JP4738593B2 - 内視鏡の固定及び位置決め装置 - Google Patents

Description

【０００１】
発明の背景
本発明は内視鏡を用いて展開された風船を繋止固定し位置決めする装置に関する。さらに詳細には、本発明は内視鏡が身体の空洞の内部に配置された時に内視鏡の位置を固定するのに用いられる膨張可能な風船に関する。本発明はまた風船装置を身体空洞内部に繋止固定し位置決めする方法に関する。
【０００２】
内視鏡は最低限の干渉と苦痛で患者を診断し治療するのに有効な装置である。様々な診断と治療のために構成された多くの型の内視鏡が存在している。例えば、十二指腸鏡は十二指腸の検査のために、結腸鏡は結腸の検査のために、用いられる。内視鏡の作用の特性のため、内視鏡は可撓性で直径が小さくそれにより様々な身体空洞への曲がりくねった経路に沿って進むようすることが必要となる。従来の内視鏡に関する主なる問題は、特定の外科手術のためある位置に置かれた後の内視鏡先端の不十分な安定性である。その結果、内視鏡は頻繁に外科手術の間の正しい位置とカニューレの挿入とを失うことになる。この問題は内視鏡の操作をより多く時間のかかるものとし、また患者により大きな苦痛をもたらす。
【０００３】
この問題を軽減するため種々の試みが、内視鏡の先端部分の周りに風船を位置させこの位置を十二指腸内部の乳頭突起の近くに固定しステントを配置する間の増大した力の反作用を得るようにすることにより、なされてきた。このような状態においては、風船は内視鏡先端の目視レンズとエレベータの反対側に置かれる。しかし、この配置構造における風船の配置は内視鏡の目視装置が粘膜に押しつけられるようにし、そのため内視鏡の操作中の良好な目視を妨げるものとなる。ドーナツ形状の風船もまた試験されたが、内視鏡の目視装置と作動装置の円滑な操作を妨げるものであった。
【０００４】
したがって、上記の問題を解決することのできる固定及び位置決め装置を有する内視鏡を提供することが必要である。
【０００５】
本発明の目的は身体空洞の検査とその内部の外科手術とを容易にする固定及び位置決め装置を有する内視鏡を提供することである。
【０００６】
本発明の他の目的は身体空洞内に内視鏡を固定し位置決めする方法を提供することである。
【０００７】
本発明のさらに他の目的は内視鏡の使用者の視野が減少されない内視鏡の固定及び位置決め方法と装置とを提供することである。
【０００８】
本発明の他の目的と利点とはその一部が以下の記載に述べられ一部がこの記載から自明であり、又は本発明の実施によって習得されるものとなる。本発明の目的と利点は請求の範囲に詳細に記載された要素と組合せにより理解され達成されるであろう。
【０００９】
上記の目的を達成するためまた本発明の目的によれば、明細書において具体化された広く記載されているように、本発明は断面長さを有する末端部分と大きな周縁部分と小さな周縁部分とを有する内視鏡を具備している。窓部分が小さな周縁部分に配設される。断面長さに対応する軸方向の長さを有する膨張可能な風船が大きな周縁部分を区画形成する揺りかごのような形状に形成される。この風船は内視鏡を取巻く内腔の壁から窓部分を離間させることができる。本発明はまた風船を膨張し収縮する手段を具備している。
【００１０】
本発明はさらに、断面長さを有する末端部分と大きな周縁部分と窓部分を有する小さな周縁部分とを有する内視鏡を固定し位置決めする方法からなり、末端部分にわたって断面長さに対応する軸方向の長さを有する膨張可能な風船と大きな周縁部分を区画形成する揺りかご部分とを取付け、窓部分を、身体空洞の壁から離間させる段階と、内視鏡の末端部分を身体の空洞に挿入する段階と、風船を身体の空洞の中で膨張させ内視鏡を固定し位置決めする段階とを含んでいる。
【００１１】
