[実施の形態1]
図2は、この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタを示す。
<プリンタ全体の基本的な構成及び動作>
図2において、1はフルカラープリンタの本体を示すものであり、このフルカラープリンタ本体1の内部には、そのほぼ中央の上方側に、像担持体としての感光ドラム2が配設されている。この感光ドラム2としては、例えば、表面に有機感光材料等の感光層が被覆された直径が約47mmの導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しない駆動手段により矢印方向に沿って約150mm/secのプロセススピードで回転駆動されるように構成されている。
上記感光ドラム2の表面は、当該感光ドラム2の真下近傍に配置された帯電手段としての帯電ロール3によって所定の電位に一様に帯電された後、感光ドラム2の直下の離れた位置に配置された潜像露光手段としてのROS(Raster Output Scanner)4によってレーザービーム(LB)が照射されて露光されることにより、画像情報に応じた静電潜像が形成される。この通常のトナー像形成における各色の静電潜像の形成は、後述する中間転写ベルト(6)に形成されている基準マークを検出したタイミングで開始される。このように感光ドラム2上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器5Y、5M、5C、5Kを周方向に沿って配置したロータリー式の現像装置5によって現像され、所定の色のトナー像となる。現像器5Y、5M、5C、5Kは、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用するものであり、そのトナーとしてマイナス極性に帯電する特性のトナーを用いている。
ロータリー式の現像装置5は、図2に示すように、4つの現像器5Y、5M、5C、5Kが回転軸51を中心にして回転駆動する円筒状の回転フレーム(ロータリー)52の周方向に沿って互いに90度の角度を成すような位置に搭載されている。回転フレーム52は、図示しない駆動手段により所定の速度で回転するとともに、その回転位置が当該回転フレーム52に設けられた図示しないスリットの位置の検出により把握される。
また、現像器5Y、5M、5C、5Kはいずれも、現像剤収容部を有するハウジングの開口部に回転駆動する現像ロール53が配置されているともに、その現像ロール53の後方側に位置する現像剤収容部にオーガ等の回転攪拌部材54が設置されている。その回転攪拌部材54は、二成分現像剤のトナーとキャリアを現像剤収容部内で攪拌しながら現像ロール53を通過させるように一定の方向に循環搬送する。現像ロール53は、図示しない駆動手段により回転させられるとともに回転攪拌部材54で攪拌された状態のトナー(現像剤)をロール表面に磁力等の作用により担持するように構成されており、また、感光ドラム2との間で現像電界を形成するための所定の現像バイアスが印加されている。
そして、この現像装置5は、現像工程になると、その現像対象となる色の現像剤を収容する現像器5Y、5M、5C、5Kが回転フレーム52の回転により移動させられ、その現像ロール53が感光ドラム2と対向する現像位置に停止した状態にされる。しかる後、現像位置に移動させられた現像器5は、現像ロール53を回転させることにより現像器内で攪拌された状態のトナーを現像位置まで搬送して供給し、そのトナーを感光ドラム2上に形成された静電潜像部分に選択的に付着させることにより当該静電潜像を所望の色のトナーによって現像する。
また、ロータリー式の現像装置5は、その回転フレーム52に各現像器5Y、5M、5C、5Kにそれぞれ隣接するような状態でトナーカートリッジ56Y、56M、56C、56Kが装着されている。この各トナーカートリッジ56(Y、M、C、K)は、対応する現像器5Y、5M、5C、5Kと個別のトナー補給送出機構57を介してそれぞれ接続されており、その各トナー補給送出機構57を所定のタイミングで所定の時間だけそれぞれ駆動させることにより各カートリッジ56内に収容される4色(Y、M、C、K)のいずれかの色のトナー(キャリアを含むものであってもよい)を送り出して各現像器5Y、5M、5C、5Kの現像剤収容部内に補給するようになっている。
上記感光ドラム2の表面には、形成するトナー像の色成分ごとに帯電ロール3による帯電工程、ROS4による露光工程及び現像装置5による現像工程が所定回数だけ繰り返されることにより、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色に対応したトナー像が順次形成される。特に現像工程においては、ロータリー方式の現像装置5における現像対象となる色のトナーが収容されている現像器5Y、5M、5C、5K(の現像ロール53)が、回転フレーム52の所定角度の回転駆動により感光ドラム2と対向する現像位置まで移動させられて切り替えられ動作がある。例えばフルカラーの画像を形成する場合は、帯電・露光・現像の各工程がイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色に対応して4回繰り返され、これにより感光ドラム2の表面に上記各色のトナー像が順次形成されることになる。
この感光ドラム2上に順次形成された各色のトナー像は、感光ドラム2の外周に中間転写体としての中間転写ベルト6の一部が巻き付けられた一次転写ニップ部N1において、所定の転写バイアスが印加される一次転写手段としての一次転写ロール7による静電的作用を主に受けて、その中間転写ベルト6上に重ね合わされるような状態で一次転写される。この中間転写ベルト6上に多重に転写されたトナー像は、プラス極性の転写バイアスが印加される二次転写手段としての二次転写ロール8による静電的作用を主に受けて、所定のタイミングで給紙される記録用紙9上に二次転写位置N2において一括して二次転写される。
記録用紙9は、プリンタ本体1の下部に配置された給紙カセット11からフィードロール12によって取り出されるとともに、そのフィードロール12と当接するリタードロール13との間において1枚ずつ捌かれた状態で送り出される。その後、記録用紙9は、搬送ロール14などが配置された用紙搬送路15を通してレジストロール16まで送られ、そのレジストロール16によって中間転写ベルト6上に転写されたトナー像と同期した状態で中間転写ベルト6の二次転写位置N2へと送り出されるようにして搬送される。
上記トナー像の一次転写工程が終了した後の感光ドラム2の表面は、そのドラム2が1回転する毎に、感光体ドラム2の斜め下方に配置されたクリーニング装置17のクリーニングブレード17aによって残留トナーなどが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
