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JP4736010B2 - 2剤型染毛用組成物 - Google Patents

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JP4736010B2
JP4736010B2 JP2001052119A JP2001052119A JP4736010B2 JP 4736010 B2 JP4736010 B2 JP 4736010B2 JP 2001052119 A JP2001052119 A JP 2001052119A JP 2001052119 A JP2001052119 A JP 2001052119A JP 4736010 B2 JP4736010 B2 JP 4736010B2
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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、皮膚安全性、染着特性、毛髪損傷防止特性、保存安定性などに優れた2剤型の染毛用組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
染毛料として、従来より、酸化染毛剤(永久染毛剤)の欠点を改良した、いわゆる酸性染毛料(半永久染毛料)が知られている。従来の酸化染毛剤は、毛髪と皮膚を区別して毛髪に選択的に染着する作用があり、また、染着堅牢度は高いなどの染着特性は優れるものではあるが、染毛時に激しい化学反応が伴い、皮膚安全性は劣り、毛髪保護剤を添加しても毛髪に損傷を生じるものであって、染毛後の髪がごわごわし、毛髪強度が低下し、髪が切れ毛、枝毛になり易く、毛髪損傷防止特性も不満足であるという欠点が存在した。
【0003】
そこで、これらの欠点を解消するために種々の有機溶剤あるいは染毛補助剤、毛髪保護剤等を配合するなどの工夫がされた酸性染毛料が開発されているが、いずれも十分なものとは言い難かった。すなわち、これらの酸性染毛料は、通常タール色素などの酸性染料と、染着特性を高めることを目的に、エタノール、ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン等の有機溶剤あるいは染毛補助剤を10〜40重量%と多量に配合し、更に、酒石酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸等の有機酸を配合して、組成物のpH値を1.5〜4.5の酸性サイドに調整したものである。
【0004】
このような染毛用組成物の場合は、皮膚安全性、毛髪損傷防止特性は多少向上するが充分ではなく、また、毛髪と皮膚とを区別なく染着し、毛髪への染着性に乏しく染着特性に劣るものであった。また、更にチオグリコール酸アンモニウム塩、亜硫酸ナトリウム塩などを配合して、染着特性を向上するなどの工夫も見られるが、これらの染毛用組成物の場合は、含有する水溶性タール色素が劣化し易く使用する色素に制限が生じる他に、経日により異臭を生じるなど、染着特性、保存安定性に劣るものであった。すなわち、皮膚安全性、染着特性、毛髪損傷防止特性、保存安定性などの諸特性に優れた染毛用組成物が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、従来の染毛用組成物の持つ上述の問題点に鑑み鋭意研究した結果、ジスルフィド化合物が上述の問題点解決に寄与し得るものであるとの知見を得、更に検討した結果、ジスルフィド化合物を含む成分と、水溶性タール色素を含む成分とを使用時に混合して用いることにより水溶性タール色素の劣化を起こすことがないことを見出したものである。即ち、本発明者等は、ジスルフィルド化合物の少なくとも1種と、亜硫酸塩類及びメルカプト化合物の少なくとも1種とを特定量含有してなる第1剤、および水溶性タール色素を特定量含有してなる第2剤を混合して得られる混合物を中性のpH領城で用いることにより、上述の諸特性において好ましい結果を与えることを見出し本発明を完成するに至ったものである。従って、本発明の目的は、皮膚安全性、染着特性、毛髪損傷防止特性、保存安定性等の諸特性に優れた新規な2剤型染毛用組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、下記の成分,すなわち
(A)亜硫酸塩類及びメルカプト化合物の少なくとも1種と、
(B)ジスルフイド化合物の少なくとも1種
を配合してなる第1剤と、
(C)水溶性タール色素
