸フィルム7にミシン目のような破断線としての切り取り部8(図4に関して説明済み)を形成させるものとなっている。
【0051】
更に、この切れ目ロータ90は、両面コンベア36の上側だけでなく、両面コンベア17の下側に設ける場合がある。何故なら被包装体が重量物である場合は、両面コンベア36を配置する必要がなく、両面コンベア17の上に被包装体6を載置搬送しながら延伸フィルム7を螺旋状に巻き回されればよい。この場合は切れ目ロータ90を包装体5の上側から押圧したのでは、フィルム7と針との接離が良好でなくなる場合が多いので、切れ目ロータ90を両面コンベア17の下側に設ける支持部材45のローラコロに仕込んでもよいし、別に配置してもよい。
【0052】
図7に示すように、この切れ目ロータ90が設けられる部分には、ロータ受板91が設けられており、このロータ受板91は、上記両面コンベア36における上流側の支持部から延びる片持ちアーム92を介して保持されるようになっている。
従って、切れ目ロータ90と両面コンベア36の上面(延伸フィルム7用の支持面35a)との上下間は、完全に区画されるか又は所定隙間に保持された状態として仕切られ、この両面コンベア36が切れ目ロータ90との接触干渉によって傷つけられることがないようにしてある。
【0053】
駆動コンベア21と切り出し部22とは、互いに所定位置関係に組み合わされている。
駆動コンベア21は、ベルトコンベアやロープコンベア、チェーンコンベア、或いはローラコンベア等であって(図例ではベルトコンベアとしている)、要は、延伸フィルム7を巻回後の包装体5を積極的に搬出するようになったものであって、この搬送方向の中途部に、切り出し部22に対応させてU字状の凹み部96が設けられている。
【0054】
また、この凹み部96の前部及び後部となる部分の上方には、包装体5の浮き上がりを防止する上部送り手段97,98が設けられている。
これら上部送り手段97,98は、ロープコンベアやローラコロ等によって構成されたもので、上記した駆動コンベア21と連動ベルト100,101を介して連動可能になっている。
【0055】
なお、これら上部送り手段97,98は非駆動としてもよく、又は必ず必要とされるものではなく、被包装体6が軽量である場合やスリップし易い場合等に設けることが好ましいとされるものである。
これに対し、切り出し部22は、上記駆動コンベア21上でカッター105を上下動可能にしたものである。
【0056】
すなわち、被包装体6は、包装単位ごとに互いに所定間隔の区分隙間を形成させた状態のまま、巻付部11内を搬送されるものであり、その結果、延伸フィルム7の巻回された後の包装体5も、この区分隙間を保持したまま、切り出し部22へと搬入されることになる。
そして、包装体5の相互間に形成された区分隙間にも延伸フィルム7が巻回されることから、この区分隙間に対応する部分には延伸フィルム7だけによる(中空状態となった)空環部が形成されることになる。
【0057】
そこで、この空環部が駆動コンベア21の上記凹み部96に到達したときに、この空環部を狙って、カッター105を下降させるというものである。
カッター105は、例えばニクロム線等の電気抵抗切断方式により、延伸フィルム7の空環部を溶断するものとすればよい。これであれば、延伸フィルム7の切断と同時に、その切断口を縮径させ、またその切断端を溶着固化させることができて、好都合である。また、カッター105としては、電気抵抗切断方式以外にもカッターナイフなどの刃物類でもよいし、一方、切り出し部22としては、レーザー方式を用いることも可能である。
【0058】
なお、このことから自明なように、上記駆動コンベア21に設けられた凹み部96は、このカッター105が最も下降したときに駆動コンベア21と接触干渉するのを防止するための逃げである。
カッター105の上下動は、上下方向に掛け回したエンドレスチェーン107によって行うようにしてあるが、このエンドレスチェーン107の掛け回し形体は、逆三角形状としてあるので、切断口は包装体の側面に平行に形成される。
【0059】
そのため、このカッター105の上下動軌跡はV字状軌道を含んだものとなっており、これによって駆動コンベア21の搬送速度に同調しつつ下降及び上昇するものとなる。