上記中間転写ベルト6は、複数のロールによって張架されており、所定のプロセススピード(約150mm/sec)で循環移動するように感光体ドラム2の回転に伴って反時計回りの方向に従動回転されるようになっている。中間転写ベルト6は、クロロプレンゴムやEPDM等のゴム材料からなる弾性体によって伸縮可能な無端ベルト状に形成されている。
この中間転写ベルト6は、感光ドラム2の一次転写ニップ部N1を含む一定の区間において巻きついた状態で回転走行するラップ転写を実現しており、具体的には、前記一次転写ロール7に加えて、この一次転写ロール7よりも感光ドラム2の回動方向の上流側の位置でラップ領域の始点位置を特定するラップインロール18と、一次転写ロール7よりも感光ドラム2の回動方向の下流側の位置でラップ領域の終点位置を特定するラップアウトロール19によって感光ドラム2の周面に一時的に接触した状態で通過するように支持されている。この他、中間転写ベルト6は、第1のアイドラーロール20と、二次転写ロール8に中間転写ベルト6を介して当接するバックアップロール21と、第2のアイドラーロール22と、クリーニングバックアップロール23とによって所定の張力で張架されている。
また、中間転写ベルト6の第2のアイドラーロール22で支持されている外周面付近には、二次転写後の残留トナーを除去するため、そのアイドラーロール22によって張架された中間転写ベルト6の表面に当接するように配置されたスクレーパー24aと、クリーニングバックアップロール23によって張架された中間転写ベルト6の表面に接触するように配置されたトナー帯電部材としてのトナー帯電ブラシ24bとを備えたベルトクリーニング装置24が設置されている。
ちなみに、上記二次転写ロール8は、中間転写ベルト6の表面に二次転写の工程が行なわれる時期のみ当接し、それ以外の時期はベルト表面から離間した位置に退避するように設けられている。また、クリーニング装置24も、最終色のトナー像の露光が終了するまでは、そのスクレーパー24a及びトナー帯電ブラシ24bが中間転写ベルト6の表面から離間した位置に退避しており、最終色のトナー像の露光が終了すると中間転写ベルト6の表面に当接するように設けられている。
中間転写ベルト6からトナー像が転写された記録用紙9は、図2に示すように、プリンタ本体1の右端の上部に配置された定着装置30へと搬送され、この定着装置30の加熱ロール31及び加圧ロール32等の間を通過する際に加熱及び圧力されることによりトナー像が溶融された後に記録用紙9に定着される。この定着処理後の記録用紙9は、排出ロール33によってプリンタ本体1の上部に設けられた排出トレイ35上にそのまま排出される。
以上により、このプリンタによる記録用紙9へのトナーからなる単色又は多色の画像の基本的な形成(プリント動作)が終了する。なお、このプリンタにおいては、上記感光ドラム2、帯電ロール3、ROS4、現像装置5、一次転写ロール7、中間転写ベルト6、二次転写ロール8、給紙カセット11及び用紙搬送路15により構成される部分を画像出力部10としている。
<トナー濃度制御と画像濃度制御に関する構成など>
また、このプリンタは、次のようなトナー濃度制御と画像濃度制御を行うように構成されている。
トナー濃度制御は、上記プリント動作における現像工程によりトナーが消費されて減少する現像装置5の各現像器5(Y、M、C、K)に対して、そのプリント動作で形成する画像(トナー像)の画像密度に応じて各トナーカートリッジ56(Y、M、C、K)から新たなトナーを所定量ずつ補給し、これにより現像装置5内における現像剤のトナー濃度(TC)を許容レベルに保つように制御するものである。一方、画像濃度制御は、所定の時期に濃度計測用トナー像としてのパッチを感光ドラム2に帯電・露光・現像の各工程を経て形成し、そのパッチを中間転写ベルト6に転写した後にそのベルトの周囲に配置した光学濃度センサ26によってそのパッチの濃度を計測し、その計測値に応じて上記トナー濃度制御におけるトナー補給量を適宜調整するように制御するものである。
この実施の形態におけるトナー濃度制御は、図1に示すように、トナー濃度制御部60により実行されるようになっている。具体的には、トナー濃度制御部60では、画像処理部40から上記プリント動作の実行で形成される各画像(記録用紙9の1ページ分に形成される前記Y、M、C及びKの色成分)ごとの画像密度(ピクセル)の情報を入手し、その画像密度に応じて予め設定されているトナー補給量(モータの駆動時間など)を決定した後、そのトナー補給量に相応する駆動信号を所定のトナー補給駆動モータ61に送信するようになっている。
このようなトナー濃度制御部60による制御動作が行なわれることにより、トナー補給駆動モータ61がトナー補給量に従って所定の時間だけ駆動してトナー補給送出機構57を作動させるため、現像装置5の各現像器5(Y、M、C、K)には、各トナーカートリッジ56(Y、M、C、K)から新たなトナーがトナー補給送出機構57を通して所定量ずつ送られて補給される。この結果、各現像器5内に収容されている二成分現像剤のトナー濃度は、許容レベルに保たれることになる。
また、画像濃度制御は、図1に示すように、画像濃度制御部70により実行されるようになっている。
具体的には、画像濃度制御部70は、その制御動作の設定時期が到来すると、まず、図3に示すように、感光ドラム2に濃度計測用トナー像としての各色パッチ71Y,71M,71C,71Kを帯電・露光・現像の各工程を経て順次形成し、その各パッチ71を中間転写ベルト6にそれぞれ一次転写する。パッチ71は、画像濃度が100%のベタ画像で10〜20mm四方の平面形状からなるトナー像として形成される。また、パッチ71は、画像濃度が70%、50%、…のように複数のものを同時に形成してもよい。
このようなパッチ71の形成に際しては、トナー濃度制御部70から画像処理部40にパッチ形成の指令が送信され、その画像処理部40内に記憶されているパッチ画像の画像信号がROS制御部44に送られることにより、ROS4が各パッチに応じた露光を行なって感光ドラム2上にパッチの静電潜像を形成することになる。各色のパッチ71の現像は、回転フレーム52の駆動モータ等に現像器切替え(回転駆動)信号が送られることにより、現像装置5の回転フレーム52が回転して所定の現像器5(Y、M、C、K)を現像位置に移動させて切り替えられ、また、その切り替えた後又はその切り替え途上でその制御部から現像器用の駆動モータに駆動信号が送られることにより、現像位置に移動させられた現像器5における現像ロール53等が回転駆動し始めることで行なわれる。
続いて、このように形成されたパッチ71は、図1に示すように、中間転写ベルト6に転写されて搬送される際に、そのベルト6の周辺に配置される光学式の濃度センサ26により読み取られ、その結果がパッチ濃度の算出部71に送られて各パッチ71(Y、M、C、K)の濃度が算出される。しかる後、そのパッチ濃度の情報が画像濃度制御部70に送られると、トナー濃度制御部70においてパッチ濃度を予め設定されている目標濃度値と対比して必要に応じてトナー濃度制御部60におけるトナー補給量の設定値を微調整するようになっている。