上記の概略の記載と以下の詳細な記載とは典型的かつ説明的なものにすぎず請求の範囲のように本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【００１２】
本明細書に合体されかつその一部を構成する添付図面は本発明の原理を説明する役目をするものである。
【００１３】
添付図面に１つの例が示されている本発明の好ましい実施態様の詳細が以下に参照される。可能な限り同一の参照番号が同一の又は同様の部分に全図面にわたって付けられる。
【００１４】
本発明によれば、内視鏡には、内視鏡の末端部分に膨張可能な風船のような固定及び位置決め装置が設けられる。風船は環状部分と内視鏡の窓部分にわたって開く風船を提供する隣接した揺りかご部分とを含むような形状に作られている。
【００１５】
図１と２に示される本発明の好ましい実施態様は末端部分１２が設けられた側面視型の内視鏡１０と共に用いられる。側面視型内視鏡１０は十二指腸を検査するのに適しており、十二指腸鏡と称されている。本発明はまた結腸を検査するのに適し結腸鏡と称されている端面視型の内視鏡と共に用いることができる。典型的であるように、内視鏡１０は可撓性の細長い管状本体を有している。内視鏡の直径は変えることができるが大概の用途に対しておおよそ１０mmとする。末端部分１２は内視鏡１０の先端に位置し検査される身体空洞に挿入される。内視鏡１０は一般に、照明装置２０、目視装置２２、及び作業内腔又は通路２４を含んでいる。照明装置２０は暗い身体空洞の中での内視鏡操作のため光を提供する。ＴＶカメラのような目視装置２２は身体空洞で像を捕え、この像は内視鏡１０の管状本体を通って電気的に又は光学的に伝送される。作動通路２４は末端部分１２から内視鏡１０の管状本体を通って延び、そして通常はテトラフルオロエチレン樹脂で作られている。作業通路２４はステントのような、種々の医療用器具や装置を収容するように設計されている。さらにまた、作業通路２４にはその中に挿入される医療器具の方向を変えることができるエレベータ４３が設けられている。このようなエレベータは当該技術において普通に知られており内視鏡操作者によって内視鏡１０の基端部において制御される。
【００１６】
図１に示されているように、末端部分１２は断面長さ１６、大周縁部分１４、及び小周縁部分１５を有している。断面長さ１６は内視鏡１０に沿った末端部分１２の軸方向の長さであり、内視鏡１０の意図された用途に依存して変えることができるが十二指腸鏡としては約２０mmとする。大周縁部分１４は内視鏡１０の末端部分１２の比較的大きな円弧状領域部分である。一方において、小周縁部分１５は末端部分の比較的小さな円弧状領域部分である。
【００１７】
末端部分１２は小周縁部分１５に窓部分１８を有している。窓部分１８には照明装置２０と目視装置２２と作業通路２４の端部とが設けられる。窓の長さ２６は軸方向の窓部分１８の長さとして定義される。好ましくは窓の長さ２６は末端部分１２の断面長さ１６より小さくなっており、そのため末端部分１２は内視鏡１０の軸方向で断面長さ１６と窓長さ２６との間の長さの差によって規定される残り部分の長さ２８を有している。
【００１８】
膨張可能な風船３０の形式の、内視鏡１０のための固定及び位置決め装置が内視鏡１０の末端部分１２に取付けられる。膨張可能な風船３０は内視鏡１０を固定するためにまた作業通路２４を通って所望の身体空洞の中へと延びる医療器具の作動に挺子の作用を与えるために用いられる。さらに、内視鏡１０は風船３０の膨張を調節することにより精密に位置決めされる。風船３０は高い摩擦係数の材料で作られそれにより風船が内視鏡１０に自然に付着するようにし、また好ましくはエチレンビニールアセテート又はポリエチレンで作られる。風船３０は風船の材料と内視鏡との間の摩擦により内視鏡１０に取付けることができる。風船３０が膨張されるにつれて、摩擦が増大し、風船と内視鏡との間の取付けを強化する。他の実施態様では、風船３０は内視鏡の使用に適応した接着剤によって内視鏡１０に取付けられる。風船３０は断面長さ１６とほぼ同じの軸方向の長さを有しているが、風船３０の大きさはその用途に応じて変えることができる。十二指腸鏡にとって、好ましくは風船３０の１８０度の外径はこれが膨張された時約２０〜２５mmである。