を含有してなる第2剤とから成る2剤型染毛用組成物であって、第1剤と第2剤との混合物のpH値が5.5〜8.5の範囲にあり、かつ、(A)成分の亜硫酸塩類及びメルカプト化合物が該組成物全体に対して1.0〜10.0重量%、(B)成分のジスルフイド化合物が該組成物全体に対して0.5〜5.0重量%、(C)成分の水溶性タール色素が該組成物全体に対して0.1〜5.0重量%含有され、かつ前記(A)成分と(B)成分の配合比率が(A)/(B)=0.50〜3.0である2剤型染毛用組成物において、第1剤及び/または第2剤に(D)成分としてpH調整剤を含有することにより、前記第1剤のpH値が6.0〜9.0、前記第2剤のpH値が3.0〜8.0であり、かつ第1剤と第2剤とを、第1剤:第2剤=4.0:6.0〜6.0:4.0の比率で混合してなる混合物のpH値が5.5〜8.5の範囲に保たれ、亜硫酸塩類が亜硫酸ナトリウム塩及び/またはピロ亜硫酸ナトリウム塩であり、メルカプト化合物がチオグリコール酸アンモニウム塩および/またはシステイン塩酸塩であり、ジスルフィド化合物がジチオジグリコール酸のジアンモニウム塩及び/またはジモノエタノールアミン塩であることを特徴とする2剤型染毛用組成物により達成される。
【0007】
上述の2剤型染毛用組成物は、第1剤及び/または第2剤に(D)成分としてpH調整剤を含有することにより、第1剤のpH値が6.0〜9.0、第2剤のpH値が3.0〜8.0であり、かつ第1剤と第2剤とを、第1剤:第2剤=4.0:6.0〜6.0:4.0の比率で混合するとき、そのpH値5.5〜8.5の範囲に保たれる
【0008】
また、上述の2剤型染毛用組成物においては、亜硫酸塩類が亜硫酸ナトリウム塩および/またはピロ亜硫酸ナトリウム塩であり、メルカプト化合物がチオグリコール酸アンモニウム塩および/またはシステイン塩酸塩であり、ジスルフィド化合物がジチオジグリコール酸のジアンモニウム塩および/またはジモノエタノールアミン塩である
【0009】
なお、本発明で(B)成分のジスルフィドとして用いるジチオジグリコール酸等を含んだ毛髪処理組成物は本出願前公知である。例えば、特開平11−158049号公報にはジチオジグリコール酸またはその塩と共に、例えばジエチレングリコールアルキルエーテル等の溶剤と、天然色素または塩基性染料を配合することを必須の条件とするので、本発明の染毛組成物とは明らかに相違する。また、ジチオジグリコール酸等を含んだ毛髪処理組成物として、例えば、特開平7−242522号公報、特開平11−315011号公報、或いは特開平5−294815号公報等に開示されているが、これらの公報に記載されている内容はいずれもパーマネントウエーブ等における毛髪処理剤であって、本発明の染毛用組成物に係わる記載は見当たらない。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の2剤型染毛用組成物に用いる(A)成分の亜硫酸塩類が亜硫酸ナトリウム塩及び/またはピロ亜硫酸ナトリウム塩であり、メルカプト化合物がチオグリコール酸アンモニウム塩および/またはシステイン塩酸塩である。
【0011】
これらの亜硫酸塩類、メルカプト化合物はそれぞれ単独または併用することが出来、(A)成分の含有量は、上述の第1剤及び第2剤を混合して得られる混合物全体を基準として1.0〜10.0重量%、好ましくは2.0〜7.0重量%である。1.0重量%未満では染着性に乏しく、また、10.0%を超えては皮膚安全性に欠点が生じる。以下、重量%を%と省略記載する。
【0012】
本発明の2剤型染毛用組成物に用いる(B)成分のジスルフィド化合物がジチオジグリコール酸のジアンモニウム塩及び/またはジモノエタノールアミン塩である(B)成分の含有量は、本発明の組成物全体を基準として0.5〜5.0%、好ましくは1.0〜4.0%である。0.5%未満では染着性に乏しく、5.0%を超えても染着性の向上は見られない。
【0013】
また、本発明の組成物においては、(A)成分と(B)成分の配合比率は重量比で(A)/(B)=0.50〜3.0の範囲であることが必要である。(A)、(B)成分の含有量がこの比率の範囲を逸脱する場合には、後記の実施例、比較例に記載のごとく染着特性は劣ることが明らかである。
【0014】