この実施の形態では、濃度センサ26を中間転写ベルト6の第1のアイドラーロール20で支持されている外周面付近に設置している。また、濃度センサ26としては、例えばLED等からなる発光素子と、その発光素子からの照射光が中間転写ベルト6上のパッチ71で拡散反射する光成分を受光するフォトダイオード等からなる受光素子とを備えた反射型のフォトセンサが使用されている。
また、濃度センサ26によるパッチ71の濃度読み取りとパッチ濃度算出部71による濃度算出は、センサ26の精度変動や中間転写ベルト6表面の反射率変動等を考慮して補正するため、パッチ71の計測値をパッチのない中間転写ベルト6の表面の計測値で除した値を濃度値として得るようにしている。画像濃度制御部70では、このようにして得た濃度値を予め設定している目標濃度値と対比し、パッチ濃度の方が目標濃度値よりも濃い場合にはトナー補給量の設定値を小さくするように補正し、反対にパッチ濃度の方が目標濃度値よりも薄い場合にはトナー補給量の設定値を大きくするように補正する。
このような画像濃度制御部70による制御動作が行なわれることにより、前記したトナー濃度制御部60の画像密度に応じたトナー補給のみではその計測値に誤差が生じていたものが、パッチ濃度の計測結果に応じてトナー補給量の設定値がより適正な値に調整されるようになる。この結果、各現像器5内に収容されている二成分現像剤のトナー濃度は、より安定して許容レベルに保たれることになる。なお、この画像濃度制御部70による制御動作は、主に、画像形成する記録用紙9の累積枚数が規定枚数(N:正の整数)に達した時点で行なわれる。
<トナー補給抑制部に関する構成など>
そして、この実施の形態1に係るプリンタでは、上記した画像濃度制御動作をトナー帯電量の不足問題や余計な待ち時間を発生させることなく効率よくかつ安定して行い、最終的にトナー濃度を安定して適正に制御できるようにするために、次のようなトナー補給抑制部80Aを有している。
即ち、トナー補給抑制部80Aは、図1に示すように、プリンタがプリント(画像形成)したプリント枚数を累積的にカウントするプリント枚数累積カウンタ81と、この累積カウンタ81による累積値の情報を利用して前記画像濃度制御部70による画像濃度制御を行う直前のプリント実行枚数(N−α:αはNより小さい正の整数)に達することを検知し、それに達したときにその直前のプリント実行枚数(N−α)分のプリント時に前記トナー濃度制御部60で決定されているトナー補給量を制限するという処理を行う判別処理部82Aを有しているものである。
プリント枚数累積カウンタ81は、プリンタによるプリント動作を実行して完了した枚数に関する情報である「プリント実行枚数情報」が例えばシステム制御部等から入力されるようになっている。この累積カウンタ81については、システム制御部などの他の制御部に既存のものがある場合には、それを利用してその累積値の情報のみを取り込むカウンタとして構成しても構わない。
判別処理部82Aは、図4に示すように、プリント実行枚数が画像濃度制御(プロコン:プロセスコントロール)を行う直前のプリント実行枚数(N−α)に達したことを検知したときに、トナー濃度制御部60におけるトナー補給量を通常値(Sp)よりも少ない値以下の量(制限量:S1)に制限する処理を行なう。このような処理は、トナー補給抑制用の制御プログラムとしてプログラムメモリなどに格納されており、その制御プログラムに沿った処理が所定の演算処理装置によって実行されるようになっている(この点は、これ以降で説明する他の判別処理部についても同様である)。
上記画像濃度制御を行う直前のプリント実行枚数(N−α)については、たとえばNがN=30枚である場合にはαをα=5枚程度にするようにして設定されている。また、トナー補給量の通常値(Sp)は、前記したようにトナー濃度制御部60において形成すべき画像(用紙1枚当たり)の画像密度(ピクセル)に応じて決定されるトナー補給量の値である。この通常値(Sp)よりも少ない値は、一定の画像密度以上に保つときに必要なトナー補給量以下に制限した値となる。また、この少ない値以下の量(制限量)S1については、その少ない値以下になるような量であればよく、必要によってはトナー補給量が「0」という量を含むものである。この例では、この制限量S1について、画像密度として20%以下になるようなトナー補給量に設定した。また、本例では、この制限量S1を環境条件やトナー色別の違いに関係なく一定の値にしたが、例えばトナー帯電性が環境条件やトナー色の違いにより大きく変化するようなときには、かかる環境条件やトナー色別に応じて制限量S1を設定するとよい。
次に、図4等を参照しながら、このトナー補給抑制部80Aの動作について説明する。
トナー補給抑制部80Aでは、プリンタによる記録用紙1枚に対する前記したプリントが行われると(ステップ:S101)、そのプリント実行枚数がプリント枚数累積カウンタ81で累積カウントされ(S102)、その累積枚数(X)がプロコン実行直前のプリント枚数(N−α)に達しているか否かが判別処理部82Aにおいて判別される(S103)。
プリント累積枚数がプロコン実行直前のプリント枚数(N−α)に達したときには、判別処理部82Aにおいて当該α枚数分のプリント時における1枚当たりのトナー濃度制御部60のトナー補給量を通常値(Sp)から前記制限値(S1)に制限する(S104)。このトナー補給量の制限に関する制御信号は、トナー濃度制御部60に送られて機能し、α枚のプリント後に実行される予定の画像濃度制御に関するプロコンが実行されるまで有効に機能する。
そして、そのプロコンが開始されるまでの残りα枚分のプリントが実行されるが、このときのトナー濃度制御部60による1枚当たりのトナー補給は通常値(Sp)のトナー補給量ではなく制限値(S1)に基づく少ない補給量で行われる(S105)。これにより、このα枚分のプリントが行われるときには、現像装置5(の補給対象となる現像器)に補給されるトナー量が特にそのプリントで高い画像密度の画像を形成することになる場合には通常のトナー補給時に比べて少ない量となる。
このα枚分のプリントが終わると、プリント実行枚数がプロコン実行枚数(N)に達するので、前述したような画像濃度制御部70による画像濃度制御であるプロコンが実行される(S106)。このプロコンによりトナー濃度制御部60におけるトナー補給量の設定値が必要により調整される。
また、このプロコンが終了すると、トナー補給抑制部80Aではプリント枚数累積カウンタ81の累積カウントを「0」にリセットし(S107)、次の制御動作を開始する状態になる。これにより、プリンタは通常のプリント動作が可能な状態になる。
一方、前記ステップS103において、プリント実行枚数の累積枚数(X)がプロコン実行直前のプリント枚数(N−α)に達しない場合には、プリント指示枚数の最終頁に当たるプリント動作(ジョブエンド:Job End)が到来しない限りはその指示枚数に応じたプリント動作が繰り返し実行され、そのジョブエンドに達したときにはそのまま終了する(S108)。この関係で、前記プロコンは、そのプリント指示枚数のプリント動作中にプロコン実行枚数(N)が到来した場合には当該プリント動作を中断して実行されることとなる。一方、そのプリント指示枚数の最終頁のプリント動作が終了するときとプロコン実行枚数(N)の到来時期が一致した場合には当該最終のプリント動作が終了した後に実行されることになる。