【００１９】
風船３０は末端部分１２の大周縁部分１４の外周を定める揺りかご部分３４を含んでいる。膨張された風船３０の揺りかご部分３４は大周縁部分１４に対応する円弧を有し円弧端部３５で終端している。風船３０が膨張された時、円弧端部３５は内視鏡１０から半径方向に延び窓部分１８と内視鏡１０を取巻く通路の壁２７との間に風船開口３８が得られるようになっている。壁２７は内視鏡１０が中に向って延ばされる身体空洞の一部分である。膨張された風船３０を有する内視鏡１０の操作の間、揺りかご部分３４は窓部分１８を検査領域から離間させ、そのため壁２７の良好な観察と壁２７に対する十分な作業空間とが得られるようにする。揺りかご部分３４の円弧長さは内視鏡１０の用途と設計とに応じて変えることができる。
【００２０】
好ましくは、円弧端部３５は膨張された風船３０の軸方向長さの基端で連結される。したがって風船３０は窓部分１８によって占められない末端部分１２の残り部分２８を区画する環状部分３２を有する。風船３０の環状部分３２は好ましくは、風船３０が膨張された時の完全な円形構造の全体にわたって風船３０が同一の外径を有するような形状に作られる。
【００２１】
さらに、図１に見られるように、キャップ３９が風船３０の末端部に取付けられ風船が内視鏡１０の末端部分１２から離れるよう軸方向に摺動するのを阻止する。キャップ３９は好ましくは風船３０と同じ材料又は風船３０に取付けられた同様のプラスチック材料で作られる。しかし、キャップ３９は膨張することはできない。
【００２２】
本発明の固定及び位置決め装置はまた風船３０を膨張させ収縮させる手段を含んでいる。図１に示されるように、カテーテル４０が風船３０に連結され流体を風船に出し入れし風船を膨張収縮させる。好ましくは風船３０の膨張と収縮のために用いられる媒体は空気、水又は螢光鏡視のための対照混合物である。カテーテル３０は好ましくはナイロンペバックス（当業者にとっては公知のプラスチック材料）、ポリエチレン、又はその他の適当な材料で作られ、また好ましくは約１８０cmの長さを有している。図１に示されるように、カテーテル４０は風船３０から内視鏡１０の可撓性管状本体に沿って延びている。好ましくは、カテーテル４０は締結具４２により内視鏡１０の管状本体に締結され身体空洞における組織の抵抗が最小となるようにする。締結具４２は好ましくはシリコーン又はラテックスバンドで作られる。
【００２３】
本発明の他の実施態様がここに開示された本発明の明細書と実施を考察することから当業者にとって明らかとなるであろう。明細書と実例は単に典型例として考えられるものであり、本発明の真の範囲と精神は請求の範囲によって示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の固定及び位置決め装置の側面図である。
【図２】 図１に示される固定及び位置決め装置の前面図である。

Claims (31)

1. 身体の体腔を包囲する壁面に対する、内視鏡の固定及び位置決め装置であって、
   前記内視鏡は、身体の体腔の壁面における目的の部位に対向すべく内視鏡の側方に配向された作業部分を含む末端部分を有していて、
