JP4736617B2 - 剛性の高い高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
X=0.005×TS/(ε2-ε1)[GPa] ・・・(1)
ここで、TSは鋼板の引張強度[MPa]、ε1は公称応力が0.40×TSのときの公称歪[%]、ε2は公称応力が0.45×TSのときの公称歪[%]を表す。
C:Cは、オーステナイト安定化元素なので、冷間圧延後の焼鈍時の冷却過程において焼入れ性を高め、低温変態相の生成を促進して高強度化に大きく寄与する。また、Ar3変態点を低下させるので、より低温域での熱間圧延を可能にし、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進して{113}<110>方位を発達させ、焼鈍時に{112}<110>方位を発達させてヤング率を向上させる。このような効果を得るためには、その量を0.02%以上とする必要がある。一方、その量が0.20%を超えると、硬質な低温変態相が増加して成形性が劣化するとともに、フェライト相が減少するためヤング率が低下する。したがって、C量は0.02〜0.20%、好ましくは0.02〜0.10%とする。
自動車のセンターピラーなどのコラム状の構造部材には、伸びなどの成形性に優れることが必要である。そのため、フェライト相とマルテンサイトやベイナイトなどの低温変態相とからなる複合組織によって高強度化を図る必要がある。このとき、590MPa以上のTSを得るには、低温変態相の体積率を1〜60%にする必要がある。一方、低温変態相の体積率が60%を超えると過度に高強度化し、伸びなどの成形性が著しく低下する。
一般に、ある部材の剛性は、素材のヤング率Eと断面2次モーメントの積で表され、断面2次モーメントは素材の板厚tのλ乗に比例するので、比例定数をAとすると下記の式(2)のように表せる。
剛性=A×E×tλ ・・・(2)
自動車のセンターピラーなどのコラム状の構造部材ではλは1に近い値となり、通常の鋼板のEは200〜210GPaなので、今、軽量化のために板厚を10%減少させても剛性を一定に保つには、Eを11%向上させて230GPaにする必要がある。
本発明の一例である製造方法における基本的な考え方は、Xを230GPa以上とするために、まずEを高めて230GPa以上を確保し、次に0.4×TS近辺の応力が負荷されたときの応力-歪曲線の傾き、すなわちXを向上させることにある。
転炉や電炉などで溶製後、鋳造されたスラブを、950℃以下における総圧下量を30%以上とし、Ar3変態点〜900℃の仕上温度で熱間圧延すると、熱間圧延直後に{112}<111>方位からなる未再結晶のオーステナイトが発達し、その後の冷却過程においてこの未再結晶オーステナイトが{113}<110>方位のフェライトに変態し、冷間圧延後の焼鈍時に{112}<110>方位のフェライトが生成してヤング率を向上させることができる。
熱間圧延後の鋼板を巻取るに当り、巻取温度が650℃を超えると、Nbの炭窒化物が粗大化し、焼鈍時の昇温過程においてフェライトの再結晶を抑制する効果が小さくなり、未再結晶フェライトからオーステナイトに変態させることが困難となる。その結果、その後の冷却過程で変態するフェライトの方位を制御することができず、ヤング率が大きく低下してしまう。したがって、巻取温度は650℃以下とする。なお、巻取温度は低くなり過ぎると形状不良となりやすいため、350℃以上とすることが好ましい。
熱間圧延後の鋼板を冷間圧延することにより、熱延鋼板で発達した{113}<110>方位を{112}<110>方位に回転させることができ、その後の焼鈍時に{112}<110>方位の発達したフェライトを生成でき、ヤング率を高くすることができる。このような効果を得るには、冷間圧延時の圧下率を40%以上とする必要がある。
冷間圧延後の鋼板は焼鈍されるが、焼鈍の加熱時に{112}<110>方位をもつフェライトをオーステナイトへ変態させ、その後の冷却過程でオーステナイトから{112}<110>方位をもつフェライトに逆変態させてヤング率を向上させるために、加熱時に十分な量のフェライトをオーステナイトに変態させる必要がある。それには、加熱温度を(875-400×[C]-30×[Mn])℃以上とする必要がある。一方、加熱温度が高過ぎると、オーステナイトが粗大になり、逆変態したフェライトの{112}<110>方位への集積が低下する。そのため、加熱温度は(915-400×[C]-30×[Mn])℃以下とする必要がある。なお、ここで、(875-400×[C]-30×[Mn])〜(915-400×[C]-30×[Mn])℃の温度はAc3変態点近傍の温度域を表す。すなわち、本発明鋼では、Ac3変態点は(895-400×[C]-30×[Mn])(発明者らの求めた実験式)で表され、上記温度範囲は概ねAc3変態点±20℃の範囲を表す。加熱時間は、フェライトからオーステナイトへの変態を促進するために、1s以上必要である。一方、長過ぎるとオーステナイトが粗大になるため、加熱時間は600s以下とする必要がある。さらに、オーステナイトの粗大化を抑制してヤング率の向上を図ったり、組織を微細化して高強度化を図るには、加熱時間を300s以下とすることが好ましい。