以上のようなトナー補給抑制部80Aの制御動作が行われることにより、プロコンが実行される直前のα枚分のプリント動作において現像装置5に補給されるトナー量が通常時よりも制限されて少なくなるため、トナーカートリッジ56から新たに補給される少量のトナーが現像装置5内で回転攪拌部材54により十分に攪拌されるようになり、これにより、そのトナーはキャリアとの摩擦帯電により十分に帯電されるようになる。
従って、このプロコン実行前のトナー補給量が制限されたプリント動作は、前述した従来技術におけるパッチ形成前の現像装置の「空回し」に似た動作として機能し、これにより補給トナーの現像装置内における十分な攪拌と十分なトナー帯電量が確保される。このことは、そのプロコンにおけるパッチ形成前に画像密度の大きい画像形成が連続して行われて本来多くのトナーが補給されるような場合に、トナー帯電量の不足発生とその帯電量不足のトナーを使用したパッチの形成が正常にできないおそれがあるという不具合を回避することが可能となり、特に有効である。
この結果、トナー補給抑制部80Aを有したプリンタでは、プロコンとしての画像濃度制御におけるパッチ形成を十分に帯電したトナーを使用して行うことができるため、その画像濃度制御を安定して行うことができ、かかる制御結果に基づいて行われるトナー濃度制御部60のトナー濃度制御時のトナー補給量が適正に制御され、結果的に、現像装置5内の現像剤のトナー濃度についても安定して適性に制御されることとなる。しかも、この際、トナー補給抑制部80Aによる制御動作は、プリント動作を中断させるものではなく、また、プロコン開始前のプリント動作とは無関係に行われる動作(たとえば従来技術のような現像装置の空回し動作など)でもないため、そのプロコンを余計な待ち時間を発生させることなく効率よく行うこともできる。
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係るカラープリンタの要部を示すものである。
このプリンタは、前記トナー補給制限部80Aに代えて別のトナー補給制限部80Bを設けて変更した以外は実施の形態1に係るプリンタと同じ構成からなるものである。このため、図5等においては実施の形態1に係るプリンタと共通する部分に対して同じ符号を付しており、また、以下においてはその共通する構成部分についての説明を必要なときを除けば省略している(これ以後の実施の形態においても同様とする)。
トナー補給制限部80Bは、図5に示すように、実施の形態1におけるトナー補給制限部80Aの場合と同様のプリント枚数累積カウンタ81の他に、画像濃度制御部70による画像濃度制御を行うまでの前記トナー濃度制御部60により行われるトナー補給の補給量(S)を累積カウントするトナー補給量累積カウンタ83と、この累積カウンタ83による累積値(T)が所定の閾値(Z)を超えることを検知し、その閾値を超えたときにそれ以降で画像濃度制御動作を行う直前までに実行されるプリント時にトナー濃度制御部60で決定されているトナー補給量を制限するという処理を行う判別処理部82Bを有しているものである。
トナー補給量累積カウンタ83は、トナー濃度制御部60により実行されるトナー補給時のトナー補給量(画像密度に応じて決定される補給量)の情報がトナー濃度制御部60から入力されるようになっている。このとき累積カウントは、前記4色(Y,M,C,K)のトナーの補給量ごとに独立して行われる。
判別処理部82Bは、図6に示すように、トナー補給量の累積値(T)が閾値(Z)を超えた後に実行されるプリント時のトナー濃度制御部60におけるトナー補給量を通常値(Sp)よりも少ない値以下の量(制限量:S2)に制限する処理を行なう。
上記閾値(Z)は、プロコン実行開始までの枚数(N=30枚)になるまでの用紙1枚当たり画像密度が20%の画像のプリントを行ってもトナー補給を制限させないようにする観点から、Z=600程度(累積画像密度として600%相当になる量)として設定している。また、制限量S2については、前記トナー補給制限部80Aの場合における制御量S1と同じく、画像密度として20%以下になるようなトナー補給量に設定した。さらに、本例では、この制限量S2を環境条件やトナー色別の違いに関係なく一定の値にしたが、例えばトナー帯電性が環境条件やトナー色の違いにより大きく変化するようなときには、かかる環境条件やトナー色別に応じて制限量S2を設定するとよい。
また、この判別処理部82Bは、トナー補給量の累積値(T)が閾値(Z)を超えたときに濃度制御部70による濃度制御動作を行なう直前の限界出力枚数(β)に達している否かを判別し、その限界出力枚数(β)に達するまでの間は上記したトナー補給量に関する制限をしない処理を行うように構成されている。この例では、限界出力枚数(β)について、プロコン実行累積枚数(N)が30枚であるとした場合、トナー濃度TCの許容範囲の下限値などを考慮して「25枚」に設定した。
次に、図6等を参照しながら、このトナー補給抑制部80Bの動作について説明する。
トナー補給抑制部80Bでは、プリンタによる記録用紙1枚に対するプリントが行われると(ステップ:S201)、そのプリント実行枚数がプリント枚数累積カウンタ81で累積カウントされるとともに(S202)、そのプリント時に行われるトナー補給における補給量がトナー補給量累積カウンタ83でトナー色別にそれぞれ累積カウントされ(S203)、しかる後、そのトナー補給量の累積値(T)がその閾値(Z)を超えているか否かが判別処理部82Bにおいて判別される(S204)。
トナー補給量の累積値(T)が閾値(Z)を超えたときには、さらに判別処理部82Bにより、そのときのプリント実行枚数の累積枚数(X)がプロコン実行直前の限界プリント(出力)枚数(β)以下であるかが判別される(S205)。そして、このプリント実行累積枚数が限界プリント枚数以下である場合には、その限界枚数のβ枚分のプリント時における1枚当たりのトナー補給量を通常値(Sp)から前記制限値(S2)に制限する(S206)。このトナー補給量の制限に関する制御信号は、トナー濃度制御部60に送られて機能し、β枚のプリント後に実行される予定のプロコンが実行されるまで有効に機能する。
そして、プロコンが開始されるまでの残りβ枚分のプリントが実行されるが、このときのトナー濃度制御部60による1枚当たりのトナー補給は通常値(Sp)のトナー補給量ではなく制限値(S2)に基づく少ない補給量で行われる。これにより、このβ枚分のプリント時には、現像装置5(の補給対象となる現像器)に補給されるトナー量が特にそのプリントで高い画像密度の画像を形成することになる場合には通常のトナー補給時に比べて少ない量となる。しかし、この制限されたトナー補給を伴うプリントは、トナー濃度TCの許容下限値を考慮して設定される限界プリント枚数(β)分だけであるため、トナー補給が少ないことによってトナー濃度TCがプロコン開始までにその許容範囲を下回ってしまうおそれはない。