   前記装置は、前記作業部分を含まない前記内視鏡の前記末端部分の一部を形成するよう、形状が定められている膨張可能な風船を具備し、前記膨張可能な風船は、内視鏡の軸方向と平行な軸方向部分を有し、該風船は同軸方向部分の最末端部に円弧状をなす膨張可能な揺りかご部分を、前記風船の最基端部に膨張可能な環状部分を有し、前記揺りかご部分は、前記作業部分に近接して位置づけられて、前記作業部分の前方に作業領域を提供する揺りかご部分の周方向に対向する端部を有し、前記作業領域は、前記膨張可能な風船が膨張されたときに、前記身体の体腔と流体が流通可能に連通し、
   前記装置は、前記膨張可能な風船を膨張するために液体を流入するように、前記膨張可能な風船に連結している細長い部材を具備する、内視鏡の固定及び位置決め装置。
2. 前記揺りかご部分の対向する端部は、前記作業部分の両側に位置された、請求項１に記載の固定及び位置決め装置。
3. 前記環状部分は、円形の外周を有している、請求項１に記載の固定及び位置決め装置。
4. 前記風船は、約２０ｍｍ又はそれ以上の膨張された直径を有している、請求項１に記載の固定及び位置決め装置。
5. 前記風船は、前記内視鏡の前記末端部分に取り外し自在に取り付けられている請求項１に記載の固定及び位置決め装置。
6. 前記風船の一端に取付けられ前記風船が軸方向に動くのを阻止するキャップをさらに具備している請求項１に記載の固定及び位置決め装置。
7. 前記細長い部材は、流体を前記風船に流入する、又は前記風船から液体を流出可能にするように前記風船に連結されたカテーテルである、請求項１に記載の固定及び位置決め装置。
8. 前記カテーテルが前記内視鏡の外側部分に沿って締結されている請求項７に記載の固定及び位置決め装置。
9. 前記揺りかご部分は、風船が最末端部にて作業部分を妨害しないように内視鏡の末端部分を部分的に包囲する、請求項１に記載の固定及び
   位置決め装置。
10. 内視鏡と共に使用するための固定及び位置決め装置であって、
    前記装置は、断面長さと、身体の体腔の壁面における目的の部位に対向すべく内視鏡の末端部分の側方に配向された窓部分を有する小周縁部分と、内視鏡の末端部分のうち窓部分を除いた部分を包囲する大周縁部分とを有する、内視鏡の末端部分に取り付けられた膨張可能な風船を具備し、
    前記膨張可能な風船は、前記断面長さに対応し内視鏡の軸方向と平行な軸方向の長さと、前記風船の軸方向部分の最末端部に配置された円弧状をなす膨張可能な揺りかご部分と、該風船の軸方向部分の最基端部に配置された膨張可能な環状部分とを有し、該揺りかご部分は、前記大周縁部分にて内視鏡の末端部分を部分的に包囲し、身体の体腔の壁面から前記窓部分を離間するために、それらの間に空間を形成する揺りかご部分の周方向に対向する端部を有し、前記断面長さは該内視鏡の末端部分の軸方向の部分の長さ、即ち揺りかご部分の長さと環状部分の長さを合わせたものであり、
    前記装置は、前記風船の膨張収縮のための手段を具備する内視鏡と共に使用するための固定及び位置決め装置。
11. 前記風船がさらに前記揺りかご部分の周方向に対向する端部で終端する円弧長さを具備し、前記揺りかご部分の周方向に対向する端部が前記窓部分の両側に位置された前記膨張可能な風船が、前記窓部分を前記身体の体腔の壁面から離間させるための膨張された半径方向の直径を有している請求項１０に記載の固定及び位置決め装置。
12. 前記揺りかご部分の周方向に対向する端部が該環状部分に隣接する請求項１１に記載の固定及び位置決め装置。
13. 前記環状部分が円形の外周を有している請求項１２に記載の固定及び位置決め装置。
14. 前記風船が約２０ｍｍ又はそれ以上の膨張された直径を有している請求項１３に記載の固定及び位置決め装置。
15. 前記風船が前記内視鏡の前記末端部分に取り外し自在に取付けられている請求項１０に記載の固定及び位置決め装置。