このようにすることで、カッター105を上下動させる間も駆動コンベア21をはじめ、その上流側の全てのコンベアは停止させる必要がなく、また被包装体6の相互間に保持させる区分隙間も可及的に狭く(端部処理の必要最小限となる長さ分に)設定できる。勿論、各コンベアの搬送速度を遅くさせる必要もない。
【0060】
尚図示省略しているが、カッター105を支点が貴台の下部にあり、エンドレスチェーン107に連結された揺動バー上をスライドする構成にすれば、カッター105がエンドレスチェーン107と全く連動して逆三角形状の軌道を回動しなくても必要な高さを上下方向にV字状軌道を上下することになるので、カッター105にニクロム線などを使用した場合でも、配線の接続などに格別配慮する必要がない。
【0061】
図3に関して既に説明したように、この包装装置1は、この切り出し部22を含め、全体としてカバー2により覆われているので、延伸フィルム7の溶断で発生したガスが包装装置1の周辺に広がることはない。
このカバー2には、必要に応じて排煙部108を設けてもよい。
これらのことによって、この包装装置1の周辺作業環境を異臭等で汚染させずに、良質に維持させることができる。
【0062】
次に、搬入部10(駆動コンベア15、転倒防止手段16)について説明する。
図14に示すように、駆動コンベア15と転倒防止手段16とは、互いに所定位置関係に組み合わされている。
駆動コンベア15は、ベルトコンベアやロープコンベア、チェーンコンベア、或いはローラコンベア等であって(図例ではベルトコンベアとしている)、要は、被包装体6を積極的に搬入するようになったものである。
【0063】
転倒防止手段16は、駆動コンベア15の両脇において、互いに平行して設けられた一対のエンドレスベルト駆動手段110(図1及び図2も併せて参照)を有したもので、これらエンドレスベルト駆動手段110で被包装体6を両脇から挟持状に保持しつつ、駆動コンベア15による安定供給を実現させようとするものである。
【0064】
本実施形態では、この転倒防止手段16として、特願平11−101523号に詳しく説明された「転倒防止用挟持装置」と略同じものを採用した。この転倒防止用挟持装置は、洗濯バサミを上下逆にしたような形状で側方への付勢力を奏するフィンガーを、エンドレスベルトに沿って多数連結した構造である。
【0065】
勿論、これを使用することが限定されるものではない。例えば、駆動コンベア15の両脇に一対のガイドレールを設けるような単純構造にすることも可能であり、被包装体6の幅寸法に合わせてその位置調整が可能であればより好ましい。そして図1からも明らかなように転倒防止手段16は、駆動コンベヤ15と両面コンベア17,36に橋渡し状に配置されるので、整列された複数個の箱体6aは転倒防止手段16により幅方向、左右から保持された状態で両面コンベア17,36により上下から保持されつつ搬送が継続されるので、前後左右にその整列状態を乱すことなく受け渡しされている。
【0066】
図1及び図2で示すように、搬入部10の駆動コンベア15及び転倒防止手段16(図14参照)、また取出部12の駆動コンベア21(図13参照)は、巻付部11において両面コンベア17、巻付装置18、及び位置ズレ防止手段19を駆動させるための駆動機構(図10参照)、即ち、原動部70からギヤボックス71を介して前後方向へのびる駆動シャフト68から、ギヤボックス115を介して駆動力を受けるようになっている。
【0067】
一方、第1駆動部53の減速ギヤ67,伝動ギヤ69の組み合わせは、ギア方式でなくてもベルト伝動方式でも可能であり、更に巻付部11の第1駆動部53の駆動方式は、別モーターを用いての電気的同期方式を用いることにより、巻きピッチを自由に変更可能であり、同一の被包装品に何重に巻くことも、長尺物であれば両端を密に中央部は粗に巻く等、被包装品の形状に合わせて好適な巻き形状を選択できる。
【0068】
すなわち、これらは一つの原動部70によって一体的に連動されるものである。従って、各部の動作タイミングにおいて同調がとりやすく、狂いは生じず、また構造的にも制御的にも極めて簡単なものとなっている。