この限界枚数のβ枚分のプリントが終わると、プリント実行枚数がプロコン実行枚数(N)に達するので、画像濃度制御部70による画像濃度制御であるプロコンが実行される(S207)。このプロコンによりトナー濃度制御部60におけるトナー補給量の設定値が必要により調整される。
また、このプロコンが終了すると、トナー補給抑制部80Bではプリント枚数累積カウンタ81及びトナー補給量累積カウンタ83の各累積カウントをいずれも「0」にリセットし(S208)、次の制御動作を開始する状態になる。これにより、プリンタは通常のプリント動作が可能な状態になる。
一方、前記ステップS204において、トナー補給量の累積値(T)が閾値(Z)を超えない場合や、さらにその累積値(T)が閾値(Z)を超えてもプリント累積枚数(X)が限界プリント枚数(β)より多い場合には、判別処理部82Bにおいてプリント実行累積枚数(X)がプロコン実行枚数(N)に達しないか否かを判別する(S209)。
この際、プリント実行累積枚数(X)がプロコン実行枚数(N)に達した場合には、すぐにプロコンが実行されることになる(S207)。また、累積枚数(X)がプロコン実行枚数(N)に達していない場合には、ジョブエンド(Job End)が到来しない限りはその指示枚数に応じたプリント動作が繰り返し実行され、そのジョブエンドに達したときにはそのまま終了する(S210)。特に後者のプリント動作が行われる場合は、トナー補給量の累積値(T)が閾値(Z)を超えてもプリント累積枚数(X)が限界プリント枚数(β)より多いときにプリント動作が行われることを含むが、かかるプリント時にはトナー補給抑制部80Bによるトナー補給量に関する制限は行われないことになり、通常のトナー補給動作が行われることになる。
以上のようなトナー補給抑制部80Bによる制御動作が行われることにより、トナー補給量の累積値(T)が閾値(Z)を超えた状態であってプロコンが実行される直前のβ枚分のプリント動作において現像装置5に補給されるトナー量が通常時よりも制限されて少なくなるため、トナーカートリッジ56から新たに補給される少量のトナーが現像装置5内で回転攪拌部材54により十分に攪拌されるようになり、キャリアとの摩擦帯電により十分に帯電されるようになる。従って、このプロコン実行前のトナー補給量が制限されたプリント動作は、実施の形態1の場合と同様にパッチ形成前の現像装置の「空回し」に似た動作として機能するようになり、これにより補給トナーの現像装置内における十分な攪拌と十分なトナー帯電量が確保される。
この結果、トナー補給抑制部80Bを有したプリンタでも、実施の形態1の場合と同様に、画像濃度制御動作におけるパッチ形成前に画像密度の大きいプリントが行なわれることがあっても、その濃度制御の動作をトナー帯電量の不足問題や余計な待ち時間を発生させることなく効率よくかつ安定して行うことができ、ひいては現像装置内の現像剤のトナー濃度についても安定して適正に制御することができる。
また、このトナー補給抑制部80Bでは、トナー補給量の累積値(T)が閾値(Z)を超えた場合でも、プリント累積枚数(X)が限界プリント枚数(β)より多いときには、無条件にトナー補給量の制限を行うのではなく、その限界枚数(β)以下になるまでのプリント時にはトナー補給量の制限を行わないようにし、プロコン直前における少ない枚数分(β)のプリント時においてのみ当該制限をしているため、プロコン開始前にトナー濃度TCがトナー補給量の制限に起因して必要以上に低下してしまう不具合の発生を回避することができる。
このことは特に、プロコン実行までのプリント動作として予想以上に画像密度の高いプリントが連続して大量に実行されることがあった場合、大量のトナーが補給されることでそのトナー補給量の累積値がプリント累積枚数(X)の少ない段階(プロコン実行累積枚数Nの達する遥か前の時期)に閾値(Z)を超えることが発生し、トナー補給量の制限を受けたプリント動作が予想以上に長く行われることでトナー濃度が大幅に低下するおそれがあるが、これを防止することができ有効となる。
なお、トナー補給抑制部80Bは、必要により閾値(Z)の設定を低めにする等の工夫をすることにより、トナー補給量の累積値(T)がその閾値(Z)を超えた後に無条件でトナー補給量に関する制限を行うように設定してもよい。
このようなトナー補給抑制部80Bによる動作が実行される場面の一例を図7に示す。
図7は、基本的に、プリント実行累積枚数に対するトナー補給量の累積値(T)の推移状態と1枚当たりのトナー補給量の状態を示すものである。また、この図示のプリント動作は、プロコン実行累積枚数(N)が30枚、トナー補給量累積値(T)の閾値(Z)が「600」(累積画像密度として600%相当のトナー量)、プロコン直前の限界プリント枚数(β)が25枚にそれぞれ設定されており、しかも、プリントの前半(1〜15枚までの間)において1枚当たりのトナー補給量が多くなり、その後半において1枚当たりのトナー補給量が少なくなる傾向を示すプリント動作の結果を示している。
図7に示すプリント動作では、プリント実行累積枚数が「15枚」のときに、トナー補給量の累積値(T)がその閾値(Z)である「600」を超えているため、トナー補給抑制部80Bの原則通りの動作を行うのであれば、それ以降のプリント時(13枚から30枚まで)にトナー補給量を制限する必要がある。しかし、本例のトナー補給抑制部80Bでは、限界プリント枚数(β)を25枚に設定しているため、トナー補給量累積値(T)が閾値(Z)を超えているにもかかわらず、プリント実行累積枚数が限界枚数(β)を超えた後の26枚〜30枚までの5枚分のプリント時においてのみトナー補給量の制限を行うことになる。
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係るカラープリンタの要部を示すものである。
このプリンタは、前記トナー補給制限部80Bに代えて別のトナー補給制限部80Cを設けて変更した以外は実施の形態1に係るプリンタと同じ構成からなるものである。
トナー補給制限部80Cは、図8に示すように、実施の形態1におけるトナー補給制限部80Aの場合と同様のプリント枚数累積カウンタ81の他に、実施の形態2におけるトナー補給制限部80Bのトナー補給量累積カウンタ83及び判別処理部82Bの一部をそれぞれ変更したトナー補給量補正累積カウンタ84及び判別処理部82Cを有したものである。
トナー補給量補正累積カウンタ84は、画像濃度制御部70による画像濃度制御を行なうまでのトナー濃度制御部60により行われるトナー補給の補給量(S)に補正計数(A)を乗じた値(SA)を累積カウントするものである。