本発明の組成物に用いる(C)成分の水溶性タール色素としては、特に限定を受けるものではなく、「医薬品等に使用する事の出来るタール色素を定める省令」に掲示されている法定色素の中のいずれの水溶性の色素も用いることが出来る。具体的には、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色506号、青色1号、青色202号、青色203号、青色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色403号の(1)、黄色406号、橙色205号、橙色204号、橙色402号、紫色401号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色402号、黒色401号等を挙げることが出来る。これらの中でも、特に、赤色102号、赤色106号、赤色227号、青色1号、青色202号、青色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色403号の(1)、橙色205号、紫色401号、緑色204号、黒色401号などの色素は染着特性および長期保存性に優れ好適である。
【0015】
上述の水溶性タール色素(C)は、所望する毛髪の色に応じて1種またはそれ以上を適宜含有すればよい。水溶性タール色素の含有量は、本発明の組成物全体を基準として0.1〜5.0%、好ましくは1.0〜3.0%であり、含有量が0.1%未満では染毛効果に劣り、5.0%を超えては、色落ち、色斑が生じる他、含有量に見合った染着特性は得られない。
【0016】
本発明の組成物は、第1剤と第2剤との混合物のpH値が5.5〜8.5の範囲において良好な皮膚安全性、染着特性、毛髪損傷防止特性、保存安定性などの諸特性、特には、頭皮に比べて毛髪に選択的に染着する効果が見られ、染着特性の向上が得られるものである。pH値がこの範囲を逸脱すると上述の染着特性が損なわれ、本発明の目的を達成することが出来なくなる。
【0017】
本発明の組成物を構成する第1剤には、(A)、(B)成分中に各種の塩類が含まれており、組成物全体としてのpH値はその影響を強く受けるものである。すなわち、その組み合わせによっては組成物のpH値が所定の5.5〜8.5の範囲を逸脱する場合もある。そこで、組成物を構成する第1剤あるいは第2剤のいずれか一方に、または第1剤及び第2剤の両方にpH調整剤(D)を含有することによって、第1剤のpH値が6.0〜9.0、第2剤のpH値が3.0〜8.0であり、かつ第1剤と第2剤とを、第1剤:第2剤=4.0:6.0〜6.0:4.0の重量比率で混合して得られる混合物のpH値を5.5〜8.5の範囲に保つことが可能である。
【0018】
本発明において、第1剤と第2剤との混合物のpH値が5.5未満の場合にはアルカリ性剤を、8.5を超える場合には酸性剤をpH調整剤(D)成分として用いればよい。具体的な好ましい例としては、アルカリ性剤としてアンモニウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等の有機アルカリ剤、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸1水素2ナトリウム等の無機アルカリ剤が挙げられ、酸性剤としては、クエン酸、グリコール酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸及びレブリン酸等の有機酸、リン酸、塩酸、リン酸2水素1ナトリウム等の無機酸性剤が挙げられるが特に限定を受けるものではない。これらのpH調整剤(D)は、本発明の組成物中の(A)、(B)成分に存在する各種塩類と共存することから、上述のごとく、本発明の目的を達成する範囲で適宜選択され、配合される。
【0019】
本発明の組成物は、必須成分である前記(A)、(B)、(C)成分および(D)成分の他に、公知の増粘剤(E)、トリートメント剤(F)を配合することができる。
また、本発明の目的を達成する範囲で、更に公知の有機溶剤(G)あるいは染毛補助剤を配合することも可能である。これらの(E)、(F)成分を第1剤あるいは第2剤のいずれか一方に、または第1剤及び第2剤の両方に配合できる。また(G)成分は第2剤に配合することも可能である。
【0020】
本発明の組成物であっては、(E)成分の増粘剤としては、概ね(E―1)水溶性高分子単独、(E―2)水溶性高分子と界面活性剤及び(E―3)高級アルコールと界面活性剤との混合物等の3種の増粘剤が存在し、少なくとも1種を配合することが好ましい。
【0021】