加熱後の鋼板は、冷却過程において、{112}<110>方位をもつフェライトを十分に生成させるために、700〜500℃の温度域に20s以上滞留させる必要がある。一方、長時間滞留させると炭化物が生成して低温変態相の生成が困難になり、強度が低下してしまう傾向があるため、滞留時間は200s以下とすることが好ましい。なお、滞留時間は、上記温度域で冷却速度を変えたり、恒温保持して制御できる。
上記温度域に滞留させた鋼板は、さらに200〜500℃の温度域に60s以上滞留させて焼戻すか、あるいは上記温度域で滞留後200℃以下に冷却した後、再加熱して200〜500℃の温度域に60s以上滞留させて焼戻して、低温変態相の周辺に多量に存在する可動転位を減少させたり、あるいは可動転位に固溶C、Nのような侵入型元素を析出させて転位の移動を妨げると、上述したXを230GPa以上にすることができる。このとき、焼戻し温度が200℃未満では、その効果が得られず、一方、温度が高くなり過ぎ500℃を超えると、低温変態相が著しく軟化するので、200〜500℃の温度域で60s以上滞留させて焼戻す必要がある。好ましくは200〜450℃の温度域で60s以上滞留させる必要がある。なお、滞留時間が60s未満だと、上記効果を十分に得ることが困難になる。また、長時間滞留させると炭化物が粗大化し、低温変態相が著しく軟化して、強度が低下してしまうため滞留時間は1hr以下とすることが好ましい。なお、60s以上滞留は、加熱速度や冷却速度を調整したり、あるいは恒温保持で行える。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.02〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下、Nb:0.01〜0.40%、残部Feおよび不可避的不純物からなり、[Nb]-(93/14)×[N]≧0.005を満足し、200〜500℃の温度域に60s以上滞留させて焼戻して得たフェライト相と低温変態相からなるミクロ組織を有し、かつ低温変態相の体積率が1〜60%であり、引張強度が590MPa以上で、かつ下記の式(1)のXが230GPa以上である剛性の高い高強度冷延鋼板;
X=0.005×TS/(ε2-ε1)[GPa] ・・・(1)
ここで、[M]は元素Mの含有量[質量%]を表し、TSは鋼板の引張強度[MPa]、ε1は公称応力が0.40×TSのときの公称歪[%]、ε2は公称応力が0.45×TSのときの公称歪[%]を表す。 - 質量%で、Nb:0.03〜0.40%である請求項1に記載の剛性の高い高強度冷延鋼板。
- さらに、質量%で、V:0.01〜0.5%、Ti:0.01〜0.2%のうち少なくとも1つの元素を含有する請求項1または2に記載の剛性の高い高強度冷延鋼板。
- さらに、質量%で、Mo:0.1〜1.0%、Cr:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%、B:0.0005〜0.0020%のうち少なくとも1つの元素を含有する請求項1から3のいずれか1項に記載の剛性の高い高強度冷延鋼板。
- さらに、質量%で、Cu:0.1〜2.0%を含有する請求項1から4のいずれか1項に記載の剛性の高い高強度冷延鋼板。
- 請求項1〜5に記載の組成からなる鋼スラブを、950℃以下における総圧下量を30%以上とし、Ar3変態点〜900℃の仕上温度で熱間圧延し、650℃以下で巻取り、40%以上の圧下率で冷間圧延後、(875-400×[C]-30×[Mn])〜(915-400×[C]-30×[Mn])℃で1〜600s加熱し、次いで冷却して700〜500℃の温度域に20s以上滞留させるとともに200〜500℃の温度域に60s以上滞留させて焼戻すか、あるいは前記700〜500℃の温度域での滞留の後200℃以下に冷却し、再加熱して200〜500℃の温度域に60s以上滞留させて焼戻す条件で焼鈍する剛性の高い高強度冷延鋼板の製造方法;ここで、[M]は元素Mの含有量[質量%]を表す。
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