この例では、補正計数(A)として、図7に示すようにプリント実行累積枚数に応じて変動するものを用いた(図中の右側縦軸に示す目盛りに1/5を乗じた値が補正計数を示す)。この計数(A)は、プリント実行累積枚数が少ない段階ではわずかずつ増大する小さな値をとり、そのプリント終盤付近となるプロコン実行直前の段階(25枚以上)では急激に増大する値となるような傾向をもつ計数とした。これは、プロコン実行時のパッチ形成に悪影響を与えるのは、プロコン開始直前のプリントにおいてトナー補給量が多いときにその補給トナーの攪拌が十分に行われず帯電量不足になる場合であるため、それを有効に防止する観点からプロコン実行累積枚数(N)になる直前においてはトナー補給量を本来よりも多くなるように補正するために急激に増大した値とした。
判別処理部82Cは、トナー補給量(S)に補正計数(A)を乗じた値(SA)の累積値(TA)が所定の閾値(Z)を超えることを検知し、その閾値を超えたときにそれ以降で画像濃度制御動作を行う直前までに実行されるプリント時にトナー濃度制御部60で決定されているトナー補給量を制限するという処理を行うものである。実際には、図9に示すように、トナー補給量の累積値(TA)が閾値(Z)を超えた後に実行されるプリント時のトナー濃度制御部60におけるトナー補給量を通常値(Sp)よりも少ない値以下の量(制限量:S2)に制限する処理を行なう。
つまり、この判別処理部82Cは、累積カウントするトナー補給量をそのままではなく所定の補正計数(A)を乗じて補正した後の値(SA)を累積カウントすることと、そのときの累積値(TA)に基づいてトナー補給量の制限を行うようにすることの2点を変更した以外は実施の形態2における判別処理部82Bと同じものである。このため、上記閾値(Z)は、実施の形態2の場合と同様に、Z=600と設定している。また、制限量S2についても、実施の形態2の場合と同じ値に設定している。しかし、これらの閾値及び制限量は異なる値に設定しても勿論よい。
また、この判別処理部82Cは、実施の形態2における判別処理部82Bの場合と同様に、トナー補給量の累積値(TA)が閾値(Z)を超えたときに濃度制御部70による濃度制御動作を行なう直前の限界出力枚数(β)に達している否かを判別し、その限界出力枚数(β)に達するまでの間は上記したトナー補給量に関する制限をしない処理を行うように構成されている。その限界出力枚数(β)については、実施の形態2の場合と同様に、25枚に設定した。
次に、図9等を参照しながら、このトナー補給抑制部80Cの動作について説明する。
トナー補給抑制部80Cでは、プリンタによる記録用紙1枚に対するプリントが行われると(ステップ:S301)、そのプリント実行枚数がプリント枚数累積カウンタ81で累積カウントされるととともに(S302)、そのプリント時に行われるトナー補給における補給量がトナー補給量補正累積カウンタ84で累積カウントされ(S303)、しかる後、そのトナー補給量の累積値(TA)がその閾値(Z)を超えているか否かが判別処理部82Cにおいて判別される(S304)。
また、トナー補給量の累積値(T)が閾値(Z)を超えたときには、さらに判別処理部82cにより、そのときのプリント実行枚数の累積枚数(X)がプロコン実行直前の限界プリント(出力)枚数(β)以下であるかが判別される(S305)。そして、このプリント実行累積枚数が限界プリント枚数以下である場合には、実施の形態2の場合と同様に、その限界枚数のβ枚分のプリント時における1枚当たりのトナー補給量を通常値(Sp)から前記制限値(S2)に制限する(S306)。
これ以降の動作内容は、いずれも実施の形態2の場合と同様であり、簡略して説明すると、限界枚数のβ枚分のプリントが終わると、画像濃度制御部70による画像濃度制御であるプロコンが実行され(S307)、そのプロコンが終了すると、プリント枚数累積カウンタ81及びトナー補給量補正累積カウンタ84の各累積カウントをいずれも「0」にリセットし(S308)、次の制御動作を開始する状態になる。
また、前記ステップS304において、トナー補給量の累積値(TA)が閾値(Z)を超えない場合や、さらにその累積値(TA)が閾値(Z)を超えてもプリント累積枚数(X)が限界プリント枚数(β)より多い場合には、判別処理部82Cにおいてプリント実行累積枚数(X)がプロコン実行枚数(N)に達しないか否かを判別する(S309)。この際、プリント実行累積枚数(X)がプロコン実行枚数(N)に達した場合には、すぐにプロコンが実行されることになり(S307)、反対に累積枚数(X)がプロコン実行枚数(N)に達していない場合には、ジョブエンド(Job End)が到来しない限りはその指示枚数に応じたプリント動作が繰り返し実行され、そのジョブエンドに達したときにはそのまま終了する(S310)。
以上のようなトナー補給抑制部80Cによる制御動作が行われることにより、補正計数Aにより補正されたトナー補給量の累積値(TA)が閾値(Z)を超えた状態であってプロコンが実行される直前のβ枚分のプリント動作において現像装置5に補給されるトナー量が通常時よりも制限されて少なくなるため、トナーカートリッジ56から新たに補給される少量のトナーが現像装置5内で回転攪拌部材54により十分に攪拌されるようになり、キャリアとの摩擦帯電により十分に帯電されるようになる。
この結果、トナー補給抑制部80Cを有したプリンタでも、実施の形態1(2)の場合と同様に、画像濃度制御動作におけるパッチ形成前に画像密度の大きいプリントが行なわれることがあっても、その濃度制御の動作をトナー帯電量の不足問題や余計な待ち時間を発生させることなく効率よくかつ安定して行うことができ、ひいてはトナー濃度についても安定して適正に制御することができる。
また、このトナー補給抑制部80Cでは、前述したようにトナー補給量の累積カウントについて補正計数Aにより補正された後のトナー補給量(SA)を累積カウントし、その累積値(TA)が閾値(Z)を超えたときにトナー補給量の制限を行うように構成されているため、その補正計数Aの設定の仕方によりトナー補給量累積値を適宜調整することが可能となり、特にプロコン開始前にトナー濃度TCがトナー補給量の制限に起因して必要以上に低下してしまう不具合の発生を回避することができる。
即ち、実施の形態2におけるトナー補給抑制部80Bのように通常のトナー補給量(S)を累積カウントした累積値(T)が閾値(Z)を超えた後にトナー補給量の制限を行うようにした場合には、その累積値(T)が実際のプリント内容(特に画像密度の高低に違い)により支配されて変動しやすいものとなり、特に画像密度の高いプリントが行われたときはトナー補給量が多くなってすぐにその累積値(T)が閾値を超えることになってトナー補給量の制限を行う必要となるが、その後のプロコンが開始されるまでに行われるプリントの残り枚数や画像密度によってはトナーの補給量が少なすぎてプロコン開始前にトナー濃度TCが大幅に低下してしまうおそれがあるが、これを防止することができ有効となる。
なお、トナー補給抑制部80Cにおいても、必要により閾値(Z)の設定を低めにする等の工夫をすることにより、トナー補給量の累積値(T)がその閾値(Z)を超えた後に無条件でトナー補給量に関する制限を行うように設定してもよい。