水溶性高分子の好ましい具体例としては、カルボキシビニルポリマー(例えば、カーボポール980,981、グッドリッチ社)、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(ペミュレンTR−1,TR−2,カーボポール1382、グッドリッチ社)、キサンタンガム(エコーガムT、モナートガムGS、大日本製薬(株))、カルボキシメチルセルロー(CMC1260、CMC2100、ダイセル(株))、ヒドロキシエチルセルロー(HEC CF−V、CF−W、フジケミカル(株))、ポリアクリ酸ナトリウム塩(レオジック250H,250L、日本純薬(株))、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(ガントレットAN−149、AN−169、スタビリーゼ06、QM、ISPジャパン社)等が、また、アニオン界面活性剤としては、ラウリルスルホン酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩等が、ノニオン界面活性剤としては、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE硬化ヒマシ油誘導体等が、次いで、高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等を挙げることができる。これらの化合物を使用することは組成物の使用特性、保存安定性の向上においても好適である。これらの増粘剤の成分は、組成物中にあって、所望の粘性に合わせて適宜選択配合される。
【0022】
本発明に用いるトリートメント剤(F)は、毛髪の損傷を防ぎ、損傷部分を保護あるいは修復し、毛髪に艶、しなやかさ、弾力を与え、くし通りを良くするなど、毛髪状態を整える目的で用いられ、油脂剤、保護剤、保湿剤、毛髪柔軟剤等に概ね分類される。
【0023】
油脂剤としては、動物油、植物油、鉱物油、合成油等が存在し、ラノリン、ラノリンアルコールなど及びその誘導体、スクワラン、オリーブ油、アボガド油、ホホバ油、流動パラフィン、ワセリン、イソパラフィン類、ミリスチン酸イソプロピル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどのエステル油、種々の粘度のジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン類、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどの誘導体、その他、イソステアリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール等が挙げることができる。これらのものは、次の保護剤をも兼ねる添加成分となり得るものである。
【0024】
保護剤としては、アミノ酸、加水分解蛋白質、カチオン性高分子などが存在し、グルタミン酸、アスパラギン酸、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解エラスチン、乳蛋白質、大豆蛋白質の加水分解物、キトサン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、各種のカチオン化蛋白質、カチオン化アクリル系ポリマー等が挙げられる。また、保湿剤としては、多価アルコール類、ムコ多糖類及び有機酸の塩類が存在し、プロピレングリコール、1,3ブタンジオール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム塩、コンドロイチン硫酸ナトリウム塩、ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩、乳酸ナトリウム塩等が挙げられる。これらの保護剤及び保湿剤の一部は次の毛髪柔軟剤にもなり得るものである。
【0025】
毛髪柔軟剤としては、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、前記のカチオン性高分子類が存在し、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、イミダゾリン型及びアミンオキサイド型の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、前記のカチオン化セルロース、カチオン化シルク等が挙げられる。これらの(F)トリートメント剤の配合量は、本発明の組成物全体を基準とて0.1〜20%、好ましくは、1.0〜10%である。0.1%未満では本発明の目的を達成出来ず、また、20%を超えても、その配合量に見合った効果を得られない。
【0026】
本発明に用いる有機溶剤(G)あるいは染毛助剤としては、エチルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコールエチルエーテル等が挙げられる。本発明の2剤型染毛用組成物においては、これらの有機溶剤あるいは染毛助剤の配合量が、従来の染毛料と比較して少量であっても、染着特性に優れるものであり、その配合量は5.0%以下、好ましくは2.0%以下である。
本発明の2剤型染毛用組成物は、本発明の目的を達成する範囲で、上記の他に添加成分として、公知の防腐剤、キレート剤、抗酸化剤、香料、抗炎症剤、消臭剤、紫外線吸収剤等を配合することが可能である。