以上説明したところから明らかなように、この包装装置1では、被包装体6が搬入部10を駆動コンベア15及び転倒防止手段16によって保持されつつ搬入されると、次の巻付部11では位置ズレ防止手段19の両面コンベア36と下側の両面コンベア17とで保持されつつ搬送が継続され、この途中、2台の巻付装置18によってこれら位置ズレ防止手段19の両面コンベア36と下側の両面コンベア17を含めて延伸フィルム7が螺旋状に二重に巻回される。
【0069】
そして、このまま位置ズレ防止手段19の両面コンベア36と下側の両面コンベア17とを尻抜けすることによって包装体5とされた後、次の取出部12で、駆動コンベア21及び上部送り手段97,98で保持されつつ搬送が継続され、この過程で、切取形成部20による切り取り部8の形成と、切り出し部22による切断とを施され、装置外へと搬出されると言うものである。
【0070】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0071】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る延伸フィルムによる包装装置では、切り出し部でのカッターの上下動をV字状軌道を含んだものとしているので、包装装置としての稼働効率を高めることができ、もって作業化率(包装体としての生産性)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る延伸フィルムによる包装装置の一実施形態についてその内部構造を判りやすい状態にして示した側面図である。
【図2】 図1に対応する平面図である。
【図3】 図1に示した包装装置の外観斜視図である。
【図4】 本発明に係る包装装置によって得られた包装体を示した斜視図である。
【図5】 本発明に係る包装装置によって得られた包装体が良質であることを比較説明した斜視図である。
【図6】 巻付部を理解しやすいように簡素化して示した斜視図である。
【図7】 両面コンベア及び位置ズレ防止手段を抽出して示した側面図である。
【図8】 図7のA−A線拡大断面図である。
【図9】 図1のB−B線拡大矢視図である。
【図10】 図9のC−C線拡大断面図である。
【図11】 二軸延伸部を抽出して示した拡大図である。
【図12】 図10のD−D線矢視図である。
【図13】 図2のE−E線拡大矢視図である。
【図14】 図2のF−F線拡大矢視図である。
【符号の説明】
1 包装装置
2 カバー
5 包装体
6 被包装体
7 延伸フィルム
10 搬入部
11 巻付部
12 取出部
21 駆動コンベア
22 切り出し部
105 カッター
108 排煙部
Claims (3)
- 搬入部(10)、巻付部(11)、取出部(12)がこの順番で設けられ、
上記巻付部(11)は、相互間に区分隙間を形成させた被包装体(6)を連続搬送しつつ上記区分隙間をも続けて延伸フィルム(7)を巻き付け可能になっており、
上記取出部(12)は、上記巻付部(11)を経た包装体(5)を継続して連続搬送し搬送方向の中途部にU字状の凹み部(96)が設けられた駆動コンベア(21)と、
包装体(5)の区分隙間に形成された延伸フィルム(7)の空環部が上記駆動コンベア(21)の上記凹み部(96)に到達したときに上記空環部を狙ってカッター(105)を上下動可能にした切り出し部(22)とを有しており、
上記切り出し部(22)によるカッター(105)の上下動は、駆動コンベア(21)の搬送速度に同調しつつ下降及び上昇させるV字状軌道を含んでいる
ことを特徴とする延伸フィルムによる包装装置。 - 前記切り出し部(22)のカッター(105)は、延伸フィルム(7)の空環部を溶断するものであることを特徴とする請求項1記載の延伸フィルムによる包装装置。
- 少なくとも前記切り出し部(22)がカバー(2)によって覆われており、該カバー(2)には延伸フィルム(7)の溶断で発生したガス用の排煙部(108)が設けられていることを特徴とする請求項2記載の延伸フィルムによる包装装置。
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