このようなトナー補給抑制部80Cによる動作が実行される場面の一例を前掲の図7に併せて示す。
トナー補給抑制部80Cのように補正計数Aにより補正された後のトナー補給量(SA)を累積カウントすると、その累積値(TA)は、実施の形態2におけるトナー補給抑制部80Bのような単純なトナー補給量(S)の累積値(T)に比べると、その増加の推移状態が緩やかなものにすることができる。
この結果、図7に示すプリント動作では、そのトナー補給量(SA)の累積値(TA)が閾値(Z=600)を超えるのはプリント実行累積枚数が「29枚」となる。これは、トナー補給量(S)の累積値(T)の場合の閾値を超えるプリント実行累積枚数が「13枚」と比べると、プロコン実行累積枚数(N=30枚)のより直前の値となる。従って、この場合には、その閾値を超えた後の30枚の1枚分のプリント時においてのみトナー補給量の制限を行うことになる。
また、仮に画像濃度が非常に高いプリントが連続して行われて、トナー補給量(SA)の累積値(TA)が閾値(Z=600)を超えるときのプリント実行累積枚数が予定外に少ない段階で到来することがあっても、トナー補給抑制部80Cでは、限界プリント枚数(β)を25枚に設定しているため、プリント実行累積枚数が限界枚数(β)を超えた後の26枚〜30枚までの5枚分のプリント時においてのみトナー補給量の制限を行うことになる。従って、この場合でも、プロコン開始前にトナー濃度TCがトナー補給量の制限に起因して必要以上に低下してしまう不具合の発生を回避することが可能である。
[実施の形態4]
図10は、本発明の実施の形態4に係るカラープリンタの要部を示すものである。
このプリンタは、前記トナー補給制限部80Aに代えて別のトナー補給制限部80Dを設けて変更した以外は実施の形態1に係るプリンタと同じ構成からなるものである。
トナー補給制限部80Dは、図10に示すように、実施の形態1におけるトナー補給制限部80Aの場合と同様のプリント枚数累積カウンタ81の他に、プリントすべき残り枚数(m)がプロコン実行累積枚数(N)に至るまでの残り枚数(n)と対比することでプロコンが強制割り込みによるプロコンとして発生するか否かを判断する強制割込みプロコン発生の有無判断部85と、累積カウンタ81による累積値の情報を利用して画像濃度制御としてのプロコンを行う直前のプリント実行累積枚数(N−γ:γはNより小さい正の整数)に達することを検知し、それに達したときそれ以後の累積枚数分(N−γ)のプリント時におけるトナー濃度制御部60により行われるトナー補給の補給量を累積カウントするトナー補給量累積カウンタ86と、そのトナー補給量の累積値の情報を利用して先送りプリント枚数(E)を算出する先送り枚数算出部87と、プロコン実行累積枚数(N)に達した時点でもプロコンとしての濃度制御動作を割り込んで実行せず上記先送り出力枚数(E)分だけプリント動作を続行し、そのプリント時にトナー濃度制御部60で決定されているトナー補給量を制限するという処理を行う判別処理部82Dを有しているものである。
強制割込みプロコン発生の有無判断部85は、現在実行中のプリント動作の残り枚数(m)がプロコン実行累積枚数(N)に至るまでの残り枚数(n)よりも多いか否か(m>n?)を判別する。そして、そのプリント残り枚数(m)が残り枚数(n)よりも多い場合(m>n)には強制割込みプロコンが発生すると判断し、反対にプリント枚数(m)が残り枚数(n)以下である場合(m≦n)には強制割込みプロコンが発生しないと判断するようになっている。プリント動作の残り枚数(m)については、プリンタのシステム制御部等において把握されているプリント指示枚数を入力し、そのプリント指示枚数からプリント枚数累積カウンタ81で把握している現在のプリント実行累積枚数を差し引いた数値(枚数)として得られる。また、このような強制割込みプロコンの発生の有無判断は、例えば、プリント実行指令がきてからプリント動作(ジョブ)を開始するときや、強制割込みプロコンが終了して残りのプリントジョブを継続再開するときの各タイミングで行うように設定されている。
トナー補給量累積カウンタ86は、トナー濃度制御部60により実行されるトナー補給時のトナー補給量(画像密度に応じて決定される補給量)Sの情報がトナー濃度制御部60から入力されるようになっている。これにより、プロコンを行う直前のプリント実行累積枚数(N−γ)に達したことを検知したときに、それ以後の残り累積枚数分(γ)のプリント時のトナー補給量(S)を累積カウントする。直前の累積枚数における「γ」は、実施の形態1における「α」と同じでもよいが、この例では「7枚」とした。
先送り枚数算出部87は、累積カウンタ86で得られるトナー補給量(S)の累積値(T)を所定の定数(a)で除したとき(T/a)の商(整数)を先送りプリント枚数(E)とするようになっている。この例では、定数aとして「30」を設定した。たとえば、トナー補給量の累積値(T)が「110」であった場合、その先送り枚数は110/30の商である「3」枚となる。なお、(T/a)の値が少数になってその商部分が「0」になった場合は、その余り(少数部分)を切り捨て処理して先送り枚数を「0」とする。
判別処理部82Dは、残りγ枚分のプリントが終了してプロコン実行累積枚数(N)に達した時点で強制割込みプロコンの実行を先送りする指令を画像濃度制御部70に送るとともに、そのプロコンの濃度制御動作を割り込んで実行せずに先送り出力枚数(E)分だけプリント動作を続行する。この続行するプリント時のトナー濃度制御部60におけるトナー補給量を通常値(Sp)よりも少ない値以下の量(制限量:S3)に制限する処理を行なう。制限量S3については、実施の形態1、2における制御量S1、S2と同じ値に設定した。
また、この判別処理部82Dは、先送り枚数算出部87で得られる「T/a」の商が先送り分のプリントを行う際の限界出力枚数(η)との大小関係を判別し、その商が限界出力枚数(η)以下であれば、その商を先送り枚数としてトナー補給量を制限した商の枚数分のプリントを行い、その商が限界出力枚数(η)を超える場合にはその限界プリント枚数ηを先送り枚数(E)としてトナー補給量を制限したη枚分のプリントを行うことで済ませる処理を行うように構成されている。この例では、限界出力枚数(η)として、トナー濃度TCの許容範囲の下限値などを考慮して5枚に設定した。
次に、図11、図12等を参照しながら、トナー補給抑制部80Dの動作について説明する。
トナー補給抑制部80Dでは、まず、プリント実行命令を受けてプリント動作を開始するとき(及び強制割込みプロコンが終了して残りのプリントジョブを継続再開するとき)のタイミングでプリント残り枚数(m)の情報をシステム制御部やプリント枚数累積カウンタ81からの情報に基づいて入手し(ステップ:S401)、強制割込みプロコン発生の有無判断部85においてその残り枚数(m)がプロコン実行累積枚数(N)に至るまでの残り枚数(n)よりも多いか否かが判別される(S402)。