【0027】
本発明は2剤型の染毛用組成物であって、第1剤及び/または第2剤は、液状、ジェル状、クリーム状などの剤型、また、第1剤及び第2剤の両方を各別にLPGなどの圧縮ガスともに泡沫用容器に封入して、特定の比率で混合吐出する泡沫状の剤型等、種々の剤型に適用が可能である。第1剤と第2剤との混合物の粘性は50〜50,000cps(B型粘度計、25℃、ローター及び回転数:適宜選択)が好適である。
【0028】
本発明の2剤型染毛用組成物の使用方法は、通常の2剤型の染毛用組成物と同様の方法であり、第1剤と第2剤の所定量を目視にて各々の容器より吐出し、均一に混合して得た混合物を用いる方法であるので、ほぼ等量の比率で混合することが好ましい。本発明では、第1剤と第2剤の混合比率の許容範囲は、第1剤:第2剤=4.0:6.0〜6.0:4.0の重量比率であることを適用する。この均一に混合して得られる混合物を毛髪に均一に塗布して、20〜40分間放置した後、混合物を洗い流す。また、毛髪に塗布した後、スチーマー、赤外線ランプ等で加温する場合には、加温温度は50〜80℃で、加温時間は5〜20分間が好適である。その他の加温方法としては、アイロンを用いることもできる。使用量は、毛髪量、染色の程度で適宜判断されるが、1回当たり10〜100g程度であることが好ましい。
【0029】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を記載して、本発明の2剤型染毛用組成物を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の記載に制限されるものではない。
表1〜7に示す成分組成及び下記の組成物調製方法にて実施例1〜11、比較例1〜10の染毛用組成物を調製し、次いで、下記の評価方法にて皮膚安全性、染着特性、毛髪損傷防止特性及び保存安定性を評価した。
表1、3、5には、第1剤の各成分の合計量を100%とする成分の配合量、(A)成分と(B)成分の配合比率[(A)/(B)]、第1剤のpH値を記載した。表2、4、6には、第2剤の各成分の合計量を100%とする成分の配合量、第2剤のpH値を記載した。更に、表2、4、6には、第1剤と第2剤の混合比率(全体で10)、第1剤と第2剤との混合物のpH値(=表中「組成物pH値」)、諸特性の評価結果を併記した。
表7は比較例である1剤型の染毛用組成物であって、上段には、各成分の合計量を100%とする成分の配合量、表の下欄には、(A)成分と(B)成分の配合比率[(A)/(B)]、染毛用組成物のpH値、諸特性の評価結果を記載した。
更に、実施例1、4、比較例1、8に関しては、実用テストを実施し、その実用テストの方法及び実用テストの結果を記載した。
【0030】
実施例、比較例で用いた原料名の一部及び略号は下記のとおりである。
(原料名及び略号)
ATG :チオグリコール酸アンモニウム塩
DADTDG :ジチオジグリコール酸ジアンモニウム塩
シリコン100cs :ジメチルポリシロキサン(粘度100cs)
W−42CP :加水分解コラーゲン(プロモイスw−42cp((株)成和化成))
レオガードG :カチオン化セルロース(ライオン(株))
PCA−Na :ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩
エチドロン酸 :ヒドロキシエタンジホスホン酸
MEA :モノエタノールアミン
NMP :N―メチルピロリドン
尚、ATG、DADTDG、PCA−Naはそれぞれの原料成分の50%、40%、50%水溶液、また、エチドロン酸は60%水溶液、モノエタノールアミンは80%水溶液を用いたが、配合量はそれぞれの原料成分の純分に換算して記載し、第1剤、第2剤の合計量及び実施例、比較例の組成物の全体量は100%とした。
【0031】
1.組成物調製方法
下記に記載した調製方法により、実施例、比較例の第1剤及び第2剤を調製する。次いで、第1剤及び第2剤の所定の混合比率となる配合量を各々計量し、均一に混合して混合物を調製する。尚、比較例8〜10は1剤型染毛用組成物であり、下記の(3)比較例8〜10の組成物調製方法の記載により染毛用組成物を調製する。
(1)第1剤の調製方法
[実施例1、5、7、10、11][比較例1、2、4、7]
精製水の一部50%に原料成分(イ)を加えて分散液とした後、成分(ハ)、(ト)を加えて溶解し、(ヘ)を加えて粘性液を得る。次いで、成分(ホ)、予め精製水20%に溶解した成分(ニ)を添加し、必要に応じて成分(チ)を加えて所定のpH値に調整する。更に、精製水の残量(第1剤の合計量を100%とする残量)を加えて攪拌し、全量を均一にする。但し、比較例1では成分(ハ)、(ニ)を、また比較例7では成分(ホ)を含有しない。