16. 前記窓は、前記断面長さより短い長さの窓を有し、その結果、残存する断面長さを提供する、請求項１０に記載の固定及び位置決め装置。
17. 前記風船の一端に取付けられ、前記風船が前記末端部分の前記軸方向に動くのを阻止するキャップをさらに具備している請求項１０に記載の固定及び位置決め装置。
18. 前記風船を膨張収縮させる手段が、前記風船に連結され流体を前記風船に流入又は流出させるカテーテルからなっている請求項１０に記載の固定及び位置決め装置。
19. 前記カテーテルが前記内視鏡の外側部分に沿って締結されている請求項１８に記載の固定及び位置決め装置。
20. 前記揺りかご部分は、実質的にＣの形をした、請求項１０に記載の固定及び位置決め装置。
21. 前記揺りかご部分は、風船が最末端部にて作業部分を妨害しないように内視鏡の末端部分を部分的に包囲する、請求項１０に記載の固定及び位置決め装置。
22. 内視鏡と共に使用する固定及び位置決め装置であって、
    前記装置は、断面長さと、身体の体腔の壁面における目的の部位に対向すべく内視鏡の末端部分の側方に配向された窓部分を有する小周縁部分と、内視鏡の末端部分のうち窓部分を除いた部分を包囲する大周縁部分とを有する、末端部分を有する前記内視鏡の末端部分に取り付けられる膨張可能な風船を具備し、
    前記膨張可能な風船は、
    前記断面長さに対応し内視鏡の軸方向と平行な軸方向の長さと、
    前記風船の軸方向部分の最末端部に配置された円弧状をなす膨張可能な揺りかご部分と、
    該風船の軸方向部分の最基端部に配置された膨張可能な環状部分と、を含み、
    前記揺りかご部分は、前記大周縁部分にて内視鏡の末端部分を部分的に包囲し、身体の体腔を包囲する壁面から前記窓部分を離間するために、それらの間に空間を形成する揺りかご部分の周方向に対向する端部を有し、前記断面長さは該内視鏡の末端部分の軸方向の部分の長さ、即ち揺りかご部分の長さと環状部分の長さを合わせたものであり、
    前記装置は、流体を前記風船に流入し、前記風船を膨張可能にするように前記風船に連結されたカテーテルを具備する、内視鏡と共に使用する固定及び位置決め装置。
23. 前記カテーテルは、前記風船を収縮するように、流体を前記風船から流出することを可能にする、請求項２２に記載の固定及び位置決め装置。
24. 前記膨張可能な風船は、前記窓部分の両側に位置している前記揺りかご部分の周方向に対向する端部で終端する円弧長さを具備し、前記膨張可能な風船は、前記窓部分を前記身体の体腔を包囲する壁面から離間させるための膨張された半径方向の直径を有している、請求項２３に記載の固定及び位置決め装置。
25. 前記揺りかご部分の周方向に対向する端部は、該環状部分に隣接する請求項２４に記載の固定及び位置決め装置。
26. 前記環状部分は、円形の外周を有している請求項２５に記載の固定及び位置決め装置。
27. 前記風船が約２０ｍｍ又はそれ以上の膨張された直径を有している請求項２６に記載の固定及び位置決め装置。
28. 前記風船が前記内視鏡の前記末端部分に取り外し自在に取付けられている請求項２７に記載の固定及び位置決め装置。
29. 前記風船の一端に取付けられ、前記風船が前記末端部分の軸方向に動くのを阻止するキャップをさらに具備している請求項２８に記載の固定及び位置決め装置。
30. 前記揺りかご部分は、実質的にＣの形をした、請求項２９に記載の固定及び位置決め装置。
31. 前記揺りかご部分は、風船が最末端部にて作業部分を妨害しないように内視鏡の末端部分を部分的に包囲する、請求項２２に記載の固定及び位置決め装置。

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