プリント残り枚数(m)がプロコン実行累積枚数(N)までの残り枚数(n)よりも多い場合には、判別処理部82Dにおいて、そのときのプリント実行累積枚数(X)がプロコンを行う直前のプリント実行累積枚数(N−γ)に達したか否かを判別し(S403)、その累積枚数(N−γ)に達していないときには当該枚数に達するまで1枚分のプリントを続けて行い(S404)、その累積枚数(N−γ)に達した段階でその残りのγ枚分のプリントを行う(S405)。
トナー補給量累積カウンタ86においては、この残りのγ枚分のプリント時に行われるトナー補給における各補給量を累積カウントし(S406)、この累積カウントをγ枚分のプリントがすべて終了するまで行う(S407)。
γ枚分のプリントが終了すると、判断処理部82Dが強制割込みプロコンの実行を先送りする指令を画像濃度制御部70に送り(S408)、その一方で、先送り枚数算出部87において上記トナー補給量の累積値(T)と定数aを用いて「T/a」の商を求め、その商(整数)を先送り枚数(E)とする(S409)。また、この先送り枚数(E)としての「T/a」の商が求められると、判断処理部82Dにおいてその「T/a」の商が限界プリント枚数(η)以下であるか否かが判別される(S410)。
先送り枚数(E)としての「T/a」の商が限界枚数(η)以下の値であるときは、その商を先送り枚数(E)とし、1枚当たりのトナー補給量を通常値(Sp)から前記制限値(S3)に制限したうえで「T/a」の商の枚数分のプリントを行う(S411)。また、「T/a」の商が限界枚数(η)を超える値であるときには、その限界枚数(η)を先送り枚数(E)とし、1枚当たりのトナー補給量を通常値(Sp)から前記制限値(S3)に制限したうえで「η」枚数分のプリントを行う(S412)。
このようにプロコンを強制割込みで実行せず先送りし、その各先送り枚数(E)のプリントが終わると、強制割込みプロコンの先送り指令が解除されて、直ちに強制割込みプロコンが実行される(S413)。このプロコンによりトナー濃度制御部60におけるトナー補給量の設定値が必要により調整される。
また、この強制割り込みプロコンが終了すると、トナー補給抑制部80Dではプリント枚数累積カウンタ81,トナー補給量累積カウンタ86及び先送り枚数算出86の各累積カウントをいずれも「0」にリセットし(S414)、次の制御動作を開始する状態になる。これにより、プリンタは通常のプリント動作が可能な状態になる。そして、上記先送り枚数(E)のプリントを行なった後においても残りのプリント指示枚数がある場合には、その強制割り込みプロコン終了後に、図11のステップS402からS415,S416に移行するフローの工程が実行されて当該残り枚数のプリントが実行されることになる(図12)。
一方、前記ステップS402において、プリント残り枚数(m)がプロコン実行累積枚数(N)までの残り枚数(n)以下であると判別された場合には、強制割込みプロコンが実行されないとみなして、その残り枚数(m)分のプリントが1枚ずつ実行され、そのジョブエンドに達した時点で終了する(S415〜S416)。
以上のようなトナー補給抑制部80Dによる制御動作が行われることにより、プリント動作が中断されてプロコンが強制割込みで行われることがあっても、そのプロコンの実行時期が到来してもそのプロコンを直ちに実行せず先送りし、その代わりに、中断されるはずだったプリント動作について、所定の先送り枚数分だけトナー補給量の制限をしながらプリントを行うことになる。そして、この先送り枚数分のプリント動作において現像装置5に補給されるトナー量が通常時よりも制限されて少なくなるため、トナーカートリッジ56から新たに補給される少量のトナーが現像装置5内で回転攪拌部材54により十分に攪拌され、ひいてはキャリアとの摩擦帯電により十分に帯電されるようになる。プロコンは、この先送り枚数分のプリントが終了した後に実行される。
従って、プロコン実行前のトナー補給量が制限された状態での先送り枚数分のプリント動作は、実施の形態1等の場合と同様にパッチ形成前の現像装置の「空回し」に似た動作として機能するようになり、これにより補給トナーの現像装置内における十分な攪拌と十分なトナー帯電量が確保される。
この結果、トナー補給抑制部80Dを有したプリンタでも、実施の形態1等の場合と同様に、強制割込みプロコンが発生する場合であってそのプロコン時のパッチ形成前に画像密度の大きいプリントが行なわれることがあっても、その濃度制御の動作をトナー帯電量の不足問題や余計な待ち時間を発生させることなく効率よくかつ安定して行うことができ、ひいてはトナー濃度についても安定して適正に制御することができる。
また、このトナー補給抑制部80Dでは、先送り枚数として使用する予定の「T/a」の商が限界プリント枚数(η)より多いときには、その商に基づく先送りプリントをトナー補給量の制限を加えつつ無条件に行うのではなく、その限界枚数(η)だけ先送りプリントを行って必要以上にトナー補給量の制限をしながらの先送りプリントを行わないようにしている。このため、強制割込みプロコン開始前にトナー濃度TCが先送りプリントでのトナー補給量の制限に起因して必要以上に低下してしまう不具合の発生を回避することができる。
なお、トナー補給抑制部80Dは、必要により定数(a)の設定を大きめにする等の工夫をすることにより、「T/a」の商を無条件に先送り枚数(E)としたうえで、その先送り枚数分のプリントにおいてトナー補給量に関する制限を行うように設定してもよい。
また、先送り枚数(E)については、先送り枚数算出部87において、実施の形態4の場合のように商以外の余りの部分を常に切り捨て処理して扱うのではなく、必要により既述したようにその余りの部分を常に切り上げ処理したりあるいは四捨五入処理し、その処理の結果得られる商の値を先送り枚数として算出するように構成してもよい。さらに、その先送り枚数(E)については、先送り枚数算出部87において算出する「T/a」の少なくとも商の値を適用する場合のほかに、予め任意の枚数を先送り枚数として設定しておいてもよい。この場合には、トナー補給抑制部80Dは、先送り枚数算出部87に加えてトナー補給量累積カウンタ86も不要となる。
[他の実施の形態]
トナー補給抑制部80については、必要に応じて、実施の形態1〜3におけるトナー補給抑制部80A,B又はCと、実施の形態4におけるトナー補給抑制部80Dとを組み合わせたもの(80A+80D、80B+80D、80C+80D)を使用するとよい。
2…感光ドラム(像担持体)、5…現像装置、9…記録用紙、26…濃度センサ、56…トナーカートリッジ(現像剤補給装置の一部)、57…トナー補給送出機構(現像剤補給装置の一部)、70…画像濃度制御部(画像濃度制御手段)、71…パッチ(濃度計測用トナー像)、80A…トナー補給抑制部(第1のトナー補給抑制手段)、80B…トナー補給抑制部(第2のトナー補給抑制手段)、80C…トナー補給抑制部(第3のトナー補給抑制手段)、80D…トナー補給抑制部(第4のトナー補給抑制手段)。