【0032】
[実施例2、3、9][比較例3、6]
精製水の一部50%に成分(イ)を加えて分散溶解した後、成分(ハ)、(ホ)(ト)を加えて溶解し、(ヘ)を加える。次いで、予め精製水20%に溶解した成分(ニ)を添加し、必要に応じて成分(チ)を加えて所定のpH値に調整する。更に、精製水の残量を加えて攪拌し、全量を均一にする。
[実施例4、8][比較例5]
成分(ロ)を80〜85℃の温度で加熱溶解して得た溶液と、80〜85℃に加熱した精製水の一部40%とを混合して乳化物を調製する。次いで、冷却して乳化物が45℃以下の温度になったら成分(ト)を加え、予め精製水の一部20%に溶解した成分(ニ)、(ホ)を加える。更に、実施例8、比較例5では成分(ヘ)を添加し、実施例4では必要に応じて成分(チ)を添加して、所定のpH値に調整する。精製水の残量を加え攪拌して全量を均一にする。
[実施例6]
精製水の一部50%に成分(ハ)、(ト)を加えて溶解した後、成分(ヘ)を加える。次いで、予め精製水20%に溶解した成分(ニ)、(ホ)を添加し、必要に応じて成分(チ)を加えて所定のpH値に調整する。更に、精製水の残量を加えて攪拌し、全量を均一にする。
【0033】
(2)第2剤の調製方法
[実施例1、10、11][比較例1、2、7]
精製水の一部70%に原料成分(あ)を加えて分散液とした後、成分(お)を加えて所定のpH値に調整した粘性液を得る。次いで、成分(う)、(え)を加え、比較例2では成分(き)を追加して溶解し、更に、精製水の残量(第2剤の合計量を100%とする残量)を加えて攪拌し、全量を均一にする。
[実施例2、4、9][比較例6]
精製水の一部80%に原料成分(あ)を加えて分散溶液とした後、(う)、(え)を加え溶解し、必要に応じて成分(か)添加して所定のpH値に調整する。次いで、精製水の残量を加えて攪拌し、全量を均一にする。
[実施例3、5、7、8][比較例3,4、5]
成分(い)を80〜85℃の温度で加熱溶解して得た溶液と、成分(う)、(え)を80〜85℃に加熱した精製水の一部60%に加えて得た溶液とを混合して乳化物を調製する。次いで、冷却して乳化物が45℃以下の温度になったら、実施例8では成分(き)を追加混合する。更に、必要に応じて成分(か)を添加して所定のpH値に調整し、精製水の残量を加え攪拌して全量を均一にする。
[実施例6]
精製水に(え)を加え、必要に応じて成分(か)を添加して所定のpH値に調整する。次いで、全量を攪拌して均一にする。
【0034】
(3)比較例8〜10の組成物調製方法
[比較例8]
精製水の一部60%に原料成分(イ)を加えて分散液とした後、成分(ハ)、(ト)を加えて溶解し、(チ)を加えて粘性液を得る。次いで、成分(ホ)、(ヘ)、予め精製水20%に溶解した成分(ニ)を添加し、必要に応じて成分(リ)を加えて所定のpH値に調整する。更に、精製水の残量(組成物の全量を100%とする残量)を加えて攪拌し、全量を均一にする。
[比較例9]
精製水の一部60%に成分(イ)を加えて分散溶解した後、成分(ハ)、(ホ)(ト)、(ヘ)を順次加えて溶解する。次いで、予め精製水20%に溶解した成分(ニ)を添加し、必要に応じて成分(リ)を加えて所定のpH値に調整する。更に、精製水の残量を加えて攪拌し、全量を均一にする。
[比較例10]
成分(ロ)を80〜85℃の温度で加熱溶解して得た溶液と、80〜85℃に加熱した精製水の一部50%とを混合して乳化物を調製する。次いで、冷却して乳化物が45℃以下の温度になったら成分(ト)を加え、予め精製水の一部20%に溶解した成分(ハ)、(ニ)、(ホ)を加えた後、成分(ヘ)を加えて溶解し、必要に応じて成分(リ)を添加して所定のpH値に調整する。更に、精製水の残量を加え攪拌して全量を均一にする。
【0035】
2.組成物評価方法
(1)皮膚安全性
実施例、比較例の試料を直径1cmの円型ろ紙に塗布して、被験者男、女合計20名の上腕内側部に貼付し、バンソウコウで24時間固定した。
試料を除去した後、1時間、24時間後に評価した。評価結果は、評価基準により○、△、×で示した。
(評価基準)
○ :反応なし(全員)
△ :軽微な紅斑(1〜2名)
× :紅斑(3〜5名)
【0036】
(2)染着特性
試料1gを白髪混じりの毛束1gに塗布し、約38℃にて20分間放置後、シャンプーにて洗浄、乾燥して、染毛処理した毛束を染毛処理前の毛束と比較して、目視により染着性を評価した。
(評価基準)
○ :染まっている
△ :淡く染まっている
× :染まっていない
【0037】
(3)毛髪損傷防止特性
上記「2.染着特性」の評価に使用した、染毛処理前と染毛処理した毛髪を試料とした。試料の染毛処理前後の毛髪表面を電子顕微鏡(倍率3000倍)で観察し、毛小皮の損傷の程度を評価した。
(評価基準)
○ :染毛処理前と同じで損傷は認められない
△ :毛小皮にわずかに隆起、亀裂、剥離等の損傷が認められる
× :毛小皮に明らかに隆起、亀裂、剥離等の損傷が認められる
【0038】
(4)保存安定性
試料である実施例1〜11及び比較例1〜7の第1剤、第2剤並びに比較例8〜10の組成物を40℃の恒温室3ケ月間保存した後、試料の安定性(分離、異臭の発生の有無)を25℃の恒温室に保存した同一試料と比較して評価した。
(評価基準)
○ :良好である、分離及び異臭の発生は認められない
△ :わずかに分離または異臭の発生が認められる
× :分離または異臭の発生が明らかに認められる
【0039】
3.実用テスト
実用テストの方法
男、女合計40名により、実施例1、4及び比較例1、8の4点の染毛用組成物を試料にして、通常の方法で使用する染毛実用テストを実施した。テストは同一試料を10名が2ケ月間で3回使用して、下記の評価項目の総合評価で回答を得た。
【0040】
(2)評価方法
評価方法は、5点:「優れている」、4点:「良好である」、3点:「普通」、2点:「やや劣る」、1点:「劣る」の5段階の評価内容の内一つを選んで回答を得る方法とした。
評価結果は、各試料について10名の合計点で評価し、下記の評価基準により○、△、×で示した。
(評価基準)
○ :37〜50点
△ :24〜36点
× :10〜23点
(評価項目)
1)刺激感(ヒリヒリ感など)
2)染まり具合(濃度、むら)
3)頭皮、肌への染着(染着が少ないか)
4)染毛処理後の毛髪の風合い(ごわごわしないか、髪の艶、櫛どおり)
5)試料の臭い(強いか)
【0041】
(3)実用テストの結果
上記実用テストの結果は下記のとおりである。
実施例1・・・○:(41点)
実施例4・・・○:(45点)
比較例1・・・×:(18点)
比較例8・・・×:(15点)
【0042】
【表1】
Figure 0004736010
【0043】
【表2】
Figure 0004736010
【0044】
【表3】
Figure 0004736010
【0045】
【表4】
Figure 0004736010
【0046】
【表5】
Figure 0004736010
【0047】
【表6】
Figure 0004736010
【0048】
【表7】
Figure 0004736010
【0049】
【発明の効果】
本発明の2剤型染毛用組成物である実施例は、比較例に比べて皮膚安全性、染着特性、毛髪損傷防止特性、保存安定性などの諸特性に優れていることが評価された。
また、実用テストでは、上記諸特性の実用面でも優れた評価が得られ、特に、頭皮、肌への染着が少ないなどの染着特性が確認された。更に、増粘剤、トリートメント剤を配合した組成物は、実用特性、毛髪のコンディショニング特性にも優れていることが認められた。
すなわち、本発明は、上記諸特性に優れた新規染毛用組成物を提供することは明らかである。

Claims (1)

  1. 下記の成分,すなわち
    (A)亜硫酸塩類及びメルカプト化合物の少なくとも1種と、
    (B)ジスルフイド化合物の少なくとも1種
    を配合してなる第1剤と、
    (C)水溶性タール色素
    を含有してなる第2剤とから成る2剤型染毛用組成物であって、第1剤と第2剤との混合物のpH値が5.5〜8.5の範囲にあり、かつ、(A)成分の亜硫酸塩類及びメルカプト化合物が該組成物全体に対して1.0〜10.0重量%、(B)成分のジスルフイド化合物が該組成物全体に対して0.5〜5.0重量%、(C)成分の水溶性タール色素が該組成物全体に対して0.1〜5.0重量%含有され、かつ前記(A)成分と(B)成分の配合比率が(A)/(B)=0.50〜3.0である2剤型染毛用組成物において、第1剤及び/または第2剤に(D)成分としてpH調整剤を含有することにより、前記第1剤のpH値が6.0〜9.0、前記第2剤のpH値が3.0〜8.0であり、かつ第1剤と第2剤とを、第1剤:第2剤=4.0:6.0〜6.0:4.0の比率で混合してなる混合物のpH値が5.5〜8.5の範囲に保たれ、亜硫酸塩類が亜硫酸ナトリウム塩及び/またはピロ亜硫酸ナトリウム塩であり、メルカプト化合物がチオグリコール酸アンモニウム塩および/またはシステイン塩酸塩であり、ジスルフィド化合物がジチオジグリコール酸のジアンモニウム塩及び/またはジモノエタノールアミン塩であることを特徴とする2剤型染毛用組成物。
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